JP2014173182A - ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水酸化ニッケル粉を焙焼して生成した酸化ニッケル粉末を還元して形成したニッケル粉の製造方法において、アルカリ土類金属を0.002〜1.00質量%含む水酸化ニッケル1gに対して0.000021〜0.000840リットル/分の酸素を含む非還元性のガスを、水酸化ニッケル1gに対し0.001〜0.040リットル/分の流量で流しながら300〜600℃で焙焼して酸化ニッケル粉を得、次いで、得られた酸化ニッケル粉を、酸化ニッケル粉1gに対して0.003〜0.300リットル/分の水素を含む還元性のガスを、酸化ニッケル1gに対して0.003〜0.400リットル/分の流量で流しながら300〜500℃の温度で還元することを特徴とするニッケル粉の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
この薄層化された内部電極では、ニッケル粉の粒径が大きいと電極厚み方向に存在する粒子数が少なく、また、粒子間の空隙も大きくなることから、焼結後の電極に穴開きや途切れが発生して電極として機能しなくなる。
このため、薄層化された積層セラミックコンデンサにおいては、粗大なニッケル粉が混入していると電極間のショートが発生するため、粗大粒子が含まれないことが要求されている。
従って、上述したように、内部電極用ニッケル粉においては粗大粒子を含まない微細で均一な粒子であることが最も重要な要求特性となっている。
例えば特許文献1では、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法による平均粒径が0.2〜0.6μmであり、かつ平均粒径の2.5倍以上の粒径をもつ粗大粒子の存在率が個数基準で0.1%以下としたニッケル粉の製造方法が提案されている。
気相水素還元法で得られるニッケル粉は結晶性も良く、特性面で優れるが、生産性が低くコスト高となる。また、気相水素還元法等で得たニッケル粉を分級することは、歩留りが悪化してより高コストとなる。
湿式法等により得られた凝集体を解粒処理しても、解粒前の一次粒子径が均一でなければ分級する必要があり、歩留り悪化による高コスト化はさけられない。さらに湿式法により製造すると粒子径が比較的均一なニッケル粉が得られるが、生産性が低くコスト高となる問題は解決されない。
例えば特許文献3には、反応槽内のスラリーに、含ニッケル溶液を連続的に添加しつつ、アルカリ溶液を添加して水酸化ニッケル澱物を生成させた後、この水酸化ニッケル澱物をろ過し、水洗し、乾燥して水酸化ニッケルを得る。
この水酸化ニッケルは還元剤として水素を用いて、還元温度400〜550℃で加熱還元されることによりニッケル粉を得る製造方法が開示されている。
しかしながら、水酸化ニッケルの加熱還元によって得られるニッケル粉は大量生産が可能で低コストであるが、微細で均一な粒径のニッケル粉が得がたいという問題点があった。
従って、粗大粒子を含まない均一な粒径のニッケル粉を大量に低コストで製造する方法が求められている。
即ち、本発明においては、酸化ニッケルを低温、高濃度の水素雰囲気下で還元を完了させることにより、粗大粒子を含まない均一なニッケル粉を得ている。低温で還元を完了させるためには、粒径が細かい酸化ニッケルを用いることが必要である。
この焙焼に際しては、試料の水酸化ニッケル1gに対して0.000021〜0.00084リットル/分の酸素を含む非還元性ガスを、水酸化ニッケル1gに対しトータルで0.001〜0.040リットル/分の流量で、流すとともに300〜600℃の温度にて焙焼して酸化ニッケルを得るが、その際の「酸素量とトータルの供給ガス量」について説明する。
この焙焼に際しての温度を水酸化ニッケルの残留を防ぐために、焙焼時の温度を600℃以上とすると、焙焼時に酸化ニッケルの焼結が進み、粗大な酸化ニッケル粉となってしまう。このようにして得られた酸化ニッケルを還元した場合、粗大粒子を含む粒径が不均一なニッケル粉となってしまう。
一方、焙焼時の温度が300℃未満では、水酸化ニッケルから酸化ニッケルへの転換が十分に進まず、還元が不均一に進むため不均一な粒径のニッケル粉となる。
このとき、水素ガスのみを流してもよく、水素ガスと窒素ガスなどの不活性ガスとの混合ガスを流してもよい。
還元時に流す水素の量が酸化ニッケル1gに対して0.003リットル/分未満の場合は、還元が徐々に進むためにニッケル粉の粒成長が起こり、所望の粗大粒子を含まないニッケル粉が得られない。
また、還元ガスの総量が0.003リットル/分未満である場合、還元によって発生した水蒸気の除去が十分に行われず、還元反応が不均一に進むためニッケル粉の粒成長が起こり、所望の粗大粒子を含まない、均一な粒径のニッケル粉が得られない。
また、還元時に流すトータルの供給ガス量が、酸化ニッケル粉1gに対して0.400リットル/分を超えても、粗大粒子を含まない均一な粒径のニッケル粉は得られるが、さらなる改善の効果はなく、コスト増となるのみである。
還元温度を300〜500℃と限定したのは、還元温度が500℃を超えると、還元されたニッケル粉が還元中に焼結し、結果として粗大粒子となり所望のニッケル粉を得ることができない。
他方で、300℃未満の温度では、酸化ニッケルからニッケルへの還元が進みにくく、還元後のニッケル粉に未還元の酸化ニッケルが混入する危険があり、さらに長時間かけてもニッケル粉の凝集が進み、結果として粗大粒子となるためである。
含まれるアルカリ土類金属としては、マグネシウムが好ましい。
水酸化ニッケルにマグネシウムを含有させることで、還元時のニッケル粒子生成時において、より良好な粒子の微細化、球状化、並びに粒子表面の平滑性を得ることが出来る。
本発明に係るニッケル粉の製造に用いる水酸化ニッケル粉は、通常の公知の方法により得ることができる。例えば、塩化ニッケルや硫酸ニッケルなどの水溶性ニッケル塩の水溶液をpH制御して中和沈澱させることで得られる水酸化ニッケル粉を用いることができる。
即ち、水酸化ニッケル粉に含有されるアルカリ土類金属は、水溶性塩などの水溶性物質としてニッケル塩水溶液に混合しておき、水酸化ニッケルの生成時に共沈させてやればよい。水酸化ニッケルの製造設備に特に制限はなく、通常用いられる設備でよく、例えば、撹拌機を有する貯槽でpH管理が行えるものであればよい。
そこで、水酸化ニッケル中のアルカリ土類金属の含有量は、0.002〜1.00質量%とする。
アルカリ土類金属が0.002質量%未満の場合には、微細化および平滑性改善の効果が見られない。アルカリ土類金属が1.00質量%を超えた場合には、得られるニッケル粉のニッケル品位の低下により、積層セラミックコンデンサの内部電極として用いられた場合に、電極の電気抵抗値が大きくなり過ぎ、コンデンサの損失係数の悪化を招く。
この還元時に用いる還元ガス中の水素濃度は、10容量%以上であることが好ましい。還元時に用いる還元ガス中の水素濃度が10容量%未満になると、酸化ニッケルの還元が徐々にしか進まないため、還元中に還元されたニッケル粉の焼結が起こる可能性があり、結果として粗大粒子の発生を招き、所望の均一な粒径のニッケル粉が得られなくなる可能性があるためである。
次いで、水酸化ナトリウム(試薬1級、和光純薬工業株式会社製)35.5gを純水250mLに溶解した溶液を、先に調製した塩化ニッケル水溶液に添加し、生成した水酸化物をろ過した。さらに、これを1Lの純水で水洗し、再びろ過した(以降、本操作を「ろ過水洗」と呼ぶ)。同様にろ過水洗を4回繰り返した後に、箱型大気乾燥機(DX601、ヤマト科学株式会社製)で120℃、48時間の乾燥を行い、乾燥水酸化ニッケルを得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たり、酸素量が0.000021リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、その乾燥水酸化ニッケル1g当たり、酸素量が0.001470リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.040リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000252リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、300℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルをバッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000252リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、600℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルをバッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が、0.000021リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.001リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.00005リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.001リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000840リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.040リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
次いで、水酸化ナトリウム(試薬1級、和光純薬工業株式会社)35.5gを純水250mLに溶解した溶液を、先に調製した塩化ニッケル水溶液に添加し、生成した水酸化物をろ過した。さらに、これを1Lの純水で水洗し、再びろ過した(以降、本操作を「ろ過水洗」と呼ぶ)。同様にろ過水洗を4回繰り返した後に、箱型大気乾燥機(DX601、ヤマト科学株式会社製)で120℃、48時間の乾燥を行い、乾燥水酸化ニッケルを得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
次いで、水酸化ナトリウム(試薬1級、和光純薬工業株式会社)35.5gを純水250mLに溶解した溶液を、先に調製した塩化ニッケル水溶液に添加し、生成した水酸化物をろ過した。さらに、これを1Lの純水で水洗し、再びろ過した(以降、本操作を「ろ過水洗」と呼ぶ)。同様にろ過水洗を4回繰り返した後に、箱型大気乾燥機(DX601、ヤマト科学株式会社製)で120℃、48時間の乾燥を行い、乾燥水酸化ニッケルを得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000021リットル/分となるように調整した酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.001リットル/分の流量となるように窒素ガスも併せて流し、300℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして乾燥水酸化ニッケルを製造した。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000252リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして乾燥水酸化ニッケルを製造した。
得られた水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000252リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、800℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして乾燥水酸化ニッケルを製造した。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000252リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.015リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、250℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
乾燥水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして乾燥水酸化ニッケルを製造した。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.000010リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.001リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
乾燥水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして乾燥水酸化ニッケルを製造した。
得られた乾燥水酸化ニッケルを、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル1g当たりの酸素量が0.001000リットル/分となるように調整した、酸素を含む非還元性のガスを、トータルで0.040リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして水酸化ニッケルを製造した。
得られた水酸化ニッケルをバッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たり酸素量0.000021リットル/分として流し、酸素を含む非還元性のガス量をトータルで0.0005リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
実施例1と同様にして水酸化ニッケルを製造した。
得られた水酸化ニッケルをバッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて、乾燥水酸化ニッケル1g当たり酸素量0.000840リットル/分として流し、酸素を含む非還元性のガス量をトータルで0.080リットル/分となるように窒素ガスも併せて流し、450℃で2時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、粒度分布測定結果を表1に示す。
Claims (3)
- 水酸化ニッケル粉を焙焼して生成した酸化ニッケル粉末を還元して形成したニッケル粉の製造方法において、
アルカリ土類金属を0.002〜1.00質量%含む水酸化ニッケル1gに対して0.000021〜0.00084リットル/分の酸素を含む非還元性のガスを、水酸化ニッケル1gに対し0.001〜0.040リットル/分の流量で流しながら300〜600℃で焙焼して酸化ニッケル粉を得、
次いで、前記酸化ニッケル粉を、酸化ニッケル粉1gに対して0.003〜0.300リットル/分の水素を含む還元性のガスを、酸化ニッケル1gに対して0.003〜0.400リットル/分の流量で流しながら300〜500℃の温度で還元することを特徴とするニッケル粉の製造方法。 - 酸化ニッケル粉の還元に用いる前記還元性のガス中の水素濃度が、10容量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
- 前記水酸化ニッケルに含有されるアルカリ土類金属が、マグネシウムであることを特徴とする請求項1又は2に記載のニッケル粉の製造方法。
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