JP2009024197A - ニッケル粉の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉を焙焼して酸化ニッケル粉とし、得られた酸化ニッケル粉を還元するニッケル粉の製造方法において、水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して水酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉とし、さらに得られた酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素を流すとともに300〜500℃の温度で還元してニッケル粉とすることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
すなわち、誘電体のグリーンシートにニッケル粉と有機溶剤を種々の添加剤とともに混練して製造したニッケルペーストを印刷し、乾燥させる。次いで、これを所望数積層し、熱圧着した後にチップ形状に切断し、切断後、300℃程度の温度で脱バインダーを行った後、内部電極と誘電体グリーンシートを千数百度の温度で焼結し、ニッケルなどによる外部電極を形成する。
例えば、特許文献1では、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法による平均粒径が0.2〜0.6μmであり、かつ平均粒径の2.5倍以上の粒径をもつ粗粒子の存在率が個数基準で0.1%以下としたニッケル粉が提案されている。また、特許文献2においては、平均粒径が0.1〜1.0μmのニッケル粉であって、粒径2μm以上のニッケル粉の含有率が個数基準で700/100万以下であるニッケル粉が、塩化ニッケル蒸気の気相水素還元法等で得たニッケル粉を液体サイクロン等で分級することで得られることが開示されている。さらに、特許文献3においては、レーザ回折散乱式粒度分布測定による平均粒径の1.5倍以上の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の20%以下であり、平均粒子径の0.5倍以下の粒子径を持つ粒子個数が全粒子個数の5%以下であり、SEM観察による平均一次粒子径が0.1〜2μmであるニッケル粉が提案されている。このニッケル粉は、ニッケル塩を原料として水溶液中で還元処理する湿式法等により得られた凝集体を含むニッケル粉を原粉として用いて解粒処理によって得られるものである。
本発明は、前記した従来の実状に鑑みてなされたもので、微細で均一な粒径を持ったニッケル粉を大量に低コストで製造する方法を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明に係るニッケル粉の製造方法は、アルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉を焙焼して酸化ニッケル粉とし、得られた酸化ニッケル粉を還元するニッケル粉の製造方法において、水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して水酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉とし、さらに得られた酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素を流すとともに300〜500℃の温度で還元してニッケル粉とすることを特徴とするものである。
記
0.5≦(室温〜400℃の減量(質量%))/(室温〜800℃の減量(質量%))≦1
本発明において、水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して得られた水酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉とし、さらに得られた酸化ニッケル粉を当該酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素を流すとともに300〜500℃の温度で還元してニッケル粉とするのは、以下に記載する理由による。
まず、アルカリ土類金属を含む水酸化ニッケル粉を水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して酸化ニッケル粉を得るのは、焙焼時に流す空気量が、水酸化ニッケル1gに対して0.02リットル/分未満であると、水酸化ニッケルの酸化ニッケルへの分解が徐々に進むために、酸化ニッケルの結晶が成長し、他方、500℃を超える温度で焙焼すると、焙焼中に焼結が進み粗大な酸化ニッケル粉となってしまう。
このようにして得られた酸化ニッケルは、結晶が成長しているか粗大な粒径となっているため、還元するためには高温で、かつ長時間還元させる必要が生じてしまう。高温で、かつ長時間の還元を行なった場合には、ニッケル粉の粒成長が進み、粗大で粒径が不均一なものとなってしまう。
焙焼時に流す空気量が、水酸化ニッケル1gに対して0.4リットル/分を超えても均一微細なニッケル粉を得る効果は得られるが、その効果に更なる改善はなく、コスト増となるのみである。また、多量の空気を流すと微細な酸化ニッケル粉が飛散して歩留も低下する。一方、焙焼温度が250℃未満では、焙焼に長時間要するのみならず水酸化ニッケルから酸化ニッケルへの転換が十分に進まず還元時に還元が不均一に進むためニッケル粉の粒成長が起こる。
焙焼時間は特に限定されるものではなく、焙焼時に流す空気量、焙焼温度、投入する水酸化ニッケル粉の量により、全ての水酸化ニッケルが酸化ニッケルに転換されるのに必要な時間とすればよい。このとき、結晶性を低くするため、焙焼時間は、可能な限り短時間とすることが好ましい。
また、還元温度を300〜500℃と限定したのは、還元温度が500℃を超えると、還元されたニッケル粉が還元中に焼結し、結果として所望の粒径を精度良く得ることができず、他方、300℃未満の温度では、酸化ニッケルからニッケルへの還元が進みにくく、還元に長時間が必要となりニッケル粉の凝集が進んでしまうためである。
なお、還元時間は特に限定されるものではなく、還元時に流す水素量、還元温度、投入する酸化ニッケル粉の量により、全ての酸化ニッケルがニッケルに還元されるのに必要な時間とすればよく、所望の粒径が得られるように時間を制御することが好ましい。また、焙焼および還元に用いる設備は、雰囲気を制御できれば特に制限はなく、例えば、バッチ式雰囲気炉、バッチ式ロータリーキルン、連続式ローラーハースキルン、連続式プッシャー炉、連続式ロータリーキルンなどを用いることができる。
なお、熱減量比を測定する場合の還元雰囲気は特に限定されるものではなく、例えば、2容量%水素−窒素混合ガスなどの還元ガスと不活性ガスとの混合ガスが用いられる。また、測定に用いられる装置も通常に用いられる熱分析装置でよく、測定条件も通常の測定で推奨される条件でよい。
[実施例]
(1)粒径:走査型電子顕微鏡(JSM−5510、日本電子製)で10,000倍の写真を撮影し、写真一視野で確認できる全ての粒子の粒径を測定して統計処理した。評価項目は、篩下10%相当径(D10)、篩下50%相当径(D50:平均径)、篩下90%相当径(D90)とした。
(2)熱減量比:熱分析装置(TG−DTA2000SA、MAC製)を用い、2容量%水素−窒素混合ガス雰囲気中において10℃/分の昇温速度で室温からの800℃までの熱重量変化を測定し、(400℃までの減量(質量%))/(800℃までの減量(質量%))の計算を行って求めた。
得られた水酸化ニッケルを解砕した後、バッチ式雰囲気炉(管状炉、入江製作所製)を用いて乾燥水酸化ニッケル粉1gあたり空気流量を0.2リットル/分とし、450℃で6時間保持して焙焼して酸化ニッケル粉を得た。
得られた酸化ニッケル粉について熱分析装置により熱減量比を求めた。さらに、酸化ニッケル粉を、酸化ニッケル粉1gあたり0.1リットル/分の水素ガスと同量の窒素ガスを混合して流したバッチ式雰囲気炉中に450℃で1時間保持してニッケル粉を得た。得られたニッケル粉を#100の篩にかけ、そのニッケル粉の粒径を走査型電子顕微鏡(以下、SEM)により測定した。
水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果をまとめて表1に示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
本実施例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
得られたニッケル粉を#100の篩にかけ、そのニッケル粉の粒径を走査型電子顕微鏡(以下、SEM)により測定した。水酸化ニッケル中のMg添加量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例2]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例3]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例4]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例5]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例6]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
[比較例7]
本比較例における水酸化ニッケル中のMg含有量、焙焼条件および還元条件、熱減量比、粒径測定結果を表1に併せて示す。
Claims (4)
- アルカリ土類金属を0.002〜1質量%含む水酸化ニッケル粉を焙焼して酸化ニッケル粉とし、得られた酸化ニッケル粉を還元するニッケル粉の製造方法において、水酸化ニッケル1gに対して0.02〜0.4リットル/分の空気を流すとともに250〜500℃の温度で焙焼して得られた水酸化ニッケル粉を酸化ニッケル粉とし、さらに得られた酸化ニッケル粉を当該酸化ニッケル粉1gに対して0.01〜0.2リットル/分の水素を流すとともに300〜500℃の温度で還元してニッケル粉とすることを特徴とするニッケル粉の製造方法。
- 焙焼によって得られる酸化ニッケルの、還元雰囲気中で加熱したときの質量減少が下記条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載のニッケル粉の製造方法。
記
0.5≦(室温〜400℃の減量(質量%))/(室温〜800℃の減量(質量%))≦1 - 水酸化ニッケル粉に含有されるアルカリ土類金属がマグネシウムであることを特徴とする請求項1または2に記載のニッケル粉の製造方法。
- 得られるニッケル粉の平均粒径が0.2〜0.4μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のニッケル粉の製造方法。
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