本実施の形態に係る位置決め装置1は、図1に示すように、無人搬送車2に設置された移動部材20と、無人搬送車2が停止するステーションSに設置された矯正部材60と、無人搬送車2に搭載された制御装置80と、を備えている。位置決め装置1は、本発明における「位置決め装置」に対応し、無人搬送車2は、本発明における「無人搬送車」に対応し、移動部材20は、本発明における「移動部材」に対応し、矯正部材60は、本発明における「位置矯正部材」に対応し、制御装置80は、本発明における「制御装置」に対応する実施構成の一例である。また、ステーションSは、本発明における「停止エリア」に対応する実施構成の一例である。
無人搬送車2は、図1に示すように、本体部3と、本体部3のほぼ中央に取り付けられた駆動ユニット4と、本体部3における進行方向前側の隅部に取り付けられたキャスタ5と、本体部3における進行方向後側に取り付けられた固定輪6と、制御装置80と、を備えている。無人搬送車2は、制御装置80によって制御されている。なお、無人搬送車2は、台車10の下方に潜り込んだ状態で台車10と連結されることにより、台車10を牽引する。
駆動ユニット4は、図1に示すように、駆動輪4aと、誘導帯12を検出する走行センサ7と、床面に設置されたマーカーM1,M2を検出するマーカーセンサ8とを有している。マーカーM1はステーションSの手前に設置されており、マーカーM2はステーションSに設置されている。
本実施の形態では、マーカーM1は、無人搬送車2に停止準備コマンドを実行させるために設置され、マーカーM2は、無人搬送車2に停止コマンドを実行させるために設置されている。なお、停止準備コマンドは、無人搬送車2をステーションSで停止するために無人搬送車2の速度を減速させると共に、無人搬送車2の左右方向の位置を矯正するために移動部材20を作動させるコマンドであり、停止コマンドは、無人搬送車2を停止させると共に、無人搬送車2の前後方向の位置を矯正するために移動部材20を作動させるコマンドである。駆動輪4aは、本発明における「駆動輪」に対応する実施構成の一例である。また、停止準備コマンドは、本発明における「停止指示」に対応する実施構成の一例である。
移動部材20は、図2ないし図5に示すように、ベース22と、ベース22に取り付けられた一対のスライドガイド24,24と、スライドガイド24,24にスライド可能に保持されたプレート部材26と、プレート部材26に接続された運動方向変換機構28と、これらを覆うカバー30と、運動方向変換機構28に接続されたモータユニット32と、から構成されている。運動方向変換機構28は、本発明における「運動方向変換機構」に対応し、モータユニット32は、本発明における「モータユニット」に対応する実施構成の一例である。
スライドガイド24,24は、図2に示すように、鉛直方向に沿う方向に延在するガイド部24a,24aを有している。当該ガイド部24a,24aにプレート部材26が摺接する。
プレート部材26は、図2ないし図5に示すように、プレート42と、プレート42に回転可能なように取り付けられた3つのガイドローラ46,47,48と、を備えている。 プレート42は、方形状に形成された方形状部42aと、台形状に形成された台形状部42bと、から構成されている。プレート部材26は、方形状部42a側が鉛直方向上側となるようにスライドガイド24,24に保持される。
方形状部42aにおける台形状部42b寄りの部分には、図2および図3に示すように、方形状部42aの幅方向に延在する(長手方向を有する)長孔43aが形成されている。長孔43aは、方形状部42aの厚み方向に貫通している。
台形状部42bは、方形状部42aから遠ざかるに伴い幅が漸次狭くなるように構成されている。台形状部42bの先端両隅部には、図2に示すように、台形状部42bの厚み方向に貫通する貫通孔43b,43bが形成されている。また、台形状部42bの両貫通孔43b,43bの間には、図2および図5に示すように、台座44が取り付け固定されている。台座44は、台形状部42bの厚み方向に沿う方向に突出するように台形状部42bに溶接等により固定されている。即ち、台座44が取り付け固定されたプレート42を側面から見るとL字状を成している。図2に示すように、台座44には、プレート42の長手方向に平行な軸線を有する貫通孔44aが形成されている。
ガイドローラ46,47には、図2に示すように、中央に貫通孔46a,47aが形成されている。ガイドローラ46,47は、貫通孔46a,47aを台形状部42bの貫通孔43b,43bに同軸状に重ね合わせた状態でボルトB1,B1によって台形状部42bに取り付けられる。即ち、ガイドローラ46,47は、図3に示すように、後述するガイドローラ48の回転軸としてのボルトB2に関して左右対称的に互いに隣接配置されている。ボルトB1,B1は、ガイドローラ46,47をプレート42に対して回転可能に取り付けることができるように構成されている。ガイドローラ46,47およびボルトB1,B1は、本発明における「第2ローラ部材」に対応し、ガイドローラ46,47は、本発明における「第2ローラ」に対応し、ボルトB1,B1は、本発明における「第2回転軸」に対応する実施構成の一例である。
ガイドローラ48には、図2に示すように、中央に貫通孔48aが形成されている。ガイドローラ48は、貫通孔48aを台座44の貫通孔44aに同軸状に重ね合わせた状態でボルトB2によって台座44に取り付けられる。ボルトB2は、ガイドローラ48を台座44に対して回転可能に取り付けることができるように構成されている。ガイドローラ48およびボルトB2は、本発明における「第1ローラ部材」に対応し、ガイドローラ48は、本発明における「第1ローラ」に対応し、ボルトB2は、本発明における「第1回転軸」に対応する実施構成の一例である。
運動方向変換機構28は、図2に示すように、カムローラ50と、カムローラ50に取り付けられたレバー52と、レバー52に回転可能に取り付けられたカムフォロワー54と、カムローラ50の外周面に当接する2つのカムフォロワー56a,56bと、2つのカムフォロワー56a,56bを回転可能に支持するホルダー58と、カムローラ50の回転位置を検出する3つのスイッチ59と、を備えている。
カムローラ50は、図2に示すように、ほぼ円筒形状に形成されている。カムローラ50の外周面には、平面加工によって平面部50bが形成されている。また、カムローラ50における正面視円形をなす前面(図2における左側の面)には、直線溝50aが形成されている。
直線溝50aは、図2および図3に示すように、カムローラ50の前面が当該直線溝50aを挟んで左右対称となるように形成されている。また、直線溝50aは、両側壁面が平面部50bと平行になるように形成されている。直線溝50aの底面におけるカムローラ50の中心部に対応する部分には、カムローラ50の裏面(前面と対をなす面であって図2における右側の面)まで貫通する貫通孔51が形成されている。また、直線溝50aの底面には、貫通孔51を挟んで2つの孔50c,50dが形成されている。孔50c,50dは、カムローラ50の裏面までは貫通していない袋孔に形成されている。
レバー52には、図2に示すように、長手方向に沿って3つの貫通孔52a,52b,52cが形成されている。レバー52は、貫通孔52b,52cがカムローラ50の孔50c,50dに対応するように直線溝50aに係合された状態で図示しないボルトによってカムローラ50に取り付け固定される。これにより、レバー52は、カムローラ50に取り付け固定された状態では、貫通孔52a側がカムローラ50から突出した状態となる。レバー52は、無人搬送車2が停止している場合および停止に向けた準備動作をおこなっている場合、即ち、移動部材20が作動状態である場合を除いては、貫通孔52a側が鉛直上方向を向いた状態となっている。なお、当該状態においては、カムローラ50の平面部50bは、図3に示すように、レバー52の右側に存在している。
カムフォロワー54は、図2に示すように、ローラ部54aと、軸部54bとから構成されており、軸部54bがレバー52の貫通孔52aに挿通されることによりレバー52に対して回転可能に支持される。図2,図3および図5に示すように、ローラ部54aがプレート42の長孔43aに係合されることによってプレート部材26と運動方向変換機構28とが接続される。
カムフォロワー56a,56bは、図2および図3に示すように、カムローラ50の外周面における上方部分に当接するように、ホルダー58を介してベース22に取り付けられている。カムフォロワー56a,56bは、カムローラ50の回転に伴って回転する。
スイッチ59は、図6ないし図8に示すように、ヒンジレバータイプのリミットスイッチとして構成されており、本体部59aと、レバー部59bとを備えている。スイッチ59は、レバー部59bの先端部がカムローラ50の外周面に当接するようにベース22に取り付け固定されている。
スイッチ59は、図2,3,6,7および8に示すように、カムローラ50の左右両側および下側に配置されている。左右両側に配置されたスイッチ59は、互いに上下が反転された状態で取り付けられている。また、下側に配置されたスイッチ59と右側に配置されたスイッチ59とは、互いに先端部が対向するように取り付けられている。スイッチ59は、レバー部59bの先端部がカムローラ50の外周面のうち平面部50bと当接する際にオンオフが切り替わる。
即ち、図6に示すように、平面部50bが右側にくるようなカムローラ50の回転位置では、右側のスイッチ59がオン状態となり、図7に示すように、平面部50bが下側にくるようなカムローラ50の回転位置では、下側のスイッチ59がオン状態となり、図8に示すように、平面部50bが左側にくるようなカムローラ50の回転位置では、左側のスイッチ59がオン状態となる。このように、各スイッチ59のオンオフ状態によってカムローラ50の回転位置を知ることができる。以下、説明の便宜上、図6におけるカムローラ50の回転位置を初期位置、図7におけるカムローラ50の回転位置を中間位置、図8におけるカムローラ50の回転位置を最終位置と規定する。
モータユニット32は、図2,4および図5に示すように、モータ32aと、出力軸33を有するギヤ機構32bと、を備えている。モータユニット32は、モータ32aの回転数をギヤ機構32bによって減速して出力軸33に出力するように構成されている。モータユニット32は、ベース22に取り付け固定されている。出力軸33は、本発明における「回転軸」に対応する実施構成の一例である。
モータユニット32は、図2,4および図5に示すように、出力軸33をカムローラ50の貫通孔51に挿通され、これにより、モータユニット32と、運動方向変換機構28とが接続される。なお、出力軸33と貫通孔51とはキーKによって相対回転不能となっている。即ち、出力軸33とカムローラ50とは一体回転する。本実施の形態では、モータ32aが駆動されると出力軸33は図3における時計回りに回転するように構成されており、モータ32aが駆動されるとカムローラ50も図3における時計回りに回転する。
こうして構成された移動部材20は、無人搬送車2がステーションSに停止した際にカバー30がステーションS側を向くように、ベース22を無人搬送車2の側面に図示しないボルトなどの締結部材によって取り付け固定される。
矯正部材60は、図9ないし図12に示すように、無人搬送車2の左右方向の位置矯正を行う左右方向位置矯正部60aと、無人搬送車2の前後方向の位置矯正を行う前後方向位置矯正部60bと、これらを床面に設置するためのベース60cと、から構成されている。左右方向位置矯正部60aは、本発明における「第1レール部材」に対応し、前後方向位置矯正部60bは、本発明における「第2レール部材」に対応する実施構成の一例である。
左右方向位置矯正部60aは、図9ないし図12に示すように、一対の第1ガイドレール61aと、一対の第2ガイドレール61bと、から構成されている。一対の第1ガイドレール61aおよび一対の第2ガイドレール61bは、本発明における「一対の第1レール」に対応する実施構成の一例である。
一対の第1ガイドレール61aの間隔は、移動部材20のガイドローラ48の直径とほぼ同じ大きさかこれより若干大きい値に設定されている。また、一対の第1ガイドレール61aの長手方向両端部は、図9および図10に示すように、先端に向かうに伴いレール間隔が漸次広がる拡副部62a,62bを有している。なお、拡副部62aの開き角は拡副部62bの開き角よりも小さく形成されており、拡副部62aの長さは拡副部62bの長さよりも長く形成されている。
一対の第2ガイドレール61bは、ベース60cへの設置向きを除いて一対の第1ガイドレール61aと同一の構成をしている。即ち、一対の第2ガイドレール61bも、図9および図10に示すように、互いに所定間隔離れて配置されているとともに拡副部62a,62bを有している。一対の第2ガイドレール61bは、拡副部62bが一対の第1ガイドレール61aの拡副部62bに対向するように一対の第1ガイドレール61aに対して直列状に配置される。
なお、図10に示すように、一対の第1ガイドレール61aと一対の第2ガイドレール61bとの間、即ち、対向する拡副部62b,62b同士の間には所定隙間が形成されている。言い換えると、一対の第1ガイドレール61aと一対の第2ガイドレール61bとは、所定隙間を挟んで長手方向に対称的に配置されている。
ここで、所定隙間は、ステーションSにおいて停止させる無人搬送車2の前後方向位置を矯正するために移動部材20を鉛直下方向に移動させる際に(詳細は後述する)、ガイドローラ48が一対の第1および第2ガイドレール61a,61bと当接しないような大きさに設定される。各拡副部62b,62bの内側(各拡副部間)と所定隙間とにより構成されるスペースSPCは、本発明における「前後方向位置矯正エリア」に対応し、一対の第1ガイドレール61aと一対の第2ガイドレール61bとが所定隙間を挟んで長手方向(ガイドレールの延在方向、図10における左右方向)に対称的に配置されている態様は、本発明における「一対の第1レール部材は、前後方向位置矯正エリアを挟んで進行方向に対称的に配置されている」態様に対応する実施構成の一例である。また、一対の第1および第2ガイドレール61a,61b間(対向する拡副部62b,62b同士の間)に所定隙間を有する態様は、本発明における「一対の第1レールは、移動部材が第1位置から第2位置まで移動する前後方向位置矯正エリアに対応する部分において終端部を有する」態様に対応する実施構成の一例である。
前後方向位置矯正部60bは、図11に示すように、一対のガイドレール64により構成されており、左右方向位置決め矯正部60aの内部、即ち、一対の第1ガイドレール61a間および一対の第2ガイドレール61b間に配置されている。このように構成することにより、矯正部材60のコンパクト化を図ることができる。なお、一対のガイドレール64は、一対の第1ガイドレール61aと一対の第2ガイドレール61bとの間の所定隙間を挟んで第1および第2ガイドレール61a,61bの延在方向(図10および図11における左右方向)に対称的に配置されている。言い換えると、図10に示すように、平面視における左右方向位置矯正部60aの中心と、前後方向位置矯正部60bの中心とは一致している。一対のガイドレール64は、本発明における「一対の第2レール」に対応する実施構成の一例である。
一対のガイドレール64の間隔は、移動部材20におけるガイドローラ46からガイドローラ47までの距離とほぼ同じ大きさかこれより若干大きい値に設定されている。より具体的には、一対のガイドレール64の間隔は2つのガイドローラ46,47の中心間距離にガイドローラ46またはガイドローラ47の直径を加えた大きさかこれより若干大きい値に設定されている。
また、一対のガイドレール64は、図11に示すように、上方先端に向かうに伴いレール間隔が漸次広がる拡副部65と、各拡副部65からほぼ水平方向に沿って互いに離れる方向に延在する水平部66を有している。なお、一対のガイドレール64の高さは、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bの高さよりも低く形成されている。本実施の形態では、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bの高さと一対のガイドレール64の高さとの差は、ガイドローラ48の厚さ(高さ)よりも若干大きい値に設定されている。
こうして構成された矯正部材60は、図1に示すように、ステーションSにおける無人搬送車2を停止させたい位置に対応した位置において、長手方向が誘導帯12の延在方向に対して平行となるように床面に設置される。
制御装置80は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。制御装置80には、駆動ユニット4の誘導帯12に対する位置ずれを検出する走行センサ7からの位置ずれ信号、マーカーM1,M2を検出するマーカーセンサ8からのコマンド信号、スイッチ59からのオンオフ信号などが入力ポートを介して入力されている。また、制御装置80からは、駆動ユニット4への駆動制御信号や、位置決め装置1の移動部材20への駆動制御信号などが出力ポートを介して出力されている。
次に、こうして構成された本実施の形態に係る位置決め装置1の動作について説明する。誘導帯12に沿って走行している無人搬送車2がステーションSの近傍まで到達し、マーカーセンサ8によってマーカーM1が検出されると、制御装置80は無人搬送車2の走行速度を減速するよう駆動ユニット4を制御するとともに、カムローラ50を中間位置まで回転するようモータユニット32を制御する(停止準備)。
カムローラ50が回転されると、図13に示すように、レバー52もカムローラ50と一体的に回転されるため、レバー52の先端に回転可能に支持されたカムフォロワー54が、長孔43a内を転がり摺動しながら右方向(図13における右側)に移動する。このとき、プレート部材26には長孔43aを介して鉛直下方向への力が作用するため、プレート部材26はスライドガイド24のガイド部24aに沿って鉛直下方向へ摺動する。
なお、カムローラ50の回転は、カムローラ50の下側に配置されたスイッチ59がオンされるまで行われる。カムローラ50が中間位置まで回転されたときには、図13に示すように、レバー52は長手方向が水平方向を向いた状態となっている。以下、説明の便宜上、カムローラ50が中間位置まで回転されたときに対応するプレート部材26の位置を左右方向位置矯正位置という。左右方向位置矯正位置は、本発明における「第1位置」に対応する実施構成の一例である。
このように、プレート部材26を左右方向位置矯正位置まで移動させることにより、図14に示すように、移動部材20のガイドローラ48が矯正部材60のうち左右方向位置矯正部60aの一対の第1および第2ガイドレール61a,61bと係合可能な位置となる。
この状態で無人搬送車2がさらに走行を続けてステーションSまで到達すると、図14および図15に示すように、ガイドローラ48と一対の第1ガイドレール61aとが係合する。これにより、無人搬送車2は、一対の第1ガイドレール61aにガイドされながら走行し、ステーションSに対して正確な左右方向位置となるように左右方向位置が矯正される。なお、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bが所定隙間を挟んで互いに長手方向に対称的に配置されているため、無人搬送車2のステーションSへの進入方向に関わらず、無人搬送車2を停止位置に正確に停止させることができる。
ここで、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bには、拡副部62aが設けられているため、無人搬送車2が誘導帯12に対して多少左右方向に位置ずれした状態で走行したとしても、図15の一点鎖線で示すように、ガイドローラ48を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bへスムーズに係合させることができる。
そして、一対の第1ガイドレール61aにガイドされながら走行する無人搬送車2がステーションSにおける停止位置に到達すると、マーカーセンサ8によってマーカーM2が検出される。これにより、制御装置80は、無人搬送車2を停止すると共に駆動輪4aが回転自在となるよう駆動ユニット4を制御し、かつ、カムローラ50を最終位置まで回転するようモータユニット32を制御する。
カムローラ50が中間位置から最終位置まで回転されると、図16に示すように、レバー52の長手方向が水平方向を向いた状態からレバー52の先端部(カムフォロワー54が支持された側)が鉛直下方向を向く状態までレバー52も回転する。これにより、カムフォロワー54が、長孔43a内を転がり摺動しながら左方向(図16における左側)に移動する。
このとき、プレート部材26には長孔43aを介して鉛直下方向への力が作用するため、プレート部材26はスライドガイド24のガイド部24aに沿って左右方向位置矯正位置よりもさらに鉛直下方向へ摺動する。ここで、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bそれぞれには、拡副部62bが設けられると共に、一対の第1および第2ガイドレール61a,61b間に所定隙間が設けられてスペースSPCが構成されているため、ガイドローラ48を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bに当接させずに移動部材20を左右方向位置矯正位置からさらに鉛直下方向に移動することができる。
また、一対のガイドレール64の間隔が2つのガイドローラ46,47の中心間距離にガイドローラ46またはガイドローラ47の直径を加えた大きさかこれより若干大きい値に設定されているため、移動部材20を左右方向位置矯正位置からさらに鉛直下方向に移動する際に、ガイドローラ48が一対のガイドレール64に当接することもない。
したがって、移動部材20の左右方向位置矯正位置からさらに鉛直下方向への移動をスムーズに行うことができる。なお、前後方向の位置矯正のために、互いに離間して配置された2つのガイドローラ46,47を用いる構成であるため、1つのガイドローラを用いる構成に比べてガイドローラ46,47の大型化(直径が大きくなること)を抑制しながらもガイドローラ48の直径よりも大きく設定された一対のガイドレール64間にガイドローラ46,47を良好に係合することができる。また、ガイドローラ46,47の大型化(直径が大きくなること)を抑制することができるため、一対のガイドレール64の高さを抑えることもできる。これにより、矯正部材60の大型化抑制と前後方向の位置矯正の確実性との両立を図ることができる。以下、説明の便宜上、カムローラ50が最終位置まで回転されたときに対応するプレート部材26の位置を前後方向位置矯正位置という。前後方向位置矯正位置は、本発明における「第2位置」に対応する実施構成の一例である。
プレート部材26が左右方向位置矯正位置から前後方向位置矯正位置に向けて鉛直下方向に移動されると、図17に示すように、2つのガイドローラ46,47が一対のガイドレール64に係合する。これにより、ステーションSに対して正確な前後方向位置となるように無人搬送車2の前後方向位置が矯正される。
なお、駆動輪4aが回転自在となるよう制御されているため、無人搬送車2の前後方向位置の矯正の際に不要な抵抗力が作用することがない。これにより、無人搬送車2の前後方向位置の矯正を小さな力でスムーズに行うことができる。
また、ステーションSに停止させる必要がない無人搬送車2においては、移動部材20を作動させないように制御装置80により制御されているため、無人搬送車2の走行速度を低下させることなくステーションSを通過させることができる。これにより、作業効率の向上を図ることができる。
以上説明した本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、移動部材20を左右方向位置矯正位置と前後方向位置矯正位置との2段階に鉛直下方向に移動するのみで無人搬送車2の停止位置における前後左右方向の位置矯正を行う構成であるため、簡易な構成でありながら、短時間で精度よく無人搬送車2を停止位置に位置決めすることができる。
なお、移動部材20の移動方向が鉛直方向であるため、前後方向の位置矯正の際にガイドローラ46,47が一対のガイドレール64と係合する際に反力が生じたとしても、当該反力が鉛直方向に作用することになるため、既に完了した左右方向の位置矯正には影響しない。この結果、無人搬送車2の位置決めを精度よく行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、無人搬送車2を一対のガイドレール61aでガイドしながら走行することにより左右方向の位置矯正を行う構成であるため、駆動輪4aやキャスタ5を操舵し易く、左右方向の位置矯正を行い易い。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、左右方向位置矯正位置ではガイドローラ48を一対のガイドレール61aに係合し、前後方向位置矯正位置ではガイドローラ46,47を一対のガイドレール64に係合するのみという簡易な構成で無人搬送車2の停止位置における前後左右方向の位置矯正を行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、一対のガイドレール64を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bの内側に配置する構成であるため、矯正部材60のコンパクト化を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、移動部材20が左右方向第1および第2ガイドレール61a,61bと当接しない構成であるため、前後方向の位置矯正を行う際における移動部材20の移動をスムーズに行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bが拡副部62aを有しているため、ガイドローラ48を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bへスムーズに係合させることができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、前後方向の位置矯正のために互いに離間して配置された2つのガイドローラ46,47を用いる構成であるため、1つのガイドローラを用いる構成に比べてガイドローラ46,47の大型化(直径が大きくなること)を抑制しながらもガイドローラ48の直径よりも大きく設定された一対のガイドレール64間にガイドローラ46,47を良好に係合することができる。また、ガイドローラ46,47の大型化(直径が大きくなること)を抑制することができるため、一対のガイドレール64の高さを抑えることもできる。これにより、矯正部材60の大型化抑制と前後方向の位置矯正の確実性との両立を図ることができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、一対の第1および第2ガイドレール61a,61bが互いに所定隙間を挟んで長手方向に対称的に配置されているため、無人搬送車2がステーションSに進入する方向に関わらず、無人搬送車2を停止位置に精度よく停止させることができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、モータユニット32を用いて移動部材20を移動させる構成であるため、油圧シリンダなどを用いて移動部材20を移動させる構成に比べて、移動部材20の停止位置制御を容易かつ精度よく行うことができる。
また、本発明の実施の形態に係る位置決め装置1によれば、前後方向の位置矯正を行う際には駆動輪4aが回転自在となるよう制御される構成であるため、無人搬送車2の前後方向位置の矯正の際に不要な抵抗力が作用することがない。これにより、無人搬送車2の前後方向位置の矯正を小さな力でスムーズに行うことができる。
本実施の形態では、プレート部材26は前後方向の位置矯正を行うために2つのガイドローラ46,47を有する構成としたが、図19ないし図21の変形例の位置決め装置100におけるプレート部材126に例示するように、前後方向の位置矯正を行うためのガイドローラは1つであっても構わない。以下、変形例の位置決め装置100の構成について説明する。
変形例の位置決め装置100は、移動部材20を移動部材120に替えた点を除いて本実施の形態に係る位置決め装置1と同じ構成をしている。したがって、変形例の位置決め装置100のうち、本実施の形態に係る位置決め装置1と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。位置決め装置100は、移動部材120と、矯正部材60と、制御装置80と、を備えている。位置決め装置100は、本発明における「位置決め装置」に対応する実施構成の一例である。
移動部材120は、ベース22と、一対のスライドガイド24,24と、プレート部材126と、運動方向変換機構28と、カバー30(図視せず)と、モータユニット32(図視せず)と、から構成されている。移動部材120は、本発明における「移動部材」に対応する実施構成の一例である。
プレート部材126は、図19に示すように、プレート142と、プレート142に回転可能なように取り付けられた2つのガイドローラ48,146と、を備えている。
プレート142は、図19に示すように、プレート142は、方形状に形成された方形状部142aと、方形状部142aよりも幅の狭い幅狭方形状部142bと、から構成されており、正面視略T字状に形成されている。プレート部材126は、方形状部142a側が鉛直方向上側となるようにスライドガイド24,24に保持される。方形状部142aにおける幅狭方形状部142b寄りの部分には、プレート42における方形状部42aと同様、長孔43aが形成されている。当該長孔43aに運動方向変換機構28におけるカムフォロワー54が係合される。
幅狭方形状部142bのほぼ中央部には、図19および図20に示すように、幅狭方形状部142bの厚み方向に貫通する貫通孔143が形成されている。また、幅狭方形状部142bの先端部には、プレート42同様、台座44が取り付け固定されている。
台座44は、幅狭方形状部142bの厚み方向に沿う方向に突出するように溶接等により固定されている。即ち、台座44が取り付け固定された幅狭方形状部142bを側面から見るとL字状を成している。台座44には、ガイドローラ48が同軸状態で回転可能に取り付けられている。
ガイドローラ146には、図19に示すように、ガイドローラ46,47同様、中央に貫通孔146aが形成されている。ガイドローラ146は、貫通孔146aを幅狭方形状部142bの貫通孔143に同軸状に重ね合わせた状態でボルトB1によって幅狭方形状部142bに回転可能に取り付けられる。なお、ガイドローラ146の直径は、ガイドローラ48の直径よりも大きく形成されている。ガイドローラ146およびボルトB1は、本発明における「第2ローラ部材」に対応し、ガイドローラ146は、本発明における「第2ローラ」に対応し、ボルトB1は、本発明における「第2回転軸」に対応する実施構成の一例である。
こうした変形例の位置決め装置100においても、図20および図21に示すように、移動部材120を左右方向位置矯正位置まで移動させてガイドローラ48と一対の第1および第2ガイドレール61a,61bとを係合させることにより無人搬送車2の停止位置における左右方向の位置矯正を行うことができると共に、移動部材120を左右方向位置矯正位置から前後方向位置矯正位置まで移動させてガイドローラ146と一対のガイドレール64とを係合させることにより無人搬送車2の停止位置における前後方向の位置矯正を行うことができる。
ここで、ガイドローラ146の直径がガイドローラ48の直径よりも大きく形成されているため、移動部材120を前後方向位置矯正位置まで移動させる際に、ガイドローラ48が一対のガイドレール64と当接することがない。これにより、移動部材120の前後方向位置矯正位置までの移動をスムーズに行うことができる。なお、一対のガイドレール64の間隔は、ガイドローラ146直径とほぼ同じ大きさかこれより若干大きい値に設定されている。
本実施の形態では、一対のガイドレール64を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bの内側に配置する構成としたが、図22ないし図27の変形例の位置決め装置200に例示するように、一対のガイドレール264を一対のガイドレール261の外側に配置する構成としても構わない。以下、変形例の位置決め装置200の構成について説明する。
変形例の位置決め装置200は、移動部材20および矯正部材60をそれぞれ移動部材220および矯正部材260に替えた点を除いて本実施の形態に係る位置決め装置1と同じ構成をしている。したがって、変形例の位置決め装置200のうち、本実施の形態に係る位置決め装置1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
位置決め装置200は、移動部材220と、矯正部材260と、制御装置80と、を備えている。移動部材220は、図22に示すように、ベース22と、スライドガイド24,24と、プレート部材226と、運動方向変換機構28と、カバー30(図視せず)と、モータユニット32(図視せず)と、から構成されている。位置決め装置200は、本発明における「位置決め装置」に対応し、移動部材220は、本発明における「移動部材」に対応し、矯正部材260は、本発明における「位置矯正部材」に対応する実施構成の一例である。
プレート部材226は、図22に示すように、プレート242と、プレート242に回転可能なように取り付けられた3つのガイドローラ46,47,48と、を備えている。
プレート242は、図22に示すように、方形状に形成された方形状部242aと、方形状部242aから遠ざかるに伴い幅が漸次狭くなる台形状に形成された2つの台形状部242b,242cと、から構成されており、正面視略逆U字状に形成されている。プレート部材226は、方形状部242a側が鉛直方向上側となるようにスライドガイド24,24に保持される。方形状部242aにおける上端部寄りの部分には、プレート42における方形状部42aと同様、長孔43aが形成されている。当該長孔43aに運動方向変換機構28におけるカムフォロワー54が係合される。
台形状部242bの先端両隅部には、貫通孔43b,43bが形成されており、ガイドローラ46,47が貫通孔43b,43bに同軸状態で回転可能に取り付けられている。また、台形状部242cには、図22および図23に示すように、台座44が取り付け固定されている。
台座44は、台形状部242bcの厚み方向に沿う方向に突出するように溶接等により固定されている。即ち、台座44が取り付け固定された台形状部242cを側面から見るとL字状を成している。台座44には、ガイドローラ48が同軸状態で回転可能に取り付けられている。
矯正部材260は、図24および図25に示すように、左右方向位置矯正部260aと、前後方向位置矯正部260bと、左右方向位置矯正部260aを床面に設置するためのベース260cと、前後方向位置矯正部260bを床面に設置するためのベース260dと、から構成されている。左右方向位置矯正部260aは、本発明における「第1レール部材」に対応し、前後方向位置矯正部260bは、本発明における「第2レール部材」に対応する実施構成の一例である。
左右方向位置矯正部260aは、図24および図25に示すように、一対のガイドレール261を備えている。一対のガイドレール261は、本実施の形態の位置決め装置1における一対の第1ガイドレール61aと同一の構成をしている。したがって、説明の便宜上、その説明を省略する。一対のガイドレール261は、本発明における「一対の第1レール」に対応する実施構成の一例である。
前後方向位置矯正部260bは、図24および図25に示すように、一対のガイドレール264を備えている。一対のガイドレール264は、本実施の形態の位置決め装置1における一対のガイドレール64と同一の構成をしている。したがって、説明の便宜上、その説明を省略する。一対のガイドレール264は、本発明における「一対の第2レール」に対応する実施構成の一例である。
左右方向位置矯正部260aと前後方向位置矯正部260bとは、図24および図25に示すように、互いにベース260c,260dの長手方向が一致するように所定隙間離れた状態で直列状に配置されている。
こうして構成された矯正部材260は、ステーションSにおける無人搬送車2を停止させたい位置に対応した位置において、左右方向位置矯正部260aおよび前後方向位置矯正部260bにおけるベース260c,260dの長手方向が誘導帯12の延在方向と平行になるように床面に設置される。
こうした変形例の位置決め装置200においても、図26ないし図28に示すように、移動部材220を左右方向位置矯正位置まで移動させてガイドローラ48と一対のガイドレール261とを係合させることにより無人搬送車2の停止位置における左右方向の位置矯正を行うことができると共に、移動部材220を左右方向位置矯正位置から前後方向位置矯正位置まで移動させてガイドローラ46,47と一対のガイドレール264とを係合させることにより無人搬送車2の停止位置における前後方向の位置矯正を行うことができる。
なお、一対のガイドレール261を一対のガイドレール264を挟んで長手方向に対称的にさらにもう一つ配置する構成とすることにより、本実施の形態に位置決め装置1と同様、無人搬送車2がステーションSに進入する方向に関わらず、無人搬送車2を停止位置に精度よく停止させることができる。
本実施の形態では、移動部材20を鉛直方向に移動させることによって無人搬送車2の前後左右方向の位置矯正を行う構成としたが、図29ないし図32の変形例の位置決め装置300に例示するように、移動部材320を水平方向に移動させることによって無人搬送車2の前後左右方向の位置矯正を行う構成としても構わない。以下、変形例の位置決め装置300の構成について説明する。
変形例の位置決め装置300は、移動部材20を移動部材320に替えた点および矯正部材60を矯正部材360に替えた点を除いて本実施の形態に係る位置決め装置1と同じ構成をしている。したがって、変形例の位置決め装置300のうち、本実施の形態に係る位置決め装置1と同一の構成については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
位置決め装置300は、移動部材320と、矯正部材360と、制御装置80と、を備えている。移動部材320は、図29に示すように、ベース22と、スライドガイド24,24と、プレート部材326と、運動方向変換機構28と、カバー30(図視せず)と、モータユニット32(図視せず)と、から構成されている。位置決め装置300は、本発明における「位置決め装置」に対応し、移動部材320は、本発明における「移動部材」に対応し、矯正部材360は、本発明における「位置矯正部材」に対応する実施構成の一例である。
プレート部材326は、図29に示すように、プレート342と、プレート342に回転可能なように取り付けられたガイドローラ346と、を備えている。 プレート342は、方形状に形成された方形状部342aと、方形状部342aから遠ざかるに伴い幅が漸次狭くなる台形状に形成された台形状部342bと、から構成されている。
方形状部342aにおける台形状部342b寄りの部分には、プレート42における方形状部42aと同様、長孔43aが形成されている。当該長孔43aに運動方向変換機構28におけるカムフォロワー54が係合される。
台形状部342bの先端中央部には、図29に示すように、台形状部342bの厚み方向に貫通する貫通孔343が形成されている。ガイドローラ346は、図29に示すように、台形状部342bの貫通孔343に同軸状態で図示しないボルトなどによって台形状部342bに回転可能に取り付けられる。ガイドローラ346およびボルトは、本発明における「第1ローラ部材」および「第2ローラ部材」に対応し、ガイドローラ346は、本発明における「第1ローラ」および「第2ローラ」に対応し、ボルトは、本発明における「第1回転軸」および「第2回転軸」に対応する実施構成の一例である。
こうして構成された移動部材320は、無人搬送車2がステーションSに停止した際にガイドローラ346の外周面がステーションS側を向くように、ベース22を無人搬送車2の上面に図示しないボルトなどの締結部材によって取り付け固定される。即ち、移動部材320は、プレート部材326がスライドガイド24,24のガイド部24a,24a上を摺動するとガイドローラ346がステーションSに向かって出没するように無人搬送車2に取り付けられる。
矯正部材360は、図31に示すように、無人搬送車2の左右方向の位置矯正を行う左右方向位置矯正部360aと、無人搬送車2の前後方向の位置矯正を行う前後方向位置矯正部360bと、これらを床面に設置するためのベース360cと、から構成されている。左右方向位置矯正部360aは、本発明における「第1レール部材」に対応し、前後方向位置矯正部360bは、本発明における「第2レール部材」に対応する実施構成の一例である。
左右方向位置矯正部360aは、図31に示すように、第1ガイドレール361aと、第1ガイドレール361aに対して所定間隔離して平行に配置された第2および第3ガイドレール361b,361cと、から構成されている。第1ガイドレール361a,第2ガイドレール361bおよび第3ガイドレール361cは、本発明における「一対の第1レール」に対応する実施構成の一例である。
第1ガイドレール361aと第2および第3ガイドレール361b,361cの間隔は、図32に示すように、移動部材320のガイドローラ346の直径とほぼ同じ大きさかこれより若干大きい値に設定されている。また、第1,第2および第3ガイドレール361a,361b,361cの長手方向端部は、先端に向かうに伴いレール間隔が漸次広がるように構成された拡副部362a,362b,362cを有している。
前後方向位置矯正部360bは、図31に示すように、一対のガイドレール364により構成されている。各ガイドレール364は、第2および第3ガイドレール361b,361cにおける拡副部362b,362cが形成された長手方向端部とは反対側の長手方向端部に一体接続されており、第1ガイドレール361aから離れる方向に延伸している。一対のガイドレール364は、第1ガイドレール361aと第2および第3ガイドレール361b,361cとによって構成されるレールの延在方向(図31における上下方向)の中央部に設けられており、当該レールの延在方向(図31における上下方向)に対して直交する方向に延在している。一対のガイドレール364は、本発明における「一対の第2レール」に対応する実施構成の一例である。
一対のガイドレール364の間隔は、図32に示すように、移動部材320におけるガイドローラ346の直径とほぼ同じ大きさかこれより若干大きい値に設定されている。なお、各ガイドレール364と第2および第3ガイドレール361b,361cとは、図31に示すように、傾斜レール365を介して接続されている。傾斜レール365は、各ガイドレール364から第2および第3ガイドレール361b,361cに向かうに伴い一対のガイドレール364間のレール間隔が漸次広がるような傾斜角を有している。
こうして構成された矯正部材360は、ステーションSにおける無人搬送車2を停止させたい位置に対応した位置において、第1ガイドレール361aと第2および第3ガイドレール361b,361cとによって構成されるレールの延在方向が誘導帯12の延在方向と平行になるように床面に設置される。なお、一対のガイドレール364は、ステーションS側を向いている。
次に、こうして構成された変形例の位置決め装置300の動作について説明する。誘導帯12に沿って走行している無人搬送車2がステーションSの近傍まで到達し、マーカーセンサ8によってマーカーM1が検出されると、制御装置80は無人搬送車2の走行速度を減速するよう駆動ユニット4を制御するとともに、カムローラ50を中間位置まで回転するようモータユニット32を制御する。
カムローラ50の回転に伴いレバー52が回転する。これにより、レバー52の先端に回転可能に支持されプレート部材326の長孔43aに係合されたカムフォロワー54が、長孔43a内を転がり摺動しながら移動して、プレート部材326をスライドガイド24のガイド部24aに沿って水平方向へ摺動させる。以下、説明の便宜上、カムローラ50が中間位置まで回転されたときに対応するプレート部材326の位置を左右方向位置矯正位置という。左右方向位置矯正位置は、本発明における「第1位置」に対応する実施構成の一例である。
このように、プレート部材326を左右方向位置矯正位置まで移動させることにより、図32に示すように、移動部材320のガイドローラ346が矯正部材360のうち左右方向位置矯正部360aの第1ガイドレール361aと第2および第3ガイドレール361b,361cとのレール間に係合可能な位置となる(図32における太二点鎖線)。
この状態で無人搬送車2がさらに走行を続けてステーションSまで到達すると、ガイドローラ346が第1ガイドレール361aと第2ガイドレール361b(または第3ガイドレール361c)と係合する。これにより、無人搬送車2は、第1ガイドレール361aおよび第2ガイドレール361b(または第3ガイドレール361c)によりガイドされながら走行し、ステーションSに対して正確な左右方向位置となるように左右方向位置が矯正される。
ここで、第1,第2および第3ガイドレール361a,361b,361cには、拡副部拡副部362a,362b,362cが設けられているため、無人搬送車2が誘導帯12に対して多少左右方向に位置ずれした状態で走行したとしても、ガイドローラ346を第1ガイドレール361aおよび第2ガイドレール361b(または第3ガイドレール361c)間へスムーズに係合させることができる。
そして、第1ガイドレール361aおよび第2ガイドレール361b(または第3ガイドレール361c)にガイドされながら走行する無人搬送車2がステーションSにおける停止位置に到達すると、マーカーセンサ8によってマーカーM2が検出される。これにより、制御装置80は、無人搬送車2を停止すると共に駆動輪4aが回転自在となるよう駆動ユニット4を制御し、かつ、カムローラ50を最終位置まで回転するようモータユニット32を制御する。
カムローラ50が中間位置から最終位置まで回転されると、レバー52がさらに回転する。これにより、カムフォロワー54によって、プレート部材326がスライドガイド24のガイド部24aに沿って前後方向位置矯正位置よりもさらに水平方向に沿って摺動される。以下、説明の便宜上、カムローラ50が最終位置まで回転されたときに対応するプレート部材326の位置を前後方向位置矯正位置という。前後方向位置矯正位置は、本発明における「第2位置」に対応する実施構成の一例である。
プレート部材326が左右方向位置矯正位置から前後方向位置矯正位置に向けて鉛直下方向に移動されると、図32に示すように、ガイドローラ346が一対のガイドレール364に係合する。これにより、ステーションSに対して正確な前後方向位置となるように無人搬送車2の前後方向位置が矯正される。
ここで、各ガイドレール364と第2および第3ガイドレール361b,361cとが傾斜レール365を介して接続される構成であるため、無人搬送車2が停止位置に対して多少前後方向に位置ずれした状態で停止したとしても、ガイドローラ346を一対のガイドレール364間へスムーズに係合させることができる。
なお、駆動輪4aが回転自在となるよう制御されているため、無人搬送車2の前後方向位置の矯正の際に不要な抵抗力が作用することがない。これにより、無人搬送車2の前後方向位置の矯正を小さな力でスムーズに行うことができる。
以上説明した変形例の位置決め装置300によれば、移動部材320を左右方向位置矯正位置と前後方向位置矯正位置との2段階に水平方向に移動するのみで無人搬送車2の停止位置における前後左右方向の位置矯正を行う構成であるため、簡易な構成でありながら、短時間で精度よく無人搬送車2を停止位置に位置決めすることができる。しかも、移動部材320には左右方向位置矯正と前後方向位置矯正のために用いるガイドローラ346を1つ設けるのみの構成であるため、部品点数の削減を図ることができる。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200,300では、移動部材20,120,220,320を無人搬送車2に取り付け、矯正部材60,260,360をステーションSに設置する構成としたが、これとは逆に移動部材20,120,220,320をステーションSに設置するとともに矯正部材60,260,360を無人搬送車2に取り付ける構成としても構わない。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200,300では、誘導帯12を挟んでステーションS側に矯正部材60,260,360を設置する構成としたが、矯正部材60,260,360は誘導帯12を挟んでステーションSとは反対側に設置する構成としても構わない。この場合、移動部材20,120,220,320は、矯正部材60,260,360に対応するように無人搬送車2に取り付ける構成とすれば良い。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200,300では、マーカーM1は無人搬送車2の速度を減速させると共に、移動部材20を作動させるコマンドとしたが、マーカーM1は移動部材20を作動させるのみのコマンドとしても構わない。この場合、無人搬送車2の速度を減速させるためのマーカーを別途設ける構成が好ましい。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200,300では、一対の第1および第2ガイドレール61a,61b、一対のガイドレール261、第1,第2および第3ガイドレール361a,361b,361cに拡副部62a,362a,362b,362cを設ける構成としたが、拡副部62a,362a,362b,362cは無くても構わない。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200では、一対の第1および第2ガイドレール61a,61b、一対のガイドレール261に拡副部62bを設ける構成としたが、拡副部62bは無くても構わない。この場合、プレート部材26,126,226を左右方向位置矯正位置から前後方向位置矯正位置まで移動させる際にガイドローラ48を一対の第1および第2ガイドレール61a,61bや一対のガイドレール261に当接させずに移動でできるように、一対の第1および第2ガイドレール61a,61b間の隙間や左右方向位置矯正部260aと前後方向位置矯正部260bとの間隔を設定する構成が好ましい。
本実施の形態および各変形例の位置決め装置1,100,200,300では、モータユニット32および運動方向変換機構28を用いてプレート部材26,126,226,326を移動させる構成としたが、これに限らない。例えば、油圧や空圧シリンダ装置を用いてプレート部材26,126,226,326を移動させる構成としても構わない。
(実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係)
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。