JP6034999B1 - 医療用テープ - Google Patents

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慎一郎 久野
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Abstract

皮膚の創傷治癒のために創傷上に又は創傷治癒後の瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制のために瘢痕上に貼着されるために好適な医療用テープを提供する。プラスチックフィルム又は箔からなる伸縮性のある柔軟な基材と、感圧性接着剤層を介して前記基材の一方の面に貼着された離型紙と、前記基材の他方の面にシリコーン被覆層及び微粘着層を順に形成してそれらを介して貼着された2枚のプラスチックフィルムからなる支持体であって、前記基材の長手方向中間においてその幅方向にわたって互いに突き合わされる剥離可能な支持体とを備えることを特徴とする医療用テープ。本発明の医療用テープは、伸縮性の基材上にシリコーン被覆層及び微粘着層を介して2枚の幅方向にわたって突き合わされる剥離可能な支持体を貼着しているため、2枚の支持体を分割する方向に基材を引き伸ばしながら創傷面又は瘢痕面に貼着したとき、支持体が浮き上がることなく、創傷面又は瘢痕面に当たる部分付近のみを収縮させ、それ以外の部分は収縮力がかからないように基材の応力負荷部分を限定することができる。

Description

本発明は、皮膚の創傷治癒時の創傷又は創傷治癒後の瘢痕に貼着して使用される医療用テープに関し、特に外科手術や外傷等によって生じた皮膚創傷の治癒後の瘢痕成熟過程において、瘢痕上に貼着して、瘢痕の肥厚・拡大・伸展を抑制・予防するために効果的な医療用テープに関するものである。
従来から、皮膚の創傷治癒促進のために創傷面に貼着したり、又は創傷治癒後の瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制・予防のために瘢痕面に貼着する医療用テープとして紙製で伸展しないものが多く使用されている。このような医療用テープを創傷治癒後の瘢痕成熟過程において使用した場合は、瘢痕に対して十分な応力がかからないため、瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制効果が弱い。
また、創傷治癒過程においては創傷接合のために多種の外科用ステープリングデバイス(クランプの様な顎構造を持つ創傷部を外側の皮膚から固定する固定具)が使用されているが、皮膚への侵襲が大きい。皮膚を固定するという点でテープと似通っているが、創傷治癒後に抜去するものであるため、瘢痕成熟過程における瘢痕の肥厚・拡大・伸展には効果がない。
さらに、皮膚の創傷を閉鎖するために縫合糸を組み合わせて使用する外科用創傷閉鎖テープが提案されている(特許文献1参照)。このテープは、その表面に複数のくぼみを設け、引張りなどの応力をかけて創傷面に貼着した場合に、くぼみの弾性回復力によって創傷の一時的閉鎖を図り、創傷の接合を促進するものである。しかし、このテープは、全ての面に引張りなどの応力がかかるため、貼着後に創傷以外の部分にもテープの収縮力が働き、長時間皮膚に貼付し続けることは難しかった。また、くぼみ部分に汚れがたまり、不潔になりやすい問題があった。また、このテープも創傷治癒後に除去するものであり、瘢痕成熟過程における瘢痕の肥厚・拡大・伸展には効果がない。
また、瘢痕成熟過程は個人差もあるが、非常に長い時間を必要とする。そのように長時間皮膚に貼付し続ける場合は、皮膚への負担がより小さいテープが求められるが、その要求に応える医療用テープが存在しないのが現状である。
特許2571775号公報
本発明は、上述のような従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、皮膚の創傷治癒促進のために創傷上に、又は創傷治癒後の瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制・予防のために瘢痕上に貼着されるために好適な医療用テープを提供することであり、特に創傷又は瘢痕に応力をかけながら貼着し、その弾性回復力(収縮力)によって創傷の接合を促進し、又は瘢痕の肥厚・拡大・伸展を抑制しつつ、基材の収縮範囲を創傷又は瘢痕面付近に限定することで貼着時の皮膚への負担を極力軽減させた医療用テープを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(7)の構成を有するものである。
(1)プラスチックフィルム又は箔からなる伸縮性のある柔軟な基材と、感圧性接着剤層を介して前記基材の一方の面に貼着された離型紙と、前記基材の他方の面にシリコーン被覆層及び微粘着層を順に形成してそれらを介して貼着された2枚のプラスチックフィルムからなる支持体であって、前記基材の長手方向中間においてその幅方向にわたって互いに突き合わされる剥離可能な支持体とを備えることを特徴とする医療用テープ。
(2)前記支持体の突き合わせ部を覆うように貼着された粘着プラスチックテープからなる支持体剥離片であって、前記支持体の突き合わせ部と略同じ形状で略同じ位置に形成された切り込みを有する分割可能な支持体剥離片をさらに備えることを特徴とする(1)に記載の医療用テープ。
(3)基材が、5μm〜100μmの厚さのポリウレタンフィルム又は箔からなることを特徴とする(1)又は(2)に記載の医療用テープ。
(4)支持体が、20μm〜120μmの厚さのPETフィルムからなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の医療用テープ。
(5)基材と離型紙との間の感圧性接着剤層の粘着力が、シリコーン被覆層と支持体との間の微粘着層の粘着力よりも大きいことを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の医療用テープ。
(6)基材に支持体を貼着している状態で基材を、支持体剥離片を分割する方向に引き伸ばす過程で生じる基材の伸びは、支持体が突き合わせ部から分離された2枚の支持体に接していない基材の部分を中心に生じることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の医療用テープ。
(7)創傷の治癒後の瘢痕成熟過程において瘢痕の肥厚、拡大、又は伸展を抑制又は予防するために用いられることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の医療用テープ。
本発明の医療用テープは、伸縮性の基材上にシリコーン被覆層及び微粘着層を介して2枚の幅方向にわたって突き合わされる剥離可能な支持体を貼着しているため、2枚の支持体を分割する方向に基材を引き伸ばしながら創傷面又は瘢痕面に貼着したとき、支持体が浮き上がることなく、創傷面又は瘢痕面に当たる部分付近のみを収縮させ、それ以外の部分は収縮力がかからないように基材の応力負荷部分を限定することができる。そのため、貼着時の皮膚への負担が極めて少なく、皮膚のかぶれの問題が生じにくい。
また、本発明の医療用テープは、基材上に支持体や支持体剥離片を貼着しているため、保管中において基材へのゴミやほこりの侵入や付着あるいは基材の汚れを効果的に防止することができる。
さらに、本発明の医療用テープは、支持体剥離片が支持体の突き合わせ部の上に設けられており、突き合わせ部の剛直性を強化しているため、伸縮性の基材を被着体に貼着した後、基材の若干の湾曲によっても支持体の支持体剥離片を貼着している端部が基材から離れ、浮き上がりやすく、この浮き上がった端部は、支持体を基材から引き剥がすためのつまみ(タブ)として効果的に機能し、支持体を基材からきれいに簡単に剥がすことに寄与することができる。
図1は、本発明の医療用テープの長手方向断面図である。 図2は、図1の医療用テープの平面図である。
以下、図面を参照して本発明の医療用テープの一例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明の医療用テープの説明において長手方向及び幅方向の用語を使用しているが、医療用テープが正方形の場合は、長手方向と幅方向は同じ長さになるため、それらは単に直交する辺の方向の意味である。
図1は、本発明の医療用テープの一例の長手方向断面図であり、図2は、その平面図である。図において、1はフィルム状または箔状の基材、2は基材1の一方の面に設けた感圧性接着剤層、3は感圧性接着剤層2の上に設けた離型紙、4は離型紙3の突き合わせ部、5は基材1の他方の面に設けたシリコーン被覆層、6はシリコーン被覆層5の上に設けた微粘着層、7は微粘着層6の上に設けられ、かつ互いに突き合わせられる2枚のプラスチックフィルムからなる支持体、8は2枚の支持体7の突き合わせ部、9は粘着層、10は粘着層9とともに粘着プラスチックテープを構成する支持体剥離片である。また、支持体剥離片10は2枚の支持体7の突き合わせ部8と略同じ形状で略同じ位置に形成された切り込みを有し、それにより2枚の支持体剥離片10を互いに逆方向に容易に分割することが可能である。
ここにおいて、本発明の医療用テープに使用される基材1は、伸縮性及び柔軟性のあるプラスチックフィルム又は箔からなり、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素含有共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの熱可塑性樹脂から構成される。この中でも特に選択的に伸縮可能で、皮膚への応力の負荷を極力抑えることができるポリウレタン樹脂が本発明の基材として好ましい。また、基材の厚さは、好ましくは5μm〜100μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは5μm〜20μmである。
また、基材1は、透明であっても不透明であってもよく、着色されていても非着色であってもよいが、創傷又は瘢痕等の患部を上から見ながら貼着しなければならないような用途では伸長時に透明となるフィルムであることが好ましい。
基材1の一方の面に感圧性接着剤層2が設けられているが、この感圧性接着剤層2は医療用としてカブレや刺激の少ない接着剤が選択される。感圧性接着剤層の主成分としては、天然ゴム、水系高分子エマルジョン、熱可塑性ゴム、ポリウレタン、ポリアクリルエステルコポリマー等が適宜選択されて使用される。また、これらの溶媒としては、水系、溶剤系いずれも使用することができる。
感圧性接着剤層2の上には、その全体をカバーするように離型紙3が設けられている。離型紙3は、図1,2に示すように感圧性接着剤層2の面をカバーし、幅方向Wに付き合わせられた2枚の離型紙からなることができる。離型紙3の材質としては、テープの離型紙として通常用いられるものであればよく、シリコーン処理されたグラシン紙、もしくはPET,OPPなどのプラスチックフィルム、テフロン(登録商標)フィルム、シリコーン処理されたポリエチレンをラミネートしたクラフト紙、グラシン紙及び上質紙等が好適に用いられる。離型紙3の剥離は、突き合わせ部4を頂部として山形に折り曲げ、突き合わせ部4で感圧性接着剤層2と離型紙3の間を剥離させ、それによって得られた二つの剥離部分をそれぞれ持って両端末方向に引っ張ることによって行うことができる。この場合、離型紙3には剥離方向を示す矢印を印刷することが好ましい。
離型紙3の感圧性接着剤層2からの剥離力については、施用にあたって剥離に手間取ったり、離型剤層の層間剥離を引き起こすおそれがない程度であることが好ましい。
基材1の他方の面(背面)には、シリコーン被覆層5及び微粘着層6が順に形成され、それらを介して2枚のプラスチックフィルムからなる支持体7が剥離可能に貼着されている。
支持体7は、基材の長手方向中間においてその幅方向にわたって互いに突き合わされる突き合わせ部8を有している。さらに、支持体7の突き合わせ部8の上には、所望幅の粘着プラスチックテープからなる支持体剥離片10(粘着層は9)が幅方向Wに貼り合わされて設けられている。
ここにおいて、支持体7を構成する2枚のプラスチックフィルムは、公知の熱可塑性樹脂からなるフィルムから選択することができるものであり、特に前述した基材1を構成する箔またはフィルムとシリコーン被覆層5及び微粘着層6を介して剥離できる程度に貼着することができ、基材1の伸長時に基材1の一部の伸長を抑制することのできる寸法安定性があるものであることが必要である。これらのプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などのフィルム等が基材1との組合せにおいて適宜選択される。これらの中では、被着体への追従性及び寸法安定性の点でPETフィルムが好ましく用いられる。支持体7の厚さは、好ましくは20μm〜120μm、より好ましくは20μm〜100μm、さらに好ましくは20μm〜80μmである。
支持体7は2枚のプラスチックフィルムを幅方向Wにわたって突き合わせて構成するが、その突き合わせ部8は、基材1の長手方向中間において、特に基材1の長手方向Lに対して基材1の一方の端部から1/4以上3/4以下の長さの位置で、好ましくは3mm以上15mm以下、より好ましくは4mm以上10mm以下の長さで幅方向に設けられることが好ましい。突き合わせ部8の形状は、幅方向の一方の端から他方の端まで一筆書きで続く直線及び曲線の組み合わせであることが好ましく、例えば鍵形、波形の幾何学的形状が挙げられる。
基材1と支持体7の間にはシリコーン被覆層5及び微粘着層6が設けられるが、微粘着層6は支持体7と支持体剥離片10の間の粘着層9より小さい力で基材1と支持体7の間を粘着させるために設けられ、シリコーン被覆層5は支持体7を剥離する際の基材1に対する剥離力を軽くするために設けられる。また、シリコーン被覆層5があることで、基材を伸長する際の支持体7の滑りをよくし、基材の破断を防ぐ。シリコーン被覆層5がない場合において、基材の伸張速度を早める程、破断が生じる頻度が上がることが分かっている。シリコーン被覆層5は、滑り性を有するシリコーンから構成されれば特に限定されないが、例えばポリジメチルシロキサンを主成分とし、これに架橋剤としてポリメチルハイドロジェンシロキサンを加えたものが使用される。ポリジメチルシロキサンの分子量、官能基量、化学組成やポリメチルハイドロジェンシロキサンの配合量、分子量、化学組成は適宜変更、選択して使用される。シリコーン被覆層5の厚みは0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。微粘着層6は、粘着力が極めて弱い層であり、感圧性接着剤層2と同様の材料の使用が可能である。例えばポリアクリルエステルコポリマーが使用され、溶媒としては、水系、溶剤系いずれも使用される。微粘着層の厚みは1〜15μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましい。シリコーン被覆層5は、離型紙3を除去した後に支持体7の両端をつかみ、支持体7を2つに分割する方向に基材1を引き伸ばした際に、支持体7が微粘着層6とともに滑り、支持体7が基材1から浮くことなしに突き合わせ部8付近の基材1のみが引き伸ばされることを可能にする。これにより突き合わせ部8付近の基材1のみに長手方向の収縮力を働かせることができ、結果として基材の収縮範囲を創傷面又は瘢痕面付近に限定して、貼着時の創傷面又は瘢痕面以外の皮膚の部分への負担を軽減することができる。
支持体剥離片10は、支持体7の剥離を容易にするため及び支持体7の突き合わせ部8の汚れ防止のために支持体7の突き合わせ部8を覆うようにその上に設けられるものであり、長手方向の長さの1/2から1/6で全幅方向にわたって設けられることが好ましい。支持体剥離片10は、支持体7の突き合わせ部8と同じ形状で同じ位置に形成された切り込み(又は突き合わせ部)を有し、2つに分割可能である。支持体剥離片10は、粘着層9とともに粘着プラスチックテープからなり、寸法安定性の点で支持体と同様の材料から構成されることが好ましい。粘着層9は、従来公知の粘着剤を使用して構成され、水系、溶剤系いずれの溶媒も使用することができる。支持体剥離片10の厚さは2μm〜100μmであることが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。
本発明の医療用テープでは、基材1に支持体7を貼着している状態での基材の引張距離が3mmのときに引張破断強度が2.0N/25mm〜10.0N/25mm、5mmのときに引張破断強度が2.5N/25mm〜9.0N/25mmであることが好ましい。ここで基材の引張破断強度とは、基材に引張力を付与し、基材を引き伸ばす過程で破断する時点での引張力から算出でき、その値は引っ張りの際の破断に耐えうる力の上限値を意味する。引張破断強度が上記未満では、基材を引っ張る際に破断してしまうおそれがある。
本発明の医療用テープでは、基材1と離型紙3との間の感圧性接着剤層2の粘着力は、シリコーン被覆層5と支持体7との間の微粘着層6の粘着力よりも大きいことが好ましい。これは、被着体にテープを貼着した後に支持体を基材から剥がす際にテープが被着体から離れずに剥がすことができるようにするためである。基材1と離型紙3との間の感圧性接着剤層2の粘着力は、1.0N/25mm〜7.0N/25mmが好ましく、シリコーン被覆層5と支持体7との間の微粘着層6の粘着力は、0.01N/25mm〜0.5N/25mmが好ましい。
本発明の医療用テープでは、基材1に支持体7を貼着している状態で基材1を、支持体剥離片10を分割する方向に引き伸ばす過程で生じる基材1の伸びは、支持体7が突き合わせ部8から分離された2枚の支持体7に接していない基材1の部分を中心に生じることが好ましい。これは、本発明の本質的な特徴であり、創傷面又は瘢痕面付近の基材のみを伸ばし、創傷面又は瘢痕面付近にのみ基材の収縮力という応力を及ぼすためである。
本発明の医療用テープでは、支持体剥離片10、粘着層9、支持体7、微粘着層6、及び離型紙3を除去して感圧性接着剤層2を露出した状態で引張力を付与して基材1を5mm伸ばした直後に、引張力をゼロにしたときの収縮力が0.10N/25mm〜3.0N/25mmであることが好ましい。中でも収縮力が0.20N/25mm〜2.0N/25mmであることが好ましい。また、10mm伸ばした直後に、引張力をゼロにしたときの収縮力についても同様の値であることが好ましい。これは、収縮力が弱いと創傷の接合又は瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制に効果がなくなるためである。また、逆に強すぎると水泡やびらん形成、発赤などの副作用が生じると考えられ、基材の収縮力が感圧性接着剤層2の粘着力よりも大きい場合は、皮膚からテープが脱落してしまう可能性もある。収縮距離が上記範囲を逸脱すると、創傷や瘢痕に対して効果的な収縮力が得られなかったり、また破断が発生してテープとして使用できないおそれがある。
次に、上述のような本発明の医療用テープの施用例について述べると、まず離型紙3の突き合わせ部4を頂点として医療用テープ全体を山形に折り曲げ、突き合わせ部4から離型紙3を分離し、この分離した二つの離型紙3の短い方を端末方向に引っ張って感圧性接着剤層2より剥離した後、露出した感圧性接着剤層2の部分を被着体に貼着する。そして、残りの離型紙3の長い方を端末方向に引っ張って感圧性接着剤層2より剥離しながら、剥離されて裏返った離型紙3と医療用テープ全体を一緒に持って同じ長手方向の端末方向に伸長する。このとき、基材1が伸長し、支持体7の突き合わせ部8が大きく開くが、開いた突き合わせ部8を治癒したい創傷面又は瘢痕面に当てながら、残りの離型紙3の部分を被着体に貼着する。結果として、開いた突き合わせ部8が当たる創傷面又は瘢痕面にのみ基材1の収縮力が作用する。また、離型紙3は中から外に向けて引き剥がされるので基材1の端部は引き起こされたり、しわになったりすることなく、被着体に密着される。この後、医療用テープ全体を上から軽く押さえてならし、感圧性接着剤2を被着体に完全に密着させ、支持体7の突き合わせ部8と一緒に分離した支持体剥離片10を両端末方向に向けて引き剥がすことによって貼着を終了する。
《医療用テープの作製》
図1,2において、長さ(L)50mm、幅(W)25mm、厚さ7μmの透明なポリウレタンフィルムからなる基材1の一方の面に感圧性接着剤層2としてアクリル系粘着剤が塗布され、さらにこの感圧性粘着剤層2上に基材1の端末部より15mmに突き合わせ部4を有する離型紙3(シリコーン処理されたポリエチレンをラミネートした上質紙)が設けられた。基材1の他方の面にシリコーン被覆層5が3μm厚さで塗布された。さらに支持体7としてアクリル系粘着剤からなる微粘着層6が5μm厚さで塗布された図2に示すような位置及び形状で基材1の略中央に突き合わせ部8を持つ2枚の透明PETフィルムを微粘着層6とシリコーン被覆層5が隣接するように設け、さらに支持体7の上に粘着層9の付いた支持体剥離片10を設けた。なお、支持体剥離片10は、一方の端末部から長手方向に17.5mm〜32.5mmの範囲にわたって設け、突き合わせ部8と同じ位置及び同じ形状で切り込みを設けた。
《粘着力試験》
上述のようにして作製された医療用テープから、(i)支持体剥離片10、粘着層9、支持体7、微粘着層6、及び離型紙3を除去して感圧性接着剤層2を露出したもの、及び(ii)離型紙3、感圧性接着剤層2、基材1、及びシリコーン被覆層5を除去して微粘着層6を露出したものをそれぞれ用意した。(i)感圧性接着剤層2を露出したシート及び(ii)微粘着層6を露出したシートのそれぞれの露出面をベークライト板に貼着し、室温で20分間静置した。静置後、両露出シートの端末部を引張試験機で引張速度300mm/分で引っ張り、それぞれの粘着力(N/25mm)を測定した。測定は、10枚の医療用テープで行ない、測定結果はそれらの平均値で示した。
《収縮力試験》
上述のように感圧性接着剤層2を露出した医療用テープを用意し、このテープの両端末部を引張試験機(島津製作所製AGS‐X)にセットした。室温下において、3mm引張伸張した後に、引張試験機で収縮速度300mm/分でテープを収縮させ、このテープが収縮して引っ張り前の形状に戻ろうとする力(収縮力(N/25mm))を測定した。測定は、10枚の医療用テープで行ない、測定結果はそれらの平均値で示した。
粘着力試験及び収縮力試験の測定結果を以下の表1に示す。
表1からわかるように、上述の医療用テープは、創傷治療及び瘢痕の肥厚・拡大・伸展の抑制に使用するために好適な性能を持つものであることが認められる。
《破断試験》
上述のようにして作製されたシリコーン被覆層ありの医療用テープと、シリコーン被覆層がないことを除いて全く同じ構成の医療用テープを用意した。各医療用テープについて離型紙3を除去して両端末部を引張試験機(島津製作所製AGS‐X)にセットした。引張速度300mm/分、400mm/分、500mm/分、600mm/分のそれぞれで各医療用テープを40mmまで引き伸ばす過程で破断が生じるか否かを確認した。それぞれの速度において20回ずつ引張試験を行い、破断した回数を破断頻度として表示した。
破断試験の破断頻度の結果を以下の表2に示す。
表2からわかるように、シリコーン被覆層がある医療用テープは、シリコーン被覆層がない医療用テープと比較して全ての引張速度において破断が生じないか、又はほとんど生じない結果となった。シリコーン被覆層があることで、引き伸ばしの際に剥離力が軽くなり、引き伸ばされる部分に負担がかからない。また、シリコーン被覆層があることで、テープ貼付時に破断の心配が少ないという優位性が認められる。
《瘢痕肥厚抑制に関する実用性試験》
皮膚縫合後の創傷を持つ被験者を5名用意し、そのうち3名の被験者の皮膚縫合部の創傷治癒後の瘢痕上に上述のようにして作製された医療用テープを貼付して、瘢痕の肥厚・拡大・伸展の状況の確認を行った。なお、医療用テープは、両端末部を引っ張って5mm伸ばして突き合わせ部が被験者の瘢痕上になるように貼付した。テープの貼り換えは、被験者自身の手によって週に1−2回の割合で行なわれた。いずれの被験者も貼付180日後の評価において、瘢痕肥厚がほとんど目視では確認できない程度に抑制されていた。
一方、残りの2名の被験者に対して上述の医療用テープにおいて基材の収縮力を働かせずに同様に瘢痕上に処置したところ、貼付180日後の評価において瘢痕の肥厚・拡大・伸展(ケロイド形成)が見られる被験者が存在した。
本発明の医療用テープは、創傷面又は瘢痕面の周辺部のみに基材の収縮力が付与され、それ以外の皮膚には基材の収縮力が付与されないようにしているので、創傷又は瘢痕の治癒を進めながら、貼着時の皮膚に対する負担を大幅に軽減することができる。また、基材の収縮力持続時間が長いため、長期間貼り替えずに使用できる。
1 基材
2 感圧性接着剤層
3 離型紙
4 突き合わせ部
5 シリコーン被覆層
6 微粘着層
7 支持体
8 突き合わせ部
9 粘着層
10 支持体剥離片
L 長手方向
W 幅方向

Claims (7)

  1. プラスチックフィルム又は箔からなる伸縮性のある柔軟な基材と、感圧性接着剤層を介して前記基材の一方の面に貼着された離型紙と、前記基材の他方の面にシリコーン被覆層及び微粘着層を順に形成してそれらを介して貼着された2枚のプラスチックフィルムからなる支持体であって、前記基材の長手方向中間において基材の幅方向にわたって互いに突き合わされる剥離可能な支持体とを備えること、及び前記微粘着層の粘着力が、0.01N/25mm〜0.5N/25mmであることを特徴とする医療用テープ。
  2. 前記支持体の突き合わせ部を覆うように貼着された粘着プラスチックテープからなる支持体剥離片であって、前記支持体の突き合わせ部と略同じ形状で略同じ位置に形成された切り込みを有する分割可能な支持体剥離片をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の医療用テープ。
  3. 基材が、5μm〜100μmの厚さのポリウレタンフィルム又は箔からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の医療用テープ。
  4. 支持体が、20μm〜120μmの厚さのPETフィルムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の医療用テープ。
  5. 基材と離型紙との間の感圧性接着剤層の粘着力が、シリコーン被覆層と支持体との間の微粘着層の粘着力よりも大きいことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の医療用テープ。
  6. 基材に支持体を貼着している状態で基材を、支持体剥離片を分割する方向に引き伸ばす過程で生じる基材の伸びは、支持体が突き合わせ部から分離された2枚の支持体に接していない基材の部分を中心に生じることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の医療用テープ。
  7. 創傷の治癒後の瘢痕成熟過程において瘢痕の肥厚、拡大、又は伸展を抑制又は予防するために用いられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療用テープ。
JP2016534744A 2015-05-29 2016-01-08 医療用テープ Active JP6034999B1 (ja)

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