JP7098919B2 - 酸化ニッケル微粉末の製造方法 - Google Patents

酸化ニッケル微粉末の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子部品や固体酸化物形燃料電池の電極に用いられる材料として好適な酸化ニッケル微粉末の製造方法に関する。
酸化ニッケル微粉末は、電子部品用材料を始めとして様々な用途に用いられており、例えば電子部品用材料の用途では、酸化ニッケル微粉末を酸化鉄、酸化亜鉛等の他の原料と混合した後、焼結することによりフェライト部品等を作製することが行われている。このフェライト部品のように、複数の原料を混合して焼成することにより複合金属酸化物を製造する場合は、その生成反応は固相の拡散反応で律速されるので、当該原料はより微細であることが一般的に好ましい。すなわち、粉末原料の形態が微細であれば他の材料との接触確率が高くなると共に粒子の活性が高くなり、低温で且つ短時間の処理であっても均一に反応を進めることができる。従って、上記のような複合金属酸化物の製造では、原料となる粉末の粒径を小さくして微細にすることが効率向上の重要な要件となる。
酸化ニッケル微粉末は、上記のフェライト部品等の電子部品以外にも用途が広がっており、例えば環境及びエネルギーの両面から新しい発電システムとして期待されている固体酸化物形燃料電池の電極材料に酸化ニッケル微粉末が用いられている。一般に、固体酸化物形燃料電池のセルスタックは、空気極、固体電解質及び燃料極からなる単セルが順次積層された構造を有している。この燃料極には、例えばニッケル又は酸化ニッケルと、安定化ジルコニアからなる固体電解質とを混合したものが用いられている。燃料極では発電時に水素や炭化水素等の燃料ガスにより還元されてニッケルメタルとなり、ニッケルと固体電解質と空隙からなる三相界面が燃料ガスと酸素との反応場になるため、上記のフェライト部品として用いる場合と同様に原料となる粉体の粒径を小さくして微細にすることが発電効率向上の重要な要素となる。
上記のように、近年、酸化ニッケル微粉末の用途はフェライト部品等の電子部品以外にも広がっており、また、従来の用途であるフェライト部品はますます高機能化する傾向にあるため、酸化ニッケル微粉末の不純物元素の含有量をより一層低減することが求められている。不純物元素の中でも特に塩素(Cl)や硫黄(S)は、電極に利用されている銀と反応して電極劣化を生じさせたり、焼成炉を腐食させたりすることがあるため、できるだけ低減することが望ましい。
このような状況の下、例えば特許文献1には、フェライト材料の原料となるフェライト粉の段階において、その硫黄成分の含有量をS換算で300~900ppmにし、塩素成分の含有量をCl換算で100ppmにする技術が提案されている。この特許文献1のフェライト材料は、低温焼成においても添加物を用いることなく高密度化を図ることができ、これにより形成されるフェライト磁心及び積層チップ部品は、耐湿性と温度特性に優れたものにすることができると記載されている。
一方、酸化ニッケル微粉末の製造段階において不純物含有量を低減させるため、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、炭酸ニッケル、水酸化ニッケル等のニッケル塩類又はニッケルメタル粉を、酸化性雰囲気下で焼成する方法が一般的に採用されている。例えば、特許文献2には、原料としての硫酸ニッケルに対して、キルンなどを用いて酸化雰囲気中で焙焼温度950~1000℃未満で焙焼する第1段焙焼と、焙焼温度1000~1200℃で焙焼する第2段焙焼とを行って酸化ニッケル粉末を製造する方法が提案されている。この製造方法によれば、制御された平均粒径を有し、且つ硫黄含有量50質量ppm以下の酸化ニッケル微粉末が得られると記載されている。
また、特許文献3には、450~600℃での仮焼による脱水工程と、1000~1200℃での焙焼による硫酸ニッケルの分解工程とを明確に分離した酸化ニッケル粉末の製造方法が提案されている。この製造方法によれば、硫黄の含有量が低く且つ平均粒径が小さい酸化ニッケル粉末を安定して製造できると記載されている。更に、特許文献4には、横型回転式製造炉を用いて強制的に空気を導入しながら、最高温度900~1250℃で焙焼する方法が提案されている。この製造方法によっても、硫黄の含有量が500質量ppm以下の不純物含有量の少ない酸化ニッケル粉末が得られると記載されている。
上記の乾式法に対して一部湿式法で酸化ニッケル微粉末を製造する方法として、硫酸ニッケルや塩化ニッケル等のニッケル塩を含む水溶液を、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリで中和して水酸化ニッケル粒子を晶析させ、これを焙焼する方法も提案されている。例えば、特許文献5には、塩化ニッケル水溶液をアルカリで中和することで得た水酸化ニッケル粒子を500~800℃の温度で熱処理して酸化ニッケル粒子を生成し、得られた酸化ニッケル粒子に水を加えてスラリーにした後、湿式ジェットミルを用いて解砕すると同時に洗浄することにより、硫黄及び塩素の含有量が低く且つ微細な粒径の酸化ニッケル微粉末を作製する方法が提案されている。この方法は水酸化ニッケル粒子を焙焼する際に陰イオン成分由来のガスの発生が少ないため、排ガス処理が不要となるか若しくは簡易な設備でよく、よって低コストでの製造が可能になると記載されている。
また、特許文献6には、硫酸ニッケル水溶液をアルカリで中和して水酸化ニッケル粒子を生成し、得られた水酸化ニッケル粒子を850℃を超え1050℃未満の温度で熱処理して酸化ニッケル粒子の焼結体を生成し、得られた酸化ニッケル粒子の焼結体を解砕することで酸化ニッケル微粉末を製造する方法が提案されている。この酸化ニッケル微粉末の製造方法では、中和されずに残留した硫酸ニッケルを主とする硫酸塩が熱処理時の焼結を抑制し、熱処理温度が850℃を超えれば硫酸ニッケルは分解されるので、粒径の微細化と硫黄の含有量の制御の両立が可能になると記載されている。
特開2002-198213号公報 特開2001-032002号公報 特開2004-123488号公報 特開2004-189530号公報 特開2011-042541号公報 特許5907169号公報
上記の特許文献2又は3の製造方法により不純物含有量の低い酸化ニッケル微粉末を得ることができるものの、これら製造方法は熱処理を2回行うため生産コストが高くなるという問題を抱えている。また、特許文献2~4のいずれの製造方法も、硫黄の含有量を低減するために焙焼温度を高くすると粒子が粗大になり、粒子の粗大化を抑えるために焙焼温度を下げると硫黄の含有量が高くなるため、粒径と硫黄の含有量とを同時に最適値に制御することは困難であった。また、熱処理の際にSOxを含むガスが大量に発生し、これを除害処理するために高価な設備が必要になるという問題も抱えている。
更に、酸化ニッケル微粉末を電子部品用材料として用いる場合は、粒径の微細化と不純物の低減に加えて、硫黄の含有量の厳密な制御が必要になることがある。すなわち、酸化ニッケル微粉末を電子部品用として、特にフェライト部品用の原料として用いる場合は、硫黄の含有量を単に低減するだけでなく、硫黄の含有量を所定の範囲内に厳密に制御することを要求されることがある。しかしながら、特許文献5の酸化ニッケル微粉末の製造方法は、原料に塩化ニッケルを用いていることから硫黄の低減は可能であるが、硫黄の含有量を所定の範囲内に制御することは困難であった。また、湿式解砕を採用しているため、その後工程にコストがかかる乾燥処理が必要になる上、この乾燥処理時に凝集するおそれがあった。
特許文献6の製造方法では、微細な粒子径を有すると共に硫黄の含有量が制御された酸化ニッケル微粉末を得ることができるものの、製造に要する時間が長いことが問題になっていた。本発明は上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、工業上広く用いられる硫酸ニッケルを原料として用いて効率的に微粒化と硫黄分の低減とを両立させることができ、かつ従来に比べて短時間で製造することが可能な酸化ニッケル微粉末の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、中和工程と熱処理工程とを有する酸化ニッケル微粉末の製造工程において、該中和工程により生成した中間体粒子を含む沈殿物若しくはスラリーを固液分離処理して得た湿潤状態の中間体粒子群の塊を、熱処理する前にペレット化することで当該熱処理の効率が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の酸化ニッケル微粉末の製造方法は、硫酸ニッケル水溶液とナトリウムを含む塩基性溶液との中和反応により中間体粒子を晶析させた後、固液分離を行って該中間体粒子を含むケーキを得る中和工程と、前記ケーキをペレット化することで得たかさ密度1.5~2.0g/cmの成形体を、該成形体は通過できないが雰囲気ガスは流通可能な大きさを有する開口部を複数設けた容器に収容するか該開口部を複数設けた板上に載置し、大気雰囲気ガス下又は酸素分圧1kPa以下の非還元性雰囲気下で乾燥及び焼成して酸化ニッケル粉末を生成する熱処理工程と、前記熱処理工程の際に形成され得る酸化ニッケル粉末の焼結体を解砕して酸化ニッケル微粉末を得る解砕工程とを含む酸化ニッケル微粉末の製造方法であって、前記熱処理工程では、前記大気雰囲気の場合は850~950℃の熱処理温度で焼成を行い、前記非還元性雰囲気の場合は750~950℃の熱処理温度で焼成を行うことを特徴としている。
本発明によれば、フェライト部品などの電子部品材料や固体酸化物形燃料電池の電池材料として好適な、硫黄の含有量が低く且つ微細な酸化ニッケル微粉末を短時間で効率よく作製することができる。
以下、本発明の実施形態に係る酸化ニッケル微粉末の製造方法について説明する。この製造方法は、硫酸ニッケル水溶液とナトリウムを含む塩基性溶液とを混ぜ合わせて中和反応を生じさせ、これにより晶析した中間体粒子を含むスラリーを固液分離して湿潤状態のケーキを得る中和工程と、所定の雰囲気ガスを導入しながらこの中間体粒子のケーキを熱処理することで乾燥及び焼成して酸化ニッケル粉末を生成する熱処理工程と、該熱処理工程の際に形成され得る酸化ニッケル粉末の焼結体を解砕して酸化ニッケル微粉末を得る解砕工程とを有しており、該熱処理工程では該中和工程で得た中間体粒子のケーキを所定の形状を有する成形体にペレット化してから乾燥及び焼成を行う。なお、上記の中和工程で得た中間体粒子のケーキは必要に応じて洗浄処理してもよい。
上記の製造方法により得られる酸化ニッケル微粉末は、ニッケル鍍金等に広く用いられる硫酸ニッケルを原料に用いても硫黄含有量を低く抑えることができ、また、レーザー散乱法で測定した平均粒径D50(粒度分布上における粒子量の体積積算50%での粒径)を0.5μm以下にすることができる。これにより、電子部品材料や固体酸化物形燃料電池の電極用材料等の用途として好適な酸化ニッケル微粉末を得ることができる。以下、かかる本発明の実施形態の酸化ニッケル微粉末の製造方法を構成する中和工程、洗浄工程、熱処理工程、及び解砕工程からなる一連の工程の各々について詳細に説明する。
(中和工程)
中和工程は、反応槽内において原料としての硫酸ニッケル水溶液と、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のナトリウムを含む塩基性溶液とを混合して中和反応を生じさせることにより、水酸化ニッケル、炭酸ニッケル等のニッケル化合物の中間体粒子を晶析させる工程である。原料として用いる硫酸ニッケルには、例えば硫酸ニッケル六水和物等を用いることができ、これと水とを後述するニッケル濃度になるような配合割合で混合することで水溶液にする。なお、最終的に得られる酸化ニッケル微粉末は電子部品用材料や電池用材料として用いられることから、その腐食防止のため、原料中に含まれる不純物は100質量ppm未満であることが望ましい。
上記硫酸ニッケル水溶液中のニッケルの濃度は、特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると、ニッケル濃度で50~150g/Lが好ましい。この濃度が50g/L未満では生産性が低くなりすぎる。逆にこの濃度が150g/Lを超えると水溶液中の陰イオン濃度が高くなりすぎ、晶析により生成される水酸化ニッケル等の中間体粒子中の硫黄含有量が高くなるため、最終的に得られる酸化ニッケル微粉末中の不純物含有量が十分に低くならない場合がある。
中和に用いる上記のナトリウムを含む塩基性溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、又は硝酸ナトリウムの溶液を用いることができ、これらの中では入手のしやすさや反応速度の点で水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウムのうちの1種以上を含む溶液が好ましい。上記の中和反応により得られる中間体粒子は、水酸化ナトリウムを用いた場合は水酸化ニッケル粒子、炭酸ナトリウムを用いた場合は炭酸ニッケル粒子、硝酸ナトリウムを用いた場合は硝酸ニッケルとなる。塩基性溶液が上記のうちの2種類以上の混合液の場合、得られる中間体粒子は水酸化ニッケル、炭酸ニッケル、及び硝酸ニッケルのうちの2種類以上の混合粒子となる。塩基性溶液の溶媒には特に限定はなく、水でもよいし、水にアルコール等の水溶性有機溶媒を混合させたものでもよい。
上記中和工程において、例えば均質な水酸化ニッケル粒子を効率よく生産するためには、反応槽内において十分に撹拌されている液に、予め調製しておいたニッケル塩水溶液である硫酸ニッケル水溶液と塩基性溶液とをいわゆるダブルジェット方式で添加する連続晶析法を採用するのが好ましい。即ち、反応槽内に予め貯めておいたニッケル塩水溶液及び塩基性溶液のうちのいずれか一方に対して、もう一方を添加することで中和反応を行うのではなく、反応槽内において十分に攪拌されている乱流状態の液体に、好適には該攪拌を継続しながらニッケル塩水溶液と塩基性溶液とを同時並行的に且つ連続的に添加することで中和反応を行うのが好ましい。この場合、反応槽内に予め入れておく液体は、純水に上記塩基成分を添加して所定のpHに調整したものが好ましい。
上記中和反応時は、反応槽内の反応液のpHを8.3~9.0の範囲内に調整することが好ましい。このpHが8.3より低いと、中間体粒子中に残存する硫酸イオン等の陰イオン成分の濃度が増大し、これらが後段の熱処理工程の際に大量のSOx等となって炉体を傷めるおそれがある。逆にこのpHが9.0より高くなると、析出する中間体粒子が微細になりすぎ、この中間体粒子を含むスラリーを例えば濾過装置で固液分離する際に濾過性が低下することがある。更に、後段の焼成工程で焼結が進みすぎて、微細な酸化ニッケル微粉末を得ることが困難になることがある。
上記した好適な中和条件であるpH9.0以下では反応後の水溶液中に僅かにニッケル成分が残存することがあるが、この場合は、上記の中和工程による晶析がほぼ完了した後にpHを10程度まで上げることによって、上記の濾過により得られる濾液中のニッケル成分を低減させることができる。中和反応時はpHをほぼ一定に保つことが好ましく、特にその変動幅が設定値を中心として絶対値で0.2以内となるように一定に制御することが好ましい。pHの変動幅がこれより大きくなると、不純物が増大したり酸化ニッケル粉末の比表面積が低下したりするおそれがある。
上記の中和反応時の反応液の温度には特に制約がなく、室温で行うことも可能であるが、例えば水酸化ニッケル粒子の場合は50~70℃の範囲内が好ましい。これにより水酸化ニッケル粒子を十分に成長させることができ、水酸化ニッケル粒子中への硫黄の過度の含有を防止することができる。また、水酸化ニッケル粒子中へのナトリウムなどの不純物の巻き込みを抑制し、最終的に得られる酸化ニッケル微粉末の不純物を低減することができる。この液温が50℃未満では水酸化ニッケル粒子の成長が不十分になって、水酸化ニッケル中への硫黄等の不純物の巻き込みが多くなるおそれがある。逆に液温が70℃を超えると水の蒸発量が増加し、水溶液中の硫黄等の不純物濃度が高くなるため、生成した水酸化ニッケル粒子中の硫黄等の不純物品位が高くなるおそれがある。
上記の中和工程では、中和反応の反応時間を0.2~5時間にするのが好ましい。ここで中和反応の反応時間とは、所定の中和反応条件が維持される時間であり、例えば連続式完全混合槽型の反応槽で中和反応を行う場合は、その有効容量を硫酸ニッケル水溶液とアルカリ水溶液との合計供給量で除して得られる時間であり、この場合は滞留時間に相当する。例えば、オーバーフロー口を設けることで有効容積が10Lに維持されている反応槽に硫酸ニッケル水溶液とアルカリ水溶液とを合計20L/hで供給する場合、反応時間は10/20=0.5時間になる。
この反応時間が0.2時間未満では中間体粒子に残存する硫黄量が増加しやすくなり、逆に5時間を超えると中間体粒子に残存するナトリウム量が増加しやすくなる。よって、いずれの場合においても最終的に得られる酸化ニッケル微粉末の不純物含有量が増大するおそれがある。晶析により得た中間体粒子を含む沈殿物若しくはスラリーは、濾過等の固液分離処理を行って固形分として湿潤状態の中間体粒子群の塊(以降、ケーキ又は湿潤ケーキとも称する)を回収する。上記の固液分離処理に用いる固液分離手段には特に制限はなく、フィルタープレス、遠心分離機、濾過等の公知の固液分離手段を用いることができる。
(洗浄工程)
上記の中和工程で得たケーキは、水等の洗浄液を用いて洗浄処理する洗浄工程を必要に応じて経由してもよい。この洗浄工程により、中間体粒子に混在している硫酸イオン等の陰イオンやナトリウム成分を効果的に除去することができるので、最終的に得られる酸化ニッケル微粉末の不純物含有量を特に低くすることが求められる場合は、熱処理工程の前に洗浄工程を設けるのが好ましい。この洗浄処理はケーキに洗浄液を加えることで得られるスラリーを撹拌することで洗浄を行った後、該スラリーを固液分離することで固形分を回収する洗浄方法であるいわゆるレパルプ洗浄とすることが好ましく、その場合に用いる洗浄液としては水が好ましく、純水がより好ましい。
例えば水酸化ニッケル粒子のケーキを水で洗浄する場合、これらの混合割合は特に限定がないが、ニッケル塩である水酸化ニッケルに含まれるナトリウム等のアルカリ金属成分が十分に除去できる混合割合が好ましい。具体的には、残留するアルカリ金属等の不純物濃度を十分に低減でき且つ水酸化ニッケル粒子を良好に分散することができる混合割合である、50~150gの水酸化ニッケルに対して1Lの洗浄液を混合する割合が好ましく、100g程度の水酸化ニッケルに対して1Lの洗浄液を混合する割合がより好ましい。
なお、洗浄時間については、上記の洗浄液の量や温度などの洗浄条件に応じて適宜定めることができ、残留不純物が十分に低減可能な時間とすればよい。また、1回の洗浄でアルカリ金属等の不純物が十分に低減しない場合は、上記レパルプ洗浄を複数回繰り返すことが好ましい。特に、ナトリウム等のアルカリ金属は後段の熱処理工程ではほとんど除去できないため、この洗浄処理によって十分に除去することが好ましい。洗浄液に純水を用いる場合は、例えば洗浄後に測定した洗浄液の導電率が所定の値以下になるまで洗浄を繰り返すことで、不純物品位のばらつきを抑えることができる。洗浄後の固液分離に用いる手段は特に限定はなく、濾過等の公知の固液分離手段を用いることができる。この固液分離により、再び湿潤状態の中間体粒子のケーキが得られる。
(熱処理工程)
熱処理工程は、上記の中和工程によって若しくは洗浄工程を経由する場合は該洗浄工程によって得た中間体粒子のケーキに対して、雰囲気ガスを導入しながら乾燥処理及び焼成処理を行って酸化ニッケル粉末を得る工程である。この場合、乾燥処理と焼成処理とは別々の設備で処理を行ってもよいし、同一の設備で連続的に処理を行ってもよい。いずれの場合においても、熱処理後の酸化ニッケル粉末には複数の酸化ニッケル粒子が焼結した構造の焼結体が含まれている。
ところで、湿潤状態の固体を乾燥処理する場合、乾燥速度Rは、下記式1に示すように一般的に固体と雰囲気との界面の面積Aに比例する。ここでtは固体の温度であり、tは雰囲気の湿球温度であり、hは熱伝達係数であり、λは温度tにおける水の蒸発潜熱である。
[式1]
R=h/λ×A×(t-t
そこで、乾燥効率を高めるため、乾燥設備内に外部から空気等の雰囲気ガスを導入し、これにより乾燥設備内に気流を発生させて湿潤状態の固体をより速い乾燥速度で乾燥する方法が広く用いられている。一方、乾燥設備は、その内部の湿潤状態の固体の形態から定置式と流動式に区別することができる。定置式の場合、乾燥対象物である湿潤状態の固体はバットとも称する矩形皿状の容器(トレイ)等に敷き詰めて乾燥処理が施されるため、上記の中間体粒子のケーキを収容する容器に該バットを用いると、前述した固体と雰囲気との界面の面積Aはバット内に敷き詰められたケーキの実質的に上面部のみに限定され、敷き詰めた時のケーキの厚みが厚ければ厚いほど乾燥対象となるケーキの全体量に対する界面の面積Aは相対的に小さくなり、乾燥速度が遅くなる。
これに対して流動式では、乾燥設備内において乾燥対象物である湿潤状態の固体を空気等のキャリアガスを用いて流動させるため、当該固体を多数の塊に分割しながら乾燥を進めることができる。従って、上記の定置式と比較すると乾燥対象となるケーキの量に対する界面の面積Aが相対的に大きくなり、該定置式に比べて短時間で乾燥できる。更に、流動式では乾燥が進むにつれてより多数の塊に分割されて界面の面積Aが大きくなることから、乾燥速度Rは加速度的に速くなる。しかしながら、流動式は乾燥対象となる湿潤状態の固体が特に微細な粉体からなる場合は、乾燥設備内においてキャリアガスによる気流が乾燥後の粉体の一部若しくは全部を帯同し、そのまま排気ガスとして排出されることがある。この場合、排気ガスに帯同された粉体は、排気系にサイクロンや集塵機等の紛体回収設備を設けることにより回収することができるが、これら設備は一般的に構成が複雑で大掛かりになる上、当該紛体回収設備からの放熱によりエネルギー効率が悪くなることがあった。
そこで本発明の実施形態の製造方法では、この乾燥処理を行う前に中間体粒子のケーキをペレット状に成形し、このペレット化した成形体を乾燥処理に供している。このように乾燥対象物の湿潤ケーキをペレット化することで、バット等の容器に収容して定置式の乾燥機で乾燥処理する際に、該容器の上面部に位置する中間体粒子の成形体のみならず該容器の内部や底部の成型体にも雰囲気ガスが行き渡って該雰囲気ガスに十分触れさせることができるので、ペレット化しない場合に比べて前述した雰囲気との界面の面積Aを広くすることができ、結果的に乾燥速度Rを速くすることができる。このようにペレット化により効率的に水分を除去できる上、焼成により酸化ニッケル粉末が生成されるまでペレット形状が維持されるので雰囲気ガスによって紛体が舞い上がるのを抑えることができる。
更に、焼成処理においても後述するように雰囲気ガスを導入しながら処理を行うので、ペレット化することで焼成設備内において雰囲気ガスによる気流と接触する界面の面積が増大し、水酸化ニッケルから酸化ニッケルへの生成や硫酸ニッケルの分解が効率的に行われる。また、バット等の容器に中間体粒子のケーキを敷き詰めて定置式の乾燥機で熱処理した場合は、一部の粒子が容器の外部に飛散することがあり、熱処理が完了する度に清掃する必要があったが、ペレット化することで容器外に飛散しにくくなるので、清掃頻度が大幅に減少するという効果も得られる。
上記の中和工程や洗浄工程で得られる中間体粒子のケーキは、例えば中間体粒子が水酸化ニッケルの場合は含水率が50質量%程度になるため、そのままの状態でペレット化に適した粘度を有している。この程度の含水率を有する粉体をペレット化するのであれば、汎用的な押し出し式の成型機を用いる場合であっても、バインダー(結着剤)や溶媒による調整をほとんど要することなくペレット状に成形することができる。なお、押し出し時の圧力により水分が分離する場合は、相応の水分を補充すれば良い。また、必要に応じてバインダー(結着剤)を用いて成形後の形状の維持性を高めてもよい。
上記のペレット化により成形する成形体のサイズについては特に限定はないが、押し出し式の成形機を用いて略円柱形状に成形する場合は、後段の熱処理工程での乾燥処理時の効率性や焼成処理時の硫酸ニッケルの分解により発生するガスの放出性、これら乾燥処理や焼成処理の際の形状維持のための強度、及び該熱処理工程後の解砕工程の条件を考慮すると直径2~10mm程度、長さ3~20mm程度の範囲内に成形するのが望ましい。ペレットは細くすることで比表面積を増やすことができるものの、あまり細すぎると折れたり崩れたりしやすくなるので長くできず、逆にある程度太くすることで長くなっても折れたり崩れたりしにくくなる。このように、ペレットは直径及び長さを適宜調整することで、上記工程における形状維持が確実になる。
また、上記成形体のかさ密度は、2.0g/cm以下とするのが好ましい。この成形体のかさ密度が2.0g/cmを超える場合は、例えば押し出し成型機の押し出し力を低くすることで調整できる。逆に押し出し成型機の押し出し力を高めて高密度化すると中和工程又は洗浄工程で得た中間体粒子は一次粒子が凝集した二次粒子の形態を有しているため、二次粒子の凝集体が破壊され、焼成処理時に焼結が進行しやすくなる。その結果、後段の解砕工程で解砕処理を行っても酸化ニッケル微粉末が得られないことがある。上記の成型体のかさ密度の下限については特に限定はないが、上記説明した水酸化ニッケルや炭酸ニッケルや硝酸ニッケルの中間体粒子では、下限は1.5g/cm程度となる。
上記の中間体粒子の成形体は、焼成用容器として汎用的に用いられるムライト等の耐火物からなる匣鉢に収容した後に、例えばローラーハウスキルン等のトンネル型の炉により熱処理して乾燥処理及び焼成処理を行うことができる。これら乾燥処理及び焼成処理の際、炉において匣鉢の進行方向の下流側から雰囲気ガスを導入して上流側に向けて炉内を流し、乾燥処理及び焼成処理によって成形体から発生するガスとともに該上流側から炉外に排出するのが好ましい。この場合の雰囲気ガスの導入量は、炉内の設定温度が維持できる範囲内でなるべく多いのが好ましく、これにより効率よく乾燥できる上、焼成処理時の硫酸ニッケルの分解が促進され、処理時間を短縮することができる。
また、成形体を収容する容器やこれを載置する箇所には、成形体は通過できないが雰囲気ガスは流通可能な大きさを有する複数の開口部を設けることが好ましい。これにより、炉内に導入された雰囲気ガスの流路を、当該開口部を経由して匣鉢内の中間部や底部にまで至るようにすることができ、よって該匣鉢内のこれら中間部や底部に存在する成形体に対しても乾燥処理及び焼成処理を効率的に行うことができる。この場合、側部や底部に開口部を有するムライト製の匣鉢を用いてもよいが、SUS304等の金属製フレームにニッケルメッシュを貼ったバスケットやコーディエライト製のハニカムブロックを組んだ容器を用いてもよい。上記のトンネル型の炉では乾燥処理と焼成処理とを1つの炉を用いて連続的に行うことを想定したが、熱処理対象となる成形体の含水率や処理量等の条件により炉の上流側から下流側までの長さが長くなりすぎる場合や、乾燥処理時に発生する水蒸気が炉の排気設備の負荷を超える等の問題が生じ得る場合は、乾燥処理用の設備は定置式乾燥機などの乾燥設備を用いることによって焼成処理用の設備とは分離してもよい。このように乾燥処理用と焼成処理用の設備を別々に設けて連続的に処理する場合であっても酸化ニッケル微粉末の物性に悪影響を及ぼすことは特にない。
ところで、中和工程で得た中間体粒子は前述した通り硫黄分を含有しており、例えば中間体粒子が水酸化ニッケル粒子の場合、該水酸化ニッケル粒子中に0.5~2質量%の硫黄分を含有している。この硫黄分は主として原料に起因するため硫酸の形態を有しており、更にその大部分は硫酸ニッケルの形態で中間体粒子の内部若しくは表面部に存在している。この硫酸ニッケルは、水酸化ニッケルや炭酸ニッケル等の中間体粒子が酸化ニッケル粉末に熱分解した後、焼結するのを防止する働きを有している。一方、硫酸ニッケルは熱処理温度を更に高くすれば熱分解するので、焼成処理後に得られる酸化ニッケル粉末の硫黄品位を問題のない程度まで低減することができる。
そこで本発明の実施形態の製造方法では、熱処理工程における焼成処理時の雰囲気を大気雰囲気下か又は低酸素分圧の非還元性雰囲気下にしており、大気雰囲気の場合は850~950℃の熱処理温度で焼成を行い、低酸素分圧の非還元性雰囲気の場合は750~950℃の熱処理温度で焼成を行っている。以下、その理由について反応メカニズムの観点から説明する。なお、これら熱処理温度は炉内に設けた温度計で計測することができる。水酸化ニッケルや炭酸ニッケル等のニッケル化合物の中間体粒子は、600℃以上の温度で酸化ニッケルに移行するが、硫酸ニッケルの熱分解には低酸素分圧の非還元性雰囲気の場合は約750℃以上の熱処理温度を要し、大気雰囲気の場合は850℃以上の熱処理温度を要する。これらの熱処理温度では下記式2及び/又は式3の反応が生じる。
[式2]
NiSO⇔NiO+SO
[式3]
2NiSO⇔2NiO+2SO+O
これらの反応により、三酸化硫黄及び/又は二酸化硫黄の硫黄酸化物ガスや酸素ガスが発生する。これらのガスは雰囲気中に放出されるため、雰囲気ガスを導入すると共に排気しながら熱処理するのが好ましい。すなわち、雰囲気ガス中の硫黄酸化物分圧や酸素分圧が低ければ低いほど反応は式の右側に進むので、熱処理中に発生したこれらガスが気流により速やかに移動して排気されれば、雰囲気ガス中のこれらガスの分圧が低下するので硫酸ニッケルが分解する反応が促進されるからである。更に、前述したように中間体粒子をペレット化することで、このペレット化した中間体粒子の成型体と雰囲気との界面の面積が増大するので、上記式2や式3の分解反応がより一層促進され、酸化ニッケル粉末の硫黄含有量が低下しやすくなる。
上記の熱処理時に導入する雰囲気ガスは、中間体粒子が還元されてニッケルになるのを防止するため、非還元性ガスを用いるのが好ましい。このような非還元性ガスの具体例としては、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムから選ばれる1種又は空気が雰囲気ガスの主成分であるのが好ましい。具体的には、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムから選ばれる1種のガスをそのまま用いるか、又はこれらの少なくともいずれかを主成分として更に酸素分圧1kPa以下の範囲で酸素を含有させたガスを用いるのが好ましい。あるいは、炉内の酸素分圧が1kPa以下になるように炉内の雰囲気ガスを排気しながら減圧雰囲気で熱処理してもよい。もちろん、空気を導入しながら大気雰囲気下で熱処理を行ってもよい。
上記のように酸素分圧1kPa以下とする理由は、式3からも分かる通り、低酸素雰囲気下で熱処理すれば硫酸ニッケルの分解が促進され、熱処理温度を下げても硫黄含有量が低減された酸化ニッケル粉末を得ることができ、熱処理時のエネルギー効率を一層向上させることができるからである。具体的には、酸素分圧が1kPa以下の非還元性雰囲気では、硫酸ニッケルは750℃で分解される。従って、中間体粒子の焼成処理時の雰囲気は酸素分圧1kPa以下の非還元性雰囲気が好ましく、0.5kPa以下の非還元性雰囲気がより好ましく、100Pa以下の非還元性雰囲気が更に好ましい。この酸素分圧が1kPaを超えると、硫酸ニッケルの分解温度の低下効果が十分に得られない。なお、酸素分圧の下限値には特に限定はないが、10Paとすれば十分に酸化ニッケル粉末の硫黄含有量を低減することができる。もちろん酸素分圧が更に低い場合を除外するものではない。
上記のように非還元性雰囲気でかつ酸素分圧1kPa以下の低酸素雰囲気では750℃で硫酸ニッケルが分解するので、この雰囲気では熱処理温度を750~950℃の範囲内にする。この熱処理温度が750℃未満では、硫酸ニッケルの熱分解が不十分になり、硫黄成分が残留したり未反応の中間体粒子が残留したりすることがある。逆に熱処理温度が950℃を超えると、中間体粒子の熱分解により得られる酸化ニッケル粒子の焼結が進行しすぎ、この焼結した粒子の分離が次工程の解砕において困難となり、電子部品材料や電池材料の用途には適さない程度に小さな比表面積と大きなD50を有する粉末となるおそれがある。
一方、焼成処理時の雰囲気が大気雰囲気の場合は熱処理温度を850~950℃の範囲内とするのが好ましい。その理由は、大気雰囲気である1気圧中では硫酸ニッケルの分解温度が840℃になるので、熱処理温度が850℃未満では硫酸ニッケルの熱分解が進行しにくくなって硫黄成分が残留し、硫黄含有量100質量ppm以下の酸化ニッケル微粉末が得られないことがあるからである。逆に熱処理温度が950℃を超えると、上記の低酸素分圧の非還元性雰囲気の場合と同様に、中間体粒子の熱分解により得られる酸化ニッケル粒子の焼結が進行しすぎ、この焼結した粒子の分離が次工程の解砕において困難となり、電子部品材料や電池材料の用途には適さない程度に小さな比表面積と大きなD50を有する粉末となるおそれがある。
(解砕工程)
解砕工程は、上記の熱処理工程の際に形成され得る酸化ニッケル粒子の焼結体を分離、破壊して酸化ニッケル微粉末を得る工程である。上記の熱処理工程では中間体粒子が熱分解されて酸化ニッケル粒子が形成されるが、その際、粒径の微細化が起こると共に、高温の影響で酸化ニッケル粒子同士の焼結がある程度進行する。この焼結体を破壊するため、解砕工程では焼成後の酸化ニッケル粉末に対して解砕処理を行い、粒子同士を衝突させたり、圧縮力やせん断力を加えたりすることにより所望の粒度を有する酸化ニッケル微粉末を得ている。
この解砕に用いる装置には特に限定はなく、一般的なものを用いることができる。例えば、ビーズミルやボールミル等の解砕メディアを用いた粉砕機でもよいし、ジェットミル等の解砕メディアを用いないで自身の流体エネルギーを利用した粉砕機でもよい。また、目的とする粒径のサイズによっては、マスコロイダー(登録商標)等の磨砕機を用いてもよい。上記の熱処理工程で生成される酸化ニッケルの焼結体は、通常は平均粒径0.3~0.6μm程度の一次粒子が凝集して焼結した二次粒子であり、例えば目標とする粉末の粒径が10~20μm程度でよい場合は磨砕機を用いることができ、一次粒子まで解砕することが求められる場合に粉砕機を用いればよい。
(酸化ニッケル微粉末の物性)
以上説明した一連の工程からなる製造方法により作製される酸化ニッケル微粉末は、制御された硫黄含有量を有すると共に、一次粒子まで解砕すれば、粒径が極めて小さく微細である。具体的には、上記した各工程の条件を適宜調整することで硫黄含有量を100質量ppm以下に、より好ましくは50質量ppm以下にすることができ、レーザー散乱法で測定したD50を0.6μm以下に、より好ましくは0.3~0.6μmに、更に好ましくは0.35~0.50μmにすることができる。
また、上記本発明の実施形態の製造方法により作製される酸化ニッケル微粉末は、比表面積を2m/g以上にすることができ、その上限は特に限定はないが、通常は上記で説明した製造方法にて得られる酸化ニッケル微粉末は6m/gが上限となる。この比表面積は、解砕条件等を適宜調整することで、より好適な範囲である3.0~6.0m/gに、特に好適な範囲である3.5~5.0m/gにすることができる。このように、本発明の実施形態の製造方法により作製される酸化ニッケル微粉末は、フェライト部品用の材料に代表される電子部品材料や、固体酸化物形燃料電池の電極用材料に代表される電池材料として特に好適である。なお、固体酸化物形燃料電池の電極用材料としては、硫黄含有量が100質量ppm以下であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によってなんら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例で用いた酸化ニッケル微粉末又はその中間体である水酸化ニッケル粒子の評価には下記(1)~(4)の方法を採用した。
(1)粒径及び粒度分布の測定には、粒子径測定装置(Microtrac 9320-X100、Microtrac Inc製)によるレーザー回折・散乱法を採用した。
(2)酸化ニッケル微粉末の比表面積の測定には、比表面積測定装置(NOVA 1000e、ユアサアイオニクス株式会社製)によるBET法を採用した。
(3)硫黄含有量の分析には、ICP発光分光分析法を採用した。
(4)昇温速度低下時間の評価は、評価対象の水酸化ニッケル粒子の加熱処理の際、該粉末に付着した水分が沸点に達するとその蒸発潜熱により炉内の熱が奪われるので、この水分が全て蒸発するまでの間の炉内の昇温速度が低下している時間(昇温速度低下時間)で評価した。
[実施例1]
撹拌機を備えた反応槽内で硫酸ニッケルの水溶液と水酸化ナトリウム水溶液とを混合して中和反応を行わせ、中間体粒子として水酸化ニッケルを晶析させた。中和反応の条件としては、反応槽内では反応液の液温を60℃にし、pHは8.5を中心としてその変動幅が絶対値で0.2以内となるように制御しながら連続晶析法にて中和反応を行なった(中和工程)。得られた中間体粒子を含むスラリーを、ヌッチェに載置した濾紙を用いて固液分離し、固形分側をレパルプ水洗してから、固液分離して水酸化ニッケル粒子のケーキを得た(洗浄工程)。得られた水酸化ニッケル粒子は、硫黄含有量が2質量%であった。
この水酸化ニッケル粒子のケーキ150gを卓上の押し出し成形機(貝印株式会社製ヘルシーミンサーDK-0580)に充填し、直径4.0mm長さ7.0~13.0mmの円柱状ペレットを成形した。このペレットのかさ密度は1.61g/cmであった。内径55mm、外径60mmの石英管内に、ハニカム孔を有する外径55mm、高さ15mmの円板(材質コージライト)を固定し、その円板上に上記ペレットの複数個を、合計質量で50gとなるように載置した。この時のペレットの装入高さは約50mmであった。
このペレットを装入した石英管を電気ヒーター式縦型管状炉の均熱帯範囲内にペレットの装入高さ50mmが全て納まるように設置した。石英管の下端より毎分1Lの空気気流を導入した雰囲気において、乾燥を目的として120℃まで一定熱量(1000W)で加熱を行った。更に焼成を目的として890℃まで毎分10℃の昇温速度で加熱した後、890℃を5時間維持することにより、酸化ニッケル粉末を得た(熱処理工程)。得られた酸化ニッケル粉末の硫黄含有量は、30質量ppmであった。なお、上記の乾燥及び焼成時の温度は、石英管に設けた温度計により測定した。
この酸化ニッケル粉末を乳鉢により解砕した後、卓上ジェットミルを用いて粉砕した(解砕工程)。得られた酸化ニッケル微粉末の一次粒子径は、上記粒度分布測定によるとD50が0.45μmであった。同じく、上記比表面積の測定によると粉砕後の比表面積は3.7m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は15分であった。
[実施例2]
焼成工程において、導入した気流を99.99容量%の窒素とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は10質量ppmであり、D50は0.47μmであり、比表面積は3.5m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は14分であった。
[実施例3]
焼成工程において、熱処理の温度を860℃とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は100質量ppmであり、D50は0.37μmであり、比表面積は4.9m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は16分であった。
[実施例4]
焼成工程において、導入した気流を99.99容量%の窒素とし、熱処理の温度を860℃とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は50質量ppmであり、D50は0.40μmであり、比表面積は4.6m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は15分であった。
[実施例5]
焼成工程において、熱処理の温度を920℃とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は10質量ppmであり、D50は0.48μmであり、比表面積は3.3m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は15分であった。
[実施例6]
焼成工程において、導入した気流を99.99容量%の窒素とし、熱処理の温度を920℃とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は<10質量ppm(測定下限未満)であり、D50は0.53μmであり、比表面積は3.0m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は14分であった。
[実施例7]
焼成工程において、導入した気流を酸素分圧0.5kPaの窒素-酸素混合ガスとし、熱処理の温度を800℃とした以外は実施例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は90質量ppmであり、D50は0.32μmであり、比表面積は5.3m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は15分であった。
[比較例1]
中和工程及び洗浄工程までは実施例1と同様にして、水酸化ニッケル粒子のケーキを得た。得られた水酸化ニッケル粒子の硫黄含有量は2質量%であった。この水酸化ニッケル粒子のケーキ50gを、内寸50mm×50mmアルミナ容器に厚さ約25mmになるまで充填し、電気式横型管状炉の均熱帯範囲内にこの容器が全て入るように設置した。石英管の一端より毎分1Lの空気気流を導入した雰囲気において、乾燥を目的として120℃まで一定熱量(1000W)で加熱を行った。更に焼成を目的として890℃まで毎分10℃の昇温速度で加熱した後、890℃を5時間維持することにより酸化ニッケル粉末を得た(熱処理工程)。得られた酸化ニッケル粉末中の硫黄含有量は70質量ppmであった。
この酸化ニッケル粉末を乳鉢により解砕した後、卓上ジェットミルを用いて粉砕した(解砕工程)。得られた酸化ニッケル微粉末の一次粒子径は、上記粒度分布測定によるとD50が0.44μmであった。同じく、上記比表面積の測定によると粉砕後の比表面積は3.8m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は25分であった。
[比較例2]
焼成工程において、熱処理の温度を860℃とした以外は比較例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は160質量ppmであり、D50は0.35μmであり、比表面積は5.1m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は27分であった。
[比較例3]
焼成工程において、熱処理の温度を920℃とした以外は比較例1と同様にして酸化ニッケル微粉末を作製した。得られた酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は30質量ppmであり、D50は0.50μmであり、比表面積は3.1m/gであった。また120℃まで一定熱量で加熱を行った際の定率乾燥における昇温速度低下時間は26分であった。これらの結果を表1にまとめて示す。
Figure 0007098919000001
水酸化ニッケル粒子のケーキをペレット化してから熱処理を行った実施例1~7は、水酸化ニッケル粒子のケーキをそのまま容器に充填して熱処理を行った比較例1~3よりも定率乾燥における昇温速度低下時間が短縮していることが分かる。また、ペレット成形の有無が異なる実施例1と比較例1、実施例3と比較例2、実施例5と比較例3を比較すると、いずれも酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量は実施例の方が低下しており、ペレット成形してから熱処理することにより硫酸ニッケルの分解が促進されていることも分かる。

Claims (6)

  1. 硫酸ニッケル水溶液とナトリウムを含む塩基性溶液との中和反応により中間体粒子を晶析させた後、固液分離を行って該中間体粒子を含むケーキを得る中和工程と、前記ケーキをペレット化することで得たかさ密度1.5~2.0g/cmの成形体を、該成形体は通過できないが雰囲気ガスは流通可能な大きさを有する開口部を複数設けた容器に収容するか該開口部を複数設けた板上に載置し、大気雰囲気ガス下又は酸素分圧1kPa以下の非還元性雰囲気下で乾燥及び焼成して酸化ニッケル粉末を生成する熱処理工程と、前記熱処理工程の際に形成され得る酸化ニッケル粉末の焼結体を解砕して酸化ニッケル微粉末を得る解砕工程とを含む酸化ニッケル微粉末の製造方法であって、
    前記熱処理工程では、前記大気雰囲気の場合は850~950℃の熱処理温度で焼成を行い、前記非還元性雰囲気の場合は750~950℃の熱処理温度で焼成を行うことを特徴とする酸化ニッケル微粉末の製造方法。
  2. 前記熱処理工程において、空気、窒素、二酸化炭素、水蒸気、アルゴン、及びヘリウムから選ばれる少なくとも1種を主成分とするガスを前記雰囲気ガスとして導入することを特徴とする、請求項1に記載の酸化ニッケル粉末の製造方法。
  3. 前記熱処理工程の前に、前記中和工程で得た前記中間体粒子を含むケーキを洗浄する洗浄工程を有することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の酸化ニッケル微粉末の製造方法。
  4. 前記ナトリウムを含む塩基性溶液が、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び硝酸ナトリウムのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化ニッケル微粉末の製造方法。
  5. 前記中間体粒子が、一次粒子の凝集した二次粒子の形態を有していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化ニッケル微粉末の製造方法。
  6. 前記解砕工程で得た酸化ニッケル微粉末の硫黄含有量が100質量ppm以下であり、平均粒径D50が0.3~0.6μmであり、比表面積が2~6m/gであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化ニッケル微粉末の製造方法。
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