JP7277399B2 - 走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法 - Google Patents

走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば積層セラミックコンデンサ、積層インダクタ等の電子部品の電極材料、電子機器部品に用いられる導電性ペーストのフィラーなどに好適なニッケル粉末のような、ナノ及びサブミクロンサイズの粒子集合体から粗大粒子及び連結粒子を分析する技術に関し、特に金属粉末の試料中に存在する粗大粒子及び連結粒子を、走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法に関する。
電子部品の小型化、高容量化、低背化に伴い電子回路中の電極の多様化、薄層化の要求が強くなっている。
特に積層セラミックコンデンサにおいては、電極材料に使用される金属粉末も、例えば粒子径が0.4μm超の粗大粒子をカットしたものが最先端製品として商品化されている。
電極層を薄層化するには、内部電極厚を薄層化する必要があり、それに伴い電極材料中の粗大粒子の存在が問題となる。
製品となる金属粉末から除去するべき粗大粒子の粒子径は、試料となる金属粉の平均粒径によって異なるが、本明細書では粒子径が、0.4μm超のものをいう。
また、本明細書中で連結粒子とは、金属粉末粒子同士が衝突、及び焼結し二つ以上の粒子が連結した粒子をいう。
粗大粒子は電極中で過焼結の核となり信頼性を悪化させ、誘電体を突き破り絶縁不良の原因となる。また、連結粒子は形状が長針状であるため、球形の粒子に比べ大きく分散性が低下し、重力場でも複雑な挙動を示すことから連結粒子の増加に伴い歩留は低下する傾向にあるため、このような異形粒子の存在率を画像解析により管理する必要がある。
しかし、ニッケル超微粉中の2.0μm以上の粗大粒子は非常に少なく、例えば、平均粒子径0.2μm以上のニッケル超微粉中では、個数基準で0.004%~0.008%である。これを分級操作して粗大粒子を減らしたものはさらに存在率が低くなり、その計数が難しい。
この低い存在率の粗大粒子を測定するための前処理方法としては、沈降濃縮法がある。
この、沈降濃縮法を用いた粗大粒子評価方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示された粗大粒子評価は、「少なくとも導電性粉末を含む導電性ペーストにアルコールを添加し、前記導電性ペーストが分散した分散溶液を形成する第1工程と、前記分散溶液を静置して、前記分散溶液を沈降物と上澄み液に分離し、分離した前記上澄み液を除去して沈降物を回収する第2工程と、回収した前記沈降物を塗布処理により平滑な面を有する塗膜を形成後、乾燥して乾燥塗膜を形成する第3工程と、前記乾燥塗膜を、走査型電子顕微鏡観察により前記乾燥塗膜の乾燥塗膜面像を得て、前記乾燥塗膜面像を用いて、前記導電性ペーストに含まれる前記導電性粉末の粗大粒子を評価する第4工程とからなることを特徴とする」(請求項1参照)ものである。
沈降濃縮法は、主として2.0μm以上の粗大粒子計測を目的として実施される方法であり、特許文献1の請求項1の第1工程、第2工程として記載されているように、有機溶媒中に金属粉を分散し、静置することで粗大粒子の沈降処理を行い、上澄みを除去して粗大粒子を濃縮するというものである。
また、粗大粒子よりも粒子径が小さいものを含む連結粒子の計測や、金属粒子の粒度分布の計測といった粒子解析は、カーボンテープに金属粉末を直接圧接するプレス法と呼ばれる前処理を経て、走査型電子顕微鏡で観察、撮影を行い、その画像を画像処理ソフトを用いて粒度計測するという手法が行われていた。
特開2015-161536号公報
しかしながら、沈降濃縮法及びプレス法のいずれも下記に示すような問題がある。
まず、沈降濃縮法は2.0μm以上の粗大粒子の濃縮は可能であるが、前述した次世代製品のように粗大粒子として粒子径が0.4μm超のものを除去するような場合には、2.0μm以上の粗大粒子を濃縮する場合の沈降濃縮時間では沈降が十分ではなく、沈降させなければならない計測対象粒子まで上澄みとして除去してしまっているという問題がある。
また、沈降濃縮法は、沈降濃縮率が一定でなく、粗大粒子計測個数にバラツキを与えるという問題がある。さらに、図5に示すように、沈降濃縮物を試料台11に塗布する際、厚みが一定ではなく、他の粒子が粗大粒子1aを隠してしまったり、凝集体により観察面に凹凸が生じたりすることで、粗大粒子計測ができないという問題もある。
一方、プレス法はカーボンテープ13に金属粉末1を直接圧接して試料とする前処理方法であるが、このような前処理をした試料は、金属粉末1の粒子が何層にも重なり、図6(a)に示すように、粗大粒子1a(図6(a)参照)や連結粒子1b(図6(b)参照)が隠れてしまう。このため、走査型電子顕微鏡で観察する際に重なった粒子同士を画像処理によって自動的に分離することができず、目視で連結粒子等の識別を行わざるを得ないが、粒子の連結部分を目視で判断するのは基準が曖昧でかつ熟練の技術が必要となる。
以上のように、沈降濃縮法及びプレス法のいずれの前処理方法にも課題があり、画像解析による粗大粒子計測、連結粒子計測及び粒子解析の自動処理が可能となる試料の前処理方法の開発が望まれている。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を用いた粗大粒子計測、連結粒子計測及び粒子解析の自動処理が可能となる試料の前処理方法を提供することを目的としている。
(1)本発明に係る走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法は、金属粉末中に存在する粗大粒子及び連結粒子の個数を、走査型電子顕微鏡で撮影した画像に基づいて自動計測するために、前記走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法であって、前記金属粉末を分散媒中に分散させる分散工程と、前記金属粉末が分散された分散液を分取して、メンブレンフィルター上に塗布する塗布工程とを有し、該塗布工程は、前記メンブレンフィルターの表面にエアーブラシで前記分散液を噴霧しながら、前記メンブレンフィルターの裏面側から前記分散液の液体を吸引ろ過することを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記金属粉末が、ニッケル粉末、鉄粉末、銅粉末であることを特徴とするものである。
本発明においては、分散工程と塗布工程とを有し、該塗布工程において、メンブレンフィルターの表面にエアーブラシで分散液を噴霧しながら、メンブレンフィルターの裏面側から分散液の液体を吸引ろ過するので、粒子が凝集することなく、かつ、薄層な粒子層が形成された試料を得ることができる。
これにより、前記試料を走査型電子顕微鏡で撮影した画像を用いれば、画像処理において粗大粒子及び連結粒子を明瞭に分離できるので、粗大粒子及び連結粒子の自動計測及び粒子解析の自動処理が可能となる。
さらに、本発明においては、小さい粒径の粒子を除去することがないので、次世代製品のように粒径の小さい粒子を粗大粒子として計測したい場合にも有効である。
本発明の一実施の形態に係る試料の前処理方法を説明するためのフロー図である。 本発明の一実施の形態に係る塗布工程を説明するための説明図である。 本発明の一実施の形態に係る試料の前処理方法によって得られる試料の状態を示す図である。 実施例1に係る比較例2のろ過方法の説明と、比較例2で得られる試料の状態を示す図である。 従来の試料の前処理方法によって得られる試料の状態を示す図である(その1)。 従来の試料の前処理方法によって得られる試料の状態を示す図である(その2)。
本発明に係る走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法は、金属粉末1中に存在する粗大粒子1a及び連結粒子1bの個数を、走査型電子顕微鏡で撮影した画像に基づいて自動計測するための方法であって、図1に示すように、金属粉末1を分散媒中に分散させる分散工程S1と、金属粉末1が分散された分散液3を分取して、メンブレンフィルター5上に塗布する塗布工程S3とを有している。
以下、金属粉末1として、気相法や液相法などに公知の方法で製造されたニッケル超微粉(ニッケル粉末)を例に挙げて、上記の各工程を詳細に説明する。なお、本発明は、平均粒子径が0.1μm~0.6μmの金属粉末の前処理に好適である。
<分散工程>
分散工程S1は、金属粉末1を分散媒中に分散させる工程である。
分散媒には、イオン交換水(以下純水とする)、ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液、有機溶媒(エタノール、メタノールなど)を用いることができる。それぞれの溶液で金属粉末1のスラリー化は可能であるが、0.4μm超のものは純水、0.4μm以下のものはヘキサメタリン酸ナトリウム溶液が望ましい。
ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液は、一級以上の工業試薬を用い純水に規定濃度量を溶解させたものである。ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の濃度は0.1wt%~0.5wt%が望ましく、それ以上の濃度の溶液で分散を加えると、塗布工程においてメンブレンフィルター5上に分散液3を噴霧する際、観察面にヘキサメタリン酸ナトリウムの再結晶化が起こり、観察面に悪影響を及ぼす可能性がある。
分散媒中の金属粉末1の濃度は均一に分散する濃度であれば問題ない。しかし金属粉末1の量が多すぎると、凝集体解砕に時間がかかり、また少なすぎると秤量誤差が発生する。純水または0.2wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液の分散媒120mlに、0.1から0.5gの金属粉末1を分散させると均一に分散可能な濃度度合いとなり、凝集体解砕にかかる時間が短く作業性が好適である。
分散機には、高速攪拌機または超音波ホモジナイザーを用いる。超音波ホモジナイザーを用いる場合には、間接式の超音波ホモジナイザーが好ましい。これは、超音波振動子チップを溶液中に入れる形式の超音波ホモジナイザーを用いると、チップの先端から分散液3中にコンタミが混入する可能性があり、画像解析の際に、混入したコンタミが金属粉末1の粒子と誤認識される恐れがあるからである。
なお、分級操作した金属粉末1には凝集体が混在しており、凝集体を解砕できる強力な分散力を必要とするので、ローター・ステーター式分散機等の高速攪拌機を用いるのが望ましい。
高速攪拌を行う場合には、ガラス製もしくはステンレス製の高さ110mm以上のトールビーカー等の容器を用いるのが好ましい。
ローター・ステーター式分散機による攪拌速度は、10000から21500rpm、攪拌時間は5~10分が好適である。また、攪拌効率向上及び飛散防止のために、容器に邪魔板を取り付けることが好ましい。分散処理中に分散液3の温度が35℃以上に上昇すると、分散液3中の金属粉末1が再凝集を起こすので、分散処理中は容器を10℃未満の冷水槽上に置くとよい。
<塗布工程>
塗布工程S3は、分散工程S1によって得られた分散液3を所定の量分取して、メンブレンフィルター5上に塗布する工程である。以下、図2を用いて具体的に説明する。
塗布工程S3では、図2に示すように、メンブレンフィルター5の表面にエアーブラシ7で分散液3を噴霧しながら、メンブレンフィルター5の裏面側から循環式アスピレーター(図示なし)を用いて吸引ろ過する。
このようにメンブレンフィルター5の表面にエアーブラシ7で分散液3を噴霧するとともに、裏面側から循環式アスピレーターで吸引ろ過することで、噴霧された分散液3の液体がメンブレンフィルター5上に滞留することがないので、滞留がある場合に生ずる金属粉末1の凝集(図4参照)を防ぐことができる。
なお、エアーブラシ7に分取する分散液3の量(メンブレンフィルター5に塗布する量)は、多すぎるとメンブレンフィルター5上に分散液3が滞留しやすくなり、少なすぎると塗布面積が小さくなるため、観察面を形成することができない。
分取する分散液3の適切な量は液中の金属粉末1の平均粒子径により異なるが、例えば、平均粒子径0.2μm~0.4μmの金属粉末1の場合は、0.1ml~0.5ml分取するとよい(分散液3における金属粉末1の濃度が0.08wt%の場合)。
このように、所定の量の分散液3をメンブレンフィルター5上に噴霧しながら、吸引ろ過を行うことで、メンブレンフィルター5上には、図3に示すように、粒子が均一に塗布された一層の金属粒子層を形成することができる。
なお、メンブレンフィルター5は、孔径0.2μmのものを用いることができる。孔径が大きいと、金属粉末1が通過するため、金属粉末1の平均粒子径に合わせて、フィルター孔径を選択する。メンブレンフィルター5の材質はポリカーボネートが好適である。
このように、粒子が一層で均一に塗布された金属粒子層(図3参照)を形成することで、図5、図6に示したような、他の粒子の凝集体によって粗大粒子1a及び連結粒子1bが隠れることがなく、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を用いて粗大粒子1a及び連結粒子1bの計測をする際に、粒子の分離(自動識別)が可能となり、粗大粒子計測、連結粒子計測及び粒子解析の自動処理が可能となる。
上述した本実施の形態に係る試料の前処理を施した後、以下に一例を示すような走査型電子顕微鏡による撮影を行う。
まず、金属粒子層が形成されたメンブレンフィルター5を走査型電子顕微鏡用の試料台にカーボンテープで固定し、導電性を持たせる為、金属蒸着を行う。
その後、走査型電子顕微鏡で粒子が均一な一層に形成されている範囲を選出し、撮影する。
粗大粒子観察における走査型電子顕微鏡での撮影は、観察しやすい倍率と視野で行えばよい。ただし、倍率を下げると観察視野面積が増えるが粗大粒子1aを見逃す可能性があるため、適度な倍率で行うことが望ましく、例えば、0.4~0.6μmの粒子を粗大粒子1aとして観察する場合は、10000倍、それ以上の粒径の粒子を粗大粒子1aとして観察する場合は、3000倍から10000倍の倍率で観察を行うのが好適である。
連結粒子観察における走査型電子顕微鏡での撮影は、観察しやすい倍率と視野で行えばよい。ただし、倍率を下げると粒子同士の連結部分の観察が困難になる為、適度な倍率で行うことが望ましく、例えば、平均粒子径0.2μmのニッケル粉末中の連結粒子1bを観察する場合は、20000倍の倍率で観察を行うのが好適である。
走査型電子顕微鏡の観察像(撮影画像)は、画像処理ソフトを用い、2値化により、粒子の自動分離、抽出を行うことから、反射電子像(BSE像)が好適である。
上述した本実施の形態では、金属粉末1としてニッケル粉末を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、金属粉末1が、鉄粉末や銅粉末であってもよい。
次に、上述した実施の形態に係る走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法を実施した場合の作用効果を確認する実験を行ったので、その結果について以下に説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
本実施例では、試料に平均粒径0.2μmのニッケル粉末を用いて、発明例1、比較例1及び比較例2において異なる前処理方法をそれぞれ2回ずつ実施し、各前処理を施した試料を走査型電子顕微鏡で撮影して、粗大粒子計測を行った。以下に、それぞれの前処理方法について説明する。
(発明例1)
ステンレス製のトールビーカーに、分散媒としてヘキサメタリン酸ナトリウム溶液120mlと試料100mgを入れ、邪魔板を設置し、ローター・ステーター式分散機(ウルトラタラックスT25)を用いて、10000rpmで10分間分散処理を行った。分散処理中は、ビーカー周りを10℃の冷却水槽で冷やした。
上記処理によって得られた分散液3を0.2ml分取して、メンブレンフィルター5(孔径0.2μm、ポリカーボネート製)の表面にエアーブラシ7で噴霧するとともに、裏面側から吸引ろ過した。
表面に金属粒子層が形成されたメンブレンフィルター5を、カーボンテープで試料台に固定して白金蒸着を行い、白金蒸着を施した試料を走査型電子顕微鏡の所定の観察位置にセットして、後述する粗大粒子計測方法によって粗大粒子を計測した。
(比較例1)
50mlデスカップに、分散媒としてエタノール溶液20ml、試料600mgを入れ、超音波ホモジナイザーを用いて5分間分散処理を行った後、10分間静置して上澄み溶液を除去した。
磁石で沈降物を回収して試料台に塗布し(図5参照)、白金蒸着を行い、白金蒸着を施した試料を走査型電子顕微鏡の所定の観察位置にセットして、後述する粗大粒子計測方法によって粗大粒子を計測した。
(比較例2)
ステンレス製のトールビーカーに、分散媒としてヘキサメタリン酸ナトリウム溶液120mlと試料100mgを入れ、邪魔板を設置し、ローター・ステーター式分散機(ウルトラタラックスT25)を用いて、10000rpmで10分間分散処理を行った。分散処理中は、ビーカー周りを10℃の冷却水槽で冷やした。
上記処理によって得られた分散液3を、マイクロピペットで5ml分取してポリプロピレン製のディスポーサブルカップに入れ、さらに純水を10ml加え、600Wの間接式ホモジナイザーで2分間分散処理を行った。
上記処理によって得られた分散液3を、図4(a)に示すようなガラスろ過器9を用いて、メンブレンフィルター5(孔径0.2μm、ポリカーボネート製)に全量ろ過した。
表面に金属粒子層が形成されたメンブレンフィルター5は、前述した発明例1と同様の処理を行い、後述する粗大粒子計測方法によって粗大粒子を計測した。
本実施例における走査型電子顕微鏡による撮影、及び、粗大粒子計測は以下のように行った。
走査型電子顕微鏡(SU-5000、日立製作所製)を用いて、倍率10000倍のBSE画像を40視野得る。その後、得られたBSE画像を、画像解析ソフト(WinROOF、三谷商事株式会社製)により解析し、BSE画像内の粒子形状の全様が見える粒子の外枠を計測して各粒子の長径を求め、その長径が0.6μm以上である粒子を粗大粒子と規定し、その数を自動計測した。
上記の方法により粗大粒子の数を計測した結果を表1に示す。
Figure 0007277399000001
表1に示すように、比較例1及び比較例2は1回目と2回目の計測結果にばらつきがみられ、特に、比較例1は、粗大粒子の検出数が発明例1の半分以下であった。
これは、従来の沈降濃縮法を用いた比較例1では、粗大粒子として規定した0.6μm以上の粒子の一部が上澄みとして除去されているからと考えられる。また、沈降物内に存在する粗大粒子についても、試料台11に塗布される試料は、金属粒子層が厚いので、層の上側の粒子によって下側の粗大粒子1aが隠れ(図5参照)、検出される数が少なかったと考えられる。
また、ガラスろ過器9を用いた比較例2は、ろ過の際、メンブレンフィルター5上に分散液3が滞留する(図4(a)参照)ので、金属粉末1の再凝集が生じる。さらに、メンブレンフィルター5上に形成される粒子層も厚く重なるので(図4(b)参照)、粗大粒子1aが検出しにくくなり、計測数にばらつきが出たと考えられる。
この点、実施の形態で説明した前処理方法を用いた発明例1は、比較例1の検出数が多い1回目と比べても、0.6μm~0.8μmの粗大粒子、0.8μm~1μmの粗大粒子共に、検出率が約2倍に向上しており、かつ、2回行った計測でもばらつきが小さく、安定した結果を得ることができた。
また、ガラスろ過器9を用いて粒子層を形成する比較例2では、一度分散処理した分散液3を希釈して再度分散処理を行っている。これは、ろ過中に生じる粒子の再凝集や、ろ過後の粒子層の厚さを低減するために分散液3の濃度を調整するものである。
この点においても、本発明による前処理方法では、分散液3の濃度に合わせてエアーブラシ7に分取する量を調整すればよく、また、粒子がまばらにならないよう密集させて粒子層を形成するには一定の濃度を必要とするので、上述した希釈及び再分散処理は不要である。
本実施例では、試料に平均粒径0.15μmのニッケル粉末を用いて、発明例2及び比較例3において異なる前処理方法をそれぞれ2回ずつ実施し、各前処理を施した試料を走査型電子顕微鏡で撮影して、粗大粒子計測を行った。なお、発明例2は発明例1と同様の前処理を行い、比較例3は比較例1と同様の前処理を行ったものとし、説明を省略する。
本実施例における走査型電子顕微鏡による撮影、及び、粗大粒子計測は実施例1と同様に行った。なお、本実施例における粗大粒子計測では、粒子の長径が0.4μm以上である粒子を粗大粒子と規定し、その数を自動計測した。
上記の方法により粗大粒子の数を計測した結果を表2に示す。
Figure 0007277399000002
表2に示すように、従来の沈降濃縮法を用いた比較例3は計測結果にばらつきがみられ、粗大粒子の検出数は発明例2と比較して少なかった。
発明例2と比較例3における計測数の差は、粒径の小さい粗大粒子ほど顕著に表れており、これは、前述したように、粒径の小さい粒子ほど前処理中に上澄みとして除去されやすいからと考えられる。
この点、発明例2は、粒径の小さい粒子を含めて検出率は向上しており、かつ、2回行った計測でもばらつきが小さく安定した結果を得ることができた。
実施例1及び実施例2で説明したように、本発明によれば、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を用いて自動処理による粗大粒子計測を行うに際し、従来よりも高い検出率を安定して得ることができる。特に、次世代製品のように、従来よりも小さい粒径の金属粉末に対しては、より本発明の効果を奏するものである。
本実施例では、試料に平均粒径0.2μmのニッケル粉末を用いて、発明例3及び比較例4において異なる前処理方法をそれぞれ3回ずつ実施し、各前処理を施した試料を走査型電子顕微鏡で撮影して、連結粒子計測を行った。なお、発明例3は発明例1と同様の前処理を行ったものとし、説明を省略する。以下に、比較例4の前処理方法について説明する。
(比較例4)
カーボンテープ13に試料を直接圧接し観察試料を作製した(図6参照)。得られた観察試料を走査型電子顕微鏡の所定の観察位置にセットして、後述する連結粒子計測方法によって連結粒子計測を行った。
本実施例における走査型電子顕微鏡による撮影、及び、連結粒子計測は以下のように行った。
走査型電子顕微鏡(SU-5000、日立製作所製)を用いて、倍率20000倍のBSE画像を8視野得る。その後、得られたBSE画像を、画像解析ソフト(WinROOF、三谷商事株式会社製)により解析し、BSE画像内の粒子形状の全様が見える粒子の外枠を計測し、各粒子の特徴量として円形度、アスペクト比、楕円長短比、円凹凸度の組み合わせを用いた一定の抽出条件により、連結粒子を自動処理にて抽出した。なお、各特徴量は、目視計測を行って抽出した粒子を解析することによって得た数値とした。
上記の方法により連結粒子及び全粒子の数を計測した結果を表3に示す。
Figure 0007277399000003
表3に、計測された連結粒子数、全粒子数、連結粒子率、相対標準偏差を示す。連結粒子率は全粒子数に対する連結粒子の存在割合を示すものであり、相対標準偏差は、発明例3及び比較例4でそれぞれ3回の計測によって得られた連結粒子率のばらつきを示すものである。
表3に示すように、従来のプレス法を用いた比較例4では3回の計測において、連結粒子及び全粒子の検出数にばらつきがみられ、これにより算出される連結粒子率もばらつきが大きい。
これは、カーボンテープ13に圧接された試料は、金属粒子層が厚く、層の上側の粒子によって下側の連結粒子1bが隠され(図6(b)参照)、各特徴量を用いた自動解析では、安定した抽出が行えなかったからと考えられる。
この点、発明例3は、3回の計測において、連結粒子数、全粒子数共に検出数のばらつきが小さく、安定した結果を得ることができた。
これは、薄層の粒子層(図3)を形成したことで、自動画像解析による粒子の分離精度が向上したからと考えられる。
実施例3で説明したように、本発明によれば、走査型電子顕微鏡で撮影した画像を用いて自動処理による連結粒子計測を行うに際し、安定した計測結果を得ることができる。
1 金属粉末
1a 粗大粒子
1b 連結粒子
3 分散液
5 メンブレンフィルター
7 エアーブラシ
9 ガラスろ過器
11 試料台
13 カーボンテープ

Claims (2)

  1. 平均粒子径が0.1μm~0.6μmの金属粉末中に存在する粗大粒子及び連結粒子の個数を、走査型電子顕微鏡で撮影した画像に基づいて自動計測するために、前記走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法であって、
    前記金属粉末を分散媒中に分散させる分散工程と、
    前記金属粉末が分散された分散液を分取して、メンブレンフィルター上に塗布する塗布工程とを有し、
    該塗布工程は、前記メンブレンフィルターの表面にエアーブラシで前記分散液を噴霧しながら、前記メンブレンフィルターの裏面側から前記分散液の液体を吸引ろ過することを特徴とする走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法。
  2. 前記金属粉末が、ニッケル粉末、鉄粉末、銅粉末であることを特徴とする請求項1記載の走査型電子顕微鏡で撮影するための試料の前処理方法。
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