JP6039955B2 - 加工玄米の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、発芽処理した玄米を水蒸気で湿熱処理し乾燥させることで、玄米の食感や食味を改善することが報告されている(例えば、特許文献4参照)。
生玄米を110〜150℃の水蒸気で5〜90分間湿熱処理する工程、及び
湿熱処理した玄米を80〜100℃で5〜90分間加熱処理する工程
を少なくとも含む、加工玄米の製造方法を提供するものである。
また、本発明の加工玄米は、加工前の生玄米に比べてシクロアルテノール又は24−メチレンシクロアルタノールの含有量が高められている。
本発明の製造方法について以下に詳細に説明する。
生玄米は、湿熱処理の前に通常の方法で洗米しておくことが好ましい。また、洗米後に水に浸漬させておいてもよい。生玄米を浸漬させる水の温度に特に制限はないが、菌の繁殖を抑えることができる観点から15℃未満とすることが好ましい。
生玄米を湿熱処理に付する時間は5〜90分の範囲内であり、20〜90分とすることが好ましく、30〜70分とすることがより好ましく、40〜60分とすることがさらに好ましい。通常は、湿熱処理の温度が高いほど処理時間を短くすることができる。水蒸気の温度は湿熱処理の間一定であってもよいし、変動させてもよい。
湿熱処理の圧力は飽和蒸気圧とすることが好ましい。
湿熱処理を行うことで玄米の香ばしさが増す一方、米糠臭が低減しうる。湿熱処理は市販の湿熱処理装置により行うことができ、当該湿熱処理装置としてオートクレーブや短時間調理殺菌装置などが挙げられる。
加熱処理を施す時間は5〜90分の範囲内であるが、通常には温度が高いほど処理時間が短くて済むため、例えば温度が90〜100℃程度のときには、処理時間を5〜60分とすることができ、10〜60分とすることが好ましく、15〜45分とすることがより好ましく、20〜40分とすることがさらに好ましい。温度は加熱処理の間一定であってもよいし、変動させてもよい。加熱処理直後の玄米は、含水率が25〜60質量%、好ましくは30〜55質量%、より好ましくは30〜50質量%、さらに好ましくは35〜50質量%となっていることが好ましい。
加熱処理の方法としては特に制限はないが、湿潤下で加熱処理する方法が好ましく、湿度80〜100%相対湿度(以下、RHという。)であることが好ましく、90〜100%RHであることがより好ましく、飽和蒸気であることがさらに好ましい。
湿潤下で加熱処理する方法としては、温水に浸した開放容器に玄米を入れる方法、温水中に玄米を浸漬する方法、水蒸気で湿熱処理する方法のいずれかを使用することが好ましく、水蒸気で湿熱処理する方法を使用することがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、湿熱工程において110〜150℃の熱処理が施され、加熱処理工程を施す場合もその温度は80〜100℃に過ぎず、この程度の熱処理条件では、玄米中に存在するシクロアルテノールのエステル体又は24−メチレンシクロアルタノールのエステル体のエステル結合は切断されにくいと考えられる。しかし、意外にも、本発明の製造方法により、玄米中のシクロアルテノール又は24−メチレンシクロアルタノールの含有量は大幅に増加する。この理由として、玄米特有の成分が、シクロアルテノールのエステル体又は24−メチレンシクロアルタノールのエステル体のエステル結合の熱切断を促進していることが考えられる。
生玄米を110〜150℃の水蒸気で5〜90分間湿熱処理する工程、及び
湿熱処理した玄米を80〜100℃で5〜90分間加熱処理する工程、
を少なくとも含む、加工玄米の製造方法。
生玄米が、うるち米及びもち米から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはうるち米の1種又は2種以上である、前記<1>に記載の製造方法。
<3>
生玄米が、ジャポニカ種、インディカ種、及び、ジャポニカ種とインディカ種とをかけあわせたものから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはジャポニカ種の1種又は2種以上である、前記<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>
生玄米が、コシヒカリ、ヒノヒカリ、ミルキークイーン、サリークイーン、ヒトメボレ、アキタコマチ、及び夢十色から選ばれる1種又は2種以上の品種である、前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の製造方法。
湿熱処理する工程において、水蒸気の温度が110〜145℃であり、好ましくは115〜140℃であり、より好ましくは120〜135℃であり、さらに好ましくは125〜135℃である、前記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の製造方法。
<6>
湿熱処理する時間が20〜90分間であり、好ましくは30〜70分間であり、より好ましくは40〜60分間である、前記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の製造方法。
<7>
飽和蒸気圧で湿熱処理を行う、前記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の製造方法。
<8>
湿熱処理直後において、含水率が20〜70質量%、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは30〜45質量%となるように湿熱処理するものである、前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の製造方法。
加熱処理の温度が85〜100℃であり、好ましくは90〜100℃である、前記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の製造方法。
<10>
加熱処理する時間が、5〜60分間であり、好ましくは10〜60分間であり、より好ましくは15〜45分間であり、さらに好ましくは20〜40分間である、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の製造方法。
<11>
湿度80〜100%RHの条件下で、好ましくは湿度90〜100%RHの条件下で、より好ましくは飽和蒸気で加熱処理を行う、前記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の製造方法。
<12>
加熱処理する工程が、水蒸気で湿熱処理する工程である、前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の製造方法。
<13>
加熱処理直後の玄米の含水率が25〜60質量%、好ましくは30〜55質量%、より好ましくは30〜50質量%、さらに好ましくは35〜50質量%となるように処理するものである、前記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の製造方法。
加熱処理した玄米を乾燥させる工程を含む、前記<1>〜<13>のいずれか1つに記載の製造方法。
<15>
乾燥させる工程が、温度40〜60℃の条件下、好ましくは45〜55℃の条件下で行われる、前記<14>に記載の製造方法。
<16>
乾燥させる工程が、湿度30〜70%RHの条件下、好ましくは50〜60%RHの条件下で行われる、前記<14>又は<15>に記載の製造方法。
<17>
乾燥させる時間が1〜5時間、好ましくは2〜3時間である、前記<14>〜<16>のいずれか1つに記載の製造方法。
<18>
製造された加工玄米の含水率が15質量%以下、好ましくは5〜15質量%である、前記<14>〜<17>のいずれか1つに記載の製造方法。
<19>
製造された加工玄米の水分活性が0.6以下、好ましくは0.2〜0.6である、前記<14>〜<18>のいずれか1つに記載の製造方法。
加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量の1.4倍以上であり、好ましくは1.5倍以上であり、より好ましくは1.6倍以上である、前記<1>〜<19>のいずれか1つに記載の製造方法。
<21>
加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量の3.5倍以下であり、3倍以下であってもよく、2倍以下であってもよく、1.8倍以下であってもよい、前記<1>〜<20>のいずれか1つに記載の製造方法。
<22>
加工玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量の1.5倍以上であり、好ましくは1.6倍以上である、前記<1>〜<21>のいずれか1つに記載の製造方法。
<23>
加工玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量の3倍以下であり、2倍以下であってもよく、1.9倍以下であってもよい、前記<1>〜<22>のいずれか1つに記載の製造方法。
<24>
加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量の1.4倍以上であり、好ましくは1.5倍以上であり、より好ましくは1.6倍以上である、前記<1>〜<23>のいずれか1つに記載の製造方法。
<25>
加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量が、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量の4.5倍以下であり、3倍以下であってもよく、2倍以下であってもよく、1.8倍以下であってもよい、前記<1>〜<24>のいずれか1つに記載の製造方法。
乾物100g中にシクロアルテノールを6.4mg以上、好ましくは6.7mg以上、より好ましくは7.0mg以上含有する加工玄米。
<27>
乾物100g中のシクロアルテノールの含有量が16mg以下であり、14mg以下であってもよく、11mg以下であってもよく、9mg以下であってもよく、8mg以下であってもよい、前記<26>に記載の加工玄米。
<28>
乾物100g中に24−メチレンシクロアルタノールを4.5mg以上、好ましくは4.8mg以上含有する加工玄米。
<29>
乾物100g中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量が14mg以下であり、10mg以下であってもよく、7mg以下であってもよく、6mg以下であってもよい、前記<28>に記載の加工玄米。
<30>
乾物100g中に、シクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールを総量で11.0mg以上、好ましくは12mg以上含有する加工玄米。
<31>
乾物100g中のシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総含有量が30mg以下であり、20mg以下であってもよく、16mg以下であってもよく、14mg以下であってもよい、前記<30>に記載の加工玄米。
<32>
乾物100g中に24−メチレンシクロアルタノールを4.5mg以上、好ましくは4.8mg以上含有する、前記<26>又は<27>に記載の加工玄米。
<33>
乾物100g中の24−メチレンシクロアルタノールの含有量が14mg以下であり、10mg以下であってもよく、7mg以下であってもよく、6mg以下であってもよい、前記<32>に記載の加工玄米。
<34>
乾物100g中に、シクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールを総量で11.0mg以上、好ましくは12mg以上含有する前記<26>〜<29>、<31>〜<33>のいずれか1つに記載の加工玄米。
<35>
乾物100g中のシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総含有量が30mg以下であり、20mg以下であってもよく、16mg以下であってもよく、14mg以下であってもよい、前記<34>に記載の加工玄米。
加工玄米が、うるち米及びもち米から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはうるち米の1種又は2種以上である、前記<26>〜<35>のいずれか1つに記載の加工玄米。
<37>
加工玄米が、ジャポニカ種、インディカ種、及び、ジャポニカ種とインディカ種とをかけあわせたものから選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはジャポニカ種の1種又は2種以上である、前記<26>〜<36>のいずれか1つに記載の加工玄米。
<38>
加工玄米が、コシヒカリ、ヒノヒカリ、ミルキークイーン、サリークイーン、ヒトメボレ、アキタコマチ、及び夢十色から選ばれる品種である、前記<26>〜<37>のいずれか1つに記載の加工玄米。
<39>
含水率が15質量%以下、好ましくは5〜15質量%である、前記<26>〜<38>のいずれか1つに記載の加工玄米。
<40>
水分活性が0.6以下、好ましくは0.2〜0.6である、前記<26>〜<39>のいずれか1つに記載の加工玄米。
玄米中のシクロアルテノールの測定と24−メチレンシクロアルタノールの測定:
シクロアルテノールおよび24−メチレンシクロアルタノールは、凍結乾燥玄米粉砕物(液体窒素にて凍結後、−80℃、5Pa、48時間凍結乾燥し、粉砕したもの)100gをクロロホルム/メタノール=3/1の組成からなる溶媒300gを用いて3回抽出操作を繰返して抽出した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去後、ヘキサンに再溶解し、遠心分離によって不溶物を除去した。その後溶媒を留去し、抽出油500mgをヘキサン5mLに溶解し、固相処理(Sep-Pak Silica)に供し、ヘキサン/エーテル=95/5の組成からなる溶媒で洗浄後、エタノール/エーテル/ヘキサン=50/25/25の組成からなる溶媒で溶出した。その後、HPTLC(Merk#1.13895 Sil60)に供し、ヘキサン/エーテル/酢酸=90/10/2の組成からなる溶媒、クロロホルム/エーテル=95/5の組成からなる溶媒で展開し、遊離ステロール部分を掻き取り、掻き取った担体からエタノール/エーテル/ヘキサン=50/25/25の組成からなる溶媒を用いて遊離ステロールを溶出した。得られた溶出物をアルカリでケン化分解し、コレステロールを内部標準物質として、ガスクロマトグラフィーによりシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールを定量した。
市販の生玄米(平成21年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて125℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。続いて、水を沸騰させた容器内の水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、100℃の水蒸気による30分間の加熱処理を施した。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品1と呼ぶ。)。
市販の生玄米(平成21年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて135℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。続いて、水を沸騰させた容器内の水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、100℃の水蒸気による30分間の加熱処理を施した。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品2と呼ぶ。)。
市販の生玄米(平成21年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて145℃の水蒸気による40分間の湿熱処理に付した。続いて、水を沸騰させた容器内の水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、100℃の水蒸気による30分間の加熱処理を施した。
加熱処理を施した玄米をハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品3と呼ぶ。)。
市販の生玄米(平成22年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて135℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。湿熱処理直後の含水率は37.3質量%であった。続いて、85℃の温水を入れた容器内の温水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、85℃の水蒸気による30分間の加熱処理を施した。加熱処理直後の含水率は34.9質量%であった。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品4と呼ぶ。)。加工玄米の含水率は11.2質量%であった。
市販の生玄米(平成22年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて135℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。湿熱処理直後の含水率は35.2質量%であった。続いて、85℃の温水を入れた容器内の温水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、85℃の水蒸気による60分間の加熱処理を施した。加熱処理直後の含水率は33.0質量%であった。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品5と呼ぶ。)。加工玄米の含水率は10.9質量%であった。
市販の生玄米(平成22年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて135℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。湿熱処理直後の含水率は36.0質量%であった。続いて、水を沸騰させた容器内の水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、100℃の水蒸気による6分間の加熱処理を施した。加熱処理直後の含水率は35.0質量%であった。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品6と呼ぶ。)。加工玄米の含水率は11.5質量%であった。
市販の生玄米(平成22年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて135℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。湿熱処理直後の含水率は36.7質量%であった。続いて、水を沸騰させた容器内の水の上部に湿熱処理を施した玄米入りの開放容器を設置し、100℃の水蒸気による15分間の加熱処理を施した。加熱処理直後の含水率は34.5質量%であった。
加熱処理を施した玄米を、ハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、本発明品7と呼ぶ。)。加工玄米の含水率は11.7質量%であった。
市販の生玄米(平成21年度産のヒノヒカリ)150gを原料として、これを水で洗米後にざるで水切りし、5℃の冷水に12時間浸積した。冷水から取り出した玄米を、短時間調理殺菌機(日阪製作所社製)を用いて125℃の水蒸気による60分間の湿熱処理に付した。
湿熱処理を施した玄米をハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、比較品1と呼ぶ。)。
加熱処理を施した玄米をハイコーターラボ(フロイント産業社製)を用いて50℃で3時間乾燥し、加工玄米を得た(以下、比較品2と呼ぶ。)。
上記の本発明品1〜7並びに比較品1〜3について、それらの乾物を調製し、各乾物100g中のシクロアルテノールの含有量(mg)と24−メチレンシクロアルタノールの含有量(mg)をそれぞれ測定した。
また、各乾物100g中のシクロアルテノールの含有量(mg)、24−メチレンシクロアルタノールの含有量(mg)及び両者の合計量(mg)を、それぞれ、比較品3の乾物100g中に存在するシクロアルテノールの含有量(mg)、24−メチレンシクロアルタノールの含有量(mg)及び両者の合計量(mg)で割ることで、加工前の生玄米と比較した各成分の増加率を算出した。
結果を下記表1に示す。
これに対し、本発明の製造方法で製造した本発明品1〜7では、原料として用いた生玄米である比較品3と比べて、乾物100g中のシクロアルテノールの含有量が1.4倍以上、24−メチレンシクロアルタノールの含有量が1.5倍以上にも増加しており、シクロアルテノールと24−メチレンシクロアルタノールの総含量も1.5倍以上に上昇していた。
これらの結果から、本発明の製造方法により、生玄米を原料として、該生玄米よりもシクロアルテノールの含有量又は24−メチレンシクロアルタノールの含有量の高い加工玄米を製造できることがわかった。
本発明品1〜7並びに比較品1〜3を、それらの乾物質量の1.5倍の質量の水を加えて室温で1時間浸漬させた後、炊飯器(商品名:JKH−A、タイガー社製)の白米モードで炊飯した。こうして得られた米飯について、その風味及び食感を専門パネル6名にて、下記評価基準により協議により評価値を決定した。通常の玄米米飯は、玄米を炊飯器の玄米モードで炊飯した一般的な玄米の米飯を意味する。
[風味]
4:通常の玄米米飯に感じる米糠臭がほとんど感じられず、より香ばしさが増している。
3:通常の玄米米飯よりも米糠臭が抑えられ、香ばしさが増している。
2:通常の玄米米飯と同じような米糠臭と香ばしさを有する。
1:通常の玄米米飯よりも米糠臭と香ばしさに劣る。
4:通常の玄米米飯よりもやわらかく、より弾力がある。
3:通常の玄米米飯よりもやややわらかく、弾力がある。
2:通常の玄米米飯と同じような硬さと弾力である。
1:通常の玄米米飯よりも硬く芯を感じる。
結果を下記表2に示す。
本発明の製造方法で製造した本発明品1〜7を白米モードで炊飯した米飯は、通常の玄米米飯に感じる米糠臭がほとんどなく、香ばしさも顕著に増していた。また、通常の玄米米飯よりもやわらかく炊き上がっており、しかもほどよい弾力を有していた。
Claims (7)
- 生玄米を洗米し、その後110〜150℃の水蒸気で5〜90分間湿熱処理する工程、及び
湿熱処理した玄米を80〜100℃で5〜90分間加熱処理する工程、
を少なくとも含む加工玄米の製造方法であって、
得られる加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量を、前記生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノールの質量の1.4倍以上とする、加工玄米の製造方法。 - 生玄米を洗米し、その後110〜150℃の水蒸気で5〜90分間湿熱処理する工程、及び
湿熱処理した玄米を80〜100℃で5〜90分間加熱処理する工程、
を少なくとも含む加工玄米の製造方法であって、
得られる加工玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量を、前記生玄米の乾物100g中に含まれる24−メチレンシクロアルタノールの質量の1.5倍以上とする、加工玄米の製造方法。 - 生玄米を洗米し、その後110〜150℃の水蒸気で5〜90分間湿熱処理する工程、及び
湿熱処理した玄米を80〜100℃で5〜90分間加熱処理する工程、
を少なくとも含む加工玄米の製造方法であって、
得られる加工玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量を、加工前の生玄米の乾物100g中に含まれるシクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールの総質量の1.4倍以上とする、加工玄米の製造方法。 - 前記の加熱処理した玄米を乾燥させる工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 乾物100g中にシクロアルテノールを6.4mg以上含有する加工玄米。
- 乾物100g中に24−メチレンシクロアルタノールを4.5mg以上含有する加工玄米。
- 乾物100g中に、シクロアルテノール及び24−メチレンシクロアルタノールを総量で11.0mg以上含有する加工玄米。
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