JP6035829B2 - テンションレベラー - Google Patents
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Description
そして、例えば特許文献3に記載のテンションレベラーでは、ワークロール表面を、ロール中心線粗さ(Ra)が1.0μm以上10μm未満の粗面とすることで、スケールブレーキング能力を高める。これによって、酸洗所要時間を短縮することが提案されている。
しかしながら、表面粗さRaは基準長さにおける中心線からの偏差の平均値を表す指標であり、凹凸の間隔に着目したものではない。そのためRaでワークロール表面を管理する場合には、スケールブレーキング能力を得ることは出来るとしても、剥離したスケールの逃げ場がなくなって、剥離したスケールがワークロールに付着し、さらにワークロールから上記付着したスケールが再度鋼板に押し込まれる。つまり剥離したスケールが鋼板表面に転写されることによってスケール性欠陥を発生する懸念がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、ワークロールから鋼板へのスケールの押込による転写を抑制することを目的とする。
(構成)
図1は、本実施形態の脱スケール装置であるテンションレベラーを適用した酸洗ライン設備の一例を示す図である。
本実施形態の酸洗ライン設備は、図1に示すように、酸洗ライン入側から入側ルーパー1、デフレクタロール2、第1ブライドルロール3、テンションレベラー4、第2ブライドルロール5、酸洗槽6(塩酸タンク)が配置されて構成されている。そして、熱間圧延設備(不図示)からの搬送や熱間圧延後のホットコイル(不図示)からの巻戻しなどによって、熱延鋼板10は連続して搬送され、その搬送されてきた熱延鋼板10は、入側ルーパー1で速度調整などの搬送調整が行われ、続いて、熱延鋼板10は、ブライドルロール3,5によって長手方向に張力が付与された状態で、テンションレベラー4によってスケール剥離が実施され、その後に、酸洗槽6に送られて酸洗処理が行われる。
本実施形態のワークロール11について説明する。
上記ワークロール11は、直径が70〜90mmのロールである。そのワークロール11の表面はダル加工によって粗面に成形されている。
本実施形態のワークロール11の表面粗さは、PPIと呼ばれる指標で管理する。PPIとは線長1インチ当たりの凸数を表わす指標であり、SAEJ911(1998)に従い基準長さにおける中心線からの偏差が境界値(通常は1.25μm)を超える凸の数を計測することにより求めている。すなわち、本実施形態ではロール表面を、周方向及び軸方向に、線長1インチ当たりの高さが1.25μmを越える凸の数密度が200以上650以下の範囲の粗面となるように加工してある。図3に、凸11aが形成されたワークロール11の模式図を示す。ワークロール11の表面は、周方向及び軸方向に向けてそれぞれ波打ち形状となることで上記凸11aが形成されている。
このような粗面の加工は、例えば放電ダル加工によって実施すればよい。放電ダル加工によってPPIを上記範囲に管理する条件の一例を、表1に示す。
上記PPIの最大を650としたのは、剥離スケールSの大きさは粒径30μm程度と想定されるので、PPIが650を越えると、凸のピッチ間に剥離スケールSを捕捉する効果が小さくなると考えられ、最大値650は剥離スケールS(粒径30μm程度)を凸のピッチ間に捕捉することが可能となる最大凸数密度(最小凸間隔)と想定されたためである。
またPPIを200未満とした場合、凸のピッチ間に剥離スケールSを捕捉する効果が小さくなると考えられ、最小値200は本発明が効果を発揮しうる最大凸間隔と想定されたためである。また、後述のように、凸数密度が200以上650以下で発明の効果を奏したので、この範囲に規定した。
次に、バックアップロール12について説明する。
バックアップロール12は、図4に示すように、軸方向に沿って複数のロールに分割された構造となっていて、隣り合う分割ロール12A間に溝12Bが形成されている。なお、ワークロール11の凸間の凹部に捕捉された剥離スケールSは、その一部がバックアップロール12に転写されるが、主として分割ロール12A間の溝12Bに堆積し易い。
また、スプレー装置13〜15は、上記各ワークロール11及びバックアップロール12に向けて水を噴射する装置である。各スプレー装置13〜15は図4及び図5に示すように、水が供給されるノズルヘッダ13a〜15a、及びそのノズルヘッダ13a〜15aに接続した複数列のスプレーノズル13b〜15bから構成されている。水の供給は、水が貯留しているタンク(不図示)からポンプ(不図示)によってノズルヘッダ13a〜15aに向けて圧送することで実現する。
テンションレベラー4位置まで搬送されてきた熱延鋼板10は、ブライドルロール3,5で長手方向に張力が負荷された状態で、テンションレベラー4のワークロール11で押圧されることで鋼板10に曲げ変形を与える。これによって、鋼板10の表面のスケールにクラックが入って、スケールが剥離する。
剥離されたスケールSは、ロールバイトに向けて噴射された水によって鋼板10の外に向けて排除されるか、図3のように、主としてワークロール11の表面の凸11a間の凹部に捕捉される。
ここで、上記凸がない場合には、図6のように、剥離スケールSは、ロールバイト位置で、ワークロールの押圧力によって鋼板10の表面に噛み込まれて、スケール押込性欠陥の原因となる。
バックアップロール12に転写された剥離スケールSは、スプレーノズル15bから噴射される水によってバックアップロール12から除去される。分割ロール12A間に剥離スケールSは堆積し易いが、必ずその溝12Bに向けて水を噴射することで、その溝12B内の剥離スケールSも排除し易くなっている。
一方、ワークロール11から除去されずにロールバイト位置まで移動する剥離スケールSがロールバイト内に侵入しても、大部分の剥離スケールSは、凸11a間の凹部すなわちダル目位置に捕捉されているため、当該剥離スケールSの鋼板10の表面への押込が抑制される。この結果、酸洗処理後に残るスケール押込性欠陥が低減する。
本実施形態は、次の効果を奏する。
(1)テンションレベラー4を構成するワークロール11の表面は、周方向及び軸方向に、線長1インチ当たりの凸数密度が200以上650以下の粗面となっている。
この構成によれば、剥離スケールSは、主として凸11a間の凹部つまりダル目に捕捉されるので、捕捉された剥離スケールSが次にロールバイト内に侵入しても、鋼板10の表面への押込が抑制される。この結果、スケール押込性欠陥の発生量を低減することが可能となる。
吹き付ける水量を上記範囲に設定することで、(1)の効果との相乗効果によって、更にスケール押込み性欠陥を低減することが可能となる。
この実施例では、上記実施形態の構成と同等の構成において、ワークロール11の凸数密度を100〜800の間で変更すると共に、各スプレーノズルからの水量も順次変更して実施した。そして、それぞれについてスケール性欠陥について評価した。ここでは、欠陥混入率によって評価した。その評価結果を図8に示す。
ここで、欠陥混入率は、下記式で表される、スケール押込性欠陥の増減を示す指標値である。
欠陥混入率 =欠陥混入個数/コイル長(m)×100 [%] ・・・(1)
図8から分かるように、PPIが200未満及び650より大きい領域では欠陥混入率が0.45%超となっている。一方、本発明に基づきPPIが200以上650以下の領域では欠陥混入率が低位で安定している。
ここで、従来一般に使用されているワークロール11のPPIについて測定したところ、PPI=100のワークロール11であった。この従来例は、図8から明らかなように、欠陥混入率は高い。しかし、本発明の場合、スケール性欠陥混入率は大幅に低減することができることが明らかとなった。
6 酸洗槽
10 熱延鋼板
11 ワークロール
11a 凸
12 バックアップロール
12A 分割ロール
12B 溝
13−15 スプレー装置
13a−15a ノズルヘッダ
13b−15b スプレーノズル
S 剥離スケール
Claims (1)
- 熱延鋼板に曲げ変形を付与して鋼板表面からスケールを剥離するワークロールを備えたテンションレベラーであって、
上記ワークロールは、直径が70〜90mmのロールであり、
上記ワークロールの表面は、周方向及び軸方向に、線長1インチ当たりの高さが1.25μmを越える凸数密度(PPI)が200以上650以下であり、
上記ワークロールに押圧力を付加するバックアップロールと、上記ワークロール及びバックアップロールに向けて水を噴射する複数のノズルとを備え、
上記各ノズルから噴射する水の噴射量を、0.06[m 3 /hr]以上、0.4[m 3 /hr]以下の範囲に設定することを特徴とするテンションレベラー。
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