JP3699444B2 - 改良玄米の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良玄米の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
玄米には、ビタミン,ミネラル,食物繊維等の栄養分が豊富に含まれ(これら栄養分は主として胚芽や糠層に含まれている。)、健康に良い食品として知られている。
【0003】
ところで、玄米は、稲の籾から籾殻を除いただけの表面部に固い糠層が残っている状態のものであるため、炊飯する際には、先ず水に長時間浸漬し(例えば6時間)、その後、更に圧力釜で圧力をかけながら加熱しなければ、食感良く(即ち柔らかく)炊き上げることができず、非常に面倒である。
【0004】
そのため、玄米は通常、精白米に少量だけ加える状態で市販されているか、炊飯する際に精白米に玄米を少量加え、精白米と一緒に炊き上げて食している。
【0005】
これにより、精白米と共に玄米の栄養分を摂取することとなるため、栄養価は精白米のみで食する場合に比して向上する。
【0006】
しかしながら、精白米と共に玄米を炊飯する際には通常の炊飯器を用いて炊飯するため、精白米は柔らかく炊き上げることはできても固い糠層を有する玄米を柔らかく炊き上げることはできない。
【0007】
また、通常の炊飯器で精白米と共に玄米を炊飯すると、玄米の糠層が胚乳部から剥離することもあり、この剥離した糠層と水分とによってべちゃっとした食感となったり、胚乳部の組織に亀裂等の破損が生じて粘着性の高い食感となることもある。
【0008】
そのため、精白米と共に玄米を炊飯すると、柔らかい精白米の中に固い玄米や剥離した糠層、粘着性が高くなった玄米等が混在することとなるため、歯ざわり,舌ざわりが悪く食べづらく、これにより、玄米の消費量も低い状態に留まっているのが現状である。また、前述したような理由から、玄米は炊飯以外には調理物が考えられないのが現状である。
【0009】
本発明は、精白米に玄米を多量に加えても食感が悪くなることはなく、即ち、玄米も精白米同様、柔らかい状態で炊き上げることができ、しかも、炊飯は精白米を炊くときと同様の通常の炊飯器を用いて炊き上げることができ、これにより、玄米だけを通常の炊飯器で食感の良い状態に炊き上げたり、種々の食品に加えて様々な調理物を作ることも可能となる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨を説明する。
【0011】
玄米を水に浸漬した後スチーム処理し、このスチーム処理した前記玄米を撹拌し、この撹拌した前記玄米を再びスチーム処理することを特徴とする改良玄米の製造方法に係るものである。
【0012】
また、前記スチーム処理と前記撹拌とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1記載の改良玄米の製造方法に係るものである。
【0013】
また、前記スチーム処理と前記撹拌とにより得た玄米を放冷した後冷凍保存することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法に係るものである。
【0014】
また、前記スチーム処理する前に、玄米を水に約3時間〜約4時間浸漬することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法に係るものである。
【0015】
また、前記スチーム処理する前に、玄米を略12℃〜略18℃の温度の水に約3時間〜約4時間浸漬することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法に係るものである。
【0016】
また、前記玄米として無農薬栽培若しくは減農薬栽培により栽培した玄米を採用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法に係るものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、その作用効果を示して簡単に説明する。
【0018】
玄米を水に浸漬した後スチーム処理し、このスチーム処理した前記玄米を撹拌し、この撹拌した前記玄米を再びスチーム処理することで、食感を低下させる原因である玄米の固い糠層を加熱しつつ加水することができ、これにより、固い糠層を柔らかい状態、即ち、水が浸透し易い状態にできることとなる。
【0019】
また、スチーム処理した玄米を、撹拌してから再びスチーム処理するために、玄米の糠層を満遍なく加熱しつつ加水することができ、これにより、固い糠層を全体的に満遍なく柔らかい状態、即ち、水が浸透し易い状態にできることとなる。
【0020】
従って、例えば、糠層の水の浸透度合いと、胚乳部の水の浸透度合いとが略同程度となるまで、玄米の固い糠層にスチーム処理を施すことで、スチーム処理後の改良玄米を通常の炊飯器で炊いた際に、玄米の固い糠層に水が浸透し易く、これにより、精白米を炊いたときのように柔らかい状態で玄米を食感良く炊き上げることができる。
【0021】
即ち、従来は、玄米を炊こうとすると、玄米を水に長時間浸漬し(例えば6時間程度)、更に圧力釜などにより圧力をかけながら炊き上げなければ柔らかく食感の良い状態にすることはできず、よって、非常に手間がかかっていたが、本発明の改良玄米は、従来のように長時間玄米を水に浸漬せずとも良く、また、圧力釜を用いることもなく、通常精白米を炊くときと同様に、普通の炊飯器を用いて柔らかく食感の良い状態で炊き上げることができる。
【0022】
これにより、ビタミン,ミネラル,食物繊維等の栄養分に富む玄米を例えば精白米に多量に加えて炊き上げても食感良く食することができ、また、玄米だけを炊き上げても食感良く食することができ、更に、単に炊飯するだけではなく、様々な食品に加えて玄米入りの食品を作ることができる。
【0023】
よって、これまで食べづらかった玄米を食感良く食することができ、しかも、従来に比して飛躍的に簡素化された方法により炊き上げることができる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0024】
また、例えば、前記スチーム処理と前記撹拌とを複数回繰り返して行えば、前記作用効果を確実に発揮できることとなるなど、一層実用的となる。
【0025】
また、例えば、前記スチーム処理と前記撹拌とにより得た玄米を放冷した後冷凍保存すれば、前記作用効果を発揮し得る玄米を長期間保存することができ、更に、この冷凍保存した玄米を炊飯等する際には、従来のように玄米がボロボロの状態となることなく、通常の炊飯器により柔らかく食感の良い食べ易い状態で炊き上げできることとなるなど、一層実用的となる。
【0026】
また、例えば、前記スチーム処理する前に、玄米を水に約3時間〜約4時間浸漬すれば、炊飯等した際に、玄米の柔らかさにムラが生じたり、胚乳部から糠層や胚芽が剥離したりしないようにできるなど、一層実用的となる。
【0027】
また、例えば、前記スチーム処理する前に、玄米を略12℃〜略18℃の温度の水に約3時間〜4時間浸漬すれば、炊飯等した際に、玄米の柔らかさにムラが生じたり、胚乳部から糠層や胚芽が剥離したり一層しにくくできることなるなど、一層実用的となる。
【0028】
また、例えば、前記玄米として無農薬栽培若しくは減農薬栽培により栽培した玄米を採用すれば、より美味しく、また、消費者がより好む改良玄米を製造できることとなるなど、一層実用的となる。
【0029】
【実施例】
本発明の一実施例を以下に説明する。
【0030】
本実施例は、玄米を水に浸漬した後スチーム処理し、このスチーム処理した前記玄米を撹拌し、この撹拌した前記玄米を再びスチーム処理し、このスチーム処理と撹拌とを繰り返して得た前記玄米を放冷した後冷凍保存して得る改良玄米の製造方法に係るものである。
【0031】
先ず、玄米を水洗し、この水洗した玄米を水に浸漬する。
【0032】
玄米は、無農薬栽培及び減農薬栽培により栽培された玄米を採用している。尚、玄米として胚芽をある程度発芽させた発芽玄米を採用しても良い。
【0033】
また、玄米を水に浸漬する際には、室温18℃以下の状態で水温12℃〜18℃の水に3時間〜4時間浸漬する。また、この玄米の水への浸漬は、12℃〜14℃の温度の水に3時間30分間程度行うのが最も好ましい。
【0034】
前述した水温と時間で玄米を水に浸漬するのは、スチーム処理等した後の玄米を炊飯したり、このスチーム処理後の玄米を所定の食品に加えて調理物を作るために加熱した際に、玄米の柔らかさにばらつきを生じたり、胚乳部から胚芽を含む糠層が剥離することを防ぐためである。尚、例えば、玄米を水に2時間程度しか浸漬しない場合には、炊飯等した際に柔らかさにムラが生じたり、糠層や胚芽が剥離し易くなる問題点があり、一方、4時間以上浸漬した場合には、炊飯等の加熱により柔らかくなりすぎてしまう等の問題点がある。
【0035】
次いで、玄米を水切りし、所定のスチーム加熱器具により、前記玄米をスチーム処理し、このスチーム処理した玄米を撹拌してこの撹拌した玄米を再びスチーム処理する。
【0036】
即ち、スチーム処理は、連続的ではなく、撹拌を介して断続的に行う。
【0037】
このスチーム処理は、水切りした玄米を蒸し布で包み、この蒸し布を介して玄米に蒸気を当てることで行う。玄米を蒸し布で包むのは、玄米に満遍なく蒸気を当てることに加え、スチーム処理と撹拌とを作業性良く行うためである。即ち、玄米を蒸し布に包んでスチーム処理し、スチーム加熱器具から蒸し布に包まれた玄米を一気に取り出して後述の別容器に移し撹拌することができ、これにより、秀れた作業性を発揮することができる。
【0038】
また、蒸した玄米の撹拌は、スチーム処理した玄米をスチーム加熱器具から取り出し別の容器(ざる等の通気性を有する容器)に移してから行う。別容器に玄米を移すのは、撹拌する作業を効率良く行うためである。
【0039】
本実施例では、水切りした玄米にスチーム処理をおよそ10分間行い、その後、スチーム加熱器具から前記玄米を取り出して撹拌し、その後、再び玄米を蒸し布に包んでスチーム加熱器具によりスチーム処理をおよそ10分間行い、このスチーム処理と撹拌とを3回程度繰り返す。
【0040】
このスチーム処理と撹拌操作とを繰り返すのは、玄米の胚乳部を集中的に加熱・加水するのではなく、玄米の胚芽や糠層を集中的に加熱・加水するためである。
【0041】
即ち、玄米を温水等に漬けたままの状態として加熱・加水するのではなく、玄米に蒸気をおよそ10分間だけ当てて加熱・加水した後、すぐにスチーム加熱器具から取り出して撹拌し、そして、再びおよそ10分間だけスチーム処理し、このスチーム処理と撹拌を繰り返して行うことで、玄米の胚乳部はさほど加熱・加水されない状態としつつ、糠層や胚芽だけを加熱・加水することができ、これにより、糠層や胚芽だけを柔らかい状態、即ち、水が浸透し易い状態にできることとなる。即ち、固い糠層と胚芽の水の浸透性を糠層に覆われた胚乳部と略同程度にできることとなる。
【0042】
また、スチーム処理とスチーム処理との間において玄米を撹拌するのは、玄米の糠層や胚芽を満遍なく加熱・加水するためでもあり、これにより、スチーム処理等した玄米を炊き上げた際に、全体的に良好な食感、即ち、柔らかく歯ざわり,舌ざわりの良い状態にすることができる。
【0043】
また、スチーム処理と撹拌とを作業性良く行えることで、スチーム処理により特に糠層が高温となっている玄米を一気に放熱させて低い温度にでき、そして、再びスチーム処理することにより、特に糠層を集中的に加熱・加水することができる。即ち、別容器に移して撹拌することで、スチーム処理した高温の玄米をスピィーディに放熱させることができ、続いて、再びスチーム処理することで、糠層や胚芽を集中的に加熱・加水することができる。
【0044】
次いで、スチーム処理後の玄米を乾いた布か紙の上に広げ、玄米の水分を吸収し放冷する。この際、乾いた布等に広げた玄米の水分が良好に吸水されるように、何度か撹拌する。
【0045】
玄米の水分を吸収するのは、玄米の外面部等に付着した水分により玄米同志が接着し塊状となってしまうことを防ぐためである。このように水分が除去された玄米は冷凍処理しても塊状となることがなく、冷凍保存した玄米を調理する際にも扱い易い。
【0046】
また、従来では、玄米を炊き上げると糠の独特な臭い(糠臭)が発生してしまい、この糠臭もまた、玄米を食べづらくしている一つの要因となっていたが、本実施例のスチーム処理と撹拌とを繰り返すことで、この糠臭が軽減できることを確認している。尚、撹拌せずに単にスチーム処理を連続的に行うだけでは、糠臭はさほど軽減されない。
【0047】
これは、詳細は不明であるが、スチーム処理と撹拌とを繰り返し、糠層を集中的に加熱・加水することで、糠臭の原因物質が別の物質に変化するか、玄米から除去されるためと考えられる。
【0048】
尚、本実施例では、スチーム処理及び撹拌後の玄米を放冷して冷凍保存した例を示したが、冷凍保存せずにそのまま通常の炊飯器で炊き上げても良く、この場合にも玄米を美味しく食することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明は上述のようにするから、精白米に玄米を多量に加えても食感が悪くなることはなく、即ち、玄米も精白米同様、柔らかく食し易い状態で炊き上げることができ、しかも、炊飯は精白米を炊くときに用いる通常の炊飯器で炊き上げることができ、これにより、玄米だけを通常の炊飯器で食感の良い状態に炊き上げたり、種々の食品に加えて様々な調理物を作ることも可能となる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0050】
即ち、玄米を水に浸漬してスチーム処理し、このスチーム処理した前記玄米を撹拌し、この撹拌した前記玄米を再びスチーム処理することで、玄米の固い糠層を柔らかい状態、即ち、水が浸透し易い状態にすることができ、これにより、普通の炊飯器で炊飯しても柔らかく食感の良い食べ易い状態で炊き上げることができる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0051】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用効果を確実に発揮することができる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0052】
また、請求項3記載の発明においては、前記作用効果を発揮し得る玄米を長期間保存することができ、更に、この冷凍保存した玄米を炊飯等する際には、従来のように玄米がボロボロの状態となることなく、通常の炊飯器により柔らかく食感の良い食べ易い状態で炊き上げることができる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0053】
また、請求項4,5記載の発明においては、炊飯等した際に、玄米の柔らかさにムラが生じたり、胚乳部から糠層が剥離したりしないようにできる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。
【0054】
また、請求項6記載の発明においては、より栄養分が豊富で美味しく、また、消費者がより好む改良玄米を提供することが可能となる極めて実用性に秀れた画期的な改良玄米の製造方法となる。

Claims (6)

  1. 玄米を水に浸漬した後スチーム処理し、このスチーム処理した前記玄米を撹拌し、この撹拌した前記玄米を再びスチーム処理することを特徴とする改良玄米の製造方法。
  2. 前記スチーム処理と前記撹拌とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1記載の改良玄米の製造方法。
  3. 前記スチーム処理と前記撹拌とにより得た玄米を放冷した後冷凍保存することを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法。
  4. 前記スチーム処理する前に、玄米を水に約3時間〜約4時間浸漬することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法。
  5. 前記スチーム処理する前に、玄米を略12℃〜略18℃の温度の水に約3時間〜約4時間浸漬することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法。
  6. 前記玄米として無農薬栽培若しくは減農薬栽培により栽培した玄米を採用することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の改良玄米の製造方法。
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