JP2002329628A - 環状磁石構造体の製造方法およびモータ - Google Patents
環状磁石構造体の製造方法およびモータInfo
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Abstract
[BH]maxの低下を招かず、急冷磁石粉末の本来の性
能をモータ特性に反映し得る環状磁石構造体を提供す
る。 【解決手段】 環状磁石に芯材料を挿入し、両者を加熱
することにより環状磁石と芯材料との間に接触面を形成
し、少なくとも芯材料に含まれる結合剤の熱硬化によっ
て環状磁石と芯材料とを化学的に結合させる。
Description
とを直接化学的に結合してなる環状磁石構造体の製造方
法に関する。さらに、本発明は、前記製造方法により得
られる環状磁石構造体に回転軸を挿入し、かつ最外周面
から半径方向に多極着磁した回転子を備え、出力数〜数
百W級のOA、AV、家電および空調機器などの駆動源
として利用される表面磁石回転子型同期モータおよび永
久磁石型ステップモータに関する。
機器などの小型化および軽量化、さらに省エネルギー化
に対応して、これらに搭載されるモータの設計に努力が
なされてきた。しかし、家庭、工場および事務所などの
電力消費(約9000億kWh/96年度)の内訳をみ
ると、モータによる電力消費が多く、全体で50%を超
えると推定される。昨今、地球温暖化防止およびオゾン
層保護などの地球環境保全に関する意識が高まるなか、
さらなる高効率モータの開発および普及が求められてい
る。
力化が必要であるが、高出力化の一つの鍵は磁石にあ
り、磁石を構成する材料の性能を如何にモータの性能に
反映させるかが重要である。そして、個々のモータに応
用するために必要な磁石が具備すべき条件としては、
空隙に必要な静磁界を与え得る磁気特性、非可逆減磁
に代表される安定性、所望する形状に応じることので
きる形状任意性、および原料の資源確保から実装に至
るまでの総合的な経済性の4点があげられ、これらの4
点についてバランス良く優れた磁石が望ましい。一般
に、モータの効率化と小型化とは相反する関係にあり、
数百W以下の比較的小型の磁石モータでは、磁石の製造
とモータの製造との融合を進展させる必要がある。
M型ステップモータに用いられる環状磁石型回転子、お
よび同期モータに用いられる表面磁石型回転子などに適
用される環状磁石構造体である。例えば、粉末粒径10
〜20μmの液体エポキシ樹脂内包カプセルとR2TM
14B相を有する急冷磁石粉末とを含む顆粒状コンパウン
ドを鉄心外周面で圧縮し、加熱処理して環状磁石構造体
を得る方法が知られている(例えば、M. Wada, F. Yama
shita, "Nd-Fe-B Resin Bonded Magnet to theBrush-le
ss Motor for Home Appliance Use", Proc. 10th Int.
Workshop onRare-Earth Magnets and Their Applicatio
ns (II), pp.91-101 (1989))。
形時に環状磁石構造体を形成する方法の工程図である。
図1に示す製造方法は、充填工程A、圧縮行程B、離型
工程Cおよび加熱処理工程Dからなる。まず、充填工程
Aにおいて、下コア14の上部に積層鉄心11を配置
し、下コア14とダイ13との間に、磁石粉末とバイン
ダーからなるコンパウンド12を充填する。なお、ダイ
13の上部には、コンパウンド12を供給するためのフ
ィーダカップ16が設けられている。また、下コア14
とダイ13との間の下部には、下パンチ15が挿入され
ている。つぎに、圧縮行程Bにおいて、下コア14をや
や下方に移動させ、積層鉄心11を下コア14と上コア
18とで挟むともに、下コア14とダイ13との間に上
パンチ17を挿入し、コンパウンド12を積層鉄心11
の周囲で圧縮する。
および上コア18を除去し、コンパウンド12の圧粉体
19および積層鉄心11からなる環状磁石構造体の前駆
体を得る。さらに、加熱処理工程Dにおいて、圧粉体1
9を加熱処理することによって得られる磁石20および
積層鉄心11からなる環状磁石構造体を得る。この種の
環状磁石は、図1中の工程にしたがい、通常8〜10t
on/cm2で圧縮成形されるため、離型すると通常
0.65〜0.70%のスプリングバックがある。しか
し、この技術は磁石のスプリングバックを抑えて鉄心と
磁石とを接着させず、回転子としての機械的強度および
寸法精度を確保した環状磁石構造体を提供する。
する急冷磁石粉末の含有量が95重量%のコンパウンド
を圧縮して、外径48mm、積厚11mmの鉄心外周面
に厚さ1mmの環状磁石を形成、配置して得られた環状
磁石構造体の部分拡大SEM(走査型顕微鏡)写真であ
る。すなわち、図2は、前記環状磁石構造体における磁
石と鉄心との境界部分のSEM写真である。図2から、
磁石20と鉄心11とが空隙なく一体化している環状磁
石構造体であることがわかる。また、図3は、図2に示
す環状磁石構造体のR2TM14B相を有する急冷磁石粉
末の含有量に対するスプリングバックと、前記環状磁石
構造体における磁石・鉄心間のせん断強度(kgf)と
の関係を示す特性図である。図3に示すように、R2T
M14B相を有する急冷磁石粉末を95重量%以下(エポ
キシ樹脂を5重量%以上)とすることにより、スプリン
グバックが通常の1/10以下である0.07%以下に
抑制され、高いせん断強度の環状磁石構造体が作製でき
ることがわかる。
環状磁石構造体のスプリングバックを0.07%以下に
抑制し、高いせん断強度を有する環状磁石構造体を作製
するには、環状磁石のエポキシ樹脂の割合を5重量%以
上とする必要がある。図4は、上記環状磁石の密度と磁
気特性との関係を示す特性図である。図4に示すよう
に、磁石の磁気性能(残留磁化Irと最大エネルギーと
の積[BH]ma x)は前記環状磁石の密度に依存する。
ここで、1.5重量%のエポキシ樹脂と式:Nd12Fe
77Co5B6で表されるR2TM14B相を有する急冷磁石
粉末とを含むコンパウンドを9tonf/cm2で圧縮
成形し、得られた圧粉体を加熱硬化して作製した磁石の
密度は、6.1g/cm3に達し、4MA/mのパルス
磁界で磁化した後の[BH]maxは83kJ/m3であっ
た。
限必要なエポキシ樹脂の割合を5重量%とした場合、得
られた磁石の密度は5.4〜5.5g/cm3で飽和し
た。したがって、4MA/mのパルス磁界で磁化した後
の[BH]maxは、58kJ/m3となり、エポキシ樹脂
の割合を1.5重量%に抑えた磁石に比べて、概ね30
%も低下する。すなわち、上記技術に準じた方法で高い
せん断強度を得るためにエポキシ樹脂の含有量を増大さ
せて環状磁石構造体を作製すると、環状磁石の磁気性能
([BH]max)の低下が避けられず、この意味からは
急冷磁石粉末の本来の性能をモータの性能に十分反映さ
せられないという問題があった。
などに用いられる回転子の外観を示す斜視図である。た
だし、図5において、21は例えばR2TM14B相を有
する急冷磁石粉末とバインダーとのコンパウンドを8〜
10tonf/cm2で圧縮成形し、得られた圧粉体を
加熱硬化して作製した環状磁石、22は回転軸、23は
成形材料である。環状磁石21とともに回転軸22を成
形型のキャビティに装填し、それらの間隙にポリブチレ
ンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)などの有機系高分
子材料をマトリクスとした成形材料(または不飽和ポリ
エステル樹脂と熱可塑性樹脂からなるバルクモールディ
ングコンパウンド(BMC))23を射出充填して回転
子を作製していた。
/cm3に達し、4MA/mのパルス磁界で磁化した後
の[BH]maxは83kJ/m3と高性能な磁石が得られ
る。しかし、成形材料で回転軸と一体化する際には高温
高圧で成形材料を射出充填する必要がある。その際、環
状磁石は熱機械的に寸法・形状を維持する必要から、環
状磁石は熱機械的強度を考慮して形状決定する必要があ
った。したがって、この場合は、磁気特性の観点からみ
るとR2TM14B相を有する急冷磁石粉末を必要以上に
消費してしまうという問題があった。そこで、本発明の
目的は、エポキシ樹脂などの結合剤の使用量を抑制する
ことによって、磁気性能を低下させずに高いせん断強度
を有し、さらに、磁石粉末の使用量の少ない環状磁石構
造体を得ることにある。
く、本発明は、芯材料を環状磁石に挿入して環状磁石構
造体の前駆体を得る工程(a)、および、前記前駆体を
加熱することにより前記環状磁石と前記芯材料との間に
接触面を形成し、かつ少なくとも前記芯材料に含まれる
結合剤の熱硬化により前記環状磁石と前記芯材料とを化
学的に結合させて環状磁石構造体を得る工程(b)を有
する環状磁石構造体の製造方法を提供する。前記芯材料
は、飽和磁化13kG以上のFe、Fe−Ni、Fe−
Co、Fe−Si、Fe−NおよびFe−Bよりなる群
から選択される軟磁性粉末ならびにエポキシ樹脂を含む
コンパウンドの圧粉体からなるのが有効である。
キシ樹脂を含むのが有効である。また、前記芯材料がさ
らに熱膨張助剤を含むのが有効である。前記熱膨張助剤
としては、ポリアミド、ポリアミドイミドまたはポリフ
ェニレンサルファイドを用いるのが有効である。
よびエポキシオリゴマーを混合して顆粒状中間体を得た
のち、前記顆粒状中間体および潜在型硬化剤を混合、分
散して得られる顆粒状コンパウンドであるのが有効であ
る。この場合、前記エポキシオリゴマーの軟化温度は7
0〜100℃であるのが有効であり、また、前記エポキ
シオリゴマーのエポキシ当量は200〜235であるの
が有効である。また、前記エポキシオリゴマーがノボラ
ック型エポキシオリゴマーであるのが有効である。
磁石を用いることができる。なかでも、前記環状磁石
は、R−B−TM系合金(ただし、Rは希土類元素の少
なくとも1種で10〜20原子%、Bは5〜20原子
%、残部のTMはFeまたはFeおよびCoならびに不
可避不純物)からなる磁石粉末およびエポキシ樹脂を含
むコンパウンドの圧粉体からなるのが有効である。この
場合、前記磁石粉末が、R2TM14B相を有する急冷磁
石粉末であるのが有効である。
びエポキシオリゴマーを混合して顆粒状中間体を得たの
ち、前記顆粒状中間体および潜在型硬化剤を混合、分散
して得られる顆粒状コンパウンドであるのが有効であ
る。この場合も、上述の芯材料と同様に、前記エポキシ
オリゴマーの軟化温度は70〜100℃であるのが有効
であり、また、前記エポキシオリゴマーのエポキシ当量
は200〜235であるのが有効である。また、前記エ
ポキシオリゴマーがノボラック型エポキシオリゴマーで
あるのが有効である。また、前記環状磁石を構成する圧
粉体の密度は5.8〜6.3g/cm3であるのが有効
である。
合金(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10
〜20原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFe
またはFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる
磁石粉末およびポリアミド樹脂を含むコンパウンドの圧
粉体からなるのが有効である。また、前記環状磁石が、
R−B−TM系合金(ただし、Rは希土類元素の少なく
とも1種で10〜20原子%、Bは5〜20原子%、残
部のTMはFeまたはFeおよびCoならびに不可避不
純物)からなる粉末冶金学的手法により作製された焼結
磁石であるのが有効である。
u,Fe,M)n系合金(ただし、MはIV〜VII族
元素よりなる群から選択される少なくとも1種、nは5
〜9の整数)からなる磁石粉末およびエポキシ樹脂を含
むコンパウンドの圧粉体からなるのが有効である。ま
た、前記環状磁石が、Sm(Co,Cu,Fe,M)n
系合金(ただし、MはIV〜VII族元素よりなる群か
ら選択される少なくとも1種、nは5〜9の整数)から
なる粉末冶金学的手法により作製された焼結磁石である
のが有効である。
(MはBaまたはSr)で表されるマグネットプランバ
イト型化合物からなる磁石粉末およびポリアミド樹脂を
含むコンパウンドの圧粉体からなるのが有効である。ま
た、前記環状磁石が、式:MOFe2O3(MはBaまた
はSr)で表されるマグネットプランバイト型化合物か
らなる粉末冶金学的手法により作製された焼結磁石であ
るのが有効である。また、前記環状磁石構造体において
は、環状磁石と前記芯材料との間隙が60μm以下であ
るのが有効である。
られた環状磁石構造体と前記環状磁石構造体に挿入され
た回転軸とからなり、かつ前記環状磁石構造体の最外周
面から半径方向に多極着磁してなる回転子を具備するこ
とを特徴とする表面磁石回転子型同期モータを提供す
る。さらにまた、本発明は、上記製造方法により得られ
た環状磁石構造体と前記環状磁石構造体に挿入された回
転軸とからなり、かつ前記環状磁石構造体の最外周面か
ら半径方向に多極着磁してなる回転子を具備することを
特徴とする永久磁石型ステップモータをも提供する。
低下することなく、また環状磁石に高温高圧の熱機械的
負荷を与えることなく、高い寸法精度を有する環状磁石
構造体を製造する方法、およびそれにより得られるモー
タを提供することにある。すなわち、本発明は、芯材料
を環状磁石の内側に挿入して環状磁石構造体の前駆体を
得る工程(a)、および、前記前駆体を加熱することに
より前記環状磁石と前記芯材料との間に接触面を形成
し、かつ少なくとも前記芯材料に含まれる結合剤の熱硬
化により前記環状磁石と前記芯材料とを化学的に結合さ
せて環状磁石構造体を得る工程(b)を有する環状磁石
構造体の製造方法に関する。
磁石の内側に挿入して環状磁石構造体の前駆体を得る。
前記芯材料は、少なくとも軟磁性粉末と結合剤からな
り、環状磁石の環の内側において、構造材および鉄心と
しての役割を果たすものである。そして、結合剤が存在
することにより、後述する工程(b)において、加熱に
よって芯材料が環状磁石と結合して、せん断強度の高い
環状磁石構造体を得ることができる。したがって、前記
芯材料中の結合剤は、前記芯材料を環状磁石に挿入する
前に反応を完了してしまわないことが必要である。
気特性を確保するという理由から、例えばパーメンジュ
ール、アモルファス軟磁性粉末などがあげられるが、経
済性が高いという理由から、飽和磁化13kG以上のF
e、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Si、Fe−Nお
よびFe−Bよりなる群から選択される軟磁性粉末を用
いるのが好ましい。また、前記結合剤としては、種々の
ものがあげられるが、成形性がよいという理由から、エ
ポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
ての役割を果たすという理由から、飽和磁化13kG以
上のFe、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Si、Fe
−NおよびFe−Bよりなる群から選択される軟磁性粉
末ならびにエポキシ樹脂を含むコンパウンドの圧粉体で
構成されるのが好ましい。したがって、以下において
は、結合剤としてエポキシ樹脂を用い、磁性粉末として
上記軟磁性材料を用いる場合に代表させて、本発明にお
ける芯材料を説明する。
保するという理由から、6重量%以上のエポキシ樹脂を
含むのが好ましく、さらに、鉄心と同様の磁気特性を確
保するという理由から、10重量%以下のエポキシ樹脂
を含むのが好ましい。また、前記芯材料は、環状磁石の
内側に挿入されて環状磁石構造体の前駆体を構成する
が、前駆体加熱時の芯材料の膨張率を向上させること
で、環状磁石との結合強度を確保し易いという理由か
ら、さらに熱膨張助剤を含むのが好ましい。前記熱膨張
助剤としては、例えばポリアミド(PA)、ポリアミド
イミド(PAI)またはポリフェニレンサルファイド
(PPS)を用いるのが好ましい。
脂からなるコンパウンドは、軟磁性粉末の表面に均一に
エポキシ樹脂を存在させることができるという理由か
ら、軟磁性粉末およびエポキシオリゴマーを混合して顆
粒状中間体を得たのち、前記顆粒状中間体および潜在型
硬化剤を混合、分散して得られる顆粒状コンパウンドで
あるのが有効である。ここで、本発明におけるエポキシ
オリゴマーとは、1分子中に少なくとも2個のオキシラ
ン環を有する化合物で、室温で固体であり、かつ有機溶
媒に易溶であることが必要である。特に好ましくは、加
熱による架橋反応時にガスを発生せず、高密度の芯材料
を得やすいという理由から、分子鎖内オキシラン環を有
する、式(1):
ーを用いるのが好ましい。前記エポキシオリゴマーの軟
化温度は70℃以上であるのが好ましく、前記エポキシ
オリゴマーのエポキシ当量は、235以下であるのが好
ましい。なお、上記式(1)中のnは、軟化温度および
エポキシ当量が上記範囲内になるように、当業者であれ
ば適宜選択することができる。
状コンパウンドを、環状磁石に挿入し、環状磁石と芯材
料との間に接触面を形成するように加熱した際に、エポ
キシオリゴマーを硬化させるものであればよく、固形
(粉末)状および液状のものがある。なかでも、取り扱
い易さの観点から、粉末状硬化剤を用いるのが好まし
く、例えば、ジシアンジアミドおよびその誘導体、カル
ボン酸ジヒドラジド、ジアミノマレオニトリルおよびそ
の誘導体よりなる群から選択される少なくとも1種のヒ
ドラジドを用いるのが好ましい。このヒドラジドは、一
般に有機溶媒に難溶の高融点化合物であるが、粒径を数
〜数十μmに調整したものが好ましい。
例えばo−トリルビグアニド、α−2,5−ジメチルビ
クアニド、α−ω−ジフェニルビグアニド、5−ヒドロ
キシブチル−1−ビグアニド、フェニルビグアニドおよ
びα−,ω−ジメチルビクアニドなどがあげられる。さ
らに、カルボン酸ジヒドラジドとしては、例えばコハク
酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ヒ
ドラジドおよびp−アキシ安息香酸ヒドラジドなどがあ
げられる。
した磁性材料および結合剤を含むコンパウンドを、所望
の形状に成形することにより得られる。このとき、圧粉
体として芯材料が得られるが、環状磁石に挿入された後
の加熱工程により結合剤および硬化剤が反応、硬化する
ように、圧粉体を得る工程における温度が結合剤および
硬化剤が反応する温度にまで上昇してしまわないように
注意することが必要である。もっとも、圧粉体を得る工
程は通常室温下で行われ、加熱工程は結合剤の種類にも
よるが通常145℃前後で行われるため、特に問題はな
い。
る。環状磁石としては、磁石粉末と樹脂を含む(ボン
ド)磁石のほか、従来からの種々のものを用いることが
できるが、径の小さい環状磁石であっても着磁性が良好
で磁気特性もよいという理由から、R−B−TM系合金
(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜2
0原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeまた
はFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる磁石
粉末およびエポキシ樹脂を含むコンパウンドの圧粉体か
らなる環状磁石を用いるのが好ましい。前記コンパウン
ドとしては、磁石粉末の表面に均一にエポキシ樹脂を存
在させることができ、成形性も良好であるという理由か
ら、磁石粉末およびエポキシオリゴマーを混合して顆粒
状中間体を得たのち、前記顆粒状中間体および潜在型硬
化剤を混合、分散して得られる顆粒状コンパウンドであ
るのが好ましい。
減磁が小さく、残留磁化が高いという理由から、R2T
M14B相を有する急冷磁石粉末を用いるのが好ましい。
ここで、本発明でいうR2TM14B相を有する急冷磁石
粉末とは、例えばJ. F. Herbest,"Rare Earth-Iron-Bor
on Materials ; A New Era in Permanent Magnets"Ann.
Rev. Sci. Vol-16.(1986).に記載されているように、
Nd、FeおよびBを2:14:1に近い割合で含む溶
湯合金を急冷凝固し、適宜熱処理することによって結晶
粒径20〜50nmのR2TM14B相を析出させて得ら
れ、一般に、残留磁化Ir=800mT、固有保磁力H
ci≧640kA/mの磁気的に等方性の薄片状の磁石
粉末をいう。ここで、本発明におけるエポキシオリゴマ
ーは、上記芯材料に用いるものと同じでよい。また、前
記圧粉体の密度は、優れた磁気特性が得られるという理
由から、5.8〜6.3 g/cm3であるのが好まし
い。
製した環状磁石構造体の前駆体を加熱し、前記環状磁石
と前記芯材料との間に接触面を形成し、かつ少なくとも
前記結合剤の熱硬化により前記環状磁石と前記芯材料と
を化学的に結合させて環状磁石構造体を得る。以上のよ
うに、本発明において用いる芯材料を構成する圧粉体お
よび環状磁石を構成する圧粉体に同じエポキシ樹脂が存
在すれば、圧粉体と圧粉体との熱膨張により生じた接触
面では、潜在型硬化剤が圧粉体および圧粉体に含まれる
エポキシオリゴマーに溶け込み、両者間に渡って相互に
硬化反応が起こることになる。このため、芯材料と環状
磁石との間の確実な化学的結合が起こり、最も信頼性の
高い環状磁石構造体が得られる。
粉体と芯材料を構成する圧粉体との間に接触面を形成す
るためには、両者間の熱膨張差をエポキシ樹脂量の差で
容易に調整することができる。すなわち、従来技術の環
状磁石構造体のように、環状磁石のエポキシ樹脂の割合
を増すことなく芯材料と化学的に結合させることができ
る。したがって、磁石の磁気性能の低下を引き起こさず
に環状磁石構造体を作製できる。
法は、環状磁石を構成する圧粉体と芯材料を構成する圧
粉体の両者間の熱膨張差で接触面を形成させて化学的結
合を行うものであるため、環状磁石内側に高温高圧で成
形材料を射出充填する工程なども不要である。高温高圧
で成形材料を射出充填する工程が不要となると、環状磁
石の熱機械的特性を考慮して決定された環状磁石の厚み
を減少させることが可能となり、ひいては貴重な希土類
資源を含むR2TM14B相を有する急冷磁石粉末の消費
量削減に繋がることになる。
組み合わせを考慮して、前記圧粉体からなる環状磁石を
用いるのが好ましいが、他の環状磁石を用いることも可
能である。前記環状磁石は、R−B−TM系合金(ただ
し、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜20原子
%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeまたはFe
およびCoならびに不可避不純物)からなる磁石粉末お
よびポリアミド樹脂を含むコンパウンドからなる圧粉体
であってもよい。これを用いると、寸法精度が高いとい
う利点がある。また、前記環状磁石は、R−B−TM系
合金(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10
〜20原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFe
またはFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる
粉末冶金学的手法により作製された焼結磁石であっても
よい。これを用いると、ボンド磁石より残留磁化が高い
という利点がある。
u,Fe,M)n系合金(ただし、MはIV〜VII族
元素よりなる群から選択される少なくとも1種、nは5
〜9の整数)からなる磁石粉末およびエポキシ樹脂を含
むコンパウンドの圧粉体からなってもよい。この場合
は、経済的に有利であるという利点がある。また、前記
環状磁石は、Sm(Co,Cu,Fe,M)n系合金
(ただし、MはIV〜VII族元素よりなる群から選択
される少なくとも1種、nは5〜9の整数)からなる粉
末冶金学的手法により作製された焼結磁石であってもよ
い。この場合は、ボンド磁石より残留磁化が高いという
利点がある。
(MはBaまたはSr)で表されるマグネットプランバ
イト型化合物からなる磁石粉末およびポリアミド樹脂を
含むコンパウンドの圧粉体からなるボンド磁石であって
もよい。また、前記環状磁石は、式:MOFe2O3(M
はBaまたはSr)で表されるマグネットプランバイト
型化合物からなる粉末冶金学的手法により作製された焼
結磁石であってもよい。
料との同芯度、環状磁石の真円度、および一体化強度の
向上に有効であるという観点から、加熱前の環状磁石と
芯材料との間の隙間が60μm以下とするのが好まし
い。以上のようにして得られる環状磁石と芯材料とを化
学的に結合させた環状磁石構造体に回転軸を挿入し、最
外周面から半径方向に多極着磁して得られる回転子を用
いれば、本発明の環状磁石構造体を備えた表面磁石回転
子型同期モータおよび永久磁石型ステップモータとする
ことができる。これにより、高出力化による高効率モー
タを提供することができる。以下に、実施例を用いて本
発明を説明するが、本発明はこれらのみに限定されるも
のではない。
造体の環状磁石を形成するために用いる顆粒状コンパウ
ンドを調製した。まず、式:Nd12Fe77Co5B6で表
されるR2TM14B相を有する急冷磁石粉末を室温で固
体のエポキシ樹脂で造粒した。ここでは、あらかじめエ
ポキシオリゴマー(ポリグリシジルエーテル−o−クレ
ゾール−フォルムアルデヒドノボラック、軟化温度80
℃、エポキシ当量215〜235、比重1.21)を有
機溶媒(アセトン)に完全に溶解させてその50重量%
の溶液を得、所定量の急冷磁石粉末と混合した。得られ
た混合物を80℃に加熱し、脱溶媒後に粉砕して粒径5
3〜250μmに造粒した。なお、この段階での造粒物
は、室温で固体のエポキシオリゴマーのみからなる。し
たがって、例えば脱溶媒を行う加熱時にエポキシオリゴ
マーの硬化反応は起こり得ない。
滑剤を乾式混合した。ただし、潜在型硬化剤としては、
1,2−ドデカン酸エステル1molとアクリル酸エス
テル2molの付加反応生成物に、ヒドラジンを反応さ
せて得られる平均粒径30〜50μmの酸ヒドラジド
(粉末状)を使用した。この酸ヒドラジドは、式:(N
H2NHCOCH2CH2)2N(CH2)11CONHNH2
で表される化合物であった。なおこの化合物の融点は1
20〜130℃であった。ここで、エポキシオリゴマー
と潜在型硬化剤との配合に関して、全エポキシ当量に対
するアミノ活性水素当量または化学当量比よりも、僅か
に潜在型硬化剤の料を増やした方が、高い架橋密度が得
られる傾向にあるため、ここでは、実際のエポキシオリ
ゴマーに対する混合割合を概ね0.102〜0.613
重量%とした。また、滑剤としては平均粒径5μmのス
テアリン酸カルシウム粉末を用い、造粒物100重量部
に対して0.2重量部用いた。
上記顆粒状コンパウンドの部分拡大写真である(100
倍)を示す。図6から、上記顆粒状コンパウンドにおい
て、エポキシオリゴマーで造粒した急冷磁石粉末表面
に、潜在型硬化剤および滑剤が付着していることが確認
された。このような形態を有する顆粒状コンパウンドで
は、固体のエポキシオリゴマーと潜在型硬化剤とが物理
的に接触しているだけである。このため、上記顆粒状コ
ンパウンドは常態での硬化反応に対して極めて不活性で
あり、しかも非粘着性であるから、粉末成形材料として
の貯蔵性に優れ、かつ圧粉体の成形に適した形態となっ
ていた。ただし、急冷磁石粉末に対するエポキシ樹脂の
割合は1.5重量%であった。
にしたがって9tonf/cm2の圧力で圧縮し、直径
10mm、高さ10mm、密度6g/cm3の圧粉体を
得、この圧粉体を140℃×15minの条件で熱処理
し、エポキシ樹脂を硬化させて磁石を得た。得られた磁
石の4MA/mパルス着磁後の磁気特性はつぎのとおり
であった。残留磁化Ir=730mT、固有保磁力Hc
i=701kA/m、[BH]max=87kJ/m3。
石粉末および潜在型硬化剤とをあらかじめ乾式混合し、
ついでエポキシオリゴマーの50重量%アセトン溶液と
混合した。その後、得られた混合物を、80℃に加熱し
て脱溶媒した後に粉砕した。得られた粉砕物100重量
部に対して0.2重量部のステアリン酸カルシウム粉末
を乾式混合して顆粒状コンパウンドを得、これを直ちに
粉末成形法にて成形した。そして、得られた圧粉体を加
熱処理して磁石とした。この磁石の密度と磁気特性は、
上記調製例1と同等の値を示した。しかし、本比較調製
例における上記顆粒状コンパウンドを30℃で1ヶ月間
貯蔵した後、上述した条件と同じ条件で製造した磁石
は、5.5g/cm3の密度、4MA/mのパルス磁界
で磁化した後には58kJ/m3の[BH]maxを有し、
その磁気特性および機械的強度が急速に低下した。この
原因は、有機溶媒に溶解しない潜在型硬化剤成分がエポ
キシオリゴマーとの混合過程で凝集し、潜在型硬化剤粉
末が極端に高濃度に偏在した部分が、エポキシオリゴマ
ーと硬化反応を引き起こしたからであると考えられた。
したがって、顆粒状コンパウンドは、図6に示すような
形態を有していることが望ましいことがわかった。
で作製した平均粒径80μmのαFe粉末を用いた他
は、上記調製例1と同様にして急冷磁石粉末を用いて顆
粒状コンパウンドを調製した。この顆粒状コンパウンド
も、調製例1の図6に示す形態と同様の形態を有してい
た。また、この場合も潜在型硬化剤がエポキシオリゴマ
ーとの混合過程で凝集し、潜在型硬化剤が極端に高濃度
に偏在した部分が生じると、顆粒状コンパウンドの貯蔵
性安定性が失われ、本発明の環状磁石構造体の安定した
製造が維持できなくなった。なお、αFe粉末に対する
エポキシ樹脂の割合は3〜9重量%とした。
石および芯材料を作製するとともに、これらのスプリン
グバック特性を測定し、ついで、本発明に係る環状磁石
構造体を作製した。 (1)環状磁石について 上記調製例1において得た式:Nd12Fe77Co5B6で
表されるR2TM14B相を有する急冷磁石粉末を含む顆
粒状コンパウンドを、常法にしたがって9tonf/c
m2で圧縮し、外径24mm、内径21mm、高さ5.
4mm、密度6.0g/cm3の環状圧粉体を得た。つ
いで、この圧粉体を140℃×15minの条件で熱処
理し、エポキシ樹脂を硬化して環状磁石を作製した。こ
の環状磁石のスプリングバックは0.5〜0.6%程度
であり、[BH]maxは当該環状磁石の密度から87k
J/m3と見積もられた。なお、環状磁石構造体を作製
する場合には、環状圧粉体に後述する芯材料用圧粉体を
挿入して前駆体を得、この前駆体を熱処理する。
樹脂の割合を異にする種の顆粒状コンパウンドを、それ
ぞれダイ内径21.1187mmの成形型に充填し、1
〜4tonf/cm2の範囲で圧縮して、高さ5.4m
mの芯材料用圧粉体を作製し、140℃で15minの
条件で加熱して硬化させ芯材料を作製した。なお、環状
磁石構造体を作製する場合には、上述した環状圧粉体に
芯材料用圧粉体を挿入して前駆体を得、この前駆体を熱
処理する。ここで、図7に、芯材料の圧粉体およびエポ
キシ樹脂を硬化して作製した熱処理後の芯材料の、圧縮
圧力に対するスプリングバックを示す特性図を表した。
図7において、1で圧粉体のスプリングバックを示し、
2〜4で加熱硬化後の芯材料のスプリングバックを示し
た。2でエポキシ樹脂の割合が3重量%の場合、3で6
重量%の場合、4で9重量%の場合を示した。図7から
明らかなように、熱処理前の圧粉体のスプリングバック
は圧縮圧力に依存するが、変化は少ない。一方、圧粉体
を熱硬化して得られる芯材料のスプリングバックは圧縮
圧力、およびエポキシ樹脂の割合に強く依存することが
わかった。
と、エポキシ樹脂の割合を6〜9重量%とした芯材料は
1%以上の値をとった。この値は、熱処理後の環状磁石
圧粉体のスプリングバック(0.1〜0.2%)の5倍
以上に相当した(図7)。このことから、環状磁石を構
成する環状圧粉体に芯材料を構成する圧粉体を挿入し、
熱処理すれば、加熱時に両者の空隙が消滅し、エポキシ
樹脂がゲル化する前に相互に接触する面が形成されるこ
とが期待された。
を挿入し、140℃で15minの加熱を行ってエポキ
シ樹脂を硬化し、ついで室温まで冷却した。これによ
り、本発明に係る環状磁石構造体を得た。なお、この場
合の環状圧粉体と芯材料用圧粉体との間隙は60μmで
あった。つぎに、芯材料の底面全体を支え、環状磁石に
逆側から一定速度負荷(3mm/min)のせん断荷重
を加え、破壊荷重を測定した。さらに、破壊荷重の値を
接合面全体の面積で除して環状磁石構造体の圧縮せん断
強さを求めた。ここで、図8に、芯材料のエポキシ樹脂
の割合に対する圧縮せん断強さの関係を示す特性図を示
した。ただし、図8中、2〜4はそれぞれエポキシ樹脂
の割合が6重量%、7.5重量%および9重量%の場合
の結果を示した。図8から、図7のスプリングバック値
に対応して、環状磁石構造体の圧縮せん断強さが増加す
ることがわかった。
割合に対する上記環状磁石構造体の熱処理過程での外径
寸法変化率を示す特性図を表した。図9中、2〜4は、
図8における2〜4に対応し、それぞれエポキシ樹脂の
割合が6重量%、7.5重量%および9重量%の場合の
ものを示した。図7のスプリングバック値および図8の
圧縮せん断強さに対応して、熱処理過程での外径寸法変
化率が減少していることがわかった。この原因は、本発
明に係る環状磁石構造体の一体化強度の増加に伴って、
環状磁石の熱処理時のスプリングバックが抑制されるた
めと推察された。その結果、高度な寸法精度および密
度、すなわち[BH]maxに代表される磁気特性の高位
安定化が期待された。
した環状磁石構造体の外観を表す写真を示した。ただ
し、図10中、1は環状磁石、2はエポキシ樹脂の割合
が7.5重量%の芯材料を示し、環状磁石1と芯材料2
との圧縮せん断強度は2〜3N/mm2程度と見積もら
れた。また、環状磁石の同芯度は10μm以下であっ
た。また、図10から明らかなように、本発明による環
状磁石構造体を用い、図5で示したような環状磁石の内
側に有機高分子をマトリクスとした成形材料を高温高圧
で射出充填することなく、芯材料にあらかじめ設けた回
転軸挿入孔に軸を挿入すれば、同期モータの表面磁石型
回転子およびステップモータの永久磁石型回転子を得る
ことができる。換言すれば、環状磁石のエポキシ樹脂の
割合を増加させることなく、また、環状磁石の設計には
組立時の熱機械的負荷の考慮を必要とすることなく、磁
気特性および経済性とのバランスに優れた磁石形状設計
が可能であるという設計自由度を高める効果が得られる
こともわかった。なお、環状磁石を構成する圧粉体と芯
材料を構成する圧粉体の間隙が60μmよりも大きくな
ると、次第に同芯度が低下するため、当該間隙は環状圧
粉体への芯材料用圧粉体の挿入作業に差し支えない範囲
である60μm以下の間隙に調整することが望ましかっ
た。
Fe77Co5B6で表されるR2TM14B相を有する急冷
磁石粉末と12−ポリアミドとを、前記磁石粉末の量が
94.5重量%となるように混練し、得られた混練物を
ホットカットしてペレット状コンパウンドを作製した。
ついで、実施例1で用いた芯材料用圧粉体と同じ形状お
よび寸法を有する炭素鋼製芯材料の外周面に、前記ペレ
ット状コンパウンドを一体的に射出成形することにより
環状磁石構造体を作製した。この環状磁石構造体は射出
成形による収縮力が一体化強度を発現するものである
が、その圧縮せん断強度を測定したところ、0.86N
/mm2であった。また、環状磁石の密度5.4g/c
m3から磁気特性を見積もると、[BH]maxは52kJ
/m3であった。したがって、本発明に係る環状磁石構
造体は、通常行われ得る射出成形法で作製した環状磁石
構造体に比べて、格段に高い圧縮せん断強度と[BH]
maxに代表される磁気特性を兼ね備えたものであること
がわかった。
た。図11に、図10で示した本発明に係る環状磁石構
造体の環状磁石と芯材料との接合境界部分のSEM写真
を示した(100倍)。ただし、図11中、1は環状磁
石、1aは式:Nd12Fe77Co5B6で表されるR2T
M14B相を有する急冷磁石粉末、2は芯材料、2aは芯
材料に含まれるエポキシ樹脂硬化物の一部、2bはエポ
キシ樹脂硬化物2aで所定形状に固定化されたαFe粉
末の一部である。図11から明らかなように、環状磁石
1と芯材料2とは接着層を介すことなく、図2に示した
従来技術と同様に直接、強固に接合していることがわか
った。なお、この環状磁石構造体を120℃に加熱した
状態から、ドライアイスで−30℃に冷却したメタノー
ル浴に浸漬する熱衝撃試験を50回繰返したが、環状磁
石や芯材料に亀裂が発生したり、または環状磁石の同芯
度が10μm以上に増加するような寸法変化は見られな
かった。また、熱衝撃試験後の圧縮せん断強度も2〜3
N/mm2の水準を維持していた。このように、本発明
に係る環状磁石構造体は高度な信頼性を有していた。
て評価した。図12に、図10および11で示した本発
明に係る環状磁石構造体を2極着磁したときの(着)磁
界に対する磁束量をプロットした特性図を示した。ただ
し、図12中、1a、1bおよび1cは、環状磁石の厚
み、それぞれ1.8mm、1.4mmおよび1.0mm
とした場合の結果である。また、比較例は、環状磁石の
厚みが1aと同じ1.8mmであり、芯材料としてポリ
ブチレンテレフタレート(PBT)を射出充填したもの
の結果である。なお、磁束量は比較例を2.4MA/m
で着磁したものを基準として規格化した。図12から明
らかなように、本発明に係る1aは、比較例に対して概
ね130%の磁束量が得られることを示している。ま
た、磁石の厚みを1.4mmとしても、磁束量は比較例
を上回った。すなわち、本発明に係る環状磁石構造体
は、磁石内部に高温高圧でPBTなどの成形材料を射出
充填することなく回転軸を挿入できることから、同一磁
束量であれば概ね30〜40%も式:Nd12Fe77Co
5B6で表されるR2TM14B相を有する急冷磁石粉末消
費量を削減できることがわかった。
金(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜
20原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeま
たはFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる磁
石粉末およびポリアミド樹脂とを含むボンド磁石、およ
び粉末冶金学的手法により作製された焼結磁石、Sm
(Co,Cu,Fe,M)n系合金(ただし、MはIV
〜VII族元素よりなる群から選択される少なくとも1
種、nは5〜9の整数)からなる磁石粉末およびエポキ
シ樹脂を含むコンパウンドの圧粉体、および粉末冶金学
的手法により作製された焼結磁石、式:MOFe2O
3(MはBaまたはSr)で表されるマグネットプラン
バイト型化合物からなる磁石粉末およびポリアミド樹脂
とを含むボンド磁石および粉末冶金学的手法により作製
された焼結磁石であっても同様の結果が得られた。
下することなく、また、環状磁石に高温高圧の熱機械的
負荷を与えることなく、高い寸法精度の環状磁石構造体
と、それを用いたモータを製造することができる。
術の工程図
の境界部分のSEM写真
特性図
転子の斜視図
を示す特性図
特性図
外径寸法変化率を示す特性図
る磁束量変化の特性図
Claims (25)
- 【請求項1】 芯材料を環状磁石に挿入して環状磁石構
造体の前駆体を得る工程(a)、および、前記前駆体を
加熱することにより前記環状磁石と前記芯材料との間に
接触面を形成し、かつ少なくとも前記芯材料に含まれる
結合剤の熱硬化により前記環状磁石と前記芯材料とを結
合させて環状磁石構造体を得る工程(b)を有する環状
磁石構造体の製造方法。 - 【請求項2】 前記芯材料が、飽和磁化13kG以上の
Fe、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Si、Fe−N
およびFe−Bよりなる群から選択される軟磁性粉末な
らびにエポキシ樹脂を含むコンパウンドの圧粉体からな
ることを特徴とする請求項1記載の環状磁石構造体の製
造方法。 - 【請求項3】 前記芯材料が6〜10重量%のエポキシ
樹脂を含むことを特徴とする請求項2記載の環状磁石構
造体の製造方法。 - 【請求項4】 前記芯材料がさらに熱膨張助剤を含むこ
とを特徴とする請求項2または3記載の環状磁石構造体
の製造方法。 - 【請求項5】 前記熱膨張助剤がポリアミド、ポリアミ
ドイミドまたはポリフェニレンサルファイドであること
を特徴とする請求項4記載の環状磁石構造体の製造方
法。 - 【請求項6】 前記コンパウンドが、軟磁性粉末および
エポキシオリゴマーを混合して顆粒状中間体を得たの
ち、前記顆粒状中間体および潜在型硬化剤を混合、分散
して得られる顆粒状コンパウンドであることを特徴とす
る請求項2記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項7】 前記エポキシオリゴマーの軟化温度が7
0〜100℃であることを特徴とする請求項3記載の環
状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項8】 前記エポキシオリゴマーのエポキシ当量
が200〜235であることを特徴とする請求項3記載
の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項9】 前記エポキシオリゴマーがノボラック型
エポキシオリゴマーであることを特徴とする請求項3記
載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項10】 前記環状磁石が、R−B−TM系合金
(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜2
0原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeまた
はFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる磁石
粉末およびエポキシ樹脂を含むコンパウンドの圧粉体か
らなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載
の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項11】 前記磁石粉末が、R2TM14B相を有
する急冷磁石粉末であることを特徴とする請求項10記
載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項12】 前記コンパウンドが、磁石粉末および
エポキシオリゴマーを混合して顆粒状中間体を得たの
ち、前記顆粒状中間体および潜在型硬化剤を混合、分散
して得られる顆粒状コンパウンドであることを特徴とす
る請求項10または11記載の環状磁石構造体の製造方
法。 - 【請求項13】 前記エポキシオリゴマーの軟化温度が
70℃以上であることを特徴とする請求項12記載の環
状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項14】 前記エポキシオリゴマーのエポキシ当
量が235以下であることを特徴とする請求項12また
は13記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項15】 前記エポキシオリゴマーがノボラック
型エポキシオリゴマーであることを特徴とする請求項1
2〜14のいずれかに記載の環状磁石構造体の製造方
法。 - 【請求項16】 前記圧粉体の密度が5.8〜6.3
g/cm3であることを特徴とする請求項10〜15の
いずれかに記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項17】 前記環状磁石が、R−B−TM系合金
(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜2
0原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeまた
はFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる磁石
粉末およびポリアミド樹脂を含むコンパウンドの圧粉体
からなることを特徴とする請求項1記載の環状磁石構造
体の製造方法。 - 【請求項18】 前記環状磁石が、R−B−TM系合金
(ただし、Rは希土類元素の少なくとも1種で10〜2
0原子%、Bは5〜20原子%、残部のTMはFeまた
はFeおよびCoならびに不可避不純物)からなる粉末
冶金学的手法により作製された焼結磁石であることを特
徴とする請求項1記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項19】 前記環状磁石が、Sm(Co,Cu,
Fe,M)n系合金(ただし、MはIV〜VII族元素
よりなる群から選択される少なくとも1種、nは5〜9
の整数)からなる磁石粉末およびエポキシ樹脂を含むコ
ンパウンドの圧粉体からなることを特徴とする請求項1
記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項20】 前記環状磁石が、Sm(Co,Cu,
Fe,M)n系合金(ただし、MはIV〜VII族元素
よりなる群から選択される少なくとも1種、nは5〜9
の整数)からなる粉末冶金学的手法により作製された焼
結磁石であることを特徴とする請求項1記載の環状磁石
構造体の製造方法。 - 【請求項21】 前記環状磁石が、式:MOFe2O
3(MはBaまたはSr)で表されるマグネットプラン
バイト型化合物からなる磁石粉末およびポリアミド樹脂
を含むコンパウンドの圧粉体からなることを特徴とする
請求項1記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項22】 前記環状磁石が、式:MOFe2O
3(MはBaまたはSr)で表されるマグネットプラン
バイト型化合物からなる粉末冶金学的手法により作製さ
れた焼結磁石であることを特徴とする請求項1記載の環
状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項23】 前記環状磁石と前記芯材料との間隙が
60μm以下であることを特徴とする請求項1〜22の
いずれかに記載の環状磁石構造体の製造方法。 - 【請求項24】 請求項1〜23のいずれかに記載の製
造方法により得られた環状磁石構造体と前記環状磁石構
造体に挿入された回転軸とからなり、かつ前記環状磁石
構造体の最外周面から半径方向に多極着磁してなる回転
子を具備することを特徴とする表面磁石回転子型同期モ
ータ。 - 【請求項25】 請求項1〜23のいずれかに記載の製
造方法により得られた環状磁石構造体と前記環状磁石構
造体に挿入された回転軸とからなり、かつ前記環状磁石
構造体の最外周面から半径方向に多極着磁してなる回転
子を具備することを特徴とする永久磁石型ステップモー
タ。
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---|---|---|---|
JP2001133026A JP2002329628A (ja) | 2001-04-27 | 2001-04-27 | 環状磁石構造体の製造方法およびモータ |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006064589A1 (ja) * | 2004-12-17 | 2006-06-22 | Hitachi Metals, Ltd. | モータ用回転子およびその製造方法 |
CN105304310A (zh) * | 2015-12-04 | 2016-02-03 | 东莞市威元电子科技有限公司 | 一种全自动磁芯装配生产线 |
WO2018101183A1 (ja) * | 2016-12-02 | 2018-06-07 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電動機要素、電動機、装置 |
WO2018105452A1 (ja) * | 2016-12-05 | 2018-06-14 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電動機要素、電動機、装置 |
WO2018110372A1 (ja) * | 2016-12-15 | 2018-06-21 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電動機要素、電動機、装置 |
-
2001
- 2001-04-27 JP JP2001133026A patent/JP2002329628A/ja active Pending
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