JP4806983B2 - 希土類系ボンド磁石の製造方法 - Google Patents

希土類系ボンド磁石の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、配向性に優れ、熱減磁率が低減されていることによって高い磁気特性を示す磁気的異方性希土類系ボンド磁石が好適に例示される希土類系ボンド磁石の製造方法に関する。
希土類系ボンド磁石の中でも、HDDR(Hydrogenation-Disproportionation-Desorption-Recombination)磁石粉末(例えば特公平6−82575号公報を参照:希土類系磁石合金を水素中で加熱することで水素を吸蔵させる水素化処理を行った後、脱水素処理を行い、次いで冷却することによって得られる平均粒径が80μm〜100μm程度の磁石粉末)やSm−Fe−N系磁石粉末などの磁気的異方性希土類系磁石粉末を用いて、所定形状に加熱成形したりして製造されてなる磁気的異方性希土類系ボンド磁石は、磁気特性に優れることから、今日、様々な製品への応用展開に注目が集まっている。
ところで、磁気的異方性希土類系ボンド磁石が有する高い磁気特性は、通常、成形時に磁界を印加して成形し、個々の磁石粉末の向きを目的方向に揃える配向と呼ばれる操作を行うことで付与される。しかし、この操作が不十分であると、磁石の配向性が磁石の部分ごとでばらつくことにより、磁石が本来発揮しうる磁気特性を十分に発揮できず、また、磁石ごとの磁気特性もばらついてしまうという問題があった。この問題を解決するために、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤を、磁石全体の0.1mass%程度になるように樹脂バインダに添加して成形することで、配向性を改善することが通常行われているが、それでも配向性の改善は十分ではなかった。また、磁気的異方性希土類系ボンド磁石は、磁気的等方性ボンド磁石に比べて加熱雰囲気による磁束劣化率(熱減磁率)の経時変化が大きいという問題があり、その低減が望まれていた。
しかし、現在のところ、磁気的異方性希土類系ボンド磁石に対し、その配向性の改善と熱減磁率の低減を同時に達成できる方法は、残念ながら見出されていない。例えば、下記の特許文献1には、表面に有機顔料を主たる構成成分とする被着層を形成した磁気的異方性希土類系磁石粉末などの希土類系磁石粉末と、樹脂バインダを混練して調製した粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを用いて製造した希土類系ボンド磁石は、耐酸化性に優れ、大気中での100℃×500時間や500℃×100時間の加熱試験を行った場合、このような被着層を表面に形成していない磁石粉末を用いて形成したボンド磁石に比べて熱減磁率が低減することが記載されている。しかし、この方法では、磁気的異方性希土類系ボンド磁石に対し、熱減磁率の低減は図ることができるものの、配向性を改善できなかった。
国際公開第2004/064086号パンフレット
そこで本発明は、配向性に優れ、熱減磁率が低減されていることによって高い磁気特性を示す磁気的異方性希土類系ボンド磁石が好適に例示される希土類系ボンド磁石の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、上記の特許文献1と同様に磁気的異方性希土類系ボンド磁石の構成成分として有機顔料を利用する場合であっても、粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを調製するために磁石粉末と樹脂バインダを混練した後、磁石粉末と樹脂バインダに対して有機顔料を混合することで得られた有機微粒子含有コンパウンドを用いて圧縮成形により磁気的異方性希土類系ボンド磁石を製造した場合、ボンド磁石に対し、配向性の改善と熱減磁率の低減を同時に達成できることを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明は、請求項1記載の通り、希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練して調製した粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを圧縮成形して所定形状に成形し、必要に応じて得られた成形体を加熱硬化することによる希土類系ボンド磁石の製造方法であって、粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドとして、平均粒径が60μm〜120μmのHDDR磁石粉末と樹脂バインダの混練物を解砕する途中または解砕した後に、HDDR磁石粉末と樹脂バインダに対し、平均粒径が0.01μm〜1μmの有機顔料微粒子を混合して調製した有機顔料微粒子含有コンパウンドを用いることを特徴とするものである
た、請求項記載の製造方法は、請求項記載の製造方法において、有機顔料微粒子をHDDR磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することを特徴とする
た、請求項記載の製造方法は、請求項1または2記載の製造方法において、有機顔料微粒子がインダンスレン系顔料微粒子またはフタロシアニン系顔料微粒子であることを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法において、さらに、平均粒径が0.5μm〜50μmの略球形状有機微粒子(但しその平均粒径は有機顔料微粒子の平均粒径よりも大きいこととする)を混合して粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを調製することを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項記載の製造方法において、HDDR磁石粉末と樹脂バインダに対し、有機顔料微粒子と略球形状有機微粒子を同時に混合することを特徴とする。
また、請求項記載の製造方法は、請求項または記載の製造方法において、略球形状有機微粒子をHDDR磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することを特徴とする


本発明によれば、配向性に優れ、熱減磁率が低減されていることによって高い磁気特性を示す磁気的異方性希土類系ボンド磁石が好適に例示される希土類系ボンド磁石の製造方法を提供できる。
本発明は、希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練して調製した粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを圧縮成形して所定形状に成形し、必要に応じて得られた成形体を加熱硬化することによる希土類系ボンド磁石の製造方法であって、粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドとして、希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練する際、または、それ以降に、希土類系磁石粉末と樹脂バインダに対し、平均粒径が0.01μm〜1μmの有機微粒子を混合して調製した有機微粒子含有コンパウンドを用いることを特徴とするものである。
本発明によれば、磁気的異方性希土類系ボンド磁石に対し、その配向性の改善と熱減磁率の低減を同時に達成できる。従って、本発明は、磁気的異方性希土類系ボンド磁石に好適である。しかし、本発明の希土類系ボンド磁石の製造方法は、磁気的異方性希土類系ボンド磁石の製造にのみ適用できるものという訳ではなく、磁気的等方性希土類系ボンド磁石の製造にも適用することができる。本発明によれば、磁気的等方性希土類系ボンド磁石に対し、その熱減磁率の低減を図ることができる。
磁気的異方性希土類系磁石粉末は、磁気的異方性希土類系ボンド磁石を製造するために用いられるものであれば特段制限されるものではなく、例えば、HDDR磁石粉末やSm−Fe−N系磁石粉末などが挙げられる。磁気的等方性希土類系磁石粉末は、磁気的等方性希土類系ボンド磁石を製造するために用いられるものであれば特段制限されるものではない。
樹脂バインダは、希土類系ボンド磁石を製造するために用いられるものであれば特段制限されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド(ナイロン66やナイロン6やナイロン12など)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑性樹脂、ゴムやエストラマ、これらの変性体や共重合体や混合物(例えば、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂など)に熱可塑性樹脂の粉末を分散させたもの:F.Yamashita, Applications of Rare-Earth Magnets to the Small motor industry, pp.100-111, Proceedings of the seventeenth international workshop, Rare Earth Magnets and Their Applications, August 18-22, 2002, Newark, Delaware, USA, Edited by G.C. Hadjipanayis and M.J.Bonder, Rinton Pressを参照)などが挙げられる。
平均粒径が0.01μm〜1μmの有機微粒子としては、有機顔料微粒子を好適に挙げることができ、中でも、インダンスレン系顔料微粒子やフタロシアニン系顔料微粒子などは、それ自体が耐食性や耐熱性に優れるので望ましい。しかし、有機微粒子は、有機顔料微粒子に限定されるものではなく、アクリル系樹脂やスチレン系樹脂やアクリルスチレン系樹脂などの合成樹脂の微粒子であってもよい。粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドとして、このような有機微粒子を、磁気的異方性希土類系磁石粉末と樹脂バインダに対して混合して調製した有機微粒子含有コンパウンドを用いて圧縮成形により磁気的異方性希土類系ボンド磁石を製造することで、その配向性の改善と熱減磁率の低減を同時に達成できる理由については必ずしも定かではないが、このような有機微粒子は、磁気的異方性希土類系ボンド磁石を圧縮成形によって製造する際の成形時に、個々の磁石粉末粒子同士の摩擦力を軽減し、磁界印加時における磁石粉末の配向を容易なものとしていること、磁石粉末粒子に加わる応力を緩和してその破砕や配向乱れを防止すること、磁石粉末粒子と磁石粉末粒子の間などに発生する数μm程度の大きさの空隙にうまく回り込んで空隙を封孔することなどが主たる効果であると推察される。希土類系ボンド磁石を圧縮成形によって製造した場合、製造されたボンド磁石には、通常、個々の磁石粉末粒子と磁石粉末粒子の間などに存在する空隙などに起因する10体積%程度の空孔部が存在するが、この空孔部の存在により、磁石の内部の磁石粉末が酸化されやすくなっていることで、磁石の耐酸化性が悪化し、これが熱減磁率の低下に結びついている。しかし、本発明によれば、このような有機微粒子が混合されていることによって空隙を封孔して空孔部を減少させることにより、磁石の内部の磁石粉末の酸化を抑制することで、熱減磁率の低減を図ることができる(この効果は磁気的異方性希土類系ボンド磁石と磁気的等方性希土類系ボンド磁石の双方に共通するものである)。有機微粒子の平均粒径が1μmを上回ると、大きすぎて、このような効果が十分に発揮されない恐れがある(この観点に基づけば平均粒径が60μm〜120μmの磁気的異方性希土類系磁石粉末に対して優れた効果を発揮する)。一方、有機微粒子の平均粒径が0.01μmを下回ると、その入手が困難であると共に、取り扱い性に劣る恐れがある。有機微粒子の平均粒径は、0.1μm〜0.9μmが望ましい。
有機微粒子は、希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練する際、または、それ以降に、希土類系磁石粉末と樹脂バインダに対して混合すればよい。具体的には、メチルエチルケトンなどの揮発性有機溶剤に溶解した樹脂バインダに希土類系磁石粉末を混合して両者を混練する際に有機微粒子を混合する態様、揮発性有機溶剤に溶解した樹脂バインダに希土類系磁石粉末を混合して両者を混練した後、有機溶剤を蒸発させることで得られる混練物を粉末顆粒状(その平均粒径は60μm〜120μmで粒径は10μm〜300μmが望ましい)に解砕する途中や、解砕した後に有機微粒子を混合する態様などが挙げられる。中でも、希土類系磁石粉末と樹脂バインダの混練物を粉末顆粒状に解砕する途中または解砕した後に有機微粒子を混合することが望ましい。このような態様により、有機微粒子含有コンパウンドの調製工程の簡略化が可能になることに加え、有機微粒子の均一混合が可能となり、さらには、磁石粉末粒子の最表面に有機微粒子が万遍なく被着乃至付着することで、配向性の改善をはじめとする有機微粒子を混合することの効果が遺憾なく発揮される。以上のような操作により、個々の磁石粉末粒子の表面に樹脂バインダや有機微粒子が被着乃至付着した有機微粒子含有コンパウンドが得られる。そして、このような有機微粒子含有コンパウンドを圧縮成形して所定形状に成形することで、配向性の改善と熱減磁率の低減が図られた磁気的異方性希土類系ボンド磁石を製造することができる。前述したように、特許文献1においては、表面に有機微粒子を主たる構成成分とする被着層を形成した磁気的異方性希土類系磁石粉末を用いた磁気的異方性希土類系ボンド磁石の製造方法が提案されているが、磁石粉末の表面に有機微粒子を主たる構成成分とする被着層を形成するといったような手間のかかる方法を採用しても、熱減磁率の低減は図ることができるものの、配向性は改善できない。これに対し、本発明の方法は、有機微粒子を利用する点では特許文献1と共通するが、特許文献1における方法よりも簡略化された工程で、しかも、熱減磁率の低減のみならず、配向性の改善も図ることができることは特筆に価すると言える。
有機微粒子は、希土類系磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することが望ましく、1mass%〜5mass%の割合で混合することがより望ましい。10mass%を上回ると、磁石粉末密度が小さくなることで、所望の磁気特性が得られない恐れや磁石強度の低下を招く恐れがあるからである。一方、0.5mass%を下回ると、混合することの効果が得られない恐れがあるからである。なお、樹脂バインダは、希土類系磁石粉末に対して1mass%〜5mass%の割合で配合することが望ましく、2mass%〜4mass%の割合で配合することがより望ましい。
有機微粒子含有コンパウンドの圧縮成形は、0.1GPa〜1GPaの圧力で加圧して行うことが望ましく、0.3GPa〜0.6GPaの圧力で加圧して行うことがより望ましい。1GPaを上回ると、圧力が大きすぎて磁石粉末粒子が破砕して新生破面が生成したりする恐れがあるからである。一方、0.1GPaを下回ると、圧力が小さすぎてボンド磁石の高密度化を十分に図れないことに起因して空孔部の発生を効果的に軽減できない恐れがあるからである。成形温度は、樹脂バインダの種類にも依存するが、通常、室温(20℃)〜120℃である。
樹脂バインダとして熱硬化性樹脂を用いる場合、最後に、得られた成形体を加熱硬化することでボンド磁石とすることが望ましい。成形体の加熱硬化は常法に従って行えばよく、例えば、不活性ガス(窒素ガスやアルゴンガスなど)雰囲気中や真空中140℃〜200℃にて1時間〜5時間の条件で行えばよい。
なお、有機微粒子含有コンパウンドには、さらに、平均粒径が0.5μm〜50μmの略球形状有機微粒子(但しその平均粒径は有機微粒子の平均粒径よりも大きいこととする)が混合されていてもよい。このような略球形状有機微粒子としては、マイクロスフェア(マイクロカプセルやマイクロビーズなど)として知られている各種の有機高分子(エポキシ、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニルなど)からなるものが例示される。有機微粒子含有コンパウンドにこのような略球形状有機微粒子が混合されていることで、製造される磁気的異方性希土類系ボンド磁石に対する配向性の改善効果と熱減磁率の低減効果がより優れたものとなる。このような効果は、略球形状有機微粒子は、個々の微粒子が滑り性に優れ、また、弾力性に富むため、有機微粒子含有コンパウンド中で均一に分散されることで、磁気的異方性希土類系ボンド磁石を圧縮成形によって製造する際の成形時に、個々の磁石粉末粒子同士の摩擦力をより軽減し、よって、磁界印加時における磁石粉末の配向をより容易なものとすることに基づくと推察される。また、このような略球形状有機微粒子は、磁石粉末粒子と磁石粉末粒子の間などに数十μm程度の大きさの空隙が発生した場合、そこに効率的に回り込んで空隙を封孔し、空隙が存在しない部分では、圧縮された際に破壊されたり変形したりすることで、配向に支障をきたすことがないこと、磁石粉末粒子に加わる応力を緩和してその破砕や配向乱れを防止することなども、配向性の改善と熱減磁率の低減に有利に寄与しているものと推察される。略球形状有機微粒子の平均粒径は、希土類系磁石粉末の平均粒径が60μm〜120μmの場合、10μm〜30μmが望ましい。
略球形状有機微粒子がマイクロカプセルの場合、マイクロカプセルは、樹脂バインダ成分などを内包したものであってもよいし、中空のものであってもよい。樹脂バインダ成分を内包したマイクロカプセルは、圧縮された際に破壊され、内包されていた樹脂バインダ成分が成形体の内部に拡散することにより、成形時に磁石粉末が破砕して非常に活性で酸化されやすい新生破面が生じたとしても、その表面を覆うことで、製造される希土類系ボンド磁石の耐酸化性の改善に基づく熱減磁率の低減に寄与することが期待できる。
略球形状有機微粒子は、有機微粒子含有コンパウンドを調製するためのいずれかの段階で、希土類系磁石粉末と樹脂バインダに対して混合すればよいが、調製工程の簡略化の点に鑑みれば、略球形状有機微粒子は、希土類系磁石粉末と樹脂バインダに対し、有機微粒子と同時に混合することが望ましい。
略球形状有機微粒子は、希土類系磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することが望ましく、1mass%〜5mass%の割合で混合することがより望ましく、有機微粒子との合計量として3mass%〜8mass%の割合で混合することがさらに望ましい。10mass%を上回ると、磁石粉末密度が小さくなることで、所望の磁気特性が得られない恐れや磁石強度の低下を招く恐れがあるからである。一方、0.5mass%を下回ると、混合することの効果が得られない恐れがあるからである。また、有機微粒子と略球形状有機微粒子の混合比は、例えば、2:1〜1:2であることが望ましい(mass比)。
なお、希土類系磁石粉末を、例えば、0.1重量%〜5重量%のリン酸を揮発性有機溶剤に含有せしめてなる処理液に浸漬して混合攪拌した後、加熱乾燥することで、希土類系磁石粉末に対して耐酸化性を付与することができる。また、処理液中に、例えば、5ppm〜1000ppmのCu,Co,Ni,Zr,V,Moなどの金属イオンを含有せしめることで、希土類系磁石粉末に対する耐酸化性付与効果を高めることができる。このような耐酸化性が付与された希土類系磁石粉末を用いれば、製造されるボンド磁石の耐酸化性をより優れたものとすることができる。希土類系磁石粉末に対する耐酸化性の付与処理は、希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練するために用いる揮発性有機溶媒として、このような処理液を用いることで行うこともできる。
また、有機微粒子含有コンパウンドには、さらに、ステアリン酸カルシウムなどの潤滑剤が混合されていてもよい。
また、本発明の製造方法によって製造されてなる希土類系ボンド磁石のさらなる特性向上を目的として、その表面に樹脂塗装被膜や電気めっき被膜などの各種被膜を単層形成や積層形成してもよいことは言うまでもない。
以下、本発明を実施例と比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定して解釈されるものではない。なお、以下の実施例と比較例は、高周波溶解によって組成:Nd12.8原子%、Dy1.0原子%、B6.3原子%、Co14.8原子%、Ga0.5原子%、Zr0.09原子%、残部Feの鋳隗を作製し、酸素濃度0.5%以下のアルゴンガス雰囲気中で1100℃×24時間焼鈍したものを、酸素濃度0.5%以下のアルゴンガス雰囲気中で粉砕して平均粒径が100μmの粉砕粉としてからこれを0.15MPaの水素ガス加圧雰囲気中で870℃×3時間の水素化処理を行い、その後、減圧(1kPa)アルゴンガス流気中で850℃×1時間の脱水素処理を行ってから冷却して製造したHDDR磁石粉末(平均結晶粒径0.4μm)を用いて行った。
実施例1:
エポキシ樹脂とフェノール系硬化剤をmass比率で100:3の割合でメチルエチルケトンに溶解して樹脂液を調製した。HDDR磁石粉末と樹脂液を、HDDR磁石粉末とエポキシ樹脂の合計massに対するエポキシ樹脂のmassの比率が3%となるように均一混合した後、メチルエチルケトンを常温で蒸発させることで、HDDR磁石粉末と樹脂バインダの混練物を得た。得られた混練物を開孔径が300μmのメッシュに押し付けて裏ごしを行って粗解砕した段階で、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンをHDDR磁石粉末に対して3.0mass%の割合で混合し、さらに遠心バレルで粉末顆粒状になるまで解砕を行い、平均粒径が80μmの銅フタロシアニン含有コンパウンドを調製した。この銅フタロシアニン含有コンパウンドを圧縮成形(室温磁場中成形、Hex=0.96MA/m、0.6GPa)し、得られた成形体を150℃のアルゴンガス雰囲気中で90分間加熱することでエポキシ樹脂を硬化させ、寸法が縦12mm×横7.8mm(配向方向:以下同じ)×高さ7.6mm(パーミアンス係数Pc=2.1:以下同じ)のボンド磁石を製造した。
実施例2:
実施例1において、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンを混合したことにかえて、平均粒径が0.8μmのアクリルスチレン系樹脂を混合したこと以外は実施例1と同様にして、寸法が縦12mm×横7.8mm×高さ7.6mmのボンド磁石を製造した。
実施例3:
実施例1において、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンをHDDR磁石粉末に対して3.0mass%の割合で混合した際に、さらに、平均粒径が20μmの略球形状有機微粒子として松本油脂製薬社製マイクロスフェアEP−42とジャパンエポキシレジン社製硬化剤DICY−7をHDDR磁石粉末に対してそれぞれ2.8mass%と0.2mass%の割合で混合したこと以外は実施例1と同様にして、寸法が縦12mm×横7.8mm×高さ7.6mmのボンド磁石を製造した。
実施例4:
実施例3において、銅フタロシアニンと略球形状有機微粒子をそれぞれHDDR磁石粉末に対して3.0mass%と2.8mass%混合したことにかえて、銅フタロシアニンと略球形状有機微粒子をHDDR磁石粉末に対して種々の割合で混合したこと以外は実施例1と同様にして、寸法が縦12mm×横7.8mm×高さ7.6mmのボンド磁石を製造した。
実施例5:
実施例1で製造したボンド磁石の表面に、日本アチソン社製エムラロン333を用いて膜厚が約20μmのポリアミドイミド樹脂被膜を形成した。
比較例1:
実施例1において行った、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンの混合を行わないこと以外は実施例1と同様にして、寸法が縦12mm×横7.8mm×高さ7.6mmのボンド磁石を製造した。
比較例2:
アンモニアでpHを7.8に調整した弱アルカリ性水に、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンを、その含有量が処理液全体の20mass%となるように、その含有量が処理液全体の15mass%となるように添加した有機分散媒としての水溶性エポキシのカルボン酸塩を用いて分散させることで処理液を調製した。この処理液100mlに、HDDR磁石粉末100gを室温で3分間浸漬して混合攪拌することで、処理液を磁石粉末の表面に付着させた後、水流アスピレータを用いて減圧濾過を行うことで、処理液が表面に付着した磁石粉末を濾取し、真空中100℃で加熱乾燥して得られた凝集塊を、乳鉢を用いて解砕することで、銅フタロシアニンを主たる構成成分とする被着層を表面に有してなる藍色の磁石粉末を取得した(HDDR磁石粉末に対する銅フタロシアニンの付着量は3.0mass%)。実施例1において、平均粒径が0.5μmの銅フタロシアニンを混合したことにかえて、実施例1におけるHDDR磁石粉末のかわりに、こうして取得した銅フタロシアニンを主たる構成成分とする被着層を表面に有してなる藍色の磁石粉末を用いること以外は実施例1と同様にして、寸法が縦12mm×横7.8mm×高さ7.6mmのボンド磁石を製造した。
効果試験:
実施例1〜実施例4、比較例1、比較例2のそれぞれのボンド磁石について、配向方向(磁場方向)と配向方向に垂直な2方向(プレス方向と金型方向)の磁気特性を、B−Hトレーサーにて測定し、得られた3方向のBr(残留磁束密度:単位はT)から配向度を下記式により算出した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1〜実施例4の有機微粒子含有コンパウンドを用いて製造されたボンド磁石は、比較例1と比較例2のボンド磁石に比べて配向性が優れていた。また、有機微粒子含有コンパウンドに略球形状有機微粒子が混合されることで、配向性はより優れたものとなった。
Figure 0004806983
Figure 0004806983
また、実施例1と実施例3と比較例1と比較例2のそれぞれのボンド磁石の表面をSEM観察したところ、比較例1のボンド磁石には空孔部が多数観察されたが、実施例1と実施例3と比較例2のボンド磁石には空孔部がほとんど観察されなかった。
また、実施例1〜実施例4、比較例1、比較例2のそれぞれのボンド磁石に対し、大気中120℃×1000時間の加熱試験を行い、熱減磁率の経時変化を測定した。結果を表2に示す。また、1000時間経過後に再着磁して永久減磁率(酸化による磁束劣化率)を測定した結果を表3に示す。表2と表3から明らかなように、実施例1〜実施例4の有機微粒子含有コンパウンドを用いて製造されたボンド磁石は、比較例1と比較例2のボンド磁石に比べて熱減磁率の経時変化も永久減磁率も小さかった。
Figure 0004806983
Figure 0004806983
また、実施例5のボンド磁石に対し、大気中120℃×1000時間の加熱試験を行い、1000時間経過後に再着磁して永久減磁率を測定したところ、3.0%という非常に優れたものであった。
本発明は、配向性に優れ、熱減磁率が低減されていることによって高い磁気特性を示す磁気的異方性希土類系ボンド磁石が好適に例示される希土類系ボンド磁石の製造方法を提供できる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 希土類系磁石粉末と樹脂バインダを混練して調製した粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを圧縮成形して所定形状に成形し、必要に応じて得られた成形体を加熱硬化することによる希土類系ボンド磁石の製造方法であって、粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドとして、平均粒径が60μm〜120μmのHDDR磁石粉末と樹脂バインダの混練物を解砕する途中または解砕した後に、HDDR磁石粉末と樹脂バインダに対し、平均粒径が0.01μm〜1μmの有機顔料微粒子を混合して調製した有機顔料微粒子含有コンパウンドを用いることを特徴とする製造方法
  2. 有機顔料微粒子をHDDR磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することを特徴とする請求項記載の製造方法
  3. 有機顔料微粒子がインダンスレン系顔料微粒子またはフタロシアニン系顔料微粒子であることを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
  4. さらに、平均粒径が0.5μm〜50μmの略球形状有機微粒子(但しその平均粒径は有機顔料微粒子の平均粒径よりも大きいこととする)を混合して粉末顆粒状ボンド磁石用コンパウンドを調製することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の製造方法。
  5. HDDR磁石粉末と樹脂バインダに対し、有機顔料微粒子と略球形状有機微粒子を同時に混合することを特徴とする請求項記載の製造方法。
  6. 略球形状有機微粒子をHDDR磁石粉末に対して0.5mass%〜10mass%の割合で混合することを特徴とする請求項または記載の製造方法
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