JP6208647B2 - 鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、モノコック式のリアフレームの重量の増大を抑えつつ燃料タンクの支持力を効率良く確保可能な鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造を提供することを目的としている。
前記後部燃料タンク(38)は、前記後部燃料タンク(38)の側面部(92D、91D)と底面部(92B、91B)との境界が屈曲する屈曲部(MA、MB)とを有するように成形された樹脂タンクであり、前記後部燃料タンク(38)の上部が前記アッパークロス部(152)に締結固定され、前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)が前記サイドパネル部(151)に締結固定され、前記サイドパネル部(151)は、前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)に沿って屈曲し、車幅方向下方から締結部材(BT6、BT7)によって前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)に締結固定されることを特徴とする。
自動二輪車10は、車体フレーム11の前端部にフロントフォーク12を介して前輪13が支持され、車体フレーム11の下部にスイングアーム14を介して後輪16が支持され、車体フレーム11の上部にシート17が支持されたラリー用の鞍乗り型車両である。
車体フレーム11は、自動二輪車10の骨格となる部分であり、ヘッドパイプ21、左右一対のメインフレーム22、左右一対のセンターフレーム23(ピボットフレームとも称する)、リアフレーム24、及びダウンフレーム26を備える。なお、リアフレーム24を除く車体フレーム11は金属材により形成され、リアフレーム24は樹脂材により形成されている。
左右一対のメインフレーム22は、ヘッドパイプ21から側面視で後方斜め下方に直線状に延びている。左右一対のセンターフレーム23は、各メインフレーム22の後端部から下方に延出し、ピボット軸35を介して、上下に揺動自在にスイングアーム14の前端部を支持する。スイングアーム14とメインフレーム22との間にはリアクッションユニット28が介挿される。各センターフレーム23は、後方に凸となるように略円弧状に湾曲し、最も後方に湾曲する部分から下方寄りの位置にピボット軸35を支持する。スイングアーム14の後端部には車軸36を介して後輪16が支持される。
ダウンフレーム26は、上部を構成するダウンフレーム上部26Aと、下部を構成する左右一対のダウンフレーム下部26Bとからなる。
ダウンフレーム上部26Aは、ヘッドパイプ21からメインフレーム22より急な角度で略下方に延びている。ダウンフレーム下部26Bは、ダウンフレーム上部26Aの下端部から側面視では下方に延長されるように延びるとともに、左右に分岐し、更に湾曲して略水平に後方に延びて各センターフレーム23の下端部に接続される。メインフレーム22とダウンフレーム上部26Aとの間には、前下がりに指向する補強フレーム29が渡され、車体フレーム11前部の剛性を高めている。
フロントフォーク12の上部及びダウンフレーム26の上部は、両側方から左右一対のシュラウド76で覆われる。エンジン41の前部及び下部、前部燃料タンク66の下部前側は、スキッドプレート77で覆われて保護される。
センターフレーム23の下部には、ステップブラケット81を介して運転者用のステップ82及びサイドスタンド83が支持される。
また、図1中、符号85はフロントフォーク12の下部を前方から覆う左右一対のフォークカバーであり、符号86はバーハンドル31のグリップを前方から覆うグリップガードであり、符号87は後輪16を上方から覆うリアフェンダであり、符号88は後輪16の前方に配置されたマッドガードである。
シリンダ部43は、クランクケース42に取り付けられたシリンダブロック46と、シリンダブロック46の上端部に取り付けられたシリンダヘッド47と、シリンダヘッド47の上部開口を塞ぐヘッドカバー48とを備えている。
シリンダブロック46は、その下部がクランクケース42内に挿入され、ピストン(不図示)が上下移動可能に挿入されるシリンダ穴が設けられる。
シリンダヘッド47は、その後面に吸気装置51、前面に排気装置52がそれぞれ接続されている。
吸気装置51は、シリンダヘッド47から後方に延びる吸気管55と、吸気管55の後端部に設けられるスロットルボディ56と、スロットルボディ56の後端部にコネクティングチューブ57を介して接続されたエアクリーナ58とを備えている。
エアクリーナ58は、前部燃料タンク66の後方、左右一対のセンターフレーム23及びリアクッションユニット28の上方、シート17の下方に空くスペースを利用してセンターフレーム23に支持される。エアクリーナ58の前面は前部燃料タンク66の背面に近接し、シリンダヘッド47から順に接続される、吸気管55、スロットルボディ56及びコネクティングチューブ57が略一直線状に後方斜め上方に延びてエアクリーナ58に接続される。
変速機44の出力軸44aにはドライブスプロケット39が取り付けられ、ドライブスプロケット39と、後輪16に一体的に設けられたドリブンスプロケット49とにはチェーン65が掛け渡されて、変速機44から後輪16へ駆動力が伝達される。
図4は後部燃料タンク38の斜視図である。
後部燃料タンク38は、左右に間隔を空けて設けられる側方タンク部91と、各側方タンク部91の前方に配置され、側方タンク部91の前方に接続される前方タンク部92とを備え、後方に開口する上面視でU字状の燃料タンクに形成されている。U字状のタンク形状にすることにより、側方タンク部91を後輪16の側方に配置し、前方タンク部92を後輪16の前方に配置することができ、スイングアーム14の揺動により後輪16が上方に移動した際に、後輪16が側方タンク部91間に進退自在であり、後輪16の移動ストロークを十分に確保することができる。
図4〜図8に示すように、前方タンク部92は、前面部92A、底面部92B、上面部92C、車幅方向外側の側面(側壁)を構成する左右の側面部92D、及び背面部92Eを備えた中空箱状に形成されている。前面部92Aは、車体上下方向に延在するとともに左右の側面部92Dの前縁間を架橋する面に形成されている。
底面部92Bは、緩やかに後上がりに傾斜する傾斜面に形成されている。この底面部92Bには、図8に示すように、後述するフロントクロス部153の下部に締結するための複数(計3個)の被締結部NT2(本構成では雌ねじ)が左右に間隔を空けて設けられている。
上方膨出部92CRの前面92CR1は車体上下方向に平行な面(垂直面)に形成され、上面92CR2は車体後方に略水平に延びる面(水平面)に形成され、左右の側面92CR3は、側方タンク部91の車幅方向外側の側面(後述する外側面)よりも車幅方向内側にて車体前後方向に平行に延びる面に形成されている。上方膨出部92CRの前面92CR1、上面92CR2及び側面92CR3には、リアフレーム24の後述するアッパークロス部152に締結するための複数の被締結部NT3、NT4、NT5(本構成では雌ねじ)がそれぞれ設けられている。
本構成では、図5及び図6に示すように、左右の側面部92Dの下縁は緩やかに車体内側に傾斜して底面部92Bと連結される屈曲面MAに形成されており、車体前面視で、この屈曲面MAは車幅方向内側下方に向けて傾斜する傾斜面となっている。
各屈曲面MAには、リアフレーム24の後述するサイドパネル部151に締結するための複数(図5中、3個)の被締結部NT6(本構成では雌ねじ)が前後に間隔を空けてそれぞれ設けられている。
側方タンク部91の底面部91Bは、前方タンク部92の底面部92Bの後縁に連続するとともに底面部92Bよりも急角度で後上がりに延出する傾斜面に形成されている。この左右の底面部91Bにはテールランプ89がそれぞれ装着される。なお、図7中、符号89BTはテールランプ89を固定するための締結部材(本構成では締結ボルト)である。
この屈曲面MBにも、リアフレーム24のサイドパネル部151に締結するための複数(図5中、3個)の被締結部NT7(本構成では雌ねじ)が設けられている。
このようにして、後部燃料タンク38においては、図5に示すように、車幅方向外側の下縁に沿って連続する屈曲面MA、MBが設けられ、これら屈曲面MA、MBには複数の雌ねじからなる被締結部NT6及びNT7が間隔を空けて設けられている。
側方タンク部91には、図7に示すように、後輪16に駆動力を伝達する動力伝達部材であるチェーン65(図2、図3)と対向する領域に、上方に凹む凹部91Wが形成されている。この凹部91Wは、左側の側方タンク部91の内側面部91Uと底面部91Bとに跨がって前後方向に延びるとともに、この凹部91Wの領域に補強リブが設けられている。これによって、チェーン65との間に十分なクリアランスを確保するとともに、チェーン65と対向する領域を補強することができる。
これらポンプ用開口部96及び燃料ポンプ取付部97を用いて燃料ポンプ111(図9)が装着される。以下、燃料ポンプ111を含む周辺構造を説明する。
図9は後部燃料タンク38を燃料ポンプ111と共に上側から見た図、図10は図9の内部構造を示した図、図11は燃料ポンプ111を周辺構造と共に示した断面図(図2のXI−XI断面に相当)である。なお、図11中、符号LCは車幅方向中心線を示している。
フランジ部111Bには、上方に突出する燃料吐出管111Dが設けられ、この燃料吐出管111Dを介してポンプユニット111Aが送出する燃料が外部に吐出される。この燃料吐出管111Dには、燃料配管112が接続されており、この燃料配管112を介して燃料がエンジン41の燃料供給系に供給される。
これに対し、ポンプ用開口部96を前方タンク部92の上面92Cに設けているので、燃料ポンプ111を取り付けるための平面を容易に確保して燃料ポンプ111を取り付けることができ、側方タンク部91の幅を自由に設定できる。このため、所望のタンク容量、所望の車幅寸法などの条件に基づいて側方タンク部91の幅を設計すれば良く、適切なタンク幅に設定することが可能である。
ここで、図9には符号LUは、側方タンク部91の左右の内側面部91Uを車体前方に延長した線を示している。本構成では、図9から明らかなように、ポンプ用開口部96を、前方タンク部92の左右の側面部92Dから車幅方向内側に離すことで、側方タンク部91の左右の内側面部91Uよりも車幅方向内側に設け、燃料ポンプ111を左右の側面部92Dよりも車幅方向内側に配置している。
この構成によれば、荷重を受けた際に変形し易い側方タンク部91と前方タンク部92との接合部を避けて燃料ポンプ111を配置することができる。これにより、荷重を受けて変形し易い位置に燃料ポンプ111を配置した場合と比べて、簡易なシール構造で、後部燃料タンク38と燃料ポンプ111との間のシール性を確保することができる。
また、上方膨出部92CRの内部は空洞であるため、上方膨出部92CRの分だけ後部燃料タンク38の内部空間を広くすることができ、タンク容量を増やすことができる。
ここで、図7に示すように、上方膨出部92CRの幅WJは、前方タンク部92の前方凸形状に形成された背面部92Eよりも車幅方向外側に拡がり、後輪16の幅WRよりも幅広く形成されている。これにより、広いタンク容量を確保することができるとともに、左右の側方タンク部91間の後輪16から飛散してくる泥等の前方への飛散を遮断することができる。従って、上方膨出部92CRにより、燃料ポンプ111側への泥等の飛散を避けることが可能になる。
この配置によれば、燃料ポンプ111の燃料吸込口を構成するストレーナ111Cを、凹部91W上に配置する場合と比べて低い位置に設定することができる。これにより、燃料ポンプ111で吸えない燃料残量(いわゆる死残量)を少なくすることが可能である。
左右の立壁121、122は、図10に示すように、左右の側方タンク部91の内側面部91Uの前方より前面部92A近傍まで延びる壁に形成されている。これにより、側方タンク部91内の燃料が前方に押し寄せた場合に、その燃料の一部を立壁121、122に沿わせて流すことで、燃料ポンプ111に直接あたる燃料の量を低減することができる。
燃料ポンプ111から遠い側の立壁122を、燃料ポンプ111に近い側の立壁121よりも高くすることにより、燃料ポンプ111から遠い側の側方タンク部91から燃料ポンプ111に向かう燃料の量を十分に低減することができる。
また、燃料ポンプ111から遠い側の立壁122と、燃料ポンプ111との間には、下方に立設する立壁123も設けられているので、後部燃料タンク38内に比較的大量の燃料が存在する場合に、その燃料の左右移動を各立壁122、123によって効率良く抑えることができる。従って、燃料移動に伴う重心の変化を抑えることができる。
左右に振り分けて配置すれば、仮にバッテリー131を燃料ポンプ111の上方に配置した場合と比べて、バッテリー131を低く配置することができる。重量を有するバッテリー131を低く配置できる分、自動二輪車10の低重心化に寄与することになる。
同図11に示すように、上方膨出部92CRはバッテリー131よりも上方に膨出している。このため、後輪16から飛散してくる泥等のバッテリー131への侵入を十分に抑制することが可能である。
図2に示すように、リアフレーム24は、左右のメインフレーム22の後部から斜め上方に延びる第1フレーム支持部22Sと、左右のセンターフレーム23の上下中間部から後方に延びる第2フレーム支持部23Sとに締結部材22BT、23BTでそれぞれ締結されることによって、メインフレーム22及びセンターフレーム23に固定されている。
図4、図12〜図15に示すように、リアフレーム24は、左右に間隔を空けて設けられる左右のサイドパネル部151と、左右のサイドパネル部151の上部間を架橋するアッパークロス部152と、左右のサイドパネル部151の前部間を架橋するフロントクロス部153とを備えている。リアフレーム24は、これらサイドパネル部151、アッパークロス部152及びフロントクロス部153が一体であって、且つ、炭素繊維強化樹脂で形成されており、即ち、カーボンモノコックフレームに形成されている。なお、リアフレーム24は左右対称形状に形成されている。
このサイドパネル部151は、大別すると、メインフレーム22及びセンターフレーム23に固定されるサイドパネル前部151Aと、サイドパネル前部151Aの上部後方に連なりシート17の下縁に沿って後方に延びるサイドパネル後上部151Bと、サイドパネル前部151Aの下部後方に連なり車幅方向外側に膨出するサイドパネル後下部151Cとを一体に備えている。
図4に示すように、サイドパネル前部151Aの前縁は、メインフレーム22及びセンターフレーム23の形状に沿って後方に湾曲し、メインフレーム22及びセンターフレーム23に近接配置される。これにより、サイドパネル前部151Aによって内側に配置される部品(リアクッションユニット28、エアクリーナ58等)を覆い、保護することができる。
より具体的には、同図14及び図15に示すように、サイドパネル後下部151Cは、上下に間隔を空けて車幅方向外側に張り出すとともに後方に延出する上下のパネル部151C1、151C2と、上下のパネル部151C1、151C2の車幅方向外側端部間をつなぐ左右の側パネル部151C3とを一体に備え、車幅方向内側に向けて開口する凹状断面に形成される。
側パネル部151C3が、後部燃料タンク38の左右の側面(側面部92D、外側面部91D)に沿ったパネル形状に形成され、上パネル部151C1が、後部燃料タンク38の左右上面に沿ったパネル形状に形成され、下パネル部151C2が、後部燃料タンク38の左右底面(底面部92B、91B)に沿ったパネル形状に形成される。
これにより、左右のサイドパネル後下部151C間には、後部燃料タンク38が後方から出し入れ自在に嵌まり、後部燃料タンク38の左右及び上下への移動を規制することができる。また、後部燃料タンク38を左右のサイドパネル後下部151Cから後方に引き抜くことで、燃料タンク38の取り外し作業が容易である。
この屈曲面MCには、後部燃料タンク38の屈曲面MA、MBに設けられた被締結部NT6、NT7に連通する孔部が形成されており、これら孔部を介して、図2に示す複数(計6個)の締結部材BT6、BT7(本構成では締結ボルト)BTが被締結部NT6、NT7にそれぞれ締結される。これによって、サイドパネル部151と後部燃料タンク38とが締結固定される。
なお、左側のサイドパネル部151には、図2に示すマフラーステー154が取り付けられ、このマフラーステー154を介してマフラー63が左側のサイドパネル部151に支持されている。
また、下方延出板部152Bは、上方膨出部92CRの前面92CR1に当接し、前面92CR1に設けられた被締結部NT3(図4)に連通する孔部を介して、左右一対の締結部材BT3(本構成では締結ボルト)により被締結部NT3に固定される。これにより、アッパークロス部152と前方タンク部92とが締結固定される。
車体側面視で見ると(図2参照)、バッテリートレー162は、後部燃料タンク38の前側上面部92CFに沿って前方に延びることでエアクリーナ58に向けて前方に延び、エアクリーナ58の後方、且つ、シート17下方に空くスペースを利用してバッテリー131等を支持する。
このフロントクロス部153を設けることによりリアフレーム24の左右のサイドパネル部151の連結強度が向上するとともに、後部燃料タンク38の前方への移動や下方への移動を規制することができる。
なお、フロントクロス下部153Bにはチェーンガード155が取り付けられ、このチェーンガード155は、後部燃料タンク38の背面に形成された上方に凹む凹部91Wの前方に延在するように設けられる。
この構成によれば、剛性が他の部分に比して相対的に高い屈曲面MA、MBを利用してリアフレーム24に締結固定するので、特別な補強部材を必要とせず、後部燃料タンク38とリアフレーム24との連結強度を高めることができる。しかも、屈曲面MA、MBが、後部燃料タンク38の側面部(側面部92D、外側面部91D)と底面部(底面部92B、底面部91B)との境界に設けられているので、後部燃料タンク38の鉛直方向の荷重をリアフレーム24のサイドパネル部151で支えやすくなる。
これらにより、仮にリアフレーム24を、後部燃料タンク38を包み込む形状にした場合と比べて、モノコック式のリアフレーム24の重量の増大を抑えつつ後部燃料タンク38の支持力を効率良く確保することが可能になる。
また、リアフレーム24は、後部燃料タンク38の前方にて左右のサイドパネル部151間に設けられるフロントクロス部153を備え、フロントクロス部153に後部燃料タンク38の前面部92Aが締結固定されるので、後部燃料タンク38の前方への移動を規制することができ、よりしっかりと後部燃料タンク38を支持することができる。
以上説明したように、本実施の形態の後部燃料タンク38は、前方タンク部92における側方タンク部91の車幅方向内側の側壁(内側面部91U)よりも車幅方向内側の位置に、燃料ポンプ111が取り付けられるポンプ用開口部96を備えるので、側方タンク部91にポンプ用開口部96を備える場合と比べて、燃料ポンプ111を取り付けるための平面を容易に確保し易く、且つ、側方タンク部91の幅を拡げずに燃料ポンプ111を取り付けることができる。しかも、荷重を受けた際に変形し易い側方タンク部91と前方タンク部92との接合部を避けて燃料ポンプ111を配置することができるので、簡易なシール構造で、後部燃料タンク38と燃料ポンプ111との間のシール性を確保することができる。
また、燃料ポンプ111は、前方タンク部92の上面92Cに設けられる燃料ポンプ取付部97に取り付けられ、燃料ポンプ取付部97の後方には前方タンク部92の上面92Cから上方に膨出する上方膨出部92CRが形成されるので、燃料ポンプ取付部97周囲の剛性が高く、後部燃料タンク38と燃料ポンプ111との間のシール性をさらに確保し易くなる。
また、上方膨出部92CRの内部は燃料空間となるので、上方膨出部92CRの分、タンク容量を増やすことができる。
しかも、上方膨出部92CRは、後輪16の幅よりも幅広く形成されるので、後輪16から飛散してくる泥等の前方への飛散を抑制することができる。
また、燃料ポンプ111は、後輪16の車幅方向中心線LCよりも左右いずれか一方にオフセットして配置され、バッテリー131は、上面視にて燃料ポンプ取付部97に重ならないよう他方に配置されるので、燃料ポンプ111とバッテリー131とを左右に振り分けて配置でき、仮にバッテリー131を燃料ポンプ111上方に配置した場合と比べ、バッテリー131を低く配置することができ、低重心化に寄与する。
また、後部燃料タンク38の左右いずれか一方の底面部91Bに、後輪16に駆動力を伝達するチェーン65を避ける上方に凹む凹部91Wが設けられ、燃料ポンプ111は、後部燃料タンク38の左右いずれか他方であって、凹部91Wと上面視にて重ならない位置に配置されるので、燃料ポンプ111で吸えない燃料残量(死残量)を少なくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態では、リアフレーム24は、左右のサイドパネル部151と、前記左右のサイドパネル部151の上部間に設けられるアッパークロス部152とを備え、後部燃料タンク38は、後部燃料タンク38の側面部(側面部92D、外側面部91D)と底面部92B、91Bとの境界が屈曲する屈曲面MA、MB(屈曲部)とを有するように成形された樹脂タンクであり、後部燃料タンク38の上部がアッパークロス部152に締結固定され、後部燃料タンク38の屈曲面MA、MBがサイドパネル部151に締結固定されるので、剛性が他の部分に比して相対的に高い屈曲面MA、MBを利用してリアフレーム24に後部燃料タンク38を締結固定でき、特別な補強部材を必要とせず、後部燃料タンク38とリアフレーム24との連結強度を高めることができる。これにより、リアフレーム24を後部燃料タンク38を包み込む形状にした場合と比べて、モノコック式のリアフレーム24の重量の増大を抑えつつ後部燃料タンク38の支持力を効率良く確保することができる。
しかも、図15に示すように、締結部材BT6、BT7を斜め外側下方から締結するので、締結部材BT6、BT7を真下や真横から締結する場合と比べて、サイドパネル部151と後部燃料タンク38をしっかりと固定することができる。また、上方から締結部材BT6、BT7が見えにくいので、外観性も良好にできる。
また、フロントクロス部153は、後部燃料タンク38の前方と下方とを覆う断面L字状の板状に形成され、下方を覆う部位であるフロントクロス下部153Bにて後部燃料タンク38の底面部92Bに締結固定されるので、後部燃料タンク38の下方への移動を規制することができ、よりしっかりと後部燃料タンク38を支持することができる。
屈曲面MA、MBの近傍であっても剛性が他の部分に比して高いので、上記構成によっても、モノコック式のリアフレーム24の重量の増大を抑えつつ後部燃料タンク38の支持力を効率良く確保することができる等の効果を得ることができる。
例えば、上記実施形態では、後部燃料タンク38を上面視でU字状の燃料タンクに形成する場合を説明したが、これに限らず、左右いずれか一方の側方タンク部91を取り去り、上面視でJ字状の燃料タンクに形成しても良い。
また、上記実施形態では、図1に示す自動二輪車10に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、公知の鞍乗型車両に本発明を適用しても良い。なお、鞍乗り型車両は、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)等の三輪車両や四輪車両を含む車両である。
11 車体フレーム
13 前輪
14 スイングアーム
16 後輪
22 メインフレーム
24 リアフレーム
41 エンジン
58 エアクリーナ
65 チェーン
91 側方タンク部
91B 側方タンク部の底面部
91D 外側面部(側壁)
92 前方タンク部
92A 前面部
92B 前方タンク部の底面部
92C 上面
92CF 前側上面部(上面)
92CR 上方膨出部
92D 側面部(側壁)
96 ポンプ用開口部
97 燃料ポンプ取付部
111 燃料ポンプ
131 バッテリー
151 サイドパネル部
152 アッパークロス部
153 フロントクロス部
153B フロントクロス下部
162 バッテリートレー
BT1〜BT7 締結部材
LC 車幅方向中心線
MA、MB 屈曲面(屈曲部)
Claims (3)
- エンジン(41)と、前記エンジン(41)を支持するメインフレーム(22)と、前記メインフレーム(22)の後部に締結支持され、後方に延びるモノコック式のリアフレーム(24)と、前記リアフレーム(24)に支持される後部燃料タンク(38)とを備える鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造において、
前記リアフレーム(24)は、左右のサイドパネル部(151)と、前記左右のサイドパネル部(151)の上部間に設けられるアッパークロス部(152)とを備え、
前記後部燃料タンク(38)は、前記後部燃料タンク(38)の側面部(92D、91D)と底面部(92B、91B)との境界が屈曲する屈曲部(MA、MB)とを有するように成形された樹脂タンクであり、
前記後部燃料タンク(38)の上部が前記アッパークロス部(152)に締結固定され、前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)が前記サイドパネル部(151)に締結固定され、
前記サイドパネル部(151)は、前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)に沿って屈曲し、車幅方向下方から締結部材(BT6、BT7)によって前記後部燃料タンク(38)の前記屈曲部(MA、MB)に締結固定されることを特徴とする鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造。 - 前記リアフレーム(24)は、前記後部燃料タンク(38)の前方にて前記左右のサイドパネル部(151)間に設けられるフロントクロス部(153)を備え、
前記フロントクロス部(153)に前記後部燃料タンク(38)の前面部(92A)が締結固定されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造。 - 前記フロントクロス部(153)は、前記後部燃料タンク(38)の前方と下方とを覆う断面L字状の板状に形成され、前記下方を覆う部位(153B)にて前記後部燃料タンク(38)の底面部(92B)に締結固定されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両の後部燃料タンク支持構造。
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