JP5114677B2 - 熱間圧延設備ならびに熱間圧延方法 - Google Patents

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本発明は、鉄鋼製造プロセスにおける熱間圧延工程で使用される熱間圧延設備であって、特にワークロールの肌荒れや焼付きなどを抑制するための熱間圧延設備及び熱間圧延方法に関する。
一般的に、鉄鋼製造プロセスにおける熱間圧延工程で用いられる圧延機には、ワークロールの肌荒れや焼付きを抑制するために、圧延中に潤滑剤を供給するための潤滑ヘッダーや、圧延中のロール温度上昇を抑えるためのロール冷却水用ヘッダーが設置され、これらの装置を用いてワークロールの肌荒れや焼付きを抑制しながら熱間圧延が実施されている。また、ロール材質を改善して肌荒れを抑制したり、潤滑油種を改良して焼付きを抑制したりする技術が開示されているものの、昨今の高張力鋼板などの硬い材料に対しては、従来の技術だけでは、ロールの肌荒れや焼付きが抑制されていないのが現状である。
一方、焼付きや肌荒れの発生に最も大きな影響を与えていると考えられているロール温度の上昇を抑えるために、ロールの温度上昇をもたらす熱源である、熱間鋼材からの入熱量をできるだけ小さくする技術が開示されている。例えば、特許文献1には、ミルバイト入側にシ−トバ−冷却ヘッダーと、油圧延ヘッダーと、ロ−ルクラント用ヘッダーとが備えられた熱間仕上圧延装置と、ミルバイト入側にデスケーリング装置とミルバイト冷却装置の両方が備えられた熱間粗圧延装置が開示され、ワークロール肌荒れの抑制や製品に発生するスケール疵の低減に有効であることが示されている。特許文献2には、ロールバイトに被圧延鋼材が噛み込まれる直前に被圧延鋼材の表面に冷却媒を供給して、表面を冷却して熱間圧延することによって、ワークロールの肌荒れを抑制する方法が開示されている。
潤滑油供給方法として、粒状の潤滑油を不燃性ガスで噴霧供給する手段が特許文献3に開示されており、ロールへの付着効率が高いため、少量の潤滑油供給量で大きな潤滑効果が得られることが知られている。
特開平7−68310号公報 特開平4−200903号公報 特開2003−94104号公報
しかしながら、被圧延鋼材の表面を冷却して直ちに熱間圧延する場合、熱間鋼材冷却用の冷却媒体の供給方法や供給条件によって冷却状態が大きく変化するので、被圧延鋼材を過剰に冷却したり冷却が不足したりして、冷却による効果が不安定となり材質のバラツキを引き起こす場合がある。また、被圧延鋼材の材質や板厚、板幅などのサイズによって、当該圧延機での適正な冷却条件が異なるので、特許文献1および2に記載されているような、鋼材冷却用ヘッダーから噴射される冷却媒体の供給量や圧力だけでは、必要とする冷却温度の制御能力が不足しており、黒皮生成剥離などのワークロールの肌荒れや焼付きを十分に抑制することができない。
さらに、板エッジ部は冷却されやすいことから、鋼板の中央部からエッジ近傍については表面温度を低くしたいが、エッジ部に関しては既に十分冷えていることから、鋼材冷却媒体を接触させたくない場合が多い。それに対して、特許文献1および2では、エッジ部の過剰冷却に関する課題認識が無く、エッジ部の過剰冷却による材質不合で、精整工程においてエッジ部を除去しなければならない場合も生じている。
一方、鋼材表面の温度を低くして圧延することになるため、温度低下による変形抵抗の増大から圧延荷重が増大する。圧延荷重が増大すると必要な圧下量がとれない場合が生じるため、圧延荷重を低減するために潤滑圧延を併用しなければならない。しかしながら、現状の潤滑圧延で採用されているエマルションによる潤滑圧延では、鋼板もしくはロール表面に水膜が存在すると潤滑効果が大幅に低減するため、エマルションによる潤滑圧延と鋼材冷却との効果を同時に発揮させるのが困難である。
従って、本発明は、鋼板表面を鋼材材質やサイズに応じて不燃性ガスヘッダーにより冷却エリアを調整することで、従来よりも冷却制御能力を向上させ、さらに不燃性ガスヘッダーをエッジ部にも独立に配設することで、エッジ部の過剰冷却を防止し、加えて、表層温度低下にともなう荷重増を減らすために、水存在下でも潤滑圧延効果が得られるガスアトマイズ潤滑供給法を併用することで、大幅な圧下スケジュール変更を伴うことなく、ロール肌荒れや焼付きを抑制するための熱間圧延設備ならびに熱間圧延方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究の結果、次のような知見を得た。
(1)冷却媒体を鋼板表面に供給したとき、ロールバイト入口付近で供給された冷却媒体が跳ね返って、鋼板表面の圧延方向の上流側に冷却媒が広がり、鋼板表面における冷却領域がかなりばらついている。
(2)このバラツキを抑制するために、鋼板表面の冷却媒体が圧延方向の上流側に広がらないように、不燃性ガス噴射ヘッダーを設けると、ガス噴射の噴射量によって、その広がり方を限定できる。
(3)上記(1)および(2)の手段は鋼板の上下面のどちらの面に対しても有効に作用する。
(4)エッジ部について、独立に不燃性ガス噴射ヘッダーを設置することによって、エッジ部に鋼板表面に供給した冷却媒体がエッジ部に接触することを防止できる。
(5)従来は圧延機入側のロール冷却水ヘッダーに対して、ロール回転方向の下流側、つまりロール冷却水ヘッダーよりもロールバイト入口に近いところで潤滑油を供給しないと潤滑効果が得られなかったが、ガスアトマイズ潤滑供給法を取り入れると、ロール冷却水ヘッダーに対して、ロール回転方向の上流側で潤滑油を供給しても、必要十分な潤滑効果が得られる。
本発明者らは、上記の知見に基づき、本発明に至った。すなわち本発明の要旨は次の通りである。
1) ロールバイト入側に鋼材冷却水用ヘッダーと、ロ−ル冷却水用ヘッダーおよび潤滑油供給用ヘッダーとが配設された熱間仕上圧延機において、鋼材冷却水用ヘッダーの圧延方向上流側に、不燃性ガス噴射ヘッダーを設置し、ロール回転方向に対して潤滑油供給用ヘッダーがロール冷却水用ヘッダーの上流側に設置され、当該潤滑油供給用ヘッダーで供給する潤滑油が粒状もしくは霧状の状態で不燃性ガスによって噴霧供給されることを特徴とする熱間圧延設備。
2) 上記1)記載の熱間圧延設備において、ロール回転方向に対してロール冷却水用ヘッダーの下流側に鋼材冷却水用ヘッダーとの間に、ロールに接触する水切板を設置することを特徴とする熱間圧延設備。
3) 上記1)または2)記載の熱間圧延設備において、不燃性ガス噴射ヘッダーを鋼材の圧延方向に向けて設置したものと、鋼材通板部の外から鋼材のエッジ部に向けて設置したものとを有することを特徴とする熱間圧延設備。
4) ロールバイト入側から鋼材冷却水、ロ−ル冷却水および潤滑油を供給する熱間仕上圧延方法において、圧延入側から被圧延材である鋼材に向けて鋼材冷却水を供給するとともに、供給される前記鋼材冷却水より圧延方向上流側の前記鋼材へ不燃性ガスを噴射し、圧延入側から圧延ロールに向けてロール冷却水を供給するとともに、供給された前記ロール冷却水より回転方向上流側のロールに潤滑油を供給し、当該潤滑油を粒状もしくは霧状の状態で不燃性ガスによって噴霧供給することを特徴とする熱間圧延方法。
5) 前記4)記載の熱間圧延設備において、ロールに接触する水切板を用いて、ロール回転方向に対してロール冷却水用ヘッダーの下流側に鋼材冷却水用ヘッダーとの間を仕切ることを特徴とする熱間圧延方法。
6) 前記4)または5)記載の熱間圧延設備において、不燃性ガスを鋼材の圧延方向に向けて噴射するとともに、鋼材通板部の外から鋼材のエッジ部に向けて不燃性ガスを噴射することを特徴とする熱間圧延方法。
本発明により、適正な鋼材表層冷却が可能になり、エッジ部の材質不合により除去することなく、更に圧延荷重負荷ネックで通常のパススケジュールを変更することなく、黒皮生成剥離などのワークロール肌荒れや焼付きを抑制することができた。また、ロール肌荒れや焼付きが抑制されたことによって、ロール交換周期が延長でき、生産性向上効果も享受できるようになった。ロール肌が美麗に保持されやすくなるため、ロール疵による製品品質劣化を回避でき製品品質も向上した。
本発明の効果を得るための実施形態としては、鋼材冷却用ヘッダーから供給される冷却媒体によって、熱間鋼材のロールバイト入側直前の板厚方向平均温度に対して、約30℃以上、好ましくは50℃以上鋼材表面温度を冷却させるか、もしくは鋼材表面温度を850℃以下に冷却させることが望ましい。これらの表面温度にして圧延すると、ロールへの入熱量が低減し、ロール肌荒れや焼付きを抑制することができる。これらの温度に調整するのに必要な鋼材冷却用ヘッダーからの冷却水量や冷却水噴射圧力は、圧延される鋼材の板厚や板厚方向平均温度によって異なるので、事前に適切な冷却条件を製品サイズや製品材質毎に決めておくことが好ましい。
このような鋼材表層冷却を1コイルの圧延中継続していると、噴射された鋼材冷却用の冷却媒体がロールに当たって圧延方向に対して反対の上流側に流れ広がり、圧延中同一冷却状態を保持するのが困難である。
これを改善するために、本発明の特徴の一つである、鋼材冷却用ヘッダーの圧延方向に対して反対の上流側に設けた不燃性ガス噴射ヘッダーによって、鋼材表面の冷却媒体の冷却領域をガス噴射によって限定すると、圧延中でも同一冷却状態を保持することが容易にできる。つまり、ロールと不燃性ガス噴射ヘッダーによって噴射されたガス流壁とで、鋼材冷却用ヘッダーから供給された冷却媒体を、ある領域に留めておくようにすることが重要である。このことは、鋼材の上面だけでなく下面においても有効に作用する。
こうした機能を発揮するには本発明の熱間圧延設備が必要になる。不燃性ガス噴射ヘッダーの設置位置は鋼材冷却用ヘッダーからの冷却媒体の流れをコントロールできる範囲内であればどこに設置してもよいが、好ましくは、鋼材冷却用ヘッダーから1.5m以内に設置するのが好ましい。この程度の距離であれば、気体流による冷却媒体の流れを広範囲にわたって制御できる。また、ロールバイト入口から2.5m以内に、不燃性ガス噴射ヘッダーを設置すると、ロール冷却水ヘッダーから跳ね返った冷却水についても、同じく広範囲にわたって冷却水の飛び散り範囲を限定することが可能である。
不燃性ガスとしては、空気、窒素、アルゴンやヘリウムなどの不活性ガスおよび二酸化炭素など、ガスバーナーなどの燃焼ガスとして使用されるもの以外のガスであって、かつ酸素や窒素と反応して爆発を誘引するガス以外のものであればよい。望ましくは、工業的に安価に入手可能なものがよいことは言うまでもない。
本発明では、ロール冷却水ヘッダーのロール回転方向に対して上流側に潤滑油供給用ヘッダーを設置すること、さらに潤滑油供給手段として、不燃性ガスによって粒状もしくは霧状にして潤滑油を噴霧する供給設備を備えた圧延設備であることが必要である。本発明の熱間圧延設備では、従来の熱間圧延設備よりもロールバイト入口付近に多量の水ないしは冷却媒が存在することになる。このような状態で、現在主流の潤滑法であるエマルション潤滑を用いても、大きな潤滑効果は期待できない。なぜならば、エマルション中の潤滑油分が水などの冷却媒によって、ロールに付着する前に流れ落ちてしまうからである。
しかし、気体に粒状もしくは霧状の潤滑油を噴霧する方法を用いると、ロールへの潤滑油の付着効率が大きいので、ロールバイト入口付近に多量の水などの冷却媒が存在しても、ロールに付着した潤滑油が離脱することなくロールバイト内に引き込まれるため、大きな潤滑効果を得ることができる。この効果は、気体に粒状もしくは霧状の潤滑油を噴霧する方法を用いる場合、ロール冷却水供給位置よりもロール回転方向の上流側、すなわち、先に潤滑油をロールに供給してからロール冷却水を供給しても、ほとんど同じ効果が得られる。エマルション潤滑法を採用すると、このような潤滑油供給ヘッダーの配置では、潤滑効果がほとんど得られない。
さらに、ロール冷却水がロールに供給される前に潤滑油をロールに供給してロール表面に潤滑膜を形成しておく方が、よりロールとの付着性が強い潤滑膜が形成される。加えて、潤滑油によっては水と反応して高付着性で潤滑効果やロール保護効果に優れた化合物を生成するものもあり、先にロール表面に潤滑膜を形成しておき、その上からロール冷却水を供給すると、前記の化合物がロール表面に生成され、潤滑油をロールに供給しただけでは得られない、優れた潤滑膜をロール表面に形成させることも可能になり、より一層効果的な潤滑圧延ができるようになる。
通常、ロール冷却水が鋼材にかかって温度低下を招かないように、水切板が設置されている。本発明のように鋼材冷却を施す場合、ロール冷却水がそのまま鋼材にかかっても良い場合もあるが、多くの場合、ロール冷却水と鋼材冷却水の両方がかかると、鋼材表面には非常に多くの量の水(冷却媒)が存在することになる。あまりにも多くの冷却媒が存在すると、ガス噴射による冷却領域の限定が困難になるため、ロール冷却水が鋼材にかからないように、水切板を設けた方がよい。ロールの冷却と鋼材表層の冷却機能は分離した方が、種々の鋼種やサイズに適した温度条件に対して、有効かつ広範囲な鋼材表層冷却ができる。
一般的に、鋼材のエッジ端部は中央部よりも冷えやすいので、中央部と同じ条件で冷却すると材質の造り込みができなくなる。すると、圧延後に目的とする材質に仕上がらなかったエッジ部は切り落として製品にしなければならないので、歩留まりの大幅低下や、規格サイズ未達による造り直しが発生し、生産性の大きな阻害要因となる。これは鋼材冷却を実施する場合、最も懸念される課題であるが、この解決策として本発明では、図2に示すように、エッジ部に専用のガス噴射ヘッダー(7’)を設けて、エッジ部における冷却領域を鋼材中央部と分けて調整できるようにする。これによって、例えば鋼材のエッジ端から約10cmのところは、ロールバイト入口から約30cm上流側まで冷却領域を限定し、それ以外のところについては、ロールバイト入口から約1m上流側まで冷却領域を設定するようにガス噴射条件(例えば圧力など)を設定することによって、鋼材の幅方向にほぼ均一な温度に保ったまま鋼材表層を冷却して圧延することが可能になる。
2HI熱間コイル圧延実験装置に、図1の模式図に示すような、ロール冷却水用ヘッダー4、潤滑油供給用ヘッダー3、鋼材冷却水用ヘッダー6、水切板5を設置し、ロール間隙一定で圧延することによって、ロールの熱膨張による荷重増加速度を測定した。ロール直径は400mm、胴長100mm、潤滑油の供給は、ガスアトマイズ潤滑供給装置を設置して潤滑圧延を行った。ロール冷却水用ヘッダー4からは毎分1リットルの水をロール胴長全面に供給した。潤滑油供給用ヘッダー3はロール冷却水用ヘッダー4の上部に設置し、ロール冷却水用ヘッダー4の下に水切板5を設置した。水切板の下に鋼材冷却ヘッダー6を設置して、鋼材表面に毎分300ccの水を噴射するようにした。これらは上ロール側の配置であり、下ロール側については対称となるようなヘッダーの配置とした。
鋼材冷却範囲を調整するための不燃性ガス噴射ヘッダー7は鋼材冷却水用ヘッダー6の後面側約50cm離れた場所に設置し、噴射圧力を変えて鋼材冷却領域を変化させた。なお、板幅が広い(例えば200mm以上の板幅)材料を圧延する場合には、エッジ部の過剰冷却がなされないように不燃性ガス噴射ヘッダー7’を鋼材の両エッジ部に向けてガスが噴射されるようにすることが望ましいが、今回は板幅が50mmであるため、エッジ部の不燃性ガス噴射ヘッダー7’は設置しなかった。
圧延速度は100m/min、ロールはSKD11(JIS G4404)材、被圧延鋼材はSPCC(JIS G3141)材の厚さ1mm、幅50mm、長さ1000mのコイルである。入側コイラーは加熱炉になっており、窒素雰囲気下で1000℃に加熱してから圧延実験を行った。圧延開始直後の圧下率は30%になるようにロール間隙を設定し、その後はロールギャップを一定のまま圧延を行った。圧延開始後、圧延速度を増加し、所定の圧延速度に達してから、鋼材冷却範囲をロールバイト入口から20cmおよび60cmになるように、ガス噴射量を調整して、ロールの熱膨張に伴う圧延荷重の増加速度を調査した。なお、入出側の板張力は約1〜4kgf/mm程度で実施した。
図4は、そのときの圧延荷重の経時変化を示す。圧延開始して所定の圧延速度と所定のロールギャップへの設定を完了してから1分後(t1点)の圧延荷重増加率△P(圧延速度とロールギャップ設定完了時の圧延荷重(P0)に対する、その後の圧延荷重(P1)の増加量を圧延荷重P0で割ったときの比率(△P=(P1−P0)/P0×100(%)))という指標で本発明の効果を比較・検証した。
鋼材冷却を実施しなかった従来の場合の△Pは約20%であったのに対して、本発明の鋼材冷却を実施し、ガス噴射によって冷却領域を20cmにした場合の△Pは約10%、さらに本発明の冷却領域を60cmにした場合の△Pは6%と、ガス噴射による鋼材冷却領域を調整することによって、ロールの熱膨張にともなう圧延荷重増加率が著しく変化した。このことは、ロールへの鋼材からの入熱量が低減したことを意味しており、しかも冷却領域を限定することで、その効果を有効かつ効率的に引き出すことができるものである。
この結果ロール肌荒れ低減に大きく寄与するものである。ちなみに、それぞれの条件における圧延後のロール表面を観察すると、鋼材冷却を実施していなかったものについてはロール肌荒れの一つである黒皮の生成と剥離現象が観察されたのに対し、冷却領域を20cmにしたものはロール表面に薄い黒皮が生成していた。さらに冷却領域を60cmにしたものは黒皮の生成も認められなかった。
前記の圧延実験に加えて、潤滑圧延を実施したときの圧延荷重の変化をあわせて調査した。潤滑油には市販の鉱油系熱間圧延潤滑油(40℃の動粘度が118cSt)を使用し、毎分10cc、0.3MPaの圧力の空気によってロールに噴霧供給した。潤滑油を供給したときの圧延荷重は、潤滑油を供給しないときの圧延荷重よりも約20%低減し、鋼材の表層温度低下によって圧延荷重が高くなっても、本発明によれば潤滑圧延を併用することで、従来と同等のパススケジュールで圧延することができることが明らかになった。
4HI(4段)熱間圧延機のロール冷却水ヘッダー4、潤滑油供給ヘッダー3、水切板5、鋼材冷却用ヘッダー6、不燃性ガス噴射ヘッダー7を配置した本発明の、ロール軸方向から見た模式図である。 図1を上からみたときの本発明のロール冷却水ヘッダー4、潤滑油供給ヘッダー3、水切板5、鋼材冷却用ヘッダー6、不燃性ガス噴射ヘッダー7と、エッジ部用の不燃性ガス噴射ヘッダー7’と鋼材表面に供給した冷却媒体8の冷却領域の限定を実施したときの模式図である。 現状の4HI熱間圧延機のロール冷却水ヘッダー4、潤滑油供給ヘッダー3、水切板5、鋼材冷却用ヘッダー6に関する、従来技術を、ロール軸方向から見た模式図である。 本発明と従来技術の効果を比較するための実験結果を示す説明図である。
符号の説明
1:ワークロール、 1’:バックアップロール
2:被圧延熱間鋼材
3:潤滑油供給用ヘッダー
4:ロール冷却水ヘッダー
5:水切板
6:鋼材冷却ヘッダー
7:不燃性ガス噴射ヘッダー、 7’:エッジ部用の不燃性ガス噴射ヘッダー
8:鋼材表層冷却用の冷却媒体

Claims (6)

  1. ロールバイト入側に鋼材冷却水用ヘッダーと、ロ−ル冷却水用ヘッダーおよび潤滑油供給用ヘッダーとが配設された熱間仕上圧延機において、鋼材冷却水用ヘッダーの圧延方向上流側に、不燃性ガス噴射ヘッダーを設置し、ロール回転方向に対して潤滑油供給用ヘッダーがロール冷却水用ヘッダーの上流側に設置され、当該潤滑油供給用ヘッダーで供給する潤滑油が粒状もしくは霧状の状態で不燃性ガスによって噴霧供給されることを特徴とする熱間圧延設備。
  2. 請求項1記載の熱間圧延設備において、ロール回転方向に対してロール冷却水用ヘッダーの下流側に鋼材冷却水用ヘッダーとの間に、ロールに接触する水切板を設置することを特徴とする熱間圧延設備。
  3. 請求項1または2記載の熱間圧延設備において、不燃性ガス噴射ヘッダーを鋼材の圧延方向に向けて設置したものと、鋼材通板部の外から鋼材のエッジ部に向けて設置したものとを有することを特徴とする熱間圧延設備。
  4. ロールバイト入側から鋼材冷却水、ロ−ル冷却水および潤滑油を供給する熱間仕上圧延方法において、圧延入側から被圧延材である鋼材に向けて鋼材冷却水を供給するとともに、供給される前記鋼材冷却水より圧延方向上流側の前記鋼材へ不燃性ガスを噴射し、圧延入側から圧延ロールに向けてロール冷却水を供給するとともに、供給された前記ロール冷却水より回転方向上流側のロールに潤滑油を供給し、当該潤滑油を粒状もしくは霧状の状態で不燃性ガスによって噴霧供給することを特徴とする熱間圧延方法。
  5. 請求項4記載の熱間圧延設備において、ロールに接触する水切板を用いて、ロール回転方向に対してロール冷却水用ヘッダーの下流側に鋼材冷却水用ヘッダーとの間を仕切ることを特徴とする熱間圧延方法。
  6. 請求項4または5記載の熱間圧延設備において、不燃性ガスを鋼材の圧延方向に向けて噴射するとともに、鋼材通板部の外から鋼材のエッジ部に向けて不燃性ガスを噴射することを特徴とする熱間圧延方法。
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