JP5017901B2 - 熱間圧延方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、被圧延材を熱間圧延する熱間圧延方法及び熱間圧延装置に関する。
鋼板に代表される被圧延材の熱間圧延においては、ロール摩耗の減少、圧延負荷の軽減、及び被圧延材料の表面性状の向上等を目的として、仕上圧延機に潤滑剤を塗布して圧延する方法が採用されている。従来、鋼材の潤滑剤による熱間潤滑圧延方法として、例えば特許文献1に記載された熱間潤滑圧延方法が知られている。
この特許文献1に記載された熱間潤滑圧延方法は、鋼材に熱間ストリップ圧延に際し、圧延機の仕上圧延機群前半のアダマイト系ワークロールには鋼材の通板性を確保できる程度に潤滑性をコントロールした鉱油系をベースとする圧延油を塗布し、後半の鋳鉄系ワークロールに対しては潤滑性の極力優れた油脂系をベースとする圧延油を塗布して圧延するものである。
また、一般に、被圧延材の潤滑剤による熱間潤滑圧延においては、図4に示す方法が行われている。即ち、図4において、熱間圧延装置101は、粗圧延された被圧延材Sを仕上圧延する複数基のスタンド102を有するタンデム仕上圧延機を備えている。仕上圧延機の各スタンド102は、被圧延材Sを仕上圧延する上下一対のワークロール103と、上下一対のワークロール103を支持する上下一対のバックアップロール104とを備えている。そして、少なくとも1基のスタンド102の上下一対のワークロール103のそれぞれのロールバイト入側には、各ワークロール103を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー105aが設置され、その一方、上下一対のワークロール103のそれぞれのロールバイト出側には、各ワークロール103を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー105bが設置されている。また、上側のバックアップロール104の入側には、このバックアップロール104を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー105cが設置されている。また、上下一対のワークロール103のそれぞれのロールバイト入側には、ロールバイト直近の各ワークロール103の表面に潤滑剤を噴射する潤滑剤供給スプレー106が設置されている。また、上下一対のワークロール103のそれぞれのロールバイト出側には、ロール冷却スプレー105bからの冷却水によって被圧延材Sが過冷却されるのを防止するためのスクレーパ107が設置されている。スクレーパ107の先端部にはワイパが設けられている。更に、上下一対のワークロール103のそれぞれのロールバイト入側には、ロール冷却スプレー105aから噴射された冷却水が各ワークロール103の潤滑剤噴射面に導かれるのを防止するための水切りワイパ108が設置されている。なお、図4において、符号109はサイドガイドである。
ここで、各ワークロール103の冷却を行う目的は、高温の被圧延材Sから各ワークロール103への熱負荷を軽減するためで、ワークロール103の冷却が不十分な場合には、熱負荷と、圧延荷重による機械的負荷とにより、ワークロール103の表面に塑性流動やクラックが発生し、ワークロール103の肌荒れを招くことになる。ワークロール103の肌荒れが発生すると、これが被圧延材Sに転写され、製品の表面疵の原因となる。図4に示した熱間圧延方法では、未だにワークロール103の冷却が十分ではない。
このワークロールの肌荒れを防止するための方法として、例えば特許文献2に記載された熱間圧延機のワークロール冷却方法が知られている。このワークロール冷却方法は、被圧延材を案内する出側上下ガイド装置の上下ガイド先端部材のワークロールと対向する面にミストスプレーノズルを取り付け、このミストスプレーノズルからミストをロールバイト部に吹き付けて冷却するものである。ここで、近年、熱間圧延機用のワークロールにはV、W等の硬質のMC型炭化物を形成する元素を含有した高温強度に優れるハイスロールが用いられるようになっている。このハイスロールに対してはロール冷却を強化すると塑性流動は防止できるので、この特許文献2に記載されたワークロール冷却方法によっても塑性流動は防止できる。しかし、ハイスロールに対してロール冷却を強化すると、ヒートクラックによるワークロールの肌荒れが助長されてしまうという問題があった。
このヒートクラックによるワークロールの肌荒れを防止する方法として、例えば特許文献3に記載された熱間圧延用ロールの肌荒れ防止方法が知られている。この熱間圧延用ロールの肌荒れ防止方法は、ロール冷却ノズルからワークロールに水を噴射する冷却方法において、ロールバイト出口を原点としてロール回転方向に80°〜120°の位置にロール出側の水切り装置を設けたものである。しかしながら、この方法では、ロールバイト出側から離れた位置でワークロールの冷却を開始することになるので、ワークロール全体の温度が上昇しやすく、ワークロールの熱膨張によるサーマルクラウンが大きくなったり、塑性流動による肌荒れが完全には防止できなくなったりするという問題があった。
以上のようなワークロールの肌荒れをワークロールを冷却する以外の方法で防止する方法として、例えば特許文献4に記載された熱間圧延方法が知られている。この特許文献4に記載された熱間圧延方法は、熱間圧延材がワークロールに噛み込まれる直前に熱間圧延材に冷却媒を接触させ、熱間圧延材の表面が冷却された状態で熱間圧延するようにしたものである。この方法によれば、熱間圧延材がワークロールに噛み込まれる直前、即ち被圧延材がロールバイトに入る直前に被圧延材に冷却水を噴射し、ロールバイトに入る被圧延材の表面の温度を低下させ、これによりワークロールへの熱負荷を軽減し、ワークロールの肌荒れを防止する。しかしながら、ロールバイト入側で被圧延材の表面に冷却水を噴射すると、冷却水の、潤滑剤スプレーから噴射された潤滑剤との干渉を回避することができず、ワークロールの表面に十分な量の潤滑剤が到達できずに潤滑効果が得られなくなるという問題があった。
これら問題を解決する方法として、即ちワークロールに対する熱負荷を低減するとともに、安定した潤滑効果が得られる熱間圧延方法として、特許文献5に記載された熱間圧延方法が知られている。特許文献5に記載された熱間圧延方法を図5を参照して説明する。
図5において、熱間圧延方法に用いられる熱間圧延装置201は、粗圧延された被圧延材Sを仕上圧延する複数基のスタンド202を有する仕上圧延機を備えている。仕上圧延機の各スタンド202は、被圧延材Sを仕上圧延する上下一対のワークロール203と、上下一対のワークロール203を支持する上下一対のバックアップロール204とを備えている。そして、上下一対のワークロール203のそれぞれのロールバイト直近に、被圧延材Sの板表面を冷却する被圧延材冷却スプレー210と、一組の水切りワイパ208,209によって隔てられた潤滑剤供給スプレー206と、上下一対のワークロール203のそれぞれを冷却するロール冷却スプレー205aとを備えている。なお、図5において、符号205bは上下一対のワークロール203のそれぞれのロールバイト出側に設置されたロール冷却スプレー、205cは上側バックアップロール204を冷却するロール冷却スプレー、207はロール冷却スプレー205bからの冷却水によって被圧延材Sが過冷却されるのを防止するためのスクレーパ、211はサイドガイドである。
この熱間圧延装置201を用いた熱間圧延方法によれば、被圧延材Sの冷却と潤滑とワークロール203の冷却とを同時に行うことができる。そして、この熱間圧延方法によれば、ワークロール203を冷却することによってワークロール203に対する熱負荷を低減させ、潤滑によって摩擦係数を減少してロール負荷を軽減し、さらに被圧延材Sの板表面を冷却することによってワークロール203に対する熱負荷を低減させる効果があり、もってワークロール203の肌荒れを防止することができる。なお、潤滑剤供給スプレー206は、一組の水切りワイパ208,209によって隔てられているので、ロール冷却スプレー205aからの冷却水が潤滑剤供給スプレー206からの潤滑剤に干渉することはない。
特開昭49−95969号公報 特開昭64−57908号公報 特開平7−116714号公報 特開平4−200903号公報 特開平7−68310号公報
しかしながら、特許文献5に記載された熱間圧延方法にあっては、以下の問題点があった。
即ち、近年、被圧延材として高張力鋼材(ハイテン材)の需要が非常に高まっている。高張力鋼材を製造するためには、より高温かつ高荷重で圧延を行う必要があり、特許文献5に記載された熱間圧延方法においてもワークロールの肌荒れを完全には防止できなかった。
従って、本発明はこの問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ワークロールに対する熱負荷をより一層低減させると同時に安定した潤滑効果が得られ、もってワークロールの肌荒れを確実に防止するとともに、圧延荷重の低減を図り、ワークロール摩耗の低減を図る熱間圧延方法及び装置を提供することにある。
図3は、一般的な仕上圧延機の第2(F2)スタンドにおいて、鋼板(被圧延材)の面荒れの発生と材料温度及び圧延線圧(単位幅当たりの圧延荷重)との関係を示したものである。図3に示すように、鋼板の面荒れの発生は、材料温度と圧延線圧とに強く依存しており、材料温度が高く、圧延線圧が高いほど発生しやすい。これが高張力鋼材などの高温かつ高荷重で圧延を行う場合に面荒れが発生しやすくなる理由である。即ち、鋼板の面荒れを防止するには鋼板あるいはワークロールの冷却だけでは不十分であり、潤滑圧延によって圧延荷重を減少させることが効果的である。更に、本発明者らは、ワークロールの摩耗特性を調査した結果、ワークロールとバックアップロールとの間の線圧分布が高い部分のワークロール摩耗が促進されることを突き止めた。これは、ワークロールに発生したヒートクラックがバックアップロールとの接触によって進展し、ワークロールの表層が脱落するためである。本発明者らは、かかる摩耗の促進を防止する方法について検討した結果、ワークロールとバックアップロールとの間に潤滑を行うことが有利に作用することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明のうち請求項1に係る熱間圧延方法は、粗圧延された被圧延材を仕上圧延機で熱間仕上圧延する熱間仕上圧延方法であって、前記仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて、ワークロールの表面に冷却水を供給するとともに、バックアップロールとワークロールの両方の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給し、更に、ロールバイト入側の前記被圧延材の表面に冷却水を供給することを特徴としている。
また、本発明のうち請求項2に係る熱間圧延装置は、粗圧延された被圧延材を熱間仕上圧延する仕上圧延機を有する熱間仕上圧延装置であって、前記仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて、ワークロールの表面に冷却水を供給するロール冷却装置と、バックアップロールとワークロールの両方の表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置と、該ワイピング装置によって水切りされた部分に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置と、ロールバイト入側の前記被圧延材の表面に冷却水を供給する冷却装置とを備えることを特徴としている。
本発明のうち請求項1に係る熱間圧延方法及び請求項2に係る熱間圧延装置によれば、仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて、ワークロールの表面に冷却水を供給するとともに、ロールバイト入側の被圧延材の表面に冷却水を供給するので、ワークロールに対する熱負荷をより一層低減させることができる。そして、バックアップロールとワークロールの両方の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給するようにしているので、ワークロールと被圧延材との接触部のみならず、ワークロールとバックアップロールとの接触部をも潤滑効果を得ることができ、安定した潤滑圧延を得ることができる。ワークロールに対する熱負荷をより一層低減できるとともに、安定した潤滑圧延を得ることができるので、高張力鋼材の熱間仕上圧延においてもワークロールの肌荒れを完全に防止することができる。そして、バックアップロールとワークロールの両方の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給するようにしているので、ワークロールとバックアップロールとの間の潤滑を効果的に行うことができ、ワークロールの摩耗の低減を図ることができる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る熱間圧延装置の第1実施形態の概略構成図である。
図1において、熱間圧延装置1は、粗圧延された鋼板に代表される被圧延材Sを熱間仕上圧延する複数基のスタンド2を有するタンデム仕上圧延機を備えている。タンデム仕上圧延機の各スタンド2は、被圧延材Sを仕上圧延する上下一対のワークロール3と、上下一対のワークロール3を支持する上下一対のバックアップロール4とを備えている。そして、各スタンド2の上下一対のワークロール3のそれぞれのロールバイト入側には、各ワークロール3を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー(ロール冷却装置)5aが設置され、その一方、上下一対のワークロール3のそれぞれのロールバイト出側には、各ワークロール3を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー(ロール冷却装置)5bが設置されている。また、上側のバックアップロール4の入側には、このバックアップロール4を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー5cが設置されている。また、上下一対のワークロール3のそれぞれのロールバイト入側には、水切りワイパ6が設置されると共に、ロールバイト出側には、ロール冷却スプレー5bからの冷却水によって被圧延材Sが過冷却されるのを防止するためのスクレーパ7が設置されている。スクレーパ7の先端部にはワイパが設けられている。
また、上下一対のバックアップロール4のそれぞれの出側のワークロール3寄りのところには、バックアップロール4の表面の所定部分の水切りを行う水切りワイパ8が設置されている。ここで、「所定部分」とは、水切りワイパ8の先端とバックアップロール4の表面との接触部分から矢印bで示す回転方向と逆方向のバックアップロール4の表面の部分をいう。下側のバックアップロール4の出側に設置された水切りワイパ8は、下側のロール冷却水スプレー5bから噴射され、下側のワークロール3から落下してくる冷却水の前記所定部分への水切りを行う。また、上側のバックアップロール4の出側に設置された水切りワイパ8は、上側のロール冷却水スプレー5bから噴射され、上側のワークロール3の接線方向に飛び散る冷却水の上側バックアップロール4への水乗りを防止し、前記冷却水の前記所定部分への水切りを行う。ワークロール3への冷却水は圧力も流量も大きいことから、ワークロール3に噴射された後はワークロール3の接線方向へ激しく飛び散る傾向にある。水切りワイパ8が、請求項2にいう「バックアップロールの表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置」を構成し、水切りワイパ8により水切りされたバックアップロール4の表面が、請求項2にいう「ワイピング装置によって水切りされた部分」を構成する。また、水切りワイパ8により水切りされたバックアップロール4の表面が、請求項1にいう「バックアップロールの表面の水切りされた部分」を構成する。更に、上下一対のバックアップロール4のそれぞれの出側のワークロール3から離れたところには、バックアップロール4の表面の所定部分の水切りを行う水切りワイパ9が設置されている。ここで、「所定部分」とは、水切りワイパ9の先端とバックアップロール4の表面との接触部分から矢印bで示す回転方向のバックアップロール4の表面の部分をいう。従って、水切りワイパ8の先端とバックアップロール4の表面との接触部分と、水切りワイパ9の先端とバックアップロール4の表面との接触部分との間の、バックアップロール4の表面が水切りワイパ8及び9により完全に水切りされることになる。そして、上下一対のバックアップロール4のそれぞれの出側には、水切りワイパ8及び9により完全に水切りされたバックアップロール4の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給スプレー(潤滑剤供給装置)10が設置されている。水切りワイパ8及び9は、先端部分にワイパが設けられ、このワイパが通例用いられている硬質ゴムあるいはベークライトなどの吸湿性のない材質で構成される。これにより、潤滑剤供給スプレー10で供給された油分はほとんど払拭されず、問題なく潤滑効果を得ることができる。なお、ワークロール3から離れたところに設置された水切りワイパ9については、冷却水の回り込みがなく、水切りが不要の場合には、省略することができる。上側のバックアップロール4の出側に設置された水切りワイパ9については、ロール冷却スプレー5cから上側のバックアップロール4に冷却水を噴射しても、その冷却水量が少ないときには、水切りワイパ9のところまで冷却水が回り込まない場合があるので、省略可能である。一般に、バックアップロール4に伝わる熱は大きいものではないため、バックアップロールへの冷却水量は、かかってさえすればよい程度のものである。また、下側のバックアップロール4の出側に設置された水切りワイパ9については、下側のロール冷却水スプレー5aからの下側のワークロール3への冷却水が下に流れ落ちて下側バックアップロール4に供給されるようになっているが、バックアップロール4の真下の部分で多くは落下するので、水切りワイパ9のところまで冷却水が回り込まない場合があり、省略可能である。
更に、上下一対のワークロール3のそれぞれのロールバイト入側には、ロールバイト入側の被圧延材Sの表面に冷却水を供給する被圧延材冷却スプレー(冷却装置)11が設置されている。なお、図1において、符号12はサイドガイドである。
次に、熱間圧延装置1による熱間圧延方法について説明する。
粗圧延された被圧延材Sは、図1に示す矢印A方向に搬送され、複数基のスタンド2を有するタンデム仕上圧延機により熱間仕上圧延され、その後、冷却されてコイラー(図示せず)により巻き取られるようになっている。
このタンデム仕上圧延機による熱間仕上圧延に際しては、各スタンド2の上下一対のワークロール3は、図1に示す被圧延材Sを噛み込む矢印a方向に回転し、上下一対のバックアップロール4は矢印b方向に回転する。そして、各ワークロール3は、ロールバイト入側でロール冷却スプレー5aからの冷却水により冷却されるとともに、ロールバイト出側のロール冷却スプレー5bからの冷却水により冷却される。ロール冷却スプレー5aからワークロール3の表面に噴射された冷却水は、水切りワイパ6により水切りがなされるとともに、ロール冷却スプレー5bからワークロール3の表面に噴射された冷却水はスクレーパ7により被圧延材Sへの落下が阻止される。そして、ロールバイト出側で冷却された後、各ワークロール3は各バックアップロール4と接触する。各ワークロール3が各バックアップロール4に接触すると、ワークロール3の表面の冷却水がバックアップロール4の表面に転写し、また、バックアップロール4の表面にはロール冷却スプレー5cから冷却水が供給されるが、それら冷却水は水切りワイパ8と水切りワイパ9とにより水切りされ、水切りワイパ8の先端とバックアップロール4の表面との接触部分と、水切りワイパ9の先端とバックアップロール4の表面との接触部分との間の、バックアップロール4の表面が水切りワイパ8及び9により完全に水切りされることになる。そして、水切りワイパ8及び9により完全に水切りされたバックアップロール4の表面に、潤滑剤供給スプレー10から潤滑剤が供給される。これにより、ワークロール3は、バックアップロール3と潤滑された状態で接触し、ワークロール3に潤滑剤が転写される。そして、ワークロール3は、被圧延材Sと潤滑された状態で接触する。また、ロールバイト入側の被圧延材Sの表面には、被圧延材冷却スプレー11から冷却水が供給される。
このように、熱間圧延装置1による熱間圧延方法によれば、ワークロール3の表面に冷却水を供給するとともに、ロールバイト入側の被圧延材Sの表面に冷却水を供給するので、ワークロール3に対する熱負荷をより一層低減させることができる。即ち、被圧延材Sはロールバイト直前で冷却されるため、内部からの復熱によって被圧延材Sの表面温度が上昇する前に、表層のみが温度低下した状態でワークロール3に噛み込まれることになる。このため、被圧延材S全体としての変形抵抗は変化させずに、ワークロール3との接触温度のみを低下させることができ、もってワークロール3に対する熱負荷を一層低減させることができる。
また、バックアップロール4の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給するようにしているので、ワークロール3と被圧延材Sとの接触部のみならず、ワークロール3とバックアップロール4との接触部をも潤滑効果を得ることができ、安定した潤滑圧延を得ることができる。即ち、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法においては、ロールバイト入側で潤滑剤供給スプレー206により潤滑剤をワークロール203に供給していたため、ワークロール203と被圧延材Sとの接触部の潤滑効果は得られるものの、潤滑剤は被圧延材Sとの接触によって焼き切れてしまうため、ワークロール203とバックアップロール204との接触部の潤滑効果は得られなかった。これに対して、熱間圧延装置1による熱間圧延方法においては、バックアップロール4に潤滑剤を供給するため、ワークロール3と被圧延材Sとの接触部のみならず、ワークロール3とバックアップロール4との接触部も潤滑効果が得られるのである。
このように、熱間圧延装置1による熱間圧延方法によれば、ワークロール3に対する熱負荷をより一層低減できるとともに、安定した潤滑圧延を得ることができるので、高張力鋼材の熱間仕上圧延においてもワークロール3の肌荒れを完全に防止することができる。
そして、熱間圧延装置1による熱間圧延方法においては、被圧延材Sからワークロール3への熱負荷を低減させると同時に、潤滑効果によって圧延荷重を低減させることが可能となるだけでなく、ワークロール3とバックアップロール4との接触部でも潤滑効果を得ることが可能となるため、ワークロール3の肌荒れのみならず、ヒートクラックによる表層の脱落が防止でき、効果的に被圧延材Sの面荒れを防止することができる。更に、被圧延材Sからワークロール3への熱負荷の低減と同時に圧延荷重の減少によって摩擦発熱も低減するため、サーマルクラウンの成長も抑止できるばかりか、ワークロール3にかかる摩擦力の低減とヒートクラックによる表層の脱落が防止できるため、ワークロール3の摩耗の低減を図ることができ、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法と比較して著しい相乗効果を得ることができるのである。
なお、バックアップロール4に供給する潤滑剤は、ワークロール3との接触部において消費されるわけではないので、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法において通常ロールバイト入側で供給している量と同程度の量で十分である。
また、ロールバイト入側におけるロール冷却スプレー5aから供給される冷却水は、あまりに高圧で供給されると、ワークロール3に転写された潤滑剤を除去してしまうおそれがあるが、本発明者らの検討によれば、通常用いられる10気圧程度の圧力で冷却水を供給すれば、かかる潤滑剤が除去されることはない。更に、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法においては、ロールバイト入側のロール冷却スプレー205aからの冷却水による水冷領域は、ワークロール203の表面においてバックアップロール204との接触部から水切りワイパ208との接触部までであるのに対し、熱間圧延装置1による熱間圧延方法においては、ロールバイト入側のロール冷却スプレー5aからの冷却水による水冷領域は、ワークロール3の表面においてバックアップロール4との接触部から水切りワイパ6との接触部までの広い領域である。このため、熱間圧延装置1による熱間圧延方法においては、ワークロール3の冷却能力を低下させることはない。
更に、上下一対のワークロール3のそれぞれのロールバイト入側に設置された被圧延材冷却スプレー11からの冷却水量は、上下和で200〜400l/min・m程度でよく、通常のロール冷却水量5000〜10000l/min・mと比較してごくわずかの水量でよい。
次に、本発明に係る熱間圧延装置の第2実施形態を図2を参照して説明する。図2は、本発明に係る熱間圧延装置の第2実施形態の概略構成図である。
図2において、熱間圧延装置21は、図1に示す熱間仕上圧延装置1と同様に、粗圧延された鋼板に代表される被圧延材Sを熱間仕上圧延する複数基のスタンド22を有するタンデム仕上圧延機を備えている。タンデム仕上圧延機の各スタンド22は、被圧延材Sを仕上圧延する上下一対のワークロール23と、上下一対のワークロール23を支持する上下一対のバックアップロール24とを備えている。そして、各スタンド23の上下一対のワークロール23のそれぞれのロールバイト入側には、各ワークロール23を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー(ロール冷却装置)25aが設置され、その一方、上下一対のワークロール23のそれぞれのロールバイト出側には、各ワークロール23を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー(ロール冷却装置)25bが設置されている。また、上側のバックアップロール24の入側には、このバックアップロール24を冷却する冷却水を噴射するロール冷却スプレー25cが設置されている。また、上下一対のワークロール23のそれぞれのロールバイト入側には、水切りワイパ26が設置されると共に、ロールバイト出側には、ロール冷却スプレー25bからの冷却水によって被圧延材Sが過冷却されるのを防止するためのスクレーパ27が設置されている。スクレーパ27の先端部にはワイパが設けられている。
また、図1に示す熱間圧延装置21と異なり、上下一対のワークロール23のそれぞれの出側のバックアップロール24寄りのところには、ワークロール23の表面の所定部分の水切りを行う水切りワイパ28が設置されている。ここで、「所定部分」とは、水切りワイパ28の先端とワークロール23の表面との接触部分から矢印aで示す回転方向のワークロール23表面の部分をいう。
更に、上下一対のバックアップロール24のそれぞれの出側のワークロール23から離れたところには、バックアップロール24の表面の所定部分の水切りを行う水切りワイパ29が設置されている。ここで、「所定部分」とは、水切りワイパ29の先端とバックアップロール24の表面との接触部分から矢印bで示す回転方向のバックアップロール24の表面の部分をいう。この水切りワイパ29が、請求項2にいう「バックアップロールの表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置」を構成し、水切りワイパ28が、請求項2にいう「ワークロールの表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置」を構成し、水切りワイパ28及び29で請求項2にいう「バックアップロールとワークロールの両方の表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置」を構成する。そして、水切りワイパ28及び29により水切りされたワークロール23の表面及びバックアップロール24の表面が、請求項2にいう「ワイピング装置によって水切りされた部分」を構成する。また、水切りワイパ28及び29により水切りされたワークロール23の表面及びバックアップロール24の表面が、請求項1にいう「バックアップロールとワークロールの両方の表面の水切りされた部分」を構成する。そして、上下一対のワークロール23とバックアップロール24との接触部近傍であってワークロール23とバックアップロール24の出側には、水切りワイパ28及び29により水切りされたワークロール23の表面及びバックアップロール24の表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給スプレー(潤滑剤供給装置)30が設置されている。具体的には、潤滑剤供給スプレー30は、ロールバイト出側からワークロール23とバックアップロール24との接触部に潤滑剤を供給している。
ここで、水切りワイパ28及び29は、図1に示す水切りワイパ8及び9と同様に、先端部分にワイパが設けられ、このワイパが通例用いられている硬質ゴムあるいはベークライトなどの吸湿性のない材質で構成される。これにより、潤滑剤供給スプレー30で供給された油分はほとんど払拭されず、問題なく潤滑効果を得ることができる。
更に、図1に示す熱間圧延装置1と同様に、上下一対のワークロール23のそれぞれのロールバイト入側には、ロールバイト入側の被圧延材Sの表面に冷却水を供給する被圧延材冷却スプレー(冷却装置)31が設置されている。なお、図2において、符号12はサイドガイドである。
この熱間圧延装置21による熱間圧延方法においても、図1に示した熱間圧延装置1による熱間圧延方法と同様の効果を得ることはもちろんである。即ち、熱間圧延装置21による熱間圧延方法によれば、ワークロール23の表面に冷却水を供給するとともに、ロールバイト入側の被圧延材Sの表面に冷却水を供給するので、ワークロール23に対する熱負荷をより一層低減させることができる。即ち、被圧延材Sはロールバイト直前で冷却されるため、内部からの復熱によって被圧延材Sの表面温度が上昇する前に、表層のみが温度低下した状態でワークロール23に噛み込まれることになる。このため、被圧延材S全体としての変形抵抗は変化させずに、ワークロール23との接触温度のみを低下させることができ、もってワークロール23に対する熱負荷を一層低減させることができる。
また、バックアップロール24とワークロール23の両方の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給するようにしているので、ワークロール23と被圧延材Sとの接触部のみならず、ワークロール23とバックアップロール24との接触部をも潤滑効果を得ることができ、安定した潤滑圧延を得ることができる。
このように、熱間圧延装置21による熱間圧延方法によれば、ワークロール23に対する熱負荷をより一層低減できるとともに、安定した潤滑圧延を得ることができるので、高張力鋼材の熱間仕上圧延においてもワークロール23の肌荒れを完全に防止することができる。
そして、熱間圧延装置21による熱間圧延方法においては、被圧延材Sからワークロール23への熱負荷を低減させると同時に、潤滑効果によって圧延荷重を低減させることが可能となるだけでなく、ワークロール23とバックアップロール24との接触部でも潤滑効果を得ることが可能となるため、ワークロール23の肌荒れのみならず、ヒートクラックによる表層の脱落が防止でき、効果的に被圧延材Sの面荒れを防止することができる。更に、被圧延材Sからワークロール23への熱負荷の低減と同時に圧延荷重の減少によって摩擦発熱も低減するため、サーマルクラウンの成長も抑止できるばかりか、ワークロール23にかかる摩擦力の低減とヒートクラックによる表層の脱落が防止できるため、ワークロール23の摩耗の低減を図ることができ、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法と比較して著しい相乗効果を得ることができるのである。
なお、バックアップロール24に供給する潤滑剤は、バックアップロール4に供給する潤滑剤と同様に、ワークロール23との接触部において消費されるわけではないので、図5(特許文献5)に示された従来の熱間圧延方法において通常ロールバイト入側で供給している量と同程度の量で十分である。
また、ロールバイト入側におけるロール冷却スプレー25aから供給される冷却水は、ロール冷却水5aから供給される冷却水と同様に、あまりに高圧で供給されると、ワークロール23に転写された潤滑剤を除去してしまうおそれがあるが、本発明者らの検討によれば、通常用いられる10気圧程度の圧力で冷却水を供給すれば、かかる潤滑剤が除去されることはない。更に、熱間圧延装置21による熱間圧延方法においては、ロールバイト入側のロール冷却スプレー25aからの冷却水による水冷領域は、ワークロール23の表面においてバックアップロール24との接触部から水切りワイパ26との接触部までの広い領域である。このため、熱間圧延装置21による熱間圧延方法においても、ワークロール23の冷却能力を低下させることはない。
更に、上下一対のワークロール23のそれぞれのロールバイト入側に設置された被圧延材冷却スプレー31からの冷却水量は、上下和で200〜400l/min・m程度でよく、通常のロール冷却水量5000〜10000l/min・mと比較してごくわずかの水量でよい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、第1実施形態における水切りワイパ8,9、潤滑剤供給スプレー10、及び被圧延材冷却スプレー11は、複数基のスタンド2の各々に設置されているが、タンデム仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて設置すればよい。また、第2実施形態における水切りワイパ28,29、潤滑剤供給スプレー30、及び被圧延材冷却スプレー31についても同様である。ワークロール3,23の肌荒れを防止する観点では、被圧延材の温度が高く、強圧下を行う仕上圧延機の前段のスタンドに、これら水切りワイパ、潤滑剤供給スプレー及び被圧延材冷却スプレーを設置するのが好適であるが、ワークロール3,23の肌荒れの発生しにくい仕上圧延機の後段のスタンドに、これら水切りワイパ、潤滑剤供給スプレー、及び被圧延材冷却スプレーを設置したとしても、サーマルクラウンやロール摩擦の低減効果が得られることはもちろんである。
冷却・潤滑条件を表1に示すように種々変えて熱間仕上圧延を行なった。
Figure 0005017901
実施例においては、図1に示すロール冷却スプレー5a,5b、水切りワイパ8,9、潤滑剤供給スプレー10、及び被圧延材冷却スプレー11を、7スタンドの四重式圧延機からなる熱延仕上圧延機列全スタンドに設置した。ここで、ワークロール3の直径は、F1〜F4スタンドがφ800mm、F5〜F7スタンドがφ700mm、ワークロール3の材質は、F1〜F6スタンドがハイスロール、F7スタンドがニッケルグレンロールであった。C:0.05%、Mn:1.36%、Si:1.05%、Ti:0.01%の組成からなる板厚220mm、重量27tonの高張力鋼材のスラブを粗圧延工程にてシートバー厚30mmに圧延し、仕上圧延機にて仕上寸法2.6mm厚×1200mm幅に圧延した。この圧延を30コイル分行なった。なお、仕上入側の温度は1000℃、圧延時間は1コイルあたり約80秒、パーツパーは約15秒であった。
そして、ロール冷却スプレー5a,5bからワークロール3に対して冷却水を供給するとともに、潤滑剤供給スプレー10からバックアップロール4に潤滑剤を供給し、また、被圧延材冷却スプレー11から鋼板に対して冷却水を供給した。
そして、表1に示すように、F2スタンドにおける圧延荷重、ワークロール3の肌荒れの程度、ワークロール3の抜出し後の温度、ワークロール3の摩耗量、F6スタンドにおける圧延荷重、通板形状、ワークロール3の抜出し温度、ワークロール3の摩耗量、仕上圧延機の出側における鋼板の温度、及び製品の面荒れ発生率を調査した。F2スタンドについては圧延機列における前段の代表として、F6スタンドについては圧延機列における後段の代表として選んだ。なお、F2スタンドにおける通板形状は何ら問題がなく、またF6スタンドではワークロール3の肌荒れはなかった。
この実施例においては、表1に示すように、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れは完全に防止でき、製品の面荒れ発生も皆無であった。また、F2スタンドの圧延荷重は、潤滑効果によって、1690tfと低く、F6スタンドにおける圧延荷重も1070tfで低かった。更に、ワークロール3の抜出し後の温度については、F2スタンドで64℃、F6スタンドで55℃と低く、また、ワークロール3の摩耗量については、F2スタンドで2μm、F6スタンドで8μmと小さかった。これは、鋼板冷却によるワークロール3への熱負荷の低減と潤滑圧延による摩擦力低減効果の相乗効果によるものである。
比較例1においては、図4に示すロール冷却スプレー105a,105b及び潤滑剤供給スプレー106を、7スタンドの四重式圧延機からなる熱延仕上圧延機列全スタンドに設置し、ロール冷却スプレー105a,105bからワークロール103に対して冷却水を供給したが、ワークロール103へ潤滑剤を供給しなかった。また、鋼板の冷却は行わなかった。ワークロール103の直径及び材質、スラブの材質、寸法及び重量、シートバーの寸法及び仕上圧延条件、及び圧延本数は実施例の場合と同様である。
この比較例1においては、表1に示すように、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れの程度はかなり悪く、製品の面荒れ発生率も87%と極めて悪かった。また、F2スタンドの圧延荷重は1990tf、F6スタンドにおける圧延荷重も1330tfで極めて高かった。更に、ワークロール3の抜出し後の温度については、F2スタンドで80℃、F6スタンドで72℃と高く、また、ワークロール103の摩耗量については、F2スタンドで9μm、F6スタンドで20μmとかなり大きかった。
次に、比較例2においては、図4に示すロール冷却スプレー105a,105b及び潤滑剤供給スプレー106を、7スタンドの四重式圧延機からなる熱延仕上圧延機列全スタンドに設置し、ロール冷却スプレー105a,105bからワークロール103に対して冷却水を供給し、また、潤滑剤供給スプレー106からワークロール103へ潤滑剤を供給した。しかし、鋼板の冷却は行わなかった。ワークロール103の直径及び材質、スラブの材質、寸法及び重量、シートバーの寸法及び仕上圧延条件、及び圧延本数は実施例の場合と同様である。
この比較例2においては、表1に示すように、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れの程度は、比較例1よりは改善しているものの、依然として悪く、製品の面荒れ発生率も比較例1よりも改善しているが57%と悪かった。また、ワークロール3の抜出し後の温度については、F2スタンドで77℃、F6スタンドで70℃と高く、また、ワークロール103の摩耗量については、F2スタンドで6μm、F6スタンドで15μmと依然として大きかった。一方、F2スタンドの圧延荷重は、潤滑効果によって、1680tf、F6スタンドにおける圧延荷重も1040tfと改善している。
更に、比較例3においては、図1に示すロール冷却スプレー5a,5b、水切りワイパ8,9、潤滑剤供給スプレー10、及び被圧延材冷却スプレー11を、7スタンドの四重式圧延機からなる熱延仕上圧延機列全スタンドに設置し、ロール冷却スプレー5a,5bからワークロール3に対して冷却水を供給し、また、潤滑剤供給スプレー10からバックアップロール4に10l/minの潤滑剤を供給した。しかし、鋼板の冷却は行わなかった。ワークロール3の直径及び材質、スラブの材質、寸法及び重量、シートバーの寸法及び仕上圧延条件、及び圧延本数は実施例の場合と同様である。
この比較例3においては、表1に示すように、ワークロール3の摩耗量については、F2スタンドで4μm、F6スタンドで12μmになり、比較例2に対して低減している。これは、ワークロール3とバックアップロール4との接触部での潤滑に摩耗低減効果があることを示している。また、F2スタンドの圧延荷重は、比較例2と同様に、1680tf、F6スタンドにおける圧延荷重も1040tfと良好であった。これは、潤滑剤を供給する場所をワークロールからバックアップロールに変えても同様の潤滑効果が得られることを示している。一方、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れの程度は、比較例2よりは改善しているものの、完全には防止しきれていない。また、製品の面荒れ発生率も比較例2よりも改善しているが40%と悪かった。更に、ワークロール3の抜出し後の温度については、F2スタンドで78℃、F6スタンドで70℃と高かった。
比較例1乃至3においては、表1に示すように、ワークロールの抜出し後の温度はほとんど変化がなく、潤滑圧延による摩擦発熱低減効果はそれほど大きいものではないことを示している。このため、比較例1乃至3のいずれにおいても、F6スタンドにおいてはサーマルクラウンの成長によって圧延中の鋼板の形状が腹伸び状を呈し、通板上の問題を生じた。
比較例4においては、図5に示すロール冷却スプレー205a,205b、水切りワイパ208,209、潤滑剤供給スプレー206、及び被圧延材冷却スプレー210を、7スタンドの四重式圧延機からなる熱延仕上圧延機列全スタンドに設置し、ロール冷却スプレー205a,205bからワークロール203に対して冷却水を供給し、また、潤滑剤供給スプレー206からワークロール204に潤滑剤を供給し、被圧延材冷却スプレー210から冷却水を鋼板に供給した。ワークロール203の直径及び材質、スラブの材質、寸法及び重量、シートバーの寸法及び仕上圧延条件、及び圧延本数は実施例の場合と同様である。
この比較例4においては、表1に示すように、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れはやや改善しているものの比較例3と同程度であり、製品の面荒れ発生率も24%と低くははなっているが完全にはなくなっていない。実施例では、F2スタンドでのワークロール3の肌荒れは完全に防止でき、製品の面荒れ発生も皆無であった。これは、実施例においては、ワークロール3とバックアップロール4との接触部でも潤滑効果を得ることが可能となるためである。
一方、比較例4においては、F2スタンドの圧延荷重は、潤滑効果によって、1690tfと低く、F6スタンドにおける圧延荷重も1070tfで低かった。更に、ワークロール3の抜出し後の温度については、F2スタンドで68℃、F6スタンドで59℃と低く、また、ワークロール3の摩耗量については、F2スタンドで4μm、F6スタンドで10μmと小さかった。
本発明に係る熱間圧延装置の第1実施形態の概略構成図である。 本発明に係る熱間圧延装置の第2実施形態の概略構成図である。 一般的な仕上圧延機の第2スタンドにおいて、鋼板(被圧延材)の面荒れの発生と材料温度及び圧延線圧(単位幅当たりの圧延荷重)との関係を示したグラフである。 一般的な被圧延材の潤滑剤による熱間潤滑圧延装置の概略構成図である。 従来の熱間圧延装置の概略構成図である。
符号の説明
1,21 熱間圧延装置
2,22 スタンド
3,23 ワークロール
4,24 バックアップロール
5a,5b,25a,25b ロール冷却スプレー(ロール冷却装置)
5c,25c ロール冷却スプレー
6,26 水切りワイパ
7,27 スクレーパ
8,28,29 水切りワイパ(ワイピング装置)
9 水切りワイパ
10,30 潤滑剤供給スプレー(潤滑剤供給装置)
11,31 被圧延材冷却スプレー(冷却装置)
12,32 サイドガイド
S 被圧延材

Claims (2)

  1. 粗圧延された被圧延材を仕上圧延機で熱間仕上圧延する熱間仕上圧延方法であって、
    前記仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて、ワークロールの表面に冷却水を供給するとともに、バックアップロールとワークロールの両方の表面の水切りされた部分に潤滑剤を供給し、更に、ロールバイト入側の前記被圧延材の表面に冷却水を供給することを特徴とする熱間圧延方法。
  2. 粗圧延された被圧延材を熱間仕上圧延する仕上圧延機を有する熱間仕上圧延装置であって、
    前記仕上圧延機の少なくとも1基以上のスタンドにおいて、ワークロールの表面に冷却水を供給するロール冷却装置と、バックアップロールとワークロールの両方の表面の所定部分への水切りを行うワイピング装置と、該ワイピング装置によって水切りされた部分に潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置と、ロールバイト入側の前記被圧延材の表面に冷却水を供給する冷却装置とを備えることを特徴とする熱間圧延装置。
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