JP6158499B2 - 球状磁石コンパウンド並びに希土類−鉄系ボンド磁石 - Google Patents

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本発明は、各種高性能小型モータ、アクチュエータに使用する希土類の使用量削減に直接寄与する、環状希土類−鉄系ボンド磁石の薄肉長尺化に好適な擬似球状磁石コンパウンド、並びにそれを用いた希土類−鉄系ボンド磁石に関する。さらに詳しくは、常温(20±15℃、JIS Z 8703)で固体であり、かつ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動を呈する樹脂組成物成分と希土類−鉄系磁石成分とから構成した擬似球状磁石コンパウンド、並びに該擬似球状磁石コンパウンドを常温で、かつ降伏応力以上の圧力で圧縮して所定形状のグリーンコンパクトとし、然る後、当該樹脂組成物成分を熱硬化させてなる希土類−鉄系ボンド磁石に関する。
例えば、NdFe14B化学量論組成に近い合金組成を有するNd12Fe77Co(原子%)溶湯合金を片ロール法により急冷凝固した平均結晶粒径60nm以下のナノ結晶(nanocrystalline)薄帯は、硬度Hv800〜1000と高く、脆性破壊によ
り直線的に破砕した磁気的に等方性のR−TM−B系磁石薄片(ここでRは例えば9原子%以上のNd又はPrなどの軽希土類元素を意味し、TMはFe、またはFeの一部を20原子%以下でCo置換したような遷移金属元素を意味する)として知られる。この磁石薄片を例えば永久磁石型モータの磁石として利用するには、何らかの手段で当該磁石薄片を特定形状のバルク磁石とする技術が必要である。特定形状のバルク磁石とする手段としては、例えば、特許文献1に開示されているように、もっぱら常温で固体のエポキシ樹脂とともにグリーンコンパクトとし、然る後、当該エポキシ樹脂を熱硬化せしめてボンド磁石とする方法が一般的である。
具体的には、たとえば常温で固体のエポキシ樹脂を固形分50wt.%程度の有機溶媒溶液(ex.アセトンなどのケトン類の溶液)とし、前述の磁石薄片などの磁石成分に対し、該エポキシ樹脂が2.0〜2.5wt.%程度となるように、磁石成分と該エポキシ樹脂の有機溶媒溶液を湿式混合する。その後脱溶媒し、例えば250μm以下の粒子となるように粒度調整して、常温で固体の粒状磁石コンパウンドとする。これを、機械式又は油圧式粉末圧縮成形機などのフィーダカップに満たし、成形型キャビティに所定量充填し、通常常温にて一軸の圧力を加えて特定形状のグリーンコンパクトとする。さらに、当該グリーンコンパクトのエポキシ樹脂成分を熱硬化して、いわゆる希土類−鉄系ボンド磁石を製造する。
このようなバルク磁石は主に環状磁石として、1980年代後半から典型的な高性能径方向空隙型小型モータ(例えば、永久磁石界磁型DCモータ、DCブラシレスモータ、PM型ステッピングモータなど)、あるいは、アクチュエータ(例えばリードスクリュー付PM型ステッピングモータなど)に使用する磁石市場を、ほぼ独占してきた経緯がある。
特開昭62−263612号公報
ところで、希土類元素資源(Sm、Pr、Nd、Dy、Tbなど)は、将来にわたる希土類−鉄系燒結磁石、ならびに希土類−鉄系ボンド磁石の需要拡大が予測される観点から、その使用量の削減が求められており、その具体策の一つとして磁石の薄肉化への要求が高まっている。また希土類ボンド磁石はより一層の高性能化が求めれており、こうした観点からも磁石の薄肉化、長尺化のニーズは高い。
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来提案されている希土類−鉄系ボンド磁石にあっては、製品形状の薄肉化・長尺化に伴い、加圧方向への圧力伝達が不均一となり、加圧力を受ける端部と中央部付近の密度が異なる、すなわち一成形品内で密度のばらつきが生ずるという問題がある。この密度ばらつきは磁気特性のみならず、製品寸法のばらつきをも引き起こすことにつながる。
このように、希土類ボンド磁石におけるNd、Prなどの軽希土類使用量を直接削減するために、磁石の薄肉化や長尺化が種々検討されているものの、磁気特性や寸法精度を満足させるまでには至っていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高性能小型モータやアクチュエータ分野の磁石市場でほぼ独占状態を続けている、主として環状形状の圧縮成形希土類−鉄系ボンド磁石において、磁気特性や寸法精度にも関与する磁石内部の密度を一定に維持しながら薄肉・長尺化することで、Nd、Prなどの軽希土類元素の使用量を直接削減可能とする技術に関し、その目的は、小型モータやアクチュエータを対象に、磁気性能を維持しながら薄肉・長尺化を可能とする優れた圧縮成形性を有する磁石コンパウンド、並びにそれを用いた希土類−鉄系ボンド磁石を提供するものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、圧縮成形法により得られる希土類−鉄系ボンド磁石において、ボンド磁石の製造に使用する顆粒状の複合磁石材料の形状やその大きさを選択するとともに、該複合磁石材料に使用するバインダとして、常温で固体であり且つ降伏応力を超える外力で変形(流動)する性質を具えた樹脂組成物を使用することにより、ボンド磁石の薄肉化・長尺化にあっても高い磁気特性や寸法精度を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、常温で固体であり、かつ降伏応力をもつ流動性を具えた樹脂組成物成分と、磁石成分とを含みて構成され、球近似の顆粒から成る擬似球状磁石コンパウンドに関するものであり、ここで該顆粒は平均アスペクト比ARave(ここで、ARaveは、走査電子顕微鏡で撮影された顆粒像において、その像の最長径をa、最長径aに垂直な最大径をbとしたときの比b/aの平均値を表す)が0.7以上であり、また、該顆粒は、乾式篩法(JIS Z 8815)に基づく測定において、最大粒子径が1mm未満である、擬似球状磁石コンパウンドに関する。
前記擬似球状磁石コンパウンドを構成する前記樹脂組成物成分は、不飽和ポリエステルアルキドのアリル系共重合性単量体との常温で固体の完溶物である、降伏応力をもつ流動性を備えた不飽和ポリエステル樹脂組成物、有機過酸化物とを含むことが好ましい。
このとき、前記不飽和ポリエステルアルキドは、フタル酸とフマル酸をモル比でフタル酸/フマル酸=5/5〜1/9にて含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと他のグリコールをモル比で1,4−ブタンジオール/他のグリコール=7/3〜10/0にて含むグリコール成分との共重合により形成された、融点80〜120℃、酸価20以下のポリマーであることが好ましい。
また前記アリル系共重合性単量体が、トリアリルイソシアヌレートであることが好ましい。
一方、前記擬似球状磁石コンパウンドを構成する前記磁石成分は、R−Fe−B系磁石またはFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石、あるいはR−Fe−B−M系磁石またはR−Fe(Co)−B−M系磁石と、不可避不純物とからなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織、またはαFeとRFe14B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(前記RはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy及びHoから選択される希土類元素のいずれかを表し、前記MはS
i、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P及びCから選択される1種または2種以上の組み合わせを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片であることが好ましい。
或いは前記磁石成分として、Sm−Fe−N系磁石またはSm−Fe−M’−N系磁石と不可避不純物とからなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)またはαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)(前記M’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、Ta及びC
から選択される1種または2種以上の組合せを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片を使用しても差し支えない。
本発明は、上記擬似球状磁石コンパウンドを用いた希土類−鉄系ボンド磁石も対象とする。
詳細には、該擬似球状磁石コンパウンドをキャビティに充填し、常温にて、該擬似球状磁石コンパウンドを構成する前記樹脂組成物成分が有する降伏応力以上の一軸の圧力を該擬似球状磁石コンパウンドに加えて所定形状のグリーンコンパクト、好ましくは円筒状の形態をなす環状のグリーンコンパクトとし、該グリーンコンパクトを加熱し、該グリーンコンパクトを構成する樹脂組成物成分を硬化させてなる、希土類−鉄系ボンド磁石に関する。
ここで、上記環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をrとしたとき、該グリーンコンパクトを構成する前記擬似球状磁石コンパウンドの顆粒は、乾式篩法(JIS Z 8815)に基づく測定において(r−r)×0.8未満の値である最大粒子径を有することが好ましい。
また、環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をrとし、該擬似球状磁石コンパウンドを一軸の圧力で圧縮したとき該磁石コンパウンドとキャビティ壁面との間に生じる摩擦係数をμ、該圧縮の際の軸方向から径方向への圧力変換定数をk、圧縮軸方向の加圧側端部における環状グリーンコンパクトの密度をd、圧縮軸方向の加圧側端部からの距離Lにおける環状グリーンコンパクトの密度をdとしたとき、密度dの実測値が式d=d・exp[−(μ・k)/(L/(r−r))]で表される指数関数曲線に一致する程度を示す相関係数Rが0.6未満であり、かつ(L/(r−r))が20以下、(μ・k)値が0.0005未満を満たすものであることが好ましい。
なお、上記のような本発明にかかる環状グリーンコンパクトを硬化させる際、該グリーンコンパクトを190〜200℃に加熱した円筒(例えば環状の鉄ヨーク)に該環状グリーンコンパクトの外周面が該円筒の内周面に接するように装填し、そして当該環状グリーンコンパクトの径方向の膨張を拘束して少なくとも20秒以上保持しながら、当該環状グリーンコンパクトを構成する樹脂組成物成分を加熱硬化させることにより、高い寸法精度を有する希土類−ボンド磁石、すなわちヨーク一体型の希土類−ボンド磁石とすることもできる。
さらにまた、前記希土類−鉄系ボンド磁石、或いはその完成前材料である前記環状グリーンコンパクトは、磁石成分の体積分率Vmagが79.0vol.%以上、樹脂組成物成分の体積分率Vresinが18.0vol.%以下、残留空隙の体積分率Vvoidが3.0vol.%以下(但し、前記磁石成分、樹脂組成物成分及び残留空隙の体積分率の合計は100vol.%である)であること、すなわち、残留空隙率Vvoidをできる限り少なくすることが望ましい。
そして得られた希土類−鉄系ボンド磁石が、測定磁界(外部磁界)Hm2.4MA/mにおいて、常温における0.74T以上の残留磁化Mr及び90kJ/m以上の最大エネルギー積(BH)maxを有することが好ましい。
本発明の擬似球状磁石コンパウンドは、薄肉・長尺の磁石を均一密度にて成形可能であり、また量産性の高い成形を可能とする、コンパウンドとすることができる。
本発明の擬似球状磁石コンパウンドより得られる希土類−鉄系ボンド磁石は、薄肉・長尺化を図った場合であっても、高い磁気特性と寸法精度を維持することができる。
また本発明の希土類−鉄系ボンド磁石は、磁石材料の体積分率を79.0vol.%以上に維持し、且つ、残留空隙の体積分率を3.0vol.%以下という従来より低い水準とすることができ、このような残留空隙の低減は、永久減磁の主要因となる残留空隙に存在し得る水分、酸素並びに熱による希土類磁石材料の腐食、組織変化を抑制でき、優れた耐候性と磁気特性とを兼ね備えた環状希土類−鉄系ボンド磁石とすることができる。
図1は、本発明にかかる環状グリーンコンパクト形成過程(緻密化過渡)における断面モデルを示す図である。 図2は、実施例1で得られた擬似球状磁石コンパウンド及び比較例1で得られた磁石コンパウンドの累積粒度分布を示す特性図である。 図3は、実施例1で得られた擬似球状磁石コンパウンド(図3(a))及び比較例1で得られた磁石コンパウンド(図3(b))の走査電子顕微鏡像を示す図である。 図4は、実施例1及び比較例1の各円柱状グリーンコンパクトにおける残留空隙量Vvoidと圧縮圧力Pの関係を示す特性図である。 図5は、実施例1で用いた磁石成分の粒度分布(平均粒子径)に対する、磁石成分の比表面積、ならびに圧縮圧力:1GPaで圧縮した本発明にかかるグリーンコンパクトにおける樹脂成分の厚さを示す特性図である。 図6は、実施例1(図6(a))ならびに比較例1(図6(b))にかかるグリーンコンパクトの構成の概念図である。 図7は、実施例1及び比較例1の環状グリーンコンパクトの緻密化過渡における環状グリーンコンパクトの薄肉長尺化に対する密度dとの関係を示す特性図である。 図8は、実施例1及び比較例1の各環状グリーンコンパクトにおける歪に対する圧環強度(応力を換算)との関係を示す特性図である。 図9は、本発明にかかる環状グリーンコンパクト(実施例1)の硬化温度に対する相対剛性率の関係を示す特性図(図9(a))、並びに、実施例1及び比較例1の環状グリーンコンパクトにおける、硬化温度(絶対温度の逆数)に対する硬化時間(自然対数、秒)の関係を示す特性図(図9(b))である。 図10は、本発明にかかる樹脂組成物成分の硬化段階の架橋構造を示す概念図である。 図11は、本発明にかかる環状グリーンコンパクトの、200℃での硬化時間に対する圧環強度の関係を示す特性図である。 図12は、本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石の磁気ヒステリシスを示す特性図である。
前述したように、従来提案されている希土類−鉄系ボンド磁石やその完成前材料であるグリーンコンパクト、例えば特許文献1に開示されているような、常温で固体のエポキシ樹脂を固形分50wt.%程度の有機溶媒溶液(ex.アセトンなどのケトン類の溶液)とし、前述の磁石成分に対し、常温で固体のエポキシ樹脂が2.0〜2.5wt.%程度となるように湿式混合し、その後、脱溶媒し、粒度調整して常温で固体の磁石コンパウンドとし、これを、機械式、または油圧式粉末圧縮成形機などのフィーダカップに満たし、環状キャビティに所定量充填し、常温にて一軸の圧縮圧力を加圧パンチにより加えて環状グリーンコンパクトとする技術において、磁石の薄肉化や長尺化の際に密度ばらつきが生
じるという問題が指摘されている。
たとえば、加圧パンチ近傍のグリーンコンパクトの密度の圧力依存性と、圧力軸方向のグリーンコンパクトの局部密度の分布から、任意部分の局部密度を圧力に換算すれば、圧力軸方向の局部圧力分布が求められる。上述の常温で固体のエポキシ樹脂組成物成分と磁石成分とで構成した磁石コンパウンドを、常温で圧縮した環状グリーンコンパクトの局部圧力は、加圧パンチからの距離の増加に伴って急激に減衰する。
上記のような環状グリーンコンパクトの局部圧力の減衰に関して、例えば環状成形型のキャビティに充填した磁石コンパウンドを一軸の圧力で圧縮したとき、一般に当該圧力は環状成形型キャビティの壁面との摩擦によって失われる。そこで、薄肉環状グリーンコンパクトのような場合には半径方向の圧力(密度)の変化(分布)を無視できると仮定したとき、薄肉環状グリーンコンパクトの力の釣合(平衡)方程式は下記式(1)で表すことができる。
上記式中、rは環状グリーンコンパクトの外半径、rは内半径、μは磁石コンパウンドと環状成形型キャビティ壁面間の摩擦係数、kは圧力変換定数(軸方向圧縮圧力、すなわち垂直圧力を水平方向の圧力に変換させる比例定数)である。
ここで圧縮圧力をP、加圧パンチからの距離Lにおける圧力をPとし、上記式(1)を積分すると下記式(2)が得られる。
上記式(2)から、加圧パンチからの距離Lにおける圧力Pの関数を求めると下記式(3)が得られる。
すなわち上記式(3)は、磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)中の、加圧パンチからの距離Lにおける圧力Pが、加圧パンチからの距離Lに対して指数関数で減少することを示している。また、(r−r)を小さく(薄肉化)、或いはLを大きく(長尺化)すると、局部圧力分布(すなわち局部密度分布)が比例して大きくなることを示している。
換言すれば、環状磁石の磁極面積を一定にして磁石を薄くすると、磁石の肉厚(r−r)と(加圧パンチからの)距離Lの両者に対して圧力(すなわち密度)が指数関数で減衰することになり、得られた磁石内部において無視できない密度ばらつきが生ずることを意味する。
ところで、希土類−鉄系ボンド磁石の残留磁化をMrとすれば、最大エネルギー積(BH)maxは(1/4)Mrにほぼ比例する。また、残留磁化MrはMs・Vm・Rs(Msは磁石成分の飽和磁化、Vmはボンド磁石中の磁石成分の体積分率、Rsは異方性磁石成分における配向度)の3者の積により概ね決まり、ナノ結晶性に基づくレマネンスエンハンスメント効果のない等方性磁石成分では、残留磁化Mrは0.5である。
ここで、同じ成分構成で、かつ磁気的に等方性の磁石コンパウンドから作製した環状希土類−鉄系ボンド磁石の磁石成分の体積分率Vmは、当該ボンド磁石の密度dm(すなわち成形品(ここではボンド磁石)の平均密度)に比例する(但し飽和磁化Ms、配向度Rsは一定である)。上述したように磁極面積を一定とした環状ボンド磁石において、希土類元素使用量削減のためにボンド磁石を薄肉化すると、同時に長尺化による指数関数での
密度低下を引き起こす。したがって、当該ボンド磁石の残留磁化Mr、加えて、(1/4)Mrに比例する最大エネルギー積(BH)maxも低下し、磁石特性の低下を招来する。
このように、希土類−鉄系ボンド磁石を適用した高性能径方向空隙型小型モータ、アクチュエータの回転性能(すなわち磁石特性)を維持しながら、従来技術を用いてNd、Prなど軽希土類元素使用量を直接削減すること(磁石の薄肉化)は、極めて困難であるとされている。
本発明はこうした課題に対し、ボンド磁石の薄肉化・長尺化にあっても高い磁気特性を維持する磁石の提供を意図しなされたものである。
以下、本発明を更に詳しく説明する。
[擬似球状磁石コンパウンド]
先ず、本発明の擬似球状磁石コンパウンドについて説明する。
本発明の擬似球状磁石コンパウンドは、常温で固体であり、かつ降伏応力を持つ流動性を具えた、すなわち降伏応力を越える(圧縮)圧力によって塑性変形(流動)を引き起こす性質[ビンガム流動(降伏応力をもつ流動)する性質]が付与された樹脂組成物成分と磁石成分とを含み、球近似の顆粒から成る。
上記顆粒は、平均アスペクト比ARave(ただし、ARaveは、走査電子顕微鏡で撮影された顆粒像において、その像の最長径をa、その最長径に垂直な最大径をbとしたときの比b/aの平均値を表す)が0.7以上である。
また該顆粒は、乾式篩法(JIS Z 8815)に基づく測定にて、最大粒子径が1mm未満であり、好ましくは900μm未満である。
上記擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)を用いて、とくに、環状成形型キャビティを用いて該擬似球状球状磁石コンパウンドを圧縮し、所定形状の環状グリーンコンパクトとする場合、環状グリーンコンパクトの周方向の密度分布を均質化させるために、環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をrとしたとき、上記擬似球状磁石コンパウンドの最大粒子径を(r−r)×0.8未満の値とすることが望ましい。
上記のような本発明の擬似球状磁石コンパウンドは、例えば、先ず常温で固体であり且つ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動する樹脂組成物成分を溶融状態とし、溶融下で磁石成分と混練し、これらの均質な混練物とした後、常温まで冷却する。次に、例えば一軸高速剪断式粉砕機などの粗粉砕機と分級機とを併用し、前述の平均アスペクト比ARaveと最大粒子径の数値範囲を満足するよう、常法による粉砕機と分級機を調整し、本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドを得る。
前述した一軸高速剪断式粉砕機の基本構造は、例えば、粉砕室に回転刃、固定刃が備えられ、該粉砕室(回転刃)の下部にスクリーンを備えている。本発明にかかる常温で固体、かつ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動する樹脂組成物成分と磁石成分より構成した混練物を粉砕室の上部から供給すると、該混練物は回転刃の回転によって回転刃とスクリーンとの空間に引込まれる。そして回転刃と固定刃との間に作用する剪断力が該混練物への主破砕力となって該混練物は破砕される。同時に回転刃の回転によって高速で巻上げられた粗破砕混練物は粉砕室内を飛行し、粗破砕混練物相互、あるいは粉砕室内壁との衝突を繰返しながら、次第に細かく破砕されてゆく。なお、粗破砕混練物が粉砕室内壁などと衝突する際、該粗破砕混練物は衝撃力を受ける。このとき、降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動する樹脂組成物成分は該衝撃力により塑性変形し、該素破砕混練物を略球状に変える作用がある。そして、スクリーンの開目孔径以下の粒度に達した略球状粗破砕混練物は、スクリーンを通過して下方に排出される。なお、スクリーンの開目孔径の選択によって排出粒度を設定することができる。また、篩振動式分級機などの常法により微粉砕混練物を
除去して、一定の粒度範囲に制御した擬似球状磁石コンパウンドとすることが望ましい。
上記のような本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)において、走査電子顕微鏡で撮影された顆粒像において、その像の最長径をa、その最長径aに垂直な最大径をbとしたときの比b/aの平均値で定義される平均アスペクト比ARaveは0.7以上である。なお平均アスペクト比ARaveは、擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)をランダムに採取し、走査電子顕微鏡(SEM)画像(約30個の区画内より)より該顆粒を30個選択し、それぞれの最長径a及び最長径aに垂直な最大径bを測定して比b/aを求め、これらの平均値としたものである。
このように、0.7以上の平均アスペクト比ARaveを有する顆粒は、球状に近い形状(本発明において擬似球状と称する)を有し、このような本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドは、該表面に脂肪酸金属石鹸などの微粉末を付着させることなく、傾斜面では自重で転がる程の流動性を備えている。
[希土類−鉄系ボンド磁石]
次に、上記のような本発明の擬似球状磁石コンパウンドを用いた希土類−鉄系ボンド磁石について説明する。
本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石は、成形型キャビティに所定の量を充填した前述の擬似球状磁石コンパウンドに対して、常温で、該擬似球状磁石コンパウンドを構成する樹脂組成物成分が有する降伏応力以上の一軸の圧縮圧力を加えて、所定の形状のグリーンコンパクトとし、然る後、当該グリーンコンパクトの樹脂組成物成分を熱硬化させたものである。
さて従来より、たとえば、NdFe14B化学量論組成に近い合金組成を有するNd12Fe77Co溶湯合金を片ロール法により急冷凝固した磁石薄片を、エポキシ樹脂組成物と共に湿式混合した後グラニュール(造粒品)とし、そのグラニュールを常温で圧力1GPa程度で特定形状に圧縮し、その後、当該エポキシ樹脂組成物を熱硬化して得た密度6.13Mg/mの希土類−鉄系ボンド磁石において、磁石薄片の体積分率が80.5vol.%、エポキシ樹脂組成物の体積分率が8.3vol.%、残留空隙の体積分率が11.2vol.%であるとの報告がある。
上記のように、従来の熱硬化性樹脂組成物(常温で圧縮圧力を加えても塑性流動を呈さないエポキシ樹脂組成物)と磁石成分より調製したグラニュールは、上記のような緻密化過渡(圧縮)において、その初期では、グラニュール(グラニュールを構成する磁石薄片)は脆性破壊を伴わずに変位し、その安定位置をとる。次の段階になるとグラニュール(グラニュールを構成する磁石薄片)は圧縮圧力を受けて脆性破壊を起こし、分離しながら周囲の間隙を埋めて緻密化する。また、同時に、その一部は回転して圧力軸方向へ積層するようになる。ここでグラニュール(グラニュールを構成する磁石薄片)相互の位置関係は、ほぼ安定する。勿論、圧縮圧力が小さければ、グラニュール(グラニュールを構成する磁石薄片)の脆性破壊と間隙充填の程度も小さい。よって、グリーンコンパクトの密度も小さくなる。
これに対し、本発明においては、前述の常温で固体且つ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動する樹脂組成物成分と磁石成分とから構成される擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)を、常温にて該樹脂組成物が有する降伏応力以上の一軸の圧力を加えることにより、緻密化過渡(圧縮)の初期ではコンパウンド相互が密着し、続いて緻密化過渡(圧縮)の降伏応力以上で前記磁石成分の脆性破壊と同時に前記樹脂組成物が塑性変形(流動)し、それらの相互作用によって擬似球状磁石コンパウンド周辺の間隙が埋められ、空隙が減少する過程を経る。また同時に、擬似球状磁石コンパウンド(磁石薄片)の一部は回転して圧力軸方向へ積層するようになる。ここで塑性変形を伴った擬似球状磁石コンパウンド(磁石薄片)相互の位置関係がほぼ安定する。その結果、こうして得られた特定形状のグリーン
コンパクトは残留空隙が極めて少ないものとなり、然る後、樹脂組成物成分を熱硬化し、本発明にかかる希土類−ボンド磁石となる。
以上のように、本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石は、グリーンコンパクトの圧縮圧力による緻密化過渡(圧縮)段階において、擬似球状磁石コンパウンドを構成する樹脂組成物成分の塑性流動による変形作用によって、該擬似球状磁石コンパウンドの間隙が埋められてなるものである。このような作用効果により、本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石、或いはその完成前材料であるグリーンコンパクトにおいて、磁石成分の体積分率Vmagを79.0vol.%以上、樹脂組成物成分の体積分率Vresinを18.0vol.%以下、残留空隙の体積分率Vvoidを3.0vol.%以下(但し、前記磁石成分、樹脂組成物成分及び残留空隙の体積分率の合計は100vol.%である)とすることができる。
このような残留空隙の低減(残留空隙の体積分率Vvoidの減少)は、当該残留空隙に取込まれ得る酸素や水分の減少を意味し、ひいてはこうした酸素等による希土類磁石材料の腐食、組織変化を抑制できる。すなわちこのような当該ボンド磁石の内部構造の改変は、本質的な耐候性の向上を意味する。従って、例えば、外部磁界Hm2.4MA/mでの常温における残留磁化Mrが0.74T以上、最大エネルギー積(BH)maxが90kJ/m以上を達成することにより、優れた耐候性と磁気特性とを兼ね備えた環状希土類−鉄系ボンド磁石とすることができる。
次に、本発明にかかる希土類−鉄系ボンド磁石について図を用いて説明する。図1に本発明にかかる環状グリーンコンパクト形成過程(緻密化過渡)における断面モデルを示す。
図1中の符号は、それぞれ、本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)1、環状成形型キャビティの内周面に位置するセンターコア2、キャビティ外周面に位置するダイ3、加圧パンチ4、擬似球状磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)1が接するダイ3のキャビティ内壁13を示す。またrは環状グリーンコンパクトの外半径、rは同内半径、μは本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンド1を加圧パンチ4を介して一軸の圧縮圧力Pで圧縮したときのキャビティ壁面13との間に生じる摩擦係数、kは軸方向から径方向への圧力変換定数、dは圧縮軸方向の加圧側端部における(すなわち加圧パンチ直下の)環状グリーンコンパウンドの密度、Lは圧縮軸方向の加圧側(加圧パンチ側)端部からの距離を示す。
ここで、環状グリーンコンパクトの圧縮軸方向の加圧側端部(加圧パンチ)からの距離Lにおける密度をdとし、圧力Pと密度dとがd∝Pなる関係にあると仮定すれば、前述の式(3)より密度dの関数を求めると下記式(4)で表すことができる。
上記式(4)は、一般に、磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)中、加圧側端部からの距離Lにおける密度dが、加圧パンチからの距離Lに対して指数関数で減少することを示している。
ここで本発明にかかる環状グリーンコンパクトにおいては、式(4)で表される指数関数曲線に一致する程度を示す相関係数Rが0.6未満であり、且つ(L/(r−r))が20以下の範囲、また(μ・k)値が0.0005未満を満たすものである。これは、加圧パンチからの距離L、磁石の肉厚(r−r)に対して、指数関数近似が成立せず、かつ(L/(r−r))が20以下の薄肉長尺化をした場合においても、摩擦係数と圧力変換定数(μ・k)値が従来技術の1/10以下となることを意味する。
つまり、本発明にかかる環状の希土類−鉄系ボンド磁石は、薄肉長尺化にあっても、圧力軸方向の密度が大きく減衰することなく、均質化することを意味している。加えて、本
発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドは、環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をrとしたとき、当該擬似球状磁石コンパウンドの最大粒子径を(r−r)×0.8未満とし、環状成形型キャビティ周方向への均質な充填を実現している。したがって、本発明にかかる環状グリーンコンパクト(そして得られる希土類−鉄系ボンド磁石)は、薄肉長尺化した場合においても、周方向、軸方向ともに均質な密度分布を実現してなる。
[樹脂組成物成分]
次に、本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドを構成する樹脂組成物成分について説明する。前記樹脂組成物として、具体的には不飽和ポリエステルアルキドのアリル系共重合性単量体との常温で固体の完溶物であり、降伏応力をもつ流動性を具えた不飽和ポリエステル樹脂組成物と、有機過酸化物とを含む熱硬化性樹脂組成物を挙げることができる。
前述の不飽和ポリエステルアルキドは、ジカルボン酸成分とグリコール(ジオール)成分からなる。
前記ジカルボン酸成分は、フタル酸とフマル酸とからなることが好ましく、フタル酸またはその誘導体と、フマル酸を原料として用いる。なお、以降の本明細書において「フタル酸」なる記載には「フタル酸又はその誘導体」の意味が含まれる。フマル酸の代わりに例えば仮に無水マレイン酸またはマレイン酸を用いた場合、常温で耐ブロッキング性に優れた前述の擬似球状磁石コンパウンドが得られない。
フタル酸/フマル酸の使用割合は5/5〜1/9、とくに4/6〜2/8(モル比)が好ましい。
前記グリコール成分は、1,4−ブタンジオール単独、もしくは1,4−ブタンジオールと他のグリコールとを併用することが好ましい。このとき、1,4−ブタンジオール/他のグリコールの割合は7/3〜10/0、とくに8/2〜9.5/0.5(モル比)であることが好ましい。
1,4−ブタンジオールと併用される他のグリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物を挙げることができる。ここで、他のグリコール成分として好ましくは、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジプロピレングリコールである。
ここで、ジカルボン酸成分のフタル酸/フマル酸のモル比が5/5〜1/9の範囲にあっても、グリコール成分である1,4−ブタンジオール/他のグリコールのモル比が7/3より小さい(1,4−ブタンジオールのモル比が7を下回る)場合は常温で耐ブロッキング性に優れた擬似球状磁石コンパウンドを得ることができない。
また、ジオール成分の1,4−ブタンジオール/他のグリコールのモル比が7/3〜10/0の範囲にあっても、ジカルボン酸成分であるフタル酸/フマル酸のモル比が5/5より大きい場合(フタル酸のモル比が5を超える)、または、1/9より小さい場合(フタル酸のモル比が1を下回る)場合においては、常温で耐ブロッキング性に優れた擬似球状磁石コンパウンドは得られるものの、後に得られる希土類−鉄系ボンド磁石の熱機械的特性が十分なものとはならない。
本発明にかかる不飽和ポリエステルアルキドの融点は80〜120℃が好ましい。80℃より低い場合は、常温で耐ブロッキング性に優れた擬似球状磁石コンパウンドとならな
いばかりか、均質な擬似球状磁石コンパウンドすら得ることができない。また、融点が120℃より高い場合は、常温で耐ブロッキング性に優れた擬似球状磁石コンパウンドが得られるものの、常温で1GPa以下の圧縮圧力での塑性変形(流動)性、すなわちビンガム流動(降伏応力をもつ流動)性が減少するので好ましくない。
本発明にかかるアリル系共重合性単量体としては、例えばジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルオルソフタレートなどの2官能性単量体、あるいはトリアジン環化合物であるトリアリルイソシアヌレートなどの3官能性単量体などが挙げられる。これらは1種単独で使用され得、また2種以上を併用することで、降伏応力をもつ流動性を調整することも可能である。
とくに、前記熱硬化性樹脂組成物としては、フタル酸とフマル酸をモル比でフタル酸/フマル酸=5/5〜1/9にて含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと他のグリコールをモル比で1,4−ブタンジオール/他のグリコール=7/3〜10/0にて含むグリコール成分とから構成され、融点80〜120℃、酸価20以下の不飽和ポリエステルアルキドのトリアリルイソシアヌレート溶液(完溶物)が好適である。なお、アリル系共重合性単量体の濃度を変えることにより、後述するように本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドの圧力による塑性流動特性を最適化することができる。
前記不飽和ポリエステルアルキド(A)と前記アリル系共重合性単量体(B)の割合(濃度)は、質量比でB/(A+B)=5〜40wt.%である。たとえば、アリル系共重合性単量体(B)の濃度が5wt.%未満のときは、粘着性のないコンパウンドが得られるものの、常温で1GPa以下での塑性変形能(流動)が低下する(ビンガム流動性が減少する)ので好ましくない。また、アリル系共重合性単量体(B)の濃度が40wt.%を越えると、後に調製するグリーンコンパクトの圧環強度(剛性)が低下するので好ましくない。
本発明にかかる不飽和ポリエステル樹脂組成物の重合開始剤としては、有機過酸化物を例示できる。有機過酸化物としてはメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどを挙げることができる。
さらに、本発明にかかる樹脂組成物には、重合禁止剤としてp−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−アセトキシ−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどを配合することができる。これらの重合禁止剤は2種以上を混合して使用することもできる。なお、重合禁止剤を使用する場合、その使用量は、本発明にかかる常温で固体の不飽和ポリエステル樹脂組成物(前記不飽和ポリエステルアルキドと前記アリル系共重合性単量体)の合計質量100質量部に対して0.5質量部以下である。
以上のように、本発明にかかる樹脂組成物成分(熱硬化性樹脂組成物)は特定原料を用いた不飽和ポリエステル樹脂組成物(不飽和ポリエステルアルキドとアリル系共重合性単量体の完溶物)、有機過酸化物、必要に応じて、重合禁止剤、あるいはカップリング剤、酸化防止剤、滑剤、さらにはフュームドシリカのような増粘剤などを適宜添加することができる。
[希土類−鉄系磁石薄片]
次に、本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドを構成する磁石成分について説明する。
本発明にかかる磁石成分としては、R−Fe−B系磁石(但しRはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho等の希土類元素)または前記磁石においてFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石(但しRは前述の意味を表す)、あるいはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系磁石またはR−Fe(Co)−B−M系磁石(但しRは前述の意味を表し、MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを表す)と不可避不純物とからなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとRFe
B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)(前記Rは前述の意
味を表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片が好ましい。
これらの中でもより好ましいものとして、PrFe14B結晶粒を20〜30nm、αFe結晶粒を約15nmに微細化し、残留磁化Mrが1.17T、保磁力HcJが0.64MA/m、最大エネルギー積(BH)maxが180.7kJ/mの優れた磁気特性を持つ、αFe/R−TM−B系急冷凝固薄片(ここでのRは希土類元素、TMはFeまたはFeの一部をCoで置換した遷移金属元素を意味する)などを挙げることができる。
或いは、本発明にかかる磁石成分は、Sm−Fe−N系磁石、または、Hf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M’−N系磁石(但しM’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、Ta
およびCの1種または2種以上を表す)と、不可避不純物とからなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)またはαFeとSm
17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)を含む、磁気的に等方性の希
土類−鉄系急冷凝固薄片を挙げることができる。
これらの中でもとくに好適な磁石成分としては合金組成(Sm0.7Zr0.3)(Fe0.7Co0.20.1αを急冷凝固したのち、窒素浸入型金属間化合物としたSmFe17Nx結晶粒、ならびにαFe結晶粒を、約10〜30nmに微細化した、残留磁化Mrが1.07T、保磁力HcJが0.64MA/m、最大エネルギー積(BH)maxが180kJ/mの優れた磁気特性をもつ、αFe/R−TM−N系急冷凝固薄片(ここでのRは希土類元素、TMはFeまたはFeの一部をCoで置換した遷移金属元素を意味する)などがある。
なお、上記のような本発明にかかる環状グリーンコンパクトを190〜200℃に加熱した円筒(例えば環状の鉄ヨーク)に該環状グリーンコンパクトの外周面が該円筒の内周面に接するように装填し、そして当該環状グリーンコンパクトの径方向の膨張を拘束して少なくとも20秒以上保持しながら、当該樹脂組成物成分を熱硬化させることにより、内外径の真円度、同芯度などの寸法精度が極めて高精度であるヨーク一体型の希土類−鉄系ボンド磁石とすることができる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[擬似球状磁石コンパウンドの調製]
<実施例1の樹脂組成物成分>
撹拌機、留出管、窒素ガス導入管および温度計を付した反応容器に1,4−ブタンジオ
ール100mol%、テレフタル酸ジメチル40mol%を仕込んだ。触媒として、全酸成分(テレフタル酸ジメチル及び後述のフマル酸)に対してチタン酸テトラ−n−ブトキシドを0.02mol%、三酸化アンチモン0.03mol%を仕込んだ。140℃まで内温を上げ、さらに、200℃まで1.5時間かけて昇温し、メタノールを留出させることによりエステル交換を行った。次いで160℃まで内温を下げ、フマル酸60mol%およびハイドロキノン150ppm(対フマル酸の仕込み量[質量]比)を仕込み、窒素ガスを300mL/分で流しながら155℃まで内温を上げ、2.0時間かけて内温を160℃に昇温し、さらに2.5時間かけて210℃まで昇温し、同温度で5.5時間反応を続行した。なお反応時間中、後半4.0時間は窒素流量を680mL/分に増加した。反応終了後、反応生成物(プレポリマー)を吐出し、冷却結晶化後ヘンシェルミキサーを用いて粉砕し、下記構造を有する常温で固体の不飽和ポリエステルアルキドを得た。
得られた不飽和ポリエステルアルキドにおいて、酸成分及びグリコール成分の使用量は以下のとおりである。酸成分:フタル酸/フマル酸=4/6(モル比)、グリコール成分:1,4−ブタンジオール/他のグリコール=10/0(モル比)。
上記得られた不飽和ポリエステルアルキドは酸価は7.5KOHmg/g(不飽和ポリエステルアルキド1gをクロロホルム25mLに溶解し、1/10規定水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定)、融点102℃、GPC(Gel Permeation Chromatography)で
測定した数平均分子量(Mn)は7,900(測定温度40℃、溶媒:テトラヒドロフラン(THF))であった。
また別に、アリル系共重合性単量体として下記構造を有する融点23〜27℃のトリアリルイソシアヌレートを準備した。
上述の不飽和ポリエステルアルキド75質量部、上記トリアリルイソシアヌレート25質量部を90〜100℃にて溶融混練し、完溶物(不飽和ポリエステル樹脂組成物)とした(配合比:B/(A+B)=25wt.%)。前記完溶物100質量部に対し、重合開始剤としてジクミルパーオキサイド1.5質量部、および増粘剤としてフュームドシリカ1.5質量部を加えて、90〜100℃にて溶融混練し、本発明にかかる常温で固体であり、かつ降伏応力以上で塑性流動する樹脂組成物成分を調製した。
なお、得られた樹脂組成物の熱硬化後のアルキメデス法による真密度は1.25Mg/mであった。
<比較例1の樹脂組成物成分>
一方、比較例1の樹脂組成物成分として、常温で固体のエポキシ樹脂組成物を用いた。具体的にはジグリシジルエーテルビスフェノールA型エポキシオリゴマー(数平均分子量Mn=1,040)とメチルエチルケトンオキシムにてイソシアナート基をブロックした4−4’ジフェニルメタンジイソシアナート再生体とを、エポキシオリゴマーの分子鎖内
ヒドロキシ基と再生体のイソシアナート基との当量比:OH/NCO=1にて配合したものを用いた。
なお、比較例1の樹脂組成物成分の熱硬化後のアルキメデス法による真密度は1.16Mg/mであった。
<磁石成分>
実施例1及び比較例1のいずれも、磁石成分として、ナノ結晶組織(nanocrystalline
)の磁石薄片として、NdFe14B化学量論組成に近い合金組成を有するNd12Fe77Co溶湯合金を急冷凝固した真密度:7.59Mg/m、粒子径:150μm以下(乾式篩法(JIS Z 8815)による測定)、残留磁化Mr:0.90T、保磁力HcJ:0.7MA/mの磁石薄片を使用した。
<実施例1の磁石コンパウンド>
上記磁石成分を97wt.%、本発明にかかる樹脂組成物成分を3wt.%とした混合物を、樹脂組成物成分の融点以上で無溶剤下にて溶融混練した。この溶融混練物を、粉砕室に回転刃(3枚、幅150mm)及び固定刃(1枚、幅150mm)を備え、かつ該粉砕室(回転刃)の下部に開目孔径2mmおよび3mmのスクリーンを備えた一軸高速剪断式粉砕機(回転刃は1500r・分−1)に投入した。そして、スクリーンを通過して下方に排出された粒状の粗破砕混練物を回収し、振動式篩分級機により分級した。
ここで開目孔径を3mmに設定すると、粒状の粗破砕混練物の最大粒子径は1,160μm以下となるものの、粉砕を繰返しても850μm以下のものは殆ど得られなかった。しかし、開目孔径を2mmに設定すると、最大粒子径が850μm以下の粒状の粗破砕混練物、すなわち最大粒子径1mm以下の(擬似)球状磁石コンパウンドを得ることができた。このように、スクリーンの開目孔径の選択をすることで、工業的手法により、所望の粒子径(例えば後述する環状のグリーンコンパクトとしたときの外半径をr、内半径をrとしたとき、(r−r)×0.8未満を満たす粒子径)を有する球状磁石コンパウンドを収率よく得られることを確認した。
<比較例1の磁石コンパウンド>
一方、比較例1では、まず上記磁石成分を97.5wt.%、エポキシ樹脂をベースとした比較例の樹脂組成物成分を2.5wt.%となるようそれぞれ秤量した。そして前記樹脂組成物成分を濃度50wt.%のメチルエチルケトン溶液とし、次いで、前記磁石成分と常温で湿式混合したのち、当該混合物を90℃に加熱して溶媒を除去し、然る後、常温で固体の塊状物とした。続いて、この塊状混合物を一軸高速剪断式粉砕機に投入して、開目孔径が4mmのスクリーンを通過させ、下方に排出された粗破砕混合物を回収し、さらに振動式篩分級機により分級した。
比較例の場合には、開目孔径を4mmに設定することにより、粒子径がほぼ500μm以下である磁石コンパウンドとなった。
図2に上記実施例1で得られた本発明にかかる粒子径710〜250μmの球状磁石コンパウンド、上記比較例1で得られた粒子径355〜53μmの磁石コンパウンドの累積粒度分布を示す特性図を示す。実施例1の平均粒子径Dp50は600μm、比較例1のDp50は190μmであった。
図3に、上記実施例1で得られた本発明にかかる平均粒子径Dp50:600μmの擬似球状磁石コンパウンド(図3(a))及び比較例1で得られた平均粒子径Dp50:190μmの磁石コンパウンド(図3(b))の走査電子顕微鏡像を示す。
また表1に、図3(a)の本発明にかかる実施例1の擬似球状磁石コンパウンド、並びに図3(b)の比較例1の磁石コンパウンドにおける平均アスペクト比ARaveを示す。ここで平均アスペクト比ARaveは、走査電子顕微鏡像(図3参照)において、各磁
石コンパウンドの最長径をa、aに垂直な最大径をbとしたときのb/a値(アスペクト比)の、標本数30の平均値として算出したものである。表1に示すように、比較例1の平均アスペクト比ARaveは0.3であり、コンパウンドの形状が扁平状であるのに対して、実施例1の平均アスペクト比ARaveは0.7であり、得られたコンパウンドが球状に近い形状(擬似球状)であることが確認された。
このように、実施例1の磁石コンパウンドは、本願請求項1にて規定する常温で固体でありかつ降伏応力をもつ流動性を具えた樹脂組成物成分と磁石成分とを含みて構成される球近似の顆粒からなる擬似球状磁石コンパウンドであって、平均アスペクト比ARaveが0.7以上(ただし、ARはaveは、走査電子顕微鏡で撮影された顆粒像において、その像の最長径をa、最長径aに垂直な最大径をbとしたときの比b/aの平均値を表す)、最大粒子径が1mm未満である、本発明の第1の要件にかかる球状磁石コンパウンドであった。
[円柱グリーンコンパクトの製造]
前述の工程で得られた本発明にかかる実施例1の擬似球状磁石コンパウンド3.3gを、円柱状の成形型キャビティ(内径10.07mm)に充填し、常温で圧力0.50〜1.0GPaの範囲で圧縮して、種々の圧縮応力による実施例1の円柱状のグリーンコンパクトを得た。また前述の比較例1の磁石コンパウンドを用いて、同様の手順にて、比較例1の円柱状のグリーンコンパクトを得た(圧縮圧力:0.10〜1.0GPa)。尚以降、実施例1の擬似球状磁石コンパウンド又は比較例1の磁石コンパウンドを用いて製造した各成形体(グリーンコンパクト、ボンド磁石)を「実施例1」「比較例1」と称し区別する。
図4は、実施例1及び比較例1の各円柱状グリーンコンパクトにおける残留空隙量Vvoidと圧縮圧力Pの関係を示す特性図である。
ここで、残留空隙の体積分率VvoidはVvoid=100−Vmag−Vresinから算出した。ただし、VmagはMrmag/Mrflakeであり、Vmag、Vresin、Mrmag、およびMrflakeは、それぞれ、密度7.59Mg/mとした磁石成分の体積分率、密度1.25Mg/m(比較例は1.16Mg/m)とした樹脂組成物の体積分率、グリーンコンパクトの残留磁化、および磁石薄片の残留磁化
(0.9T)である。なお、グリーンコンパクトの残留磁化は、DC B−Hトレーサ(測定磁界Hm±2.4MA/m)により求めた値を、残留磁化の温度係数αを−0.105%/℃として補正した後の値である。
図4に示すように、実施例1では圧縮圧力Pの圧力範囲:0.9〜1.0GPaにて残留空隙量が急激に減少し、P=1.0GPaでは殆ど消滅する(図中の点線の円にて囲まれた箇所参照)のに対し、比較例1においてはこの圧力範囲において残留空隙量の変化は殆ど観測されず、P=1.0GPaにおいて残留空隙は消滅しないとする結果となった。
このような残留空隙量の急激な減少は、本発明にかかる常温で固体であり且つ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動する樹脂組成物成分と磁石成分とから構成される擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)の緻密化過渡において明確に観測できるものであるが、樹脂組成物成分として従来の常温で固体、あるいは常温で液体のエポキシオリゴマーをベースとしたエポキシ樹脂を選択した場合には観測されないものであり、本発明の擬似球状磁石コンパウンドに特有な作用効果である。
図5は、本実施例で用いた磁石成分の粒度分布(平均粒子径)に対する、磁石成分の比表面積並びに圧縮圧力:1GPaで圧縮した実施例1にかかるグリーンコンパクトにおける樹脂成分の厚さを示す特性図である。ここで磁石成分の比表面積は、Heガス吸着BET−1点法で求めた。また、グリーンコンパクトにおける樹脂成分の厚さ(樹脂層の厚さ)は、擬似球状磁石コンパウンド(顆粒)の比表面積(cm/g)をBET法にて求め、これを樹脂組成物成分(比重を1.2g/cmとする)の配合比より樹脂量(体積:cm)を求め、算出した値である。
図5に示すように、磁石成分の平均粒子径が減少するに伴い、磁石成分の比表面積は増大し、一方、樹脂層の厚さは減少する。
なお、本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドは、圧縮圧力:1GPaで緻密化させる際、磁石成分は脆性破壊を伴うため、グリーンコンパクト中の磁石成分の平均粒子径は最終的に概ね100μm程度となると推定でき、このときの樹脂成分の平均厚さは1〜2μm程度と推定される。
図6に、実施例1(図6(a))ならびに比較例1(図6(b))にかかるグリーンコンパクトの構成の概念図を示す。図6(b)に示すように、磁石内部に残留空隙が存在する(比較例1)と、該空隙に水分や酸素が取り込まれ易く、これらが緻密化した磁石内部の磁石薄片の酸化、腐食などの組織変化を促進する。したがって、図6(a)に示すように残留空隙を殆ど消滅できるという本発明特有の作用は、当該磁石の耐候性を向上させるという効果につながる。
[環状グリーンコンパクトの製造]
次に、実施例1の擬似球状磁石コンパウンド及び比較例1の磁石コンパウンドを用いて、種々の環状の成形型キャビティを用い、常温で圧縮して環状のグリーンコンパクトを得た。
図7は、図1に示した環状グリーンコンパクト形成過程(緻密化過渡)における断面モデルにおいて、外半径rを25.3mm、内半径rを24.4mm、または23.9mmとし、加圧パンチからの距離(長さ)をLとしたとき、L/(r−r)と環状グリーンコンパクトの加圧パンチからの距離Lにおける密度dとの関係を示す特性図である[なお、圧縮圧力Pは全て1GPa(図4の本発明例(実施例1)で示した残留空隙が殆ど消滅する圧力)である]。
また、図7において、プロット○は(r−r)=1.4mm、●は(r−r)=0.9mmであるときの、本発明にかかる実施例1の擬似球状磁石コンパウンド(平均アスペクト比ARaveが0.74、平均粒子径Dp50が600μm)から作製した環
状グリーンコンパクトの結果である。また、プロット□は(r−r)=1.4mm、■は(r−r)=0.9mmであるときの、比較例1の磁石コンパウンド(平均アスペクト比ARaveが0.33、平均粒子径Dp50が190μm)の結果である。
図7に示すように、L/(r−r)に対する距離Lにおける密度dとの関係を前記式(4)、すなわちd=d・exp[−(μ・k)/(L/(r−r))]にフィッティングさせると、比較例1(□及び■)ではd=6.06exp[−0.0043L/(r−r)]となった。このとき、相関係数Rは0.9878であり、回帰式はほぼ成立した。また、加圧パンチ直下の密度dは6.06Mg/mであり、薄肉長尺化[(L/(r−r))の増加]により密度dは指数関数で減少し、その(μ・k)値は0.0043となった。
一方、上記のような薄肉長尺化により密度dが指数関数で減少する比較例1に対して、本発明例(実施例1)の結果(○及び●)を前記式(4)に当てはめると、d=6.08exp[−0.0004L/(r−r)]となり、加圧パンチ直下の密度d(6.08Mg/m)は比較例(6.06Mg/m)とほぼ同じ値であった。ただし、回帰式の相関係数Rは0.5977となり、薄肉長尺化[(L/(r−r))の増加]に対して密度dは指数関数で減少しないとする結果となった。また(μ・k)値は0.0004であり、比較例1に比べて1/10程度の水準を示した。
このように、本発明の擬似球状磁石コンパウンドより構成した環状グリーンコンパクトにあっては、薄肉長尺化しても指数関数で密度が低下しないという、従来例にない特性を有する。したがって、このような本発明特有の作用は、磁極面積を一定とした環状希土類−鉄系ボンド磁石を薄肉長尺化することができ、ひいては、各種小型モータ、アクチュエータのNd、Prなどの軽希土類元素使用量を直接削減できるという効果を奏する。なお、具体的な磁石の薄肉長尺化の設計については各種小型モータ、アクチュエータの設計思想に委ねることとなる。
図8は実施例1及び比較例1の各環状グリーンコンパクトにおける歪に対する圧環強度(応力を換算)との関係を示す特性図である。ただし、環状グリーンコンパクトの外半径rは4mm、内半径rは2.75mm、長さLは5.8mm、成形品(環状グリーンコンパクト)密度dm(実測値、謂わば環状グリーンコンパクトの平均密度)は6Mg/mであり、図中に示すPは10mm/分の定速度荷重である。
図8に示すように、実施例1の圧環強度、ならびに歪量は、それぞれ比較例1の2.2倍、1.6倍に達した。この大きな違いは、実施例1と比較例1のグリーンコンパクトが、先に示す図6(a)及び(b)の概念図で示したような構成の本質的な相違点を有すること、並びに、本発明にかかる樹脂組成物成分が常温で固体であるものの、降伏応力以上で発現する塑性流動性が作用したためと考えられる。
このような本発明特有の作用は、薄肉長尺化した環状グリーンコンパクトのハンドリング性の維持確保に有利であるという効果を奏する。
[希土類−鉄系ボンド磁石]
本発明にかかる圧縮成形による希土類−鉄系ボンド磁石は、成形型キャビティに充填した本発明にかかる擬似球状磁石コンパウンドを、常温で降伏応力以上の圧縮圧力(1GPa)で所定形状のグリーンコンパクトとし、常法により、当該グリーンコンパクトの樹脂組成物成分を熱硬化するものであり、前述の手順で作製した実施例1及び比較例1の環状グリーンコンパクトを用いて、希土類−鉄系ボンド磁石を製造した。
図9(a)は本発明にかかる環状グリーンコンパクト(実施例1)を速度7.5℃/分で110℃から200℃まで昇温したときの、温度に対する相対剛性率の関係を示す特性図である。また、図9(b)は実施例1及び比較例1の環状グリーンコンパクトにおける、絶対温度の逆数とした硬化温度に対する自然対数で表した硬化時間(秒)の関係を示す
特性図である。
図9(a)に示すように、本発明にかかるグリーンコンパクトの硬化開始温度は約130℃であり、180〜200℃の範囲が速硬化性領域であった。また、図9(b)に示すように、本発明にかかるグリーンコンパクト(実施例1)は、180〜200℃の温度範囲で1/T(K−1)と硬化時間(自然対数)との間に、直線関係が成立した。したがって、気体定数Rを1.9872cal・mol−1・K−1と仮定して、本発明にかかるグリーンコンパクト硬化の活性化エネルギーΔEを算出した。得られた結果を、対応する硬化時間とともに表2に示す。
表2に示すように、本発明にかかるグリーンコンパクト(実施例1)の活性化エネルギーΔEは15.9kcal・mol−1であり、対応する190〜200℃での硬化時間CPは30秒以内であった。このように、表2及び図9(b)の結果を参照すると、比較例に比べて極めて、実施例1のグリーンコンパクトが速硬化性であることが確認された。
この結果は、比較例1で使用した樹脂成分が比較的反応速度が遅い開環重合にて硬化するエポキシ樹脂組成物であるのに対し、本発明例である実施例1で使用した樹脂成分にあっては、トリアリルイソシアヌレートのような3官能性共重合性単量体と不飽和ポリエステルアルキドの不飽和基によるラジカル熱重合による硬化によるためといえる。なお図10に、本発明にかかる樹脂組成物成分の硬化段階の架橋構造を示す概念図を示す。図中の点線で囲った円は架橋点、ならびに符号●は遊離ラジカルを示している。
本発明にかかる樹脂組成物成分は、未硬化段階では常温で固体であり、かつ降伏応力以上の圧縮圧力で塑性流動を呈する。加えて、本発明にかかる不飽和ポリエステル樹脂組成物は特定の原料で構成した不飽和ポリエステルアルキドとアリル系共重合性単量体との完溶物である。
一般に、共重合性単量体は、ビニル基(CH=CH−)を有する単量体と、アリル基(CH=CH−CH−)を有する単量体に区分される。後者の単量体においてアリル基は、重合開始剤である過酸化物のラジカルにより活性化されても、共鳴構造によって安定化され(退化性連鎖移動反応〜R・+CH=CH−CH−X→〜RH+CH=CH−・CH−X⇔・CH−CH=CH−X)、重合反応の連鎖反応が阻害される。この共鳴作用により、アリル基を有する単量体は常温域で重合不活性であり、後に調製するグリーンコンパクトの常温での保存安定性において有利となる。また、アリル系共重合性単量体は、何れも蒸気圧が高く、揮発し難い。すなわち、不飽和ポリエステル樹脂組成物を構成する共重合性単量体としてアリル系共重合性単量体を用いることにより、本発明の擬似球状磁石コンパウンドは、常温で本質的に優れた保存安定性を有する磁石コンパウンドとなる。他方、熱硬化段階では、速硬化性という工業的規模での生産に極めて優位な特徴をもち、かつ当該硬化物は、その不飽和結合の濃度による架橋密度やトリアジン環の導入による架橋間分子鎖の剛直化によって、耐熱性を自在に制御できるという特徴をも有する。
図11は、200℃での硬化時間(秒)に対する圧環強度の関係を示す特性図である。ただし、使用した環状グリーンコンパクトは、実施例1の擬似球状磁石コンパウンドを用いて作成したものであり、図1に示す環状グリーンコンパクト形成過程(緻密化過渡)における断面モデルにおいて、外半径rが25.3mm、内半径rが24.4mm、L/(r−r)が14.4、圧縮圧力Pが1GPa、密度dmが6.05Mg/mのものである。また硬化時間は、200℃に加熱した金属円筒の内径(内周面)に環状グリーンコンパクトを挿入するとともに直ちに該環状グリーンコンパクトの外径(外周面)を拘束し、金属円筒内壁からの熱伝導により、当該樹脂組成物成分を熱硬化した時間(金属円筒への環状グリーンコンパクトの挿入時間)である。
図11に示すように、200℃の硬化時間は19.2秒となり、前記表2に示す相対剛性率の変化から求めた硬化時間とよく一致している。
上述の如く、200℃にて30秒間の硬化処理を為して得られる、本発明にかかる環状の希土類−ボンド磁石の内外径真円度(単位mm)、ならびに同芯度(単位mm)を示す特性表を表3に示す[図1の断面モデルにおいて、外半径rが25.3mm、内半径rが24.4mm、L/(r−r)が14.4、圧縮圧力Pが1GPa、密度dmが6.05Mg/m]。
表3に示すように、外径真円度は平均値で19μm、その95%信頼区間(信頼限界)は6μm、内径真円度は平均値で22μm、その95%信頼区間(信頼限界)は7μm、同芯度は平均値で15μm、その95%信頼区間(信頼限界)は3μmであり、大口径環状磁石を薄肉長尺化した場合においても、優れた寸法精度を維持、確保できるとする結果となった。
こうした結果からも、本発明は各種小型モータやアクチュエータに適用される環状希土類−鉄系ボンド磁石を薄肉長尺化しても高度な寸法精度を維持、確保できるという効果を奏する点が明らかとなった。
また図12は、以上のような本発明にかかる密度6.05Mg/mの希土類−鉄系ボンド磁石の20℃における磁気ヒステリシスを示す特性図である。ただし、測定はDCB−Hトレーサ(測定磁界Hm±2.4MA/m)による。図12において残留磁化Mrは0.74T、保磁力HcJは0.80MA/m、最大エネルギー積(BH)maxは92kJ/mであった。
既に図7で示したように、本発明にかかる環状グリーンコンパクト、並びに該コンパクトから得られる環状希土類−鉄系ボンド磁石は、従来例とは異なり、薄肉長尺化した場合にあっても指数関数で密度低下を引き起こさない。このような本発明特有の作用は、磁極
面積を一定とした環状磁石を薄肉長尺化することで各種小型モータ、アクチュエータの希土類元素使用量を直接削減できるという効果を奏する。
例えば、表3に示す本発明にかかる環状の希土類−鉄系ボンド磁石[図1の断面モデルにおいて、外半径rが25.3mm、内半径rが24.4mm、L/(r−r)が14.4、圧縮圧力Pが1GPa、密度dmが6.05Mg/m]の内面を16極着磁したアウターロータにおいて、鉄心との空隙を0.3mmとしたとき、そのback−EMFは22.3V(1500r・分−1)であった。
一方、比較例のボンド磁石、すなわち図1の断面モデルにおいて、外半径rが25.3mm、内半径rが23.9mm、L/(r−r)が9.26、圧縮圧力Pが1GPa、密度dmが5.85Mg/mである磁石の内面を16極着磁したアウターロータにおいて、鉄心との空隙を0.5mmとしたとき、そのback−EMFは21.5V(1500r・分−1)であった。
また、上記本発明のボンド磁石と比較例のボンド磁石の体積(上記の断面モデルにおけるr、r及びL/(r−r)の数値より算出)を比較すると、[本発明のボンド磁石]/[比較例のボンド磁石]=0.64となり、本発明のボンド磁石が従来(比較例)のボンド磁石と比べて36%の体積減少を実現したとする結果となった。
このように本発明は、環状希土類−鉄系ボンド磁石を薄肉長尺化することによって、モータ性能を維持しながらNd、Prなど希土類焼結磁石にとって必要不可欠な軽希土類元素の使用量を、例えば、36%削減することができる。
以上の通り、本発明は、磁石材料の選択のみならず、コンパウンドの金型への充填性や、加圧成形時の圧力伝達性(密度均一性)を考慮し、より球形に近く、粒径の大きさが揃い、また流れ性の良い磁石コンパウンドを選択することで、磁気性能を維持しながら薄肉・長尺の磁石を均一密度にてまた量産性の良い成形を可能とする上述の磁石コンパウンドを実現したものである。
圧縮成形により形成された従来の環状の希土類−鉄系ボンド磁石は、薄肉長尺化時に密度が指数関数で低下し、磁気特性、機械強度、寸法精度、耐候性が大きく劣化するという課題がある。本発明の擬似球状磁石コンパウンドを用いて作製した希土類−鉄系ボンド磁石にあっては、該磁石を薄肉長尺化しても密度が指数関数で低下せず、磁気特性、機械強度、寸法精度、耐候性が劣化しない。このため、各種高性能小型モータ、アクチュエータ磁石で不可欠な希土類使用量削減に直接寄与することができ、その産業上の利用価値は極めて高い。
1・・・擬似球状磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)
2・・・環状成形型キャビティの内周面に位置するセンターコア
3・・・キャビティ外周面に位置するダイ
4・・・加圧パンチ
13・・・擬似球状磁石コンパウンド(環状グリーンコンパクト)1が接するダイ3のキャビティ内壁

Claims (13)

  1. 常温で固体であり、かつ降伏応力をもつ流動性を具えた樹脂組成物成分と、磁石成分とを含みて構成され、球近似の顆粒から成る擬似球状磁石コンパウンドであって、
    前記樹脂組成物成分が、不飽和ポリエステルアルキドのアリル系共重合性単量体との常温で固体の完溶物であり、降伏応力をもつ流動性を備えた不飽和ポリエステル樹脂組成物と、有機過酸化物とを含み、
    前記不飽和ポリエステルアルキドが、フタル酸とフマル酸をモル比でフタル酸/フマル酸=5/5〜1/9にて含むジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオールと他のグリコールをモル比で1,4−ブタンジオール/他のグリコール=7/3〜10/0にて含むグリコール成分の共重合により形成された、融点80〜120℃、酸価20以下のポリマーであり、
    前記アリル系共重合性単量体が、トリアリルイソシアヌレートであり、
    前記磁石成分が磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片である、
    擬似球状磁石コンパウンド
  2. 前記擬似球状磁石コンパウンドが、0.7以上の平均アスペクト比ARave(ここで、ARaveは、走査電子顕微鏡で撮影された顆粒像において、その像の最長径をa、最長径aに垂直な最大径をbとしたときの比b/aの平均値を表す)を有する顆粒から成る、請求項1記載の擬似球状磁石コンパウンド。
  3. 前記擬似球状磁石コンパウンドが、乾式篩法(JIS Z 8815)に基づく測定において、1mm未満の最大粒子径を有する顆粒から成る、請求項1に記載の擬似球状磁石コンパウンド。
  4. 前記磁石成分が、R−Fe−B系磁石またはFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石、あるいはR−Fe−B−M系磁石またはR−Fe(Co)−B−M系磁石と、不可避不純物とからなる合金組成を有するRFe14B、RFe(Co)14Bナノ結晶組織、またはαFeとRFe14B、RFe(Co)14Bとのナノ複合組織(前記RはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy及びHoから選択される希土
    類元素のいずれかを表し、前記MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P及びCから選択される1種または2種以上の組み合わせを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片である、請求項1に記載の擬似球状磁石コンパウンド。
  5. 前記磁石成分が、Sm−Fe−N系磁石またはSm−Fe−M’−N系磁石と不可避不純物とからなる合金組成を有するSmFe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)またはαFeとSmFe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)(前記M’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、Ta及びCから選択され
    る1種または2種以上の組合せを表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固薄片である、請求項1に記載の擬似球状磁石コンパウンド。
  6. 請求項1乃至請求項のうち何れか一項に記載の擬似球状磁石コンパウンドをキャビティに充填する工程、
    常温にて、該擬似球状磁石コンパウンドを構成する前記樹脂組成物成分が有する降伏応力以上の一軸の圧力を、該擬似球状磁石コンパウンドに加えて所定形状のグリーンコンパクトとする工程、及び
    該グリーンコンパクトを加熱し、該グリーンコンパクトを構成する樹脂組成物成分を硬化させてなる工程を含む、
    希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  7. 前記特定形状のグリーンコンパクトが、円筒状の形態をなす環状グリーンコンパクトである、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  8. 前記擬似球状磁石コンパウンドの顆粒は、乾式篩法(JIS Z 8815)に基づく測定において、前記環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をrとしたとき、(r−r)×0.8未満の値である最大粒子径を有する、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  9. 前記環状グリーンコンパクトの外半径をr、内半径をr、前記擬似球状磁石コンパウンドを一軸の圧力で圧縮したとき、該擬似磁石コンパウンドとキャビティ壁面との間に生じる摩擦係数をμ、該圧縮の際の軸方向から径方向への圧力変換定数をk、圧縮軸方向の加圧側端部における環状グリーンコンパクトの密度をd、圧縮軸方向の加圧側端部からの距離Lにおける環状グリーンコンパクトの密度をdとしたとき、密度dの実測値が式d=d・exp[−(μ・k)/(L/(r−r))]で表される指数関数曲線に一致する程度を示す相関係数Rが0.6未満であり、かつ(L/(r−r))が20以下、(μ・k)値が0.0005未満を満たす、請求項又は請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  10. 前記環状グリーンコンパクトを190〜200℃に加熱した円筒に該環状グリーンコンパクトの外周面が該円筒の内周面に接するように装填し、そして当該環状グリーンコンパクトの径方向の膨張を拘束して少なくとも20秒以上保持しながら、当該環状グリーンコンパクトを構成する樹脂組成物成分を加熱硬化させて得られる、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  11. 前記環状グリーンコンパクトを構成する磁石成分の体積分率が79.0vol.%以上、樹脂組成物成分の体積分率が18.0vol.%以下、残留空隙の体積分率が3.0vol.%以下(但し、前記磁石成分、樹脂組成物成分及び残留空隙の体積分率の合計は100vol.%である)である、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  12. 磁石成分の体積分率が79.0vol.%以上、樹脂組成物成分の体積分率が18.0v
    ol.%以下、残留空隙の体積分率が3.0vol.%以下(但し、前記磁石成分、樹脂組成物成分及び残留空隙の体積分率の合計は100vol.%である)である、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
  13. 外部磁界Hm2.4MA/mにおいて、常温における0.74T以上の残留磁化Mr及び90kJ/m以上の最大エネルギー積(BH)maxを有する、請求項に記載の希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法
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