JP6575584B2 - 金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法 - Google Patents

金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法に関する。
従来、冷間圧延機による圧延処理後の鋼板に付着した油分を、連続焼鈍ラインに設けられた洗浄設備の洗浄浴中のアルカリ洗浄液により除去する金属板表面付着油分除去方法が知られている。
特許文献1に記載された鋼板の洗浄工程においては、圧延工程で圧延機により圧延された鋼板を、洗浄浴中のアルカリ洗浄液に接触させながら搬送することで、鋼板の表面に付着した油分を除去している。また、アルカリ洗浄液中において、鋼板の表面に付着した油分と、アルカリ剤とが反応することで生じる脂肪酸石鹸の濃度が高くなると、アルカリ洗浄液の発泡が多くなって操業が困難となる。そのため、特許文献1に記載された前記洗浄工程では、アルコールなどの抑泡成分を添加したアルカリ洗浄液を用いることで、アルカリ洗浄液の発泡を低減させている。
特開2012−201918号公報
しかしながら、アルコールなどの抑泡成分が添加されたアルカリ洗浄液を用いることで、洗浄性の低下やコスト増大を招いてしまうといった問題が生じる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法を提供することである。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る金属板表面付着油分除去方法は、油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体噴射手段から気体を噴射して、該金属板表面から該油分を払拭することを特徴とするものである。
また、本発明に係る金属板表面付着油分除去方法は、上記の発明において、金属板幅方向に前記気体噴射手段が複数並んで配置されており、前記気体噴射手段は、気体を噴射するためのノズル孔が複数並んで配置されたノズル孔列を有し、ノズル孔列方向で気体の流量分布が均等となっており、前記気体噴射手段から気体を噴射する際の圧力が0.35[MPa]以上であり、前記気体噴射手段から前記金属板表面までの気体の噴射距離が200[mm]以上300[mm]以下であり、前記金属板表面に対する前記気体噴射手段からの気体の噴射角度が、金属板進行方向下流側から金属板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下であり、複数の前記気体噴射手段のうちの金属板幅方向中央に設けられていない少なくとも一部の該気体噴射手段における前記ノズル孔列は、金属板幅方向内側が金属板幅方向外側よりも金属板進行方向上流側に位置するように、金属板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾いていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る金属板表面付着油分除去装置は、油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体を噴射して、該金属板表面から該油分を払拭する気体噴射手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明に係る金属板表面付着油分除去装置は、上記の発明において、金属板幅方向に前記気体噴射手段が複数並んで配置されており、前記気体噴射手段は、気体を噴射するためのノズル孔が複数並んで配置されたノズル孔列を有し、ノズル孔列方向で気体の流量分布が均等となっており、前記気体噴射手段から気体を噴射する際の圧力が0.35[MPa]以上であり、前記気体噴射手段から前記金属板表面までの気体の噴射距離が200[mm]以上300[mm]以下であり、前記金属板表面に対する前記気体噴射手段からの気体の噴射角度が、金属板進行方向下流側から金属板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下であり、複数の前記気体噴射手段のうちの金属板幅方向中央に設けられていない少なくとも一部の該気体噴射手段における前記ノズル孔列は、金属板幅方向内側が金属板幅方向外側よりも金属板進行方向上流側に位置するように、金属板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾いていることを特徴とするものである。
また、本発明に係る金属板の製造方法は、圧延油を使用して圧延する工程、油分を除去する工程、洗浄する工程、焼鈍する工程を含む金属板の製造方法であって、前記油分を除去する工程として、油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体噴射手段から気体を噴射して、該金属表面から該油分を払拭することを特徴とするものである。
本発明に係る金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法は、金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体噴射手段から気体を噴射して、金属板表面から油分を払拭することで、金属板表面に付着した油分を低減させることができるという効果を奏する。
図1は、実施形態に係るタンデム冷間圧延設備の出側の構成を示した図である。 図2は、実施形態に係る連続焼鈍ラインの構成を示す概略図である。 図3は、実施形態に係るタンデム冷間圧延設備で用いられるエアーパージの模式図である。 図4は、実施形態に係るエアーパージにおけるスプレーパターン及び流量分布についての説明図である。 図5は、鋼板表面に対するエアーパージの噴射距離及び噴射角度についての説明図である。 図6は、鋼板幅方向に対するエアーパージのノズル孔列の傾斜角度についての説明図である。 図7は、比較例に係る気体噴射手段であるエアーパージの模式図である。 図8は、比較例に係るエアーパージにおけるスプレーパターン及び流量分布についての説明図である。 図9は、比較例における鋼板表面に対するエアーパージの噴射距離及び噴射角度についての説明図である。 図10は、鋼板幅方向に対するエアーパージのノズル孔の傾斜角度についての説明図である。 図11は、実施形態に係るエアーパージにおける噴射距離、スプレーパターンの幅及び厚みについての説明図である。 図12は、比較例に係るエアーパージにおける噴射距離、スプレーパターンの幅及び厚みについての説明図である。 図13は、タンデム冷間圧延設備のライン速度と、エアーパージからエアーを吹き付けた後の鋼板表面付着油分量との関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る金属板表面付着油分除去方法、金属板表面付着油分除去装置及び金属板の製造方法の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、実施形態に係るタンデム冷間圧延設備1の出側の構成を示した図である。実施形態に係るタンデム冷間圧延設備1は、被圧延材である鋼板の入側から順に第1スタンド〜第5スタンドの圧延機を有しており、図1においては、タンデム冷間圧延設備1の出側である第5スタンド以降の構成を示している。
図1に示すように、第5スタンドの圧延機5は、鋼板2を圧延する上下一対のワークロール51a,51bと、上下一対のワークロール51a,51bをバックアップする上下一対のバックアップロール52a,52bとを備えており、上下一対のワークロール51a,51b間に鋼板2を搬送することで、鋼板2を目的の厚さに圧延する。また、ワークロール51a,51bには、不図示の潤滑油供給ノズルから潤滑油が供給されており、この潤滑油によってワークロール51a,51bと鋼板2との間での潤滑性を高めている。また、タンデム冷間圧延設備1の出側における他の構成としては、第5スタンドの圧延機5よりも鋼板進行方向下流側で、不図示のエアーポンプから供給された高圧エアーによって鋼板表面に付着した油分を吹き飛ばして払拭し除去する気体噴射手段であるエアーパージ21を備えた鋼板表面付着油分除去装置200や、圧延された鋼板2を所定長さに走間で切断するための切断機30や、圧延された鋼板2をコイル状に巻き取るテンションリール41,42などを備えている。
図2は、実施形態に係る連続焼鈍ライン100の構成を示す概略図である。図2に示される連続焼鈍ライン100は、ペイオフリール101a,101b、溶接機102、洗浄設備103、テンションレベラ104、入側ルーパ105、焼鈍炉106、ウォータークエンチ設備107、出側ルーパ108、調圧ミル109、トリマー110、オイラー111、シャー112、及び、テンションリール113a,113bなどを備えている。
ペイオフリール101a,101bは、連続焼鈍ライン100に通板する鋼板2をコイル状に巻いたものである。このペイオフリール101a,101bを巻き戻すことにより、連続焼鈍ライン100に通板する鋼板2が連続焼鈍ライン100に順次送出される。また、連続焼鈍ライン100に通板する鋼板2は、先行の鋼板2の後端と後行の鋼板2の先端とを後段の溶接機102が溶接することにより、連結して連続焼鈍ライン100に通板される。
洗浄設備103では、鋼板2が洗浄剤中等を高速通板することにより、鋼板2に付着した油脂等が取り除かれる。その後、鋼板2は、テンションレベラ104により歪みを矯正して、入側ルーパ105に搬入される。
入側ルーパ105は、後段の焼鈍処理のために、鋼板2の張力を保ちながら鋼板2を一時待機させるためのものである。入側ルーパ105によってタイミング調整された鋼板2は、焼鈍炉106に搬入される。
焼鈍炉106は、加熱炉106a、均熱炉106b及び冷却炉106cを備えており、加熱炉106a、均熱炉106b及び冷却炉106cに鋼板2を順次通板することによって、鋼板2を適切に焼鈍処理する。焼鈍後の鋼板2は、ウォータークエンチ設備107を経由して、出側ルーパ108に搬入される。出側ルーパ108は、後段の後処理のために、鋼板2の張力を保ちながら鋼板2を一時待機させるためのものである。
調圧ミル109は、出側ルーパ108から送出された鋼板2を調質圧延するための設備である。調質圧延された鋼板2は、トリマー110やオイラー111やシャー112で構成される後処理部を経由して、テンションリール113a,113bに巻き取られる。トリマー110は、鋼板2から不要部分を切断する。オイラー111は、鋼板2にオイルを塗る。シャー112は、検査プロセスで検出された不良部を切断する。
ここで、特に0.2[mm]以下の板厚が求められる、ぶりき系品種などの冷間圧延機においては、能率を確保するために2000[mpm]以上の速度で鋼板2を移動させて圧延処理を行うことが求められる。また、ぶりき系品種のゲージダウン化や高強度化も年々進んでおり、ぶりき系品種を製造する冷間圧延機は、より高い潤滑性を求められる環境にある。これに対応するため、圧延油組成や潤滑スプレー噴射方法などで、より効率的な潤滑条件が見出されてきており、冷間圧延後の鋼板表面に付着している油分は増加してきている。
一方で、冷間圧延後の連続焼鈍ラインにおいても、ゲージダウン化が進む中で、より高速な操業(入側速度800[mpm]以上)が求められている。連続焼鈍ラインにおいて、焼鈍炉前の洗浄(脱脂)設備では、洗浄浴中のアルカリ洗浄液に鋼板2を接触させることで鋼板2の汚れを除去するが、アルカリ洗浄液中に鋼板2に付着した油分等の汚れが蓄積されて洗浄性が低下する。このため、上述のように高速な操業で洗浄設備により鋼板2の洗浄を行った場合や、鋼板2の表面に付着した油分が多い場合には、一般的な条件で洗浄を行った場合に比較して、アルカリ洗浄液に蓄積する汚れの量が多くなる。
この汚れは、アルカリ洗浄液中において、鋼板2の表面に付着した油分と、アルカリ剤である水酸化ナトリウムなどとが反応することによって、脂肪酸石鹸を生じる。この脂肪酸石鹸の濃度が高くなると、洗浄浴で発泡が多くなり操業ができなくなるため、低速で操業を行ったり、アルカリ洗浄液を交換したりして、アルカリ洗浄液中における脂肪酸石鹸の濃度を低下させなければならなかった。また、ゲージダウン化や高強度化が進む中で、冷間圧延での能率・品質確保が必要であり、冷間圧延時の圧延油流量や濃度等の制御による鋼板付着油分低減といった対策は取ることができない。
そこで、本実施形態においては、タンデム冷間圧延設備の出側である、第5スタンドの圧延機5よりも鋼板進行方向下流側における鋼板おもて面(上面)側の二カ所と鋼板うら面(下面)側の一カ所それぞれに、鋼板進行方向と直交する方向である鋼板幅方向にわたって9個のエアーパージ21を並べて配置している。そして、各エアーパージ21から噴射したエアーを鋼板表面に吹き付けることにより、鋼板表面に付着した油分を吹き飛ばして払拭する。
図3は、実施形態に係るタンデム冷間圧延設備1で用いられるエアーパージ21の模式図である。図4は、実施形態に係るエアーパージ21におけるスプレーパターンP及び流量分布についての説明図である。図5は、鋼板表面に対するエアーパージ21の噴射距離L1及び噴射角度θ11についての説明図である。
実施形態に係るタンデム冷間圧延設備1においては、図3に示すような、ノズル面21aに複数のノズル孔21bが一列に並んで形成された、幅広多孔型のエアーパージ21を用いており、図4に示すように、ノズル孔列方向に均一なスプレーパターンPや流量分布を得ることができる。また、図5に示すように、鋼板表面に対して鋼板進行方向上流側に向けてエアーを噴射するように、エアーパージ21を傾けて配置している。そして、本実施形態においては、鋼板表面での風速が40[m/s]以上となるように、高圧エアーを鋼板表面に吹き付けることで、鋼板表面に付着した油分を吹き飛ばし払拭する。これにより、タンデム冷間圧延設備1による圧延処理で潤滑油の量を減らして潤滑性を低下させることなく、洗浄設備103に持ち込まれる油分を低減させることができる。
本願では、鋼板表面での風速が40[m/s]以上となれば、その方法は特に限定するものではないが、本実施形態においては、図5に示すように、エアーパージ軸線方向におけるエアーパージ21から鋼板表面までのエアーの噴射距離Lが300[mm]で、エアーパージ21から圧力0.40[MPa]の高圧エアーを噴射することにより、47[m/s]の風速が鋼板表面で得られた。なお、鋼板表面での風速は、例えば、エアーパージ21から前記噴射距離Lと同等の距離だけ離れた位置に位置させた風速計で、エアーパージ21から噴射されたエアーの風速を測定すればよい。
ここで、エアーパージ21と鋼板表面との間の距離が近すぎると、鋼板2が破断したときにエアーパージ21と鋼板2とが接触するリスクが高まってしまう。また、鋼板表面から吹き飛ばされた油分を排出するスペースが不足し、油分の再付着が懸念される。一方、エアーパージ21と鋼板表面との距離が遠すぎると、鋼板表面の油分を吹き飛ばすために、エアーパージ21からエアーを噴射する際の圧力を高くする必要があり、高コスト化を招いてしまう。そのため、エアーパージ21から鋼板表面までのエアーの噴射距離Lとしては、200[mm]以上300[mm]以下とするのが好ましい。噴射距離を200[mm]以上とすることで、鋼板破断時の鋼板2とエアーパージ21との接触リスクを下げることが可能となり、油分の再付着も防止できる。また、噴射距離を300[mm]以下とすることで、鋼板表面での風速が40[m/s]以上となるように、エアーパージ21からエアーを噴射するときの圧力が高くなり過ぎないようにして高コスト化を抑制しつつ、鋼板表面の油分を吹き飛ばすために十分な、鋼板表面でのエアーの圧力をより確実に確保することが可能となる。
また、図5に示した、鋼板表面に対するエアーパージ21からのエアーの噴射角度θ11は、鋼板進行方向下流側から鋼板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下とするのが好ましく、本実施形態においては噴射角度θ11を70[°]としている。これにより、鋼板2との相対速度を得て鋼板表面に付着した油分を吹き飛ばしやすくすることができる。また、後述のノズル孔列の傾斜角度θ21と合わせて噴射角度θ11を設けることで、垂直に噴射した場合よりも吹き飛ばした油分を鋼板表面外へ排出する気流を得ることができる。これにより、油分の再付着を防止できる。
図6は、鋼板幅方向に対するエアーパージ21のノズル孔列の傾斜角度θ21についての説明図である。鋼板幅方向に並んで配置された9個のエアーパージ21のうち、鋼板幅方向中央に設けた一つのエアーパージ21以外の他のエアーパージ21それぞれは、ノズル孔列の鋼板幅方向内側が鋼板幅方向外側よりも鋼板進行方向下流側に位置するように、ノズル孔列を鋼板幅方向に対して傾けるようにして配置されている。これにより、前記他のエアーパージ21それぞれから鋼板表面上に、エアーが鋼板幅方向外側に噴射されるので、鋼板表面に付着した油分を鋼板幅方向外側に向けて吹き飛ばすことができる。よって、鋼板表面から吹き飛ばされた油分が、鋼板表面に再付着するのを抑制することができる。また、前記他のエアーパージ21それぞれのノズル孔列は、鋼板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾けるのが好ましく、本実施形態においては傾斜角度θ21を30[°]としている。これにより、鋼板表面に付着した油分を鋼板幅方向外側に吹き飛ばすと共に、鋼板2との相対速度を得て鋼板表面に付着した油分をさらに飛ばしやすくすることができる。
なお、図6に示すスプレーパターンPの長手方向と、ノズル孔列方向とは同一方向であるため、鋼板幅方向に対して傾斜角度θ21が30[°]となるようにエアーパージ21のノズル孔列を傾けることで、鋼板幅方向に対してスプレーパターンPの長手方向も傾斜角度θ21と同じく30[°]の傾斜角度で傾くことになる。
また、板厚が0.2[mm]以下などの板厚が薄い鋼板2ほど、鋼板表面に対してエアーパージ21からエアーを噴射することで、風圧により鋼板2が波打ってしまうおそれがある。そのため、鋼板表面に対するエアーパージ21からの気体噴射位置としては、鋼板2のローラに支持されている部分またはその近傍に位置させるのが好ましい。これにより、エアーパージ21から噴射されたエアーの風圧によって鋼板2が波打つのを抑制することができる。
図7は、比較例に係る気体噴射手段であるエアーパージ22の模式図である。図8は、比較例に係るエアーパージ22におけるスプレーパターンP及び流量分布についての説明図である。図9は、比較例における鋼板表面に対するエアーパージ22の噴射距離L及び噴射角度θ12についての説明図である。
比較例に係るエアーパージ22においては、図7に示すように、ノズル面22aの中央にノズル孔22bが一つだけ形成されており、図8に示すように、ノズル孔長手方向で扇状に広がったスプレーパターンPや流量分布が得られる。また、図9に示すように、比較例に係るエアーパージ22は、鋼板表面に対して傾けて配置されており、噴射角度θ12を85[°]としている。なお、比較例に係るエアーパージ22から鋼板表面までのエアーの噴射距離Lは300[mm]である。
図10は、鋼板幅方向に対するエアーパージ22のノズル孔22bの傾斜角度θ22についての説明図である。比較例に係るエアーパージ22は、鋼板幅方向に並んで9個配置されており、鋼板幅方向中央に設けた一つのエアーパージ22以外の他のエアーパージ22それぞれは、ノズル孔22bの鋼板幅方向内側が鋼板幅方向外側よりも鋼板進行方向下流側に位置するように、ノズル孔22bを鋼板幅方向に対して傾けるようにして配置されており、その傾斜角度θ22を30[°]としている。なお、図10に示すスプレーパターンPの長手方向と、ノズル孔22bのノズル孔幅方向とは同一方向であるため、鋼板幅方向に対して傾斜角度θ22が30[°]となるようにノズル孔22bを傾けることで、鋼板幅方向に対してスプレーパターンPの長手方向も傾斜角度θ22と同じく30[°]の傾斜角度で傾くことになる。また、比較例では、エアーパージ22から圧力0.40[MPa]の高圧エアーを噴射しても、鋼板表面での風速は18[m/s]と低い値であった。
図11は、実施形態に係るエアーパージ21における噴射距離L、スプレーパターンPの幅W及び厚みTについての説明図である。図12は、比較例に係るエアーパージ22における噴射距離L、スプレーパターンPの幅W及び厚みTについての説明図である。表1に、実施形態及び比較例に係るエアーパージ21,22における、噴射距離L,L、スプレーパターンP,Pの幅W,W、スプレーパターンP,Pの厚みT,T、噴射時の圧力、及び、鋼板表面上での風速について示す。
Figure 0006575584
図11、図12及び表1からわかるように、噴射距離Lが同じであっても、スプレーパターンP,Pの幅W,W及び厚みT,Tは、実施形態に係るエアーパージ21を用いた場合よりも、比較例に係るエアーパージ22を用いた場合のほうが大きくなっているのがわかる。また、図6、図10及び表1からわかるように、実施形態に係るエアーパージ21から噴射したエアーの鋼板表面上におけるスプレーパターンPの面積である噴射面積Sは、比較例に係るエアーパージ22から噴射したエアーの鋼板表面上におけるスプレーパターンPの面積である噴射面積Sよりも小さくなっている。そのため、エアーパージ21,22から同じ圧力で噴射されたエアーの鋼板表面上における風速は、比較例に係るエアーパージ22よりも実施形態に係るエアーパージ21のほうが速くなっている。
そして、実施形態に係るエアーパージ21を用いて鋼板表面上にエアーを吹き付けた場合においては、エアーを吹き付ける前に比べて鋼板表面付着油分量を10[%]以上低減することができた。なお、エアーパージ21のエアー量を調節して鋼板表面の風速を30[m/s]とした場合は、比較例よりは油分が除去されたものの、満足できる量ではなく、40[m/s]以上で良好な状態まで油分量を除去することができた。これにより、連続焼鈍ラインの高速操業(入側800[mpm]以上)でも、洗浄設備の洗浄液への抑泡成分の投入量を低減することができた。結果として、アルカリ消耗抑制による原単位改善や、連続焼鈍ラインの能率向上効果を得ることができた。一方、比較例に係るエアーパージ22を用いて鋼板表面上にエアーを吹き付けた場合においては、エアーを吹き付ける前と比べて鋼板表面付着油分量の変化はほとんどなかった。
図13は、タンデム冷間圧延設備1のライン速度と、エアーパージ21,22からエアーを吹き付けた後の鋼板表面付着油分量との関係を示すグラフである。図13から、タンデム冷間圧延設備1のライン速度が同じ場合では、実施形態に係るエアーパージ21を用いたほうが、比較例に係るエアーパージ22を用いる場合よりも、鋼板表面付着油分量を低減させることができるのがわかる。
また、タンデム冷間圧延設備1のライン速度が、800[mpm]〜1600[mpm」の範囲内の場合に、鋼板表面での風速が40[m/s]以上となるように、実施例に係るエアーパージ21を用いて鋼板表面の油分を吹き飛ばして除去するようにしてもよい。これより、鋼板表面付着油分量が比較的少ないライン速度においては、エアーパージ21からの気体噴射を行わないことで低コスト化を図りつつ、鋼板表面付着油分量が多くなるような800[mpm]〜1600[mpm」のライン速度において、鋼板表面上の油分を低減し、鋼板2の洗浄工程における洗浄液の発泡を低減させることができる。
表2に、本発明の範囲内である発明例、及び、本発明の範囲外である比較例の各条件によって、エアー噴射で油分を吹き飛ばした後における鋼板表面上の油分量を示す。なお、タンデム冷間圧延設備1のライン速度は800[mpm]である。
Figure 0006575584
表2に示すように、水準1〜6、8、11〜14の発明例の条件によるエアー噴射では、いずれも鋼板表面上の油分量が200[mg/m]未満であった。これに対して、表2に示すように、水準7、9、10の比較例の条件によるエアー噴射では、いずれも200[mg/m]以上であった。
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 タンデム冷間圧延設備
2 鋼板
5 圧延機
21 エアーパージ
22 エアーパージ
30 切断機
41 テンションリール
42 テンションリール
51a ワークロール
51b ワークロール
52a バックアップロール
52b バックアップロール
100 連続焼鈍ライン
101a ペイオフリール
101b ペイオフリール
102 溶接機
103 洗浄設備
104 テンションレベラ
105 入側ルーパ
106 焼鈍炉
106a 加熱炉
106b 均熱炉
106c 冷却炉
107 ウォータークエンチ設備
108 出側ルーパ
109 調圧ミル
110 トリマー
111 オイラー
112 シャー
113a テンションリール
113b テンションリール
200 鋼板表面付着油分除去装置

Claims (3)

  1. 油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体噴射手段から気体を噴射して、該金属板表面から該油分を払拭する金属板表面付着油分除去方法であって、
    金属板幅方向に前記気体噴射手段が複数並んで配置されており、
    前記気体噴射手段は、気体を噴射するためのノズル孔が複数並んで配置されたノズル孔列を有し、ノズル孔列方向で気体の流量分布が均等となっており、
    前記気体噴射手段から気体を噴射する際の圧力が0.35[MPa]以上であり、
    前記気体噴射手段から前記金属板表面までの気体の噴射距離が200[mm]以上300[mm]以下であり、
    前記金属板表面に対する前記気体噴射手段からの気体の噴射角度が、金属板進行方向下流側から金属板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下であり、
    複数の前記気体噴射手段のうちの金属板幅方向中央に設けられていない少なくとも一部の該気体噴射手段における前記ノズル孔列は、金属板幅方向内側が金属板幅方向外側よりも金属板進行方向上流側に位置するように、金属板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾いていることを特徴とする金属板表面付着油分除去方法。
  2. 油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体を噴射して、該金属板表面から該油分を払拭する気体噴射手段を有する金属板表面付着油分除去装置であって、
    金属板幅方向に前記気体噴射手段が複数並んで配置されており、
    前記気体噴射手段は、気体を噴射するためのノズル孔が複数並んで配置されたノズル孔列を有し、ノズル孔列方向で気体の流量分布が均等となっており、
    前記気体噴射手段から気体を噴射する際の圧力が0.35[MPa]以上であり、
    前記気体噴射手段から前記金属板表面までの気体の噴射距離が200[mm]以上300[mm]以下であり、
    前記金属板表面に対する前記気体噴射手段からの気体の噴射角度が、金属板進行方向下流側から金属板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下であり、
    複数の前記気体噴射手段のうちの金属板幅方向中央に設けられていない少なくとも一部の該気体噴射手段における前記ノズル孔列は、金属板幅方向内側が金属板幅方向外側よりも金属板進行方向上流側に位置するように、金属板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾いていることを特徴とする金属板表面付着油分除去装置。
  3. 圧延油を使用して圧延する工程、油分を除去する工程、洗浄する工程、及び、焼鈍する工程を含む金属板の製造方法であって、
    前記油分を除去する工程として、油分が付着した金属板表面に向けて、該金属板表面での風速が40[m/s]以上となるように気体噴射手段から気体を噴射して、該金属表面から該油分を払拭するにあたって、
    金属板幅方向に前記気体噴射手段が複数並んで配置されており、
    前記気体噴射手段は、気体を噴射するためのノズル孔が複数並んで配置されたノズル孔列を有し、ノズル孔列方向で気体の流量分布が均等となっており、
    前記気体噴射手段から気体を噴射する際の圧力が0.35[MPa]以上であり、
    前記気体噴射手段から前記金属板表面までの気体の噴射距離が200[mm]以上300[mm]以下であり、
    前記金属板表面に対する前記気体噴射手段からの気体の噴射角度が、金属板進行方向下流側から金属板進行方向上流側に向けて60[°]以上80[°]以下であり、
    複数の前記気体噴射手段のうちの金属板幅方向中央に設けられていない少なくとも一部の該気体噴射手段における前記ノズル孔列は、金属板幅方向内側が金属板幅方向外側よりも金属板進行方向上流側に位置するように、金属板幅方向に対して10[°]以上30[°]以下の角度で傾いていることを特徴とする金属板の製造方法。
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