JP7220848B2 - 導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法に関し、特に導電性ペーストに含まれる無機粉末の表面電荷密度を電気泳動法により求めることで、該導電性ペーストの粘度の経時安定性を評価する方法に関する。
携帯電話やデジタル機器などの電子機器は、近年ますます小型化及び高性能化しており、これに伴い、電子機器に数多く搭載されている電子部品である積層セラミックコンデンサにおいても小型化及び高容量化が求められている。複数の誘電体層と複数の内部電極層とが1層ずつ交互に積層された構造の積層セラミックコンデンサにおいては、これら誘電体層及び内部電極層を薄膜化することで小型化及び高容量化を図ることができる。
積層セラミックコンデンサは、一般的には下記の工程により製造される。すなわち、先ずチタン酸バリウム(BaTiO)などの誘電体粉末とバインダー樹脂とを含有する誘電体グリーンシートを用意し、その表面上に導電性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤などを含んだ内部電極用ペーストを所定の電極パターンで印刷する。この内部電極用ペーストが印刷された誘電体グリーンシートを多数積み重ねて加熱圧着することにより、複数の内部電極用ペースト層と複数の誘電体グリーンシートとが1層ずつ交互に積み重ねられた圧着成型体が得られる。この圧着成型体を所定のチップサイズに切断し、酸化性雰囲気又は不活性雰囲気中にて脱有機バインダー処理してから焼成処理する。得られた焼成チップの両端部に外部電極用ペーストを塗布して焼成処理し、得られた外部電極の表面にニッケルめっきなどを施すことで、積層セラミックコンデンサを製造することができる。
ところで、上記の内部電極用ペーストに用いられる導電性ペーストは、上記の導電性粉末、バインダー樹脂及び有機溶剤などを混合してペースト状に調製した時点を起点として、時間の経過とともに粘度が増加することがある。そのため、印刷初期は導電性ペーストは適度の粘度を有しているので、誘電体グリーンシート上に所定の厚みの内部電極用ペースト層を形成することができるが、時間の経過とともに粘度が増加するので上記印刷初期の印刷条件では同じ厚みの内部電極用ペースト層を形成できないという問題が生ずることがあった。
このような導電性ペーストの粘度の経時変化の問題が生じないようにするため、導電性ペーストの粘度特性を改善する技術が提案されている。例えば特許文献1や特許文献2には、導電性ペーストの粘度の経時安定性を向上させるため、導電性ペースト中の添加剤の組み合わせを調整したり、添加剤の量を調整したりする技術が開示されている。
特開2011-159393号公報 特開2006-012690号公報
しかしながら、従来の導電性ペーストの粘度の経時安定性を向上させる技術は、導電性ペーストに添加する添加剤の種類や添加量が好適であるか否かを確認するため、添加剤の種類や添加量を様々に変えた複数の導電性ペーストを調製し、それらの粘度の経時変化を長期間に亘り測定することで粘度の経時安定性を評価する必要があり、手間と時間がかかることが問題になっていた。例えば、特許文献1の技術では、導電性ペーストの粘度の経時変化を評価するため、該導電性ペーストの調製時及び調製してから60日後の粘度を測定し、初期粘度から60日経過したときの粘度の変化率を算出している。すなわち、特許文献1では粘度の経時安定性の評価に2ヶ月の期間を要している。本発明は、かかる従来の粘度の経時安定性の評価方法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、ペースト化を経ずに簡便かつ短時間に導電性ペーストの粘度の経時安定性を評価する方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記目的を達成するために導電性ペーストを構成する組成物の組み合わせを様々に変えたときの粘度の経時変化等について鋭意検討を重ねた結果、導電性ペーストの粘度の経時変化は、導電性ペーストに含まれる無機粉末粒子とバインダー樹脂との静電的相互作用に起因していると考えた。そこで、これら無機粉末粒子とバインダー樹脂との静電的相互作用を定量化する方法について更に検討を重ねた結果、評価対象の導電性ペーストを構成する無機粉末と有機溶剤とを用意し、該有機溶媒に該無機粉末を分散させることで得た分散液に対して電圧を印加し、該分散液中の無機粉末の粒子の電気泳動移動度を測定したところ、簡便に該粒子の表面電荷密度を求めることができ、この表面電荷密度に基づき、導電性ペーストを構成する無機粉末とバインダー樹脂との静電的相互作用の強さ、及びそれに相関した粘度の経時安定性を評価できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法は、評価対象の導電性ペーストの材料として使用する無機粉末及び有機溶剤を混合して試料を調製する調製工程と、電気泳動法により測定した該試料に含まれる無機粉末の電気泳動移動度から該無機粉末の表面電荷密度を求める測定工程と、該無機粉末及び有機溶剤を用いて調製した導電性ペーストの粘度の経時安定性を該表面電荷密度に基づいて評価する評価工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、導電性ペーストの経時的な粘度安定性を簡便かつ短時間に評価することができる。
以下、本発明に係る導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法の実施形態について詳細に説明する。この本発明の実施形態の評価方法は、評価対象の導電性ペーストの材料として使用する無機粉末及び有機溶剤を混合して試料を調製する調製工程と、電気泳動法により測定した上記試料に含まれる無機粉末の電気泳動移動度から無機粉末の表面電荷密度を求める測定工程と、上記無機粉末及び有機溶剤を用いて調製した導電性ペーストの粘度の経時安定性を該表面電荷密度に基づいて評価する評価工程とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。
1.調製工程
調製工程では、先ず評価用試料の材料となる無機粉末、並びに添加剤として有機溶剤及び分散剤を用意する。なお、上記添加剤のうち、分散剤は評価用試料の調製には必ずしも必要ではない。次に上記の添加剤に対して所定の配合割合で無機粉末が含まれるように、該該無機粉末を秤量して添加し、均一に分散するように混合する。その際、分散剤を用いるときは有機溶剤及び分散剤を所定の配合割合となるように秤量して混合することで作製した混合溶液に対して無機粉末を添加するのが好ましい。上記の混合方法は特に限定はないが、超音波分散機等を用いることにより、十分に撹拌混合を行うことができる。これによりスラリー状の評価用試料が得られる。
(無機粉末)
上記の評価用試料に用いる無機粉末としては、後述するように測定工程において電気泳動法を採用していることを考慮すれば、帯電する粒子であれば特に限定されないが、該無機粉末は導電性ペーストの形態で積層セラミックコンデンサの内部電極用ペーストとして用いられるので、例えば、Ni、Pd、Pt、Au、Ag、Cu及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属粉末が好ましい。
上記無機粉末の平均粒径は、好ましくは0.05μm以上1.0μm以下であり、より好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。無機粉末の平均粒径が0.05μm以上1.0μm以下の範囲内であれば、積層セラミックコンデンサの薄膜化を要する内部電極用ペーストとして好適に用いることができ、該内部電極用ペーストの層が乾燥したときに形成される乾燥膜の平滑性及び乾燥膜密度が向上する。なお、上記平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により得た粒度分布における積算値50%の粒径のことである。
(有機溶剤)
上記の評価用試料に用いる有機溶剤の種類には特に限定はないが、後述するバインダー樹脂を溶解することができる有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、イソボルニルイソブチレート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのアセテート系溶剤、ターピネオール、ジヒドロターピネオールなどのテルペン系溶剤、トリデカン、ノナン、シクロヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素溶剤などを挙げることができる。なお、上記の評価用試料には、有機溶剤を1種類だけ用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
上記の有機溶剤の中では、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルニルプロピネート、イソボルニルブチレート、及びイソボルニルイソブチレートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤(A)を含むのが好ましく、特に導電性ペーストの乾燥速度の点でイソボルニルアセテートがより好ましい。有機溶剤がアセテート系溶剤(A)を主成分として含む場合、アセテート系溶剤(A)は、有機溶剤全体に対して、90質量%以上含まれているのが好ましく、100質量%含まれていること、すなわち全てアセテート系溶剤(A)であるのがより好ましい。
また、有機溶剤は、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選ばれる少なくとも1種のアセテート系溶剤(B)と、上記アセテート系溶剤(A)との混合溶剤でもよい。このような混合溶剤を用いる場合、容易に導電性ペーストの粘度調整を行うことができ、導電性ペーストの乾燥スピードを速くすることができる。
有機溶剤が上記のようにアセテート系溶剤(A)とアセテート系溶剤(B)との混合溶剤を含む場合、アセテート系溶剤(A)は有機溶剤全体に対して50質量%以上90質量%以下含まれるのが好ましく、60質量%以上80質量%以下含まれるのがより好ましい。また、アセテート系溶剤(B)は有機溶剤全体に対して、10質量%以上50質量%以下含まれるのが好ましく、20質量%以上40質量%以下含まれるのがより好ましい。
評価用試料の調製においては、上記有機溶剤中に無機粉末が3~20質量ppm程度含まれるのが好ましく、5~10質量ppm程度含まれるのがより好ましい。このように、有機溶剤中の無機粉末の含有量が3~20質量ppm程度の範囲内である場合、良好な分散性が得られるので、電気泳動法で測定する際に、より正確な測定が可能になる。
(分散剤)
上記の評価用試料に必要に応じて添加される分散剤には、カルボキシル基を有する酸系有機分散剤やアミン系分散剤を用いることができる。酸系有機分散剤はアミド結合を有するアミノ酸や炭素数11以上の高級脂肪酸、又はそれらの誘導体から選ばれる1種以上が望ましい。
前者のアミド結合を有するアミノ酸としては、グリシンと高級脂肪酸とがアミド結合したアミド化合物が望ましく、例えば、グリシンとオレイン酸とのアミド化合物であるオレオイルザルコシンを挙げることができる。この場合、オレオイルザルコシンのオレイン酸をステアリン酸に変えた化合物でも同様に機能する。あるいは、オレイン酸をラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸などに変えてもよい。アミド結合する高級脂肪酸は不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。
また、後者の炭素数11以上の高級脂肪酸としては、不飽和カルボン酸でも飽和カルボン酸でもよい。このような高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、バクセン酸、リノール酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数11以上の高級脂肪酸を挙げることができる。アミン系有機添加剤は、炭素数10以上の高級アミンやロジンアミンが望ましい。前者の高級アミンは、不飽和炭素結合を有しても有していなくてもよく、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。評価用試料に上記分散剤を添加する場合は、上記有機溶剤100質量部に対して分散剤を0.05~5質量部添加するのが好ましく、0.5~2質量部添加するのがより好ましい。
2.測定工程
上記試料調製工程で調製した評価用試料に対して、電気泳動法により無機粉末の電気泳動移動度を測定する。電気泳動法は、電極室と泳動室とから構成される電気泳動セルユニットに評価用試料を入れ、電極間に電圧を印加することで泳動室内に均一な直流電場を生じさせ、これにより荷電粒子が自身の電荷と反対の電極に向かって泳動するため、泳動する方向と移動度を測定するものである。
上記電気泳動法は、個々の粒子を顕微鏡で直接観察しながら電気泳動移動度の測定を行う顕微鏡電気泳動法によるものが好ましい。この顕微鏡電気泳動法の測定手法にはストップウォッチ法と回転プリズム法とがある。ストップウォッチ法は、所定の距離間を移動する10~20個の粒子の平均時間を求める方法である。一方、回転プリズム法は、顕微鏡鏡体と撮像カメラの間に存在するプリズムが、ガルバノメーターにより所定の角度回動した後、逆回動してスタート位置に戻る動作を繰り返すことができるようになっており、このプリズムのスキャン速度を粒子の移動速度に一致させると、移動する粒子は画面上で静止しているように見えるので、その動作のスキャン方向とスキャン速度を測定することで粒子の移動方向と移動度を測定する方法である。
上記の電気泳動法では、下記式1に示すように荷電粒子である無機粉末の電気泳動移動度Uを求めることができる。なお、下記式1において、vは平均泳動速度(μm/秒)であり、Eは直流電場(V/cm)である。
[式1]
電気泳動移動度U=v/E
上記式1で求めた電気泳動移動度Uを下記式2に代入することにより、荷電粒子である無機粉末の非水系の表面電荷密度ζを求めることができる。なお、下記式2においてηは評価用試料の粘度(N・s/m)であり、εは評価用試料の誘電率であり、Dは真空誘電率(8.854×10-12)である。上記粘度ηはコーンプレート粘度計等の一般的な粘度計によって、誘電率εは四端子抵抗測定装置等の一般的な誘電率測定装置によってそれぞれ測定することができる。
[式2]
非水系表面電荷密度ζ=3ηU/(2εD)
3.粘度の経時安定性の評価工程
評価工程では、先ず上記の試料調製工程で用いた無機粉末及び有機溶剤と同じものを用い、更に評価用試料に分散剤を添加した場合は、それと同じ分散剤を用いて導電性ペーストを調製する。無機粉末の含有量は、導電性ペースト全量に対して30質量%以上70質量%以下であるのが好ましく、40質量%以上60質量%以下であるのがより好ましい。無機粉末の含有量が上記範囲である場合、優れた導電性及び分散性が得られる。また、有機溶剤の含有量は、導電性ペースト全量に対して20質量%以上50質量%以下であるのが好ましく、25質量%以上45質量%以下であるのがより好ましい。有機溶剤の含有量が20質量%以上50質量%の範囲内である場合、優れた分散性が得られる。更に分散剤は、導電性ペースト全量に対して0.05質量%以上0.3質量%以下であるのが好ましい。なお、必要に応じて更に下記のセラミック粉末、及びバインダー樹脂を導電ペーストに添加してもよい。
(セラミック粉末)
導電性ペーストに必要に応じて添加するセラミック粉末は特に限定はなく、積層セラミックコンデンサの材料として一般的に使用されるセラミック粉末を用いることができる。例えば、Ba及びTiを含むペロブスカイト型酸化物が挙げられ、好ましくはチタン酸バリウム(BaTiO)である。また、チタン酸バリウムを主成分とし、酸化物を副成分として含むセラミック粉末を用いてもよい。
このような酸化物としては、Mn、Cr、Si、Ca、Ba、Mg、V、W、Ta、Nb及び1種類以上の希土類元素の酸化物が挙げられる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)のBa原子やTi原子を他の原子、例えば、Sn、Pb、Zrなどで置換したペロブスカイト型酸化物強誘電体のセラミック粉末を挙げることができる。
そのほか、焼結工程における誘電体層と内部電極層との界面における収縮のミスマッチによるクラック発生を抑制すべく添加される、グリーンシートを構成する誘電体セラミック粉末と同一組成の粉末を用いることができる。このような誘電体セラミック粉末としては、例えば、ZnO、フェライト、Pb(ZrTi1-x)O(略称PZT)、BaO、Al、Bi、R(R:希土類元素)、TiO、Ndなどの酸化物を挙げることができる。なお、セラミック粉末は1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
セラミック粉末の平均粒径は、0.01μm以上0.5μm以下の範囲内が好ましく0.01μm以上0.3μm以下の範囲内がより好ましい。セラミック粉末の平均粒径が0.01μm以上0.5μm以下の範囲内であることにより、内部電極用ペーストとして用いた場合、十分に細かく薄い均一な内部電極を形成することができる。平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から求められる値であり、粒度分布における積算値50%の粒径のことを指す。
セラミック粉末の添加量は、導電性粉末100質量部に対して、好ましくは1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上30質量部以下である。また、導電性ペースト全量に対して、セラミック粉末の含有量が、1質量部以上20質量部以下であるのが好ましく、5質量部以上20質量部以下であるのがより好ましい。
(バインダー樹脂)
導電性ペーストに必要に応じて添加するバインダー樹脂の種類は特に限定はなく、積層セラミックコンデンサの材料として一般的に使用される樹脂を用いることができる。例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルブチラールなどのブチラール系樹脂などを挙げることができ、これらの中では、有機溶剤への溶解性、燃焼分解性の観点などからエチルセルロースが好ましい。
また、グリーンシートとの接着強度を向上させる観点から添加されるブチラール樹脂を添加してもよい。上記バインダー樹脂は1種類を用いてもよく、又は2種類以上を用いてもよい。また、バインダー樹脂の分子量は、例えば20000~200000程度である。バインダー樹脂の添加量は、導電性粉末100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上8質量部以下がより好ましい。また、導電性ペースト全量に対してバインダー樹脂の含有量が、0.5質量部以上10質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上6質量部以下であるのがより好ましい。
上記の試料は自公転ミキサーなどの一般的な混合機を用いて十分に混練するのが好ましい。このようにして調製した導電性ペーストに対して、上記の調製した直後の粘度ηと、室温(25℃)で30日間放置した後の粘度η30とをコーンプレート粘度計等の一般的な粘度計で測定し、これらを下記式3に代入してペースト化粘度30日変化率を求める。
[式3]
ペースト化粘度30日変化率=100×η30/η
上記の表面電荷密度とペースト化粘度30日変化率を例えばロットが異なる様々な種類の無機粉末に対して求めて予めデータベース化したり検量線を作成したりしておくことで、未知の無機粉末を用いて導電性ペーストを調製する場合であっても、該未知の無機粉末を用いて調製した上記評価用試料の電気泳動移動度を測定して表面電荷密度を求め、これを例えば上記検量線に照合するだけで、短時間で簡便に粘度安定性を評価することができる。次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<調製工程>
無機粉末として表面酸化膜安定性の異なる3種類のニッケル粉末A、B、Cと、有機溶剤としてターピネオールとを用意した。なお、これらニッケル粉末A、B、Cの表面酸化膜安定性を粉末X線回折法により評価したところ、ニッケル粉末A、B、Cの順に安定性が高、中、低であった。すなわち、ニッケル粒子表面には薄い表面被覆層が存在しており、該表面被覆層を構成する成分のうち、酸化ニッケル(NiO)やβ-水酸化ニッケル(Ni(OH))の含有比率が高いニッケル粉末は安定性が高く、ニッケルメタルの含有比率が高いニッケル粉末は安定性が低くなる。よって、これらの含有率を測定した結果に基づいて安定性を評価した。
容量100mLのガラスビーカーに、先ず、ニッケル粉末Aの2mgをメトラーで秤量して投入し、更にターピネオールの30gをメトラーで秤量して添加した。なお、分散剤は添加しなかった。上記のニッケル粉末A及びターピネオールが入ったガラスビーカーを超音波分散機にて28kHzの周波数で3分間攪拌した後、全体が一様になるように手で混合し、再度超音波分散機にて28kHzの周波数で3分間攪拌した。得られたスラリー状の混合物を更にターピネオールで10倍に希釈し、超音波分散機にて28kHzの周波数で2分間混合することで評価用試料1を調製した。ニッケル粉末B、Cに対しても、上記ニッケル粉末Aと同様にして評価用試料2、3をそれぞれ調製した。
<測定工程>
これら評価用試料1~3の各々に対して、顕微鏡電気泳動方式のゼータ電位測定装置(日本ルフト株式会社製、Model 502)を用い、回転プリズム法で電気泳動移動度を測定した。測定電圧は40Vとし、粒子の過剰な帯電を避けるため、逆方向の電圧を15秒毎に印加した。得られた電気泳動移動度を前述した式2に代入して表面電荷密度を求めた。なお、式2の粘度ηはコーンプレート粘度計を用いて測定し、誘電率εは四端子抵抗測定装置を用いて測定した。
<評価工程>
次に、上記調製工程で用いたものと同じニッケル粉末A、B、Cの各々に対して、上記調製工程で用いたものと同じ有機溶剤を添加し、更にバインダー樹脂としてエチルセルロースを添加して導電性ペーストを調製した。このようにして調製した3種類の導電性ペーストの各々に対して、調製直後の初期粘度値と、該調製から室温(25℃)で30日間放置した後の粘度値とをコーンプレート粘度計によって測定し、前述した式3に代入してペースト化粘度30日変化率を求めた。その結果を上記の表面電荷密度と共に下記表1に示す。
Figure 0007220848000001
上記表1の結果から、ニッケル粉末の表面酸化膜の安定性が高くなるに従い、評価試料中での表面電荷密度が低くなる傾向にあり、ペースト化した場合の粘度安定性は表面電荷密度が低いものほど高くなる傾向にあることが分かる。
(実施例2)
ニッケル粉A、B、Cの各々に有機溶剤を添加することに加えて更に分散剤としてアミン系低分子量分散剤を該有機溶剤100質量部に対して1.0質量部の割合で添加して評価用試料4~6を調製した以外は実施例1と同様にして粘度安定性を評価した。その結果を下記表2に示す。
Figure 0007220848000002
上記表2の結果から、アミン系低分子量分散剤を添加することで、ニッケル粉末の表面酸化膜の安定性の高低に関わらず表面電荷密度が低下し、ペースト化した場合の粘度安定性を向上できることが分かる。
(実施例3)
ニッケル粉A、B、Cの各々に有機溶剤を添加することに加えて更に分散剤としてカルボン酸系低分子量分散剤を該有機溶剤100質量部に対し1.0質量部の割合で添加して評価用試料7~9を調製した以外は実施例1と同様にして粘度安定性を評価した。その結果を下記表3に示す。
Figure 0007220848000003
上記表3の結果から、カルボン酸系低分子量分散剤を添加したニッケルペーストは、ニッケル粉末の表面酸化膜の安定性の高低に関わらず表面電荷密度が高く、ペースト化した場合の粘度安定性はいずれも低いことが分かる。

Claims (2)

  1. 導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法であって、評価対象の導電性ペーストの材料として使用する無機粉末及び有機溶剤を混合して試料を調製する調製工程と、電気泳動法により測定した該試料に含まれる無機粉末の電気泳動移動度から該無機粉末の表面電荷密度を求める測定工程と、該無機粉末及び有機溶剤を用いて調製した導電性ペーストの粘度の経時安定性を該表面電荷密度に基づいて評価する評価工程とを含むことを特徴とする評価方法。
  2. 前記試料が、更に分散剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の導電性ペーストの粘度の経時安定性の評価方法。
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