JP4150802B2 - 金属粉の処理法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属粉の処理法に関する。とくに本発明はセラミックコンデンサー内部電極用の金属粉の熱収縮率を改善するために行う金属粉の処理法に関する。
【0002】
【従来の技術】
製造後の金属粉をさらに処理して金属粉の特性改善を図ることが必要となる場合がある。例えば,セラミックコンデンサー内部電極用の金属粉の場合には焼成時の熱収縮率ができるだけ低いことが必要とされるので,非密実な粒子からなる金属粉の場合には,その粒径や粒度分布はできるだけそのままにして,密実な粒子からなる金属粉に改質することが必要となる。
【0003】
セラミックコンデンサーは,セラミック粉分散層(セラミック粉を樹脂バインダーに分散させたセラミツク成形層)と,金属粉分散層(金属粉を樹脂バイダーに分散させた金属成形層)とを積層した状態で,高温で焼成することによって製造される。そのさい,セラミツク粉は金属粉よりも焼結開始温度が遅くしかも収縮率も小さいので,金属焼結層の収縮により焼成途中でセラミツク側に引張応力が作用し,セラミツク層に割れが発生しやすく,この現象は,金属粉の熱収縮率が大きいほど(セラミツクの熱収縮率との差が大きいほど)発生し易いので,金属粉の熱収縮率はできるだけ小さいことが必要となる。セラミックコンデンサーの内部電極用金属粉としては,Ag粉,Ni粉,Cu粉,Pd粉またはAg−Pd粉等が適用または検討されているが,これら金属粉は,製造されたままでは,必ずしも熱収縮率が小さいものではない。
【0004】
特に,酸化物や水酸化物を還元して金属粉を製造する化学的還元法による場合には,粒子形状・粒径・粒度分布等は適切なものが得られるとしても,非密実な粒子となりやすい。一般に非密実な粒子は,一粒子中に多数の結晶を含み,ポアや空隙を有し,表面形状も凹凸のあるものが多い。金属粉の熱収縮率には様々の要因が関与しているが,粒子の形態の面からは,表面に凹凸が有ったり多数の結晶が絡みあって一つの粒子を形成していたりすると,焼結時の熱収縮率は一般に高くなる。しかし,このような非密実な粒子粉末を,粒径や粒度分布をそれほど変化させずに密実な粒子粉体に改質することは必ずしも容易ではない。このための二次処理としては熱処理が考えられるが,非密実な粒子粉末を熱処理すると,粒子同士が接合したり,粒径が粗大化したりして,かえって特性が劣化するような事態が生じる結果ともなる。
【0005】
そこで,(1) 該熱処理を,金属粉を焼成するための焼結温度よりも相当低い温度で行う,(2) 焼結した場合には機械的に解砕する,(3) 焼結防止剤を粒子表面に塗布して熱処理する,と言った対策が考えられるが,(1) の場合では初期の目的が達成できず,(2) の方法では元の粒径・粒度分布に復元できないばかりか,粒子に残留応力や歪みが残存して粒子特性を劣化させることが起き,(3) の方法では焼結防止剤が表面に残存して金属粉末の電気的特性を低下させるといった新たな問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって,本発明は,セラミックコンデンサー内部電極用の金属粉のようにセラミツクと積層して焼成されるような用途の金属粉に対し,焼成時の熱収縮率を低下させるための適切な二次処理法の開発を課題としたものであり,とくに,セラミックコンデンサー内部電極用として使用されるAg粉,Ni粉,Cu粉,Pd粉またはAg−Pd粉等について,粒径や粒度分布をそれほど変化させずに,その熱収縮率を低下させることを課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記の課題を解決するための、非密実な金属粉を密実な金属粉に改質する金属粉の処理法であって、セラミックコンデンサー内部電極用のAg粉、Ni粉、Cu粉、Pd粉またはAg−Pd粉の金属粉粒子表面にMg、SrまたはBaの水酸化物の被膜を形成してから当該金属粉を融点以下で熱処理し、得られた熱処理品を酸で浸出処理し、次いで固液分離して金属粉を採取することを特徴とする金属粉の処理法を提供する。ここで、処理後の金属粉の熱収縮率が、処理前の金属粉の熱収縮率の1/2以下であることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
前述のように,セラミツクコンデンサー内部電極を形成するための金属粉として,Ag粉,Ni粉,Cu粉,PdまたはAg−Pd粉等が検討または適用されているが,焼成時の収縮率が10%を超えるもの(15%を超えるものもある)では,セラミツク層との熱収縮率との差が大きくなってセラミツク層に割れが発生しやすくなるので熱収縮率を10%未満,好ましくは8%以下に低下させるための何らかの処理が必要である。
【0009】
本発明者らはこれら金属粉の焼成時の熱収縮は、粒子形態が多結晶で非密実であること(ポアーや隙間を有すること)が大きな要因を占めるであろうことに着目し、当初の粒径や粒度分布をそれほど変化させずに、結晶粒を大きくさせて密実な粒子とする熱処理の仕方を種々検討した。その結果、アルカリ土類金属の水酸化物で粒子表面を被覆してから、結晶の成長が生ずるような比較的高温で非酸化性雰囲気下で熱処理し、この熱処理によって緻密化した焼成層(酸化物層)を酸で浸出除去すると、当初の粒径や粒度分布にそれほど変化を与えずに、熱収縮率の小さな金属粉体が得られることがわかった。アルカリ土類金属としては、Mg、SrまたはBaが適しており、これらの水酸化物は熱処理の間に酸化物に分解するので、結局は熱処理後の最外層は緻密化した酸化物層で覆われることになる。
【0010】
熱処理温度は,用いる金属粉の種類によっても異なるが,該被膜で粒子表面を被覆しておくことにより,当該金属粉の焼成温度を含むような高温の熱処理温度を採用可能である。すなわち,アルカリ土類金属の酸化物層で粒子表面が被覆された状態で比較的高温に保持された場合には,該酸化物層が隣合う粒子間との金属同士の接合と拡散を阻止しながら,この酸化物シエル内において結晶成長して球体に近い密実な粒子となる。ただし,熱処理温度が金属粉の融点を超えると粉体として回収処理することが困難となるので,融点を超えないようにする必要がある。
【0011】
熱処理の雰囲気は金属粉が酸化しないように非酸化性とする必要があり,不活性ガス若しくは弱還元性ガス雰囲気下で熱処理することが必要である。不活性ガスとして窒素ガスが適切であり,水素と窒素の混合ガス雰囲気下でもよい。
【0012】
熱処理に供する前の金属粉の各粒子表面に対し,アルカリ土類金属の酸化物,水酸化物または炭酸塩の被覆を形成するには,この金属粉を懸濁させた水中で,アルカリ土類金属の酸化物,水酸化物または炭酸塩の析出反応を行なわせることにより,液中の金属粒子の表面にこれら析出物を析出させる方法が適している。このような湿式法による被覆形成では,原料粉の粒径や粒度分布にそれほど影響を与えないで被膜が形成できると共に,各粒子に比較的均一に被膜が形成できるので,粒径や粒度分布に関する原料粉の特徴を処理品に持ち越すことができる。
【0013】
湿式法に代えて,乾式法で該被膜を形成することもできる。この場合には,原料粉と被膜形成用の粉体とを機械的混合処理を行なえばよい。すなわち,ミキサー内に原料粉とアルカリ土類金属の酸化物,水酸化物または炭酸塩を装填し,両者を混合することにより,原料粉の周囲に被膜形成用粉体が被着した混合粉が得られるので,これを熱処理に供すればよい。この熱処理の過程でも,水酸化物または炭酸塩はアルカリ土類金属の酸化物に変化し,熱処理後には各粒子が酸化物層で覆われた熱処理品が得られる。
【0014】
熱処理後は,酢酸等の水溶液中で熱処理品を溶解処理すると,表面のアルカリ土類金属の酸化層のみが溶出し,独立した金属粒子が分散した状態の懸濁液が得られる。これをろ過,水洗・乾燥すると熱処理前に比べて熱収縮率が小さくなった真密度の高い金属粉体が得られる。
【0015】
以下に原料粉としてNi粉を用いた場合の本発明に従う処理法の実施例を挙げる。
【0016】
【実施例】
〔原料粉の製造:粒径の揃ったボール状Ni粉の製造〕
純水1775gに,錯化剤としてクエン酸ナトリウム64gと,49%NaOH水溶液691gを溶解した溶液に,428.8gのNiSO4・6H2Oを純水640gに溶解した溶液を添加して水酸化ニッケルを生成させた。この水酸化ニッケル懸濁液を攪拌しながら50℃に昇温し,塩化パラジウムをニッケル1モルあたり1.5×10-7モルの割合で添加したあと,50℃を維持しながら80%N24水和物(飽水ヒドラジン)を162.3g添加して還元反応を進行させた。反応終了後の懸濁液をろ過し,洗浄液の電気伝導度が10μs/cm以下になるまで洗浄した。次いで脱水を行なった後,110℃で窒素雰囲気下で乾燥した。得られた乾燥品を湿式分散機で解砕し,湿式レーザー回折式粒度分布測定装置により平均粒径を測定したところ,0.39μmであった。
【0017】
このニッケル粉の電子顕微鏡写真(SEM像)を図1に示した。図1に見られるように,このニッケル粉は,粒径が0.3〜0.5μmの範囲に存在する粒子数が75%以上であり,粒径の揃ったボール状Ni粉である。しかし,各粒子には粒径の1/4〜1/6程度の小瘤で表面全体が覆われて表面の凹凸が多く,粒子中には多数の結晶が存在することが伺える。事実,X線による結晶粒径(結晶子)測定では,粒子中の結晶粒径は349オングストロームであり,BET法による比表面積は6.96m2/g であった。また,この粉末をTMA装置で熱収縮開始温度と熱収縮率を測定したところ,621℃で熱収縮を開始し,最終熱収縮率は19.3%であった。
【0018】
したがって,このNi粉は粒径および粒度分布は適切であるが,熱収縮率が大きいので,セラミックコンデンサー内部電極用としては不適である。そこで,前記と同様にしてほゞ同一特性のNi粉を製造し(以下,Ni原料粉と呼ぶ),その熱収縮率を低下させるための以下のような処理を行なった。
【0019】
〔実施例1〕
【0020】
・Ni原料粉の被覆処理
Ni原料粉200gを常温水800gに分散させたNiスラリーを準備する。濃度50%のアンモニア水溶液1200gを水2000gと攪拌混合して80℃に昇温したアンモニア水溶液を準備する。両液を全量攪拌混合し80℃まで昇温し,混合から15分後に,濃度50%のアンモニア水溶液を450g/30分の速度で添加し続けると共に,混合から20分後に,硫酸マグネシウム水溶液(水400gに硫酸マグネシウム122.2gを溶解)を522.2g/20分の速度で添加する。これにより原料Ni粉の表面にMg(OH)2が析出するが,全量添加終了後,80℃を保持したまま30分攪拌し,中和熟成を行なったあと,ろ過,水洗後,乾燥して,Mg(OH)2で表面が被覆されたNi粒子を得た。
【0021】
・被覆Ni粉の熱処理
本例で得られたMg(OH)2被覆Ni粒子を真空熱処理炉で真空乾燥を行なったあと,該熱処理炉で窒素雰囲気下で950℃×3時間の熱処理を行ない,炉から取り出して解砕処理した。この熱処理により,Mg(OH)2はMgOに脱水分解され,各粒子の表面は緻密なMgOで被覆された状態となっている。
【0022】
・熱処理品の浸出処理
本例で得られた熱処理品を濃度20%の酢酸水溶液に添加し,40℃で攪拌しながら3時間保持する浸出処理を行なってMgOを全量溶解させ,残渣を液からろ別し,水洗後,乾燥してNi粉(処理品)を得た。
【0023】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に示した。表1に見られるように,粒径はそれほど変化がないが粒子中の結晶粒は大きくなり,熱収縮開始温度は772.1℃に上昇し,熱収縮率は7.1%に低下した。また,これに伴ってBET法比表面積は3.09に低下した。
【0024】
また,本例の処理Ni粉の電子顕微鏡写真(SEM像)を図2に示した。二次処理された結果,図1の原料Ni粉と比べると,表面が滑らかな密実な球体となっていることがわかる。
【0025】
〔実施例2〕
【0026】
・Ni原料粉の被覆処理
Ni原料粉250gを常温水1000gに分散させたNiスラリーを準備する。硫酸マグネシウム152.8gを水3125gに溶解した硫酸マグネシウム水溶液を準備する。両液を全量攪拌混合し80℃まで昇温し,混合から20分後に濃度49%の苛性ソーダ水溶液を125g/30秒の速度で添加する。これにより原料Ni粉の表面にMg(OH)2が析出するが,全量添加終了後,80℃を保持したまま30分攪拌し,中和熟成を行なった後,ろ過,水洗後,乾燥して,Mg(OH)2で表面が被覆されたNi粒子を得た。
【0027】
・被覆Ni粉の熱処理
実施例1と同一条件で熱処理した。
【0028】
・熱処理品の浸出処理
実施例1と同一条件で浸出処理した。
【0029】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
【0030】
〔参考例1〕
【0031】
・Ni原料粉の被覆処理
Ni原料粉250gを常温水1000gに分散させたNiスラリーを準備する。塩化マグネシウム129.1gを水3000gに溶解した塩化マグネシウム水溶液を準備する。両液を全量攪拌混合し45℃まで昇温し,混合から20分後に濃度50%のアンモニア水溶液を244g/30秒の速度で添加し,その後2分経過したところで,炭酸ガスを5リットル/minで30分間吹き込む。これにより原料Ni粉の表面に塩基性炭酸マグネシウムMgCO3が析出するが,その後さらに30分間保持し,ろ過,水洗後,乾燥して,MgCO3で表面が被覆されたNi粒子を得た。
【0032】
・被覆Ni粉の熱処理
本例で得られたMgCO3被覆Ni粒子を真空熱処理炉で真空乾燥を行なったあと,該熱処理炉で窒素と水素の混合ガス雰囲気下で950℃×3時間の熱処理を行ない,炉から取り出して解砕処理した。この熱処理によりMgCO3はMgOに分解され,各粒子の表面は緻密なMgOで被覆された状態となっている。
【0033】
・熱処理品の浸出処理
実施例1と同一条件で浸出処理した。
【0034】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
【0035】
〔実施例4〕
【0036】
・Ni原料粉の被覆処理
Ni原料粉250gを常温水1000gに分散させたNiスラリーを準備する。炭酸カルシウム64gと濃度99%の酢酸100gを水1900gに加えて攪拌し40℃まで昇温したあと,さらに水1000gを加えて40℃まで昇温し,この温度に20分間保持した液を準備する。両液を全量攪拌混合し40℃まで昇温し,混合から20分後に濃度49%の苛性ソーダ水溶液を250g/20分の速度で添加する。これにより原料Ni粉の表面に水酸化カルシウムCa(OH)2が析出するが,その後さらに30分間攪拌し,ろ過,水洗後,乾燥して,Ca(OH)2で表面が被覆されたNi粒子を得た。
【0037】
・被覆Ni粉の熱処理
本例で得られたCa(OH)2被覆Ni粒子を真空熱処理炉で真空乾燥を行なったあと,該熱処理炉で窒素雰囲気下で950℃×3時間の熱処理を行なった。この熱処理により,Ca(OH)2はCaOとなり,各粒子の表面は緻密なCaOで被覆された状態となっている。
【0038】
・熱処理品の浸出処理
実施例1と同一条件で浸出処理した。
【0039】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
【0040】
〔実施例5〕
Ni原料粉200gを常温水800gに分散させたNiスラリーを湿式解砕機に投入して圧力1500kgf で解砕処理し,この解砕処理(1回処理)したものをNiスラリーとして準備した以外は,実施例1を繰り返した。得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定し,その結果を表1に併記した。
【0041】
〔実施例6〕
Ni原料粉200gを常温水800gに分散させたNiスラリーを湿式解砕機に投入して圧力1500kgf で解砕する処理を5回繰り返し,この解砕処理したものをNiスラリーとして準備した以外は,実施例1を繰り返した。得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定し,その結果を表1に併記した。
【0042】
〔実施例7〕
Ni原料粉200gを常温水800gに分散させたNiスラリーを超音波分散機に投入して30分間の分散処理を行ない,この分散処理したものをNiスラリーとして準備した以外は,実施例1を繰り返した。得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定し,その結果を表1に併記した。
【0043】
〔実施例8〕
・原料Ni粉の被覆処理
Ni原料粉200gを常温水1000gに分散させたNiスラリーを準備する。苛性ソーダ250gを水2500gに攪拌しながら加えて80℃に昇温した液を準備する。両液を全量攪拌混合し80℃まで昇温し,混合から20分後に,酸化マグネシウムを溶解した酢酸水溶液(酸化マグネシウム25gと濃度99%の酢酸100gを水400gに溶解した水溶液)を525g/20分の速度で添加し,この添加終了後から30分攪拌を行なってから遠心分離機によって固液分離し,水で3回デカントして得たケーキを40℃,4500ccの水中で攪拌したあと,2500ccのエタノール中で30分間放置し,遠心分離機で固液分離し,そのケーキを110℃で12時間以上乾燥させる。これにより,Mg(OH)2で表面が被覆されたNi粒子が得られる。
【0044】
・被覆Ni粉の熱処理
本例で得られたMg(OH)2被覆Ni粒子を真空熱処理炉で真空乾燥を行なったあと,該熱処理炉で窒素ガスと水素ガスの混合ガス雰囲気下で950℃×3時間の熱処理を行ない,炉から取り出して解砕処理した。この熱処理により,Mg(OH)2はMgOに脱水分解され,各粒子の表面は緻密なMgOで被覆された状態となっている。
【0045】
・熱処理品の浸出処理
本例で得られた熱処理品を実施例1と同じ浸出処理した。
【0046】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に示した。
【0047】
〔参考例2〕
【0048】
・原料Ni粉の被覆処理
前記Ni原料粉と酸化マグネシウム粉を重量比で1:1の割合でヘンシエルミキサーに装入し,8000rpmで10分間の混合処理を行なった。使用した酸化マグネシウム粉は協和化学工業株式会社製の軽質酸化マグネシウムでであり,ヘンシエルミキサーは三井鉱山株式会社製のQ型ミキサーである。これにより,原料Ni粉と酸化マグネシウム(MgO)の混合粉が得られる。得られた混合粉を真空熱処理炉に入れ,150℃で10時間真空中で処理し,酸化マグネシウムで被覆されたNi粉を得た。
【0049】
・被覆Ni粉の熱処理
得られたMgO被覆Ni粉を同じ熱処理炉で水素雰囲気下で1000℃で2時間保持する熱処理を行なった。
【0050】
・熱処理品の浸出処理
本例で得られた熱処理品を実施例1と同じ浸出処理した。
【0051】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に示した。
【0052】
〔実施例10〕
【0053】
・Ni原料粉の被覆処理
前記Ni原料粉と水酸化マグネシウムを重量比で2:1の割合でサンプルミルに装入し,12000rpmで5分間の混合を行なった。使用した水酸化マグネシウムは,硫酸マグネシウム152.8gを水4000gに溶解した80℃の水溶液に,濃度49%の苛性ソーダ250gを30秒かけて全量添加してMg(OH)2を析出させ,さらに80℃で30分攪拌したあと,澱物をろ過,水洗乾燥して得たものである。両者の混合にあたっては,いずれも,別々にサンプルミルで解砕してから,その解砕品をサンプルミルに装填した。これにより,Mg(OH)2とNi原料粉の混合粉を得た。
【0054】
・被覆Ni粉の熱処理
得られた混合粉を熱処理炉に入れ,窒素雰囲気下で950℃×2時間の熱処理を行なった。
【0055】
・熱処理品の浸出処理
実施例1と同一条件で浸出処理した。
【0056】
・処理品の特性
得られた処理Ni粉の諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
【0057】
〔比較例1〕
前記の原料Ni粉そのままを,熱処理炉に入れて窒素雰囲気下で290℃×2時間の熱処理を行なった。このものの諸特性を,原料Ni粉と同様にして測定した。その結果を表1に併記した。
【0058】
〔比較例2〕
前記の原料Ni粉そのままを,熱処理に入れて窒素雰囲気下で950℃×3時間の熱処理を行なった。その結果,Ni粉は焼結してしまい,もはや粉体として回収処理することは不可能であった。
【0059】
【表1】
Figure 0004150802
【0060】
表1の結果に見られるように,実施例1〜10の二次処理法で得られた粉体は原料Ni粉に比べて熱収縮率が10%以下,場合によっては7%近くまで低下しており,熱収縮開始温度も高くなっている。しかし,平均粒径にはそれほど変化はなく,結晶粒径が大きくなっており,また真密度と圧縮密度が高くなっていることから,当該処理によって粒子内の結晶が成長し,密実な粒子となったことがわかる。なお,処理された各粒子の表面はいずれも図2のように滑らかな表面を有した。ただし,実施例3と4だけは,わずかではあるが,部分的な粒子の接合が見られた。なお,被膜なしの比較例1は熱処理温度が低すぎて結晶成長が起こらず,被膜なしで実施例同等の熱処理温度を採用した比較例2では焼結が起こり,粉末処理の目的が達成できない。
【0061】
以上の実施例は,Ni粉についての処理法を挙げたが,ここで使用した被覆原料,被覆法,被膜,浸出液等の条件は,Ni粉以外の例えばAg粉,Cu粉,Pd粉またはAg−Pd粉などにも,各粉に応じた熱処理温度を採用することによって,そのまま適用可能であり,これによって,非密実な各粉の熱収縮率を低下させることができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,粒径や粒度分布をそれほど変化させることなく,非密実な金属粉を密実な金属粉に改質でき,したがって,熱収縮率の大きな金属粉を熱収縮の小さい金属粉に改質できる。このため,セラミツクコンデンサーの内部電極を形成するための金属粉のように,焼成時の熱収縮率が低いことが要求される用途において,本発明の金属粉の処理法は大きな効果を発揮する。とくに化学的還元法などで製造された微細結晶をもつ非密実粒子からなる金属粉は粒径・粒度分布の点では良好であっても熱収縮の点でセラミツクコンデンサー内部電極用途には問題があったが,本発明によればこの問題が簡易な処法で解消でき,その結果,金属粉の価値を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う処理に供する前の原料Ni粉の電子顕微鏡写真(SEM像)である。
【図2】本発明に従う処理に供した後のNi粉の電子顕微鏡写真(SEM像)である。

Claims (4)

  1. 金属粉の密度を改質する金属粉の処理法において、セラミックコンデンサー内部電極用のAg粉、Ni粉、Cu粉、Pd粉またはAg−Pd粉の金属粉粒子表面にMg、SrまたはBaの水酸化物の被膜を形成してから当該金属粉を融点以下で熱処理し、得られた熱処理品を酸で浸出処理し、次いで固液分離して金属粉を採取することを特徴とする金属粉の処理法。
  2. 処理後の金属粉の熱収縮率が、処理前の金属粉の熱収縮率の1/2以下である請求項1に記載の処理法。
  3. 熱処理前の被膜の形成は湿式法で行う請求項1または2に記載の処理法。
  4. 熱処理前の被膜の形成は乾式法で行う請求項1または2に記載の処理法。
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