JP6206248B2 - 導電性ペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法 - Google Patents
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Description
まず、ニッケル粉末と、エチルセルロース等の樹脂と、ターピネオール等の有機溶剤と、誘電体粉末とを混練して得られた導電性ペーストのフィルター処理を実施する。その後、誘電体グリーンシート上にスクリーン印刷して内部電極を作製する。
次に、印刷された内部電極が交互に重なるように誘電体グリーンシートを積層し、圧着する。その後、積層体を所定の大きさにカットし、有機バインダとして使用したエチルセルロース等の樹脂の燃焼除去を行うための脱バインダ処理を行った後、1300℃まで高温焼成してセラミック体を得る。
そして、このセラミック体に外部電極を取り付け、積層セラミックコンデンサを作製するものである。
この薄層化が進むことによって、内部電極に使用されるニッケル粉末には、粒子径を小さくすること、粗大粒子を含まないことが求められており、平均粒子径は0.5μm以下が主流となっている。また電極膜厚にもよるが、平均粒子径の3〜5倍程度以上が粗大粒子とみなされ、粗大粒子が含まれていないこと、少ないことが求められている。
こうした装置で分散処理する際の条件が適切化できていない場合、平均粒子径よりも大きく粗大粒子とみなすべき、扁平型のニッケル粉末、複数の粒子が丸められ単一球状のニッケル粉末が発生してしまう。
また本評価方法により、導電性粉末の粒子形状を明瞭にして観察することができるため、導電性粉末の粒子径から粗大粒子の含有率の評価が可能となる。
導電性粉末は、ニッケル粉末を用いることが多く、その平均粒子径は0.05〜0.6μmであることが多いが、もちろんこの範囲外であっても本方法を用いることは可能である。
その理由として、ニッケル粉末の量が多くなると、静置沈降後の液中に占めるニッケル粉末沈降物の嵩が高くなり、ニッケル粉末沈降物側に残留する誘電体粉末が多くなる。そのため極力ニッケル粉末のみを含む沈降物ですべき粗大粒子評価用のサンプルに誘電体が混入し的確に行えなく可能性があるためである。また、希薄過ぎると、得られる沈降物の量を増やそうとすると大きなスケールとなり沈降までに時間が掛かってしまい効率が悪い。
なお、超音波ホモジナイザーを用いる場合には、超音波振動子を分散媒に直接入れると振動子の破片が混入することがあるため、超音波振動子と分散媒が直接的に接することがない間接タイプが望ましい。
なお、ニッケル粉末は、カップを傾けてもカップ底面にて固まっており上澄み液を回収する際に液側に混入するような様子は確認できない。
なお、平滑面を得る方法としては、回収した沈降物を走査型電子顕微鏡(SEM)の試料台の上に塗布した後に、大気乾燥機にて乾燥させ観察膜を得る方法が簡便であるが、ガラスのような基板上に塗布し、そのまま乾燥させても良い。さらには、ガラス基板上に塗布した沈降物を、ブレードを用いて平滑面を得て乾燥させても良い。
乾燥膜のSEM像からは、導電性粉末の粒子形状が明瞭に観察されるため、導電性粉末の粗大粒子の観察が可能となる。また視野中に含まれる導電性粉末の粒子径を画像処理により解析することで、粗大粒子の含有率も評価することができる。
その際、粗大粒子の基準は適宜設定すればよいが、平均粒子径の3〜5倍程度以上を粗大粒子とするのが望ましい。
その際の粗大粒子評価法を下記に示す。
走査型電子顕微鏡(実施例では「JSM−5510:日本電子株式会社製」)を用い、倍率10000倍のSEM像を20視野得る。
得られたSEM像を、画像解析ソフト(Mac−View、株式会社マウンテック製)を用いて、このSEM像内の粒子形状の全様が見える粒子の外枠を計測し、各粒子の長径を求め、その長径が1.5μm以上となる粒子を粗大粒子と規定した。
使用したペーストの成分は、平均粒子径が0.5μmであるニッケル粉末、平均粒子径が0.1μmであるチタン酸バリウム、樹脂はエチルセルロース、溶剤はターピネオールを用い、その成分の質量比率を、ニッケル粉末、チタン酸バリウム、エチルセルロース、ターピネオールの順で、10:1:1:8の比となるようにした。
さらにペースト量は、ニッケル粉末量が0.10gとなるように調製した。
そのスラリーに超音波分散機(株式会社日本精機製作所製、型式US−150T)を用いて、出力300μA、処理時間2分の分散処理を施した。
分散処理終了後、60分静置沈降させて上澄み液を除去し、沈降物を得た。
得られた乾燥膜を走査型電子顕微鏡の所定の観察位置にセットして、そのSEM像(10000倍、20視野)の撮影を行った。
その結果を図1に得られたSEM像、表1にその粗大粒子評価結果を示す。
図2に得られたSEM像を示し、表1に粗大粒子評価結果を示す。
図3に得られたSEM像を示し、表1に粗大粒子評価結果を示す。
導電性ペーストを走査型電子顕微鏡による像の撮影用の試料台に塗布して塗膜を形成し、120℃の温度で、大気乾燥させて乾燥塗膜を得た。その後、実施例1と同様の操作を行い、SEM像を得た。
図4に得られたSEM像を示し、表1に粗大粒子評価結果を示す。
一方イソプロピルアルコール添加から上澄み除去までの一連の処理を行わない比較例1は、SEM観察では、その粒子形状が不鮮明で、粗大粒子の評価が不可能であった。
Claims (8)
- 少なくとも導電性粉末と誘電体粉末を含む導電性ペーストにアルコールを添加し、
前記導電性ペーストが分散した分散溶液を形成する第1工程と、
前記分散溶液を静置して、前記分散溶液を沈降物と上澄み液に分離し、分離した前記上澄み液を除去して沈降物を回収する第2工程と、
回収した前記沈降物を塗布処理により平滑な面を有する塗膜を形成後、乾燥して乾燥塗膜を形成する第3工程と、
前記乾燥塗膜を、走査型電子顕微鏡観察により前記乾燥塗膜の乾燥塗膜面像を得て、前記乾燥塗膜面像を用いて、前記導電性ペーストに含まれる前記導電性粉末の粗大粒子を評価する第4工程と
からなることを特徴とするペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。 - 前記第1工程及び第2工程を複数回繰り返して行うことを特徴とする請求項1に記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
- 前記導電性ペーストが、前記導電性粉末、前記誘電体粉末、有機溶剤、及び樹脂を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載のペーストに含まれる導電性粉末の評価方法。
- 前記アルコールが、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールのいずれか1種もしくは2種以上の混合液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
- 前記アルコールの濃度が、前記導電性粉末の重量に対して0.0012〜0.125g/mlであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
- 前記導電性粉末が、ニッケル粉末であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
- 前記ニッケル粉末の平均粒子径が、0.05〜0.6μmであることを特徴とする請求項6に記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
- 前記走査型電子顕微鏡観察により得た乾燥塗膜の乾燥塗膜面像から画像解析法を用いて、前記乾燥塗膜を構成する導電性ペーストに含まれる導電性粉末の粒子径を算出することにより前記導電性粉末に含まれる粗大粒子の含有率を算出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載のペーストに含まれる導電性粉末の粗大粒子の評価方法。
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