JP4887617B2 - 異方性ボンド磁石用樹脂組成物及び異方性ボンド磁石、並びにモータ - Google Patents

異方性ボンド磁石用樹脂組成物及び異方性ボンド磁石、並びにモータ Download PDF

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本発明は、生産性の高い、高耐熱性異方性ボンド磁石用樹脂組成物、それを用い作製した異方性ボンド磁石、及び異方性ボンド磁石を搭載した永久磁石モータに関する。
ボンド磁石は、フェライト系や希土類系の永久磁石の粉末をゴム、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの結合剤で結着・固化させた複合材料永久磁石である。このボンド磁石は、焼結法により作製された結合剤成分を含まない焼結磁石に比較し、結合剤成分を内在するため磁気特性は低い。しかしながら焼結による収縮がないため、高い寸法精度で環状、円弧状や薄肉形状などの特殊な形状の磁石が割れ欠けなどなく作製できるという特徴を持っている。そのため、リング形状のボンド磁石が、家電、電装、情報用のモータに近年多く用いられている。
ボンド磁石の製造方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形などが用いられている。中でも、圧縮成形は、射出成形や押出成形のような成形時に磁石粉末と結合剤を主成分とするボンド磁石用樹脂組成物が成形温度において流動性を必要としないため、結合剤成分に対する磁石粉末の比率を上げることができ、一般的に射出成形や押出成形に比較し、高い磁気特性を有する磁石が作製可能である。
近年、家電、電装、情報機器などの発展は目覚しく、当該機器に用いられるモータも機器の高性能化のもと、小型軽量化、高出力化、高効率化が要求されている。この要求に対応して、ボンド磁石の更なる磁気特性の向上も求められている。
磁気特性の向上の手段として、どの方向に磁化しても一定の磁気特性が得られる磁気的に等方性の磁石粉末ではなく、特定方向に対して高い磁気特性が得られる磁気的に異方性の磁石粉末を用いることが考えられる。しかし、異方性の磁石粉末は、熱的な安定性に対する課題を有している。
磁気的に異方性の磁石粉末には、熱間据え込み加工により機械的に配向して得たバルクを粉砕して得られる異方性のNd2Fe14B系磁石粉末や、Ga,Zr,Hf,などの元素を添加したNd−Fe(Co)−B系合金インゴットを水素中で熱処理しNd−Fe(Co)−B系の水素化(Hydrogenation)、650〜1000℃での相分解(Decomposition)、脱水素(Desorpsion)、再結合(Recombination)する、いわゆるHDDR処理により異方化されたNd2Fe14B系磁石粉末などがある。
熱間据え込み加工により得られる異方性のNd2Fe14B系磁石粉末は、結晶粒界にNd−Rich相が存在し、粒界腐食に基づく永久減磁を引起しやすい欠点があった。一方、HDDR処理により作製された異方性磁石粉末は、粒界にNd−Rich相が存在しないものの、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と混合した後、1GPa程度の圧力で圧縮成形したボンド磁石は、圧縮による緻密化の際、磁石粉末に亀裂や破損が発生し新たにNd2Fe14B結晶が暴露されることになり、高温暴露におけるそれらの組織変化によって永久減磁が増大するなど、磁石の熱的な耐久性の低下が課題として存在していた。
後者のHDDR処理により作製された異方性Nd2Fe14B系磁石粉末に対しては、平均粒子径が1〜5μmの異方性のSm2Fe173系磁石粉末と混合し、ボンド磁石用樹脂組成物とすることにより、圧縮成形の際、平均粒子径が1〜5μmと細かな異方性のSm
2Fe173系磁石粉末がHDDR処理により作製された異方性磁石粉末に加わる圧力を分散し、HDDR処理により作製された異方性磁石粉末の亀裂や破損の発生を抑制し、熱的な耐久性を向上させることが知られている(例えば、非特許文献1)。
しかし、この熱的な耐久性に対し有効であるSm2Fe173系磁石粉末は、平均粒子径が1−5μmと細かく、熱硬化性樹脂と混合した後に、粒子を個々に分散することが困難であり、磁界により磁石粉末を一定方向に配列させることが困難である。
異方性ボンド磁石において、磁石粉末の配向度を上げる方法は、既に多く開示されている。例えば、特開昭54−131086号公報において、希土類金属とコバルトからなる粒度が3μm〜20μmの金属間化合物磁石粉末に粘度が10〜20Pa・sの熱硬化性有機物樹脂を重量比で4〜5%混合し、混練せしめて作られることを特徴とする金属間化合物磁石の製造方法が開示されている。発明の詳細な説明では、有機物樹脂の粘度が20Pa・sを超えると、磁石粉末との混合性、混合粉末の磁場整列性すなわち粉末の配向性が悪くなり、磁気特性の低下を招くとしている(特許文献1参照)。しかし上記のような方法では、本発明において採用した耐熱性を向上させることができる平均粒子径が1〜5μmの異方性のSm2Fe173系磁石粉末において、粉末成形としての流動性を有するような粘度で高配向を達成することは困難である。このような液状樹脂を使用して粉末流動性を向上させるような方法も既に開示されている。
例えば、特開平5−129119号公報では、平均粒径がそれぞれDAおよびDBで,DA≧DBである同種の希土類磁石粉末と樹脂から構成される造粒粉末において、核となる粉末Aの表面に対して、固体樹脂の皮膜が第一層目であり、液体樹脂の皮膜が第二層目であり、さらにその表面に粉末Bが複数付着している造粒粉末とすることにより、造粒粉末表面に液状樹脂を露出させず、金型と液状樹脂の粘着を防ぎ、粉末流動性を向上させている(特許文献2参照)。
また、特開2000−77221号公報においては、希土類磁石粉末の粗粉の表面に被覆した液状樹脂、及びこの液状樹脂の外表面に付着させた微粉によって、磁粉の高密度化を行うとともに、上記微粉のカプセル体によって微粉の実質的な粒径を拡大して液状樹脂が外部漏出しないように封じ込め、造粒粉末の流動性を向上させている(特許文献3参照)。
また、特開平9−199363号公報において、圧縮成形法による樹脂結合型磁石の高密度化による磁気特性の優れた磁気異方性樹脂結合型磁石の製造方法が以下の通り開示されている。まず、磁気異方性を有する磁石粉末と熱硬化性樹脂からなる原料粉末を、加熱および磁界を制御できる金型に充填し、加熱化で磁界を印加して磁石粉末粒子を配向させつつ加圧による圧縮成形を行った後、成形体の硬化処理を行う。一方、成形中にガス等の気体を脱気すること、超音波振動を加えること、さらにパルス磁界の制御ができることからなる磁気異方性樹脂結合型磁石の製造方法を開示している。さらに、発明の実施の形態においては、所定の温度に加熱保持された成形用金型に原料粉末を充填した後、磁界の印加を開始して、磁石粉末粒子の磁気方向を一方向に揃える配向処理を行うとし、加熱により熱硬化性樹脂粉末がしだいに溶融して固体状から液体状になることを開示している。配向処理においては、磁石粉末が粘性を有する液体状樹脂中で回転・移動等の挙動がし易いほど、また印加磁界の強さや印加時間に比例して多くの磁石粉末粒子の磁気方向を一定方向に揃えることができるとしている(特許文献4参照)。
特開昭54−131086号公報 特開平5−129119号公報 特開2000−77221号公報 特開平9−199363号公報 F.Yamashita,A.Watanabe,S.Tsutsumi,H.Fukunaga "Highly−Dense Rare−Earth Hybrid Bonded−magnet Consolidated Under a Heat and a Transverse Field Cnfiguration",J.Magnetism Magn.Mater.,in−press(2003)
本発明が解決しようとする問題点は、異方性ボンド磁石に平均粒子径1〜5μmのSm2Fe173系微粉末を、磁場配向特性、粉末流動性を損なうことなく、熱安定性を向上し得る任意の含有量加えることにある。
例えば、平均粒径が50〜150μmのHDDR処理により作製されたNd2Fe14B系磁石粉末と平均粒径1〜5μmのSm2Fe173系磁石粉末の配合比率を変化させ作製したボンド磁石の熱安定性は表1のようになる。表1の減磁率は、各温度に60分間放置した場合の放置前からの磁力低下率である。Sm2Fe173系磁石粉末の配合率の増加とともに、減磁率は低下し、Sm2Fe173系磁石粉末の配合率により、所望の熱安定性が得られることがわかる。
Figure 0004887617
特許文献2は、高密度化の目的で液状樹脂を利用し、粉末流動性を向上させる技術であるが、この構成であれば、高配向性も達成できる。しかし、我々が、平均粒径が50〜150μmのHDDR処理により作製されたNd2Fe14B系磁石粉末を粉末A、平均粒径1〜5μmのSm2Fe173系磁石粉末を粉末Bとして使用した場合では、Sm2Fe173系磁石粉末は、24−27%の間でしか粉末流動性を発現させることができなかった。つまり、25%以下では、粉末Aの表面を覆うことができず、液状樹脂が表面に漏出してしまい、27%以上では、細かな粉末Bが粉末Aの樹脂被覆物に付着することなく、単独で存在し、単独で存在する粉末B同士が凝集してしまい粉末流動性を失ってしまう。従って、粉末流動性を維持したまま熱安定性を向上させる任意の含有量を加えることが困難であった。
また、特許文献3の場合には、粉末流動性を向上させることは可能であるが、微粉が固形樹脂で固められ、実質的な粒径を拡大しているため、微粉は、固形樹脂に拘束されてしまい高配向を達成することが困難である。
また、特許文献4のような所定の温度に加熱保持された成形用金型を使用する方法では、熱硬化性樹脂を液状化するような温度以上に金型温度を設定しなければならず、熱硬化性樹脂粉末が金型に接触することにより、液状化し、金型に付着してしまい、充填が困難となる。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、粉末流動性、高配向性を損なうことなく、熱的な耐久性を向上させることが可能である平均粒子径が1〜5μmの異方性のSm2Fe173系磁石粉末を任意の含有量加えた異方性ボンド磁石を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、第一の発明として異方性希土類磁石粉末と樹脂を主成分とする、ボンド磁石用樹脂組成物において、上記異方性希土類磁石粉末が、平均粒径1〜5μmの磁石粉末と平均粒径50〜150μmの粉末の二種からなり、平均粒径50〜150μmの磁石粉末の表面に熱硬化性樹脂が被覆されているとともに、平均粒径1〜5μmの粉末の圧縮造粒体が、上記平均粒径50〜150μmの磁石粉末樹脂被覆物外表面に、複数付着されている。
また、第二の発明では、上記第一の発明における異方性希土類磁石粉末が、異方性のSm2Fe173系磁石粉末、Nd2Fe14B系磁石粉末を含むものである。
さらに、第三の発明では、上記第一の発明における熱硬化性樹脂が、粘度1Pa・s以上の液状である熱硬化性樹脂である。
さらにまた、第四の発明では、上記第一の発明における平均粒径1〜5μmの圧縮造粒体が、40〜100GPaの範囲の圧力で圧縮された、圧縮造粒体である。
また、第五の発明では、上記第一の発明における異方性ボンド磁石用樹脂組成物からなる異方性ボンド磁石である。
さらに、第六の発明では、上記第一の発明における異方性ボンド磁石用樹脂組成物を、連続磁場を印加しながら圧縮成形する製造方法である。
さらにまた、第七の発明では、上記第一の発明における異方性ボンド磁石用樹脂組成物を、連続磁場印加前に、連続磁場以上のパルス磁場を印加する製造方法である。
また、第八の発明では、上記第六と第七の発明のいずれかの製造方法を用いて作製した異方性ボンド磁石を搭載した永久磁石モータである。
異方性希土類磁石粉末と樹脂を主成分とする、ボンド磁石用樹脂組成物において、上記異方性希土類磁石粉末が、平均粒径1〜5μmの磁石粉末と平均粒径50〜150μmの粉末の二種からなり、平均粒径50〜150μmの磁石粉末の表面に樹脂が被覆されているとともに、平均粒径1〜5μmの粉末の圧縮造粒体が、上記平均粒径50〜150μmの磁石粉末樹脂被覆物外表面に、複数付着されている異方性ボンド磁石用樹脂組成物とすることにより、表面に液状樹脂を漏出させることなく粉末流動性を持ち、磁場中圧縮成形の際に、連続磁場の印加により、圧縮造粒体は、平均粒径50〜150μmの磁石粉末樹脂被覆物から離脱し、さらに、圧縮造粒体自身も分解し、磁場方向に磁化容易軸を揃え、高配向が可能となり、粉末流動性を保ったまま熱安定性の高いSm2Fe173系磁石粉末を任意の含有量加えることが可能となる。
さらに、圧縮造粒体の分解の際に、連続磁場以上のパルス磁場を印加すると、配向度が高い、高性能異方性ボンド磁石が作製できる。
また、上記方法により作製された異方性ボンド磁石を搭載した永久磁石モータは、小型軽量化、高出力化、高効率化可能であり、且つ熱的な安定性を有する。
異方性希土類磁石粉末と樹脂を主成分とする、ボンド磁石用樹脂組成物において、上記異方性希土類磁石粉末が、平均粒径1〜5μmの磁石粉末と平均粒径50〜150μmの粉末の二種からなり、平均粒径50〜150μmの磁石粉末の表面に熱硬化性樹脂が被覆されているとともに、平均粒径1〜5μmの粉末の圧縮造粒体が、上記平均粒径50〜150μmの磁石粉末樹脂被覆物外表面に、複数付着されている。
また、前記異方性希土類磁石粉末が、異方性のSm2Fe173系磁石粉末、Nd2Fe14B系磁石粉末を含むものである。
さらに、前記熱硬化性樹脂が、粘度1Pa・s以上の液状である熱硬化性樹脂である。
さらにまた、前記平均粒径1〜5μmの圧縮造粒体が、40〜100GPaの範囲の圧力で圧縮された、圧縮造粒体である。
また、前記異方性ボンド磁石用樹脂組成物からなる異方性ボンド磁石である。
さらに、前記異方性ボンド磁石用樹脂組成物を、連続磁場を印加しながら圧縮成形する。
さらにまた、前記連続磁場印加前に、連続磁場以上のパルス磁場を印加する。
また、前記異方性ボンド磁石を搭載した永久磁石モータである。
以下に実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
Sm2Fe173系磁石粉末圧縮造粒体は、磁場中圧縮成形の際に、磁化容易軸の向きを一定方向に揃える必要があるために、圧縮造粒体は、磁場によって崩壊し、磁化容易軸を磁場方向に揃える方向に回転し、圧縮固定化されなければならない。さらに、磁場中圧縮の際に印加する連続磁場の強さは、作製する磁石の形状により磁場発生用電磁コイルの形状が制限されるので、発生する磁場も制限される。そこで、磁場中圧縮の際に印加する連続磁場1MA/mで崩壊可能なSm2Fe173系磁石粉末造粒体圧縮造粒体の圧縮圧力を調べ、さらに連続磁場に対して磁石形状により制限を受けないパルス磁場を、連続磁場印加前に印加することを目的としてパルス磁場2〜3MA/mでの崩壊性も調べた。その結果を表2に示す。崩壊性は、各圧縮圧力で作製された試料に磁場を印加した後に目視で確認した。
印加磁場1MA/mでは、60MPa以上の圧力で作製されたSm2Fe173系磁石粉末圧縮体は、崩壊しなかった。印加磁場2,3MA/mでは、100MPa程度の圧力で作製したSm2Fe173系磁石粉末圧縮体まで、崩壊した。また、40MPa以下で作製したSm2Fe173系磁石粉末圧縮体は、圧縮後崩れ、圧縮体としての形を保つことができなかった。従って、磁場中圧縮において、磁化容易軸の方向が揃った強い異方性ボンド磁石を作製するためには、Sm2Fe173系磁石粉末圧縮体は、40〜100MPaの範囲で作製する必要がある。
Figure 0004887617
次に、図1を用いて作製方法を説明する。Sm2Fe173系磁石粉末1を上記作製条件により圧縮し、Sm2Fe173系磁石粉末圧縮体を作製し、ヘンシェルミキサーにて解砕することで、図1(a)のSm2Fe173系磁石粉末圧縮造粒体2とした。次に、HDDR処理により作製された異方性Nd2Fe14B系磁石粉末3を97.8wt.%と粘度が12〜15Pa・sの範囲の熱硬化性樹脂4を2.2wt.%を有機溶剤で溶解後、湿式混合し、80℃、60分間の乾燥により有機溶剤を蒸発させ、異方性Nd2Fe14B系磁石粉末樹脂被覆物5を得た(b)。最後に、Sm2Fe173系磁石粉末圧縮造粒体2と異方性Nd2Fe14B系磁石粉末樹脂被覆物5とを転動造粒機により攪拌混合した後、硬化剤を乾式混合し、本発明の異方性ボンド磁石用樹脂組成物6を得た(c)。
上記作製方法により得られた異方性ボンド磁石用樹脂組成物6の粉末流動性を測定した。
Sm2Fe173系磁石粉末1とNd2Fe14B系磁石粉末3の混合比率を変化させたそれぞれの粉末流動性を表1に示す。Sm2Fe173系磁石粉末圧の混合前の状態は、50MPaで圧縮した圧縮造粒体と比較のために圧縮無の二種類を記載している。粉末流動性試験は、JISZ2504に準拠し行った。図中の“−”は、未測定の記号であり、“ブリッジ”は、測定中にボンド磁石用樹脂組成物が、ブリッジし測定不可であったことを示している。
Sm2Fe173系磁石粉末の圧縮無の場合には、24〜27wt.%の範囲でしか、高い流動性を確認できなかった。つまり、前述の要求される熱安定性に応じてSm2Fe173系磁石粉末含有量を変更することが困難であることがわかる。しかし、50MPaで圧縮後転動造粒機により造粒されたSm2Fe173系磁石粉末圧縮造粒体2を使用した場合には、39〜42wt.%の範囲で、高い流動性を示し、Sm2Fe173系磁石粉末を圧縮造粒し、粒径を肥大化することにより、高い粉末流動性を発現するSm2Fe173系磁石粉末含有量の値をシフトすることに成功した。なお、造粒体の平均粒径を肥大化すると高い粉末流動性を発現するSm2Fe173系磁石粉末含有量の値をSm2Fe173系磁石粉末含有量の高い方にシフトさせることできると容易に想像がつく。
Figure 0004887617
この本発明の粉末流動性の高い異方性ボンド磁石用樹脂組成物を用い、磁場中圧縮成形により異方性ボンド磁石を作製した。圧縮の際の印加磁場は、1MA/mの連続磁場を印加しながら圧縮する成形方法と連続磁場印加前に2MA/mのパルス磁場を印加後に、1MA/mの連続磁場を印加しながら圧縮する成形方法の二通りで作製した。前者の磁気特性は、Br=0.93T,iHc=931kA/m,(BH)max=147KJ/m3であった。後者のパルス連続磁場印加前にパルス磁場を印加した方法では、磁気特性は、Br=0.94T,iHc=940kA/m,(BH)max=165KJ/m3であった。
なお、上記作製方法により作製した異方性ボンド磁石を以下のような永久磁石搭載モータとするとモータの高性能化が可能となる。
たとえば、円筒枠の内周面にラジアル異方性リング磁石の製造方法を用い作製したラジアル異方性リング磁石を結合成分により固定、または多極着磁した環状磁石を永久磁石界磁とした永久磁石型モ−タや円筒枠の内周面にラジアル異方性リング磁石の製造方法を用い作製したラジアル異方性リング磁石を結合成分により固定、あるいは、多極着磁した環状磁石を備えた径方向空隙型回転子とした永久磁石型モ−タや円柱の外周面にラジアル異方性リング磁石の製造方法を用い作製したラジアル異方性リング磁石を結合成分により固定、さらに多極着磁した環状磁石で表面磁石型回転子を形成する永久磁石型モ−タ等である。
実施例1の異方性ボンド磁石用樹脂組成物の作製方法において、熱硬化性樹脂の粘度を変えて、JISZ2504に準拠し、粉末流動性試験を実施した。熱硬化性樹脂の粘度が0.5〜1Pa・sのエピコート630を使用して異方性ボンド磁石用樹脂組成物を作製したところ、粉末流動性は、いずれのSm2Fe173系磁石粉末含有量に対しても発現しなかった。これは、熱硬化性樹脂の粘度が低すぎ、Sm2Fe173系磁石粉末を付着させる粘着力が低く図1(c)に示されるような本発明の構成にならずにSm2Fe173系磁石粉末同士が凝集し、粉末流動性を低下させたものと考えられる。また、半固形である熱硬化性樹脂エピコート834にてボンド磁石用樹脂組成物を作製したところ、粉末流動性は、いずれのSm2Fe173系磁石粉末含有量に対しても発現しなかった。これは、熱硬化性樹脂の粘度が高すぎたために、Sm2Fe173系磁石粉末を付着させる粘着力が低く上記エピコート630の原因と同様に、粉末流動性を低下させたものと考えられる。従って、熱硬化性樹脂の粘度は、Sm2Fe173系磁石粉末を付着させることが可能な、1Pa・sを超える液状であることが必要である。
本発明の異方性ボンド磁石用樹脂組成物を用いると、熱的な耐久性を有した高性能な磁石が作製可能であり、当該磁石を搭載したモータの小型軽量化、高出力化、高効率化可能である。
異方性ボンド磁石用樹脂組成物の構成図
符号の説明
1 異方性Sm2Fe173系磁石粉末
2 Sm2Fe173系磁石粉末圧縮造粒体
3 異方性Nd2Fe14B系磁石粉末
4 熱硬化性樹脂
5 異方性Nd2Fe14B系磁石粉末樹脂被覆物
6 異方性ボンド磁石用樹脂組成物

Claims (7)

  1. 異方性希土類磁石粉末と樹脂を主成分とする、ボンド磁石用樹脂組成物において、上記異方性希土類磁石粉末が、平均粒径1〜5μmの磁石粉末と平均粒径50〜150μmの粉末の二種からなり、平均粒径50〜150μmの磁石粉末の表面に粘度1Pa・sを超え15Pa・s以下で且つ液状である熱硬化性樹脂が被覆されているとともに、平均粒径1〜5μmの粉末の圧縮造粒体が、上記平均粒径50〜150μmの磁石粉末樹脂被覆物外表面に、複数付着されていることを特徴とする異方性ボンド磁石用樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の異方性希土類磁石粉末が、異方性のSmFe17系磁石粉末、NdFe14B系磁石粉末を含むことを特徴とする異方性ボンド磁石用樹脂組成物。
  3. 請求項1記載の平均粒径1〜5μmの圧縮造粒体が、50MPa以上100MPa以下の圧力で圧縮された、圧縮造粒体であることを特徴とする異方性ボンド磁石用樹脂組成物。
  4. 請求項1記載の異方性ボンド磁石用樹脂組成物からなることを特徴とする異方性ボンド磁石。
  5. 請求項1記載の異方性ボンド磁石用樹脂組成物を、連続磁場を印加しながら圧縮成形することを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法。
  6. 請求項5記載の連続磁場印加前に、連続磁場以上のパルス磁場を印加することを特徴とする異方性ボンド磁石の製造方法。
  7. 請求項5または請求項6に記載の製造方法で製造された異方性ボンド磁石を搭載した永久磁石モータ。
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