以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態における例示に限定されるわけではない。
図1、2は、本実施形態に係るガレージ1の概略を示す図であって、図1はウイングドアパネル3を閉じた状態を、図2は開いた状態をそれぞれ示している。これらの図で示すように、ガレージ1は、一対の側壁2と、一対の側壁2に支持され折れ曲がりを有する前面のウイングドアパネル3と、一対の側壁に支持される屋根4と、一対の側壁2に接続される背面壁5と、を備えている。本実施形態に係るガレージ1は、ウイングドアパネル3を備えており、これをガレージの前面側に対して開閉させることでドアパネルを庇として用いることができるようになる。なお、これ以外の効果については後の説明において明らかになる。
本実施形態において、一対の側壁2は、ガレージ空間を仕切る部材の一つである。側壁の素材としては木材、コンクリート、金属、樹脂、石材等を例示することができるが通常の建築材料を用いることができこの例に限定されない。また、側壁を構成する位置に柱を複数建てた後、この柱及び柱間の空間を外壁材で覆う方法も当然に採用可能である。また、側壁2は、ガレージ専用の側壁として独立して建築するだけでなく、既存又は新設の建物の壁を側壁として利用することも可能である。
また本実施形態において、ウイングドアパネル3は、ガレージの前面を構成するものであって、上記のとおり一対の側壁2に支持され、かつ、折れ曲がりを有するドアパネルである。より具体的に説明すると、本実施形態におけるウイングドアパネル3は、少なくとも二つの平面部材31、32が凸を形成するように接合されたドアパネルである。本実施形態に係るドアパネル3の断面の概略図を図3に示しておく。本実施形態ではウイングドアパネル3を採用することで、庇として利用することができるのはもちろん、前面のドアパネルを一枚の板のみで採用する場合に比べ強度を確保することができるとともに、後述するように、より効率よくドアパネルを開けることができるようになるといった効果がある。
本実施形態において、ウイングドアパネル3は、上記のとおり一対の側壁2に固定されるが、一対の側壁2に固定される梁部材21に支持されるとともに、開閉軸部材を通じて回転可能に支持されていることが好ましい。このようにすることで、梁部材21にウイングドアパネル3の重量を支えさせることで開閉軸部材21への負担を軽減させることができる。ウイングドアパネル3及び梁部材21の部分拡大断面図を図4に示しておく。
また本実施形態において、ウイングドアパネル3は、ガレージ空間を閉じた状態において、一方の平面部材が地面に対し略垂直となるよう支持されることが好ましい。この一方は、いずれであっても良いが地面に近くなる側の平面部材であることが好ましい。このように構成することで、一般的なガレージと同様の外観となり違和感を抑えることができる。
また本実施形態において、地面に近く設置される側の平面部材の方が、広い面積を有する側であることが好ましい。このようにすることで、ガレージ空間を閉じた状態において通常のガレージと同様の外観を得ることができるとともに庇としての面積を広く確保することができる。この比率としては特に限定されるわけではないが、地面より遠く設置される側の平面部材の縦の長さを1とした場合、地面に近く設置される側の平面部材の高さが、2以上5以下となっていることが好ましい。
また本実施形態において、ウイングドアパネル3は、回転軸部材側から先端側に行くに従い細くなっていくことが好ましい。このようにすることで、ウイングドアパネル3を支持する側は厚く確保する一方、ウイングドアパネル3全体を軽く維持することが可能となり、特に先端部分における歪を防止することができる。
また本実施形態において、ウイングドアパネル3の折れ曲り角度は、95度以上120度以下であることが好ましく、好ましくは100度以上120度以下である。95度以上とすることで、地面に近く設置される側が地面に対して略垂直になるよう設置した場合であっても、地面より遠く設置される側を前面側に傾かせて雨水を前面側に排出させることが可能となるとともに、ウイングドアパネルの高さ高く確保することが可能となる。また120度以下とすることで、ウイングドアパネル3を開いた場合において、上記地面より遠く設置される側の地面に対する傾き角を小さく抑えることで、この部分を押さえて安定的にウイングドアパネル3を支持することができるようになる。この場合のイメージ図を図4に示しておく。
また本実施形態において開閉部材33は、上記のとおり、ウイングドアパネル3を開閉するために用いられるものであり、この限りにおいて限定されるわけではないが、例えばエアシリンダ、油圧シリンダ等のアクチュエータであることが好ましい。これを用いることでウイングドアパネル3を前面側に回転させて開閉することが容易となる。なおアクチュエータの動作は、スイッチ等の操作に応じて開閉する構成となっていることが好ましい。開閉部材を用いたウイングドアパネル3の開閉のイメージについて図5に示しておく。
また本実施形態において、開閉部材33は、少なくとも一方の側壁に固定されるものであり、好ましくは一対の側壁に固定されて設けられることが好ましい。また開閉部材33の固定位置としては、ウイングドアパネル3を効率よく開閉することができる限りにおいて限定されるわけではないが、開閉軸近傍の壁面に一方が、他方がウイングドアパネル3の地面に遠い側の平面部材に接続されていることが好ましい。このようにすることで、開閉を効率よくすることができる。つまり、本実施形態では折れ曲がったウイングドアパネルを採用することで、垂直に立った一枚の平面部材によって構成されている場合に比べ、ウイングドアパネルに対してより効率的に力を加えることができるようになる。また、本実施形態に係る開閉部材33は、梁部材よりも前面側に設置されている。このようにすることで、ウイングドアパネルに対してより効率的に力を加えることができるとともに、ウイングドアパネル3が開いた状態においてウイングドアパネル3を安定的に支えることができる。
また本実施形態において、一対の側壁の対向する壁面に、ウイングドアパネルの形状に応じて折れ曲がっているとともに、ウイングドアパネルと密着させるパッキング部材を備えているウイングドア受け部材34を有することが好ましい。この概略について図6に示しておく。このようにウイングドアパネル受け部材34を設けることで、ガレージ空間を閉じた状態において、パッキング部材がウイングドアパネル3と密着し、雨風の侵入を防ぎ、隙間をより閉じたものとすることができる。
本実施形態において、ウイングドアパネル受け部材34の素材としては、木材、金属、樹脂、石材等を用いることができるがこれに限定されない。ただし、成形の容易さとウイングドアパネルの重さに対する耐久性を考慮すると金属であることが好ましい。
また本実施形態において、パッキング部材は、弾性を備えているものであれば限定されず、例えばゴム等であることが好ましい。弾性を備えたものとすることで、ウイングドアパネルの重さによってある程度変形しつつガレージ空間を密封された状態に近くすることができる。なお、本図では、パッキングはウイングドアパネル受け部材34側に設置されているが、ウイングドアパネルの室内側の面に配置されていても良い。
なお本実施形態において、ウイングドアパネル受け部材34において、パッキング部材241が配置された位置より側壁側には溝342が形成されていることが好ましい。この溝342を形成することで、側壁とウイングドアパネルの間に入り込んだ雨等を誘導しガレージ下部及びガレージ外部に排出することができるようになる。このウイングドアパネル受け部材34の断面図を図7に示しておく。
また、本実施形態において、一対の側壁に支持される屋根を備える。屋根を備えることで、降り注ぐ風雨を防ぐことが可能となる。また、本実施形態において、屋根は、木材、コンクリート、金属、樹脂、石材等のいずれであっても良く特に限定されない。
また本実施形態において、屋根4は、前面側から背面側に従い低くなるよう傾斜が設けられていることが好ましい。このようにすることで前面側への排水を防止することができる。
また本実施形態において、屋根4は、ウイングドアパネル3の開閉軸よりも低い位置に固定されていることが好ましい。この開閉軸よりも低い位置とすることで、ウイングドアパネル3(又はウイングドアパネルカバー)から屋根4側に流れてくる雨水を屋根に流すことが可能となる。
また本実施形態において、ガレージは背面壁5を備える。この結果、本実施形態では、一対の側壁、前面のウイングドアパネル、背面壁、屋根によってガレージがとじた空間となる。背面壁の素材としては木材、コンクリート、金属、樹脂、石材等のいずれであっても良い。
以上、本実施形態にかかるガレージは、より高機能なガレージとなる。