JP6043552B2 - 鞍乗型車両のタンクカバー取付構造 - Google Patents
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Description
また、別の対策としては、燃料タンクの前縁部自体を下方に延出させることも考えられるが、その場合には、燃料タンクの製造自体が困難になるため、生産コストの面で採用は現実的ではない。
さらに、別の対策としては、タンクカバーの適切な支持位置に対応する車体フレーム上の対応個所にタンクカバー取付用のステイを設けることも考えられるが、この場合、ステイの位置精度を確保するのが難しいうえ、燃料タンクの脱着時に、燃料タンクの固定箇所とは別にステイとタンクカバーの固定箇所で脱着作業を行わなけれずならず、作業工数が増加する。また、この場合、専用のステイを車体フレームに取り付ける必要があるため、部品点数も増加する。
請求項1に係る発明は、エンジン(2)の上方の車体フレーム部材(12,41)に取り付けられ、前記エンジン(2)に供給する燃料を貯留する燃料タンク(50)と、前記燃料タンク(50)の側方から前記エンジン(2)の上部側方にかけてを覆うタンクカバー(53L,53R)と、前記燃料タンク(50)の前部下方で前記車体フレーム部材(41)に取り付けられ、前記燃料タンク(50)の左右の前縁部をそれぞれ前記車体フレーム部材(41)に連結する左右一対のタンク支持ブラケット(42L,42R)と、を備えた鞍乗型車両において、前記タンク支持ブラケット(42L,42R)に、前記燃料タンク(50)との連結部(69L,69R)よりも車幅方向外側に延出する係止部(70L,70R)が一体に設けられ、該係止部(70L,70R)に前記タンクカバー(53L,53R)が結合されており、前記タンク支持ブラケット(42L,42R)は、前記車体フレーム部材(41)に対して締結部材(67)によって脱着可能に締結固定される締結固定部(68L,68R)を備え、前記タンクカバー(53L,53R)の前記タンク支持ブラケット(42L,42R)との結合部(63)よりも上方側の領域は前記燃料タンク(50)に直接結合され、前記タンク支持ブラケット(42L,42R)は、前記締結固定部(68L,68R)が前記車体フレーム部材(41)に対してゴム弾性体(72)を介して固定されているとともに、前記燃料タンク(50)と前記タンクカバー(53L,53R)に対してゴム弾性体を介さずに直接結合されており、前記締結固定部(68L,68R)と前記締結部材(67)は、車幅方向外側の側方を前記タンクカバー(53L,53R)によって覆われているとともに、車両前方側を開放されていることを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に係る鞍乗型車両のタンクカバー取付構造において、前記タンクカバー(53R)が結合される前記係止部(70R)は、前記タンク支持ブラケット(42R)の前記車体フレーム部材(41)に締結固定されるボス部(68R)よりも下方に延びていることを特徴とする。
また、この発明によれば、燃料タンクや車体フレーム部材側に専用部品を追加せずにタンクカバーを車体側に取り付けることができるため、部品点数の削減と組付工数の削減によって生産コストの低減を図ることができる。
さらに、この発明によれば、燃料タンクの上部とタンクカバーが直接結合されるとともに、タンク支持ブラケットと燃料タンク、タンク支持ブラケットとタンクカバーの各間もゴム弾性体を介さず直接結合されることから、タンクカバーと燃料タンクの間の組付精度を高め、外観品質を高めることができる。一方、この発明においては、タンク支持ブラケットと車体フレーム部材がゴム弾性体を介して結合されるため、組付誤差を吸収することができる。
この実施形態の鞍乗り型車両は、エンジン2によって後輪WRが駆動されるオフロードタイプの自動二輪車である。以下、この実施形態の鞍乗り型車両については、「自動二輪車1」と呼ぶものとする。
自動二輪車1の車体フレームFは、前端部に配置されるヘッドパイプ11と、ヘッドパイプ11から後斜め下方へ延出するメインフレーム12と、ヘッドパイプ11上のメインフレーム12との連結部の下方位置から下方に延出するダウンパイプ13と、メインフレーム12の後部領域の左右の側部から下方に湾曲して延出する一対のセンタパイプ14L,14Rと、を備えている。センタパイプ14L,14Rの下端部同士は車幅方向に延出するクロスパイプ15によって結合されている。車体フレームFは、さらにメインフレーム12の後部から車体後方側に向かって延出する左右一対のシートレール16L,16Rと、左右の各センタパイプ14L,14Rのクロスパイプ15よりも上方側の下部領域と左右の対応するシートレール16L,16Rの後部領域とを連結するサポートパイプ17L,17Rと、を備えている。左右の各サポートパイプ17L,17Rは前端部から後端部に向かって上方に傾斜して延出しており、シートレール16L,16R、センタパイプ14L,14R、サポートパイプ17L,17Rによって囲まれる領域が側面視で略三角形状を呈するようになっている。また、ダウンパイプ13上のヘッドパイプ11との結合部から若干下がった領域と、メインフレーム12の後部の上方側領域の間は、車体前後方向に延出する補強パイプ9によって連結されている。
なお、上記の部材のうち紙面前後で重なって隠れている部材(例えば、センタパイプ14R)は、図示都合上括弧書きで符号を付している。以下の説明では、紙面前後で重なって隠れている部材については同様に扱っている。
なお、図1において、53L,53Rは、燃料タンク50からエンジンブロック24の上縁部にかけての側方を覆う樹脂製のタンクカバーであり、54a,54bは、タンクカバー53L,53Rの後部において、エアクリーナ52の側方を含むシート下の側方を覆う樹脂製のサイドカバーである。タンクカバー53L,53Rについては後に詳述する。
スイングアーム34は、一対のアーム部34L,34Rを有し、両アーム部34L,34Rの前端部がピボット軸35に軸支されるとともに、両アーム部34L,34Rの後端部に後輪WRの車軸36が回転可能に軸支されている。車軸36の車幅方向の左側にはドリブンスプロケット37が一体に取り付けられている。エンジンブロック24側のドライブスプロケット29とスイングアーム34の後部のドリブンスプロケット37には、エンジン2の動力を後輪WRに伝達するためのドライブチェーン38が掛け渡されている。
なお、スイングアーム34は、図示しないクッションユニットを介して車体フレームFに支持されている。
図3に示すように、ヘッドパイプ11とメインフレーム12とダウンパイプ13と補強パイプ9とに囲まれる略三角形状の領域は、これらの4部材の側面に跨って結合されるガセットプレート40によって補強されている。また、ガセットプレート40と補強パイプ9の少なくとも一方には、ガセットプレート40の車幅方向の左右両側に突出する図4に示す支持ロッド41(車体フレーム部材)が一体に結合されている。
また、メインフレーム12の上部には、鞍状の燃料タンク50が左右方向で跨ぐように配置され、その燃料タンク50の前縁部の左右の下面が、それぞれタンク支持ブラケット42L,42Rを介して支持ロッド41に連結されている。なお、ここでは詳細な説明は省略するが燃料タンク50の後部は図示しないブラケットを介してメインフレーム12の後部上端側に連結されている。
燃料タンク50の左右の前縁部の各下面には、図5に示すように、金属製のねじ受け部を有するステイ45がタンク成形時に一体に成形されている。また、燃料タンク50の前縁部の上部側の左右の側面には、タンクカバー53L,53Rの上部側の取付部であるナット46が埋設されている。
また、燃料タンク50は、車体に取り付けられた状態において、左右の側縁部の下面全体がエンジン2の上部に向けて後下方下がりとなっている。
これらの図に示すように、フロントカバー部材55は、車両の側面視で上端部と下端部の間で車体前方側に鋭角状に突出する前方頂部58を備えるとともに、前方頂部58から上端部に向けて斜め上方に延出する上部傾斜辺59aと、前方頂部58から下端部に向けて斜め下方に延出する下部傾斜辺59bと、を備えている。また、フロントカバー部材55は車体後方側に略L字状の切欠き部60が設けられ、全体として略L字状の側面視形状とされている。以下、フロントカバー部材55のうちの、前方頂部58から後上方側に延出する部分を上方延出片61aと呼び、前方頂部58から後下方側に延出する部分を下方延出片61bと呼ぶものとする。
また、左右のフロントカバー部材55は、図4に示すように、ほぼ前方頂部58付近の高さ位置を車幅方向の最大膨出部として、上方延出片61aと下方延出片61bがそれぞれ上下方向に湾曲している。
また、図8に示す左側のフロントカバー部材55の裏面のうちの、前後幅方向の略中央の前方頂部58と略同一高さ位置には、車体取付状態において略水平姿勢で延出する板状の結合片63(結合部)が延設されている。この結合片63には、結合片63を上下方向に貫通する取付孔64が形成されている。この取付孔64には、結合片63をタンク支持ブラケット42Lに固定するための樹脂ファスナ65(図4参照。)が嵌入されるようになっている。なお、図8中の符号66は、結合片63を補強するための補強リブである。
図9に示す右側のフロントカバー部材55は、上述した左側のフロントカバー部材55とほぼ同様の構成とされているが、右側のフロントカバー部材55の結合片63の突設位置は、左側のフロントカバー部材55の結合片63の突設位置よりも若干下方に下がった位置に設定されている。
連結部69Lは、上面が平坦な略矩形状に形成され、その部分が燃料タンク50の下面に重合された状態において、ステイ45(図5参照。)に対して前後二箇所でボルト71によって締結されるようになっている。
また、連結部69Lの車幅方向外側には、図6に示すように、下方に屈曲する側面視が略三角形状の屈曲壁73が設けられ、その屈曲壁73の下端に車幅方向外側(左側方)、かつ前方に向かって延出する略三角形状の係止部70Lが連続して設けられている。係止部70Lは、収斂した車幅方向外側の端部に図示しない取付孔が形成されている。係止部70Lの先端側は略水平に延出し、その先端側の上面にはフロントカバー部材55の結合片63が水平姿勢で重ねられ、その状態で結合片63と係止部70Lが樹脂ファスナ65によって結合されるようになっている。左側のフロントカバー部材55は、これによりタンク支持ブラケット42Lの係止部70Lに連結される。
また、タンク支持ブラケット42Lのボス部68Lは、円筒状のゴムブッシュ72(ゴム弾性体)を間に挟み込んだ状態において、支持ロッド41の左端面にボルト結合される。
また、係止部70Rは、略三角形状に形成され、収斂した車幅方向外側の端部に図示しない取付孔が形成されている。係止部70Rの先端側は略水平に延出し、その先端側の上面にはフロントカバー部材55の結合片63が水平姿勢で重ねられ、その状態で結合片63と係止部70Rが樹脂ファスナ65によって結合されるようになっている。右側のフロントカバー部材55は、これによりタンク支持ブラケット42Rの係止部70Rに連結される。
特に、この自動二輪車1においては、燃料タンク50の下面がエンジン2の上部に向けて後下がりとなっているため、タンクカバー53L,53Rと燃料タンク50の下面とによって走行風をより効率良くエンジン2の上部に誘導することができる。
したがって、エンジン2の上部側方まで延出するタンクカバー53L,53Rであるにも拘わらず、ガタつきなくタンクカバー53L,53Rを車体側に固定することができる。
一方、このタンクカバー取付構造では、各タンク支持ブラケット42L,42Rと車体側の支持ロッド41との間はゴムブッシュ72を挟み込んで結合されているため、ゴムブッシュ72によって組付誤差を吸収することができる。
2 エンジン
41 支持ロッド(エンジンの上方の車体フレーム部材)
42L,42R タンク支持ブラケット
50 燃料タンク
53L,53R タンクカバー
58 前方頂部
59a 上部傾斜辺
59b 下部傾斜辺
63 結合片(結合部)
67 ボルト(締結部材)
68L,68R ボス部(締結固定部)
69L,69R 連結部
70L,70R 係止部
71 ボルト
72 ゴムブッシュ(ゴム弾性体)
Claims (6)
- エンジン(2)の上方の車体フレーム部材(12,41)に取り付けられ、前記エンジン(2)に供給する燃料を貯留する燃料タンク(50)と、
前記燃料タンク(50)の側方から前記エンジン(2)の上部側方にかけてを覆うタンクカバー(53L,53R)と、
前記燃料タンク(50)の前部下方で前記車体フレーム部材(41)に取り付けられ、前記燃料タンク(50)の左右の前縁部をそれぞれ前記車体フレーム部材(41)に連結する左右一対のタンク支持ブラケット(42L,42R)と、を備えた鞍乗型車両において、
前記タンク支持ブラケット(42L,42R)に、前記燃料タンク(50)との連結部(69L,69R)よりも車幅方向外側に延出する係止部(70L,70R)が一体に設けられ、該係止部(70L,70R)に前記タンクカバー(53L,53R)が結合されており、
前記タンク支持ブラケット(42L,42R)は、前記車体フレーム部材(41)に対して締結部材(67)によって脱着可能に締結固定される締結固定部(68L,68R)を備え、
前記タンクカバー(53L,53R)の前記タンク支持ブラケット(42L,42R)との結合部(63)よりも上方側の領域は前記燃料タンク(50)に直接結合され、
前記タンク支持ブラケット(42L,42R)は、前記締結固定部(68L,68R)が前記車体フレーム部材(41)に対してゴム弾性体(72)を介して固定されているとともに、前記燃料タンク(50)と前記タンクカバー(53L,53R)に対してゴム弾性体を介さずに直接結合されており、
前記締結固定部(68L,68R)と前記締結部材(67)は、車幅方向外側の側方を前記タンクカバー(53L,53R)によって覆われているとともに、車両前方側を開放されていることを特徴とする鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。 - 前記タンク支持ブラケット(42L,42R)の主要部は薄肉の金属板によって構成されているとともに、前記燃料タンク(50)に対してボルト結合が可能なボルト結合部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。
- 前記タンクカバー(53L,53R)は、車両の側面視で上端部と下端部の間に車体前方側に突出する前方頂部(58)を備えるとともに、前記前方頂部(58)から前記上端部に向けて斜め上方に延出する上部傾斜辺(59a)と、前記前方頂部(58)から前記下端部に向けて斜め下方に傾斜する下部傾斜辺(59b)と、を備え、
前記タンクカバー(53L,53R)の前記タンク支持ブラケット(42L,42R)との結合部(63)は、前記前方頂部(58)と略同一高さに設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。 - 前記タンクカバー(53L,53R)の前記タンク支持ブラケット(42L,42R)との結合部(63)と、前記タンク支持ブラケット(42L,42R)の係止部(70L,70R)とはそれぞれ水平方向に延出して、相互に重ねられて結合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。
- 前記燃料タンク(50)は、車両の側面視にて、その下面が前記エンジン(2)の上部に向けて後下方下がりとなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。
- 前記タンクカバー(53R)が結合される前記係止部(70R)は、前記タンク支持ブラケット(42R)の前記車体フレーム部材(41)に締結固定されるボス部(68R)よりも下方に延びていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の鞍乗型車両のタンクカバー取付構造。
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