JP4679247B2 - バニリン含有油脂 - Google Patents

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Description

本発明は、バニリンを含有する食用油脂に関する。
バニリンとは、バニラの果実から得られる芳香のある針状結晶である(化学式 C8H8O3 )。工業的にはリグニンの分解などによって作られ、菓子や食品の香料として用いられている(例えば、非特許文献1)。
バニリンは揮発性物質のため、通常の食用油脂の精製工程(例えば、脱臭工程である減圧水蒸気脱臭処理)を経た市販の食用油脂(例えば、市販の大豆油、菜種油、米油等)では検出限界以下である。前駆体として、例えばオリザノールやフェルラ酸が知られている。
オリザノールとは、数種のトリテルペンアルコールや各種ステロールとのフェルラ酸エステルであり米油(米胚芽油)から発見されている。その含量は1.5〜2.9%と報告されていており、油脂類に1%程度溶解することが示されている。オリザノールは、成長促進、性腺刺激、卵包ホルモン様作用が認められ、更年期症候群の治療に効果があるとされている(例えば、非特許文献2)。オリザノールは、上記の通り、通常米ぬかの原油に1〜3%質量%含まれているが、精製米ぬか油には0.2質量%しか含まれていない(例えば、特許文献1)。
市販品のオリザノールや米ぬか油あるいは米ぬか精製油のオリザノールを利用し、オリザノール高含有油脂を混合し、オリザノール含量が0.5質量%以上のフライ性油脂がフライ食品の食感を改善することが報告されている(例えば、特許文献1)。
米サラダ油製造の際に排出されるγ-オリザノール含有の廃棄物や副産物をアルカリ加水分解し、さらにアルカリ水溶液をニトロベンゼン等の酸化剤で酸化させることでバニリンを製造する方法が報告されている(例えば、特許文献2)。
特開2001−197862号公報 特開平6−40991号公報 科学大辞典 第2版,丸善株式会社,1193頁,平成17年2月28日 油脂,vol.51,77〜78頁,1998
本発明の目的は、甘い香りが強く、調理に用いたときに風味豊かな調理品や加工食品等の食品を得ることができるフライ調理品用、炒め物用の食用油脂、およびこれを用いた風味豊かなフライ調理品、炒め物を提供することである。

本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、バニリンを油中に存在させることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、バニリンを含有するフライ調理品用、炒め物用の食用油脂および、バニリンの原料の一つであるオリザノールを含む油脂を加熱することにより得られるフライ調理品用、炒め物用の食用油脂を食品(フライ調理品、炒め物)に用いることにより、甘い香りがして、風味豊かで、美味しい食品(フライ調理品、炒め物)を提供する。

本発明は、バニリンを含有するフライ調理品用、炒め物用の食用油脂および、オリザノール含有油脂を加熱してバニリンが生成したフライ調理品用、炒め物用の食用油脂を提供する。

本発明は、バニリンを含有するフライ調理品用、炒め物用の食用油脂の製造方法として、オリザノール含有油脂(例えば、胚芽油)を加熱する食用油脂の製造方法を提供する。また、この製造方法により得られるフライ調理品用、炒め物用の食用油脂および、これを用いた食品(フライ調理品、炒め物)を提供する。

本発明は、食品に甘い香りを付与し、豊かな風味を引き立たせることを可能とする食用油脂を提供する。当該油脂は、風味油や香味油として用いることできる。
本発明は、バニリンを含有する食用油脂及び、オリザノール含有油脂を加熱して得られる食用油脂を用いることにより、甘い香りが強く、風味豊かな調理品や加工食品等の食品を提供する。
本発明は、効率的で簡単なバニリンを含有する食用油脂の製造方法を提供する。
以下、本発明を詳しく説明する。
バニリンは、原油に含まれていても通常の食用油脂の精製工程(例えば、脱臭工程である減圧水蒸気脱臭処理)で、そのほとんどが揮発する。例えば、市販の大豆油、綿実油、米油において、バニリンは検出されない。
バニリンを含有する食用油脂(バニリン含有油脂)を得る方法については、特に限定はないが、例えば、精製したバニリンやバニリン含有抽出物を食用油脂へ添加する方法及び、バニリンの原料となる成分(例えば、オリザノールやフェルラ酸)を有する油脂や、それらを添加した油脂に対して物理化学的な処理(例えば、加熱処理)を施しバニリンを生成させる方法が挙げられる。
添加する精製したバニリンやバニリン含有抽出物は、特に制限はないが、例えば、市販品(例えば、しょうゆ)や特許文献1で得られたものが挙げられる。精製したバニリンやバニリン含有抽出物を添加する食用油脂は、特に制限はないが、例えば、大豆油、綿実油、菜種油等が挙げられる。
バニリンの原料となる成分(オリザノールやフェルラ酸等)を含む油脂を加熱することにより、バニリンを含有する食用油脂を製造することができる。よって、オリザノールを含む油脂および、フェルラ酸を含んだ油脂等を原料に用いることができる。
バニリンの原料となる成分(オリザノールやフェルラ酸等)を含む油脂は、特に限定はないが、例えば、胚芽油が挙げられる。胚芽油の具体例としては、コーン油、米油(米胚芽油)、米ぬか油及び、小麦胚芽油が挙げられる。また、例えば、米油(米胚芽油)と他の油脂との混合油脂、米ぬか抽出物を添加した油脂などが挙げられる。また、前記油脂を得るために、バニリンの原料成分たるオリザノールやフェルラ酸等を食用油脂に添加しても良い。
食用油脂中のバニリンの濃度は、特に制限はなく、本願発明の効果を奏する程度の濃度であれば良く、例えば0.01μg/g以上であり、0.03μg/g以上が好ましく、0.05μg/g以上が好ましく、0.1μg/g以上が好ましく、0.2μg/gが好ましく、0.5μg/gが最も好ましい。上限値は、製する油脂やこれを用いた食品に悪い影響を及ぼさなければ、特に制限されない。バニリン濃度は、より高いほど、さらに甘い香りがして、風味が良くなり好適となる。
バニリンを含有する食用油脂は、上記の通り、バニリンの原料となる成分(オリザノールやフェルラ酸等)を含む食用油脂を加熱することにより製することができる。オリザノールを含む油脂(オリザノール含有油脂)を用いる場合、油脂中のオリザノール濃度は、特に限定はなく、本願発明の効果を奏する程度の濃度のバニリンを生成する量であればよく、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1質量%以上である。上限値は、製する油及び食品に悪い影響を及ぼさなければ、特に限定されない。加熱温度、加熱時間が一定であれば、オリザノール濃度が高いほど、甘い香りがする油脂となり、風味が豊かな美味しい食品を提供できる。
オリザノール含有油脂の加熱温度は、特に制限はなく、本願発明の効果を奏する程度のバニリン量を生成する程度まで加熱すれば良い。例えば50℃以上で実施でき、100℃以上が好ましく、160℃以上がさらに好ましく、180℃以上が最も好ましい。特に、160℃以上であれば、バニリンが多く生成されるため、好ましい。190℃未満であれば、フェルラ酸の分解もなく、油の傷みも少ないことから好適である。加熱温度を上記範囲に調整することにより、バニリンを好適に生成させ、本願発明の食用油脂や、これを用いた調理品や加工食品を好適に作ることができる。
オリザノール含有油脂の加熱時間は、特に制限はなく、本願発明の効果を奏する程度のバニリン量を生成する程度まで加熱すれば良い。加熱時間は、原料の油脂、オリザノールやフェルラ酸の量、加熱温度などにより、大きく異なるため一概に規定することはできない。加熱時間の上限は、油の傷み具合や、その油を用いた食品への効果は、油の種類、油の量、調理器、調理方法により、大きく異なるため、特に限定することはできないが、当業者が適業調整して実施可能である。加熱時間を上記範囲に調整することにより、バニリンを好適に生成させ、本願発明の食用油脂や、これを用いた調理品や加工食品を好適に作ることができる。
本発明は、本発明にかかる食用油脂および、製造方法により得られる食用油脂を用いて、食品(フライ調理品、炒め物)を提供する。食品としては、例えば、調理品や加工食品が挙げられる
調理品としては、例えば、フライ調理品、炒め物の調理品などが挙げられる。フライ調理品としては、例えば、コロッケや海老の天ぷらなどが挙げられる。炒め物の調理品としては、野菜炒めなどが挙げられる。これらの食用油脂を用いることにより、甘い香りがして、風味を引き立たせ、おいしい食品を提供できる。

本発明にかかる食用油脂は、食品加工原料として用いることができる。食品加工原料とは、食品を加工するために用いるものを広く指し、特に限定はないが、例えば、フライ調理に用いるバッターが挙げられる。
本発明の食品は、甘い香りがし、風味が豊かになる。これは、単にバニリンを添加した作用というより、バニリンを含んだ食用油脂を調理に用いることで生じる作用である。
本発明は、別の観点からすれば、「食品の風味調整に有効な量のバニリンを含む食用油脂」を提供する。この食用油脂は、食品に用いた場合に、その食品の風味を調整できる程度に有効な量を含んでいる。
本発明は、別の観点からすれば、「オリザノール含有油脂を用いた食品の風味向上方法」を提供する。オリザノールは、それ自体に生理活性があるものの、香味付けや食品の風味を引き立たせるものではない。しかし、本発明により、オリザノール含有油脂を一定温度、一定時間加熱することにより、甘い香りがする食用油脂を提供し、この食用油脂を用いることにより、風味を引き立ち、よりおいしい食品を提供できる。オリザノール含有油脂としては、米油を用いることができる。米油は、それ自体、揚げ物等の油ちょう調理や、マヨネーズ等の加工品に用いられるが、一定温度、一定時間加熱させて、食品の風味を向上させる程度のバニリン量を生成させて用いることにより、より甘い香りがし、風味を引き立ち、おいしい食品を提供することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。実施例において、γ-オリザノール、バニリンの定量は、以下の方法により測定した。
γ-オリザノール定量:「ビタミン主薬製剤及び浣腸薬の試験法」(厚生省薬務局審査第二課制定)による分光光度法に準じて行なった。すなわち、米油0.05gを精秤し、n-ヘキサンを加え、100mLとする。この液について315nm付近の吸収極大波長における吸光度を吸光光度計 UV−160A(島津製作所製)で測定し定量した。
γ-オリザノール含量(%)=A/359×50000
A:315nm付近の吸収極大波長における吸光度
バニリンの定量:米油10gを秤量し、ヘキサン30mLに溶解した後、分液ロートに入れた。溶媒A=メタノール:水(60:40)30mLを分液ロートに加え接触後、下層を採取した。さらに溶媒A30mLを分液ロートに加え同等の操作を2回実施した。得られた下層(ヘキサン)を、ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、得られたサンプルをHPLCで分析した。定量にはバニリンのスタンダード(和光純薬工業製)にて検量線を作成した。
カラム:カプセルパックC18 UG120(3.0mm×250mm資生堂)
移動相:2%酢酸水溶液とメタノールによる2液グラジェント
流速:0.5μL/min(カラム温度40℃)
検出:UV254nm
フェルラ酸の定量:フェルラ酸スタンダード(アルドリッチ製)を用い、バニリンと同じ方法にて定量を行なった。
〔試験例1〕
[油脂中γ−オリザノール量によるフェルラ酸及びバニリンの生成量の違い]
γ−オリザノール高含有米油(日清オイリオグループ(株)製)、市販米油A、市販米油Bのγ-オリザノール含量を上記方法で測定した。さらにこれらサンプル8gを20mL試験管にとり、ブロックヒーターDTU−1C(タイテックコーポレーション製)で、180℃で30分間加熱し、放冷後、フェルラ酸含量、バニリン含量を上記方法で測定した〔実施例1〜3〕。測定結果を表1に示す。
Figure 0004679247
表1の結果より、未加熱のγ-オリザノール高含有米油中のγ-オリザノール含量は、市販米油Aの約2倍、市販米油Bの約15倍であることがわかる。また、180℃・30分間加熱による米油中のバニリンの生成量は、米油中のγ-オリザノール含量に比例して多いことがわかる。
〔試験例2〕
[加熱温度、加熱時間によるバニリンの生成量の違い]
試験例1で用いたγ−オリザノール高含有米油8gを20mL試験管に採取し、ブロックヒーターDTU−1C(タイテックコーポレーション製)で100℃、130℃、160℃、180℃までそれぞれ昇温した。目的温度での加熱時間は、それぞれ5分間と30分間とした。バニリン含量の測定は、加熱が終了したサンプルを室温まで放冷し、上記方法で測定した〔実施例4〜11〕。また、未加熱のγ-オリザノール高含有米油中のバニリン量を上記方法により測定した〔比較例1〕。測定結果を表2に示す。
Figure 0004679247
表2の結果より、いずれの処理条件においてもバニリンが生成することがわかる。また、180℃・5分間処理(実施例5)、160℃・30分間処理(実施例6)では、実験例7〜11に比してバニリンが多く生成することがわかる。さらに、180℃・30分間処理(実施例4)では、実験例5〜11に比してバニリンが多く生成することがわかる。未加熱のγ-オリザノール高含有米油中には、バニリンは存在していないことがわかる(比較例1)。
〔試験例3〕
[加熱処理した油の官能試験(オリザノール含量の違い)]
試験例1で用いたγ−オリザノール高含有米油(オリザノール含量1.53%)、市販米油A(オリザノール含量0.74%)、市販米油B(オリザノール含量0.10%)を使用し、それぞれの油100gをビーカーにとり、ホットプレートにより、180℃・5分間加熱し、加熱が終了した油を室温まで放冷した〔実施例12〜14〕。これらの油を用いて、16名のパネラーにより以下の評価方法で官能試験を行い、匂いと風味を評価した。評価結果を表3に示す。
<匂いと風味の評価方法>
評価は、官能試験専用のブースで各パネラー(16名)を隔離した状態において、各々の油の名称は伏せた状態で実施した。
風味の評価は油を口に含んだときの感じを、匂いの評価は油に鼻を近づけて匂いを嗅いだときの感じについて、嗜好に合う順位を付けることにより行った。評価が良いものを3点とし、以下2点、1点とし、合計点数を求めた。
Figure 0004679247
表3の結果より、加熱処理した場合、原料油中のγ-オリザノール含量が多いほど、油の風味、匂いが嗜好に合うものができることがわかる。また、実施例12は、実施例13,14に比して、甘い香りがして、おいしそうな風味がするという意見が多かった。
〔試験例4〕
[加熱処理した油脂の官能試験(オリザノールの有無)]
試験例1で用いたγ−オリザノール高含有米油(γ-オリザノール含量1.53%)、べに花油(日清オイリオグループ(株)製、γ-オリザノール含量0%)、綿実油(日清オイリオグループ(株)製、γ-オリザノール含量0%)を使用し、それぞれの油100gをビーカーにとり、ホットプレートにより、180℃・5分間加熱し、加熱が終了した油を室温まで放冷した〔実験例15、比較例2,3〕。これらの油を用いて、パネラーにより試験例3と同様の評価方法で官能試験を行い、匂いと風味を評価した。評価結果を表4に示す。
Figure 0004679247
表4の結果より、γ-オリザノール含む油を加熱処理したものは、γ−オリザノールを含まない油を加熱処理したもの比して、油の風味、匂いが嗜好に合うものができることがわかる。また、実施例15は、実施例16,17に比して、甘い香りがして、おいしそうな風味がするという意見が多かった。
〔試験例5〕
[バニリン含有油脂を用いた食品(海老の天ぷら)]
試験例1で用いたγ−オリザノール高含有米油を使用し、180℃で30分間加熱放置した後、180℃で海老の天ぷらを揚げた。海老の天ぷらは、海老8尾に対して、卵1個、冷水3/4カップ(175mL)、小麦粉1カップ(200mL)の配合で製したバッターを用いて、常法に従い、フライ調理を行った。対照として、同じロットの油を用い、180℃に上昇後直後に海老の天ぷらを揚げた。これらの海老の天ぷらを用いて、パネラーにより以下の評価方法で官能試験を行い、風味を評価した。評価は3点識別法により実施した。評価結果を表5に示す。
<風味の評価方法>
評価は、官能試験専用のブースで各パネラー(20名)を隔離した状態において、実施したフライ調理方法を伏せた状態で実施した。
サンプルとして、180℃に上昇後直後に揚げた海老の天ぷら2尾と、180℃で30分間加熱放置した後に揚げた海老の天ぷら1尾を用意し(合計3尾)、それぞれ食した後、他の2尾と比較して、風味が良好な1尾を判別する方法で実施した(3点識別法)。
Figure 0004679247
表5の結果より、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらは、有意に判別されるほど、風味が良好なことがわかる(有意水準0.1)。また、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらが、他の海老の天ぷらと比して、おいしいとの意見が多かった。
〔試験例6〕
[バニリン含有油脂を用いた食品(海老の天ぷら;調理後24時間後)]
試験例5で調理した海老の天ぷらを24時間保管し、風味を評価した。評価は、パネラーにより試験例5と同様の評価方法で官能試験で行った。評価結果を表6に示す。
Figure 0004679247
表6の結果より、フライ調理後24時間保管後においても、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらは、有意に判別されるほど、風味が良好なことがわかる(有意水準0.1)。また、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらが、全てのパネルより、おいしいとの意見を得た。
〔試験例7〕
[バニリン含有油脂を用いた食品(海老の天ぷら;調理後24時間後、電子レンジ加熱)]
試験例6の海老の天ぷらを電子レンジで2分加熱後、風味を評価した。評価は、20名のパネラーにより試験例5と同様の評価方法で官能試験で行った。評価結果を表7に示す。
Figure 0004679247
表7の結果より、フライ調理後24時間保管後の電子レンジ加熱においても、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらは、有意に判別されるほど、風味が良好なことがわかる(有意水準0.1)。また、180℃、30分加熱放置後に揚げた海老の天ぷらが、全てのパネルより、おいしいとの意見を得た。
〔試験例8〕
[バニリン含有油脂を用いた食品(マヨネーズ)]
試験例1で用いたγ−オリザノール高含有米油を使用し、180℃・5分間加熱し、加熱が終了した油を室温まで放冷した油よりマヨネーズを作成した。マヨネーズは、表8の配合により、常法に従い、調製した。対照として、未加熱の油を用い、上記同様のマヨネーズを作成した。これらのマヨネーズを用いて、パネラーにより以下の評価方法で官能試験を行い、風味を評価した。評価は3点識別法により実施した。評価結果を表9に示す。
<風味の評価方法>
評価は、官能試験専用のブースで各パネラー(20名)を隔離した状態において、実施したフライ調理方法を伏せた状態で実施した。
サンプルとして、180℃・5分間加熱した油で作成したマヨネーズを1サンプルと、未加熱の油で作成したマヨネーズを2サンプル用意し(合計3サンプル)、それぞれレタスにつけて試食を行なった後、他の2サンプルと比較して、風味が良好な1サンプルを判別する方法で実施した(3点識別法)。
Figure 0004679247
Figure 0004679247
表12の結果より、180℃、5分加熱した油を使用したマヨネーズは、有意に判別されるほど、風味が良好なことがわかる(有意水準0.1)。また、180℃、5分加熱した油を使用したマヨネーズは、他のマヨネーズと比して、おいしいとの意見が多かった。

Claims (8)

  1. バニリンを含有するフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  2. 前記バニリンの濃度が、0.01μg/g以上である請求項1に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  3. 前記バニリンの濃度が、0.1μg/g以上である請求項1に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  4. 前記バニリンの濃度が、0.5μg/g以上である請求項1に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  5. 前記バニリンが、オリザノール含有油脂を加熱して得られたものである請求項1から4のいずれか1項に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  6. 前記オリザノール含有油脂が、オリザノールを0.5質量%以上含有するものである請求項5項に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  7. 前記オリザノール含有油脂が、オリザノールを1質量%以上含有するものである請求項5項に記載のフライ調理品用、炒め物用の食用油脂。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載のフライ調理品用又は炒め物用の食用油脂を用いたフライ調理品又は炒め物。
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