JP6038505B2 - 開閉式天窓 - Google Patents

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Description

本発明は、建物の屋根に設けられる開閉式天窓に関する。
住宅などには、主に採光を目的として屋根に天窓が設置されることがある。天窓は、室内から手の届かない位置に設けられることが多いため、固定式のものも多いが、通風や換気ができるように開閉式とされたものもある。開閉式天窓としては、手動式のもののほか、リモコンや有線接続された操作盤での操作に応じて電動で開閉するものも実用化されている。
天窓の開閉機構として様々な形式のものが提案されている。例えば、屋根の開口に取付けた固定枠と、固定枠に対して開閉可能な可動窓とを、X字状をなすように中間部で互いに軸支した2本のリンクにより連結し、リンクの軸支部から固定枠側の連結部までの距離と可動窓側の連結部までの距離とを異ならせることにより、可動窓を傾動させるようにした開閉式天窓が特許文献1に提案されている。
また、開状態において突風などの強風に可動窓が煽られて破損することを防止できる開閉式天窓として、屋根の開口に取付けた固定枠と、固定枠に蝶番で枢着した回動可能な可動窓とをガススプリングにより連結し、ガススプリングが可動窓を常時開方向に付勢するとともに閉方向へのあおりの衝撃を和らげるようにするとともに、長孔を形成した棒状のステーの一端を可動窓に枢着し、固定枠に設けたピンをこの長孔に遊嵌させることにより、可動窓の開方向への回動角度をステーで規制するようにした開閉式天窓が特許文献2に提案されている。
特開昭63−27656号公報 特開昭61−94115号公報
しかしながら、従来の開閉式天窓では、開口時の可動窓の支持剛性が十分ではなかった。すなわち、特許文献1の開閉式天窓では、可動窓が2本のリンクのみによって支持され、リンクが棒状の長尺部材であり、かつ固定窓にも可動窓にも枢着されるだけであるために可動窓の支持剛性を高めることは困難であった。一方、特許文献2の開閉式天窓では、可動窓の蝶番側の支持剛性は高いが、スライド動作を行うことはできず、スライド動作を可能な構成とした場合には蝶番側の支持剛性は期待できず、遊端側も、可動窓にいずれも枢着されるガススプリングおよびステーによって支持されるため、支持剛性は殆ど期待できない。また、これらの開閉機構は可動窓の強度向上に役立つものでもなかった。
本発明は、このような背景に鑑みなされたもので、チルト及びスライド動作可能な可動窓の支持剛性および強度を向上することのできる開閉式天窓を提供することを主な目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、屋根(2)に固定される固定枠(3)の開口(3a)をチルト及びスライド動作可能な可動窓(4)により開閉する開閉式天窓(1)であって、前記固定枠に設置されたガイドレール(5)と、ピン(39)を備え、前記ガイドレールを摺動するスライダ(23)と、前記可動窓に固定され、前記ピンに係合するとともに前記スライダの摺動動作に伴って前記可動窓がチルト動作するように形状が定められるカム溝(40)が形成されたステー(10)とを有する構成とする。
上記構成によれば、ステーが可動窓に固定されるため、可動窓を補強することができる。また、スライダが可動窓に固定されたステーを直接的に支持することにより、可動窓の支持剛性を高くすることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記ピンにより駆動され、前記ピンが前記カム溝の端部(45)以外に位置する間には前記可動窓のスライド動作を阻止する位置に変位する一方、前記ピンが前記カム溝の端部(45)に位置するきには前記可動窓のスライド動作を許容する位置に変位するロック部材(26)を更に有する構成とすることができ、これにより、可動窓のチルト動作とスライド動作とを確実に行わせることができる。
また、本発明の一側面によれば、前記ガイドレールには、前記可動窓が閉位置近傍にあるときに前記ステーを受容する受容部(5b)が形成されている構成とすることができ、これにより、ステーを大型化して可動窓のチルト動作を大きくすることができる。
このように本発明によれば、チルト及びスライド動作可能な可動窓の支持剛性および強度を向上できる開閉式天窓を提供することができる。
実施形態に係る開閉式天窓のチルトアップ状態を示す概略斜視図 図1に示す開閉式天窓の開状態を示す概略斜視図 図1に示す固定枠の平面図 図3に示す前側フレームの拡大平面図 図3中のV−V断面図 図3中のVI−VI断面図 図3中のVII−VII断面図 図7中のVIII−VIII断面図 図7中のIX−IX断面図 図8中のX−X断面図 図1に示す開閉式天窓の後部断面図 チルトアップ状態を示す図8に対応する図 チルトアップ状態を示す図9に対応する図 図3に示す後側フレームの下面図 幅狭の開閉式天窓に用いる図3に対応する固定枠の平面図
以下、本発明に係る開閉式天窓(以下、単に天窓1と記す。)を住宅の屋根2に適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、左右や前後、内側および外側に一対に設けられる部材などには、必要に応じて符号の後に左右前後を示す添字l、r、f、b、内外を示す添字i、oを付し、例えば左側ガイドレール5l、内側スライダガイド溝31iと記し、左右を特定しない場合および総称する場合には単にガイドレール5、スライダガイド溝31などと記して説明する。
図1および図2に示すように、天窓1は、傾斜した屋根2に屋根2と平行かつ屋根2から突出する態様で固定される固定枠3と、固定枠3が形成する開口3aを開閉する可動窓4とを有している。なお、図1は、可動窓4が、開口3aを閉じる全閉位置から下側を跳ね上げるチルト動作を終えて固定枠3に対して傾斜し、スライド動作を開始する前のチルトアップ状態の天窓1を示しており、図2は、可動窓4が、開口3aを開いた全開位置、すなわち固定枠3に対して傾斜したまま後方(上方)へのスライド動作を終えた全開位置にある全開状態の天窓1を示している。
以下の説明では、図1に矢印で示すように、可動窓4の閉側へのスライド方向を前方とし、可動窓4の開側へのスライド方向を後方とし、可動窓4のスライド方向に対する側方を左右とするものとする。また、上下方向は、図1に矢印で示す設置状態での鉛直方向を基準とするが、傾斜した屋根2に平行に設けられる部材などの説明をする際には、屋根2から離れた側を便宜上「上」と称することがある。
図2に示すように、可動窓4の後端には、後述する前後方向にスライド可能なスライドバー24が連結ピン25を介して揺動可能に連結しており、可動窓4は、この連結ピン25を中心にして傾動(チルト動作)する。また可動窓4は後部の荷重をこのスライドバー24によって支持される。
図3は、後述するカバー部材29を取外した状態の固定枠3の平面視(屋根2に対して直交方向から見た状態)を示している。固定枠3は、平面視で矩形を呈しており、矩形の開口3aを形成している。固定枠3の両側部の上部(屋根2から離間した側)には、左右一対のガイドレール5l、5rが開口3aの両側縁に沿って互いに平行をなすように設置されている。また、固定枠3の前部および後部の上部には、前側フレーム6および後側フレーム7が開口3aの前後縁に沿って互いに平行をなすように設置されている。
一方、可動窓4は、図1、2に示すように固定枠3に対応する矩形状を呈する窓枠8と、窓枠8に支持された透明または半透明の窓部9とを有している。窓枠8の両側部の前端近傍には、室内側に向けて突出して前後方向に延在する略三角形の一対のステー10l、10rが窓枠8に固定されている。ステー10は剛性の高い金属板から形成され、且つ棒状のステーに比べて大型に形成されており、これにより窓枠8の補強が図られている。
図5〜図7に示すように、固定枠3は、上向きに開口する溝11aが形成され、断面がU字状を呈する直線状の枠部材11(11l、11r、11f、11b)を矩形に接合して構成されている。ここでは枠部材11は合成樹脂により形成される。なお、枠部材11として木材を用いてもよい。
図4、図6に示すように、後側フレーム7は、複数のビス12により後側枠部材11bに締結される。また、後側フレーム7は、図3および図4に示すように、互いに連結された左右2つの板状のフレーム部材13l、13rにより構成され、両ガイドレール5l、5rの後端を連結している。両フレーム部材13l、13rの互いの連結縁には、凸部14と凹部15とがそれぞれ形成されており、凸部14と凹部15とが嵌合することによって両フレーム部材13l、13rが前後方向の相対位置を決めされた状態で固定枠3に設置される。なお、両フレーム部材13l、13rは、樹脂材の射出成形により形成される。
図4に破線で示すように、後側フレーム7のうちの右側フレーム部材13rの下面には、可動窓4を駆動するための電動モータ16や、電動モータ16の出力軸に設けられたウォームギヤ16a(図6参照)に噛合して駆動力を伝達する動力伝達機構としての変速機構17、並びに電動モータ16のドライバやリモコン受光部を備えて電動モータ16を駆動制御する制御基板18が取付けられる。
図4、図6に示すように、右側フレーム部材13rの前後方向の略中央には、貫通孔13aが形成されており、この貫通孔13aには変速機構17の出力軸に設けられたピニオンギヤ19が収容されている。ピニオンギヤ19は、後述するラックベルト21を押し引きするドライブギヤであり、軸線を右側フレーム部材13rに直交させて配置される。
図4、図5、図6に示すように、後側フレーム7の上面(屋根2から離間した面、以下同様)には、貫通孔13aの後部および前部に接続し且つ左右方向に延在する一対のガイド溝20(20l、20r)が形成されている。なお、ガイド溝20は、左側ガイドレール5lに摺合する左側スライダ23l(図3)駆動用としてピニオンギヤ19の後側に配置されたものを左側ガイド溝20lとし、右側ガイドレール5rに摺合する右側スライダ23r(図3)駆動用としてピニオンギヤ19の前側に配置されたものを右側ガイド溝20rと称するものとする。
一対のガイド溝20l、20rは、図4に示すように、左側ガイドレール5lとの接続部から後方且つ内方に向けて湾曲した後、後側フレーム7の後縁近傍を通って右方向に直線状に延び、右側フレーム部材13rに至った後に一旦前方へ膨らんで再度後側フレーム7の後縁近傍を通って右方向に延び、さらに後方に湾曲して右側ガイドレール5rとの接続部に至るように形成されている。両ガイド溝20l、20rは、交差することなく形成されており、左側ガイドレール5lとの接続部において外側に配置された左側ガイド溝20lは、右側ガイドレール5rとの接続部においても外側に配置される。
両ガイド溝20l、20rには、ピニオンギヤ19に噛み合うドリブンギヤ21aが形成された一対のラックベルト21l、21rが収容される。両ラックベルト21l、21rは、後述する左右のスライダ23l、23rの一方にその一端がそれぞれ連結されており、電動モータ16の駆動力をスライダ23に伝達する動力伝達部材である。
左側スライダ23lに連結する左側ラックベルト21lは、後側フレーム7においてドリブンギヤ21aを前方に向けて、後側に配置された左側ガイド溝20lに摺合する。一方、右側スライダ23rに連結する右側ラックベルト21rは、後側フレーム7においてドリブンギヤ21aを後方に向けて、前側に配置された右側ガイド溝20rに摺合する。なお、ガイド溝20の湾曲部は、曲率半径が小さいとラックベルト21の駆動荷重が大きくなるため、曲率半径が極力大きくなるように設定されている。
前記した貫通孔13aは、両ガイド溝20l、20rの前方へ膨らんだ部分のうちの一方の傾斜部に形成されており、この貫通孔13aに接する部分の溝間距離L1は、左右のガイドレール5l、5rとの接続部を除く他の部分の溝間距離L2よりも大きくなっている。これにより、後側フレーム7の前後寸法を大きくすることなく、ピニオンギヤ19を大径化することが可能になっている。
一方、後側フレーム7のうちの右側フレーム部材13rの上面には、前側に形成された右側ガイド溝20rに連通する態様で2つの凹部13bが形成されており、両凹部13bには、連通位置における右側ガイド溝20r内の右側ラックベルト21rの存否に応じてオンオフする2つのセンサ22が収容されている。なお、図3中、右側のセンサ22は、右側ラックベルト21rが存在しなくなってオフしたときに可動窓4が全閉位置に達したことを検出する全閉位置センサである。一方、左側のセンサ22は、右側ラックベルト21rが存在するようになってオンしたときに可動窓4がチルトアップ位置に達したことを検出するチルト位置センサである。また、右側スライダ23rの存否に応じて可動窓4が全開位置に達したことを検出する図示しない全開位置センサが右側ガイドレール5rに設置される。
また、後側フレーム7のうちの右側フレーム部材13rの上面には、複数(ここでは3つ)の肉抜き13cが適所に分散するように形成されている。一方、後側フレーム7のうちの左側フレーム部材13lの上面には、右側フレーム部材13rのものに比べて大きな肉抜き13cが1つ形成されている。これらの肉抜き13cは、平面視で各フレーム部材13の端縁に至らないように形成されており、フレーム部材13の強度低下防止と、軽量化との両立が図られている。また、これらの肉抜き13cは、平面視で両フレーム部材13l、13rの連結縁に至らないように形成されており、これにより、連結部の強度の低下防止も図られている。
なお、後側フレーム7の上面にはその全面を覆うカバー部材29が取付けられ、貫通孔13aや凹部13b、肉抜き13c、ガイド溝20などはすべてカバー部材29により覆われる。
図7に示すように、左右のガイドレール5l、5rは、アルミニウム合金材の押出成形によって形成され、同一断面形状を呈する部材を左右で対称となる向きに設置して構成される。各ガイドレール5は、スライダ23を案内する内側および外側スライダガイド溝31i、31oと、一方のスライダガイド溝31に連通するようにスライダガイド溝31の内側および外側に設けられた一対のベルトガイド溝32i、32oと、外側スライダガイド溝31oおよび外側ベルトガイド溝32oの上方に形成され、後述するロックアーム26を案内するロックアームガイド溝33と、ロックアームガイド溝33と連通するように最も外側に形成され、スライドバー24を案内するスライドバーガイド溝34とを形成している。
内側および外側スライダガイド溝31i、31oは、互いに対向する面が開口する向きに互いに離間して形成されている。ガイドレール5は、両スライダガイド溝31i、31oを画成する壁を連結する下壁5aを有することによって一体とされている一方、内側および外側スライダガイド溝31i、31o間では上壁を有せずに開放状態を形成している。
ガイドレール5の内側スライダガイド溝31iの上方には保持溝35が形成されている。この保持溝35には、可動窓4とガイドレール5との間を止水するウェザーストリップ36が保持される。このウェザーストリップ36は、図3では図示省略しているが、固定枠3の開口3aを囲むように設置される。
スライダ23は、内側および外側スライダガイド溝31i、31oに摺合する板状の摺合部37と、摺合部37の左右方向の中央部から上方に突出する内外対の支持壁38i、38oと、一対の支持壁38i、38oにより支持されたピン39とを有している。なお、摺合部37は、内側および外側スライダガイド溝31o、31oを画成する壁により上下左右のいずれの方向にも支持される。ピン39は、一対の支持壁38i、38o間に延在するだけでなく、外側の支持壁38oからさらに外方に突出し、ロックアームガイド溝33内に進入している。
スライダ23は、ピン39を介して、一対の支持壁38i、38o間に配置されたステー10と連結しており、可動窓4の前部の荷重を支持する。このように、上下左右に支持されたスライダ23が、可動窓10に固定されたステー10を直接的に支持することにより、可動窓4の支持剛性が高くなっている。また、ステー10が一対の支持壁38i、38oの間に配置されてピン39により支持されることによっても、可動窓4の支持剛性が高くなっている。
各スライダ23l、23rは、2本のラックベルト21l、21rのうちの対応する側の一本と連結されており、両ラックベルト21l、21rがピニオンギヤ19により同期的に駆動されることにより、スライダガイド溝31内を前後に摺動する。ここで、左側ガイドレール5lでは、左側スライダ23lに連結する左側ラックベルト21lが外側ベルトガイド溝32oに摺合する一方、右側ガイドレール5rでは、右側スライダ23rに連結する右側ラックベルト21rが内側ベルトガイド溝32iに摺合している。つまり、ラックベルト21が左右で非対称な配置とされている。
このように、ラックベルト21の配置を左右のガイドレール5l、5rで非対称にすることにより、前後逆さまに配置すると左右対称の形状になる同一断面の共通部材を用いることが可能になり、部品コストの削減が図られる。
図8に示すように、可動窓4の窓枠8に固定されたステー10には、窓枠8に対して傾斜する前縁に沿ってチルトカム溝40が形成されている。ステー10は、チルトカム溝40とピン39とが係合することでスライダ23と連結する。可動窓4が開口3aを閉じた図8に示す状態において、チルトカム溝40は、前端40aから固定枠3と平行に後方へ延びた後、下方へ湾曲して後方斜め下方へ直線状に伸び、その後上方へ湾曲して固定枠3に対して後方斜め上方へ延びて後端40bに至る。ここでは、前端40aから後方へ延びる部分を第1直線部41、それに続く湾曲部を第1湾曲部42、後方斜め下方へ延びる部分を傾斜部43、それに続く湾曲部を第2湾曲部44、後方斜め上方へ延びる部分を第2直線部45と称することとする。
図8、図10に示すように、左右のガイドレール5l、5rには、可動窓4が全閉位置にあるときに、ステー10を受容するスリット5bが内側および外側スライダガイド溝31i、31o間の下壁5aに形成されている。このスリット5bの下方には、固定枠3を構成する枠部材11の溝11aが開口しており、ステー10は、閉状態において、ガイドレール5のスリット5bと固定枠3の溝11aに受容される。これにより、上下寸法の大きなステー10を可動窓4に取付けることが可能になり、後述する可動窓4の傾動動作を大きくできるようになっている。
図9、図10に示すように、ロックアームガイド溝33にはロックアーム26が摺合している。ロックアーム26は、支持軸26a回りに揺動自在にスライドバー24により支持されており、スライドバー24と共に、すなわち可動窓4と共に前後にスライドする。ロックアーム26の後端には、上方に突出する係合爪26bが形成されており、図9に示す可動窓4が全閉位置にある状態において、ロックアームガイド溝33の上壁には係合爪26bが突入可能な切欠33aが形成されている。
ロックアーム26のスライドバー24と反対側(内側)の側面には前後方向に延びるロックカム溝46が形成されており、このロックカム溝46にはピン39の突出部が摺合している。図9に示すように係合爪26bが切欠33aに突入した状態では、ロックカム溝46は、前端46aから固定枠3と平行に後方へ延びた後、上方に湾曲して後方斜め上方へ延びて後端46bに至っている。ここでは、前端46aから後方へ延びる部分を直線部47、後方斜め上方へ延びる部分を傾斜部48と称することとする。
図11は、可動窓4が全閉位置にあるときの天窓1の後端部の断面図である。天窓1の上側に位置する後端部は、他の部位に比べて雨水が進入しやすいため、以下のような止水構造50が設けられている。
まず、可動窓4の窓枠8のうち、後側(屋根2の上側)に位置する上側可動フレーム8Uには、後方から固定枠3を覆う別部材の外側庇52が固定されている。この外側庇52の屋根2側の端部は、前方(屋根2の下方)に向けて屈曲形成され、開口3aの後縁の全長にわたって延在するように前方に向けて突出する可動側第2突片52aとされている。可動側第2突片52aは、その先端が固定枠3から離間する突出高さとされている。さらに外側庇52の内側には、屋根2側の端部が前方に向けて屈曲形成され、可動側第2突片52aよりも屋根2から離間した位置にて開口3aの後縁の全長にわたって延在するように前方に向けて突出する可動側第1突片51aを有する内側庇51が固定されている。
一方、固定枠3の後側(屋根2の上側)に位置する後側枠部材11bおよび後側フレーム7にも、後面のその上縁に沿って止水部材53が取付けられている。止水部材53の後面には、屋根2からの離間距離が異なる位置、すなわち屋根直交方向に異なる位置にて、開口3aの後縁の全長にわたって延在するように後方に向けて突出する一対の固定側突片54、55が形成されている。一対の固定側突片54、55は、可動窓4が開口3aを閉じた状態において、可動側第1突片51aを挟むとともに可動側第1突片51aから屋根直交方向に離間した位置に設けられ、可動側第1突片51aの先端側の半分を挟む(屋根直交視で重なる)突出高さに形成されている。また、屋根2寄りに配置された固定側突片54は、その先端が可動側第2突片52aの先端に対向する位置に設けられている。
このように、屋根2寄りの固定側突片54と可動側第2突片52aとが先端を対向させて配置されることにより、可動窓4の下面と固定枠3の上面とによる止水部56への雨水の浸入が抑制され、さらに、一対の固定側突片54、55と可動側第1突片51aとがラビリンス構造を構成することにより、止水部56への雨水の浸入が一層抑制される。
次に、図8、図9並びに図12、図13を参照して、可動窓4の作動について説明する。図8および図9に示す全閉状態において、電動モータ16が駆動され、変速機構17を介して一対のラックベルト21l、21rが一対のスライダ23l、23rを後方へ摺動させると、ピン39がチルトカム溝40およびロックカム溝46内を摺動する。両カム溝40、46が固定枠3に平行に延在している区間(チルトカム溝40の第1直線部41)では、スライダ23のみが後方に摺動し、可動窓4もロックアーム26も変位しない。
図8を参照して、その後、ピン39がチルトカム溝40第1湾曲部42に差し掛かると、ステー10を押し上げ、可動窓4がチルト動作を開始する。このとき、ステー10にはピン39から可動窓4を後方へ移動させる力も加わるが、ロックアーム26の係合爪26bが切欠33aに係合し、ロックアーム26がスライドバー24の移動を阻止するため、可動窓4はスライド移動することなくチルト動作のみを行うことになる。
ピン39が傾斜部43を摺動する間、可動窓4はチルト動作のみを行い、ピン39が第2湾曲部44を通過すると、図12に示すように、可動窓4はチルト動作を完了し、ステー10の下端がガイドレール5の下壁5aよりも高い位置にくる。つまり、スライダ23のステー10に対する相対移動により可動窓4がチルト動作するようにチルトカム溝40の形状が定められている。そして、可動窓4が全閉位置近傍、具体的には全閉位置からチルトアップ位置の手前の間にあるときに、ステー10はガイドレール5のスリット5bに受容される。
なお、図11を参照すると、上記したように一対の固定側突片54、55が可動側第1突片51aを挟む高さに形成されているが、可動側第1突片51aが固定側突片54、55に対して屋根直交方向に離間した位置に設けられ、且つ可動側第1突片51aの先端が固定枠3から離間しているため、可動窓4が連結ピン25を中心にしてチルト動作を行った際に可動側第1突片51aが固定側突片54、55と干渉することはない。また、可動側第2突片52aも、固定側突片54の先端に対向するように設けられているが、連結ピン25が可動側第2突片52aの先端よりも前方かつ屋根2から離間した位置に設けられているため、可動窓4がチルト動作を行った際に固定側突片54と干渉することはない。
図12に示すように、可動窓4がチルト動作を完了した状態では、第2直線部45が固定枠3と平行に延在した状態となる。ピン39が第2直線部45を摺動する間に、図13に示すように、ピン39は次にロックカム溝46の傾斜部48に差し掛かり、ロックアーム26が傾動して係合爪26bが切欠33aから離脱する。その後、ピン39はロックカム溝46の後端46bに係合し、可動窓4を傾斜した状態のまま後方へスライドさせる。つまり、ロックカム溝46の後端46bとピン39とは、可動窓4がチルト動作完了位置に達したときに、スライダ23と可動窓4とを互いに一体的に後方(開方向)にスライド動作させる係合構造を構成している。
なお、ピン39が、ロックカム溝46の後端46bだけでなくチルトカム溝40の後端40bに係合し、或いはロックカム溝46の後端46bの代わりにチルトカム溝40の後端40bに係合し、可動窓4を後方へスライドさせる形態としてもよい。これらの場合には、ピン39が係合するチルトカム溝40の後端40b、或いはチルトカム溝40の後端40bおよびロックカム溝46の後端46bと、ピン39とが、係合構造を構成することになる。
また、ロックアーム26は、ピン39がチルトカム溝40の後端40b以外の位置にある間には可動窓4のスライド動作を阻止する位置(係合爪26bが切欠33aに突入する位置)に変位し、ピン39がチルトカム溝40の後端40bに位置するときには可動窓4のスライド動作を許容する位置(係合爪26bが切欠33aから離脱する位置)に変位するように、ピン39により駆動される。
そして、スライダ23が可動窓4と共に後方にスライドしてガイドレール5の後端付近の所定の全開位置にくると、天窓1は図2に示す可動窓4が全開位置に配置された全開状態となる。なお、ガイドレール5のスライドバーガイド溝34には、スライドバー24が全開状態の位置からさらに後方に移動することを防止する図示しないストッパが設けられる。
図12、図13に示すように、可動窓4がチルトアップ位置と全開位置との間にあるときには、ピン39が係合するチルトカム溝40の第2直線部45は、上記したように固定枠3と平行に延在しているが、ロックアーム26が、ロックアームガイド溝33の上壁および下壁によって回動を規制され、スライダ23に対して相対移動できない状態となる、すなわち可動窓4がスライダ23に対して相対移動できない状態となるため、ピン39がチルトカム溝40の第2直線部45から移動して可動窓4がチルトダウンするようなことはない。
可動窓4の閉方向の動作は上記開方向の動作と逆になるものである。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。
このように構成された天窓1は、リモコン操作や有線接続されたスイッチ盤での操作に応じ、制御基板18が電動モータ16を駆動制御することにより、固定窓をチルトおよびスライド動作させ、固定枠3の開口3aを開閉することができる。本実施形態では、チルト位置を検出するセンサ22によって可動窓4のチルトアップ位置を検出できるため、例えば開方向への操作として、チルトアップ動作と、全開動作とを設定することができる。
上記したように、後側フレーム7(図4)は、左右2つフレーム部材13l、13rを連結して構成されている。そして、右側フレーム部材13rには、貫通孔13aが形成されるとともに、その上面には2つのセンサ22を収容するための凹部13bが形成される。さらに右側フレーム部材13rの下面には、電動モータ16や変速機構17、制御基板18が取付けられるため、図14に示すように、複数の取付ボス13dが形成される。そのため、右側フレーム部材13r成形用の金型が複雑になり高価になる。
一方、天窓1には、ユーザのニーズに応えて様々な大きさのものを用意する必要があり、後側フレーム7を一体で成型する場合には、複雑で高価な金型を寸法別に製作する必要があるため、製造コストが高くなる。そこで、本実施形態では、後側フレーム7を左右に分割して形成し、これを連結する態様としている。
例えば、図3に示した後側フレーム7よりも短いものを製作する場合、図15に示すように、図3の左側フレーム部材13lよりも短い左側フレーム部材13l’を製作し、共通部材である右側フレーム部材13rと連結させる。これにより、複雑で高価な金型を複数製作することなく、様々な寸法の後側フレーム7を安価に製作することができる。
右側フレーム部材13rには、2つのセンサ22(全閉位置センサおよびチルト位置センサ)も設けられる。したがって、左側フレーム部材13lの寸法や両ガイドレール5l、5rの寸法を変更した場合にも、センサ22は同じ位置に設置され、それぞれ機能するようでなければならない。本実施形態では、これらのセンサ22を、右側スライダ23rを駆動する右側ラックベルト21rの右側ガイドレール5rから延出した端部の通過を検出するものとしているため、左側フレーム部材13lの寸法や両ガイドレール5l、5rの寸法を変更した場合であっても、位置を変更することなく両センサ22を機能させることができる。
以上で具体的実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、駆動力伝達手段としてラックベルトを用いているが、ドリブンギヤが螺旋状に形成されたプッシュプルケーブルを用いてもよい。一方、上記実施形態に示した本発明に係る天窓1の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、適宜取捨選択可能である。
1 天窓
2 屋根
3 固定枠
3a 開口
4 可動窓
5 ガイドレール
5b スリット
10 ステー
23 スライダ
26 ロックアーム
39 ピン
40 チルトカム溝
45 第2直線部(端部)

Claims (3)

  1. 屋根に固定され開口を形成する固定枠と、
    前記固定枠に互いに平行に設置された一対のガイドレールと、
    前記ガイドレールに沿ってスライド動作可能であるとともに、前記開口を閉じる全閉位置と前記固定枠に対して傾斜したチルトアップ位置との間でチルト動作可能な可動窓と、
    ピンを備え、前記ガイドレールを摺動するように駆動されるスライダと、
    前記可動窓に固定されステーと、
    前記ステーに形成され前記ピンに係合するとともに前記スライダの摺動動作に伴って前記可動窓がチルト動作するように形状が定められ、前記可動窓が前記全閉位置にあるときに前記ピンが位置する第1端部及び前記可動窓が前記チルトアップ位置にあるときに前記ピンが位置する第2端部を有するカム溝と、
    前記可動窓とともに前記ガイドレールに沿ってスライドするように設けられ、前記ピンが前記第2端部以外の前記カム溝内の位置にあるときに前記可動窓のスライド動作を阻止する位置に変位する一方、前記ピンが前記カム溝の前記第2端部に位置するときに前記可動窓のスライド動作を許容する位置に変位するように、前記ピンにより駆動されるロック部材と
    を有することを特徴とする開閉式天窓。
  2. 前記ロック部材には、前記ピンに係合するとともに、前記スライダの前記ロック部材に対する移動に伴って、前記可動窓のスライド動作を阻止する位置と前記可動窓のスライド動作を許容する位置との間で前記ロック部材を変位させるように形状が定められたロックカム溝が形成され、
    前記ロック部材が前記可動窓のスライド動作を許容する位置にあるときに、前記ロック部材が前記スライダに対して相対移動不能なように前記ロックカム溝が前記ピンに係合することを特徴とする請求項1に記載の開閉式天窓。
  3. 前記ステーは前記可動窓から前記ガイドレール側に突出するように前記可動窓に固定されており、
    前記ガイドレールの前記可動窓と相反する側の下壁には、前記可動窓が前記全閉位にあるときに前記ステーの前記可動窓から突出する部分を受容するスリットが形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の開閉式天窓。
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