JP6036672B2 - 水酸化ニッケル粉末のケーキ乾燥方法およびそれを用いたニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

水酸化ニッケル粉末のケーキ乾燥方法およびそれを用いたニッケル粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水酸化ニッケル粉末のケーキ乾燥方法およびそれを用いたニッケル粉末の製造方法に関し、より詳しくは、水酸化ニッケルのケーキを乾燥させる際に、乾燥機内への固着を防止でき、乾燥後の篩処理時に篩上量を減らすことができる乾燥方法および積層セラミックコンデンサの内部電極として好適なニッケル粉末の原料となる水酸化ニッケル粉末の製造方法に関する。
従来から、ニッケル粉末は、厚膜導電体を作製するための導電ペーストの材料として使用されている。該厚膜導電体は、電気回路の形成、積層セラミックコンデンサ(multilayer ceramic capacitors:MLCC)及び多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極等に用いられている。特に、積層セラミックコンデンサでは、近年、小型・高容量化の要求から高積層化が進み、そのために用いる導電ペーストの使用量も大幅に増加している。このため、導電ペーストに使用する金属粉末としては、高価な貴金属が敬遠され、安価なニッケルなどの卑金属が主流となっている。
積層セラミックコンデンサは、例えば、次のような方法で製造される。
まず、ニッケル粉末と、エチルセルロース等の樹脂と、ターピネオール等の有機溶剤等とを混練して得られた導電ペーストを、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷して内部電極を作製する。次に、印刷された内部電極が交互に重なるように誘電体グリーンシートを積層し、圧着する。その後、積層体を所定の大きさにカットし、有機バインダとして使用したエチルセルロース等の樹脂の燃焼除去を行うための脱バインダ処理を行った後、1300℃まで高温焼成してセラミック体を得る。そして、このセラミック体に外部電極を取り付け、積層セラミックコンデンサとする。
ここで、内部電極となる導電ペースト中の金属粉末は、上記のように、貴金属よりもニッケルなどの卑金属が主流となっていることから、積層体の脱バインダ処理では、ニッケル粉末などが酸化しないように、極めて微量の酸素を含んだ雰囲気下にて行われる。
近年、小型化及び大容量化が求められている積層セラミックコンデンサでは、それを構成する内部電極及び誘電体ともに、薄層化が進められており、内部電極用のニッケル粉末は、より小径化が進んでいる。
ニッケル粉末の製造方法としては、水酸化ニッケル粉末を原料として酸化還元してニッケル粉末を得る方法がある(特許文献1)。しかし、この製造方法では、水酸化ニッケルを液中で合成し固液分離した後、大気乾燥機を用いて乾燥しているが乾燥するのに長時間を要してしまい非効率である。
一方、ニッケル塩水溶液と水酸化アルカリ水溶液とアンモニア水を混合して水酸化ニッケル粒子を析出させ、ろ過、乾燥により水酸化ニッケル粉末を得る方法もある。(特許文献2)しかしながらこの製法方法には、具体的な乾燥方法や装置に関する記載はないが、大気乾燥機と同様に静置式の真空乾燥機を用いた場合でも通常長時間を要し非効率である。また、大気乾燥機の中には短時間で効率的に乾燥可能な混合機能があるが、一般的な運転方法、例えば、乾燥初期から混合する乾燥方法、間欠運転で混合する乾燥方法を採用すると乾燥は効率よくなるが、粗大かつ凝集した乾燥物が発生し、更に乾燥機内の壁面に乾燥物が固着し排出が困難になる問題が発生する。
こうした水酸化ニッケルの粗大かつ凝集した乾燥物は、次工程である非還元雰囲気下での焙焼処理において、内部まで十分な酸化が進まないため、事前に除去する篩処理を実施しておく必要がある。
このような凝集体を含む水酸化ニッケル粉末の篩処理では、粗大かつ凝集した乾燥物の乾燥凝集力が非常に強いため、篩上が多量に発生し、焙焼還元工程に用いる篩下の水酸化ニッケル粉末の収率が低下する問題が起きやすい。
一方、短時間で効率的に乾燥可能な混合機能がある真空乾燥機を用いた場合、一般的な運転方法、例えば、乾燥初期から真空状態で混合する乾燥方法、乾燥初期から真空状態で間欠運転にて混合する乾燥方法を採用すると、乾燥機内壁面への固着はなくなり乾燥効率もよくなるが、乾燥粉末において解砕が困難な凝集体が発生してしまう。そのため、篩処理時に篩上が多量に発生し、篩処理が困難になる問題が発生する。
こうしたことから、水酸化ニッケルのケーキを乾燥させる際には、機内への固着を防止することだけでなく、乾燥後の篩処理時に篩上量を減らすことを同時に満たし効率よく乾燥させる方法が必要とされている。
特開2010−196118号公報 特開平11−60246号公報
本発明は、水酸化ニッケルのケーキを乾燥させる際に、乾燥機内への固着を防止でき、乾燥後の篩処理時に篩上量を減らすことができる乾燥方法、および積層セラミックコンデンサの内部電極として好適なニッケル粉末の原料となる水酸化ニッケル粉末の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するため、鋭意検討した結果、水分を含んだ水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥させる際に、水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を減圧雰囲気とし外気を取り込みながら静置乾燥した後に、乾燥機内を密閉し更に減圧した後に乾燥機内の水酸化ニッケルのケーキを撹拌解砕することで、所望の状態の水酸化ニッケル粉末を得ることができ、この水酸化ニッケルを焙焼還元することでニッケル粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析して水酸化ニッケルスラリーとし、このスラリーを固液分離して得られる水分を含んだ水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥させる水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法において、
水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を減圧雰囲気とし、外気を取り込みながら静置乾燥する第一の工程と、乾燥機内を密閉してさらに減圧し、乾燥機内の金属水酸化物のケーキを撹拌解砕する第ニの工程からなることを特徴とする水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記水酸化ニッケルのケーキの平均含水率が30質量%以下に到達した時点で、前記第一の工程から前記第ニの工程に移行することを特徴とする水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、前記第一の工程で取り込む外気は、1分当り乾燥機内体積の0.375〜1.0倍の流量であることを特徴とする水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1または2の発明において、前記第ニの工程は、減圧後、乾燥機内の圧力が70kPaに到達する前に開始することを特徴とする水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4の発明のいずれかの乾燥方法で水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥して得られる水酸化ニッケル粉末を、非還元雰囲気下で焙焼処理して酸化ニッケル粉末を得る工程と、酸化ニッケル粉末を還元雰囲気下で加熱処理してニッケル粉末を得る工程を含むことを特徴とするニッケル粉末の製造方法が提供される。
本発明の水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法によれば、ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析し固液分離した水酸化ニッケルのケーキを乾燥させる際に、乾燥機内への固着を防止すること、乾燥後の篩処理時に篩上量を減らすことが同時に満たされ効率よく乾燥することができる。
さらに、得られた水酸化ニッケル粉末を非還元雰囲気で焙焼処理して酸化ニッケル粉末とし、次に還元雰囲気で加熱してニッケル粉末とすることで、低コストのニッケル粉末を提供することも可能となる。
以下、本発明の水酸化ニッケル粉末のケーキ乾燥方法およびそれを用いたニッケル粉末の製造方法について実施形態を詳細に説明する。
本発明は、ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析して生成した水酸化ニッケルスラリーを、フィルタープレス等にて固液分離して水酸化ニッケルのケーキとし、乾燥して水酸化ニッケル粉末とする一連の工程において、水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法であり、また乾燥後の水酸化ニッケル粉末を非還元性雰囲気下で焙焼処理して酸化ニッケル粉末を生成し、得られた酸化ニッケル粉末を還元雰囲気下で加熱しニッケル粉末を得る製造方法に関するものである。
1.水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法
本発明の水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法は、ニッケル粉の製造方法における最初の工程として採用される。
すなわち、水酸化ニッケルのケーキは、ニッケル塩を含む水溶液を、pH制御し撹拌しながら中和晶析して、水酸化ニッケルスラリーとし、このスラリーから水分を低下させたものである。
ニッケル塩としては、例えば塩化ニッケルや硫酸ニッケルなどの水溶性ニッケル塩を用いればよい。またアルカリ土類金属の水溶性塩をニッケル塩水溶液に混合しておき、水酸化ニッケル粉末中のアルカリ土類金属濃度を0.002〜1質量%としてもよい。水酸化ニッケル粉末中にアルカリ土類金属を含有すると、ニッケル粉末への還元時に微細化および球状化、ネッキングの抑制、さらには粒子表面の平滑性改善の効果がある。
ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析して得られた水酸化ニッケルスラリーは、フィルタープレス等により固液分離を行い、含水率が低下した水酸化ニッケルのケーキとされる。
固液分離後の水酸化ニッケルのケーキは、含水率が35〜40質量%であることが望ましい。その理由は、水酸化ニッケルのケーキの含水率は低い方が次の乾燥工程では望ましいが、フィルタープレスにて固液分離を行う場合には装置性能上含水率には制約があり、実質的には35質量%が下限となるからである。水酸化ニッケルスラリーをフィルタープレス(例えば、型式TK−408、住鉱エンジニアリング株式会社製)で固液分離する場合、含水率を35質量%以下にしようとしても、装置の性能上、限界がありこれ以上低下をさせることができない。
また、含水率が40質量%よりも高い状態であると、水分の除去に時間がかかり乾燥工程の時間が長くなるためである。ケーキ含水率は、37〜40質量%であることがより好ましい。
(乾燥の第一の工程)
乾燥の第一の工程では、水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内の排気をしながら大気圧よりも少し低い減圧雰囲気、例えば大気圧の0.8〜0.99倍の圧力とし、外気を取り込みながら静置乾燥する。
その際、外気の取り込み量は極力少なく、乾燥機内圧力は減圧雰囲気ではあるが極力大気圧に近いことが望ましい。第一の工程で用いる乾燥機としては、一定の空間を有しガス排気口と大気導入口を有し、乾燥機内の圧力を調整できる機能を有した乾燥機であれば良い。
本発明で、大気圧よりも低い減圧雰囲気とする理由は、以下の通りである。大気圧で静置乾燥を開始した場合、高真空の減圧雰囲気で静置乾燥を開始した時よりも、乾燥機内のガスを介した伝熱により水分の除去が早く進むが、乾燥機の内壁と水酸化ニッケルのケーキの接触部分で乾燥速度が速く水酸化ニッケル粉末の固着が発生し、乾燥終了後に全ての水酸化ニッケルを回収できない状況となる。しかし、大気圧よりも僅かながら減圧した雰囲気で外気を取り込みながら静置乾燥を開始した場合は、同様の固着発生を防止でき、全量回収できるようになる。
また、本発明で、乾燥機内を減圧しながら外気を取り込む理由は、水酸化ニッケルのケーキから乾燥により発生する水分が乾燥機内に滞留、蓄積しないよう乾燥機外に排出するためである。
乾燥機内に外気から取り込む流量は、1分当り乾燥機内体積に対して0.375〜1.0倍の流量が好ましく、0.4〜1.0倍の流量がより好ましく、0.5〜1.0倍の流量がさらに好ましい。その理由は、1分当り乾燥機内体積の1.0倍を超える外気導入を行うと、取り込んだ大気による乾燥機内の冷却が発生してしまい乾燥が進みにくくなるためである。逆に1分当り乾燥機内体積の0.375倍より少ない流量で外気導入を行う場合は、水蒸気が機内に滞留し乾燥が進みにくいためである。なお乾燥機内体積は水酸化ニッケルのケーキを挿入する前の、装置設計上の体積を指す。
また大気圧より僅かながら減圧した乾燥機内の圧力は、特に限定されないが、上記外気導入が安定して継続的に実施できるように設定するのが望ましい。
第一の工程での乾燥機の加熱温度は、特に限定されず、水酸化ニッケルを固着させないで極力早く乾燥させる温度設定でよいが、100〜200℃が望ましく、100〜150℃が好ましい。
(乾燥の第ニの工程)
乾燥の第一の工程から第ニの工程に切り換えるタイミングは、水酸化ニッケルのケーキの平均含水率が30質量%に到達してからとするのが望ましい。
その理由としては、含水率が30質量%よりも高いまま第ニの工程の乾燥を行うと、均一な酸化還元処理を促すために酸化還元処理前に行う水酸化ニッケル粉末の篩処理が困難になり、製品に寄与しない篩上に残る水酸化ニッケル粉末の凝集体が多量に発生するためである。
篩上に残る水酸化ニッケル粉末が多量に発生する理由としては、詳細は不明であるが、含水率の高い状態にて乾燥機内で撹拌解砕しながら乾燥しようとすると、水酸化ニッケルのケーキの一部が解砕され微細化した後に、その微細物を造粒させながら乾燥することになり、含水率が低い状態で解砕された場合よりも強固な乾燥凝集が引き起こされるためと思われる。
乾燥の第ニの工程では、乾燥機内を密閉し減圧して所定の圧力に到達する前に、水酸化ニッケルのケーキを乾燥機内で撹拌解砕しながら乾燥する。
撹拌解砕を始める時の圧力は、70kPa以上が望ましく、100kPa以上が好ましい。その理由としては、十分に減圧して撹拌解砕を開始すると突沸状態になり水蒸気が多量に発生し、ケーキが飛散し、乾燥機内壁面に水酸化ニッケル粉末が固着してしまうことがあるためである。
第ニの工程での乾燥機の加熱温度も特に限定されないが、極力早く乾燥させるために、100〜200℃とし、100〜150℃に設定するのが望ましい。第ニの工程での乾燥終了時期は、水酸化ニッケル粉末の含水率で判断すればよく、好ましくは含水率が1質量%以下に到達した時点で乾燥を終了させることが望ましい。
本発明の乾燥方法において、第一の工程、第二の工程を連動して行うのに適した乾燥機は、特に限定されることはない。
密閉が保持できる減圧方式で、機内に撹拌羽根を設置もしくは乾燥機本体に振動もしくは回転を与え乾燥機内の混合、撹拌ができるものであればよい。また、こうした乾燥機であれば、第一の工程の乾燥機内の圧力は大気導入の口径と機内の圧力レベルを調整すれば容易に設定でき、第ニの工程の乾燥機内の圧力も容易に設定できる。具体的には、混合乾燥機、振動流動乾燥機、流動混合乾燥機、回転乾燥機等が挙げられる。
2.ニッケル粉の製造方法
本発明のニッケル粉の製造方法では、前記のとおり、最初の工程として、ニッケル塩を含む水溶液を、pH制御し撹拌しながら中和晶析して、水酸化ニッケルスラリーを得るようにし、次に、この水酸化ニッケルスラリーをフィルタープレス等により固液分離して水酸化ニッケルのケーキとし、それを加熱乾燥することで水酸化ニッケル粉末とする。得られた水酸化ニッケル粉末は、篩処理にて平均粒径300μm以下の粉末とするのが望ましい。
(焙焼処理工程)
本発明では、次の工程として、水酸化ニッケル粉末を非還元雰囲気にて焙焼処理して酸化ニッケル粉末とする。焙焼処理は、公知の方法を用いればよく、例えば静置方式や非還元性雰囲気中に水酸化ニッケル粉末を分散せしめる方式などが用いられる。焙焼温度、時間、非還元雰囲気ガスの導入もしくは排出流量等の条件も、公知の条件から設定すればよい。
(還元処理工程)
最後の工程として、酸化ニッケル粉末を還元雰囲気中で加熱してニッケル粉末とする。還元雰囲気は水素ガスもしくは水素ガスを混合した窒素、アルゴン等の不活性ガスとすればよい。加熱温度及び時間は、所望の結晶粒径、ニッケル粉末の凝集防止の観点から設定すればよいが、一般的に加熱温度は300〜500℃とし、また必要に応じて還元後、凝集粉末の解砕や分級を行ってもよい。
次に実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下に説明する実施例に必ずしも限定されるものではない。なお、ケーキの含水率、粉末の篩下率は、次の要領で測定した。
(含水率の測定)
105℃の大気乾燥機内に試料10gを入れ2時間静置乾燥し、以下の式1から含水率を求めた。
[数1]
含水率={(乾燥前質量)−(乾燥後質量)}÷(乾燥前質量)×100 (%)
(篩下率の測定)
乾燥後の水酸化ニッケル粉末から300μmよりも大きな凝集体を除くために篩処理を行い、篩を通過した水酸化ニッケル粉末の質量から、篩下率を以下の式2にて求めた。
[数2]
篩下率=(篩下質量)÷(乾燥が終了した回収物の篩処理前質量)×100 (%)
(実施例1)
含水率35質量%の水酸化ニッケルのケーキ10kgを振動流動乾燥機(型式:VU−30、製造元:中央化工機株式会社)に投入し、物温が最大で150℃になるよう振動流動乾燥機本体の水蒸気圧を設定した。
第一の工程として水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を大気圧よりも少し低い低圧減圧雰囲気にし、外気を乾燥機内に1分当り乾燥機内体積の0.375倍の流量で(乾燥機内体積(20L)に対して7.5L/min.)取り込みながら静置乾燥した。第一の工程は、水酸化ニッケルのケーキの含水率が30質量%になった時点で終了とした。
第ニの工程として、乾燥機内を密閉し真空ポンプを稼動させ圧力が70kPaに到達する前に、撹拌解砕機能である振動運転を開始した。第ニの工程は水酸化ニッケル粉末の含水率が1.0質量%以下になった時点で乾燥終了とした。
乾燥に要した時間は、約90分であった。乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着状況を確認し、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理して篩下率を測定した。結果を表1に示す。
その後、固定床タイプの炉内の均熱帯部分に水酸化ニッケル粉末を層厚33mmで仕込み、大気を水酸化ニッケル1kg当たり1.2L/min.で導入しながら600℃で3.5時間の間、焙焼処理して酸化ニッケル粉末を得た。引き続き、そのまま窒素ガスでパージしながら450℃まで降温した後に、酸化ニッケル1kg当たり35L/min.の水素ガスと170L/min.の窒素ガス雰囲気下、450℃で6時間加熱処理してニッケル粉末を得た。
(実施例2)
含水率40質量%の水酸化ニッケルのケーキ10kgを振動流動乾燥機(型式:VU−30、製造元:中央化工機株式会社)に投入し、物温が最大で150℃になるよう振動流動乾燥機本体の水蒸気圧を設定した。
第一の工程として水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を大気圧よりも少し低い減圧雰囲気にし、外気を乾燥機内に1分当り乾燥機内体積の0.375倍の流量で(乾燥機内体積(20L)に対して7.5L/min.)取り込みながら静置乾燥した。第一の工程は、水酸化ニッケルのケーキの含水率が30質量%になった時点で終了とした。第ニの工程として、乾燥機内を密閉し真空ポンプを稼動させ圧力が70kPaに到達する前に、撹拌解砕機能である振動運転を開始した。第ニの工程は水酸化ニッケル粉末の含水率が1.0質量%以下になった時点で乾燥終了とした。
乾燥に要した時間は、約95分であった。乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着状況を確認し、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理して篩下率を測定した。結果を表1に示す。その後、実施例1と同様にして水酸化ニッケル粉末を処理してニッケル粉末を得た。
(実施例3)
含水率35質量%の水酸化ニッケルのケーキ10kgを振動流動乾燥機(型式:VU−30、製造元:中央化工機株式会社)に投入し、物温が最大で150℃になるよう振動流動乾燥機本体の水蒸気圧を設定した。
第一の工程として水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を大気圧よりも少し低い低圧減圧雰囲気にし、外気を乾燥機内に1分当り乾燥機内体積の0.375倍の流量で(乾燥機内体積(20L)に対して7.5L/min.)取り込みながら静置乾燥した。第一の工程は、水酸化ニッケルのケーキ含水率が32質量%になった時点で終了とした。第ニの工程として、乾燥機内を密閉し真空ポンプを稼動させ圧力が70kPaに到達する前に、撹拌解砕機能である振動運転を開始した。第ニの工程は水酸化ニッケル粉末の含水率が1.0質量%以下になった時点で乾燥終了とした。
乾燥に要した時間は、約95分であった。乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着状況を確認し、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理して篩下率を測定した。結果を表1に示す。その後、実施例1と同様にして水酸化ニッケル粉末を処理してニッケル粉末を得た。
(実施例4)
実施例1において、第一の工程で水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を大気圧よりも少し低い低圧減圧雰囲気にし、外気を乾燥機内に1分当り乾燥機内体積の1.0倍の流量(乾燥機内体積(20L)に対して20L/min.)で取り込みながら静置乾燥した以外は同様にして乾燥した。
乾燥に要した時間は、約85分であった。また乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着はなく、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理した後の篩下率は99%であった。結果を表1に示す。その後、実施例1と同様にして水酸化ニッケル粉末を処理してニッケル粉末を得た。
(比較例1)
含水率35質量%の水酸化ニッケルのケーキ10kgを振動流動乾燥機(型式:VU−30、製造元:中央化工機株式会社)に投入し、物温が最大で150℃になるよう振動流動乾燥機本体の水蒸気圧を設定した。乾燥機内を密閉し真空ポンプを稼動させ圧力が70kPaに到達する前に、撹拌解砕機能である振動運転を開始した。水酸化ニッケル粉末の含水率が1.0質量%以下になった時点で乾燥終了とした。
乾燥に要した時間は、約240分であった。乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着状況を確認し、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理して篩下率を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
含水率35質量%の水酸化ニッケルのケーキ10kgを振動流動乾燥機(型式:VU−30、製造元:中央化工機株式会社)に投入し、物温が最大で150℃になるよう振動流動乾燥機本体の水蒸気圧を設定した。そのまま、大気圧にて静置乾燥を実施し、水酸化ニッケル粉末の含水率が1.0質量%以下になった時点で乾燥終了とした。
乾燥に要した時間は、約480分であった。乾燥終了時点の水酸化ニッケル粉末の乾燥機内への固着状況を確認し、得られた水酸化ニッケル粉末を篩処理して篩下率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006036672
(評価)
上記実験結果を示す表1から、水分を含む水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥する工程において、本発明の第一の工程を行わず最初から第ニの工程のみとした比較例1は、乾燥中に造粒してしまい、造粒した粒子中の水分除去に時間がかかり乾燥時間が長くなったことが分かる。
この比較例1に対し、第ニの工程の前に第一の工程を実施した実施例1〜4は、乾燥機内への固着もなく、篩下率が高くなっていることが分かる。特に水酸化ニッケルのケーキの含水率が30質量%に到達してから、第一の工程から第ニの工程へと移行した実施例1、2及び実施例4の篩下率は極めて高いことも分かる。一方、本発明の第一の工程のみとし撹拌解砕を併用する第ニの工程を行っていない比較例2は、乾燥機内への固着が発生した。
本発明により得られるニッケル粉末は、厚膜導電体を作製するための導電ペーストの材料として使用される。該厚膜導電体は、電気回路の形成、積層セラミックコンデンサ(multilayer ceramic capacitors:MLCC)及び多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極等として好適である。

Claims (5)

  1. ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析して水酸化ニッケルスラリーとし、このスラリーを固液分離して得られる水分を含んだ水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥させる水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法において、
    水酸化ニッケルのケーキを入れた乾燥機内を減圧雰囲気とし、外気を取り込みながら静置乾燥する第一の工程と、乾燥機内を密閉してさらに減圧し、乾燥機内の金属水酸化物のケーキを撹拌解砕する第二の工程からなることを特徴とする水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法。
  2. 前記水酸化ニッケルのケーキの平均含水率が30質量%以下に到達した時点で、前記第一の工程から前記第二の工程に移行することを特徴とする請求項1記載の水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法。
  3. 前記第一の工程で取り込む外気は、1分当り乾燥機内体積の0.375〜1.0倍の流量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法。
  4. 前記第二の工程は、減圧後、乾燥機内の圧力が70kPaに到達する前に開始することを特徴とする請求項1または請求項2記載の水酸化ニッケルのケーキ乾燥方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の乾燥方法で水酸化ニッケルのケーキを加熱乾燥して得られる水酸化ニッケル粉末を、非還元雰囲気下で焙焼処理して酸化ニッケル粉末を得る工程と、酸化ニッケル粉末を還元雰囲気下で加熱処理してニッケル粉末を得る工程を含むことを特徴とするニッケル粉末の製造方法。
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