JP4047187B2 - 液状調味料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煎りゴマの風味とこく味に優れると共に、柑橘類の風味の良好な液状調味料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴマは独特の香ばしい風味とこく味を有し、また、ユズ等の柑橘類は独特のさわやかな風味と酸味を有し、これらは共に、ドレッシング、焼肉・しゃぶしゃぶのたれ等の各種液状調味料の原料として多用されている。例えば、特許文献1には、柑橘類の果汁を含む液状調味料に、ゴマ油を2〜15%及びゴマペーストを0.3〜3%含有させることにより、酸味を程よく押さえたゴマ特有の風味と香りを有する液状調味料が記載されている。
【特許文献1】
特開平9−197号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ゴマを焙煎して煎りゴマを製すると、独特の香ばしい焙煎風味が表出するが、この焙煎風味は、主としてゴマ(ゴマ種子)の外種皮が焦げることにより生ずるロースト臭である。このロースト臭は、食欲をそそる快い風味ではあるものの特徴的な風味であるため、各種食品の原料として煎りゴマを用いた場合には、そのロースト臭により他の原料由来の香りが覆い隠されて(マスキングされて)しまうことがあり、特にユズ等の柑橘類の香りは影響を受け易く、香り立ちが悪くなるという問題がある。
【0004】
したがって、煎りゴマ及び柑橘類の果汁の両方を原料に用いた液状調味料を製する場合には、煎りゴマの使用量を少なめにする等、柑橘類の香りがマスキングされないように工夫する必要がある。一方、煎りゴマは独特のこく味を有するため、煎りゴマの使用量を減ずると、液状調味料に十分なこく味を付与できないという問題がある。
そのため、煎りゴマ及び柑橘類の両方を原料に用いた液状調味料であって、煎りゴマの香ばしい風味とこく味が十分に付与されており、しかも柑橘類の香りが良好に感じられる液状調味料は、未だ得られていなかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、煎りゴマ及び柑橘類の果汁の両方を原料に用いた液状調味料であって、煎りゴマの香ばしい焙煎風味とこく味が十分に付与されており、しかも柑橘類の香りが良好に感じられる液状調味料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、煎りゴマ及び柑橘類の果汁の両方を含む液状調味料を製するに際し、煎りゴマとして、ゴマの外種皮を取り除いて焙煎して製した、いわゆる「剥き煎りゴマ」を用いることにより、煎りゴマのロースト臭を減じることができ、液状調味料に煎りゴマを多く含有させて、香ばしい風味とこく味を十分に付与することが可能であり、しかも柑橘類の香りがマスキングされることなく、香り立ちを良好にできることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 煎りゴマ及び柑橘類の果汁を含有する液状調味料であって、煎りゴマとしてゴマの外種皮を取り除いて焙煎した煎りゴマのみを用いた液状調味料、
(2) 柑橘類の果汁として少なくともユズの果汁を含有する上記(1)に記載の液状調味料である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。尚、本発明において「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
本発明における液状調味料としては、ドレッシング、焼肉・しゃぶしゃぶ等のたれ、麺類のつゆ等の液状調味料全般が該当するが、本発明においては、水相と油相が水中油型に乳化した乳化型ドレッシングにおいて特に顕著な効果が表れる。
本発明の液状調味料は、柑橘類の果汁を含有しているため、独特のさわやかな風味と適度の酸味を有するものである。柑橘類の果汁の含有量は、液状調味料全体に対して0.1%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3%以上である。含有量を0.1%以上に調整することにより、柑橘類の香り立ちを良好にすることができ、0.3%以上とすれば、さらに柑橘類の香りの豊かな液状調味料を得ることができる。尚、果汁の含有量の上限は特になく、液状調味料全体の風味のバランス等を考慮して適宜定めればよい。
【0008】
本発明の液状調味料の原料として用いる柑橘類は、その種類は特に限定されず、例えば、ユズ、スダチ、カボス、レモン、ミカン、オレンジ、グレープフルーツ等のいずれもが使用可能であるが、特に、ユズの香りは、煎りゴマのロースト臭によってマスキングされ易いため、ユズ果汁を含む液状調味料においては本発明の効果が顕著である。
【0009】
また、本発明の液状調味料は、煎りゴマとして、ゴマの外種皮を取り除いて焙煎して製した剥き煎りゴマを含有させてある。ここで、剥き煎りゴマを用いるのは、主として煎りゴマのロースト臭を低減するためである。すなわち、煎りゴマのロースト臭は、主にゴマの外果皮が焦げることにより生ずるため、事前にゴマの外種皮を取り除いてから焙煎することにより、強いロースト臭を有しない煎りゴマを得ることができる。
【0010】
本発明の液状調味料は、煎りゴマとして、ゴマの外種皮を取り除いて焙煎した煎りゴマのみを含有しており、外種皮を取り除かずに焙煎した煎りゴマは実質的に含有していない。したがって、液状調味料中の煎りゴマの含有量を増やしてもロースト臭が強過ぎることはなく、柑橘類の香りがマスキングされずに、香りが十分に感じられ、かつ煎りゴマの焙煎風味とこく味が良好に付与された液状調味料を製することができる。
本発明の液状調味料における煎りゴマの含有量は、液状調味料に十分な焙煎風味とこく味を付与する観点から、1.0%以上であることが好ましく、より好ましくは3.0%以上である。尚、煎りゴマの含有量の上限は特になく、液状調味料全体の風味のバランス等を考慮して適宜定めればよい。
また、本発明において煎りゴマは、そのままの形状(ホール)で用いることができるが、細断化したり、粉状化したり、さらに食用油脂等と練り合わせてペースト状にしたもの等を用いることも可能である。
【0011】
尚、本発明の液状調味料は、煎りゴマとして剥き煎りゴマのみを含有するものであるが、これは、外種皮を取り除かずに焙煎した煎りゴマを全く含有しないことを意味するものではなく、外種皮を取り除かずに焙煎した煎りゴマが、液状調味料に少量混入していても、それが柑橘類の香りをマスキングしない程度の少量であれば含まれていても差し支えない。また、一般市販のゴマ油、練りゴマ、切りゴマ等その他のゴマ加工品についても、本発明の効果を損なわない範囲であれば、本発明の液状調味料の原料として用いることが可能である。
本発明で用いる剥き煎りゴマの製法としては、ゴマの外種皮を取り除いた後に焙煎する点以外は常法によればよく、例えば、通常の白ゴマ又は黒ゴマを清水と共に皮剥き機に投入して皮剥処理し、次いで分離機によりゴマから剥離した外種皮を水と共に分離除去し、得られた剥きゴマを脱水した後熱風乾燥機にて乾燥し、その後遠赤外線焙煎機等を用いて焙煎すればよい。
【0012】
本発明の液状調味料には、剥き煎りゴマ及び柑橘類の果汁以外に、本発明の効果を損なわない範囲で各種食品原料を適宜選択し含有させることができる。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油等の動植物油及びこれらの精製油、並びにMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド等のように化学的あるいは酵素的処理を施して得られる油脂等の食用油脂、ジャガイモ澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の何らかの処理を施した化工澱粉、湿熱処理を施した湿熱処理澱粉等の澱粉類、キサンタンガム、タマリンド種子ガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、グアーガム等の増粘材、食酢、クエン酸等の酸味材、醤油、グルタミン酸ナトリウム、食塩、砂糖等の各種調味料、卵黄、ホスホリパーゼA処理卵黄、全卵、卵白、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化材、動植物のエキス類、からし粉、ハーブ類等の香辛料等が挙げられる。また、本発明の液状調味料の製造方法は、剥き煎りゴマ及び柑橘類の果汁を含有させること以外は常法の製造方法に則ればよい。
【0013】
【実施例】
次に、本発明を実施例及び試験例に基づきさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
工程1:剥き煎りゴマの製造
乾燥処理した白ゴマを、清水と共に皮剥き機に投入して皮剥処理し、次いで分離機によりゴマから剥離した外種皮を水と共に分離除去し、得られた剥きゴマを脱水した後熱風乾燥機にて乾燥し、その後遠赤外線焙煎機等を用いて焙煎して煎り剥きゴマを製した。
工程2:液状調味料(乳化型ドレッシング)の製造
下記原料配合の水相原料をミキサーに投入して攪拌し、全体が均質になったところで、さらに攪拌しつつ下記原料配合の油相原料を除々に加えて乳化処理を行うことにより、水中油型乳化液状のドレッシングを製した。尚、得られた乳化型ドレッシング中の剥き煎りゴマは、上記ミキサーでの攪拌により、その約半量が細断化されていた。
得られた乳化型ドレッシングは、ユズの香りが十分に感じられ、かつ、煎りゴマの焙煎風味とこく味を有し、非常に美味しいものであった。
【0014】
【0015】
[実施例2]
工程1:剥き煎りゴマの製造
実施例1の工程1と同様の方法にて剥き煎りゴマを製した。
工程2:液状調味料(分離型ドレッシング)の製造
下記原料配合の水相原料をミキサーに投入して攪拌し、全体が均質になったところで油相原料(サラダ油)を加えて攪拌・混合して分離型ドレッシングを製した。
得られた分離型ドレッシングは、ユズの香りが十分に感じられ、かつ、煎りゴマの焙煎風味とこく味を有し、非常に美味しいものであった。
【0016】
【0017】
【試験例】
[試験例1]
実施例1の乳化型ドレッシングにおいて、表1に示すように、配合原料中の剥き煎りゴマを、ゴマの外種皮を取り除かずに焙煎して製した煎りゴマ(「外種皮付き煎りゴマ」と称する。)に変更し、また、ユズ果汁を他の柑橘類(レモン)の果汁に変更して、4種類のドレッシング1−a〜1−dを製した。尚、ドレッシング1−aは、実施例1のドレッシングと同じものである。
次に、得られたドレッシング1−a〜1−dについて風味の官能評価を行った。評価方法は、ドレッシングをスプーンに取り、そのまま食したときに得られた印象にて評価した。得られた結果は表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
表1から、ドレッシングの原料に煎りゴマとして剥き煎りゴマを使用した場合には、ユズ及びレモンの風味が良好に感じられるが、外種皮付き煎りゴマを使用した場合には、ユズの風味については弱く、レモンの風味についてはやや弱く感じられることがわかる。
【0020】
[試験例2]
実施例1の乳化型ドレッシングにおいて、表2に示すように、配合原料中の剥き煎りゴマの配合量を変更し、また、ユズ果汁の配合量を変更して、9種類のドレッシング2−a〜2−iを製した。その際、剥き煎りゴマとユズ果汁の配合量変更に伴う質量の補正は清水にておこなった。尚、ドレッシング2−dは、実施例1のドレッシングと同じものである。
次に、得られたドレッシング2−a〜2−iについて風味の官能評価を行った。評価方法は、ドレッシングをスプーンに取り、そのまま食したときに得られた印象にて評価した。得られた結果は表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2から、ドレッシングに剥き煎りゴマを1.0%以上含有させた場合に、剥き煎りゴマの風味及びこく味が良好となり、3.0%以上の場合にさらに好ましいことがわかる。また、ユズ果汁を0.1%以上含有させた場合にユズの風味が良好となり、0.3%以上の場合にさらに好ましいことがわかる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、煎りゴマ及び柑橘類の果汁を含有する液状調味料において、煎りゴマとして、ゴマの外種皮を取り除いて焙煎した煎りゴマのみを含有させてあるため、煎りゴマのロースト臭によって柑橘類の香りがマスキングされ難く、柑橘類の香りが十分に感じられ、かつ煎りゴマの香ばしい焙煎風味とこく味が良好に付与された液状調味料を提供することができる。
Claims (2)
- 煎りゴマ及び柑橘類の果汁を含有する液状調味料であって、煎りゴマとしてゴマの外種皮を取り除いて焙煎した煎りゴマのみを用いた液状調味料。
- 柑橘類の果汁として少なくともユズの果汁を含有する請求項1に記載の液状調味料。
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