JP2018065701A - 酸化ニッケル粉末の製造方法 - Google Patents

酸化ニッケル粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 硫黄含有量が低く且つ所定の粒径及び比表面積を有する酸化ニッケル粉末の製造方法を提供する。【解決手段】 好適には硫黄含有量が200質量ppm以下、D50が5μm以上、及び比表面積が0.5〜1.6m2/gの酸化ニッケル粉末の製造方法であって、硫酸ニッケルの水溶液を塩基性水溶液で中和して水酸化ニッケル等のニッケル塩の中間体粒子を晶析させる工程と、得られた中間体粒子の焼成処理により二次粒子の形態を有する酸化ニッケル粉末を生成させる工程とを含み、前記焼成処理を温度550〜1000℃の範囲内で且つ酸素分圧5kPa以下の非還元性雰囲気で行う。【選択図】 なし

Description

本発明は、還元して導電性フィラー材料や電池材料に用いられる酸化ニッケル粉末の製造方法に関する。
一般に、酸化ニッケル粉末は、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等のニッケル塩類又はニッケルメタル粉を、ロータリーキルン等の転動炉、プッシャー炉等のような連続炉、あるいはバーナー炉のようなバッチ炉を用いて酸化性雰囲気下で焼成することによって製造される。このようにして作製された酸化ニッケル粉末は、電子部品用材料や電池用材料等の多様な用途に用いられており、一部はニッケル粉末に還元してから導電性フィラー用材料や電池用材料として用いられている。例えば導電性フィラー用材料では、酸化ニッケル粉末の還元で得たニッケル粉末を樹脂等に練り込んでフィルム状としたり、ペースト状にして塗膜を形成したりして電磁波シールドとして用いられている。また、電池用材料では、還元で得たニッケル粉末を燃料電池の電極として用いられている。
上記のように酸化ニッケル粉末を還元してニッケル粉末の形態で用いる場合は、原料となる酸化ニッケル粉末は、その不純物含有量、特に塩素や硫黄の含有量が十分に低いことが求められる。その理由は、塩素や硫黄は腐食の原因になったり劣化を促進したりするため、それら不純物がニッケル粉末に多く含まれていると、そのニッケル粉末を用いた機器の信頼性を低下させるおそれがあるからである。
そのため、例えば特許文献1には、450〜600℃の仮焼による脱水工程と、1000〜1200℃の焙焼による硫酸ニッケルの分解工程とを明確に分離した酸化ニッケル粉末の製造方法が提案されている。この製造方法によれば、硫黄含有量が低く且つ平均粒径が小さい酸化ニッケル粉末を安定して製造できると記載されている。また、特許文献2には、横型回転式製造炉を用いて強制的に空気を導入しながら、最高温度900〜1250℃で焙焼する方法が提案されている。この製造方法によっても、硫黄含有量が500質量ppm以下の不純物の少ない酸化ニッケル粉末が得られると記載されている。
特開2004−123488号公報 特開2004−189530号公報
上記の特許文献1や2の方法によれば硫黄含有量の低い酸化ニッケル粉末が得られるものの、これら特許文献1や2の方法で得られる酸化ニッケル粉末は、平均粒径が1.0μm以下の微細な粉末になる。一般的に、ニッケル粉末の原料となる酸化ニッケル粉末は、最終形態のニッケル粉末の粒径制御の観点から、ある程度の大きさの粒径と適切な範囲内の比表面積を併せ持つ酸化ニッケル粉末が求められている。具体的には、レーザー散乱法で測定した中心粒径(粒度分布から体積換算で50%となる粒径D50)が5μm以上で、かつ比表面積が0.5〜1.6m/gの範囲内の酸化ニッケル粉末が好適とされており、上記した特許文献1や2の方法で得られるような微細な粉末は好ましくない。
本発明は上記した従来の事情に鑑みてなされたものであり、工業的に広く用いられている硫酸ニッケルを原料に用いることができ、硫黄含有量が低く且つ所定の範囲内の粒径及び比表面積を有する酸化ニッケル粉末の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記目的を達成するため、酸化ニッケル粉末の製造プロセスについて鋭意研究を重ねた結果、硫酸ニッケル水溶液を水酸化塩、炭酸塩、硝酸塩等の塩基性水溶液を用いて中和することによって、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル等の粒子が凝集した二次粒子からなる中間体を生成し、これを非還元性で且つ低酸素分圧雰囲気で焼成することにより、洗浄処理を特に施さなくても硫黄含有量が低く且つ所定の粒径及び比表面積を有する二次粒子の形態の酸化ニッケル粉末を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の酸化ニッケル粉末の製造方法は、硫酸ニッケルの水溶液を塩基性水溶液で中和してニッケル塩の中間体粒子を晶析させる工程と、得られた中間体粒子の焼成処理により二次粒子の形態を有する酸化ニッケル粉末を生成させる工程とを含み、前記焼成処理を温度550〜1000℃の範囲内で且つ酸素分圧5kPa以下の非還元性雰囲気で行うことを特徴としている。
本発明によれば、硫黄含有量が低く且つ所定の粒径及び比表面積を有する酸化ニッケル粉末を洗浄処理を施すことなく容易に作製することができる。
ニッケル粉末に還元してから用いることが多い酸化ニッケル粉末は、前述したように、ある程度の大きさの粒径と適切な範囲内の比表面積を有していることが望ましい。その理由は、酸化ニッケル粉末を還元して得られるニッケル粉末の粒径は、原料の酸化ニッケル粉末の粒径よりも顕著に小さくなるため、フィラー材料等で求められる粒径を勘案すると酸化ニッケル粉末の段階ではD50が5μm以上であることが好ましい。
また、酸化ニッケル粉末の比表面積は、還元によるニッケル粉末生成時の成長速度に影響し、比表面積が小さすぎると成長速度が遅くなり生産性が低下してしまう。逆に比表面積が大きすぎると成長速度が速くなりすぎて、生成したニッケル粉末の粒径のばらつきが大きくなる傾向がある。以上の点から比表面積は0.5〜1.6m/gの範囲内にするのが好ましい。しかしながら、例えば粒径が5μmの真球状で単粒子で構成される酸化ニッケル粉末は、比表面積を計算すると0.18m/gになるので、上記範囲の比表面積に比べて極めて小さな値になる。
そこで、上記のD50の要件と比表面積の要件とを共に満たすため、本発明の一具体例の酸化ニッケル粉末の製造方法では、一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態の酸化ニッケル粉末を作製している。このように一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有する酸化ニッケル粉末を作製するため、本発明の実施形態に係る酸化ニッケル粉末の製造方法は、硫酸ニッケル水溶液を塩基性水溶液で中和して水酸化ニッケル等の中間体粒子を得る中和工程と、得られた中間体粒子を温度550〜1000℃で且つ酸素分圧5kPa以下の非還元性雰囲気の下で焼成して酸化ニッケル粉末を得る焼成工程とを有している。なお凝集(焼結)した二次粒子は、後述するように一次粒子が強固に結合した二次粒子からなる凝集体の形態であり、導電性フィラーとして樹脂等に練り込んだり、ペーストに加工したとしても結合が切れることはない。
これにより、ニッケル鍍金等に広く用いられる硫酸ニッケルを原料に用いても、D50が5μm以上であり且つ比表面積が0.5〜1.6m/gの範囲内にある酸化ニッケル粉末を作製することができる。この酸化ニッケル粉末を還元することで得られるニッケル粉末は、電磁波シールド等のフィラー材料や電池材料等に好適に用いることができる。以下、これら一連の工程からなる酸化ニッケル微粉末の製造方法について工程ごとに詳細に説明する。
(中和工程)
先ず中和工程では、原料としての硫酸ニッケルの水溶液に対して、中和剤としての塩基性水溶液を添加して中和反応を生じさせ、水酸化ニッケル等のニッケル塩の中間体粒子を晶析させる。原料として用いる硫酸ニッケルは、例えば硫酸ニッケル六水和物等を用いるのが好ましく、これを水で希釈して水溶液とする。なお、最終的に得られる酸化ニッケル微粉末は電子部品用材料や電池用材料として主に用いられるため、それらの腐食を防止するため、原料や中和剤中に含まれる不純物が100質量ppm未満であることが望ましい。
硫酸ニッケル水溶液中のニッケル濃度は特に限定はないが、生産性を考慮するとニッケル濃度で50〜150g/Lが好ましい。この濃度が50g/L未満では生産性が悪くなる。一方、150g/Lを超えると水溶液中の陰イオン濃度が高くなりすぎ、生成した水酸化ニッケル中の硫黄品位が高くなるため、最終的に得られる酸化ニッケル粉末中の不純物品位が十分に低くならない場合がある。
中和剤として用いる塩基性水溶液には、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのような水酸化塩、炭酸ナトリウムのような炭酸塩、硝酸ナトリウムや硝酸カリウムのような硝酸塩を用いることができる。これら中和剤を用いた中和反応により得られる中間体粒子は、水酸化塩の場合は水酸化ニッケル粒子、炭酸塩の場合は炭酸ニッケル粒子、硝酸塩の場合は硝酸ニッケルとなる。これらの中間体粒子は、一次粒子が凝集した二次粒子を含んでいる。なお、中和反応により得られた中間体粒子の二次粒子は、一次粒子同士の結合力は高くなく、外力により結合が切れることもある。
上記の塩基性水溶液は、これらの2種以上の混合液でもよく、この場合に生成される中間体粒子は、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、及び硝酸ニッケルのうち2種以上が混合した粒子となる。中和反応時の液中に残留するニッケルの量を考慮すると、上記塩基性水溶液は水酸化塩とするのが好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムがより好ましく、コストを考慮すると水酸化ナトリウムが特に好ましい。この塩基性水溶液にはアルコール等の水溶性有機溶媒を混合させてもよい。
中和反応時の液温は一般的な反応条件であれば特に制約はなく、常温で行うことも可能であるが、水酸化ニッケル粒子を十分に成長させるため、液温を50〜70℃とすることが好ましい。このように中間体粒子を十分に成長させることで、中間体粒子中に硫黄が過度に含まれるのを防止することができる。上記中和反応により晶析した中間体粒子には硫黄が含まれており、例えば中間体粒子が水酸化ニッケル粒子の場合は1〜3質量%程度の硫黄を含有している。一方、原料に塩化ニッケルを用いないため塩素が混入する虞がほとんどなく、原料に不可避的に含まれる不純物以外は実質的に塩素を含有しない中間体粒子となる。
上記の中和反応の終了後は、晶析した中間体粒子を含むスラリーを濾過して中間体粒子を濾過ケーキの形態で回収する。この濾過ケーキは、次の焼成工程に移る前に洗浄することが好ましい。洗浄はレパルプ洗浄とすることが好ましく、洗浄に用いる洗浄液としては水が好ましく、純水が特に好ましい。洗浄時の中間体粒子と水の混合割合は特に限定はなく、中間体粒子であるニッケル塩に含まれる陰イオン、特に硫酸イオン等の成分が、十分に除去できる混合割合とすればよい。洗浄後は必要に応じて脱水した後、乾燥するのが好ましい。
(焼成工程)
次に焼成工程では、上記の中和工程で得た中間体粒子を熱処理して酸化ニッケル粉末の生成、即ち焼成が行われる。この熱処理は、温度が550〜1000℃の範囲内で且つ酸素分圧が5kPa以下の非還元性雰囲気下で行われる。上記にて説明した通り、中間体粒子は硫黄を含有している。この硫黄は主に原料に由来する硫酸の形態を有しており、大部分は硫酸ニッケルのままで中間体粒子内若しくはその表面に存在している。この硫酸ニッケルは焼成により下記式1の通り分解、揮発して酸化ニッケルとなる。この式1に示す反応における分解反応を促進するため、焼成時の雰囲気を上記したように非還元性で且つ低酸素分圧にするのが良いと考えられる。
[式1]
2NiSO → 2NiO + 2SO + O
焼成時の雰囲気の具体的な酸素分圧の値としては、5kPa以下にする。この酸素分圧は3kPa以下が好ましく、1kPa以下がより好ましい。この酸素分圧が5kPaを超えると、上記式1における分解反応進みにくくなり、酸化ニッケル粉末の硫黄含有量が低下せず、最終的に得られる酸化ニッケル粉末の硫黄含有量が200質量ppmを超えることがある。酸素分圧の下限は特に限定はないが、10Paにすれば十分に酸化ニッケル粉末の硫黄含有量を低減することができる。もちろん酸素分圧が10Paよりもさらに低い場合を除外するものではない。
さらに、水酸化ニッケル等の中間体粒子が還元されてニッケルになるのを防止するため、焼成時の雰囲気を非還元性にする。例えば、焼成時の雰囲気を構成するガスの主成分を、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選ばれる1種にすればよい。具体的には、炉内にこれら窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選ばれる1種のガスを供給したり、これらガスのいずれかを主成分とする低酸素濃度のガスを供給したりしながら焼成すればよい。あるいは、炉内雰囲気の排気により酸素分圧5kPa以下にまで減圧した状態で焼成してもよい。
焼成時の雰囲気温度を550〜1000℃の範囲内にする理由は、この温度範囲では、生成された酸化ニッケル粉末は一次粒子が互いに凝集(焼結)した二次粒子の形態をとるからである。凝集(焼結)した二次粒子の形態とは、焼結により一次粒子同士の結合力が強化された凝集体を意味し、容易に外力により凝集体が破壊されることはない。加熱温度が550℃未満では、上記式1の分解反応が進行しにくくなり硫黄成分が残留するため、酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量が200質量ppmを超えることがある。一方加熱温度が1000℃を超えると、中間体粒子から熱分解で得られた酸化ニッケル粉末の一次粒子の凝集(焼結)が進行しすぎて比表面積が0.5m/g未満となることがある。この焼成を行う装置は特に限定はなく、公知の装置を使用してもよいが、焼成時に発生する分解ガスを効率よく排出するため、炉内に強制的に雰囲気ガスを導入したり、炉内の雰囲気を強制的に排気する機構を有する装置を用いるのが好ましい。
(酸化ニッケル微粉末の物性)
上記した本発明の一具体例の製造方法により得られる酸化ニッケル粉末は、原料や中和剤から不可避不純物として混入する以外に塩素が混入する工程を含まないので、塩素含有量が極めて低い。加えて、硫黄含有量が制御されるとともに、一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有する粉末になる。具体的には、硫黄含有量が200質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下であり、レーザー散乱法で測定したD50が5μm以上で且つ比表面積が0.5〜1.6m/gになる。D50の上限は特に限定はないが、焼成温度の範囲から30μm程度が上限になる。また、D50のより好ましい範囲は、10〜20μmである。
以下、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で用いた水酸化ニッケル粒子と酸化ニッケル粉末の粒径、及び酸化ニッケル粉末の比表面積と硫黄分析の方法は、以下の通りである。
(1)水酸化ニッケル粒子と酸化ニッケル粉末の二次粒径の測定:粒子径測定装置(Microtrac 9320−X100、Microtrac Inc製)を用いて、レーザー回折・散乱法で測定し、その粒度分布から体積積算50%となる粒径D50を求めた。
(2)酸化ニッケル粉末の比表面積の測定:比表面積測定装置(NOVA 1000e、ユアサアイオニクス社製)を用いて、BET法で行なった。
(3)酸化ニッケル粉末の硫黄分析:ICP発光分光分析法で行なった。
(実施例1)
硫酸ニッケルの水溶液を撹拌しながら、水酸化ナトリウムによりpH8.0、液温60℃の条件下で中和し、得られた水酸化ニッケル沈殿物を水洗、脱水、乾燥して水酸化ニッケル粒子とした。得られた水酸化ニッケルの凝集二次粒子径(粒度分布測定におけるD50)は25μmであった。この粒子10gをアルミナの試料皿に充填し、長尺石英管にヒーターを付設した管状炉に装填した。
この長尺石英管の端部から窒素濃度が99.99vol%で且つ酸素分圧が0.1kPa未満の非還元性ガスを毎分1Lで導入し、この気流雰囲気の下、上記の水酸化ニッケル粒子を850℃で5時間の条件で焼成した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は18μm、比表面積は1.3m/g、硫黄含有量は50質量ppmであった。
(実施例2)
焼成時の温度を850℃に代えて900℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、その上記粒度分布測定によるD50は14μm、比表面積は0.9m/g、硫黄含有量は30質量ppmであった。
(実施例3)
焼成時の温度を850℃に代えて940℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は12μm、比表面積は0.6m/g、硫黄含有量は25質量ppmであった。
(実施例4)
焼成時の温度を850℃に代えて750℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は20μm、比表面積は1.5m/g、硫黄含有量は100質量ppmであった。
(実施例5)
焼成時の温度を850℃に代えて600℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は24μm、比表面積は1.6m/g、硫黄含有量は160質量ppmであった。
(実施例6)
上記実施例1と同様にして水酸化ニッケル粒子を管状炉に装填した後、長尺石英管の端部から酸素濃度5%volの酸素と窒素の混合ガスを毎分1Lで導入し、酸素分圧5kPaの非還元性ガスの気流雰囲気の下、900℃で5時間の条件で焼成した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は16μm、比表面積は1.3m/g、硫黄含有量は190質量ppmであった。
(実施例7)
長尺石英管の端部から酸素濃度1vol%の酸素と窒素の混合ガスを毎分1Lで導入し、酸素分圧1kPaの非還元性ガスの気流雰囲気の下で焼成した以外は上記実施例6と同様にして酸化ニッケル粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は15μm、比表面積は1.1m/g、硫黄含有量は90質量ppmであった。
(実施例8)
上記実施例1と同様にして水酸化ニッケル粒子を作製し、その粒子100gを小型転動炉に充填し、窒素濃度99.99vol%で且つ酸素分圧0.11kPa未満の非還元性ガスを毎分10Lで導入し、この気流雰囲気の下、900℃で2時間の条件で焼成した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は13μm、比表面積は1.0m/g、硫黄含有量は90質量ppmであった。
(実施例9)
上記実施例1と同様にして水酸化ニッケル粒子を作製し、その粒子20gをアルミナの匣鉢に充填してから小型減圧加熱炉内に載置し、排気量と吸気量とを調整して炉内の圧力が20kPa以下、炉内の酸素分圧が4kPa以下の非還元性雰囲気において、900℃で2時間の条件で焼成した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は14μm、比表面積は0.9m/g、硫黄含有量は100質量ppmであった。
(比較例1)
長尺石英管の端部から空気を毎分1Lで導入し、酸素分圧21kPaの大気の気流雰囲気の下で焼成した以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は15μm、比表面積は2.0m/g、硫黄含有量は230質量ppmであった。
(比較例2)
長尺石英管の端部から空気を毎分1Lで導入し、酸素分圧21kPaの大気の気流雰囲気の下、900℃で5時間の条件で焼成した以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は13μm、比表面積は1.7m/g、硫黄含有量は220質量ppmであった。
(比較例3)
長尺石英管の端部から酸素濃度10%volの酸素と窒素の混合ガスを毎分1Lで導入し、酸素分圧10kPaの気流雰囲気の下、900℃で5時間の条件で焼成した以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は13μm、比表面積は1.7m/g、硫黄含有量は210質量ppmであった。
(比較例4)
焼成時の温度を850℃に代えて1050℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は17μm、比表面積は0.4m/g、硫黄含有量は50質量ppmであった。
(比較例5)
焼成時の温度を850℃に代えて500℃にした以外は上記実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル粉末は一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態を有しており、そのD50は33μm、比表面積は1.7m/g、硫黄含有量は270質量ppmであった。上記した実施例及び比較例の結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 2018065701
上記1の結果から分かるように、全ての実施例において、酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は200質量ppm以下で且つ一次粒子が凝集(焼結)した二次粒子の形態であり、D50は5μm以上、比表面積は0.6〜1.6m/gであり、硫黄含有量が低減され粒径及び比表面積が制御された酸化ニッケル粉末が得られた。これに対して、比較例1〜3及び比較例5は酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量が高く、比較例4は比表面積が極めて小さいことから、この酸化ニッケル粉末を原料にして還元したニッケル粉末は導電性フィラー材料や電池材料に適していない。


Claims (5)

  1. 硫酸ニッケルの水溶液を塩基性水溶液で中和してニッケル塩の中間体粒子を晶析させる工程と、得られた中間体粒子の焼成処理により二次粒子の形態を有する酸化ニッケル粉末を生成させる工程とを含み、前記焼成処理を温度550〜1000℃の範囲内で且つ酸素分圧5kPa以下の非還元性雰囲気で行うことを特徴とする酸化ニッケル粉末の製造方法。
  2. 前記非還元性雰囲気は、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムからなる群から選ばれる1種を主成分とする雰囲気であることを特徴とする、請求項1に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。
  3. 前記中間体粒子は、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、及び硝酸ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。
  4. 前記酸化ニッケル粉末の硫黄含有量が200質量ppm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。
  5. 前記酸化ニッケル粉末のD50が5μm以上であり、比表面積が0.5〜1.6m/gであることを特徴とする、請求項4に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。


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