JP6043296B2 - 有効成分を投与するための経皮治療システム - Google Patents

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Description

本願の目的は、有効成分、好ましくはリバスチグミン、またはその生理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは誘導体を経皮投与するためのシステムであって、数日間にわたる治療目的の使用に適したシステムである。
リバスチグミンは、化学式Iで表されるフェニルカルバマートで、化合物名は(S)−N−エチル−3−[(1−ジメチルアミノ)エチル]−N−メチル−フェニル−カルバマートである。
リバスチグミンは、中枢神経系に作用するコリンエステラーゼ阻害薬であり、アルツハイマー病およびパーキンソン病の認知症の治療に用いられる活性物質である。
リバスチグミンは、遊離塩基として存在することもあれば、酸付加塩、水和物、溶媒和物またはその他の誘導体として存在することもある。別段の記載がない限り、これらの誘導体も、本発明の「リバスチグミン」の定義に包含されるものとする。
リバスチグミンの好ましい投与形態としては、経皮治療システム、すなわち経皮貼付剤を用いた経皮投与が挙げられる。一般に、経皮貼付剤とは、送達する有効成分を含んだ小型の粘着包帯を指す。このような粘着包帯には種々の形状や大きさのものがある。最も単純なタイプは、担体(被覆層)上に有効成分貯蔵部を設けた粘着性の一枚ものである。通常、このようなタイプの有効成分貯蔵部は、薬学的に許容される感圧接着剤またはコンタクト型接着剤の中に有効成分を含む有効成分層として形成されており、皮膚表面に接触すると、経皮拡散により有効成分が患者の体内へと送達される。
より複雑なタイプの貼付剤としては、有効成分貯蔵部を有し、この有効成分層と皮膚との間に配置されるさらなる接着層を備えることができる多層積層体または多層貼付剤が挙げられる。
経皮貼付剤を用いたリバスチグミンの投与形態の1つは、リバスチグミンに関する基本特許である英国特許第2203040号に既に記載されている。この開示における経皮貼付剤は、被覆層および有効成分層を形成する層からなる。この有効成分層には、有効成分であるリバスチグミンに加えて、親水性ポリマー、非膨張性アクリル酸エステルポリマーおよび可塑剤が含まれている。
英国特許第2203040号の公開後、さらなる経皮治療システム(TTS)、特に、有効成分としてリバスチグミンを含むTTSの開発や報告がなされてきた。国際公開第02/03969号には、皮膚透過性を高めるために、有効成分を含むマトリックス層に高分散シリカをさらに添加したTTSが記載されている。
国際公開第2008/021113号および欧州特許第2 016 939号では、種々の有効成分の投与を最大7日間にわたって確実に行うことを目的とした、より複雑な構造の貼付剤が開示されている。この貼付剤には、有効成分を含有する層と接着層との間に、有効成分の送達を制御するメンブレンがさらに設けられている。ただし、この貼付剤の有効成分層には多価アルコールが含まれるため、有効成分層には遊離のヒドロキシル基が存在する。
独国特許第199 18 106号では、酸性のポリアクリル酸系コンタクト型接着剤の吸水性および耐水性を向上させるために、アクリル酸またはメタクリル酸を構成単位とする、規定量のカルボキシル基を含有した自己接着性ポリマーが有効成分層に含有されている。
国際公開第2007/064407(A1)号には、リバスチグミン治療における接着性、忍容性および安全性を改善することを目的としたシリコーンベースの接着層を備えるTTSが開示されている。この公開公報によれば、リザーバー層が酸化防止剤を含有することは特に好ましく(7ページ、第4段落)、そのため実施例の製剤すべてに、抗酸化剤であるビタミンEが含まれている。また、この公開公報で使用されているDuro−tak(登録商標)387−2353は、カルボキシル基を有するポリアクリル酸エステルである。さらに、この公開公報によれば、例えばグリセリン、脂肪酸などの種々の物質を透過促進剤としてリザーバー層にさらに含有させることが示されている(7ページ、第5段落)。大抵の場合、これらの物質には遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基が含まれているため、リザーバー層のポリマーマトリックスには遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基が存在すると言える。この国際公開第2007/064407(A1)号では、リバスチグミンの安定性に関する検討は特に行われていない。具体的には、リザーバー層のポリマーマトリックスを構成するポリマーとして、リバスチグミンの分解を防ぐことができるような特定のポリマーを選択することは教示されていない。
米国特許公開第2008/0044461(A1)号には、ドネペジルを含有するTTS製剤が開示されている(実施例を参照のこと)。リバスチグミンについても同様に記載されている(請求項7)。しかし、ポリマーマトリックスを用いた有効成分層に関する記載はない。むしろ、この開示における有効成分の放出は、メンブレンによって制御されており(いわゆるメンブレン型貼付剤)、有効成分を内包したポリマー骨格によって制御されるもの(いわゆるマトリックス型貼付剤)ではない。さらに、米国特許公開第2008/0044461(A1)号の本質的特徴の1つとして、リザーバー層にゲル化剤および透過促進剤を含有することが示されている(請求項1を参照のこと)。透過促進剤としてアルコールが使用され(段落[0053]を参照のこと)、ゲル化剤としてセルロースポリマーが使用されている(段落[0055]を参照のこと)ことから、この開示におけるゲル化剤と透過促進剤はいずれも、TTSのリザーバー層に存在する遊離のヒドロキシル基を有する化合物であると言える。
米国特許公開第2007/0259028(A1)号には、ドネペジルを含有するTTS製剤が開示されている(実施例を参照のこと)。リバスチグミンについても同様に記載されている(請求項3)。米国特許公開第2007/0259028(A1)号の本質的特徴の1つとして、リザーバー層に例えばグリセリンなどの多価アルコールを含有することが示されている。すなわち、この米国特許公開第2007/0259028(A1)号においては、遊離のヒドロキシル基がリザーバー層のポリマーマトリックスに必ず存在すると言える。
米国特許公開第2004/0086552(A1)号には、非常に長いリストの中から選択可能な有効成分を含むTTS製剤が開示されている(段落[0070]〜[0095]を参照のこと)。マトリックス型貼付剤や「メンブレン型貼付剤」も開示されている(それぞれ段落[0057]および[0058]を参照のこと)。しかし、マトリックス型貼付剤に関して、米国特許公開第2004/0086552(A1)号は、マトリックスを構成するポリマーとして、有効成分を安定化させるような特定のポリマーを選択することは教示していない。
米国特許第6,689,379(B1)号には、特別な接着層を備えるTTS製剤が開示されている。使用可能な有効成分としてリバスチグミンについても言及されている。この開示における有効成分層は、ヒドロキシル基を有する化合物を含有することが好ましい(請求項10を参照のこと)とされている。この米国特許第6,689,379(B1)号では、リザーバー層のポリマーマトリックスを構成するポリマーとして、リバスチグミンの分解を防ぐことができるような特定のポリマーを選択することは教示されていない。
一方、欧州特許第1 047 409号では、TTSを用いたリバスチグミン投与に伴う一般的な問題が報告されている。有効成分であるリバスチグミンは、特に酸素の存在下で分解しやすいことが分かっている。欧州特許第1 047 409号によれば、英国特許第2203040号に開示された経皮吸収組成物では、リバスチグミンを内包するポリマーマトリックスの形成および組成物の気密包装をもってしてもリバスチグミンの分解は起こるとされている。欧州特許第1 047 409号では、リバスチグミンの安定性が低いという問題を、リバスチグミンの医薬組成物に酸化防止剤を加えることにより解決している。
これまで、リバスチグミンを含有する市販の経皮薬物送達システム(TDS)で連続投与できる時間は、24時間に過ぎなかった。本発明の1つの目的は、さらに長い時間にわたって薬剤の放出を制御することである。長時間にわたるリバスチグミンの経皮投与においては、
(1)有効成分リバスチグミンの十分な化学的安定性が保証されること、
(2)TTSの十分な物理的安定性(特に低温流れの観点から)が保証されること、および
(3)TTSが使用期間を通じて十分な接着性を有すること
の3点が満たされなければならない。
本発明のさらなる目的は、数日間にわたる治療目的の使用に適した、リバスチグミンを含有する経皮投与用の治療用組成物を提供することである。
有効成分層のポリマーマトリックスが遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していなければ、経皮貼付剤中のリバスチグミンは十分な安定性を示すことが明らかになった。本発明は、特に、ポリマーマトリックスの構成に特別なポリマーを選択することによって、リバスチグミンの分解を阻止または最小限にすることに基づくものである。
従って、本発明は、リバスチグミンを含有し十分な安定性を示すTTS、およびその製造方法を提供する。
従って、本発明の第1の態様は、数日間の使用に適した、リバスチグミンを投与するための経皮治療システム(TTS)であって、
a)被覆層、
b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む、前記被覆層上に設けられた有効成分層、
c)リバスチグミンの放出を制御する、前記有効成分層上に設けられたメンブレン、
d)コンタクト型接着剤を含む、前記メンブレン上に設けられた接着層、および
e)前記接着層上に設けられた剥離層
を含み、前記有効成分層のポリマーが遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないことを特徴とするTTSである。
さらに本発明は、リバスチグミンを含有するTTSならびにアルツハイマー病およびパーキンソン病の認知症を治療するためのTTSにおける、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーまたはコポリマーの使用に関する。
国際公開第2008/021113号では、適当な接着剤材料としてポリイソブチレン系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤およびシリコーン系接着剤が同等に記載されているが、今回、接着層のコンタクト型接着剤としてポリイソブチレンが他の接着剤よりも適していること、また粘着付与剤としてポリブテンを添加することによりこの接着剤の特性がさらに向上することが明らかとなった。従って、本発明は、有効成分を含有しかつ接着性が向上したTTS、およびその製造方法を提供する。
従って、本発明の第2の態様は、有効成分を経皮投与するためのTTSであって、下記の順序で配置される
a)被覆層、
b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む有効成分層、
c)(1)1種のポリイソブチレンまたは数種のポリイソブチレンの混合物からなるコンタクト型接着剤、および(2)1種のポリブテンまたは数種のポリブテンの混合物からなる接着増強剤を含む接着層、ならびに
d)剥離層
を含むTTSである。
本発明の第3の態様は、リバスチグミンを経皮投与するためのTTSであって、被覆層、リバスチグミンを含有する有効成分層、第2の態様による改善された接着層、および剥離層を含み、前記有効成分層と前記接着層との間に、リバスチグミンの放出を制御するメンブレンが設けられた、少なくとも2日(例えば2、3日)間のリバスチグミンの投与に適したTTSである。従って、本発明の第3の態様は、有効成分を経皮投与するためのTTSであって、下記の順序で配置される
a)被覆層、
b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む有効成分層、
c)リバスチグミンの放出を制御するメンブレン、
d)(1)1種のポリイソブチレンまたは数種のポリイソブチレンの混合物からなるコンタクト型接着剤、および(2)1種のポリブテンまたは数種のポリブテンの混合物からなる接着増強剤を含む接着層、ならびに
e)剥離層
を含むTTSである。
本発明の第4の態様は、リバスチグミンを経皮投与するためのTTSであって、被覆層、リバスチグミンを含有する有効成分層、第2の態様による改善された接着層、および剥離層を含み、前記有効成分層が遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも含まないことを特徴とするTTSである。従って、本発明の第4の態様は、有効成分を経皮投与するためのTTSであって、下記の順序で配置される
a)被覆層、
b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む有効成分層、
c)(1)1種のポリイソブチレンまたは数種のポリイソブチレンの混合物からなるコンタクト型接着剤、および(2)1種のポリブテンまたは数種のポリブテンの混合物からなる接着増強剤を含む接着層、ならびに
d)剥離層
を含み、前記有効成分層のポリマーが遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないことを特徴とするTTSである。
本発明の第5の態様は、リバスチグミンを経皮投与するためのTTSであって、被覆層、リバスチグミンを含有する有効成分層、本発明による改善された接着層、および剥離層を含み、少なくとも前記有効成分層に、好ましくはTTS全体に、酸化防止剤が含まれていないことを特徴とするTTSの提供である。従って、本発明の第5の態様は、有効成分を経皮投与するためのTTSであって、下記の順序で配置される
a)被覆層、
b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む有効成分層、
c)(1)1種のポリイソブチレンまたは数種のポリイソブチレンの混合物からなるコンタクト型接着剤、および(2)1種のポリブテンまたは数種のポリブテンの混合物からなる接着増強剤を含む接着層、ならびに
d)剥離層
を含み、少なくとも前記有効成分層に、好ましくはTTS全体に、酸化防止剤が含まれていないことを特徴とするTTSである。
上記の本発明の種々の態様は、それぞれ任意に組み合わせることが可能である。本発明における有効成分とは、リバスチグミンまたはその生理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは誘導体である。
図1〜9の説明:
以下、パラメーター「n」は、平均した結果を得るために繰り返し行った測定の回数を示す。
メンブレンを有するリバスチグミン含有TTSの断面模式図(縮尺は正確ではない)である。 25℃、相対湿度60%、および40℃、相対湿度75%の状態でそれぞれ9週間保存した後の有効成分層の低温流れの最大値を示したグラフである(n=2)。 実施例にて作製した接着層の接着性を示したグラフである(n=3)。 Exelon(登録商標)におけるリバスチグミンのin vitro透過プロファイルである(n=6)。 メンブレンを有する2層積層体およびメンブレン不含の2層積層体におけるリバスチグミンのin vitro透過プロファイルである(n=4)。 ポリアクリル酸エステル系接着剤を用いた接着層を有する2層積層体におけるリバスチグミンのin vitro透過プロファイルである(n=4)。 異なるメンブレンと接着層とを有する2層積層体におけるリバスチグミンのin vitro透過プロファイルを、Exelon(登録商標)と比較したものである(n≧4)。 異なるメンブレンを有する2層積層体におけるリバスチグミンのin vitro透過プロファイルである(n≧4)。 異なるメンブレンを有する2層積層体におけるリバスチグミンのin vitro放出プロファイルである(n≧4)。
定義
本発明における「酸化防止剤」とは、酸化過程に対して遅延、抑制、阻害および/または阻止作用を有する、薬学的に許容される化合物または組成物である。酸化防止剤として、具体的には、トコフェロールおよびそのエステル、ゴマ油のセサモール、安息香の安息香酸コニフェリル、ノルジヒドログアイアレチン酸樹脂およびノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、没食子酸エステル(例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸アミル、没食子酸ブチル、没食子酸ラウリル)、ブチルヒドロキシアニソール(BHT、ブチル−p−クレゾールとも言う);アスコルビン酸ならびにその塩およびエステル(例えば、アスコルビン酸パルミテート)、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)ならびにその塩およびエステル、モノチオグリセロール、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、プロピオン酸等の物質が挙げられる。
「トコフェロール」には、トコフェロールのエステルも包含される。公知のトコフェロールとしては、α−トコフェロールが挙げられる。「α−トコフェロール」には、α−トコフェロールのエステル(例えば、酢酸α−トコフェロール)も包含される。
「ポリマーマトリックス」とは、ポリマーまたはポリマー混合物を含む、3次元構造を有する固体または半固体の組成物を指す。ポリマーマトリックスはポリマー骨格とも呼ばれるが、これはポリマーやポリマー混合物が通常、3次元の骨格構造を形成していることによる。ポリマーマトリックスは、ポリマー以外の物質、例えば有効成分などを内包していてもよい。有効成分は、ポリマーマトリックス内で均一に分散していることが好ましい。
以下、本発明のTTSの特徴について、より詳細に説明するが、特に断りのない限り、各特徴に関する説明は、先に述べた本発明のすべての態様に基づくものである。
また、先に述べた本発明の態様を任意に組み合わせて、さらに好ましい実施形態とすることも可能である。従って、例えば、好ましいTTSとして、有効成分層にトコフェロールが含まれず、前記有効成分層のポリマーマトリックスのポリマーがヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないTTSが挙げられる。さらに、この実施形態において、有効成分層と接着層との間にリバスチグミンの放出を制御するメンブレンが存在することが好ましく、このようなTTSは、少なくとも2日間、少なくとも3日間または少なくとも4日間の使用、例えば、2〜7日間、3〜6日間または4〜5日間の使用に適している。
本発明のTTSにおいて、有効成分であるリバスチグミンは十分な安定性を示す。「十分な安定性」とは、温度40℃、相対湿度75%の状態で1ヶ月間保存した後の製剤中の有効成分の不純物の総量が、所望の有効成分含有量に対して1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下であることを意味する。製剤中の有効成分の不純物とは、有効成分であるリバスチグミンの分解物、およびリバスチグミンと共に製剤に充填された混入物(例えば、リバスチグミンの調製時に生じた微量の中間産物)である。
有効成分の安定性および不純物の量は、実施例4に記載の方法と同様にして測定することができる。温度40℃、相対湿度75%の状態で3ヶ月間保存した後の分解物/混入物の総量は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満である。また、温度40℃、相対湿度75%の状態で6ヶ月間保存した後の分解物/混入物の総量は、1重量%未満であることが好ましい。また、温度25℃、相対湿度60%の状態で1ヶ月間保存した後の不純物の総量は、0.25重量%未満であることが好ましい。また、温度25℃、相対湿度60%の状態で3ヶ月間および6ヶ月間保存した後の不純物の総量は、0.5重量%未満であることがさらに好ましい。「重量%」で表される不純物の量的情報は、別段の定めがない限りは常に製剤中の所望の有効成分含有量を基準とする。
本発明のTTSの好ましい使用期間は少なくとも2日間または少なくとも3日間である。ある特別な実施形態においては、本発明のTTSは、2〜4日間、2〜5日間、2〜6日間、2〜7日間または3〜8日間の使用に適している。
有効成分層には、トコフェロールが含まれていないことが好ましく、TTS全体に含まれていないことがより好ましい。さらに別の実施形態において、有効成分層には、トコフェロールもブチルヒドロキシアニソール(BHT、ブチルp−クレゾールとも言う)も含まれておらず、TTS全体に含まれていないことが好ましい。さらに別の実施形態において、有効成分層には、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンのいずれも含まれておらず、TTS全体に含まれていないことが好ましい。ある特定の実施形態において、有効成分層には、トコフェロールおよびそのエステル、ゴマ油のセサモール、安息香の安息香酸コニフェリル、ノルジヒドログアイアレチン酸樹脂およびノルジヒドログアイアレチン酸(NDGA)、没食子酸エステル(例えば、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸アミル、没食子酸ブチル、没食子酸ラウリル)、ブチルヒドロキシアニソール(BHT、ブチル−p−クレゾールとも言う);アスコルビン酸およびその塩、アスコルビン酸パルミテート、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)およびその塩、モノチオグリセロール、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエンならびにプロピオン酸より選択される酸化防止剤のいずれも含まれておらず、TTS全体に含まれていないことが好ましい。ある特別な実施形態においては、有効成分層にはいかなる酸化防止剤も含まれておらず、TTS全体に含まれていないことがより好ましい。
しかし、TTSの作用機構に悪影響を及ぼさなければ、本発明のTTSが酸化防止剤を含有することは十分に可能である。ただし、本発明の一態様におけるリバスチグミンの安定化という目的には酸化防止剤は不要であることに留意されたい。別の目的であれば、本発明のTTSにおいて酸化防止剤を使用することは可能である。従って、本発明のTTSが酸化防止剤(例えばα−トコフェロールなどのトコフェロールおよびそのエステル、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなど)を含有することは、好ましくはないが可能である。
本発明のTTSにおける酸化防止剤の総量は、(被覆層と剥離層を除く)製剤全体の重量に対して、通常1重量%未満または0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満である。
TTSの構造
本発明のTTSは多層構造である。被覆層は、使用時に皮膚とは反対側の、TTSの最も外側に位置する。被覆層の、使用時にヒトの皮膚側に向けられる面には、有効成分層が設けられている。さらに、有効成分層の、使用時にヒトの皮膚側に向けられる面には、接着層が設けられている。未使用時は、接着層の、ヒトの皮膚側に向けられる面に剥離層が存在するが、これはTTSの使用直前に剥離される。また、有効成分層と接着層との間に、有効成分の放出を制御するメンブレンが設けられていることが好ましい。
本発明のTTSの面積は特に制限されず、通常約5〜40cmであるが、これより大型であっても小型であってもよい。
一実施形態において、本発明のTTSの被覆層の面積は、少なくとも有効成分層の面積または接着層の面積に等しい。しかし、被覆層が有効成分層を完全に覆い、さらに有効成分層の端部を越えて広がるように、被覆層の面積が有効成分層の面積より大きくてもよい。ただし、このような実施形態においては、使用時にTTSの面全体を確実に皮膚に接着させるために、接着層の面積を被覆層の面積と等しくするか、あるいは、被覆層の皮膚側に向けられる面にさらなる接着層を設ける必要がある。別の実施形態において、被覆層の面積は有効成分層の面積および/または接着層の面積よりやや小さい。
有効成分層
本発明のTTSの有効成分層は、有効成分、好ましくはリバスチグミンがポリマーマトリックスに内包された構造をしている。第1の態様におけるポリマーマトリックスは、遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基を有するポリマーやコポリマーを実質的に含まない。ポリマーマトリックスは、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に有していないことが好ましく、遊離のアミノ基、遊離のヒドロキシル基、遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に有していないことがより好ましい。また、ポリマーマトリックスは、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に有していないポリマーおよび/またはコポリマーで形成されていることが好ましく、遊離のアミノ基、遊離のヒドロキシル基、遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーおよび/またはコポリマーで形成されていることがより好ましい。
ポリマーマトリックスを構成する、遊離の官能基を有していない適切なポリマーまたはコポリマーとしては、特定のポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレンおよびスチレン−ブタジエンコポリマーが挙げられ、これらは単独で存在していてもよく、混合物として含まれていてもよい。
遊離の官能基を実質的に有していない適切なポリアクリル酸エステルとしては、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを構成単位とするポリマー(ホモポリマー、コポリマーおよびブロックコポリマー)を使用することができる。本発明における適切なポリアクリル酸エステルの調製に適したモノマーとしては、具体的には、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのモノマーは、C−C12の直鎖状、分岐鎖状または環状の脂肪族基を有し、その他の遊離の官能基を有していない、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルである。ポリアクリル酸エステルの調製には、これらのモノマーの少なくとも1種と共に酢酸ビニルもコモノマーとして使用することができる。
ポリマーマトリックスは、遊離の官能基を実質的に有していない1種以上のポリアクリル酸エステルからなることが好ましい。ポリマーマトリックスは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合により調製されるポリアクリル酸エステルからなることがより好ましい。ある特定の実施形態において、ポリマーマトリックスは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの重合により調製されるポリアクリル酸エステルからなり、前記アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルは、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピルおよびこれらの混合物からなる群より選択される。別の実施形態において、ポリマーマトリックスは、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルと酢酸ビニルとの共重合により調製されるポリアクリル酸エステルから実質的になり、前記アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルは、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピルおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
アクリル酸2−エチルヘキシルおよび酢酸ビニルを出発原料のモノマーとして調製されるコポリマーが特に好ましく、例として、アクリル酸2−エチルヘキシルおよび酢酸ビニルを出発原料のモノマーとしてそれぞれ50%ずつ含むように調製されたアクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー(Duro−Tak(登録商標)87−4098)が挙げられる。また、アクリル酸エステルポリマーDuro−Tak(登録商標)87−9088(この化合物も遊離の官能基を有していないアクリル酸エステルポリマーである)も好ましく、該製品はヘンケル社から入手可能である。ある特別な実施形態においては、アクリル酸エステルポリマーDuro−Tak(登録商標)87−900AまたはDuro−Tak(登録商標)87−9301をポリマーマトリックスに使用する。
ポリマーマトリックスの調製において、その原料となるモノマー混合物中の遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基を有するモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、および官能基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、具体的にはヒドロキシル基を有するエステル)の割合は、合計で1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.2重量%未満である。ある特定の実施形態において、これらのモノマーの割合は、合計で0.1重量%未満である。ある特定の実施形態においては、原料となるモノマー混合物中に遊離のヒドロキシル基も遊離のカルボキシル基も一切含まれていない。
有効成分を内包するポリマーマトリックスとして、ヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも実質的に有していないポリアクリル酸エステルを含有するTTSは、既に国際公開第03/017988(A1)号に記載されているが、これはリバスチグミンを有効成分とするものではない。この国際公開第03/017988号に記載されている課題は、TTSにおける有効成分の利用率が低いという問題を解決することである。この開示内容によれば、この課題は、ヒドロキシル基とカルボキシル基を理想的にまったく有していないポリマーマトリックスによって解決されているが、この明細書には、リバスチグミンを有効成分とする記載はなく、リバスチグミンの安定性を向上させる効果に関する記載もない。
本発明の一態様において、有効成分層は、遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基を有するポリマーやコポリマーを実質的に含まない。有効成分層は、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に含まないことが好ましく、遊離のアミノ基、遊離のヒドロキシル基、遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に含まないことがより好ましい。ある特定の実施形態においては、接着層も、遊離のヒドロキシル基または遊離のカルボキシル基を有するポリマーやコポリマーを実質的に含まない。接着層は、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に含まないことが好ましく、遊離のアミノ基、遊離のヒドロキシル基、遊離のカルボキシル基をいずれも実質的に含まないことがより好ましい。
有効成分層は、その全重量に対して、30〜50重量%のリバスチグミンおよび50〜70重量%のポリマーマトリックスを含有することが好ましい。本発明のTTSの特に好ましい実施形態においては、有効成分層は、約40重量%のリバスチグミンおよび約60重量%のポリマーマトリックスを含有する。有効成分層は、有効成分とポリマーマトリックス以外の構成成分を含まないことが好ましいが、先行技術で公知の添加剤をさらに含むことも可能である。従って、有効成分層に、例えば可塑剤またはゲル化剤がさらに含まれていてもよい。
リバスチグミンの絶対量は、様々な要因によって異なり、具体的には、使用するTTSの大きさ、単位面積当たりの重量、および有効成分層中の有効成分濃度によって異なる。乾燥した有効成分層マトリックスの単位面積当たりの重量は、好ましくは20〜100g/mの範囲、より好ましくは25〜80g/mの範囲、さらに好ましくは30〜70g/mの範囲である。有効成分層の厚さ(乾燥厚さ)としては、20〜400μm、30〜200μm、または40〜100μmの範囲が挙げられる。さらに、上記の数値以外の厚さであってもよい。
中間メンブレン
本発明の一態様において有効成分層と接着層との間に設けられた、有効成分の放出を制御するメンブレン(「制御メンブレン」とも言う)は、例えばポリプロピレンなどのポリオレフィンからなる(例えば、Celgard(登録商標)2400)ことが好ましく、ポリエチレンからなる(例えば、CoTranTM 9719またはCoTranTM 9720)ことが特に好ましく、ポリエチレンおよび4.5〜19%の酢酸ビニルからなる(例えば、CoTranTM 9707、CoTranTM 9702、CoTranTM 9728)ことも好ましい。さらに、メンブレンの孔隙率は最大90%とすることができる(例えば、Solupor(登録商標)10P05A、Celgard(登録商標)2400)。
多孔質メンブレン、粘着性メンブレンのいずれを使用してもよい。
多孔質メンブレンの孔隙率は最大90%程度とすることができる。好ましい多孔質メンブレンとしては、Solupor(登録商標)10P05A(ポリエチレン、孔隙率:83%、厚さ:60μm)およびCelgard(登録商標)2400(ポリプロピレン、孔隙率:41%、厚さ:25μm)が挙げられる。
好ましい粘着性メンブレンとしては、CoTranTM 9719(ポリエチレン、厚さ:43.2μm)、CoTranTM 9720(ポリエチレン、厚さ:76.2μm)、CoTranTM 9707(ポリエチレンおよび4.5%の酢酸ビニル、厚さ:50.8μm)、CoTranTM 9702(ポリエチレンおよび9.0%の酢酸ビニル、厚さ:50.8μm)、およびCoTranTM 9728(ポリエチレンおよび19.0%の酢酸ビニル、厚さ:50.8μm)が挙げられる。
通常、メンブレンの厚さは0.01〜0.15mmであり、好ましくは、0.025〜0.080mmである。
本発明において、厚さ約40〜80μmの、実質的にポリエチレンからなる粘着性メンブレン(例えば、CoTranTM 9720)が好ましく用いられる。本発明において、実質的にポリエチレンおよび約19.0%の酢酸ビニルからなる粘着性メンブレン(例えば、CoTranTM 9728)も好ましく用いられる。本発明において、厚さ約40〜50μmの、実質的にポリエチレンからなる粘着性メンブレン(例えば、CoTranTM 9719)が最も好ましく用いられる。
このメンブレンは、数日間にわたる有効成分の送達制御を確実に行うための、本発明の製剤に必須の構成要素である。薬物送達の制御は、特にメンブレン中の酢酸ビニルの割合によって可能になる。
接着層
本発明のTTSの接着層は、コンタクト型接着剤としてポリイソブチレンを含有することが好ましく、接着性を向上させるために必要に応じてさらにポリブテンを含有することが好ましい。ポリイソブチレンは硬化しない自己接着性のコンタクト型接着剤であるため、長期間にわたってその接着性が維持される。好ましくは、平均分子量の異なるポリイソブチレンを混合して使用する。様々な平均分子量のポリイソブチレンが入手可能である。本願において、ポリイソブチレンに関する「平均分子量」は、いわゆる粘度平均分子量(Mv)を意味する。粘度平均分子量(Mv)は、20℃におけるポリイソブチレンのイソオクタン溶液の溶液粘度から算出される。使用する測定機器はウベローデ(Ubbelohde)型粘度計である。粘度平均分子量(Mv)は下記式より計算される。
粘度平均分子量(Mv)の算出に必要な固有粘度のシュタウディンガー指数Joは、測定した比粘度ηSPおよび上記溶液の濃度からSchulz−Blaschke式により求められる。
比粘度はηSP=t/t−1で表され、式中、tおよびtは、それぞれ上記溶液の流動時間および上記溶媒の流動時間(それぞれHagenbach−Couette式による補正値)であり、cはg/cmの単位で表される上記溶液の濃度である。必要であれば、補足的にドイツ工業規格(DIN)53728を用いてもよい。
ポリイソブチレンの適切な平均分子量(Mv)は、例えば約40,000〜4,000,000g/molの範囲である。ポリイソブチレン混合物としては、(1)平均分子量(Mv)が約40,000g/molであるポリイソブチレン(例えば、Oppanol(登録商標)B10(BASF社より入手可能))と、(2)平均分子量(Mv)が約1,000,000g/molを超えるポリイソブチレン(例えば、平均分子量(Mv)が約1,110,000g/molのOppanol(登録商標)B100(BASF社より入手可能))との混合物が挙げられる。接着層として所望の性質を得るために分子量の異なる化合物を適切な割合で混合することは、当業者が有する知識の範囲内である。
接着層におけるポリイソブチレンの分子量分布は、第1の極大値が30,000〜100,000g/molに、第2の極大値が300,000〜500,000g/molにあってもよい。より好ましくは、第1の極大値が35,000〜50,000g/molに、第2の極大値が350,000〜450,000g/molにそれぞれ独立して存在し、最も好ましくは、第1の極大値が約40,000g/molに、第2の極大値が約400,000g/molにそれぞれ独立して存在する。
コンタクト型接着剤を構成するポリイソブチレン混合物は、平均分子量(Mv)が30,000〜100,000g/molである第1のポリイソブチレンポリマーと、平均分子量(Mv)が300,000〜500,000g/molである第2のポリイソブチレンポリマーとを混合することにより得られる。第1のポリイソブチレンポリマーの平均分子量(Mv)は、好ましくは35,000〜50,000g/molであり、最も好ましくは約40,000g/molである。第2のポリイソブチレンポリマーの平均分子量(Mv)は、好ましくは350,000〜450,000g/molであり、最も好ましくは約400,000g/molである。
最も好ましいポリイソブチレン混合物は、(1)平均分子量(Mv)が約40,000g/molであるポリイソブチレン(例えば、Oppanol(登録商標)B10 SFN(BASF社より入手可能))と、(2)平均分子量(Mv)が約400,000g/molであるポリイソブチレン(例えば、Oppanol(登録商標)B50 SF(BASF社より入手可能))との混合物である。
上記の混合物中の2種のポリイソブチレンポリマーの割合は様々な値をとり得る。上記の混合物中の第1のポリイソブチレンポリマーと第2のポリイソブチレンポリマーの重量比は、10:1〜1:10であってもよく、好ましくは2:1〜1:2であり、最も好ましくは3:2〜2:3である。特に好ましい複数の実施形態において、コンタクト型接着剤を構成するポリイソブチレンポリマーは、40〜60重量%のOppanol(登録商標)B10(例えば、Oppanol(登録商標)B10 SFN)、および60〜40重量%のOppanol(登録商標)B50 SFからなる。
本発明による改善された接着層はポリブテンをさらに含有することが好ましい。ポリブテンの適切な平均分子量(Mn)は、例えば約500〜10,000g/molの範囲である。また、ポリブテンは、平均分子量の異なるポリブテンの混合物として存在することが好ましい。好ましいポリブテン混合物としては、(1)平均分子量(Mn)が約900g/molであるポリブテン(例えば、平均分子量(Mn)が910g/molであるIndopol(登録商標) H−100(Ineos社より入手可能))と、(2)平均分子量(Mn)が約6,000g/molであるポリブテン(例えば、Indopol(登録商標) H−18000(Ineos社より入手可能))との混合物が挙げられる。
また、ポリブテン混合物として、(1)平均分子量(Mn)が約900g/molであるポリブテン(例えば、平均分子量(Mn)が910g/molであるIndopol(登録商標) H−100(Ineos社より入手可能))と、(2)平均分子量(Mn)が約2,500g/molであるポリブテン(例えば、Indopol(登録商標) H−1900(Ineos社より入手可能))との混合物も好ましい。
特に好ましいポリブテン混合物は、(1)平均分子量(Mn)が約2,500g/molであるポリブテン(例えば、Indopol(登録商標) H−1900(Ineos社より入手可能))と、(2)平均分子量(Mn)が約6,000g/molであるポリブテン(例えば、Indopol(登録商標) H−18000)との混合物である。接着性および有効成分の放出速度の観点から、TTSの接着層として所望の性質を得るために、分子量の異なる化合物を適切な割合で混合することは、当業者が有する知識の範囲内である。
接着層中の2種のポリブテンの割合は様々な値をとり得る。接着層中の第1のポリブテンと第2のポリブテンの重量比は、2:1〜1:2であることが好ましく、3:2〜2:3であることが最も好ましい。特に好ましい実施形態において、接着層中のポリブテンポリマーは、平均分子量(Mn)が約2,500g/molであるポリブテン40重量%、および平均分子量(Mn)が6,000g/molであるポリブテン約60重量%からなる。
ポリブテンに関する「平均分子量(Mn)」は、数平均モル質量を意味し、米国標準規格ASTM D3536−91またはASTM D5296−05に従って求めることができる。
本発明による改善された接着層の構成成分であるポリイソブチレンとポリブテンとの重量比は、4:1〜1:2であることが好ましく、3:1〜1:2であることがより好ましい。例えば、ポリイソブチレンとポリブテンを約1:1の重量比で含有することができる。別の実施形態においては、ポリイソブチレンとポリブテンは約7:3の重量比で含まれる。
接着層におけるポリイソブチレンの含有量は、接着層の全重量に対して、約10〜90重量%であることが好ましく、約25〜75重量%であることがより好ましく、約40〜70重量%であることが最も好ましく、例えば約50重量%または約70重量%である。この割合は、接着層中のポリイソブチレンまたはポリイソブチレン混合物の総量を表す。また、接着層におけるポリブテンの含有量は、接着層の全重量に対して、約5〜80重量%であることが好ましく、約15〜60重量%であることがより好ましく、約25〜50重量%であることが最も好ましく、例えば約50重量%または約30重量%である。この割合は、接着層中のポリブテンまたはポリブテン混合物の総量を表す。
好ましい実施形態において、接着層は、アクリル酸エステルポリマーとアクリル酸エステルコポリマーのいずれも含まない。
接着層の厚さ(乾燥厚さ)は特に制限されず、約10〜300μmの範囲、または70〜140μmの範囲とすることができる。接着層の絶対量としては、約10〜50g/mまたは約20〜40g/mの範囲が挙げられるが、これらに限定されない。
接着層は、接着増強剤(例えば、ポリブテン)を含むコンタクト型接着剤(例えば、ポリイソブチレン)またはコンタクト型接着剤の混合物を通常60〜100重量%含有する。接着層は、可塑剤およびゲル化剤をさらに含有することができる。
適切な可塑剤は先行技術により公知であり、好ましくは鉱油、中性油、パラフィン、アマニ油、パルミチン酸オクチル、スクワレン、スクワラン、シリコーン油、ミリスチン酸イソブチル、イソステアリルアルコールおよび/またはオレイルアルコールであり、より好ましくは鉱油、中性油および/またはパラフィンである。鉱油は無色透明の炭化水素であり、約300℃以上で沸騰し、固体の炭化水素が除去された、原油の蒸留画分を冷却することによって回収される。適切な分画を行うことによって、体温とほぼ同じ温度、すなわち約35〜37℃では液体であり、低温、具体的には20℃未満の温度では固体である鉱油を回収できる。融点が約30〜35℃の鉱油を選択することが好ましく、欧州薬局方(EP)6および/または米国薬局方(USP)32−NF27の規格に適合するパラフィンおよび鉱油が特に好ましい。
接着層における可塑剤の含有量は、接着層の全重量に対して、通常0〜40重量%の範囲、1〜10重量%の範囲、または2〜5重量%の範囲であり、例えば2重量%である。
ゲル化剤は、表面に高濃度の極性基を有する粒子構造を持つゲル化剤であることが好ましい。このような高濃度の極性基により、上記の油類に対して強力な界面張力が生じ、この界面張力が粒子同士の凝集により部分的に打ち消されることによってゲル骨格が形成される。よって、上記の油類とゲル骨格形成剤の表面との間の極性差が大きいほど、ゲル骨格はより強固なものとなる。本発明のゲル化剤としては、高分散シリカまたは発熱性ケイ酸を用いることが好ましい。粒子の大きさは、ナノ領域であることが好ましく、例えば400〜1500nmの範囲、特に500〜1000nmの範囲である。発熱性ケイ酸は、例えばCAB−O−SIL(登録商標)という名称で市販されており、鉱油の増粘剤として知られている。適切なゲル化剤として、その他にベントナイトが挙げられる。また、ゲル化剤として公知のカルボマーナトリウムを使用することも可能である。
ゲル化剤の使用量は、接着層の重量に対して、好ましくは0〜4.0重量%、より好ましくは0.1〜2.0重量%、さらに好ましくは0.5〜2.0重量%である。
本発明のTTSの特に好ましい実施形態において、接着層は、その全重量に対して、分子量の異なる種々のポリイソブチレンと分子量の異なる種々のポリブテンとの混合物を99.5重量%含有し、かつゲル化剤、好ましくは高分散シリカまたは発熱性ケイ酸を0.5重量%含有する。
被覆層
本発明のTTSの被覆層は封止材としての機能を有することが好ましく、すなわち、被覆層がTTSの最も外側に位置していることが好ましい。好ましい実施形態において、このような被覆層は、ポリオレフィン、特にポリエチレンからなっていてもよく、ポリエステルやポリウレタンからなっていてもよい。異なるポリマーを含有する複数の層が積層されているものも好ましく使用できる。適切な素材としては、ポリオレフィン、セロハン、セルロースアセテート、エチルセルロース、可塑性を付与する酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−メタクリル酸エステルコポリマー、必要に応じてコーティングされていてもよい紙、織布、アルミフィルムおよび高分子−金属複合素材などが挙げられる。ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムが特に好ましい。裏打ち層の厚さは、例えば、先行技術において一般的とされている10〜100μmであってよく、約40μm(呼び厚さ)であってもよい。着色PE、着色PETPおよび着色アルミニウムを用いた複合フィルムが特に好ましい。
剥離層
本発明において、前記接着層上に剥離層が設けられており、剥離層は「剥離ライナー」とも呼ばれる。この剥離層は、高分子素材で作製されているものが好ましく、該高分子素材は必要に応じて金属化されていてもよい。好ましく用いられる素材としては、例えば、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、必要に応じてこのようなポリマーにより表面コーティングが施された紙などが挙げられる。剥離層としては、片面または両面にフッ素ポリマーコーティングまたはシリコーン加工が施された剥離層が好ましい。例えば、片面シリコーン加工が施された市販品Primeliner 100μm(Loparex社、オランダ)およびPerlasic LF 75μm(Perlen Converting社、スイス)、または片面フッ素ポリマーコーティングが施された製品ScotchPak 1022(3M Drug Delivery社)など、フッ素ポリマーコーティングまたはシリコーン加工が施された一般的なポリエステルフィルムが特に好ましい。
さらなる態様およびさらなる実施形態
本発明のTTSの特に好ましい実施形態は、有効成分を経皮投与するためのTTSであって、
a)被覆層、
b)前記被覆層上に設けられた有効成分層であって、その全重量に対して、30〜50重量%の有効成分および50〜70重量%のポリマーマトリックスを含有し、前記ポリマーマトリックスが、ヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないアクリル酸エステルポリマー、またはヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないアクリル酸エステルコポリマーから実質的になり、前記有効成分がリバスチグミンまたはその生理学的に許容される塩、水和物、溶媒和物もしくは誘導体である有効成分層、
c)リバスチグミンの放出を制御する、前記有効成分層上に設けられたメンブレン、
d)前記メンブレン上に設けられた接着層であって、0〜1重量%のシリカ、および平均分子量(Mv)が約40,000g/molであるポリイソブチレンポリマーと、平均分子量(Mv)が約400,000g/molであるポリイソブチレンポリマーと、平均分子量(Mn)が約2,500g/molであるポリブテンポリマーと、平均分子量(Mn)が約6,000g/molであるポリブテンポリマーとの混合物99〜100重量%からなる接着層、ならびに
e)前記接着層上に設けられた剥離層
を含むTTSである。
特にこの実施形態では、前記被覆層と前記剥離層を除く製剤全体における酸化防止剤の含有量は、0.1重量%未満、好ましくは0.01%未満である。
特に好ましい実施形態において、本発明のTTSは、ビタミンEおよびそのエステル、ブチルヒドロキシトルエンならびにブチルヒドロキシアニソールからなる群より選択される酸化防止剤をいずれも含まない。
本発明のTTSは、実質的に線形性を示す透過プロファイルを有することが好ましい。この場合、透過量は、少なくとも24時間、好ましくは少なくとも48時間、より好ましくは少なくとも72時間、最も好ましくは少なくとも96時間、少なくとも120時間、少なくとも144時間、または少なくとも168時間にわたって実質的に線形性を示す。透過量は、当業者にはよく知られた透過試験、例えば、「OECD GUIDELINE FOR THE TESTING OF CHEMICALS」の試験ガイドライン428 経皮吸収:in vitro法(2004年4月13日採用、1−8)に記載のin vitro透過試験により求めることができる。「実質的に線形性を示す」という用語は、単位時間および単位面積当たりの透過量として表される透過速度が長時間にわたって有意な変化を示さず、透過プロファイルが実質的に線形となることを意味する。しかし、特に使用開始段階では、透過速度が一定の速度に達していない、いわゆる潜伏時間が生じる場合があり、また使用期間の終了間近になると、TTS中の有効成分の枯渇により、透過速度が低下する可能性もある。
ある特定の実施形態において、in vivo平均放出速度は、0.1〜2mg/日/cmであり、0.2〜1mg/日/cmであることが好ましく、少なくとも0.3mg/日/cmであることが最も好ましい。
本発明のさらに別の態様は、本発明のTTSを製造する方法であって、
i)被覆層と、該被覆層の皮膚側となる面に設けられる有効成分層とを含む有効成分層含有部を作製する工程;
ii)剥離層と、該剥離層上に設けられる接着層とを含み、さらに必要に応じて、有効成分の放出を制御するメンブレンを含む接着層含有部を作製する工程;および
iii)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、i)およびii)で得られた構成部分を積層する工程
を含む方法を提供することである。
上記の方法の一実施形態は、
i)有効成分層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、被覆層の皮膚側となる面に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させ、次いで、必要であれば有効成分の放出を制御するメンブレンで裏打ちする工程;
ii)接着層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、剥離層に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させる工程;および
iii)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、i)およびii)で得られた構成部分を積層する工程
を含む。
上記の方法の別の実施形態は、
i)有効成分層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、シリコーン加工が施された剥離フィルム(「中間ライナー」)に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させ、次いで、被覆層で裏打ちする工程;
ii)シリコーン加工が施された剥離フィルム(「中間ライナー」)を取り除き、有効成分の放出を制御するメンブレンで裏打ちする工程;
iii)接着層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、剥離層に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させる工程;および
iv)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、ii)およびiii)で得られた構成部分を積層する工程
を含む。
好ましいTTSの調製においては、まず、有効成分層の構成成分、すなわち、有効成分(好ましくはリバスチグミン)とマトリックス形成ポリマーもしくはコポリマーまたはその混合物とを、(該ポリマーが溶解した状態でない場合は)ヘプタンまたは酢酸エチルなどの有機溶媒に分散または溶解する。マトリックス形成ポリマーもしくはコポリマーまたはその混合物は、通常、溶媒に溶解した状態で入手可能である。本発明においては、ポリマーおよび/またはコポリマーとして、本発明のTTSにおいて先に定義した、ヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないポリマーおよび/またはコポリマーを使用する。上述したポリマーマトリックスの好ましい実施形態は、本発明の方法にも同様に適用される。有効成分層の調製においては、揮発性の有機溶剤が好ましく用いられる。次いで、調製した混合物を被覆層上に均一な層状に塗布し乾燥させる。有効成分の放出を制御するメンブレンを設ける場合は、有効成分層を乾燥させた後、有効成分層の、被覆層とは反対側の面に、「中間ライナー」の代わりに設ければよい。有効成分層の構成成分を保護するために、フィルム、好ましくはシリコーン加工が施されたポリエステルフィルム(「中間ライナー」と言うこともある)を使用することが好ましく、このようなフィルムは、有効成分層の被覆層とは反対側の面に設けられる。また、代替の方法または同等な方法として、調製した混合物をまず「中間ライナー」に塗布して乾燥させた後、得られた有効成分層の「中間ライナー」とは反対側の面に被覆層を設けることも可能である。この「中間ライナー」は、有効成分層含有部と接着層含有部とを合わせる直前に取り除く。また、「中間ライナー」を取り除いて制御メンブレンで裏打ちした後、有効成分層含有部と接着層とを合わせてもよい。
別工程で接着層を作製する。まず、コンタクト型接着剤を構成する(有機溶媒に溶解している)ポリマー混合物、好ましくは平均分子量の異なるポリイソブチレンの混合物を、必要に応じて接着増強剤、ゲル化剤および/または可塑剤と共にヘプタンなどの有機溶媒に分散させる。好ましくは、コンタクト型接着剤と接着増強剤および/または可塑剤とを有機溶媒に溶解した後、この溶液にゲル化剤を分散させる。次いで、この調製した混合物を剥離フィルムに塗布して乾燥させる。上述した接着層の好ましい実施形態は、本発明の方法にも同様に適用される。
次いで、上記2つの製造工程で得られた構成部分を積層するが、好ましくは接着層と有効成分層が直接接するように積層する。メンブレンを使用する実施形態においては、接着層とメンブレンが接するように積層する。完成した積層フィルムは、その後、所望の大きさに打ち抜いて包装する。
各製造工程において、構成成分の溶解または分散に要した有機溶媒は、生成物の温度を上げることによって除去する。この有機溶媒の除去は必要であれば減圧しながら行ってもよい。
本発明のさらに別の態様は、少なくとも2日間または少なくとも3日間(例えば2、3、4、5、6または7日間)の使用に適したリバスチグミン含有TTSにおける、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基をいずれも有していないポリマーまたはコポリマーの使用である。好ましくは、先に定義したポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレンおよびスチレン−ブタジエンコポリマーの使用である。本発明において、これらのポリマーまたはコポリマーは、有効成分のリバスチグミンを内包する、有効成分層のポリマーマトリックスを構成する。
本発明のさらに別の態様は、TTSにおけるリバスチグミンの安定化またはTTSにおけるリバスチグミンの分解抑制を目的とした、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーまたはコポリマーの使用である。本発明のさらに別の態様は、TTSにおけるリバスチグミンの安定化またはTTSにおけるリバスチグミンの分解抑制を目的とした、遊離のアミノ基、遊離のヒドロキシル基、遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーまたはコポリマーの使用である。
本発明の使用においては、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基をいずれも有していないポリアクリル酸エステルおよびポリアクリル酸エステルコポリマー、例えば、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマーなどを用いることが好ましい。
本発明の使用の特に好ましい実施形態においては、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマーDuro−Tak(登録商標)87−4098が用いられる。
本発明の使用の特に好ましい別の実施形態においては、アクリル酸エステルポリマーDuro−Tak(登録商標)87−9088が用いられる。
本発明のさらに別の態様は、少なくとも2日間または少なくとも3日間の使用に適したTTSの接着層におけるコンタクト型接着剤/接着増強剤の排他的な構成成分としてのポリイソブチレンおよびポリブテンの使用である。先に述べた複数の本発明の態様において、ポリイソブチレンおよびポリブテンは、それぞれ平均分子量の異なるポリイソブチレンまたはポリブテンの混合物であることが好ましい。
本発明のさらなる態様は、本発明のTTSをアルツハイマー病およびパーキンソン病の認知症を治療するために提供することである。本発明のTTSは、少なくとも2日間または少なくとも3日間使用できるように製造されることが好ましく、さらに長い時間使用することも可能である。
以下に、本発明のTTSの好ましい実施形態について、試験例を通して説明する。また、それらTTSの特性を安定性の面から判定する。
下記の製剤例で使用する成分について、以下により詳細に説明する。
<実施例1>
種々の有効成分層調合物の作製
リバスチグミン塩基を含有する、3種類の有効成分層調合物を作製した。これら3種類の調合物の成分を表2にまとめた。
図2に、上記のリザーバー調合物の物理的安定性(低温流れ)に関する結果を示す。9週間の保存後、DT(登録商標)87−9088を使用した調合物(010RIDTDS)は、低温流れが最小であった。従って、DT(登録商標)87−9088は有効成分層のマトリックス形成剤として特に適している。
<実施例2>
6種類の接着層調合物を作製した。これら6種類の調合物の成分を表3にまとめた。
図3に、作製した種々の接着層の接着性について測定した結果を示す。図3の結果から、Oppanol(登録商標)接着剤にIndopol(登録商標)を添加した場合、パラフィンを用いた場合と比べて接着性が有意に向上することが分かる。また、使用するポリマーの分子量に関して特定の選択を行うことで、接着性をさらに増強することができる上に、接着性を制御することもできる。
<実施例3>
最終的に、6種類のバッチのTTS製剤を作製した。これら6種類のバッチのTTS製剤の組成を表4にまとめた。
製造方法
1.有効成分層の作製
まず、上記のアクリル酸エステル接着剤を準備し、これにリバスチグミンおよび酢酸エチルを計り取って加えた。次いで、これらの成分を十分量の酢酸エチル中、撹拌器を用いて混合し、延びのよい均一な塗工液を作製した。
この均一な塗工液をシリコーン加工フィルム(「中間ライナー」)に薄膜状に塗布した。このマトリックス薄膜を60℃で20分、次いで80℃で5分乾燥した後、PETからなる被覆層で裏打ちした。
次いで、「中間ライナー」を取り除き、制御メンブレンで裏打ちした。
2.接着層の作製および積層体全体の作製
上記のポリイソブチレン接着剤をそれぞれ計り取り、これらを混合した。次いで、撹拌しながら、ヘプタンおよびCab−O−Sil(登録商標)を加え、さらに撹拌を続けて均一な塗工液を得た。
この塗工液を剥離層(「剥離ライナー」)に薄膜状に塗布し、60℃で20分、次いで80℃で5分加熱しながら、溶媒を除去した。乾燥後、得られた積層体を先に作製した有効成分層で裏打ちした。完成した積層体を打ち抜いて適当な大きさの貼付剤を得た。
3.In vitroマウス皮膚透過試験
表4に記載のバッチおよび市販品Exelon(登録商標)TDS(1日用製剤)を用いて、in vitroマウス皮膚透過試験を行った。
この試験の結果を図4〜7に示す。図4は、市販品Exelon(登録商標)TDSにおけるリバスチグミンの透過プロファイルを示す。図4のトレース曲線から明らかなように、24時間後には既にリバスチグミンの送達速度が有意に減少していることが分かる。従って、この経皮治療システムでは、24時間を超えて使用した場合、有効成分の連続的かつ均一な送達は保証されないことが分かる。
図5より、中間メンブレンを使用した場合のみ、数日間にわたる有効成分の連続的かつ均一な送達が可能となることが分かる。
接着層のマトリックス形成剤としてポリアクリル酸エステルを含有する、バッチ009/010RIDTDS Celgard(登録商標)2400および009/010RIDTDS Solupor(登録商標)10P05Aで示される製剤は、驚くべきことに、Exelon(登録商標)TDSと同様の動態を示した(図4および図6を参照のこと)。上記2種の製剤は中間メンブレンを有しているにもかかわらず、数日間の使用期間において有効成分の送達を十分に制御できないことから、これらの製剤に使用されているポリアクリル酸エステル類のポリマーおよびコポリマーは接着層のマトリックス形成剤として適していないことが分かる。
図5および図7より、有効成分の放出を制御するメンブレンと、ポリイソブチレン/ポリブテン混合物を使用した接着層との組み合わせにより、数日間にわたる薬物送達の制御が可能となることが分かる。
図8は、「C008RIDTDS」および「070/071RIDTDS CoTran 9720」で示される2つの製剤では、7日間にわたって一定の線形性の透過プロファイルが得られることを示している。従って、これらの製剤は、5日間、6日間および7日間使用可能な貼付剤として特に適していると言える。「C008RIDTDS」で示される製剤は臨床バッチに由来しており、実施例4に記載の製剤I(060/062RIDTDS_Cotran9719)と同様の組成を有する。
4.In vitro放出
in vitro放出量は、欧州薬局方(EP)5.0<2.9.4>に記載の「ディスクアセンブリー法」により測定した。
図9より、「C008RIDTDS」および「070/071RIDTDS CoTran 9720」で示される製剤は、少なくとも7日間にわたって有効成分を均一に放出することが分かる。
<実施例4>
安定性試験
上述の方法に従って、さらに2つの製剤を作製した。
打ち抜いたTTSをアルミニウム複合材フィルム製のバッグに密封し、温度25℃、相対湿度60%、または温度40℃、相対湿度75%の状態でそれぞれ少なくとも1ヶ月間保存した。次いで、リバスチグミンの分解により生じた不純物の含量をHPLCおよび紫外吸光光度法により測定した。
本発明のTTSは数ヶ月間にわたって優れた安定性を示した。有効成分層には酸化防止剤が含まれていないにもかかわらず、保存後に確認された不純物/分解物の含量が極めて低かったことから、不純物/分解物の発生抑制は、ヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないポリマーマトリックスの使用によって達成されたと言える。
結果を下記の表6にまとめた。

Claims (23)

  1. 有効成分を経皮投与するための経皮治療システムであって、下記の順序で配置される
    a)被覆層、
    b)有効成分を内包するポリマーマトリックスを含む有効成分層、
    c)前記有効成分の放出を制御するメンブレン、
    d)コンタクト型接着剤を含む接着層、および
    e)剥離層
    を含み、前記有効成分がリバスチグミンまたはその生理学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物であり、前記ポリマーマトリックスを構成するポリマーが遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有しておらず、且つポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーおよび/またはコポリマーを少なくとも1種含むことを特徴とする経皮治療システム。
  2. 前記有効成分層が遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも含まないことを特徴とする、請求項1に記載の経皮治療システム。
  3. トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンからなる群より選択される酸化防止剤がいずれも含まれていないことを特徴とする、請求項1または2に記載の経皮治療システム。
  4. いかなる酸化防止剤も含まれていないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  5. 前記コンタクト型接着剤が1種のポリイソブチレンまたは数種のポリイソブチレンの混合物を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  6. 前記接着層が1種のポリブテンまたは数種のポリブテンの混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の経皮治療システム。
  7. 少なくとも2日間の使用に適した、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  8. 前記コンタクト型接着剤が、平均分子量の異なる少なくとも2種のポリイソブチレンと、平均分子量の異なる少なくとも2種のポリブテンとからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  9. 前記有効成分の透過プロファイルが少なくとも48時間にわたって実質的に線形性を示すことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  10. 前記有効成分の放出を制御するメンブレンが実質的にポリエチレン単独またはポリエチレンおよび酢酸ビニルからなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  11. 前記接着層が、平均分子量の異なる少なくとも2種のポリイソブチレンと、平均分子量の異なる少なくとも2種のポリブテンとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の経皮治療システム。
  12. 第1のポリイソブチレンポリマーの平均分子量(Mv)が約40,000g/molであり、第2のポリイソブチレンポリマーの平均分子量(Mv)が約400,000g/molである、請求項11に記載の経皮治療システム。
  13. 第1のポリブテンポリマーの平均分子量(Mn)が700〜2,800g/molの範囲であり、第2のポリブテンポリマーの平均分子量(Mn)が2,200〜6,500g/molの範囲である、請求項11または12に記載の経皮治療システム。
  14. 請求項1記載の経皮治療システムであって、
    a)被覆層、
    b)前記被覆層上に設けられた有効成分層であって、その全重量に対して、30〜50重量%の有効成分および50〜70重量%のポリマーマトリックスを含有し、前記ポリマーマトリックスが、ヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないアクリル酸エステルポリマー、またはヒドロキシル基とカルボキシル基をいずれも有していないアクリル酸エステルコポリマーから実質的になり、前記有効成分がリバスチグミンまたはその生理学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物である有効成分層、
    c)リバスチグミンの放出を制御する、前記有効成分層上に設けられたメンブレン、
    d)前記メンブレン上に設けられた接着層であって、0〜1重量%のシリカ、および平均分子量(Mv)が約40,000g/molであるポリイソブチレンポリマーと、平均分子量(Mv)が約400,000g/molであるポリイソブチレンポリマーと、平均分子量(Mn)が約2,500g/molであるポリブテンポリマーと、平均分子量(Mn)が約6,000g/molであるポリブテンポリマーとの混合物99〜100重量%からなる接着層、ならびに
    e)前記接着層上に設けられた剥離層
    を含む経皮治療システム。
  15. 少なくとも3日間の使用に適した、請求項1に記載の経皮治療システム。
  16. in vitro皮膚透過試験で測定される前記有効成分の皮膚透過量が少なくとも72時間にわたって実質的に線形性を示すことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  17. 請求項1〜16のいずれか1項に記載の経皮治療システム(TTS)を製造する方法であって、
    i)被覆層と、該被覆層の皮膚側となる面に設けられる有効成分層とを含む有効成分層含有部を作製する工程;
    ii)剥離層と、該剥離層上に設けられる接着層とを含み、さらに必要に応じて、有効成分の放出を制御するメンブレンを含む接着層含有部を作製する工程;および
    iii)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、i)およびii)で得られた構成部分を積層する工程
    を含む方法。
  18. i)有効成分層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、被覆層の皮膚側となる面に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させ、次いで、必要であれば有効成分の放出を制御するメンブレンで裏打ちする工程;
    ii)接着層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の
    状態にして、剥離層に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させる工程;および
    iii)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、i)およびii)で得られた構成部分を積層する工程
    または
    i)有効成分層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、シリコーン加工またはフッ素ポリマーコーティングが施された剥離フィルム(「中間ライナー」)に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させ、次いで、被覆層で裏打ちする工程;
    ii)シリコーン加工が施された剥離フィルム(「中間ライナー」)を取り除き、有効成分の放出を制御するメンブレンで裏打ちする工程;
    iii)接着層を構成する組成物を、必要であれば適切な媒質を用いて溶液または分散液の状態にして、剥離層に塗布して薄膜を形成させ、必要であれば乾燥させる工程;およびiv)完成したTTSの横断面において前記被覆層および前記剥離層がそれぞれ最も外側に位置する層となるように、ii)およびiii)で得られた構成部分を積層する工程を含む、請求項17に記載の方法。
  19. アルツハイマー病およびパーキンソン病の認知症を治療するために使用される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
  20. 少なくとも72時間にわたる投与に使用される、請求項19に記載の経皮治療システム。
  21. 請求項1記載の経皮治療システムにおけるリバスチグミンの安定化またはリバスチグミンの分解抑制のための、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択される、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーまたはコポリマーの使用。
  22. リバスチグミンまたはその塩もしくは溶媒和物を、(1)ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーおよび/またはコポリマーを少なくとも1種含み、且つ、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーマトリックスに内包する、または(2)ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーおよび/またはコポリマーを少なくとも1種含み、且つ、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも含まない有効成分層に導入することを特徴とする、請求項1記載の経皮治療システムにおけるリバスチグミンを安定化する方法。
  23. リバスチグミンまたはその塩もしくは溶媒和物を、(1)ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーおよび/またはコポリマーを少なくとも1種含み、且つ、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも有していないポリマーマトリックスに内包する、または(2)ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステル−酢酸ビニルコポリマー、ポリイソブチレン、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーおよび/またはコポリマーを少なくとも1種含み、且つ、遊離のヒドロキシル基と遊離のカルボキシル基をいずれも含まない有効成分層に導入することを特徴とする、請求項1記載の経皮治療システムにおけるリバスチグミンの分解を抑制する方法。
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