JP3646485B2 - 希土類ボンド磁石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱性及び機械的強度に優れた希土類ボンド磁石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希土類ボンド磁石に用いられる樹脂は、熱硬化性、熱可塑性、ゴム系などがあるが、その中で熱硬化性樹脂を用いた圧縮成形磁石は、磁性粉末を高充填率化できるため、最も高い磁気特性が得られる。希土類ボンド磁石の圧縮成形用の樹脂は(1)強い接着力を有する、(2)磁石粉末の充填密度を高くする、(3)耐熱性が良い、(4)耐薬品性がある、等の条件を満たす必要がある。この条件を満たす熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂が広く使用されている。
【0003】
エポキシ樹脂の耐熱性は120℃程度であるため、さらに耐熱性が必要な場合は、例えば特公平9−2568511公報に記載されているビスマレイミドトリアジン樹脂、特開平5−175021公報に記載されているトリアジン樹脂がある。
【0004】
1種類の熱硬化性樹脂では低い耐熱性を2種以上の熱硬化性樹脂を混合することによって向上させた希土類ボンド磁石としては、例えば特開平6−36912公報に記載されているようにエポキシ樹脂にトリアジン樹脂を添加することで180℃の使用に耐えられるもの、特開平8−273916公報に記載されているようにエポキシ樹脂にポリベンゾイミダゾールを添加することで200℃の使用に耐えられるものがあった。
【0005】
熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合して希土類ボンド磁石のバインダーとする例としては、特開平1−205502公報に熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂やフェノール樹脂やポリエステル樹脂に熱可塑性樹脂のフッ素樹脂を添加して防錆力を向上させた有機物樹脂が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の2種以上の樹脂の混合バインダーを用いた圧縮成形の希土類ボンド磁石においては、以下の問題点を有する。
【0007】
(1)熱硬化性樹脂よりも優れた耐熱性樹脂として、特に融点が200℃以上の熱可塑性樹脂(代表例として、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、フッ素樹脂のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI))がある。しかしながら熱可塑性樹脂主体のバインダーを用いた室温圧縮成形では樹脂に接着力がないため磁石に十分な強度が得られず、融点以上の200℃〜400℃で加熱成形が必要なため磁粉の酸化劣化が起こってしまうといった問題点を抱えていた。
【0008】
(2)熱硬化性樹脂と優れた熱可塑性樹脂(例えばフッ素樹脂)の単純な混合では、熱可塑性樹脂の優れた特性の一部(例えばフッ素樹脂の撥水性や潤滑性)が熱硬化性樹脂と希土類ボンド磁石に付与(例えば防錆力や潤滑性として)されるものの、粒径のおおきな熱可塑性樹脂を添加しても、耐熱性が熱硬化性樹脂と希土類ボンド磁石に付与されることはなく、熱硬化性樹脂と磁粉の熱劣化が進行してしまう問題点があった。
【0009】
本発明は、熱硬化性樹脂に高い耐熱性を有する熱可塑性樹脂を添加したバインダーを用いて、高い耐熱性と高い機械的強度を有する希土類ボンド磁石を得ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂又はその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるトリアジン樹脂及びその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるビスマレイミドトリアジン樹脂及びその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記希土類磁石粉末と、前記熱硬化性樹脂と、前記フッ素樹脂と、前記フッ素系界面活性剤とを、室温で混合して得られた成形用粉末を圧縮成形することにより得られたものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の希土類ボンド磁石について説明する。
【0019】
1.希土類ボンド磁石
まず、本発明の希土類ボンド磁石について説明する。
【0020】
本発明の希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末とバインダーからなるものである。希土類磁石粉末は、SmCo5系やSm2Co17系やNd2Fe14B系やSm2F17N3系に代表される希土類磁石の粉末であり、これらの1種または2種以上を混合したものである。バインダーは希土類磁石粉末を接着し成形体としての形状を維持するための樹脂の他に、樹脂の改質や成形性の改善等のための種々の添加剤、例えば可塑剤、潤滑剤、酸化防止剤、硬化剤、硬化促進剤、(例えば、脂肪酸、オイル、各種ワックス、有機酸)、を添加することができる。希土類ボンド磁石中のバインダー含有量は3〜20vol%程度であるのが好ましい。バインダー量が多く磁石粉末量が少なすぎると磁気特性(特に磁気エネルギー積)の向上が図れず、またバインダー量が少なく磁石粉末が多すぎると機械的強度が低下する。
【0021】
ボンド磁石の耐熱性は希土類磁石合金によるものとバインダーによるものの2つに大きく分けられる。一般にボンド磁石は焼結磁石に比べて耐熱性に劣る。そのためボンド磁石のバインダーの改善によっては焼結磁石並みに耐熱性を向上させる可能性がある。
【0022】
本発明の希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末として耐熱性に優れた磁石粉末、例えばSm2Co17系のSm(Co0.67Fe0.08Zd0.22Cu0.03)8.2磁石粉末、Nd2Fe14B系磁石粉末(例えばMQI社製のMQP−O、MQP−C、MQP−Q粉末)に本発明のバインダーを用いると、従来のエポキシ樹脂のボンド磁石よりもさらに優れた耐熱性を有するボンド磁石となる。また、希土類磁石粉末として、例えばSm2F17N3系磁石粉末、Nd2Fe14B系磁石粉末(例えばMQI社製のMQP−B粉末)、異方性化したNd2Fe14B系磁石粉末(例えばMQI社製のMQA−T粉末))に本発明のバインダーを用いると、従来のエポキシ樹脂のボンド磁石の耐熱性が改善された希土類ボンド磁石となる。
【0023】
2.バインダーの組成
本発明の希土類ボンド磁石のバインダーの組成は好ましくは以下の組成からなるものである。
【0024】
バインダーは熱硬化性樹脂を主成分とし、熱可塑性樹脂を副成分とする。
【0025】
用いられる熱硬化性樹脂は金属との接着力に優れ機械的強度の高いものが好ましい。例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、及びこれらの変性樹脂が好ましく、中でも接着力に優れたエポキシ樹脂が好ましく、耐熱性に優れたフェノール変性エポキシ樹脂がより好ましく、ビスマレイミドトリアジン樹脂がさらに好ましい。また、熱硬化性樹脂は接着力に優れたエポキシ樹脂と、耐熱性に優れたトリアジン樹脂又はビスマレイミドトリアジン樹脂の混合樹脂であっても良い。
【0026】
本発明者は種々の実験により以下の知見を得た。
【0027】
熱硬化性樹脂の機械的強度と熱可塑性樹脂の耐熱性は、両者の単純な混合(互いに分離した状態)では両機能が十分発揮されるどころか低下してしまう。ところが熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂中に幅広く分散し、熱可塑性樹脂の粒径が50μm以下になると、分子レベル(nm〜μmレベル)で混合したとき(樹脂同士を相溶させたとき)と近い現象が現れ始め、耐熱性が熱硬化性樹脂に付与され、熱可塑性樹脂に機械的強度が付与されるのである。より粒径が小さいほど樹脂を相溶させたときに近い特性が得られる。単なる混合ではえられなかった効果が、粒径が50μm以下で得られるようになる。用いられる熱可塑性樹脂の粒径dは0<d≦50μmの範囲内であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、5μm以下であるとさらに好ましい。
【0028】
また、高い耐熱性を付与するために、用いられる熱可塑性樹脂は融点が200℃以上であるものが好ましく、280℃以上であるものがより好ましく、400℃以上であるものがさらに好ましい。例えば、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、及びこれらの変性樹脂が好ましく、耐熱性と潤滑性に優れたフッ素樹脂がより好ましく、フッ素樹脂の中でも耐熱性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がさらに好ましい。
【0029】
また、用いられる熱可塑性樹脂の添加量は全バインダーに対して1vol%以上40vol%以下含むことが好ましい。熱可塑性樹脂の添加量が少なすぎると耐熱性の効果が得られず、逆に多すぎると接着力のない熱可塑性樹脂によって機械的強度が弱くなる。
【0030】
用いられるバインダー中には熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の相溶化剤を1vol%以上20vol%以下含むことが好ましい。相溶化剤とは、お互いに溶け合わない非相溶系において、互いの分散と混和を促進させるものをいう。相溶化剤は、特に互いの分子構造の一部、またはそれに近いものを持っている物が好ましい。相溶化剤の添加はμmオーダーの熱可塑性樹脂の熱硬化性樹脂中への分散を促進させるため、耐熱性が熱硬化性樹脂に付与されるのである。
【0031】
用いられる熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が、それぞれエポキシ樹脂及びその変性樹脂とフッ素樹脂の場合、相溶化剤は、フッ素系界面活性剤またはフッ素系カップリング剤であることが好ましく、フッ素系界面活性剤であることがより好ましい。ここでフッ素系界面活性剤とは、疎水または疎油性のパーフルオロアルキル基と、親水または親油性の有機基(例えばカルボン酸、アンモニウム塩、エチレンオキシド付加物、アルキルオリゴマー)の両方をもつものであり、フッ素系カップリング剤とは、疎水または疎油性のパーフルオロアルキル基と、金属または樹脂と反応する基(例えばトリメトキシシラン基)の両方をもつもののことである。フッ素樹脂表面で安定なパーフルオロアルキル基がフッ素樹脂を包み込み、エポキシ中で安定な有機基がエポキシと結びつくため、エポキシ樹脂中でフッ素樹脂の分散が促進されるのである。
【0032】
3.磁石の耐熱性
希土類ボンド磁石の耐熱性には、▲1▼機械的な耐熱性(ガラス転移温度、軟化温度、等)と▲2▼磁気的な耐熱性(残留磁化Bdの可逆温度係数α、保磁力iHcの可逆温度係数β、初期不可逆減磁率、長期高温保持後の不可逆減磁率、等)がある。機械的耐熱性と磁気的耐熱性は必ずしも相関があるわけではなく、磁石として実際に問題となるのは磁気的な耐熱性である。
【0033】
磁気的な耐熱性の可逆温度係数α、βは磁石合金によって決まる値であり、係数が小さいほど優れている。さらに初期不可逆減磁率と長期高温保持後の不可逆減磁率は磁石合金本来の性能の他に磁石の劣化を示すものであり、これが悪いとその温度では長期間の使用に耐えられず使い物にならない。本発明は磁石としての実用上の耐熱性を重視し、磁気的な耐熱性、特に高温保持後の不可逆減磁率を向上させるものである。
【0034】
【実施例】
次に本発明の具体的実施例について説明する。
【0035】
(実施例1)
熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)と、種々の熱可塑性樹脂(ナイロン12、ナイロン6、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン・フッ素樹脂))を、それぞれ80:20の体積比率となるように混合し、メチルエチルケトン溶液に溶解しバインダー溶液とした。バインダー溶液と希土類磁石粉末を、全バインダー量と希土類磁石粉末の体積比率を10:90となるように混合し、攪拌しながらメチルエチルケトンを蒸発乾燥させ成形用粉末とした。成形粉末を金型に入れて成形し、金型から取り出して180℃1時間加熱硬化させて希土類ボンド磁石とした。ここで希土類磁石粉末は、Nd2Fe14B系磁石粉末の中でも耐熱性に優れたMQP−O粉末(MQI社製)を用いた。
【0036】
ここで耐熱性は180℃1000h後の不可逆減磁率で評価した。180℃の不可逆減磁率とはパーミアンス係数が1の形状のボンド磁石を180℃に加熱後25℃に戻したときの表面磁束の減少率である。
【0037】
表1に、エポキシ樹脂に添加した熱硬化性樹脂の融点と粒径別のボンド磁石の不可逆減磁率を示す。
【0038】
【表1】
【0039】
180℃の耐熱性は、融点が200℃以上の熱硬化性樹脂のときに優れ、不可逆減磁率が5%以下を示している。また、熱硬化性樹脂の粒径は50μm以下のとき不可逆減磁率が5%以下を示し、優れた耐熱性を示している。
【0040】
(実施例2)
熱硬化性樹脂(ユリア樹脂、エポキシ樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂)と、熱可塑性樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン・フッ素樹脂))を、それぞれ(100−a):aの体積比率となるように混合し、メチルエチルケトン溶液に溶解しバインダー溶液とした。バインダー溶液と希土類磁石粉末を、全バインダー量と希土類磁石粉末の体積比率を10:90となるように混合し、攪拌しながらメチルエチルケトンを蒸発乾燥させ成形用粉末とした。成形粉末を金型に入れて成形し、金型から取り出して180℃1時間加熱硬化させて希土類ボンド磁石とした。ここ土類磁石粉末は、Nd2Fe14B系磁石粉末の中でも耐熱性に優れたMQP−O粉末(MQI社製)を用いた。
【0041】
ここで耐熱性は実施例1と同様に180℃1000h後の不可逆減磁率で評価した。また、機械的強度の測定は日本電子材料工業会規格EMAS−7006に従い打抜きせん断試験で行った。
【0042】
表2に、種々の熱硬化性樹脂への10μm以下のフッ素樹脂(PTFE)の添加量と不可逆減磁率と機械的強度の関係を示す。
【0043】
【表2】
【0044】
いずれの熱硬化性樹脂でもフッ素樹脂添加で不可逆減磁率が減少し、耐熱性が向上する。ところが、耐熱性に優れたエポキシ樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂を用いて、PTFEの添加量が1vol%以上ならば、不可逆減磁率は5%以下であり、さらに耐熱性がよくなる。しかし、40vol%を超えると、機械的強度が100N/mm2以下になってしまい、機械的強度が弱くなる。
【0045】
よって、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、トリアジン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂)に粒径が10μm以下のPTFEを、全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含むとき、耐熱性と機械的強度を満足する。
【0046】
(実施例3)
熱硬化性樹脂のエポキシ樹脂と、熱可塑性樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン、粒径10μm以下)とフッ素系界面活性剤としてパーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物とを、それぞれが(80−b):20:bの体積比率となるように混合した樹脂をメチルエチルケトン溶液に溶解しバインダー溶液とした。バインダー溶液と希土類磁石粉末を、全バインダー量と希土類磁石粉末の体積比率を10:90となるように混合し、攪拌しながらメチルエチルケトンを蒸発乾燥させ成形用粉末とした。成形粉末を金型に入れて成形し、金型から取り出して180℃1時間加熱硬化させて希土類ボンド磁石とした。ここで希土類磁石粉末は、Nd2Fe14B系磁石粉末の中でも耐熱性に優れたMQP−O粉末(MQI社製)を用いた。ここで耐熱性は実施例1と同様に評価した。
【0047】
表3に、フッ素系界面活性剤の体積比率とボンド磁石の不可逆減磁率の関係を示す。
【0048】
【表3】
【0049】
フッ素系界面活性剤を1vol%以上添加すると不可逆減磁率が減少し、耐熱性が向上している。ただし体積比率が20vol%を超えると不可逆減磁率が5%以上になる。
【0050】
【発明の効果】
以上述べてきたように本発明によれば、圧縮成形用の希土類ボンド磁石のバインダーとして、熱硬化性樹脂に粒径dが0<d≦50μmの高耐熱熱硬化性樹脂を混合すると、分子レベルで混合したとき(樹脂同士を相溶させたとき)に近い現象が現れはじめ、熱可塑性樹脂の特性が付与された熱硬化性樹脂が得られるため、耐熱性と機械的強度に優れた希土類ボンド磁石が得られる。さらに粒径が小さい高耐熱熱可塑性樹脂を相溶化剤と同時に熱硬化性樹脂に添加すると、樹脂同士を分子レベルで混合したときにより近い特性が得られるため、耐熱性と機械的強度に優れた希土類ボンド磁石が得られる。
Claims (5)
- 希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂又はその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする希土類ボンド磁石。
- 希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるトリアジン樹脂及びその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする希土類ボンド磁石。
- 希土類磁石粉末とバインダーで結合してなる圧縮成形型の希土類ボンド磁石において、熱硬化性樹脂であるビスマレイミドトリアジン樹脂及びその変性樹脂を主成分とするバインダー中に、粒径dが0<d≦50μmのフッ素樹脂を全バインダー量に対して1vol%以上40vol%以下含み、かつフッ素系界面活性剤を全バインダー量に対して1vol%以上20vol%以下含むことを特徴とする希土類ボンド磁石。
- 前記希土類磁石粉末と、前記熱硬化性樹脂と、前記フッ素樹脂と、前記フッ素系界面活性剤とを、室温で混合して得られた成形用粉末を圧縮成形することにより得られたものである請求項1ないし3のいずれかに記載の希土類ボンド磁石。
- 前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物である請求項1ないし4のいずれかに記載の希土類ボンド磁石。
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JPH02161701A (ja) | 永久磁石の製造方法 |
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