JP6029205B2 - 鉄ヨーク一体嵌合アウターロータおよびその磁石の製造方法 - Google Patents

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本発明は、小型モータに広く利用される、磁気的に等方性の環状希土類−鉄系ボンド磁石を用いた鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法に関する。さらに詳しくは、圧縮成形により、希土類−鉄系磁石薄片と常温で固体の熱硬化性樹脂組成物と残留空隙とを含みて成る、高機械強度、低スプリングバックの環状圧粉体を構成する第1の工程と、環状鉄ヨークの内側に前記環状圧粉体を挿入し、加熱することにより、前記環状圧粉体を構成する熱硬化性樹脂組成物のゲル化前に環状圧粉体外周面と環状鉄ヨーク内周面とを所定の位置で拘束(密着)せしめ、該拘束状態にて熱硬化性樹脂組成物をゲル化、熱硬化せしめてボンド磁石とする第2の工程とを含む、鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法に関する。
小型モータに広く利用される磁気的に等方性の環状希土類−鉄系ボンド磁石を用いたアウターロータ磁石は、例えば以下のように製造される。まず、NdFe14Bの化学量論組成に近い合金組成を有するNd12Fe77Co(atomic%)溶湯合金を急冷凝固した平均結晶粒径60nm以下のナノ結晶(nanocrystalline)薄帯を粉砕した磁石
薄片を、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂組成物とともに所定の形状に圧縮成形して環状圧粉体を作製する。ついで、前記環状圧粉体を加熱し、圧粉体中のエポキシ樹脂組成物を熱硬化させ環状ボンド磁石とする。必要に応じて適宜、該環状ボンド磁石に表面処理を施した後、環状ボンド磁石の外周面を環状鉄ヨークの内周面と接着固定することにより、アウターロータ磁石を得る。また上述以外にも、熱硬化性樹脂組成物に代えてナイロン等の熱可塑性樹脂組成物を使用したもの、圧縮成形に代えて射出成形によりボンド磁石を作成するものなど、様々な方法が提案されている。なお一般に、環状ボンド磁石外周面と環状鉄ヨーク内周面とのクリアランスは通常20〜30μmとされる。
ところで、上記のようなアウターロータに使用する環状希土類−鉄系ボンド磁石は、アウターロータの小型化に伴う薄肉化に伴い、アウターロータの回転動作の安定化やパーミアンス係数の減少を補うため、ステータ鉄心と対向する該ボンド磁石内面の真円度、円筒度、同軸度などの寸法精度を高める必要がある。このような、アウターロータ磁石内面の寸法精度の改善に関し、従来から多くの工夫や提案がなされている。
例えば、圧縮成形により作製した成形体(環状圧粉体)のスプリングバック(弾性回復現象)を利用して、接着剤を用いることなく、環状鉄ヨークと環状ボンド磁石とを一体嵌合する技術が提案されている[特許文献1]。具体的には成形型キャビティの開口部近傍に、該キャビティの外径以上の内径を有するリング状ヨークを、前記キャビティと略同軸的に配置する工程と、キャビティに充填したコンパウンドを圧縮する工程と、コンパウンドを圧縮して成形した成形体をキャビティの開口部から取り出し、前記リング状ヨークに圧入し、スプリングバックを利用して一体化(一体嵌合)する工程と、一体化した前記リング状鉄ヨーク及び成形体に熱処理を施して成形体中の熱硬化性樹脂を硬化させてボンド磁石とする工程により、ヨーク一体型希土類ボンド磁石を製造する技術が提案されている。
国際公開第2006/001304号パンフレット
Nd−Fe−B系磁石薄片をエポキシ樹脂などとともに圧縮成形し熱硬化させることにより、環状ボンド磁石の磁石薄片の体積分率が80.5vol.%となり、このとき残留空隙が11vol.%程度存在することが知られている。
残留空隙は、その量が多くなるほど、硬化前の圧粉体(グリーンコンパクト)やボンド磁石におけるスプリングバック量を増加させる傾向をもたらすため、特許文献1に開示される技術の場合、適度な量の残留空隙量は、ヨークとボンド磁石の一体嵌合においては一見好適に作用するように思われる。
しかしながら、残留空隙は、とくに圧粉体の機械的強度を減少させる要因となる。特許文献1の技術において、キャビティの開口部から、例えば圧縮成形により得られた肉厚1mm以下の薄肉の成形体(環状圧粉体)を取り出すと同時にリング状ヨークへ圧入する際、残留空隙量の増加に伴い、環状圧粉体の亀裂、損壊、変形や、或いは環状圧粉体への異物の付着(型周辺に漏れたグラニュール状コンパウンドなど)などが起こり易くなる。したがって残留空隙は、工業的規模で成形作業を行う上で成形体の品質安定化を阻害する不安定な要素となり得、結果として磁石製造における歩留まりの低下につながることとなる。
また本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石は、長期間高温暴露し、その後、常温に戻して再着磁しても回復しない磁束損失があることが知られている。これは一般に永久減磁と呼ばれるものである。希土類−鉄系ボンド磁石は、射出成形、圧縮成形などの作製法に拘らず、該磁石の残留空隙の体積分率と永久減磁に一次相関があり、残留空隙が減少すれば、永久減磁も減少する。なおこうした永久減磁の主要因として、磁石内部に存在する空隙(すなわち残留空隙)に取り込まれた酸素、水分などが、磁石内部の磁石薄片の酸化、腐食などの組織変化を促進するためとされている。すなわち残留空隙の増大は永久減磁の増大をもたらし得る。
しかも、残留空隙量、すなわちスプリングバック量が大きな環状圧粉体は、該圧粉体をキャビティから離型する際、該圧粉体の外周面における摩擦力も増大することを意味し、これは環状鉄ヨークとの圧入面となる環状圧粉体外周表面近傍に存在する磁石薄片が、外周表面に露出し易くなることにつながる。このため、その後の熱処理で環状鉄ヨークと一体嵌合したのちも、ボンド磁石外周面(嵌合面)、あるいはその近傍の残留空隙内に存在する酸素、水分などが、露出した磁石薄片においても酸化、腐食などの組織変化を促進させる。
このように残留空隙は、長期にわたる高温暴露での寸法安定性、機械的強度、不可逆磁束損失など、一体嵌合アウターロータ磁石の信頼性の維持、確保に重大な影響を及ぼす虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであってアウターロータ磁石の製造方法をその対象としたものであり、その目的は、アウターロータ磁石に使用するボンド磁石として、残留磁化Mrや最大エネルギー積(BH)maxの水準を元の磁石薄片の水準に維持しながら、当該ボンド磁石の残留空隙を低減することにより、磁石としての高い性能と高い寸法精度や耐候性を兼ね備えたボンド磁石を検討すると共に、特にボンド磁石におけるバインダとなる熱硬化性樹脂硬化物のガラス状態にて、密着状態にある環状鉄ヨークの線膨張係数と、残留空隙が殆ど存在しない環状ボンド磁石の線膨張係数とをほぼ等しくすることで、長期間の高温暴露や低温暴露など、アウターロータの実使用温度で高い寸法精度や高い耐候性といった信頼性を有する鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、鉄ヨーク一体アウターロータ磁石において、残留空隙量が極めて少ないボンド磁石を磁石材料として採用し、
またヨークとボンド磁石がほぼ等しい線膨張係数となるような構成を検討した。そして、圧縮成形により希土類−鉄系磁石薄片の体積分率が80vol.%以上となり且つ残留空隙量が極めて少ない環状ボンド磁石を用い、該ボンド磁石を構成する熱硬化性樹脂組成物の硬化点において、当該環状ボンド磁石の線膨張係数と、硬化過渡の液相で且つ2次元的架橋反応の開始前に該磁石と密着状態とした環状鉄ヨークの線膨張係数がほぼ等しくなるまで熱硬化処理を行ったのち、常温に戻すことにより、環状鉄ヨークと密着した環状ボンド磁石が互いにほぼ等しい線膨張係数を実使用温度域で実現できることを見出した。そしてこうした構成により、実使用温度で高い寸法精度や耐候性を有する鉄ヨーク一体アウターロータ磁石となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、圧縮成形により、希土類−鉄系磁石薄片と常温で固体の熱硬化性樹脂組成物と残留空隙とを含みて成る環状圧粉体を製造する第1の工程と、環状鉄ヨークの内側に前記環状圧粉体を挿入し、加熱することにより、前記環状圧粉体を構成する熱硬化樹脂組成物の熱膨張によって該環状圧粉体の外径が拡張して、該熱硬化性樹脂組成物の2次元的架橋反応開始前に、該環状圧粉体の外周面と該環状鉄ヨークの内周面とを所定の位置にて拘束した状態とするとともに、該拘束状態にて前記環状圧粉体を構成する熱硬化樹脂組成物を熱硬化させて環状ボンド磁石とする第2の工程とを含むことを特徴とする、鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法に関する。
上記製造方法において、前記第1工程で得られた環状圧粉体が、希土類−鉄系磁石薄片の体積分率が80vol.%以上、残留空隙の体積分率が3vol.%未満、残部が常温で固体の熱硬化性樹脂組成物とから成ることが好ましい。
また、得られた鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石において、硬化された熱硬化樹脂組成物がガラス状態にある環状ボンド磁石の線膨張係数が12×10−6−1以下であることが好ましい。
また前記第1の工程は、熱硬化性樹脂組成物と希土類−鉄系磁石薄片とを含むグラニュール状複合磁石材料を成形型キャビティに充填し、該グラニュール状複合磁石材料の融点以下の温度にて、該グラニュール状複合磁石材料に一軸の圧力を加えることにより、前記磁石薄片の脆性破壊と同時に前記熱硬化性樹脂組成物の塑性変形(流動)との相互作用によって残留空隙を減少させるとともに、前記グラニュール状複合磁石材料を圧力軸方向に積層させて、磁石薄片相互の位置関係がほぼ固定された環状圧粉体を製造することによりなされることが好ましい。
さらに前記熱硬化性樹脂組成物は、不飽和ポリエステルアルキドとアリル系共重合性単量体との完溶物である降伏応力をもつ流動性を備えた不飽和ポリエステル樹脂と、有機過酸化物とを含むことが好ましく、このとき、前記アリル系共重合性単量体が、トリアリルイソシアヌレートであることが好ましい。
一方、本発明にかかる前記希土類−鉄系磁石薄片は、R−Fe−B系磁石、またはFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石と、更にはR−Fe−B−M系磁石、またはR−Fe(Co)−B−M系磁石、不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織、またはαFeとRFe14B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(前記RはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy及びHoから選択される希土類元素のいずれかを表し、前記MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P及びCから選択される1種または2種以上の組み合わせを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片であることが好ましい。
あるいは前記希土類−鉄系磁石薄片は、Sm−Fe−N系磁石とSm−Fe−M’−N系磁石、並びに不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナ
ノ複合組織(nanocomposite)(前記M’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、
Ta及びCから選択される1種または2種以上の組合せを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片であることが好ましい。
また第1工程で得られた環状圧粉体は、20MPa以上の圧環強度を有することが好ましい。
そして、得られた鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石において、環状ボンド磁石は、1mm以下の肉厚を有することが好ましい。
また前記環状ボンド磁石は、外部磁界Hm2.4MA/mにおいて0.74T以上の残留磁化Mr、および、90kJ/m以上の最大エネルギー積(BH)maxを有することが好ましい。
そして本発明は、上述の製造方法により得られる鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石、すなわちロータヨークの内径側に希土類−鉄系ボンド磁石を一体嵌合させてなるアウターロータ磁石を備えてなるアウターロータ型モータ用ロータも対象とする。
本発明の製造方法によれば、環状鉄ヨークの内側にボンド磁石のもととなる環状圧粉体を挿入し、加熱することにより、環状圧粉体を構成する熱硬化樹脂組成物の熱膨張によって、環状圧粉体の外周面と環状鉄ヨークの内周面が密着(拘束)され、この拘束状態で環状鉄ヨークと環状ボンド磁石が一体嵌合した鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石を製造することができる。このため、環状鉄ヨークと環状ボンド磁石の接触面積を増加させることができ、両者の嵌合力を高めることができる。
また本発明の製造方法によれば、得られた鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石を構成する環状ボンド磁石において、磁石材料(磁石薄片)の体積分率を80vol.%超に維持しながら、すなわち、残留磁化Mr及び最大エネルギー積(BH)maxの水準を高い状態に維持しながら、残留空隙を低減できる。そして残留空隙量の低減は、環状ボンド磁石の弾性回復現象(スプリングバック)の抑制や、圧環強度の向上につながり、高い寸法精度を有する環状ボンド磁石を得ることができる。このため、得られた環状鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石は、同軸度などにおいて寸法精度を向上させることができ、ヨークとボンド磁石のクリアランスが一定な状態(ほぼゼロの状態)を確保できる。
さらに残留空隙の低減は、環状ボンド磁石の外周面(表面)に残存する残留空隙も少なくできることから、環状鉄ヨーク内周面と、環状ボンド磁石の外周面の真実接触面積を増加させ、両者の嵌合力をより向上させることができる。
しかも、残留空隙の低減は、永久減磁の主要因となる残留空隙に存在し得る水分や酸素などの減少につながり、こうした成分による希土類磁石材料の腐食、組織変化を抑制でき、高温長期暴露でのボンド磁石の耐久性(すなわち耐候性)を改善できる。
さらに本発明の製造方法によれば、得られた環状鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石において、環状ボンド磁石を構成する熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス状態において、環状ボンド磁石と環状鉄ヨークの線膨張係数をほぼ等しいものとすることができる。このため、鉄ヨークとボンド磁石の接合面における嵌合状態を良好に維持することができ、またこの嵌合面での真実接触面積を従来よりも増加させた状態に保つことができる。
以上より、本発明の製造方法によって得られる環状鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石は、高温暴露や低温暴露などを含む実使用温度において、その性能を長期にわたり維持し且つ確保することが可能となる。
図1は、環状圧粉体に含まれる熱硬化性樹脂組成物の硬化過渡における外径変化を示す概念図である。 図2は、熱硬化性樹脂組成物の体積分率Vrに対する残留空隙の体積分率Va、および磁石薄片の体積分率Vmの関係を示す特性図である。 図3は、熱硬化性樹脂組成物の硬化過渡における環状圧粉体(環状ボンド磁石)と環状鉄ヨークとのクリアランスの変化を示す特性図である。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明は、鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法に関し、具体的には、該磁石を構成する環状鉄ヨークと環状ボンド磁石が接着剤を用いることなく密着した状態にあり、且つ前記環状鉄ヨークと前記環状ボンド磁石の線膨張係数が実使用温度範囲でほぼ等しい値となっている、鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法に関する。
[第1の工程]
本工程は、ボンド磁石の元となる環状圧粉体(グリーンコンパクト)を製造する工程である。
まず、本発明にかかる上記圧粉体について、従来のグラニュール状複合磁石材料、たとえば、NdFe14Bの化学量論組成に近い合金組成Nd12Fe77Co(atomic%)溶湯合金を急冷凝固した磁石薄片(密度7.59Mg/m)と、常温で固体あるいは液体のエポキシ樹脂組成物などから構成される磁石材料を用い、これを成形型リングキャビティに充填し、圧縮成形し得られる圧粉体との相違点の観点を踏まえ以下に説明する。
従来の熱硬化性樹脂組成物(例えば常温で固体のエポキシオリゴマー)を使用した従来のグラニュールの複合磁石材料(磁石薄片)は、キャビティに充填された後、圧縮圧力を受けると脆性破壊を起こし、分離しながら周囲の間隙を埋めて緻密化が進む。また、同時に、その一部は回転して圧力軸方向へ積層するようになる。ここでグラニュール(磁石薄片)相互の位置関係が、ほぼ安定するようになる。勿論、圧縮圧力が小さければ、グラニュール(磁石薄片)の脆性破壊と間隙充填の程度も小さくなり、よって、圧粉体(グリーンコンパクト)の密度も小さくなる。
その後、圧縮圧力を開放し、成形型キャビティから圧粉体を離型した段階において、基本的には弾性範囲にある圧力軸方向に、ある角度をもつグラニュール(磁石薄片)は元の位置に戻ろうとして回転する現象が起こることにより、一般に離型した圧粉体は弾性回復現象(スプリングバック)を示すことになる。
なお、2wt.%程度のエポキシ樹脂を配合した複合磁石材料を圧力1GPa程度で圧縮し、磁石薄片の体積分率が80vol.%を超えるような圧粉体においては、そのスプリングバックは0.4%程度であり、残留空隙は体積分率で8〜11vol.%程度にもなる。
一方、本発明においては、環状圧粉体の残留空隙を減少させるために、磁石材料のバインダとして、従来のエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物に代えて、組成物の融点以下の温度において降伏応力を越える圧力によって塑性変形(流動)を引き起こす性質、すなわち、ビンガム流動(降伏応力をもつ流動)する性質が付与された樹脂組成物を採用することを一つの特徴とする。
このため、本発明の第1の工程において、たとえば、NdFe14Bの化学量論組成に近い合金組成Nd12Fe77Co(atomic%)溶湯合金を急冷凝固した磁石薄片(密度7.59Mg/m)と、上述の性質をもつ熱硬化性樹脂組成物とから成るグラニュール状複合磁石材料を成形型リングキャビティに定法により所定量充填した後、該複合磁石材料に一軸の該熱硬化性樹脂組成物の降伏応力以上の圧力を加える。すると本発明に係る複合磁石材料は、緻密化過渡(圧縮)の初期ではグラニュール相互が密着し、続い
て、当該グニュールに含まれる磁石薄片の脆性破壊と同時に、熱硬化性樹脂組成物が塑性変形(流動)を引き起こし、これにより隣接するグラニュールの接触面が拡張し、間隙が減少し、さらに同時に、該グラニュール(磁石薄片)の一部が回転して圧力軸方向へ積層するようになる。そしてここでグラニュール(磁石薄片)相互の位置関係は、ほぼ安定し固定化されることとなる。その結果、残留空隙が極めて少ない圧粉体を得ることができる。
本発明の第1の工程は、こうした緻密化作用が緻密化過渡(圧縮)において起こるため、たとえば1GPa程度で圧縮成形した環状圧粉体において、その残留空隙を体積分率で容易に3vol.%以下の値とすることができる。
本発明に係る、上述したような降伏応力を持つ流動性を備えた熱硬化性樹脂組成物を構成する熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステルアルキドと、アリル系共重合性単量体との完溶物である不飽和ポリエステル樹脂を例示できる。そして本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物は、前記不飽和ポリエステル樹脂と、加熱硬化の際の重合開始剤となる有機化酸化物とを含む。
前記熱硬化性樹脂組成物として、好ましくは、常温で固体であり、かつ粘着性がなく、融点80〜120℃、酸価20以下である不飽和ポリエステルアルキド(A)と、融点30℃以下のアリル系共重合性単量体(B)との完溶物と、有機過酸化物を含みて構成される熱硬化性樹脂組成物を挙げることができる。
前述の常温で固体であり、かつ粘着性のない、融点80〜120℃、酸価20以下の不飽和ポリエステルアルキド(A)は、ジカルボン酸成分とグリコール(ジオール)成分からなる。
前記ジカルボン成分は、フタル酸とフマル酸とからなることが好ましく、フタル酸またはその誘導体と、フマル酸を原料として用いる。なお、以降の本明細書において、「フタル酸」なる記載には「フタル酸又はその誘導体」の意味が含まれる。フマル酸の代わりに例えば仮に無水マレイン酸またはマレイン酸を用いた場合、常温で粘着性がなく、耐ブロッキング性に優れたグラニュール状複合磁石材料が得られない。
フタル酸/フマル酸の使用割合は5/5〜1/9、とくに4/6〜2/8(モル比)が好ましい。
前記グリコール成分は、1,4−ブタンジオール単独、もしくは1,4−ブタンジオールと他のグリコールとを併用することが好ましい。このとき、1,4−ブタンジオール/他のグリコールの割合は7/3〜10/0、とくに8/2〜9.5/0.5(モル比)であることが好ましい。
1,4−ブタンジオールと併用される他のグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、2,2−ジメチル−6,3−ヒドロキシプロピオネート、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物を挙げることができる。ここで、他のグリコール成分として好ましくは、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコールを用いることができる。
ここで、ジカルボン酸成分のフタル酸/フマル酸のモル比が5/5〜9/1の範囲にあっても、グリコール成分である1,4−ブタンジオール/他のグリコールのモル比が7/3より小さい(1,4−ブタンジオールのモル比が7を超える)場合は、常温で粘着性のない耐ブロッキング性に優れたグラニュール状複合磁石材料を得ることができない。
また、ジオール成分の1,4−ブタンジオール/他のグリコールのモル比が7/3〜10/0の範囲にあっても、ジカルボン酸成分であるテレフタル酸/フマル酸のモル比が5/5より大きい場合(フタル酸のモル比が5を超える)、または、1/9より小さい場合(フタル酸のモル比が1を下回る)場合においては、常温で粘着性がなく、耐ブロッキング性に優れたグラニュール状複合磁石材料は得られるものの、後に得られる環状ボンド磁石の熱的、機械的特性が十分なものとはならない。
本発明にかかる不飽和ポリエステルアルキド(A)の融点は80〜120℃が好ましい。融点が80℃より低い場合は、常温で粘着性がなく、耐ブロッキング性に優れたグラニュール状複合磁石材料とならないばかりか、均質なグラニュール状複合磁石材料すら得ることができない。また、融点が120℃より高い場合には、常温で粘着性がなく、耐ブロッキング性に優れたグラニュール状複合磁石材料が得られるものの、常温で1GPa以下での塑性変形(流動)性、すなわちビンガム流動(降伏応力をもつ流動)性が減少するので好ましくない。
本発明にかかるアリル系共重合性単量体(B)としては、例えばジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルオルソフタレートなどの2官能性単量体、あるいはトリアジン環化合物であるトリアリルイソシアヌレートなどの3官能性単量体などが挙げられる。これらは1種単独で使用され得、また2種以上を併用することで降伏応力をもつ流動性を調整することも可能である。
なお一般に、共重合性単量体としてはビニル基(CH=CH−)を有する単量体と、アリル基(CH=CH−CH−)を有する単量体に区分される。後者の単量体においてアリル基は、重合開始剤である過酸化物のラジカルにより活性化されても、共鳴構造によって安定化され(退化性連鎖移動反応〜R・+CH=CH−CH−X→〜RH+C
=CH−・CH−X⇔・CH−CH=CH−X)、重合反応の連鎖反応が阻害される。この共鳴作用により、アリル基を有する単量体は常温域で重合不活性であり、後に調製する圧粉体(硬化前のボンド磁石材料)の常温での保存安定性において有利となる。また、アリル系共重合性単量体は、何れも蒸気圧が高く、揮発し難い。こうした点からも、不飽和ポリエステル樹脂を構成する共重合性単量体としてアリル系共重合性単量体を使用することにより、常温で優れた保存安定性があるグラニュール状複合磁石材料が得られる。
また、熱硬化性樹脂組成物の硬化物の架橋密度を高めてガラス転移温度を高い値とし、該硬化物がガラス状態にあるボンド磁石の線膨張係数を、鉄の線膨張係数と同程度である12×10−6−1程度の値を確保するためには、磁石薄片の体積分率を80vol.%以上にするとともに、前記アリル系共重合性単量体としてトリアジン環を有する3官能性単量体であるトリアリルイソシアヌレートとすることが好ましい。
前記不飽和ポリエステルアルキド(A)と前記アリル系共重合性単量体(B)の割合(濃度)は、質量比でB/(A+B)=5〜40wt.%である。たとえば、アリル系共重合性単量体(B)の濃度が5wt.%未満の場合、粘着性のないグラニュール状複合磁石材料が得られるものの、常温で1GPa以下での塑性変形能(流動)が低下する(ビンガム流動性が減少する)ので好ましくない。またアリル系共重合性単量体(B)の濃度が40wt.%を越えると、後に調製する環状圧粉体(グリーンコンパクト)の圧環強度(剛性)が低下するので好ましくない。
本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物に含まれる重合開始剤としては有機過酸化物を例示できる。有機過酸化物としてはメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどを挙げることができる。
さらに、本発明にかかる熱硬化性樹脂組成物には、重合禁止剤としてp−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−アセトキシ−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどを挙げることができる。これらの重合禁止剤は2種以上を混合して使用することもできる。なお、重合禁止剤の使用量は、前記不飽和ポリエステルアルキド(A)と前記アリル系共重合性単量体(B)の合計質量100質量部に対して0.5質量部以下である。
本発明にかかる希土類−鉄系磁石薄片は、R−Fe−B系磁石(但しRはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho等の希土類元素)または前記磁石においてFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石(但しRは前述の意味を表す)と、更にはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系磁石またはR−Fe(Co)−B−M系磁石(但しRは前述の意味を表し、MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを表す)、不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとR
14B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)(前記Rは前述
の意味を表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片が好ましい。
或いは、本発明にかかる希土類−鉄系磁石薄片は、Sm−Fe−N系磁石と、Hf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M’−N系磁石(但しM’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの1種または2種以上の組合せを表す)、並びに、不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)、ま
たはαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)を含む
、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片を使用しても差し支えない。
なお、一般に、小型モータに搭載する磁石としては、常温での保磁力は600kA/m以上で、かつ飽和磁化Msが高く、かつ残留磁化Mrはレマネンスエンハンスメントが発現するナノ組織、ナノ複合組織の磁石薄片が好ましい。
上述の熱硬化性樹脂組成物と希土類−鉄系磁石薄片より環状圧粉体を製造する工程は、好ましくは以下のように実施される。
まず前記熱硬化性樹脂組成物を、例えば、ミキシングロールを用いて溶融状態として、ここに所定量の前記希土類−鉄系磁石薄片を加えて混練し、溶融混練物とし、常温で固体のグラニュール状複合磁石材料(以降、単に“グラニュール”とも称する)を得る。あるいは、当該樹脂組成物を構成する不飽和ポリエステルアルキド(粉末状)、共重合性単量体(液状)、重合開始剤(液状または粉末状)などと希土類−鉄系磁石薄片とを予め一括して混合し、例えば、ミキシングロールを用いて不飽和ポリエステルアルキドの融点付近の温度で該不飽和ポリエステルアルキドの共重合性単量体溶液である溶融不飽和ポリエステル樹脂の作製と同時に、該溶融樹脂と該磁石薄片との混練を行なっても差し支えない。
ここで、熱硬化性樹脂組成物の溶融状態下で該磁石薄片を混練することにより、各グラニュール中の空隙を減少させることができ、こうした観点から本工程の全てを無溶剤で行う、所謂、無溶剤型で実施することが望ましい。
続いて、得られたグラニュール状複合磁石材料を成形型キャビティに充填し、前記グラニュール状複合磁石材料の融点以下の温度、例えば常温(20℃±15℃(5〜35℃))で、一軸の圧力を加えて、環状圧粉体とする。
本工程を詳細に説明すると、まず該グラニュール状複合磁性材料をキャビティに充填し、該グラニュールの融点以下の温度にて、該グラニュールに一軸の圧力、すなわち前記熱硬化性樹脂組成物の降伏応力以上の圧力、例えば0.8GPa〜1.0GPa程度の圧力を加える。すると本発明にかかるグラニュールは、緻密化過渡(圧縮)の降伏応力以上で、該グラニュールに含まれる磁石薄片の脆性破壊と同時に、前記熱硬化性樹脂組成物が塑性変形(流動)し、それらの相乗効果によって、グラニュール周辺の間隙が埋められる(減少する)こととなる。さらに同時に、該グラニュール(磁石薄片)の一部が回転して圧力軸方向へ積層するようになる。ここでグラニュール(磁石薄片)相互の位置関係は、ほぼ安定し固定化されることとなる。
つぎに圧力を開放し、成形型キャビティから環状圧粉体を離型する。この段階では、基本的には弾性範囲にある圧力軸方向に、ある角度をもつグラニュール(磁石薄片)は元の位置に戻ろうとして回転する現象、すなわち弾性回復現象(スプリングバック)を示すことになるが、本発明にかかる環状圧粉体においては、成形型キャビティから離型後において、弾性回復現象(スプリングバック)を従来よりも低く抑えることできる。
こうして得られた環状圧粉体は、該環状圧粉体に占める磁石薄片の体積分率を80vol.%以上、残留空隙の体積分率を3vol.%以下、残部を熱硬化性樹脂組成物とすることができる。そしてこうした構成により、少なくとも該熱硬化性樹脂組成物の硬化物がガラス状態にある本発明にかかるボンド磁石において、該磁石の線膨張係数の値を環状鉄ヨークの線膨張係数と同等の12×10−6−1以下とすることができる。
[第2の工程]
本工程は、第1の工程で得られた環状圧粉体を環状鉄ヨークと組み合わせて加熱し、ヨークと密着させた状態で圧粉体を熱硬化させて環状ボンド磁石とする工程である。詳細には、環状圧粉体を構成する熱硬化性樹脂組成物の硬化過程にて、該圧粉体と密着した状態にある環状鉄ヨークの線膨張係数と該環状ボンド磁石の線膨張係数がほぼ等しい値(12×10−6−1以下)となる硬化点まで、熱硬化させる工程である
ここで図1に、本発明に係る環状圧粉体を構成する熱硬化性樹脂組成物の加熱硬化過渡における外径変化を示す概念図を示す。なお、このような加熱硬化処理前に、本発明にかかる当該環状圧粉体外周面と、本発明に係る環状鉄ヨーク内周面は、軸方向の所定位置に、例えば20〜30μmクリアランスをもって、略同軸的に対向している。ここで環状鉄ヨークは、該環状鉄ヨーク内周面の軸方向の所定の位置において、予備加熱により内周面の径が常温よりも拡張された状態で、環状圧粉体と対向させるように位置させても差し支えない。本発明に係る第2の工程では、上記のような環状鉄ヨークと環状圧粉体との組立体とした後に、当該環状圧粉体の熱硬化性樹脂組成物に加熱硬化処理を施す。
図1において、符号Aは加熱開始時点の常温における前記熱硬化性樹脂組成物(環状圧粉体)の外径である。また符号Bは熱硬化性樹脂組成物の融点、符号Cは熱硬化性樹脂組成物の2次元的な架橋反応開始点、符号Dは熱硬化性樹脂組成物のゲル化点、符号Eは熱硬化性樹脂組成物の硬化点、符号Fは熱硬化性樹脂硬化物のガラス転移点(そしてこれら各温度における外径)を示す。そして符号Gは硬化物を常温に戻した際の熱硬化性樹脂硬化物(環状ボンド磁石)の外径を示す。
また、環状鉄ヨークと環状圧粉体との組立体を考慮すると、符号CNTは環状圧粉体の外周面が熱膨張により拡張し、環状鉄ヨークの内周面によって圧粉体の外周面が拘束された密着(拘束)点、符号C’及びD’は、それぞれ環状圧粉体の外周面が環状鉄ヨークの
内周面に拘束された状態での2次元的な架橋反応開始点、およびゲル化点である。
図1に示すように、区間A−Bは、主として常温で固体の熱硬化性樹脂組成物の熱膨張による環状圧粉体の熱膨張による外径拡張を示している。なお、環状圧粉体は前述の本発明にかかる第1の工程によって残留空隙が殆どなく、固体の熱硬化性樹脂組成物が連続相を形成している。
区間B−Cは、液相となった熱硬化性樹脂組成物の熱膨張による環状圧粉体の外径拡張を示している。この区間では、昇温による液相の熱硬化性樹脂組成物の粘度低下に伴い、、外径の拡張速度が増加する。本発明では、この区間B−Cにおける接触点CNTにて、環状鉄ヨーク内周面が環状圧粉体の外周面を密着(拘束)した状態とすることになる。なお、区間B−Cにおける外径の拡張(膨張)率は、熱硬化性樹脂組成物中の重合開始剤の選択により適宜調整することができる。また、本発明にかかる環状鉄ヨークと環状圧粉体の一体嵌合をより強固にするために、環状圧粉体との密着面となる環状鉄ヨーク内周面の表面粗さを筋立加工、ローレット加工或いはブラスト加工などにより粗くして、本発明に係る環状圧粉体の密着面積(真実接触面積)を増やすことが望ましい。
区間C−Dに示すように、非拘束状態では熱硬化性樹脂組成物の2次元的な架橋反応(ゲル化)の進行により、環状圧粉体の熱膨張に基づく外径拡張率は減速するか、あるいは外径は多少収縮することとなる。しかし本発明に係る区間C’−D’では、環状鉄ヨーク内周面に環状圧粉体の外周面が拘束された状態でゲル化に至る。
そして区間D−Eに示すように、非拘束状態では熱硬化性樹脂組成物は固体として振る舞い、その架橋密度を高めることで厳密には僅かな収縮(変化量:S1)を起こして硬化点Eに至る。しかし、本発明に係る拘束された状態での環状圧粉体は区間D’−Eのように推移し、非拘束の状態よりも収縮の変化量(S1)が抑制された状態で硬化点Eに至る。ここで磁石薄片の体積分率が80vol.%を超える本発明にかかる環状圧粉体は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物がガラス状態にあるなかで、線膨張係数の値が環状鉄ヨークの線膨張係数の値と同等の12×10−6−1以下であり、且つ環状鉄ヨークと殆ど空隙なく一体嵌合してなる環状ボンド磁石となる。
そして区間E−Fでは、熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移点(Tg)以上における線膨張係数で環状ボンド磁石は収縮し、区間F−Gでは環状鉄ヨークと環状ボンド磁石とが常温まで冷却され、このとき両者の線膨張係数の値はほぼ同じであるため、同じだけ収縮することとなる。区間E−F−Gの環状ボンド磁石の収縮の変化量はS2である。
なお、環状圧粉体の常温における外径Aと環状ボンド磁石の常温における外径Gの差は、硬化過渡における熱硬化性樹脂組成物の熱膨張による外径の拡張に基づくものである。本発明に係る磁石薄片の体積分率が80vol.%を超える圧粉体の場合、区間A−B−C−D−E−F−G(非拘束状態)における拡張率((G−A)/A)×100(%)は0.06%程度であり、区間A−B−(CNT)−C’−D’−E−F−G(拘束状態)においてもほぼ同じ拡張率である。この外径拡張により、環状鉄ヨーク内周面に沿うように環状ボンド磁石が一体嵌合した構成が完成する。加えて、環状鉄ヨークと環状ボンド磁石の線膨張係数の値が同程度であるため、同軸度などの寸法精度の向上につながる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[第1の工程:圧粉体の製造工程]
本実施例において、本発明に係る降伏応力をもつ塑性変形(流動)性を備えた熱硬化性樹脂組成物として、酸成分がフタル酸/フマル酸=4/6(モル比)、グリコール成分が
1,4−ブタンジオール/他のグリコール=10/0(モル比)であり、融点102℃である不飽和ポリエステルアルキド(A)と、アリル系共重合性単量体として融点23〜27℃のトリアリルイソシアヌレート(B)とを、配合比:B/(A+B)が25wt.%となるように配合し、溶融混練して完溶物とし、ここに前記完溶物100質量部に対し、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド1.5質量部を加え、溶融混練して調製した熱硬化性樹脂組成物を用いた。なお、この熱硬化性樹脂組成物の硬化物のアルキメデス法による真密度は1.25Mg/mであった。
本実施例では、ナノ結晶組織(nanocrystalline)の磁石薄片として、NdFe14
Bの化学量論組成に近い合金組成を有するNd12Fe77Co(atomic%)溶湯合金を急冷凝固した真密度7.59Mg/m、粒子径150μm以下(乾式篩法(JIS Z 8815)による測定)、残留磁化Mr:0.90T、保磁力HcJ:0.8MA/mの磁石薄片を使用した。
<a)グラニュール状複合磁石材料の製造>
前記磁石薄片と、前記熱硬化性樹脂組成物とを、無溶剤下で、表面温度を100℃に設定した8−インチ双ロールミルを用いて溶融混練し、溶融混練物とした。ここで熱硬化性樹脂組成物の割合が、前記溶融混練物において(すなわち複合磁石材料の総質量に対して)2.5、3.0、3.5、4.0wt.%となるように、磁石薄片と熱硬化性樹脂組成物を種々配合した。
続いて、前記溶融混練物を、表面温度80℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、ヘンシェルミキサーで粗粉砕した。さらに、電動石臼による解砕と篩による分級にて、粒子径53〜250μmのグラニュール状複合磁石材料とした。
得られたグラニュール状複合磁石材料は、常温で粘着性がなく、耐ブロッキング性に優れるグラニュール状複合磁石材料となった。この材料は外部滑剤なしで40秒/50gの粉末流動性を有していた。このため、後述の<b)圧粉体の製造>において、既存の粉末成形機のフィーダカップから成形型リングキャビティに定法により充填可能であった。
<b)圧粉体の製造>
前述の工程で得られたグラニュール状複合磁石材料3.3gを成形型キャビティ(内径10.08mm)に充填し、常温にて圧力1.0GPaで圧縮して圧粉体を得た。
図2に、得られた圧粉体(実施例)を構成する熱硬化性樹脂組成物の体積分率Vrに対する残留空隙の体積分率Vaの関係(図中、□で表示)、およびVrに対する磁石薄片の体積分率Vmの関係(図中、○で表示)を示す特性図を示す。
なお、前述の熱硬化性樹脂組成物に代えて、常温で固体のエポキシ樹脂(ジグリシジルエーテルビスフェノールA型エポキシオリゴマー:epikote1002と4−4’ジフェニルメタンジイソシアネート再生体とをOH/NCO=1としたもの)を有機溶媒溶液として磁石薄片と湿式混合し、脱溶媒・解砕・分級し、粒度調整した、エポキシ樹脂組成物含有のグラニュール状複合磁石材料(複合磁石材料の総質量に対してエポキシ樹脂の配合量:2.0wt.%)を用いて、前記<a)グラニュール状複合磁石材料の製造>と同一条件で作製した圧粉体(比較例)における、エポキシ樹脂組成物の体積分率Vrに対する残留空隙の体積分率Vaの関係(図中、■で表示)、およびVrに対する磁石薄片の体積分率Vmの関係(図中、●で表示)についても同時に図2に示す。
ここで、従来例である上記エポキシ樹脂組成物のみを熱硬化した試料のアルキメデス法による真密度は1.16Mg/mであった。
図2に示すように、実施例の圧粉体において、熱硬化性樹脂組成物の体積分率を増加させると、圧粉体の磁石薄片体積分率Vmを80vol.%程度に維持しながら、残留空隙の体積分率Vaのみが減少するという結果、すなわち、圧粉体中の残留空隙が樹脂組成物に置き換わったとする結果を得た。例えば、本実施例の圧粉体の磁石薄片の体積分率Vm
を80.05vol.%、熱硬化性樹脂組成物の体積分率を17.97vol.%(3.5wt.%)、残留空隙の体積分率を1.97vol.%としたとき、圧粉体のスプリングバックは0.2〜0.3%、圧環強度は20〜22MPaであり、それらの値を従来例(比較例)と比較するとスプリングバックは40%減、圧環強度は200%増であった。
表1に、上記本発明例(不飽和ポリエステル樹脂組成物含有)と比較例(エポキシ樹脂組成物含有)の圧粉体の磁石薄片、残留空隙および樹脂組成物の体積分率の構成と、各圧粉体の磁気特性(保持力、残留磁化、最大エネルギー積)を示す。なお磁気特性はDCB−Hトレーサ(測定磁界±2.4MA/m)による測定値である。
表1に示すように、本発明にかかる実施例の圧粉体は、圧縮成形法により作製した圧粉体でありながら、磁石薄片の体積分率を80vol.%以上に維持し且つ残留空隙の体積分率を1.97vol%にまで減少させており、これは、射出成形法により作製したボンド磁石と同等の水準にまで残留空隙を減少でき且つ磁石薄片の体積分率を増大させたことを示すものである。
Figure 0006029205
[第2の工程(一体嵌合)]
板厚1.0mmの冷延鋼板に深さ10mmの絞り加工を施した内周面の表面粗さ8〜10μmRz、内径50.035mmの環状鉄ヨークの内側に、外径50.005mm、厚さ0.9mm、高さ5mmの前述の工程で得られた環状圧粉体を常温で所定位置に挿入し、環状鉄ヨークと表1に示した構成の環状圧粉体との組立体を構成した。
つぎに、上記組立体を大気中130℃で10分間加熱し、さらに170℃で20分間加熱し、常温まで自然放冷した。その結果、環状鉄ヨークと希土類−鉄系ボンド磁石が一体嵌合した本発明に係るアウターロータ磁石を得た。
ここで、本実施例に係る一体嵌合アウターロータ磁石の熱硬化性樹脂組成物の硬化過渡の振る舞いについて調査した。
先ず、実施例の熱硬化性樹脂組成物は、90℃付近に融点B、150℃付近に熱硬化性樹脂組成物の2次元的な架橋反応(ゲル化)開始点C(拘束状態ではC’)、160℃では20秒程度のゲル化点D(拘束状態ではD’)、170℃では180秒以内の硬化点E、そして150℃付近に該組成物の硬化物のガラス転移点Fを有していた。
また本発明にかかる磁石薄片を80vol.%含む環状圧粉体の常温から130℃までの平均線膨張係数は略16×10−6−1であり、一方の冷延鋼板の線膨張係数は11.8〜12×10−6−1であった。
これらより本発明に係る環状鉄ヨークと環状圧粉体との組立体におけるクリアランスの温度変化を推定した。クリアランスの温度変化を示す特性図を図3に示す。なお図3中の符号は図1に対応している。
図3に示すように、環状鉄ヨークと環状圧粉体の線膨張係数の差から、環状圧粉体の外
周面が環状鉄ヨークの内周面により密着した密着(拘束)点CNTは120℃程度となり、この温度は熱硬化性樹脂組成物の融点B(90℃付近)よりも高く、かつ熱硬化性樹脂組成物の2次元的な架橋反応開始点C(150℃付近)よりも低い。したがって、密着点CNTにおいて、熱硬化性樹脂組成物が液相状態であって、環状圧粉体の外径が拡張している状態で環状鉄ヨークと密着しており、表面粗さ8〜10μmRzの環状鉄ヨーク内周面と環状圧粉体との真実接触面積を増すことができていると推定される。
さらに、拘束状態にて熱硬化性樹脂組成物のゲル化点D’、硬化点Eに至るまで、環状鉄ヨークと環状圧粉体のクリアランスはゼロの状態となり、熱硬化性樹脂組成物の硬化点Eから常温Gまでの自然放冷において、熱硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移点F(150℃付近)を通過する。ここで、磁石薄片が体積分率で80vol.%を超える本発明例の環状ボンド磁石は、熱硬化性樹脂組成物の硬化物がガラス状態にあるときの線膨張係数が11.8×10−6−1であり、ガラス転移領域を含めた170℃から常温までの平均線膨張係数は20×10−6−1以下であった。したがって、見掛け上、環状鉄ヨークと環状ボンド磁石のクリアランスは、熱硬化性樹脂組成物の硬化点Eから常温Gへの冷却過程において、ほぼゼロの状態を維持するのである。
また、得られた本発明にかかるアウターロータ磁石の内径の真円度は20μm以下、100℃での嵌合強度(ヨークを固定し、磁石端全面にせん断荷重を印加したときの抜け荷重)は500N以上であった。
上述の通り、本発明に係る環状鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法は、上述の工程を経ることにより、該磁石を構成する環状ボンド磁石において残留空隙量の低減を実現し、また80vol.%を超える高い磁石薄片の体積分率に加え、環状ボンド磁石を構成する熱硬化性樹脂組成物のガラス状態において、環状ボンド磁石の線膨張係数を環状鉄ヨークの線膨張係数(11.8〜12×10−6−1)とほぼ等しい値である12×10−6−1以下を有するものとなる点に特徴を有する。
そして1)残留空隙が低減されたことによる効果として、1−1)同軸度など寸法精度の向上(スプリングバック低減、圧環状強度向上による)、1−2)嵌合力の向上(嵌合面での真実接触面積の増加による)、1−3)永久減磁の抑制(残留空隙に含まれる酸素、水分などの減少による)、1−4)耐蝕性の向上(圧縮成形法であっても射出成形法と同じ程度の残留空隙量(例えばおよそ3vol.%未満)による)などを実現することができる。さらに、2)80vol.%を超える磁石薄片の体積分率と、環状ボンド磁石と鉄ヨークの線膨張係数を同程度とすることによる効果として、2−1)一体嵌合とその寸法安定性の向上、2−2)残留磁化、(BH)maxなどのボンド磁石の初期特性の高位安定化(磁石薄片の高い充填率による)などを実現できる。
このため高温暴露・低温暴露などを含む実使用温度(例えば動作時及び保管時をいずれも考慮するとおよそ−30℃〜+80℃程度)において、磁石性能、寸法変化、機会強度等、その性能を長期にわたり維持することができ、産業上の利用価値は極めて大きい。これらの効果は、環状鉄ヨーク(11.8〜12×10−6−1)との線膨張率の佐差が無視できない射出成形ボンド磁石(43×10−6−1程度)や、体積分率で9〜11vol.%もの残留空隙が存在する従来技術による圧縮成形ボンド磁石を用いた場合には得られない本発明特有の効果である。
そして本発明の製造方法によれば、高磁気性能、高寸法精度、高機械的強度を兼ね備えた一体嵌合アウターロータ磁石を歩留まりよく、工業的規模で安定した製造を可能とするばかりか、長期間の高温暴露や低温暴露など実使用温度の全領域で高い信頼性を維持、確保できる希土類−鉄系ボンド磁石と環状鉄ヨークとの一体嵌合アウターロータ磁石を提供できる。
符号A:加熱開始時点の常温における熱硬化性樹脂組成物(環状圧粉体)における外径
符号B:熱硬化性樹脂組成物の融点
符号C:熱硬化性樹脂組成物の2次元的な架橋反応開始点
符号D:熱硬化性樹脂組成物のゲル化点
符号E:熱硬化性樹脂組成物の硬化点
符号F:熱硬化性樹脂硬化物のガラス転移点
符号G:常温に戻した熱硬化性樹脂硬化物(環状ボンド磁石)における外径
符号CNT:環状圧粉体の外周面が環状鉄ヨークの内周面により拘束された密着(拘束)点
符号C’:拘束された状態での2次元的な架橋反応開始点
符号D’:拘束された状態でのゲル化点

Claims (9)

  1. 圧縮成形により、希土類−鉄系磁石薄片と常温で固体の熱硬化性樹脂組成物と残留空隙とを含みて成る環状圧粉体を製造する第1の工程と、
    環状鉄ヨークの内側に前記環状圧粉体を挿入し、加熱することにより、
    前記環状圧粉体を構成する熱硬化樹脂組成物の熱膨張によって該環状圧粉体の外径が拡張して、該熱硬化性樹脂組成物の2次元的架橋反応開始前に、該環状圧粉体の外周面と該環状鉄ヨークの内周面とを所定の位置にて拘束した状態とするとともに、
    該拘束状態にて前記環状圧粉体を構成する熱硬化樹脂組成物を熱硬化させて環状ボンド磁石とする第2の工程
    とを含み、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、不飽和ポリエステルアルキドとアリル系共重合性単量体との完溶物である降伏応力をもつ流動性を備えた不飽和ポリエステル樹脂と、有機過酸化物とを含み、
    前記第1工程で得られた環状圧粉体が、希土類−鉄系磁石薄片の体積分率が80vol.%以上、残留空隙の体積分率が3vol.%未満、残部が常温で固体の熱硬化性樹脂組成物とから成ることを特徴とする、
    鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  2. 得られた鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石において、硬化された熱硬化樹脂組成物がガラス状態にある環状ボンド磁石の線膨張係数が12×10−6−1以下である、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  3. 前記第1の工程が、熱硬化性樹脂組成物と希土類−鉄系磁石薄片とを含むグラニュール状複合磁石材料を成形型キャビティに充填し、該グラニュール状複合磁石材料の融点以下の温度にて、該グラニュール状複合磁石材料に一軸の圧力を加えることにより、前記磁石薄片の脆性破壊と同時に前記熱硬化性樹脂組成物の塑性変形(流動)との相互作用によって残留空隙を減少させるとともに、前記グラニュール状複合磁石材料を圧力軸方向に積層することにより、磁石薄片相互の位置関係がほぼ固定された環状圧粉体を製造することを特徴とする、
    請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  4. 前記アリル系共重合性単量体が、トリアリルイソシアヌレートである、請求項に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  5. 前記希土類−鉄系磁石薄片が、R−Fe−B系磁石、またはFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石と、更にはR−Fe−B−M系磁石、またはR−Fe(Co)−B−M系磁石、不可避不純物からなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織、またはαFeとRFe14B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(前記RはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy及びHoから選択される希土類元素のいずれかを表し、前記MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P及びCから選択される1種または2種以上の組み合わせを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片である、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  6. 前記希土類−鉄系磁石薄片が、Sm−Fe−N系磁石とSm−Fe−M’−N系磁石、並びに不可避不純物からなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)(前記M’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、Ta及びCから選択される1種または2種以上の組合せを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片である、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  7. 前記環状圧粉体が、20MPa以上の圧環強度を有する、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  8. 前記環状ボンド磁石が、1mm以下の肉厚を有する、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
  9. 前記環状ボンド磁石が、外部磁界Hm2.4MA/mにおいて0.74T以上の残留磁化Mr、および、90kJ/m以上の最大エネルギー積(BH)maxを有する、請求項1に記載の鉄ヨーク一体嵌合アウターロータ磁石の製造方法。
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