JP2010196118A - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細で均一な粒径を持ったニッケル粉を大量に低コストで製造する方法の提供。
【解決手段】アルカリ土類金属を含む水酸化ニッケル粉を焙焼処理して酸化ニッケル粉とし、この酸化ニッケル粉を還元処理してニッケル粉とするニッケル粉の製造方法において、ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析してアルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉の形成工程(工程A)と、粒度分布調整された水酸化ニッケル粉を300〜1000℃の非還元性ガス中に分散した状態で酸化ニッケル粉へと焙焼処理すると共に、非還元性ガスおよび酸化ニッケル粉の焙焼処理により生じる水蒸気を水酸化ニッケル粉1gに対して0.2リットル/分以上の速度で排気する水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程(工程B)と、その酸化ニッケル粉を300〜500℃の温度で還元処理してニッケル粉を形成する還元工程(工程C)とを含むニッケル粉の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ニッケル粉の製造方法に係り、より詳しくは積層セラミックコンデンサーの内部電極形成用として好適なニッケル粉の製造方法に関するものである。
積層セラミックコンデンサー(以下、MLCCと称す)は、誘電体層と内部電極を交互に積層させた構造を有し、小型高容量の優れたコンデンサーである。そこに使用される誘電体層には、チタン酸バリウムに代表されるセラミックス系材料が用いられている。一方、内部電極には、従来貴金属系材料が用いられていたが、低コスト化の要求に伴い、近年ニッケル系材料が用いられてきている。
この内部電極にニッケル系材料であるニッケル粉を用いたMLCCは、以下のような製造工程によって作られている。
先ず、誘電体層となるグリーンシートに、ニッケル粉と有機溶剤を種々の添加剤とともに混練して作製したニッケルペーストを印刷し、乾燥させて内部電極を形成する。次いで、これを所望数積層し、熱圧着した後にチップ形状に切断する。切断後、300℃程度の温度でグリーンシート及びニッケルペースト中のバインダーを除去する脱バインダー工程を施し、次に千数百度の温度で焼結し、外部電極を形成する。
この脱バインダー工程は、酸化雰囲気下の熱処理によりバインダーを燃焼させる方法が一般に行われている。バインダー材料としては、誘電体層を形成するグリーンシートでは、ポリビニルアルコール系の物質が用いられることが多く、内部電極形成用のニッケルペーストのバインダーにはエチルセルロース系の物質が用いられることが多い。これら両者の燃焼タイミング、発生ガス量を制御する形で、脱バインダー工程での雰囲気、温度が調整されている。
使用するニッケル粉には、このMLCCの製造工程において意図しないガス発生を生じさせたり、酸化による顕著な体積変化が生じたりしないようにすることが求められ、その製造工程にて純度を厳密に制御され、表面状態が調整されている。また、誘電体層はセラミックであり、内部電極は金属であることから、一般的に、焼結時の収縮量は内部電極の方が大きく、一方、融点は金属の方が低いことから、焼結開始温度は内部電極の方が低い。したがって、ニッケルペーストにはセラミック粉末などを混合して焼結現象を遅延させたり、また、ニッケル粉そのものに他の元素を微量に添加したりすることで同効果を得ることがなされている。
このような製造工程でMLCCは製造されているが、近年要求されるMLCCの更なる小型化、高容量化により、内部電極および誘電体層の厚みの薄層化、高積層化が進められている。
薄層化された内部電極では、ニッケル粉の粒径が大きいと電極厚み方向に存在する粒子数が少なく、また、粒子間の空隙も大きくなることから、焼結後の電極に穴開きや途切れが発生して電極として機能しなくなる。このため、内部電極に用いられるニッケル粉においてもさらに微細な粒径のものが求められている。また、薄層化されたMLCCにおいては、粗大なニッケル粉が混入していると電極間のショートが発生するため、粗大粒子が含まれないことも要求されている。さらに、平均粒径より大幅に細かい粒子が存在すると脱バインダー工程での酸化、焼結工程での焼結開始温度の低温化が生じるため、極端に粒径の細かい粒子も含まれないことも重要である。
以上のように、内部電極用のニッケル粉に対しては、脱バインダー工程でガスを発生し難いこと、誘電体の焼結収縮特性に近いことなども求められているが、微細で均一な粒径であることが最も重要な要求特性となっている。
上記問題を解決するため、種々の方法で製造された微細で粗大粒子を含まないニッケル粉が提案されている。
例えば、特許文献1では、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法による平均粒径が0.2〜0.6μmであり、かつ平均粒径の2.5倍以上の粒径をもつ粗粒子の存在率が個数基準で0.1%以下としたニッケル粉が提案されている。
また、特許文献2においては、平均粒径が0.1〜1.0μmのニッケル粉であって、粒径2μm以上のニッケル粉の含有率が個数基準で700/100万以下であるニッケル粉が、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法等で得たニッケル粉を液体サイクロン等で分級することで得られることが開示されている。
さらに、特許文献3においては、レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒径の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、平均粒子径の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、SEM観察による平均一次粒子径が0.1〜2μmであるニッケル粉が提案されている。このニッケル粉は、ニッケル塩を原料として水溶液中で還元処理する湿式法等により得られた凝集体を含むニッケル粉を原粉として用いて解粒処理によって得られるものである。
一方、低コストが期待されるニッケル粉としては、水酸化ニッケルの加熱還元によって得られるニッケル粉が挙げられる。例えば、特許文献4には、反応槽内のスラリーに、含ニッケル溶液を連続的に添加しつつ、アルカリ溶液を添加して水酸化ニッケルを生成させ、該スラリーを濾過し、水洗し、乾燥して水酸化ニッケルを得、これを還元剤として水素を用い、還元温度を400〜550℃として加熱還元することによりニッケル粉を得る製造方法が開示されている。
また、均一な金属粉またはセラミック粉の製造方法に、原料を垂直炉中を落下させながら焼成あるいは還元する方法が提案されている。
例えば、特許文献5には、垂直管形炉を反応容器として用い、耐熱金属酸化物または弁金属酸化物を連続的供給物として供給し、反応容器中で還元し、連続的還元反応により粉末を製造する方法が提案され、具体例として、垂直管形炉上部から耐熱金属酸化物粉末を供給し、反応物質を流動させ、炉下部で還元生成物を回収することが開示されている。また、垂直に設置された炉チューブと、被焼成材料を前記炉チューブ内に落下させる投入装置と、前記炉チューブの下端部に加熱保持する加熱炉を有する垂直焼成炉を用い、炉内の雰囲気ガスの流量調整によって焼成時間を調整する焼成方法も特許文献6に提案されている。
特開平11−189801号公報 特開2001−73007号公報 特開2001−247903号公報 特開2003−213310号公報 特開2004−531646号公報 特開2008−145004号公報
しかしながら、特許文献1から特許文献3に提案されているニッケル粉は、いずれもコストが高くなるという問題がある。即ち、気相水素還元法で得られるニッケル粉は結晶性もよく特性面で優れているが生産性が低く、この気相水素還元法で得たニッケル粉の粒径を均一にしようとして分級することは、その歩留を悪化させることに他ならず、より高コストとなってしまう。
また、湿式法により得られた凝集体を解粒処理しても、解粒前の一次粒子径が均一でなければ分級する必要があり、歩留悪化による高コスト化は避けられない。湿式法では粒子径が比較的均一なニッケル粉が得られるが、生産性は低く、コスト高となる問題も解決されない。
一方、特許文献4に提案される水酸化ニッケルの加熱還元によって得られるニッケル粉は、その大量生産が可能で低コストであるが、微細で均一な粒径のニッケル粉が得難いという問題点がある。
また、原料を垂直炉中を落下させながら焼成あるいは還元する特許文献5、6で提案されている製造方法では、原料からの金属粉またはセラミック粉の製造を垂直炉による工程のみで行っているため、ニッケル粉の製造のような中間生成物を介して、その中間生成物をさらに還元する製造方法においては、その中間生成物の特性が最終的に得られる粉末の特性に影響を及ぼすために、特許文献5、6で提案されるような製造方法の適用が可能であるか不明である。
このように微細で均一な粒径のニッケル粉を大量に低コストで製造する方法は、未だ開発されていないのが実状であり、このような状況を鑑み本発明はなされたもので、微細で均一な粒径を持ったニッケル粉を大量に高効率で製造が可能な低コストなニッケル粉の製造方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、従来のニッケル粉における問題点を解決するため、水酸化ニッケルを焙焼処理し、次いで加熱還元を施すことによりニッケル粉を得る方法について鋭意研究を進め、雰囲気ガス中に分散させて水酸化ニッケル粉の焙焼処理を行うことで酸化ニッケル粉を得ること、焙焼処理中の雰囲気ガスの影響が最終的に得られるニッケル粉の特性に大きな影響を及ぼすこと、さらに、得られた酸化ニッケル粉を特定条件で加熱還元することにより、微細で均一な粒径のニッケル粉が高効率で得られることの知見を得て、本発明の完成に至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明は、アルカリ土類金属を含む水酸化ニッケル粉を焙焼処理して酸化ニッケル粉とし、得られた酸化ニッケル粉を還元処理してニッケル粉とするニッケル粉の製造方法において、
工程A:ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析してアルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉の形成工程、
工程B:工程Aで形成した水酸化ニッケル粉から平均粒径1〜100μmの水酸化ニッケル粉群を構成し、この水酸化ニッケル粉群を、2.1g/cm・sec以下の装入量により300〜1000℃の非還元性ガス中に分散せしめた状態で酸化ニッケル粉へと焙焼処理すると共に、前記非還元性ガスおよび前記酸化ニッケル粉の焙焼処理により生じる水蒸気を水酸化ニッケル粉1gに対して排気温度0〜50℃の状態で0.2リットル/分以上の速度で排気する水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程、
工程C:工程Bで作製した酸化ニッケル粉を300〜500℃の温度で還元してニッケル粉を得る還元工程、
を含むニッケル粉の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明における工程Bの水酸化ニッケル粉が、非還元性ガス中に上方から落下し、非還元性ガス中で分散した状態にあるニッケル粉の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1の発明または第2の発明における工程Bの水酸化ニッケル粉を300〜1000℃の非還元性ガス中における保持時間が、3〜10秒間であるニッケル粉の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかにおける工程Bの非還元性ガスが、空気であるニッケル粉の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれかにおける工程Bの水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程が、大気圧下で行われるニッケル粉の製造方法である。
本発明の第6の発明は、第1の発明から第4の発明のいずれかにおける工程Cの酸化ニッケル粉の還元処理が、酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素流量における水素濃度を示す水素雰囲気下で行われるニッケル粉の製造方法である。
本発明の第7の発明は、アルカリ土類金属が、マグネシウムである第1の発明から第6の発明のいずれかに記載のニッケル粉の製造方法である。
本発明の第8の発明は、ニッケル粉の平均粒径が、0.2〜0.5μmである第1の発明から第7の発明のいずれかに記載のニッケル粉の製造方法である。
本発明は、水酸化ニッケル粉を酸化焙焼して酸化ニッケル粉を形成した後、この酸化ニッケル粉を加熱還元することで、微細で均一な粒径のニッケル粉を大量に高効率で製造することができるという優れた効果を有するものである。特に、焙焼時間を短縮して大幅に効率を向上させることにより低コスト化を実現することが可能であり、本発明により得られるニッケル粉は、特に小型化、高容量化が進むMLCC内部電極形成用として好適なものであり、極めて大きな工業的価値を奏するものである。
本発明の製造方法は、アルカリ土類金属を含む水酸化ニッケル粉を焙焼して酸化ニッケル粉を作製し、この酸化ニッケル粉を還元することでニッケル粉を形成するニッケル粉の製造方法において、工程A:ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析してアルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉の形成工程と、工程B:工程Aで得られた水酸化ニッケル粉から平均粒径1〜100μmの水酸化ニッケル粉群を構成し、この水酸化ニッケル粉群を300〜1000℃の非還元性ガス中に、2.1g/cm・sec以下の装入量により分散せしめた状態で酸化ニッケル粉に焙焼処理すると共に、非還元性ガスおよび酸化ニッケル粉の生成により生じる水蒸気を水酸化ニッケル粉1gに対して排気温度0〜50℃の状態で0.2リットル/分以上の速度で排気する水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程と、工程C:得られた酸化ニッケル粉を300〜500℃の温度で還元処理してニッケル粉を得る還元工程を含む製造方法である。
即ち、本発明における要点は、水酸化ニッケル粉を雰囲気ガス中で分散状態にし、特定の焙焼条件における酸化ニッケル粉への焙焼処理を行うことにある。
一般に、ニッケル化合物を還元処理してニッケル粉を得る場合、生産性や不純物等の混入を考慮して、中和晶析法等の湿式法で得られた水酸化ニッケル粉を酸化焙焼して、酸化ニッケル粉とし還元処理する方法が用いられる。ここで、酸化ニッケル粉を経由してニッケル粉とするのは、水酸化ニッケル粉を直接還元すると水酸化ニッケル粉から多量に発生する水蒸気が、ニッケル粉の凝集を促進し、得られるニッケル粉の分散性の劣化を防止するためである。したがって、還元処理する酸化ニッケル粉は、十分に酸化焙焼され残留する水酸化ニッケル粉が含まれる量を可能な限り低減することが必要である。
この水酸化ニッケル粉の酸化焙焼の焙焼処理は、通常、静置した水酸化ニッケル粉を非還元雰囲気中で過熱する静置方式により行われる。しかしながら、静置した状態で水酸化ニッケル粉を酸化焙焼すると、内部で発生した水蒸気が系外に完全に排出さず、水酸化ニッケル粉が残存する可能性が高く、このような状態を防止するためには、流動床方式等により酸化焙焼することが考えられるが、焙焼処理により生成した酸化ニッケル粉と未焙焼の水酸化ニッケル粉が混在するため、水酸化ニッケル粉が残留する可能性が残る。
また、静置方式により酸化焙焼する場合、焙焼時間を長くする、あるいは高温化することが考えられるが、いずれの場合も十分な対策とは言えない。すなわち、焙焼時間を長くしても必ずしも内部まで十分に酸化ニッケル粉に転換されないばかりか、酸化ニッケル粉の凝集、生産性の低下によるコスト増などの問題が生じる。さらに、酸化焙焼温度を高温化すると、酸化ニッケル粉の凝集・粒成長が起こる。この酸化ニッケル粉の凝集・粒成長が起こると、還元して得られるニッケル粉の分散性が悪化するため、酸化ニッケル粉の粉体特性および形状を適度な状態に維持することも重要な要素となる。
そこで、本発明では雰囲気ガス中に水酸化ニッケル粉を分散した状態で酸化焙焼することにより、これらの問題が解決され、以降の還元工程により良好なニッケル粉となる酸化ニッケル粉が得られるものである。
この水酸化ニッケル粉を雰囲気ガス中に分散した状態にすることは、水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への転換時に発生する水蒸気を系外に排出する作用を生み、従って水酸化ニッケル粉を十分に、実質的に全てを酸化ニッケル粉に転換することができる。また、酸化ニッケル粉の凝集も防止することができる。
雰囲気ガス中に水酸化ニッケル粉が分散した状態で酸化焙焼する方法としては、焙焼領域に、雰囲気ガスとともに水酸化ニッケル粉を噴出し、酸化焙焼して落下する酸化ニッケル粉を回収する方法が考えられるが、この方法ではノズル等を用いて水酸化ニッケル粉を噴出させ、高温域を通過させて酸化焙焼した後、回収する方法であるために、装置が複雑になる上、多量に雰囲気ガスが必要になるなどの問題がある。
そこで、装置の簡易性、酸化ニッケル粉への未焙焼の水酸化ニッケル粉の混入防止を考慮すると、水酸化ニッケル粉を雰囲気ガス中に上方から落下させることにより分散させる方法が好ましい。
すなわち、焙焼温度まで加熱した焙焼領域の上方から水酸化ニッケル粉を落下させ、焙焼領域を通過させて焙焼処理した後、下部で回収する方法である。例えば、焙焼温度まで加熱した炉の上部から水酸化ニッケル粉を炉内に満たされた雰囲気ガス(本発明では非還元性ガス)中で分散するように投入、落下させ、炉の下部で回収することで水酸化ニッケル粉を酸化焙焼して酸化ニッケル粉を得る方法である。
この場合、水酸化ニッケル粉が雰囲気ガス中に効率良く分散するような投入方法を採用すると良い。一例として、炉の投入口に水酸化ニッケル粉の粒径よりは、やや大きめのメッシュを持つ篩を設置し、この篩を加振しながら水酸化ニッケル粉を炉内に投入する方法、或いは雰囲気ガスを炉内で螺旋流となるように流すことで投入される水酸化ニッケル粉を分散せしめる方法などを用いることができるが、本発明ではこれらの方法には拘束されることはなく、水酸化ニッケル粉を分散状態で焙焼領域を通過できる方法であるならどのような方法であっても良い。
本発明において、非還元性ガス中で水酸化ニッケル粉を分散状態とするには、非還元性ガス中への水酸化ニッケル粉の装入量を、2.1g/cm・sec以下の範囲とする。この水酸化ニッケル粉の装入量が多い場合には、水酸化ニッケル粉は非還元性ガス中で塊となりやすく、望む分散状態を形成することが困難となる。装入量が少ない場合には、分散状態を作り易いが、酸化ニッケル粉の生成効率が悪くなるため、0.1g/cm・sec以上とすることが好ましい。
焙焼処理に用いる炉としては、上方から下方に水酸化ニッケル粉を通過させることが可能であれば特に限定されるものでなく、温度制御および転換後の酸化ニッケル粉の回収が容易なことから、炉芯を垂直方向に設置した管状炉(垂直型管状炉)を用いることが好ましい。また、この管状炉の断面形状は、特に限定されるものではなく、落下時に水酸化ニッケル粉が炉壁に付着しない断面積を有すればよい。
水酸化ニッケル粉を分散させる雰囲気ガスは、非還元性ガスであれば、酸化性ガス、不活性ガスのいずれでもよいが、酸化ニッケル粉への転換を十分に行うためには、酸化性ガスが好ましく、コスト面を考慮すると空気を用いることが好ましい。
次に、十分に水酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉へと転換させるには、発生する水蒸気を系外に排出する必要がある。このため、系内から非還元性ガスおよび酸化ニッケル粉の形成に伴い生成した水蒸気を、その合計で水酸化ニッケル粉1gに対して0.2リットル/分以上の排気速度で排気を行う。この速度以上で排気することで、非還元性ガスと共に発生した水蒸気を系外に排出することができ、水酸化ニッケル粉は十分に酸化ニッケル粉へ転換される。
この排気速度は、水酸化ニッケル粉1gに対して排気温度0〜50℃の状態で0.2から2リットル/分とすることが好ましい。排気速度が水酸化ニッケル粉1gに対して0.2リットル/分未満では、系内に存在する水蒸気が多くなり、十分に酸化ニッケル粉に転換することができない。一方、排気する速度を速くすることで、均一微細なニッケル粉を得る効果は得られるが、過度に速くしてもその効果に更なる改善はなく、コスト増となるのみであるばかりか、微細な酸化ニッケル粉が系外に飛散して歩留も低下することがある。このため、用いる炉の形状、大きさによるが、排気速度は水酸化ニッケル粉1gに対して2リットル/分以下とすることが好ましい。
また、系内から排気を行うと減圧雰囲気となるため、非還元性ガスを系内に吸気させることで系内の圧力を大気圧に調整しても良い。このとき、酸化ニッケル粉が効率よく得られるように、圧力を加圧もしくは減圧して調整することもできる。非還元性ガスとして空気を用い、かつ大気圧に調整する場合は、吸気口を大気に開放することで容易な調整を可能とする。
以下、工程ごとに詳細に説明する。
[工程A]
工程Aは、ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析してアルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉の形成工程である。
本発明に係るニッケル粉の製造方法において用いられる水酸化ニッケル粉は、通常の公知の方法により得ることができる。例えば、塩化ニッケルや硫酸ニッケルなどの水溶性ニッケル塩の水溶液をpH制御して中和沈殿させることで得られる水酸化ニッケル粉を用いることができる。水酸化ニッケル粉に含有されるアルカリ土類金属は、水溶性塩などの水溶性物質としてニッケル塩水溶液に混合しておき、水酸化ニッケル粉の生成時に共沈させてやればよい。水酸化ニッケル粉を製造する反応設備に特に制限はなく、通常用いられる設備でよく、例えば、攪拌機を有する貯槽でpH管理が行なえるものであればよい。
この水酸化ニッケル粉に含有されるアルカリ土類金属は、還元時におけるニッケル粒子生成時の粒子の微細化および球状化、さらには粒子表面の平滑性改善に効果がある。そのため水酸化ニッケル粉中のアルカリ土類金属の含有量は、0.002〜1質量%が望ましい。アルカリ土類金属が0.002質量%未満の場合には、微細化および平滑性改善の効果が見られず、アルカリ土類金属が1質量%を超えた場合には、得られるニッケル粉のニッケル品位の低下により、MLCC内部電極として用いられた場合に、電極の電気抵抗値が大きくなり過ぎ、コンデンサーの損失係数の悪化を招いてしまうことから限定するものである。
[工程B]
工程Bは、工程Aで得られた水酸化ニッケル粉から平均粒径1〜100μmの水酸化ニッケル粉群を構成し、この水酸化ニッケル粉群を2.1g/cm・sec以下の装入量で、300〜1000℃の非還元性ガス中に分散せしめた状態にして、酸化ニッケル粉への焙焼処理を行うと共に、非還元性ガスおよび酸化ニッケル粉の形成に伴い生成する水蒸気を、水酸化ニッケル1gに対して排気温度0〜50℃の状態で0.2リットル/分以上の速度で排気する水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程である。
工程Bにおいては、水酸化ニッケル粉を非還元性ガス中に分散した状態で酸化焙焼を行うが、その焙焼温度は300〜1000℃であることが好ましい。この温度範囲で酸化焙焼することにより、非還元性ガス中に分散している短時間においても十分に酸化ニッケル粉に還元することができ、300℃未満の温度で酸化焙焼すると、転換が十分でなく水酸化ニッケル粉が残留する。
また、1000℃を超える温度で酸化焙焼すると、焙焼処理中に焼結が進み粗大な酸化ニッケル粉となってしまう。このようにして得られた酸化ニッケル粉は、結晶が成長しているか粗大な粒径となっているため、還元するには高温で、かつ長時間還元させる必要が生じてしまう。高温、かつ長時間の還元を行った場合には、ニッケル粉の粒成長が進み、粗大で粒径が不均一なものとなる。
焙焼処理の時間は、十分に酸化ニッケル粉に転換され、酸化ニッケル粉の凝集あるいは粒成長が進行しない範囲に設定すればよいが、本発明の焙焼温度の範囲においては、4〜8秒とすることが好ましい。焙焼時間が4秒未満であると、酸化ニッケル粉への転換が十分でない場合がある。また、焙焼時間が8秒を越えると、酸化ニッケル粉の凝集あるいは粒成長が進行し、最終的に得られるニッケル粉の粒径が不均一になる場合がある。焙焼処理の時間、すなわち、水酸化ニッケル粉が焙焼温度領域を通過する時間は、焙焼温度領域の大きさ、排気速度により制御でき、温度領域が小さく、排気速度が大きい場合には、焙焼時間が短時間となり、温度領域が大きく、排気速度が小さい場合には、焙焼時間は長くなる。
なお、酸化焙焼の焙焼処理を安定して行うためには、工程Aで得られた水酸化ニッケル粉から、選択若しくは解砕などの加工を施して構成する平均粒径1〜100μmの水酸化ニッケル粉群を用いる。このような粒度を有する水酸化ニッケル粉を用いることで、非還元性ガス中での水酸化ニッケル粉の分散が良好となり、焙焼時の反応が安定するとともに、酸化焙焼時間を安定させることができる。粒度分布は、均一な酸化焙焼を行うために狭い方が好ましいが、特に粗大粒子を含まないことが好ましい。200μmを越えるような粗大粒子は、酸化焙焼が十分行われないことがあり、好ましくない。また、0.1μm未満の粒子も酸化焙焼時間が長くなることがあり、好ましくない。
[工程C]
工程Cは、工程Bで得られた酸化ニッケル粉を300〜500℃の温度で還元してニッケル粉を得る還元工程である。
その還元温度が500℃を超えると、還元されたニッケル粉が還元中に焼結し、結果として粗大なニッケル粉が生成し、結果として所望の粒径のニッケル粉を精度良く得ることができない。他方、300℃未満の温度では、酸化ニッケル粉からニッケル粉への還元が進みにくく、還元に長時間が必要となりニッケル粉の凝集が進んでしまう。還元温度を300〜500℃とすることで、均一で微細なニッケル粉が得られる。以上より、還元温度は、300〜500℃であることが好ましい。
使用する還元雰囲気の種類は、還元雰囲気であれば特に限定されるものではないが、不純物混入を防止するため、水素雰囲気とすることが好ましく、酸化ニッケル1gに対して0.01〜0.2リットル/分の流量の水素が存在する水素濃度の水素雰囲気が好ましい。還元時に存在する水素量が酸化ニッケル1gに対して0.01リットル/分未満の流量の場合には、還元が徐々に進むためにニッケル粉の粒成長が起こり、所望の粒径で均一なニッケル粉が得られず、他方、水素量が酸化ニッケル1gに対して0.2リットル/分を超えても、微細で均一な粒径のニッケル粉を得るために必要である還元を短時間化する効果の改善がなく、無駄な水素が増えコスト増となるのみである。
なお、このとき水素ガスのみを流してもよいが、水素ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガスを流すことは、より好ましい。
窒素などの不活性ガスとの混合ガスを用いることで、還元反応で発生する水蒸気を効率よく系外に排出させることができる。この場合、水素と混合する不活性ガスは、窒素のガスの場合、その容量比で水素1に対して0.5〜2とすることがコスト面を考慮すると好ましく、水素流量を考慮して系内で十分なガス流量が得られるようにすればよい。
還元時間は、特に限定されるものではなく、還元時に流す水素量、還元温度、投入する酸化ニッケル粉の量により、全ての酸化ニッケル粉がニッケル粉に還元されるのに必要な時間とすればよく、所望の粒径が得られるように時間を制御することが好ましい。また、還元に用いる設備は、雰囲気を制御できれば特に制限はなく、例えば、バッチ式雰囲気炉、バッチ式ロータリーキルン、連続式ローラーハースキルン、連続式プッシャー炉、連続式ロータリーキルンなどを用いることができる。
この還元工程によって得られたニッケル粉は、粒径が微細でかつ均一であり粒子間の凝集も非常に少ないものであるが、工程中に生成した凝集粉の解砕あるいは工程中に混入した異物を除去する目的から、乾式または湿式による遠心力やフィルターを用いた解砕や分級を行ってもよい。用いられる装置は特に限定されるものではなく、通常のニッケル粉の製造に用いられるジェットミルやサイクロン形式の装置を使用する。
以上、説明した本発明のニッケル粉の製造方法で得られるニッケル粉は、平均粒径が0.2〜0.4μmであることが好ましい。すなわち、平均粒径が0.2μm未満であると、MLCC内部電極用ペーストとして用いたとき、ニッケル粉の焼結温度が低いため、誘電体セラミックスとの焼結挙動の差が大きく、電極の途切れや剥離が起こることがあり、他方、平均粒径が0.4μmを超えると、薄層化された内部電極では、焼結後の電極に穴開きや途切れが発生することがあり好ましくないためである。平均粒径は、水酸化ニッケルに添加するマグネシウム量、還元温度等で容易に調製することができる。
以下に、本発明の実施例を用いて詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
作製したニッケル粉の粒径の評価は以下のようにして行った。
走査型電子顕微鏡(JSM−5510、日本電子製)で10000倍の写真を撮影し、写真一視野で確認できる全ての粒子の粒径を測定し、統計処理を施して評価した。その評価項目は、粒子数基準で篩下10%相当径(D10)、篩下50%相当径(D50:平均粒径)、篩下90%相当径(D90)とした。
水酸化ニッケル粉の粒度分布は、レーザ光回折散乱式粒度分析計で測定して求め、体積積算50%の粒径を平均粒径とし、測定された粒径の最大値を最大粒径とした。
100gの塩化ニッケル6水和物(試薬1級、和光純薬製)と塩化マグネシウム6水和物(試薬1級、和光純薬製)0.2g(水酸化ニッケル粉中のMg含有量0.06質量%相当)を純水250mlに溶解して塩化ニッケル水溶液を調製した。次いで、水酸化ナトリウム(試薬1級、和光純薬製)35.5gを純水250mlに溶解した溶液を前記塩化ニッケル水溶液に添加し、生成した水酸化物をろ過した。さらに、これを1lの純水で水洗し、再びろ過した(以下、本操作を「ろ過水洗」と呼ぶ)。同様にろ過水洗を4回繰り返した後に、箱型大気乾燥機(DX601、ヤマト科学製)で150℃、48時間の乾燥を行い、水酸化ニッケル粉を得た。
得られた水酸化ニッケル粉を解砕し、平均粒径16μm、最大粒径100μmの水酸化ニッケル粉群を構成した後、垂直型管状炉(均熱帯長5m、管内径7cm径、東海高熱製タワーキルン)を用いて、この水酸化ニッケル粉を0.52g/cm・分(20g/分を単位時間・単位面積当たりの装入量に換算致しました。(20g/(3.5cm×3.5cm×3.14)))の割合で炉上部から落下させ、炉出口での空気と水蒸気からなる炉内ガスの排気量を水酸化ニッケル粉1gあたり0.3リットル/分とし、700℃で焙焼して酸化ニッケル粉を得た。均熱帯を通過する時間を焙焼時間とし、焙焼時間は6秒であった。なお、2.08g/cm・分の割合まで炉上部から落下させる水酸化ニッケル粉を増加させたが、酸化焙焼が十分に行われていることが確認された。
次に、形成した酸化ニッケル粉12gを、酸化ニッケル粉1gあたり0.1リットル/分の水素ガスと同量の窒素ガスを混合した混合ガス流したバッチ式雰囲気炉中に450℃で1時間保持して還元処理を施してニッケル粉を作製した。このニッケル粉を100メッシュの篩にかけ、そのニッケル粉の粒径を走査型電子顕微鏡(以下、SEM)により測定して、評価した。
水酸化ニッケル粉中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果をまとめて表1に示す。
塩化ニッケル水溶液に添加する塩化マグネシウム6水和物を0.1g(水酸化ニッケル粉中のMg含有量0.02質量%相当)とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
焙焼温度を300℃とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
焙焼温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
焙焼時の前記排気量を0.2リットル/分とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。なお、焙焼時間は8秒であった。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
焙焼時の前記排気量を2リットル/ 分とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。なお、焙焼時間は4秒であった。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
還元温度を300℃で3時間とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
還元温度を500℃で0.5時間とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
還元時に流す水素ガス流量を0.01リットル/分として同量の窒素ガスと混合して流し、還元時間を3時間とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
還元時に流す水素ガス流量を0.2リットル/分とし、同量の窒素ガスと混合して流した以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本実施例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
塩化ニッケル水溶液を塩化ニッケル6水和のみで調整した以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
焙焼時の前記排気量を0.1リットル/分とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
焙焼温度を250℃とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例4]
焙焼温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例5]
還元時に流す水素ガス流量を0.005リットル/分として同量の窒素ガスと混合して流した以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例6]
還元条件を250℃で3時間とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例7]
還元条件を600℃で0.5時間とした以外は、実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例8]
焙焼時に用いる炉をバッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)とし、乾燥水酸化ニッケル粉15gを水酸化ニッケル粉1gあたり空気流量を0.2リットル/分とし、450℃で6時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た以外は実施例1と同様にしてニッケル粉を得て、その粒径を測定した。
本比較例における水酸化ニッケル粉中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、ニッケル粉の粒径測定結果を表1に併せて示す。
Figure 2010196118
表1からも明らかなように、本発明に係る製造方法で得られた実施例1から10のニッケル粉は、平均粒径(D50)が0.3〜0.5μmでシャープな粒度分布が得られている。これに対して、比較例1から7のニッケル粉では、D90が実施例よりも大きく粗大なニッケル粉が含まれていることがわかる。
したがって、比較例1から7のニッケル粉は、粗大粒子が含まれることからMLCC内部電極用ニッケル粉として好ましくないことがわかる。また、従来のバッチ式による焙焼を採用した比較例8では、実施例と同様の粒度分布を持つニッケル粉が得られているものの、焙焼時間が6時間と極めて長く、生産性が極度に低下しており、本実施例での低コストに対する優位性が明確である。

Claims (8)

  1. アルカリ土類金属を含む水酸化ニッケル粉を焙焼処理して酸化ニッケル粉とし、前記酸化ニッケル粉を還元処理してニッケル粉とするニッケル粉の製造方法において、
    工程Aとして、
    ニッケル塩を含む水溶液を中和晶析してアルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉の形成工程と、
    工程Bとして、
    前記水酸化ニッケル粉から平均粒径1〜100μmの水酸化ニッケル粉群を構成し、前記水酸化ニッケル粉群を2.1g/cm・sec以下の装入量により300〜1000℃の非還元性ガス中に分散せしめた状態で酸化ニッケル粉へと焙焼処理すると共に、前記非還元性ガスおよび前記酸化ニッケル粉の焙焼処理により生じる水蒸気を水酸化ニッケル粉1gに対して排気温度0〜50℃の状態で0.2リットル/分以上の速度で排気する水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程と、
    工程Cとして、
    前記酸化ニッケル粉を、300〜500℃の温度で還元処理してニッケル粉を形成する還元工程と
    を含むことを特徴とするニッケル粉の製造方法。
  2. 前記工程Bにおける前記水酸化ニッケル粉が、前記非還元性ガス中に上方から落下し、前記非還元性ガス中で分散した状態にあることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
  3. 前記工程Bにおける前記水酸化ニッケル粉の300〜1000℃の非還元性ガス中における保持時間が、3〜10秒間であることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粉の製造方法。
  4. 前記工程Bにおける前記非還元性ガスが、空気であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  5. 前記工程Bにおける水酸化ニッケル粉の酸化ニッケル粉への焙焼工程が、大気圧下で行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  6. 前記工程Cにおける前記酸化ニッケル粉の還元工程が、酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素流量における水素濃度を示す水素雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  7. 前記アルカリ土類金属が、マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
  8. 前記ニッケル粉の平均粒径が、0.2〜0.5μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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