JP7279516B2 - 無機粉末表面における界面活性剤吸着量の測定方法 - Google Patents

無機粉末表面における界面活性剤吸着量の測定方法 Download PDF

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Description

本発明は無機粉末表面における界面活性剤の吸着量を測定する方法に関するものである。
近年、スマートフォンなどの電子機器が急速に普及すると共にますます高機能化、小型化しており、これに伴い該電子機器に数多く搭載されている積層セラミックコンデンサ(MultiLayer Ceramic Capacitor、以下、MLCCとも称する)においても、そのセラミック誘電体層や内部電極層をより一層薄層化して小型化、高容量化することが求められている。例えば、上記内部電極層においては、その厚みが従来の数μmレベルからサブミクロンレベルに薄層化される傾向にあり、これに伴い内部電極用の電極材料である導電性粉末の粒径の微細化が進められている。
しかしながら、粉体の粒径が小さくなると、単位体積当たりの表面積が増大するので粒子表面の性質が支配的となり、特に粒子がサブミクロンレベルになると、粒子同士が分子間力や静電気力などの力により付着して粗大な凝集体を形成しやすくなる。このような凝集体が導電性粉末内に存在すると、積層セラミックコンデンサ製造時においてそれらが凸状部を形成し、場合によってはセラミック誘電体層を突き破って内部電極層間でショートを引き起こすおそれがある。
上記の凝集体は、内部電極層形成用の導電性ペーストの原材料として使用する金属微粉を含有する有機溶媒スラリー内に多く含まれている。すなわち、上記の導電性ペーストは、先ず有機溶媒に樹脂を溶解させたビヒクル中に金属微粉を混練することで上記金属微粉を含有する有機溶媒スラリーを調製した後、該有機溶媒スラリーにバインダー樹脂を添加して混練することで作製されるが、該金属微粉は一般に湿式製造法により生成されるため、該湿式製造法が有する乾燥工程において金属粒子の凝集が促進されやすい。
そこで、金属粉末を含有する有機溶媒スラリー内に凝集体が含まれるのを抑制するため、表面に界面活性剤を吸着させた金属粉末を用いることがある。例えば特許文献1には、積層セラミックコンデンサの内部電極用に用いられるニッケル超微粉スラリーの調製時に、酸型の界面活性剤を用いることで該ニッケル超微粉の凝集を防止する技術が開示されている。
具体的には、この特許文献1の技術は、先ず、所定の金属超微粉濃度を有する金属超微粉水スラリーに陰イオン界面活性剤を所定の割合で添加し、これをプロセスホモジナイザー等で分散処理して該金属超微粉の凝集体を一次粒子にまで分散させる。その後、有機溶媒として例えばターピネオールを所定量添加して混合する。これにより、金属超微粉を含むターピネオール層が連続層となって沈殿物を形成するので、静置した際に形成される上澄み層としての水相を分離除去することで、金属超微粉有機溶媒スラリーを得るものである。
特開2006-063441号公報
上記特許文献1のように、界面活性剤を添加した後に分散処理により有機溶媒スラリー中の金属微粉の凝集体を一次粒子にまで分散させる場合は、分散処理後の金属粉末が再び凝集することを防止するため、金属粉末表面に適度な量の界面活性剤を吸着させる必要がある。従って、金属粉末表面における界面活性剤吸着量を定量的に把握することが望ましい。また、導電体ペーストには共材としてセラミック粉末を含有させることがあり、この場合も該セラミック粉末の分散性を高めるため、その表面における界面活性剤吸着量を定量的に把握することが望ましい。特定の界面活性剤が金属粉末表面やセラミック粉末表面にどのくらい吸着したか分析する方法として、高速液体クロマトグラフィーによる分析が考えられる。
しかしながら、高速液体クロマトグラフィーによる分析では、得られたピークの解析などに熟練を要する上、カラムの取扱いにかなりの手間と時間を要する。更に、高速液体クロマトグラフィーは定期的なメンテナンスも必要になる。よって、上記した金属粉末やセラミック粉末等の無機粉末表面における界面活性剤の吸着量を、より簡便に測定する方法が求められている。
本発明者らは、上記実情に鑑み、無機粉末表面における界面活性剤の吸着量の評価方法について鋭意検討を重ねた結果、フーリエ変換赤外分光法(Fourier Transform Infrared Spectroscopy、以下、FT-IRとも称する)を用いると、測定対象物質に赤外線を照射した時に、該測定対象物質中の特定の分子の運動エネルギーに相当するエネルギーが吸収され、物質固有の赤外吸収スペクトルが現れると共に、スペクトルのピーク強度(吸光度)から該特定の分子の定量分析が可能になるため、この手法を界面活性剤の吸着量の定量化に利用し得るとの着想を得た。
そこで、更に検討を進めた結果、界面活性剤を含んだ有機溶剤に無機粉末を混合させる前と後のそれぞれの該有機溶剤の赤外吸収スペクトルを調べたところ、吸光度の指標となるピーク強度に顕著な差異が生じており、よってこれらピーク強度の変化量から無機粉末表面に吸着した界面活性剤の量を簡便かつ精度良く求めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、吸光度とは、ある物体を光が通った際に強度がどの程度弱まるかを示す無次元量のことである。
すなわち、本発明に係る界面活性剤の吸着量の測定方法は、界面活性剤を含んだ有機溶剤に測定対象の無機粉末を混合することで該無機粉末の表面に該界面活性剤を吸着させる吸着工程と、該界面活性剤が吸着した無機粉末を固液分離により除去して得た液相側をFT-IR法により分析して赤外吸収スペクトルの吸光度を求め、該吸光度を予め作成した吸光度と界面活性剤濃度との関係を示す検量線に照合して該無機粉末の表面に吸着した界面活性剤の吸着量を求める定量工程とを含み、前記有機溶剤が前記界面活性剤に対して相溶性を有していることを特徴としている。
本発明によれば、無機粉末表面における界面活性剤の吸着量を簡便に測定することができる。
本発明の実施形態に係る界面活性剤の吸着量の測定方法の手順を示すフロー図である。 図1の手順に沿って、評価対象の無機粉末表面における界面活性剤の吸着量を検量線を用いて求める方法を示した図である。 実施例1A~1Dで用いた界面活性剤濃度と吸光度との関係を示す検量線をこれら実施例1A~1Dの測定結果と共に示したグラフである。 実施例2A~2Dで用いた界面活性剤濃度と吸光度との関係を示す検量線をこれら実施例2A~2Dの測定結果と共に示したグラフである。 実施例3A~3Dで用いた界面活性剤濃度と吸光度との関係を示す検量線をこれら実施例3A~3Dの測定結果と共に示したグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る無機粉末表面における界面活性剤吸着量の測定方法について詳細に説明する。この本発明の実施形態に係る界面活性剤吸着量の測定方法は、界面活性剤を含んだ有機溶剤に測定対象の無機粉末を混合することで該無機粉末の表面に該界面活性剤を吸着させる吸着工程と、該吸着工程後のスラリーを固液分離して得た液相側をFT-IR法により分析して赤外吸収スペクトルの吸光度を求め、該吸光度を予め作成した吸光度と界面活性剤濃度との関係を示す検量線に照合して該無機粉末の表面に吸着した界面活性剤の吸着量を求める定量工程とを含んでいる。以下、界面活性剤の吸着量の検量線を作成する工程について先ず説明し、次に図1を参照しながら上記の吸着工程及び定量工程の各々について詳細に説明する。
1.検量線作成工程
検量線作成工程では、先ず所定の有機溶剤と界面活性剤とを用意し、界面活性剤を含まない有機溶剤のみのブランクの基準試料と、有機溶剤に界面活性剤が様々な含有率で含有された複数の基準試料とを調製する。これら複数の基準試料(標準試料)の界面活性剤の含有率は、例えば界面活性剤と有機溶剤との混合物全体に対して、界面活性剤の含有率(界面活性剤濃度)が5質量%、10質量%、及び20質量%の3種類程度の基準試料を調製するのが好ましい。上記の界面活性剤を有機溶剤に混合する際は、自公転ミキサー等の混合機や撹拌機を用いて十分に混合するのが好ましい。
次に、上記の界面活性剤を含有する複数の基準試料(界面活性剤の含有率5質量%、10質量%、及び20質量%)及びブランクの基準試料(界面活性剤の含有率0質量%)の各々に対して、FT-IR法により吸光度測定を行う。基準試料中の界面活性剤の含有率が増加すると、これに反比例して基準試料中の有機溶剤の含有率が低下する。一方、基準試料に対してFT-IR法により吸光度の測定を行った場合、赤外吸収スペクトルの吸収ピーク強度は基準試料の組成や濃度に影響されるため、有機溶剤が例えばアセテート系溶剤の場合は、該有機溶剤が有するエステルのC-O伸縮による赤外吸収スペクトルの吸収ピークの減衰が生じる。すなわち、界面活性剤を含有しない有機溶剤のみの基準試料(ブランク)から界面活性剤の含有量を増やしていくと、吸収ピークがより大きく減衰していくので、界面活性剤の濃度(含有量)とFT-IR法により測定した吸光度との間に直線的な負の相関関係が認められる。よって、これら吸光度と界面活性剤濃度との関係をグラフ上にプロットすることで検量線が得られる。
(界面活性剤)
上記のようにして作成される検量線は、界面活性剤の種類により上記グラフ上の傾きに差は生じるものの、界面活性剤の種類には特に限定はなく、例えば酸系の界面活性剤(酸系有機分散剤とも称する)や塩基系の界面活性剤において上記の直線的な負の相関関係を示す検量線を作成することができる。上記の酸系の界面活性剤としては、例えばアミド結合を有するアミノ酸や炭素数11以上の高級脂肪酸、又はそれらの誘導体から選ばれる1種以上を挙げることができる。
前者のアミド結合を有するアミノ酸としては、グリシンと高級脂肪酸とがアミド結合したアミド化合物を挙げることができ、例えば、グリシンとオレイン酸とのアミド化合物であるオレオイルザルコシンを好適に用いることができる。この場合、オレオイルザルコシンのオレイン酸をステアリン酸に変えた化合物でも構わない。あるいは、オレイン酸をラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などに変えてもよい。
上記のアミド結合を有するアミノ酸は、不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。また、後者の炭素数11以上の高級脂肪酸に用いる高級脂肪酸も、不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。このような高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数11以上の高級脂肪酸を挙げることができる。
一方、塩基系の界面活性剤としては、炭素数10以上の高級アミンやロジンアミンが望ましい。前者の高級アミンは、不飽和炭素結合を有していても有していなくてもよく、例えばラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等を挙げることができる。
(有機溶剤)
上記の検量線の作成に用いる有機溶剤は、FT-IR法による吸光度の測定の際に赤外吸収スペクトルに吸収ピーク強度が生じるものであれば特に限定はなく、アセテート系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤のうちの少なくとも一方を含むのが好ましく、アセテート系溶剤がより好ましい。また、この有機溶剤は、上記の界面活性剤に対して相溶性を有していることが好ましい。
前者のアセテート系溶剤としては、例えば、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤Aが好ましい。これらの中ではイソボルニルアセテートがより好ましい。上記有機溶剤がアセテート系溶剤Aを含む場合、該アセテート系溶剤Aの含有率は、有機溶剤全体に対して90質量%以上100質量%以下が好ましく、100質量%がより好ましい。
また、上記有機溶剤は、上記のアセテート系溶剤Aに、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤Bを含んでいてもよい。このようなアセテート系溶剤Aとアセテート系溶剤Bとの混合溶剤を用いることで、バインダー樹脂を添加してMLCCの内部電極層形成用の導電性ペーストを調製する際、その粘度調整が容易になる上、該導電性ペーストの乾燥スピードを速くすることができる。
上記有機溶剤に上記アセテート系溶剤Aとアセテート系溶剤Bとの混合液を用いる場合、該有機溶剤全体に対するアセテート系溶剤Aの含有率は50質量%以上90質量%以下が好ましく、60質量%以上80質量%以下がより好ましい。また、アセテート系溶剤Bの含有率は10質量%以上50質量%以下が好ましく、20%以上40質量%以下がより好ましい。
一方、後者のグリコールエーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテルなどの(ジ)エチレングリコールエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類などが挙げられる。中でも、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類が好ましく、プロピレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
有機溶剤がこれらグリコールエーテル系溶剤を含む場合、前述したバインダー樹脂との相溶性に優れ、かつ乾燥性に優れるので好ましい。有機溶剤がグリコールエーテル系溶剤を含む場合は、有機溶剤全体に対するグリコールエーテル系溶剤の含有率は25質量%以上でもよく、50質量%以上でもよく、グリコールエーテル系溶剤のみでもよい。また、グリコールエーテル系溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記の有機溶剤は、上記アセテート系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤以外の他の有機溶剤を含んでもよい。この他の有機溶剤には特に限定はなく、上記バインダー樹脂を溶解することができる公知の有機溶剤を用いることができる。他の有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素溶剤などが挙げられる。中でも、脂肪族系炭化水素溶剤が好ましく、脂肪族系炭化水素溶剤のうちミネラルスピリットがより好ましい。なお、他の有機溶剤は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
2.界面活性剤吸着工程
次に、本発明の実施形態に係る測定方法が有する界面活性剤の吸着工程について図1を参照しながら説明する。この吸着工程は、界面活性剤を含んだ有機溶剤に測定対象の無機粉末を混合することで該無機粉末の表面に該界面活性剤を吸着させるものである。具体的には、先ず、上記の検量線作成工程で用いた基準試料と同じ種類の測定用試料を用意する(図1のS1)。この測定用試料に対して、所定の界面活性剤濃度となるように秤量した界面活性剤を添加して混合する(図1のS2)。この界面活性剤濃度は、上記検量線の適用範囲内となるようにするのが好ましく、具体的には界面活性剤濃度が5~25質量%程度の範囲内に収まるのが好ましい。なお、図1では界面活性剤の濃度を10質量%にした場合が例示されている。この測定用試料に評価対象となる無機粉末を秤量して添加する(図1のS3)。そして、添加した無機粉末を測定用試料中に十分に分散させる。
上記の無機粉末を分散させる方法には特に限定はないが、超音波水槽内で超音波を発振して分散させる方法や、自公転ミキサーを用いて分散させる方法が好ましい。この分散処理により、無機粉末中に凝集体が存在する場合は、これを一次粒子にまで分散させることができ、得られた一次粒子の表面に界面活性剤を吸着させることが可能となる。この分散処理後は、一定時間静置させて無機粉末表面への界面活性剤の吸着を安定化させる。該一定時間の経過後は、好適には遠心分離機等の固液分離装置を用いて、該界面活性剤が吸着した無機粉末を分離除去し、測定用試料として液相側を回収する。
3.界面活性剤定量工程
この定量工程は、上記にて回収した液相側をFT-IR法により分析して赤外吸収スペクトルの吸光度を求め、該吸光度を予め作成した吸光度と界面活性剤濃度との関係を示す検量線に照合して該無機粉末の表面に吸着した界面活性剤の吸着量を求めるものである。すなわち、無機粉末に界面活性剤が吸着すると、該吸着した界面活性剤は無機粉末と共に遠心分離によって液相分から分離除去される。そのため、回収した測定用試料溶液は、上記無機粉末を混合する前の基準試料に比べて有機溶剤の含有率が界面活性剤の吸着量分だけ増加している(図1のS4)。従って、赤外吸収スペクトルの吸収ピーク強度も界面活性剤の吸着量分だけ大きくなる。なお、図1では無機粉末表面への吸着により測定用試料中の界面活性剤の濃度が10質量%から7質量%に減少したので、測定用試料中の有機溶媒の濃度が90質量%から93質量%に増大した例が示されている。
このことを利用して、界面活性剤の吸着量が未知の無機粉末を添加して得られた測定用試料の吸光度を測定し、その測定結果を予め作成した上記検量線に照合することで、無機粉末に吸着した界面活性剤の量を定量評価することが可能となる。この一連の手順を図2に示す検量線のグラフを用いて説明する。先ず界面活性剤濃度が既知の測定用試料(図1のS2)に所定の添加割合で無機粉末を添加して該無機粉末表面に界面活性剤を吸着させた後(図1のS3)、該界面活性剤が吸着した無機粉末を除去し、得られた液相側(図1のS4)の吸光度をFT-IR法で測定し、その測定結果を上記既知の界面活性剤濃度の線上にプロットする(図2の点A)。
この点Aを検量線に到達するまでブランク側に向けてx軸に平行にシフトさせる。そして、上記到達した検量線上の点(図2の点B)における界面活性剤濃度を読み取る。この点Bの界面活性剤濃度が、吸着により界面活性剤が減少した後の測定用試料の界面活性剤濃度に該当する。すなわち、無機粉末に吸着した界面活性剤量は、上記点Aの界面活性剤濃度と点Bの界面活性剤濃度との濃度差Δとして求められる。
(無機粉末)
本発明の実施形態の測定方法が対象とする無機粉末は、金属粉末又はセラミック粉末である。金属粉末は例えばMLCCの内部電極層に用いられる導電性粉末であり、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu、及びこれらの合金から選ばれる1種以上の粉末を挙げることができる。これらの中では、導電性、耐食性、及びコストの観点から、Ni又はその合金の粉末が好ましい。
Ni合金としては、例えば、Mn、Cr、Co、Al、Fe、Cu、Zn、Ag、Au、Pt及びPdからなる群より選択される1種以上の元素とNiとの合金を挙げることができる。Ni合金におけるNiの含有量は、例えば50質量%以上であり、80質量%以上であるのが好ましい。また、Ni粉末は、脱バインダー処理の際、バインダー樹脂の部分的な熱分解による急激なガス発生を抑制するために、数百ppm程度のSを含んでもよい。
導電性粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。導電性粉末の平均粒径が上記範囲である場合、薄膜化した積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストとして好適に用いることができ、例えば、乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度が向上する。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径をいう。
セラミック粉末としては特に限定はなく、例えば、積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストに用いられるBaやTiを含むペロブスカイト型酸化物を挙げることができ、特に、チタン酸バリウム(BaTiO)が好適に用いられる。また、セラミック粉末として該チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物を副成分として含むセラミック粉末を用いてもよい。この場合の酸化物としては、Mn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nb及び1種類以上の希土類元素の酸化物を挙げることができる。更に、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他の原子、例えば、Sn、Pb、Zrなどで置換したペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末でも構わない。
内部電極用ペーストにおいては、焼結工程における誘電体層と内部電極層との界面での収縮のミスマッチによるクラック発生を抑制するため、積層セラミックコンデンサのグリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末が共材として用いられることがあり、かかる共材としてのセラミック粉末でも構わない。このようなセラミック粉末としては、上記以外に、例えば、ZnO、フェライト、PZT、BaO、Al、Bi、R(希土類元素)、TiO、Ndなどの酸化物が挙げられる。なお、セラミック粉末は、1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セラミック粉末の平均粒径は、例えば、0.01μm以上0.5μm以下であり、好ましくは0.01μm以上0.3μmの範囲以下である。セラミック粉末の平均粒径が上記範囲内であれば、内部電極用ペーストとして用いた場合、十分に細く薄い均一な内部電極を形成することができる。なお、上記の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径をいう。
上記導電性粉末の上記有機溶剤に対する添加量は、MLCCの内部電極層形成用の導電性ペーストを調製する際は、導電性及び分散性を高めるため、導電性粉末100質量部に対して有機溶剤が50質量部以上130質量部以下となるように添加するのが一般的であるが、本発明の実施形態の界面活性剤吸着量の測定方法では、導電性粉末100質量部に対して有機溶剤が5質量部以上25質量部以下となるように添加するのが好ましい。
なお、上記のMLCCの内部電極層形成用の導電性ペーストの調製において、有機溶剤が主溶剤としてグリコールエーテル系溶剤を含み、副溶剤として脂肪族系炭化水素溶剤を含む場合は、該グリコールエーテル系溶剤は、導電性粉末100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であるのが好ましく、40質量部以上50質量部以下であるのがより好ましい。また、該導電性ペーストの調製において、脂肪族系炭化水素溶剤は、導電性粉末100質量部に対して20質量部以上80質量部以下であるのが好ましく、20質量部以上40質量部以下であるのがより好ましい。
上記セラミック粉末の上記有機溶剤に対する添加量は、MLCCの内部電極層形成用の導電性ペーストを調製する際は、導電性粉末100質量部に対してセラミック粉末が1質量部以上30質量部以下となるように添加するのが一般的であるが、本発明の実施形態の界面活性剤吸着量の測定方法では、セラミック粉末100質量部に対して有機溶剤が5質量部以上25質量部以下となるように添加するのが好ましい。次に、本発明の実施例を用いて、無機粉末に吸着した分散剤量の定量評価方法について更に詳細に説明するが、本発明は、これら実施例によって限定されるものではない。
(実施例1A)
評価対象の無機粉末として湿式法で作製した住友金属鉱山株式会社製のニッケル粉末(以下、湿式ニッケル粉末)を用意し、これを界面活性剤としてのアミノ酸系分散剤を含んだイソボルニルアセテートに混合して該無機粉末の表面に該界面活性剤を吸着させた。そして、該該無機粉末の表面に吸着した界面活性剤の吸着量を予め作成した吸光度と界面活性剤濃度との関係を示す検量線を用いて求めた。以下、検量線作成工程、吸着工程、及び定量工程の順に具体的に説明する。
<検量線の作成工程>
先ず、イソボルニルアセテート及びアミノ酸系分散剤を秤量し、アミノ酸系分散剤の濃度(界面活性剤濃度がそれぞれ0質量%、5質量%、10質量%、20質量%の4種類の基準試料を作製した。これら基準試料の各々を自公転ミキサーで2000rpmの回転速度で4分間混合した後、これら4種類の基準試料に対してFT-IR Spectrometer(PerkinElmer社製、型式:FrontierGold)の全反射吸収法で赤外吸収スペクトル測定を行った。
上記FT-IRの測定モードはA(吸収)反射を選択し、スキャンの分解能を4cm-1、積算回数を8回とし、CO/HOの影響は排除した。測定後のベースライン補正はポイントを7点取ることで行った(3750、3500、2500、2300、2000、1580、768cm-1)。吸光度の測定結果は0.63(界面活性剤濃度0質量%)、0.59(界面活性剤濃度5質量%)、0.56(界面活性剤濃度10質量%)、0.49(界面活性剤濃度20質量%)であった。これらの結果をグラフ上にプロットして直線で結ぶことで図3に示す検量線を作成した。
<界面活性剤の吸着工程>
次に、別途用意したイソボルニルアセテート及びアミノ酸系分散剤を、アミノ酸系分散剤の濃度(含有率)が5質量%となるように秤量して調合した。また、容量100mLのガラスビーカーに、メトラーにて秤量した上記湿式ニッケル粉末を22.5g投入し、そこにメトラーにて秤量した上記調合した混合液を3g添加して評価用スラリーを作製した。得られた評価用スラリーを自公転ミキサーで2000rpmの回転速度で1分間分散混合した後、1日間静置することによりアミノ酸系分散剤を湿式ニッケル粉末に十分に吸着させた。この1日間の経過後、該評価用スラリーを遠沈管に入れて遠心分離機にて6000回転で10分間遠心分離することを2回繰り返し、アミノ酸系分散剤が吸着した湿式ニッケル粉末を分離除去して、該ニッケル粉末を含有していない上澄み液を測定用試料としてサンプリングした。
<界面活性剤の定量工程>
上記測定用試料の吸光度を、上記検量線作成時と同様のFT-IR Spectrometer(PerkinElmer社製、型式:FrontierGold)を用いて同様の全反射吸収法の条件で測定した。すなわち、測定モードはA(吸収)反射を選択し、スキャンの分解能を4cm-1、積算回数を8回とし、CO/HOの影響は排除した。測定後のベースライン補正はポイントを7点取ることで行った(3750、3500、2500、2300、2000、1580、768cm-1)。
上記の測定結果を図3のグラフの界面活性剤濃度5質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度5質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度2.9質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち湿式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤濃度は2.1質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例1Aで湿式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は3g×2.1÷100=0.06gと算出することができる。
(実施例1B)
アミノ酸系分散剤の濃度(含有率)を5質量%に代えて10質量%とした以外は実施例1Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図3のグラフの界面活性剤濃度10質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度10質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度7.2質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち湿式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤濃度は2.8質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例1Bで湿式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は3g×2.8÷100=0.08gと算出することができる。実施例1Aと実施例1Bで使用した湿式ニッケル粉末は同一の材料であるため、本湿式ニッケル粉末に吸着するアミノ酸系分散剤量は、算術平均をとって約0.07gであると評価することができる。
(実施例1C)
使用した無機粉末を湿式ニッケル粉末に代えて乾式法で作製したニッケル粉末(以下、乾式ニッケル粉末)とした以外は実施例1Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図3のグラフの界面活性剤濃度5質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度5質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度4.3質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち乾式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤濃度は0.7質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例1Cで乾式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は3g×0.7÷100=0.02gと算出することができる。
(実施例1D)
使用した無機粉末を湿式ニッケル粉末に代えて乾式ニッケル粉末とした以外は実施例1Bと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図3のグラフの界面活性剤濃度10質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度10質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度8.7質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち乾式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤濃度は1.3質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例1Dで乾式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は3g×1.3÷100=0.04gと算出することができる。
実施例1Cと実施例1Dで使用した乾式ニッケル粉末は同一の材料であるため、本乾式ニッケル粉末に吸着するアミノ酸系分散剤量は、算術平均をとって約0.03gと評価することができる。上記実施例1A~1Dの結果から、ニッケル粉末の製造方法の違いによる吸着量の差が、本評価により明確に区別できることが分かる。
(実施例2A)
使用した界面活性剤をアミノ酸系分散剤に代えてアミン系分散剤とした以外は実施例1Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。基準試料の吸光度は0.63(界面活性剤濃度0質量%)、0.60(界面活性剤濃度5質量%)、0.57(界面活性剤濃度10質量%)、0.50(界面活性剤濃度20質量%)であった。得られた測定結果を図4のグラフの界面活性剤濃度5質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度5質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度3.1質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち湿式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は1.9質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例2Aで湿式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤量は3g×1.9÷100=0.06gと算出することができる。
(実施例2B)
アミン系分散剤の濃度(含有量)を5質量%に代えて10質量%とした以外は実施例2Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図4のグラフの界面活性剤濃度10質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度10質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度9.2質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち湿式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.8%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例2Bで湿式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤量は3g×0.8÷100=0.02gと算出することができる。実施例2Aと実施例2Bで使用した湿式ニッケル粉末は同一の材料であるため、本湿式ニッケル粉末に吸着するアミン系分散剤量は、算術平均をとって約0.04gと評価することができる。
(実施例2C)
使用した無機粉末を湿式ニッケル粉末に代えて乾式ニッケル粉末とした以外は実施例2Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図4のグラフの界面活性剤濃度5質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度5質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度4.6質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち乾式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.4質量%となる。使用した測定用試料は3gであるので、本実施例2Cで乾式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤量は3g×0.4÷100=0.01gと算出することができる。
(実施例2D)
使用した無機粉末を湿式ニッケル粉末に代えて乾式ニッケル粉末とした以外は実施例2Bと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図4のグラフの界面活性剤濃度10質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度10質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度9.2質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち、乾式ニッケル粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.8質量%となる。使用した測定用溶剤は3gであるので、本実施例2Dで乾式ニッケル粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は3g×0.8÷100=0.02gと算出することができる。
実施例2Cと実施例2Dで使用した乾式ニッケル粉末は同一の材料であるため、本乾式ニッケル粉末に吸着するアミン系分散剤量は、算術平均をとって約0.02gと評価することができる。上記実施例2A~2Dの結果から、分散剤の種類を変えてもニッケル粉末の製造方法の違いによる吸着量の差が、本評価により明確に区別できることが分かる。また、分散剤の違いによる吸着量の差も、本評価により明確に区別できることが分かる。
(実施例3A)
湿式ニッケル粉末に代えてチタン酸バリウム粉末とした以外は実施例2Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。基準試料の吸光度は0.63(界面活性剤濃度0質量%)、0.60(界面活性剤濃度5質量%)、0.57(界面活性剤濃度10質量%)、0.50(界面活性剤濃度20質量%)であった。得られた測定結果を図5のグラフの界面活性剤濃度5質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度5質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度4.6質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわち、チタン酸バリウム粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.4質量%となる。使用した測定用溶剤は3gであるので、本実施例3Aでチタン酸バリウム粉末に吸着したアミン系分散剤量は3g×0.4÷100=0.01gと算出することができる。
(実施例3B)
アミン系分散剤の濃度(含有量)を5質量%に代えて10質量%とした以外は実施例3Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図5のグラフの界面活性剤濃度10質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度10質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度9.2質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわちチタン酸バリウム粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.8%となる。使用した測定用溶剤は3gであるので、本実施例3Bでチタン酸バリウム粉末に吸着したアミン系分散剤量は3g×0.8÷100=0.02gと算出することができる。
(実施例3C)
アミン系分散剤の濃度(含有量)を5質量%に代えて20質量%とした以外は実施例3Aと同様にして界面活性剤の吸着量を測定した。得られた測定結果を図5のグラフの界面活性剤濃度20質量%の直線上にプロットした。このプロットした点(界面活性剤濃度20質量%)をx軸に平行にシフトさせて検量線に到達する(界面活性剤濃度20質量%)までの界面活性剤濃度の変化、すなわちチタン酸バリウム粉末に吸着したアミン系分散剤濃度は0.0質量%となる。本実施例3Cではチタン酸バリウム粉末に吸着したアミノ酸系分散剤量は0.00質量gと算出することができる。
実施例3Aと実施例3B、実施例3Cで使用したチタン酸バリウム粉末は同一の材料であるため、本チタン酸バリウム粉末に吸着するアミン系分散剤量は、約0.01gであると考えられる。上記実施例2A~2D及び実施例3A~3Cの結果から、無機粉末材料の違いや分散剤の種類の違いによる吸着量の差が、本評価により明確に区別できることが分かる。

Claims (3)

  1. 界面活性剤を含んだ有機溶剤に測定対象の無機粉末を混合することで該無機粉末の表面に該界面活性剤を吸着させる吸着工程と、該界面活性剤が吸着した無機粉末を固液分離により除去して得た液相側をFT-IR法により分析して赤外吸収スペクトルの吸光度を求め、該吸光度を予め作成した吸光度と界面活性剤濃度との関係を示す検量線に照合して該無機粉末の表面に吸着した界面活性剤の吸着量を求める定量工程とを含み、前記有機溶剤が前記界面活性剤に対して相溶性を有していることを特徴とする界面活性剤の吸着量の測定方法。
  2. 前記無機粉末が金属粉末又はセラミック粉末であることを特徴とする、請求項1に記載の界面活性剤の吸着量の測定方法。
  3. 前記赤外吸収スペクトルの吸光度が、前記有機溶剤のエステルのC-O伸縮を示すピーク強度で表わされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の界面活性剤の吸着量の測定方法。
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