JP6041761B2 - トランス−ジアミノシクロヘキサンの製造方法 - Google Patents

トランス−ジアミノシクロヘキサンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジアミノシクロヘキサン(1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)のシス体を異性化することにより、トランス体を製造する方法に関する。
ジアミノシクロヘキサン(1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)は、p−フェニレンジアミンの水素化などにより得られる化合物であり、種々の用途に用いられている。特に、ジアミノシクロヘキサンの中でも、トランス体(トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンなど)は、異性体であるシス体に比べて融点が高いなどの特性を有し、樹脂原料(例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどのジアミン成分)などとして、好適に使用されている。
そして、このようなトランス体を得る方法として、これまでに、いくつかの方法が知られている。例えば、米国特許第3657345号公報(特許文献1)の実施例には、1,4−ジアミノシクロヘキサンの異性体混合物(シス/トランス=70%/30%)を、5%ルテニウムアルミナ触媒およびナトリウムメトキシドの存在下、200℃、水素ゲージ圧4500ポンド/平方インチの条件下で、反応させたことが記載されている。
また、特開2008−74754号公報(特許文献2)には、p−フェニレンジアミンを水素化することによって1,4−ジアミノシクロヘキサンの異性体混合物を生成する水素化反応工程を含み、上記水素化反応工程では、水素化反応の反応系にアルカリ土類金属酸化物が添加されることによって、上記反応系に含まれる水分が除去されるとともに、上記アルカリ土類金属の水酸化物が上記反応系において助触媒として作用するトランス−1,4−ジアミノシクロヘキサンの製造方法が開示されている。
この文献の実施例1では、ルテニウム/アルミナ触媒の存在下、p−ニトロアニリンを120℃、4MPaの水素圧下で水素化して得られた反応混合物に、酸化カルシウムを添加した後、さらに、145℃、8MPaの水素圧下で2時間反応させたことが記載されている。
しかし、これらの文献では、シス体の異性化には、さらなる水素化が必要であるため、異性化反応を高圧の水素ガス中で行う必要がある。
米国特許第3657345号公報(実施例) 特開2008−74754号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、高い水素圧を要することなく、ジアミノシクロヘキサンのシス体をトランス体に異性化できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、シンプルな反応系で、シス(cis)−ジアミノシクロヘキサンを異性化できる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高い安全性で、シス−ジアミノシクロヘキサンを異性化できる方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、副生物の生成が少なく、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサンを効率よく異性化できる方法を提供することにある。
前記の通り、従来、ジアミノシクロヘキサン(又はシクロヘキサンジアミン)のシス体(シス−ジアミノシクロヘキサン)を異性化し、トランス体(トランス−ジアミノシクロヘキサン)を得るには、シス体と水素との反応(水素化反応)を要するものと考えられており、そのため、技術的取り扱いが難しい上に安全性の点からも懸念される高圧の水素ガス中で、シス体を保持する必要があった。
このような中、本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、シス体の異性化には必ずしも水素化を要しないのではないかと考え、種々の異性化反応系を検討したところ、非常に意外なことに、全く異なるメカニズムで異性化反応が進行するためか、複雑な反応系によらずとも、単に従来の反応系における水素ガスに代えて、不活性ガスを用いるだけのシンプルな系で、異性化反応が進行すること、さらには、このような反応系では、副反応が高いレベルで抑制されるためか、副生物の生成が少なく、異性化反応を効率よく進行できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法は、ジアミノシクロヘキサンのシス体[シス(cis)−ジアミノシクロヘキサン]を異性化してジアミノシクロヘキサンのトランス体[トランス(trans)−ジアミノシクロヘキサン]を得る工程であって、不活性ガス中で、シス体を加熱(加温)および加圧処理する異性化工程を経て、トランス体を製造する方法である。このような方法において、ジアミノシクロヘキサンは、特に、1,4−ジアミノシクロヘキサンであってもよい。
異性化工程において、原料としてシス体のみを用いてもよく、代表的には、シス体およびトランス体を含む異性体混合物を加温および加圧処理し、トランス体の割合を増大させてもよい。
異性化工程は、通常、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、金属触媒(例えば、遷移金属触媒)などが挙げられ、特に、貴金属触媒(例えば、ルテニウム触媒などの白金族金属触媒)を好適に用いてもよい。
また、異性化工程は、溶媒(例えば、エーテル類など)の存在下で行ってもよい。
異性化工程において、不活性ガスは、特に、窒素ガスであってもよい。また、温度(異性化処理温度、反応温度、加熱処理温度)は、100℃以上であってもよい。さらに、異性化工程において、不活性ガスの圧力は、5MPa以上であってもよい。代表的には、温度(加熱処理温度)150〜250℃、不活性ガスの圧力7〜20MPaの条件下で、加熱および加圧処理してもよい。
異性化工程は、実質的に活性ガスの非存在下で行ってもよい。例えば、異性化工程において、水素ガスの圧力は、0.1MPa以下であってもよい。
本発明の方法では、従来、シス−ジアミノシクロヘキサンの異性化に必須であると考えられていた高い水素圧を要することなく、シス−ジアミノシクロヘキサンをトランス体に異性化できる。特に、本発明の方法では、高い技術的精度が要求される高い水素圧を要することなく、不活性ガスを用いることができるため、シンプルな反応系で、シス−ジアミノシクロヘキサンを異性化できる。また、本発明の方法では、高圧の水素を要しないため、高い安全性でシス−ジアミノシクロヘキサンを異性化できる。さらに、本発明の方法では、上記のように高い水素圧を要しないにもかかわらず、効率よくシス−ジアミノシクロヘキサンを異性化できる。例えば、本発明の方法によれば、副生物の生成(又は不純物)が少なく、高いレベルで副反応を抑制(又は防止)できる。
このように、本発明の方法は、シス−ジアミノシクロヘキサンを異性化する方法として、非常に有用性が高い。
本発明の方法は、ジアミノシクロヘキサンのシス体(シス−ジアミノシクロヘキサン)を異性化してジアミノシクロヘキサンのトランス体(トランス−ジアミノシクロヘキサン)を得る工程であって、不活性ガス中で、シス体を加熱および加圧処理する異性化工程(加熱加圧工程)を経て、トランス体を製造する。
[異性化工程]
(原料基質)
ジアミノシクロヘキサンとしては、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサンが挙げられる。ジアミノシクロヘキサンは、特に、1,4−ジアミノシクロヘキサンであってもよい。
異性化工程では、シス体をトランス体に異性化する。なお、異性化工程では、少なくともシス体からトランス体への異性化反応が生じればよい。そのため、異性化工程に供するシス体は、シス体のみ(すなわち、シス体100%のジアミノシクロヘキサン)であってもよく、シス体とトランス体との混合物(異性体混合物)であってもよい。
なお、このような異性体混合物を用いる場合、シス体とトランス体との割合は、特に限定されないが、例えば、前者/後者=99/1〜20/80(例えば、99/1〜30/70)程度の範囲から選択でき、98/2〜40/60(例えば、97/3〜45/55)、好ましくは95/5〜50/50(例えば、93/7〜55/45)、さらに好ましくは90/10〜60/40(例えば、85/15〜65/35)程度であってもよい。通常、シス体とトランス体との割合は、例えば、前者/後者=99/1〜50/50(例えば、97/3〜55/45)、好ましくは95/5〜60/40(例えば、93/7〜65/35)程度であってもよい。
なお、上記割合は、モル比又は重量比であってもよく、各種クロマトグラフィー(ガスクロマトグラフィーなど)における面積比であってもよい。なお、ジアミノシクロヘキサンにおいて、クロマトグラフィーにおける面積比は、ほぼモル比又は重量比を反映している。
また、異性化工程では、異性化前のジアミノシクロヘキサンにおけるトランス体の割合よりも、異性化後のトランス体の割合を大きく(上昇又は増大)できればよく、必ずしも、すべてのシス体をトランス体に異性化する必要はない。
代表的な異性化工程では、シス体およびトランス体を含む異性体混合物を加温および加圧処理し、トランス体の割合を増大させる場合が多い。
なお、シス体や異性体混合物は、市販品を用いてもよく、慣用の方法(p−フェニレンジアミンやp−ニトロアニリンの水素化など)により合成したものを用いてもよい。
(触媒)
異性化工程(加熱加圧処理工程)は、通常、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、少なくとも金属触媒を用いることができる。
金属触媒(又は金属成分又は金属触媒成分又は触媒成分として金属を含む触媒)としては、本発明の異性化反応系において、触媒作用を有する限り、特に限定されないが、このような金属触媒を構成する金属としては、例えば、周期表第8族金属(例えば、ルテニウム、オスミウム)、周期表第9族金属(例えば、コバルト、ロジウム、イリジウムなど)、周期表第10族金属(例えば、ニッケル、パラジウム、白金など)などの遷移金属が挙げられる。特に、金属は、コバルト、ニッケルや貴金属であってもよく、中でも、白金族金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金など)であってもよい。
金属(金属成分)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
金属触媒において、金属の価数は、特に限定されず、0価であってもよく、金属の種類に応じて、1価、2価、3価、4価、5価、6価などのいずれであってもよい。
金属触媒に含まれる金属(又は金属成分)は、金属単体の形態であってもよく、金属化合物の形態であってもよい。また、金属化合物は、適当な配位子と配位化合物(又は錯体)を形成していてもよい。
特に、金属触媒に含まれる金属は、担体に担持されていてもよい。担持することで、高圧力下における凝集や圧壊を効率よく抑制又は防止でき、高い触媒活性(触媒作用)を発揮しやすい。担体としては、金属酸化物(例えば、チタニア、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、シリカなど)、炭素材(活性炭など)などが挙げられる。担体は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
金属(金属成分)が担体に担持されている場合、金属の割合は、金属および担体の総量100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部(例えば、0.05〜80重量部)、好ましくは0.1〜60重量部(例えば、0.3〜50重量部)、さらに好ましくは0.5〜30重量部(例えば、1〜20重量部)程度であってもよく、通常0.1〜15重量部(例えば、1〜10重量部)程度であってもよい。
金属触媒(金属成分、担持されている場合には金属成分換算)の割合は、シクロヘキサンジアミン(シス体とトランス体との混合物である場合には、その総量)100重量部に対して、例えば、0.001〜20重量部(例えば、0.005〜15重量部)、好ましくは0.01〜10重量部(例えば、0.03〜8重量部)、さらに好ましくは0.05〜5重量部(例えば、0.1〜3重量部)程度であってもよく、通常0.01〜3重量部(例えば、0.05〜2重量部)程度であってもよい。
(塩基)
異性化工程は、塩基の存在下で行ってもよい。塩基(塩基性化合物)としては、例えば、無機塩基[例えば、金属水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物など)、金属酸化物(又は塩基性酸化物、例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウムなどのアルカリ金属酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムなどのアルカリ土類金属酸化物)、金属炭酸塩(例えば、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩)、金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸水素塩)、アンモニアなど]、有機塩基[例えば、カルボン酸金属塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどのカルボン酸アルカリ又はアルカリ土類金属塩)、アルコキシド(又は金属アルコキシド、例えば、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムt−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド(例えば、C1−10アルコキシド、好ましくはC1−6アルコキシド、さらに好ましくはC1−4アルコキシド)、有機金属化合物(例えば、ブチルリチウム、フェニルリチウム、イソプロピルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミドなど)、アミン類など]などが挙げられる。
塩基は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらのうち、好ましい塩基としては、金属水酸化物、金属酸化物、金属アルコキシドなどが挙げられ、特に金属アルコキシドが好ましい。
なお、塩基は、通常、触媒(金属触媒)の助触媒として使用してもよい。
塩基の割合は、シクロヘキサンジアミン(シス体とトランス体との混合物である場合には、その総量)100重量部に対して、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部程度であってもよく、通常0.1〜5重量部(例えば、0.2〜3重量部)程度であってもよい。
また、塩基の割合は、金属触媒1重量部に対して、0.01〜100重量部、好ましくは0.03〜50重量部(例えば、0.05〜30重量部)、さらに好ましくは0.1〜20重量部(例えば、0.2〜10重量部)程度であってもよく、通常0.1〜5重量部程度であってもよい。
さらに、塩基の割合は、金属触媒(金属成分、担持されている場合には金属成分換算)1モルに対して、0.5モル当量以上(例えば、0.7〜30モル当量)程度の範囲から選択でき、例えば、1モル当量以上(例えば、1.2〜25モル当量)、好ましくは1.5モル当量以上(例えば、1.8〜20モル当量)、さらに好ましくは2モル当量以上(例えば、2.3〜15モル当量)、特に2.5モル当量以上(例えば、2.8〜10モル当量)程度であってもよく、通常1〜15モル当量(例えば、1.5〜10モル当量、好ましくは2〜7モル当量)程度であってもよい。
(溶媒)
反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、炭化水素類(例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類)、エーテル類[例えば、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジブチルエーテルなどのジアルキルエーテル類;1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールジアルキルエーテル類((ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類など);メトキシエタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールモノアルキルエーテル類((ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類((ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類など);テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソランなどの環状エーテル類など)など]、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルカノン類;シクロヘキサノンなどのシクロアルカノン類)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アミド類(例えば、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルホルムアミド;N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN−モノ又はジC1−4アルキルアセトアミド;N−メチルピロリドンなど)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシドなど)などの有機溶媒が挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
溶媒の割合は、例えば、ジアミノシクロヘキサン(シス体とトランス体との混合物である場合には、その総量)1重量部に対して、例えば、0.05〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.3〜10重量部(例えば、0.5〜5重量部)程度であってもよい。
(反応条件)
本発明は、異性化工程を不活性ガス中で行うことに特徴がある。不活性ガスとしては、ジアミノシクロヘキサンに対して不活性であれば特に限定されないが、例えば、窒素ガス、希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴンなど)、二酸化炭素ガスなどが挙げられる。不活性ガスは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。これらの不活性ガスの中でも、窒素ガスを好適に用いることができる。
なお、本発明では、不活性ガス中で行うことができれば、実害のない範囲で、反応雰囲気は、活性ガス(酸素ガス、水素ガスなど)を含んでいてもよいが、通常、実質的に活性ガスを含まない反応雰囲気下で異性化工程を行う場合が多い。特に、本発明では、水素ガスを含んでいる場合でも、実質的に異性化反応に寄与しない範囲(反応器中に残存する程度のごく微量)である場合が多い。
活性ガスを含んでいる場合でも、活性ガスの割合は、反応雰囲気(不活性ガスおよび活性ガスの総量)全体に対して、10モル%以下(例えば、0又は検出限界〜5モル%)、好ましくは1モル%以下(例えば、0.5モル%以下)、さらに好ましくは0.1モル%以下(例えば、0.01モル%以下)程度であってもよい。特に、反応雰囲気全体に対する水素ガスの割合は、例えば、1モル%以下(例えば、0又は検出限界〜0.5モル%)、好ましくは0.1モル%以下、さらに好ましくは0.01モル%以下であってもよい。
異性化工程は、加熱(加温)および加圧条件下で行う(すなわち、加熱および加圧下で、ジアミノシクロヘキサンを保持することで行う)。
温度(加熱処理温度、反応温度、異性化反応温度)は、例えば、50℃以上(例えば、70〜500℃)、好ましくは80℃以上(例えば、100〜400℃)、さらに好ましくは120℃以上(例えば、130〜350℃)、特に150℃以上(例えば、170〜300℃)程度であってもよく、通常100℃以上(例えば、120〜300℃、好ましくは150〜250℃、さらに好ましくは170〜230℃程度)であってもよい。
不活性ガスの圧力(加圧処理圧力、反応圧力、異性化反応圧力)は、例えば、2MPa以上(例えば、2.5〜50MPa)、好ましくは3MPa以上(例えば、4〜40MPa)、さらに好ましくは5MPa以上(例えば、5〜35MPa)、特に6MPa以上(例えば、7〜30MPa)であってもよく、通常5〜30MPa(例えば、6〜25MPa、好ましくは7〜20MPa)程度であってもよい。
なお、圧力は、反応雰囲気の圧力に対応する。すなわち、圧力は、概ね不活性ガスの圧力ということができる。なお、反応雰囲気が2種以上の不活性ガスからなる場合には、それぞれの分圧(全圧にそれぞれのガスのモル分率を掛けた値)の合計が反応雰囲気の圧力となる。
なお、前記の通り、反応雰囲気は、活性ガスを含まない雰囲気であってもよく、微量であれば活性ガスを含んでいてもよい。反応雰囲気が、活性ガスを含む場合でも、活性ガスの圧力(分圧)は、例えば、1MPa以下(例えば、0又は検出限界〜0.5MPa)、好ましくは0.1MPa以下、さらに好ましくは0.01MPa以下であってもよい。特に、水素ガスの圧力(分圧)は、例えば、0.1MPa以下(例えば、0又は検出限界〜0.05MPa)、好ましくは0.01MPa以下、さらに好ましくは0.001MPa以下であってもよい。
時間(反応時間、加熱および加圧処理時間)は、圧力や温度などに応じて適宜選択でき、例えば、5分以上(例えば、7分〜24時間)、好ましくは10分以上(例えば、20分〜18時間)、さらに好ましくは30分以上(例えば、40分〜12時間)、特に1時間以上(例えば、1.5〜6時間)程度であってもよい。
なお、反応容器は、加温、加圧条件などに耐えうる容器であれば特に限定されず、反応の規模などに応じて慣用の容器を用いることができる。
上記のような異性化工程を経ることにより、原料として用いた(異性化工程前の)ジアミノシクロヘキサンにおけるトランス体の割合が増大(又は上昇)する。なお、トランス体の割合の上昇率は、原料として用いたジアミノシクロヘキサンにおけるシス体の割合や、触媒の種類や量、反応条件(温度、圧力、時間)などにより、選択できる。
[回収工程]
異性化工程を経て得られた内容物(反応物)からのトランス体(又はトランス体の割合が増大した異性体混合物)の回収は、慣用の方法を利用でき、特に限定されないが、シス体が常温で液体、トランス体が常温で固体であるため、晶析を利用すると、効率よくトランス体を回収できる。
例えば、異性化反応後の反応物を、冷却(冷却晶析)することで、トランス体を含む晶析物(結晶)を得てもよい。なお、得られた(又は回収した)晶析物は、そのまま各種原料として用いてもよく、さらなる精製処理に供したり、再度異性化工程を行うことにより、トランス体の純度をさらに高めることもできる。
なお、必要に応じて、晶析前に、慣用の方法(例えば、ろ過など)により固形分(触媒など)を除去してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
500mLのオートクレーブに、1,4−ジアミノシクロヘキサン(シス体/トランス体=80/20、東京化成工業(株)製)100g、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)100g、Ru触媒(エヌ・イーケムキャット(株)製、「AA−4501」、5%Ruアルミナ粉末)7.5g、およびナトリウムメトキシド(東京化成工業(株)製)0.63gを投入したのち、窒素(N)ガス(10kgf/cm)封入を3回繰り返し、系内を窒素ガスで置換した。攪拌速度300rpmで攪拌しつつ、温度200℃、圧力(Nガスの圧力)12MPaの条件下で、2時間保持し、反応させた。反応後、室温まで冷却し、0.2μmのメンブレンフィルターを用いて加圧ろ過することで、触媒を除去し、ろ液を得た。得られたろ液をガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)にて分析したところ、シス体の割合が63.37面積%、トランス体の割合が34.7面積%、その他の成分(4−アミノシクロヘキサノールなどの副生物)が1.93面積%であり、シス体/トランス体=65/35であった。
なお、シス体とトランス体との割合は、GC−MSにおける面積比であり、ほぼモル比を反映する。
さらに、ロータリーエバポレータにて、120℃でろ液から溶媒を減圧留去して濃縮液を得、この濃縮液を5℃まで冷却して一昼夜放置し、晶析物を得た。なお、シス体は、常温で液体、トランス体は常温で固体(融点67〜72℃)である。
晶析物を、メタノールに溶解させ、GC−MSにて分析したところ、シス体の割合が22.4面積%、トランス体の割合が72.49面積%、その他の成分が5.11面積%であり、シス体/トランス体=24/76であった。
(比較例1)
実施例1において、窒素ガスを水素(H)ガスに、圧力12MPaを水素ガスの圧力で12MPaに、それぞれ替えたこと以外は、実施例1と同様にして、ろ液を得た。
得られたろ液をGC−MSにて分析したところ、シス体の割合が58.52面積%、トランス体の割合が37.69面積%、その他の成分が3.79面積%であり、シス体/トランス体=61/39であった。
さらに、実施例1と同様にして得られた晶析物をGC−MSにて分析したところ、シス体の割合が24.86面積%、トランス体の割合が66.59面積%、その他の成分が8.55面積%であり、シス体/トランス体=27/73であった。
(比較例2)
実施例1において、1,4−ジアミノシクロヘキサンを、シス体/トランス体=80/20の1,4−ジアミノシクロヘキサン(東京化成工業(株)製)に、窒素ガスを水素(H)ガスに、温度を200℃から180℃に、圧力12MPaを水素ガスの圧力で8MPaに、それぞれ替えたこと以外は、実施例1と同様にして、ろ液を得た。
得られたろ液をGC−MSにて分析したところ、シス体の割合が65.77面積%、トランス体の割合が33.07面積%、その他の成分が1.16面積%であり、シス体/トランス体=67/33であった。
さらに、実施例1と同様にして得られた晶析物をGC−MSにて分析したところ、シス体の割合が35.4面積%、トランス体の割合が62.57面積%、その他の成分が2.03面積%であり、シス体/トランス体=36/64であった。
これらの結果をまとめたものを表に示す。
Figure 0006041761
本発明の方法は、ジアミノシクロヘキサンのシス体から異性化によりトランス体を得る方法として有用である。特に、高圧の水素ガスを要しなくても、異性化できるため、反応系をシンプル化できるとともに、反応の安全性を向上できるため、極めて有用性が高い。

Claims (6)

  1. 金属触媒、塩基性化合物及び溶媒の存在下、ジアミノシクロヘキサンのシス体を異性化してジアミノシクロヘキサンのトランス体を得る工程であって、前記金属触媒がルテニウムを含み、前記塩基性化合物が金属アルコキシドを含み、前記溶媒がエーテル類を含み、かつ窒素ガス、希ガス及び二酸化炭素ガスから選択される少なくとも1種の不活性ガス中で、シス体を温度120〜300℃および前記不活性ガスの圧力5〜30MPaで加熱および加圧処理する異性化工程を経て、トランス体を製造する方法。
  2. ジアミノシクロヘキサンが、1,4−ジアミノシクロヘキサンである請求項1記載の製造方法。
  3. 異性化工程において、シス体およびトランス体を含む異性体混合物を加熱および加圧処理し、トランス体の割合を増大させる請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 不活性ガスが窒素ガスである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. 加熱処理温度が150〜250℃、不活性ガスの圧力が7〜20MPaである請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 異性化工程において、水素ガスの圧力が0.1MPa以下である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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