JP6135935B2 - 湿式ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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詳しくは、積層セラミックコンデンサ(multilayer ceramic capacitors;MLCC)の内部電極に適用した場合に、コンデンサの容量低下や信頼性低下を効果的に抑制可能な、高い結晶性を有し、かつ粗大粒子(例えば、粒径1μm以上)の含有が極めて少ない、湿式ニッケル粉末の製造方法に関するものである。
この厚膜導電体は、電気回路の形成、積層セラミックコンデンサ及び多層セラミック基板等の積層セラミック部品の電極等に用いられている。特に、積層セラミックコンデンサでは、小型・高容量化の要求から高積層化が進み、そのために用いる導電ペーストの使用量も大幅に増加している。
このため、導電ペーストに使用する金属粉末としては、PdやAg−Pdのような高価な貴金属の使用を避け、安価なニッケルなどの卑金属が主流となっている。
まず、ニッケル粉末と、エチルセルロース等の樹脂と、ターピネオール等の有機溶剤等とを混練して得られた導電ペーストを、誘電体グリーンシート(セラミックグリーンシート)上にスクリーン印刷・乾燥して内部電極用のニッケル塗膜を作製する。
次に、印刷された内部電極用のニッケル塗膜と誘電体グリーンシートが交互に重なるように積層し、圧着して積層体を作製する。
なお、上記積層体の脱バインダ処理は、ニッケル粉末が酸化しないように、極めて微量の酸素を含んだ雰囲気下にて行われる。
内部電極用のニッケル塗膜中のニッケル粉末の充填密度は粉末冶金における成形体の充填密度に比べてはるかに低く、しかも基板となる誘電体グリーンシート(セラミックグリーンシート)の焼結に伴う収縮量はニッケル膜の収縮に比べて小さいために、薄層化したニッケル膜では焼結の進行に伴ってニッケル膜が島状に途切れるという現象がより発生しやすくなる。
この内部電極(ニッケル膜)の途切れは、コンデンサの容量低下を引き起こすため、この途切れを抑制して高容量のコンデンサを得るためには、焼結時の収縮をできるだけ小さく抑えながら、緻密で薄い内部電極(ニッケル膜)を形成することが不可欠である。
したがって、コンデンサの容量低下抑制に向けたニッケル粉末自体の特性改善としては、真比重を高めること、および、ニッケル粉末の急激な焼結を抑制すること、となるが、これらの双方に、ニッケル粉末の結晶性を高めこと(結晶子径を大きくすること)が有効と考えられている。
内部電極の薄層化と同時に誘電体も薄層化されており、例えばニッケル膜に突起があると、その突起部分で誘電体層の層間距離が短くなって絶縁破壊が発生しやすくなる。これを抑制するためには、内部電極(ニッケル膜)の表面平滑性を高める必要があり、ニッケル粉末中の粗大粒子(例えば、粒径1μm以上)の低減、導電ペースト中でのニッケル粉末の分散性の向上、等の対策が必要である。
前者の気相法には、例えば塩化ニッケル等のニッケル化合物の蒸気を高温で還元性ガスにより還元する化学気相析出法(CVD法)(例えば、特許文献1参照)、金属ニッケルの蒸気を気相中で凝縮させる物理気相析出法(PVD法)、硝酸ニッケル等のニッケル化合物を水や有機溶媒に溶解または分散させた溶液または懸濁液を微細な液滴にし、その液滴を高温加熱して熱分解することでニッケル粉末を析出させる噴霧熱分解法(例えば、特許文献2参照)、等がある。
そこで、得られたニッケル粉末の精密分級(液体サイクロン、気流分級装置、等)を行い、粗大粒子を除去する方法(例えば、特許文献4参照)が試みられているが、例えばニッケル粉末の粒径が0.3μm以下(特に0.2μm以下)になってくると、粗大粒子の分級除去効率や製品歩留りが低下してくる問題がある。
この特許文献5に開示されている実施例には、湿式ニッケル粉末の加熱処理による高結晶化の具体的な記載は全く見られないが、平均粒径0.56〜0.58μmと非常に大きな湿式ニッケル粉末を対象としており、上記近年の内部電極の薄層化に対応することは難しい。
還元雰囲気に使用した水素(H2)等の還元性ガス濃度は、ニッケル粉末表面の状態変化や不純物除去を十分に行なうために1体積%以上が必要と記載されている。
そして、その湿式ニッケル粉末は、積層セラミックコンデンサの内部電極に適用した場合に、コンデンサの容量低下や信頼性低下を効果的に抑制できる顕著な効果を奏するものである。
本発明の湿式ニッケル粉末の製造方法では、湿式法(ニッケル塩溶液の還元反応法)を用いて作製した原料ニッケル粉末に、高結晶化工程、解砕工程の各工程を施すことにより、高い結晶性を有し、かつ粗大粒子(例えば、粒径1μm以上)の含有が極めて少ない、湿式ニッケル粉末を得ている。
本発明で用いる原料ニッケル粉末には、湿式法で作製されたニッケル粉末を用いる。
湿式法によるニッケル粉末の製造は、ニッケル塩水溶液に、必要に応じて錯化剤、分散剤、アルカリ成分を添加し、ヒドラジン等の還元剤によりニッケル粉末を晶析させて行うことができ、例えば、特許文献3や特許文献6に記載されるような公知の方法を利用することができる。
得られるニッケル粒子の形状は、晶析条件等にもよるが、一般的には、粒状、略球状、球状等である。また湿式法を用いるため、粒度分布がシャープで含まれる粗大粒子(例えば、粒径1μm以上)を極めて少なくでき、製品歩留りが高い。
錯化剤やアルカリ成分も特に限定されるものではなく、例えば錯化剤では、クエン酸、酒石酸等の有機多価カルボン酸やその塩(クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等)が、アルカリ成分では水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム(苛性カリ)等が適用可能である。
平均粒径が0.3μmを超えると、薄層化された内部電極(ニッケル膜)において、内部電極各層のニッケル粒子の個数が減少してニッケル膜の連続性が損なわれ、内部電極(ニッケル膜)に突起が生じて平坦性が低下するなどの悪影響が生じるからである。
ここで、原料ニッケル粉末(平均粒径0.3μm以下)における、粒径1.0μm以上の粗大粒子の割合はできるだけ小さい方が好ましいが、具体的には、全粒子個数の50ppm以下である。この程度の粗大粒子の割合であれば、湿式法における晶析条件等を最適化すれば、それ程達成は困難ではない。50ppmを超えると、前述のように、内部電極(ニッケル膜)に突起が生じて、誘電体層の絶縁破壊を引き起しやすくなるため好ましくない。
原料ニッケル粉末の酸素含有量は、平均粒径や乾燥方法等にも依存するが、平均粒径0.2〜0.3μm程度であれば、通常、0.5〜1.5重量%程度の範囲内に収まる。ニッケル粉末の酸化が進んで酸素含有量が1.5重量%を超えてくると、積層セラミックコンデンサの焼結時にニッケル粉末の体積収縮が大きくなって、内部電極(ニッケル膜)が途切れて連続性が保てなくなり、さらにニッケル粉末表面のニッケル酸化物が還元・分解して発生するガスによって、コンデンサ内にクラックやデラミネーションを生じる可能性が高くなるため好ましくない。
なお、上記晶析反応後のろ過や乾燥の方法は、公知の方法を適宜選択すればよく、ろ過であれば、フィルタープレス、遠心分離機、デカンタ、等が、乾燥であれば、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、等が挙げられるが、これらに限定されない。
0.05質量%未満では、原料ニッケル粉末の単位表面当りの硫黄化合物量が少なく、上記触媒活性抑制や焼結性の改善が不十分となる場合があり、一方、0.6質量%を超えると、原料ニッケル粉末の単位表面当りの硫黄化合物量が多くなりすぎて、積層セラミックコンデンサの製造工程において腐食ガスの発生等の別の問題が生じる可能性がある。
本発明の高結晶化工程では、湿式法で得られた上記原料ニッケル粉末に特定の雰囲気と温度範囲での熱処理を施し、原料ニッケル粉末の結晶子を増大させて高結晶子径を有するニッケル粉末を得る工程である。
原料ニッケル粉末の結晶子径(CS1)は、この高結晶化工程により増大し、後述する解砕工程において若干低下するものの、最終的に得られる湿式ニッケル粉の結晶子径(CS2)は、CS2≧1.3×CS1、好ましくはCS2≧1.7×CS1、より好ましくはCS2≧2.0×CS1、で表される範囲まで到達させることができる。
<第1の実施形態>
上記高結晶化工程における、第1の実施形態は、平均粒径が0.3μm以下で、かつ結晶子径(CS1:nm)が40nm以下の原料ニッケル粉末を還元雰囲気中で250℃〜350℃の温度で熱処理し、原料ニッケル粉中の結晶子を増大させて高結晶子径のニッケル粉末を得るものである。
一方で、原料ニッケル粉末表面に所定量存在するニッケル酸化物や水酸化ニッケル物等も同様に還元除去(Niに還元)されるが、これは、ニッケル粉末の酸素含有量が低下するという点では好ましい側面ではあるが、焼結抑制作用を有するニッケル酸化物や水酸化ニッケル物の除去により、ニッケル粒子同士が焼結(ネッキング)しやすくなって、粗大粒子の形成が促進される恐れがある。そのため、過度に還元性を高めた雰囲気(例えば高濃度の水素ガス含有する窒素ガス雰囲気等)は避けた方が良い。
水素ガス濃度が0.1体積%以下だと、上記原料ニッケル粉末の高結晶化(結晶子径増大)の促進効果が薄れるため、望ましくない。一方、水素ガス濃度が5.7体積%未満だと、水素と窒素の混合ガス雰囲気では不燃性になるため、高結晶化工程の加熱装置(加熱炉)における取扱いがより簡便となり好ましい。
水素ガス濃度を5.7体積%以上にしても、高結晶化(結晶子径増大)の促進効果に変わりがなく、原料ニッケル粉末表面のニッケル酸化物や水酸化ニッケル物が除去されやすくなってニッケル粒子同士の焼結(ネッキング)の促進を招くだけである。
熱温度が250℃未満だと、原料ニッケル粉末の高結晶化(結晶子径増大)が促進されず(CS2<1.3×CS1)、好ましくない。また、加熱温度が350℃より高いと、高結晶化(結晶子径増大)は促進される(CS2≧1.3×CS1)ものの、原料ニッケル粉末同士の焼結(ネッキング)が進行して、次工程の解砕工程で分散しきれずに残存する粗大粒子が生じるため望ましくない。
加熱時間が10分未満だと、加熱時間が短すぎて原料ニッケル粉末の温度分布が大きくなって高結晶化(結晶子径増大)にバラツキが生じる可能性があり好ましくない。また、加熱時間が4時間を超えると、高結晶化工程の処理効率が著しく低下するため望ましくない。
高結晶化工程における、第2の実施形態は、平均粒径が0.3μm以下で、かつ結晶子径(CS1:nm)が40nm以下の原料ニッケル粉末を不活性ガス雰囲気中で300℃〜400℃の温度(T1:℃)で熱処理して結晶子を増大させた後、還元雰囲気中で150〜350℃以下の温度(T2:℃、T2≦T1)で熱処理してニッケル粉末の酸素含有量を低減させて、高結晶子径のニッケル粉末を得るものである。
不活性ガスに含まれる、不純物としての酸素ガス(O2)濃度は10ppm以下、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは1ppm以下がよい。酸素ガス濃度が10ppmを超えると、不活性ガス雰囲気中の熱処理において、原料ニッケル粉末の酸化が進行し、粉末表面のニッケル酸化物等が過剰なまでに増加するため好ましくない。
加熱時間が10分未満だと、加熱時間が短すぎて原料ニッケル粉末の温度分布が大きくなって高結晶化(結晶子径増大)にバラツキが生じる可能性があり好ましくない。また、加熱時間が4時間を超えると、高結晶化工程の処理効率が著しく低下するため望ましくない。
水素ガス濃度が0.1体積%以下だと、ニッケル粉末表面に残存するニッケル酸化物等の還元除去(Niに還元)が不十分となるため望ましくない。一方、水素ガス濃度を5.7体積%以上にしても、ニッケル酸化物等の還元除去(Niに還元)の効率に著しい改善が見られる訳ではなく、また、水素と窒素の混合ガス雰囲気では不燃性の扱いにならなくなるため、必ずしも好ましいとは言えない。
加熱装置(加熱炉)としては、バッチ炉、ローラーハース炉、プッシャー炉などを用いることができるが、還元雰囲気および不活性ガス雰囲気で使用できるものであれば特に限定されない。
本発明の解砕処理では、上記高結晶化工程で得られた高結晶子径のニッケル粉末に解砕処理を施して、高結晶化工程で緩やかな凝集・焼結が生じた高結晶子径のニッケル粉末を分散させる工程である。
前述の通り、原料ニッケル粉末(平均粒径0.3μm以下)における、粒径1.0μm以上の粗大粒子の全粒子個数に対する割合は50ppm以下のため、解砕工程を経ることによって、粒径1.0μm以上の粗大粒子の全粒子個数に対する割合は50ppm以下にする必要がある。
ジェットミルを用いた解砕処理のガス媒体には空気が一般的であるが、高結晶子径のニッケル粉末の平均粒径が0.3μm以下と小さく酸化しやすいこと、粉塵濃度が高まると粉塵爆発の可能性があること、等を考慮すると、不活性ガスを用いても良い。
なお、ニッケル粉末が微細化するほど凝集性が強くなるため、より強力な解砕力を与える必要があり、この点からすると、空気よりも軽いガス媒体を用いることが望ましく、具体的には、窒素ガス、ヘリウムガスが挙げられる。
なお、解砕工程では、ニッケル粉末に大きな解砕力が印加されるため、高結晶化工程で高結晶化したニッケル粉末の結晶子径は若干低下する。例えば、ジェットミルを用いた解砕処理が施されると、ニッケル粉末の結晶子径は1〜2nm程度低下する。
走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5510、日本電子株式会社製)を用い、倍率10000倍のSEM像(視野:縦9.6μm×横12.8μm)の写真を得た。
このSEM像を画像解析ソフト(Mac−View、株式会社マウンテック製)を用いて像内の粒子形状の全様が見える粒子の面積と個数を計測し、これらから各粒子の直径を求め平均値により算出した。
走査型電子顕微鏡を用い、倍率5000倍のSEM像(視野:縦19.2μm×横25.6μm)の写真を20視野得る。この20視野のSEM像を、画像解析ソフトを用いて像内の粒子形状の全様が見える粒子の面積と個数を計測し、これらから各粒子の直径を求め、直径が1.0μm以上のものを粗大粒子としてカウントした。
ニッケル粉の酸素含有量は、分析装置(LECO社製、TC436AR)にて測定した。
以下に、湿式還元法を用いた原料ニッケル粉末作製の詳細を示す。
パラジウムと微量の銀とゼラチンからなるアルカリ性コロイド溶液に、アルカリ性のヒドラジン溶液を混合し、ニッケルを還元するためのアルカリ性コロイド溶液を作製した。
作製したアルカリ性コロイド溶液におけるパラジウム、銀、ゼラチンの含有量は、始液となるニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対して、パラジウム:7.5質量ppm、銀:0.075質量ppm、ゼラチン:0.75質量%とした。なお、溶液中のパラジウムおよび銀の含有量は、ICP発光分光分析法により分析した。
先ず、純水30Lに所定量のゼラチンを溶解させた後、ヒドラジンの濃度が0.015g/Lとなるようにヒドラジンを混合し、ゼラチンとヒドラジンを含む溶液を作製した。
次に、純水と所定量のパラジウム塩と銀塩の1Lの混合溶液を作製し、先に作製したゼラチンとヒドラジンを含む溶液に滴下して、コロイド溶液を得た。
以下に、湿式還元法を用いた原料ニッケル粉末作製の詳細を示す。
パラジウムと微量の銀とゼラチンからなるアルカリ性コロイド溶液に、アルカリ性のヒドラジン溶液を混合し、ニッケルを還元するためのアルカリ性コロイド溶液を作製した。
作製したアルカリ性コロイド溶液におけるパラジウム、銀、ゼラチンの含有量は、始液となるニッケル塩水溶液中のニッケルの全質量に対して、パラジウム:17質量ppm、銀:0.17質量ppm、ゼラチン:1.7質量%とした。なお、溶液中のパラジウムおよび銀の含有量は、ICP発光分光分析法により分析した。
先ず、純水30Lに所定量のゼラチンを溶解させた後、ヒドラジンの濃度が0.05g/Lとなるようにヒドラジンを混合し、ゼラチンとヒドラジンを含む溶液を作製した。
次に、純水と所定量のパラジウム塩と銀塩の1Lの混合溶液を作製し、先に作製したゼラチンとヒドラジンを含む溶液に滴下して、コロイド溶液を得た。
高結晶化工程として、原料ニッケル粉末に、水素ガスと窒素ガスの混合ガス(H2:0.2体積%、N2:99.8体積%)からなる還元雰囲気中で、加熱温度400℃で加熱時間1時間の熱処理を施した以外は実施例1と同条件により比較例1に係る湿式ニッケル粉末を作製した。
高結晶化工程として、原料ニッケル粉末に、水素ガスと窒素ガスの混合ガス(H2:2.0体積%、N2:98.0体積%)からなる還元雰囲気中で、加熱温度200℃で加熱時間2時間の熱処理を施した以外は実施例1と同条件により比較例2に係る湿式ニッケル粉末を作製した。
(比較例3)
(比較例4)
高結晶化したニッケル粉末に解砕処理を施さなかった以外は実施例1と同条件により比較例5に係る湿式ニッケル粉末を作製した。
(比較例6)
Claims (7)
- ニッケル塩溶液の還元反応法である湿式法を用いて作製した原料ニッケル粉末に、高結晶化工程、解砕工程の各工程を施して得られる湿式ニッケル粉末の製造方法であって、
前記原料ニッケル粉末が、平均粒径が0.3μm以下、かつ結晶子径(CS1:nm)が40nm以下で、
前記高結晶化工程が、前記原料ニッケル粉末を還元雰囲気中で250℃〜350℃の温度で熱処理して結晶子を増大させて高結晶子径のニッケル粉末を得る工程、
前記解砕工程が、前記高結晶化工程で得られた高結晶子径のニッケル粉末に解砕処理を施して、高結晶化工程で凝集・焼結が生じた高結晶子径のニッケル粉末を分散させる工程、
前記湿式ニッケル粉末が、0.3μm以下の平均粒径を有し、
かつ結晶子径(CS2:nm)は、CS2≧1.3×CS1、で、
粒径1μm以上の粗大粒子の全粒子個数に対する割合が50ppm以下であることを特徴とする湿式ニッケル粉末の製造方法。 - ニッケル塩溶液の還元反応法である湿式法を用いて作製した原料ニッケル粉末に、高結晶化工程、解砕工程の各工程を施して得られる湿式ニッケル粉末の製造方法であって、
前記原料ニッケル粉末が、0.3μm以下の平均粒径を有し、かつ結晶子径(CS1:nm)が40nm以下で、
前記高結晶化工程が、前記原料ニッケル粉末を、不活性ガス雰囲気中で300℃〜400℃の温度(T1:℃)で熱処理して結晶子を増大させた後、還元雰囲気中で150〜350℃(T2:℃、T2≦T1)の温度で熱処理してニッケル粉末の酸素含有量を低減させる、高結晶子径のニッケル粉末を得る工程、
前記解砕工程が、前記高結晶化工程で得られた高結晶子径のニッケル粉末に解砕処理を施して、高結晶化工程で凝集・焼結が生じた高結晶子径のニッケル粉末を分散させる工程、
前記湿式ニッケル粉末が、0.3μm以下の平均粒径を有し、
かつ結晶子径(CS2:nm)が、CS2≧1.3×CS1、で、
粒径1μm以上の粗大粒子の全粒子個数に対する割合が50ppm以下であることを特徴とする湿式ニッケル粉末の製造方法。 - 前記原料ニッケル粉末が、少なくとも有機硫黄化合物と無機硫黄化合物のいずれかで表面修飾されていることを特徴とする請求項1または2に記載の湿式ニッケル粉末の製造方法。
- 前記還元性雰囲気が、水素ガスと不活性ガスの混合雰囲気であり、該混合雰囲気中の水素ガス濃度が0.1体積%を超え5.7体積%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の湿式ニッケル粉末の製造方法。
- 前記不活性ガスが、窒素ガス、希ガスの内のいずれか1種類以上であることを特徴とする請求項2または4に記載の湿式ニッケル粉末の製造方法。
- 前記解砕工程が、湿式解砕工程または乾式解砕工程であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の湿式ニッケル粉末の製造方法。
- 前記湿式解砕工程が高圧衝突式分散機を用い、前記乾式解砕工程が気流式微粉砕機(ジェットミル)を用いて行われることを特徴とする請求項6に記載の湿式ニッケル粉末の製造方法。
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