JPH10275718A - 異方性希土類ボンド磁石およびその製造方法 - Google Patents
異方性希土類ボンド磁石およびその製造方法Info
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- JPH10275718A JPH10275718A JP9078627A JP7862797A JPH10275718A JP H10275718 A JPH10275718 A JP H10275718A JP 9078627 A JP9078627 A JP 9078627A JP 7862797 A JP7862797 A JP 7862797A JP H10275718 A JPH10275718 A JP H10275718A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 異方性希土類ボンド磁石の着磁に際し、成形
時の配向磁場方向に対する着磁方向の順逆により着磁性
に差が生じる。 【解決手段】 樹脂結合材の耐熱性が低いといわれてい
るが、成形後に不活性ガス雰囲気下で昇温することによ
り、ハイドロパーオキサイドの発生を防止し、キュリー
点以上での熱脱磁が可能となり、着磁方向によらない着
磁性を有するボンド磁石を得た。
時の配向磁場方向に対する着磁方向の順逆により着磁性
に差が生じる。 【解決手段】 樹脂結合材の耐熱性が低いといわれてい
るが、成形後に不活性ガス雰囲気下で昇温することによ
り、ハイドロパーオキサイドの発生を防止し、キュリー
点以上での熱脱磁が可能となり、着磁方向によらない着
磁性を有するボンド磁石を得た。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類系樹脂結合型
のボンド磁石に係り、特に希土類系樹脂結合型異方性ボ
ンド磁石において、使用時に所要の磁気特性を得るため
の技術に関する。
のボンド磁石に係り、特に希土類系樹脂結合型異方性ボ
ンド磁石において、使用時に所要の磁気特性を得るため
の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂結合型のボンド磁石(以下ボンド磁
石と称する)は、磁性粉末に熱可塑性又は熱硬化性樹脂
を混合乃至は混練し、これを射出成形、押出成形又は圧
縮成形で成形した後に着磁することにより製造されてい
る。ここで、熱硬化性樹脂を用いた場合には、成形後に
加熱処理を行って硬化させ、また希土類系磁石では、硬
化後に磁石表面を必要に応じて防錆用皮膜で被覆する。
これらのボンド磁石は、焼結磁石に比較して磁気特性は
劣るが、成形形状の自由度が高く、薄肉形状、複雑形状
に成形できることから多方面に利用されている。希土類
系ボンド磁石は、その大部分が等方性磁石であるが、今
後磁気特性の高い異方性ボンド磁石が増加すると考えら
れる。
石と称する)は、磁性粉末に熱可塑性又は熱硬化性樹脂
を混合乃至は混練し、これを射出成形、押出成形又は圧
縮成形で成形した後に着磁することにより製造されてい
る。ここで、熱硬化性樹脂を用いた場合には、成形後に
加熱処理を行って硬化させ、また希土類系磁石では、硬
化後に磁石表面を必要に応じて防錆用皮膜で被覆する。
これらのボンド磁石は、焼結磁石に比較して磁気特性は
劣るが、成形形状の自由度が高く、薄肉形状、複雑形状
に成形できることから多方面に利用されている。希土類
系ボンド磁石は、その大部分が等方性磁石であるが、今
後磁気特性の高い異方性ボンド磁石が増加すると考えら
れる。
【0003】表1に主な希土類系即ち希土類金属間化合
物の磁性体を、添加元素を除いた形で示し、それぞれに
ついての物理定数を示す。これらの化合物の内異方性ボ
ンド磁石に多用されるものとしてSmCo5,Sm2Co
17及びSm2Fe17N3系が挙げられる。異方性は磁性粉
末と樹脂の混合体を磁場の存在下で成形することで与え
られる。異方性の付与と同時に着磁されるので成形硬化
後に脱磁が必要になる。しかし、これらの化合物は、表
1に示すように、キュリー点が高く交流磁場によっても
完全な脱磁は困難であり、残存する磁力によって、磁性
粉末の吸着が生じ、特にコンピュータ関連の精密機器へ
の適用が困難であった。また、モータ等に組立後に再着
磁を施す場合、着磁方向が先の残磁方向に対して同方向
か反対方向かによって、得られる磁気特性に著しい差が
生じる弊害があった。
物の磁性体を、添加元素を除いた形で示し、それぞれに
ついての物理定数を示す。これらの化合物の内異方性ボ
ンド磁石に多用されるものとしてSmCo5,Sm2Co
17及びSm2Fe17N3系が挙げられる。異方性は磁性粉
末と樹脂の混合体を磁場の存在下で成形することで与え
られる。異方性の付与と同時に着磁されるので成形硬化
後に脱磁が必要になる。しかし、これらの化合物は、表
1に示すように、キュリー点が高く交流磁場によっても
完全な脱磁は困難であり、残存する磁力によって、磁性
粉末の吸着が生じ、特にコンピュータ関連の精密機器へ
の適用が困難であった。また、モータ等に組立後に再着
磁を施す場合、着磁方向が先の残磁方向に対して同方向
か反対方向かによって、得られる磁気特性に著しい差が
生じる弊害があった。
【0004】
【表1】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】希土類系ボンド磁石の
成形に使用する熱硬化型樹脂の硬化温度は、150〜2
00℃程度である。従って表1に示す磁性化合物のキュ
リー温度よりも低温であるため、熱脱磁が不可能となっ
ており、成形時の配向磁場により着磁された成形体は、
交流磁場による脱磁処理後も磁力が残存する。本発明の
課題は、完全な脱磁を行うことにより、磁性粉の吸着を
防ぎ、着磁に際しては着磁磁場方向による磁気特性に差
異の生じない希土類系ボンド磁石を供することにある。
成形に使用する熱硬化型樹脂の硬化温度は、150〜2
00℃程度である。従って表1に示す磁性化合物のキュ
リー温度よりも低温であるため、熱脱磁が不可能となっ
ており、成形時の配向磁場により着磁された成形体は、
交流磁場による脱磁処理後も磁力が残存する。本発明の
課題は、完全な脱磁を行うことにより、磁性粉の吸着を
防ぎ、着磁に際しては着磁磁場方向による磁気特性に差
異の生じない希土類系ボンド磁石を供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】ボンド磁石を成形し異方
性付与後に磁性化合物のキュリー点以上に昇温すれば脱
磁できるのであるが、樹脂の耐熱性が低いためにボンド
磁石を表1に示す磁性化合物のキュリー点以上に昇温出
来ない。耐熱性を向上させるために、高分子(樹脂)の
構造として、スピロポリマー、部分はしご型ポリマー、
はしご型ポリマー、リボンポリマーの構造が検討されて
きた。また、現実にフッ素樹脂は耐熱性に優れており、
鍋底などの被覆に用いられていることは公知である。し
かし、耐熱性は二つに大別されることに注意しなければ
ならない。耐熱性高分子として第一に要求される性質
は、高いガラス転移点(Tg)及び融解点(Tm)を有
することである。多くの結晶性高分子については、Tg
とTmとの比はTg/Tm=0.58〜0.78[K]
で約2/3である。熱力学的にはTm=△H/△Sで、
△Hは融解エンタルピー、△Sは融解エントロピーであ
る。△Hには主として分子間力が関与し、これが大きい
程Tmは高くなり、アミド結合、尿素結合、ウレタン結
合などの水素結合を作るような結合が存在するとTmは
高くなる。△Sには分子の屈曲性とか分子の対称性等が
関与し、対称性が良く、自由回転性や可撓性が少なく、
分子の剛直性が増加すると△Sは小となり、Tmは高く
なる。具体的には、ベンゼン核のような対称性が良く平
面構造をもつ芳香族ポリマーや複素環をもつポリマーが
耐熱高分子として期待される。耐熱性高分子として第二
に要求される性質は、ポリマーの高度の熱安定性であ
り、熱分解温度が高いことである。Tmは、いわば物理
的な可逆的性質変化であるが、分解は不可逆的な化学変
化である。分解反応にはポリマーのもつ各種の要素が影
響を与える。例えば、原子間の結合エネルギーや高分子
の骨格構造がもつ共鳴エネルギーが重要となる。ポリマ
ーの熱分解反応を化学反応として考えるとK=Aexp
(−E/kT)が成立する。活性化エネルギーEは原子
間の結合エネルギーに対応すると考えられ、これが大で
あれば熱分解反応速度数Kは小さくなる。本発明で重要
となる耐熱性は、この不可逆的な化学反応である。
性付与後に磁性化合物のキュリー点以上に昇温すれば脱
磁できるのであるが、樹脂の耐熱性が低いためにボンド
磁石を表1に示す磁性化合物のキュリー点以上に昇温出
来ない。耐熱性を向上させるために、高分子(樹脂)の
構造として、スピロポリマー、部分はしご型ポリマー、
はしご型ポリマー、リボンポリマーの構造が検討されて
きた。また、現実にフッ素樹脂は耐熱性に優れており、
鍋底などの被覆に用いられていることは公知である。し
かし、耐熱性は二つに大別されることに注意しなければ
ならない。耐熱性高分子として第一に要求される性質
は、高いガラス転移点(Tg)及び融解点(Tm)を有
することである。多くの結晶性高分子については、Tg
とTmとの比はTg/Tm=0.58〜0.78[K]
で約2/3である。熱力学的にはTm=△H/△Sで、
△Hは融解エンタルピー、△Sは融解エントロピーであ
る。△Hには主として分子間力が関与し、これが大きい
程Tmは高くなり、アミド結合、尿素結合、ウレタン結
合などの水素結合を作るような結合が存在するとTmは
高くなる。△Sには分子の屈曲性とか分子の対称性等が
関与し、対称性が良く、自由回転性や可撓性が少なく、
分子の剛直性が増加すると△Sは小となり、Tmは高く
なる。具体的には、ベンゼン核のような対称性が良く平
面構造をもつ芳香族ポリマーや複素環をもつポリマーが
耐熱高分子として期待される。耐熱性高分子として第二
に要求される性質は、ポリマーの高度の熱安定性であ
り、熱分解温度が高いことである。Tmは、いわば物理
的な可逆的性質変化であるが、分解は不可逆的な化学変
化である。分解反応にはポリマーのもつ各種の要素が影
響を与える。例えば、原子間の結合エネルギーや高分子
の骨格構造がもつ共鳴エネルギーが重要となる。ポリマ
ーの熱分解反応を化学反応として考えるとK=Aexp
(−E/kT)が成立する。活性化エネルギーEは原子
間の結合エネルギーに対応すると考えられ、これが大で
あれば熱分解反応速度数Kは小さくなる。本発明で重要
となる耐熱性は、この不可逆的な化学反応である。
【0007】
【表2】
【0008】表2にL.Paulingによる結合エネ
ルギーを示す。表2からわかるように、C−F結合は、
C−H結合に対して結合エネルギーは6.6kal/m
ol大きく、熱安定性が良いことを示しているが、C−
Hの結合エネルギー自体も大であることがわかる。しか
し乍ら、バイラジカルである酸素O2のある状態の熱分
解では、O2は炭化水素に対してハイドロパーオキサイ
ドを生成して熱分解を助長する。したがって、O2の存
在しないN2中又はAr中などの不活性雰囲気下で加熱
することによって炭化水素の熱分解反応は抑制され熱分
解温度は高くなる。O2を排除する方法として真空もあ
るが、真空中では揮発性分解生成物がポリマーの中から
表面に出て来る拡散速度が大となるため好ましくない。
但し、前記不活性雰囲気をO2を完全に排除したものと
することは困難であり、前記不活性雰囲気の純度は通常
で99.99%、高純度で99.9999%であるので
ppmレベルのO2は存在する。高温下でのポリマーの
分解に際し、その物性に大きな影響を与える反応は、主
鎖の切断反応及び橋かけ反応である。前者は、更に主鎖
のランダム分解と解重合とに分けられる。主鎖の切断反
応も停止反応も、通常、溶媒の“かご”の中で進み、主
鎖の切断は、生じたポリマーラジカルが溶媒の“かご”
から抜け出したときに完了するが、この確率は非常に小
さい。解重合の場合にも重合と解重合とが同時に進行し
平衡反応となる。従って、不活性雰囲気下でその不活性
雰囲気中での熱分解温度が磁性化合物のキュリー点より
高い樹脂を選定することにより樹脂(ボンド磁石)をキ
ュリー点以上に昇温することができる。
ルギーを示す。表2からわかるように、C−F結合は、
C−H結合に対して結合エネルギーは6.6kal/m
ol大きく、熱安定性が良いことを示しているが、C−
Hの結合エネルギー自体も大であることがわかる。しか
し乍ら、バイラジカルである酸素O2のある状態の熱分
解では、O2は炭化水素に対してハイドロパーオキサイ
ドを生成して熱分解を助長する。したがって、O2の存
在しないN2中又はAr中などの不活性雰囲気下で加熱
することによって炭化水素の熱分解反応は抑制され熱分
解温度は高くなる。O2を排除する方法として真空もあ
るが、真空中では揮発性分解生成物がポリマーの中から
表面に出て来る拡散速度が大となるため好ましくない。
但し、前記不活性雰囲気をO2を完全に排除したものと
することは困難であり、前記不活性雰囲気の純度は通常
で99.99%、高純度で99.9999%であるので
ppmレベルのO2は存在する。高温下でのポリマーの
分解に際し、その物性に大きな影響を与える反応は、主
鎖の切断反応及び橋かけ反応である。前者は、更に主鎖
のランダム分解と解重合とに分けられる。主鎖の切断反
応も停止反応も、通常、溶媒の“かご”の中で進み、主
鎖の切断は、生じたポリマーラジカルが溶媒の“かご”
から抜け出したときに完了するが、この確率は非常に小
さい。解重合の場合にも重合と解重合とが同時に進行し
平衡反応となる。従って、不活性雰囲気下でその不活性
雰囲気中での熱分解温度が磁性化合物のキュリー点より
高い樹脂を選定することにより樹脂(ボンド磁石)をキ
ュリー点以上に昇温することができる。
【0009】本発明で使用できる前記の樹脂は、例え
ば、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレン、ポリ
チアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾー
ル、ポリベンゾイミダゾール、芳香族ポリイミド、芳香
族ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等
があり、特にエポキシ樹脂とフェノール樹脂が好まし
い。またこれらの樹脂2種以上を混合してもよい。
ば、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレン、ポリ
チアゾール、ポリオキサジアゾール、ポリトリアゾー
ル、ポリベンゾイミダゾール、芳香族ポリイミド、芳香
族ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等
があり、特にエポキシ樹脂とフェノール樹脂が好まし
い。またこれらの樹脂2種以上を混合してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】異方性の希土類系磁石粉末と必要
に応じて硬化剤等を含む樹脂とを所要の比率に混合乃至
は混練、固化後解砕し粉末状コンパウンドにする。配向
磁場の存在下で所要の圧力成形後、金型キャビティ内で
一応交流脱磁を行う(残磁が存在する)。次いで必要に
応じて100〜200℃程度で1次硬化を行った後、N
2又はAr中でキュリー点直上まで昇温度冷却する。こ
の時点で、ボンド磁石は完全に脱磁された状態になる。
次いで、必要に応じて防錆処理を施す。用途に応じて組
立前又は組立後に所要の磁極数に着磁を施す。詳細は実
施例に示すが、完全に脱磁された状態から着磁を行うた
め、成形時に印加する配向磁場の方向と着磁方向とに関
係なく、着磁磁場強度に応じた所定の磁気特性を得るこ
とが出来る。
に応じて硬化剤等を含む樹脂とを所要の比率に混合乃至
は混練、固化後解砕し粉末状コンパウンドにする。配向
磁場の存在下で所要の圧力成形後、金型キャビティ内で
一応交流脱磁を行う(残磁が存在する)。次いで必要に
応じて100〜200℃程度で1次硬化を行った後、N
2又はAr中でキュリー点直上まで昇温度冷却する。こ
の時点で、ボンド磁石は完全に脱磁された状態になる。
次いで、必要に応じて防錆処理を施す。用途に応じて組
立前又は組立後に所要の磁極数に着磁を施す。詳細は実
施例に示すが、完全に脱磁された状態から着磁を行うた
め、成形時に印加する配向磁場の方向と着磁方向とに関
係なく、着磁磁場強度に応じた所定の磁気特性を得るこ
とが出来る。
【0011】
【実施例】現在異方性ボンド磁石用磁粉として多用され
つつあるHDDR(H2の吸収及び放出)反応で作製さ
れたNd2Fe14B系及びSm2Co17系磁粉を用いた本
発明の実施例および比較例を示す。
つつあるHDDR(H2の吸収及び放出)反応で作製さ
れたNd2Fe14B系及びSm2Co17系磁粉を用いた本
発明の実施例および比較例を示す。
【0012】(比較例1)キュリー点312℃であるH
DDRNd2Fe14B磁粉(平均粒度約150μm)9
5重量部、硬化剤を含む液状エポキシ樹脂5重量部をヘ
ンセルミキサで混合後、100℃で1.5h硬化後解砕
してコンパウンドとした。次に、加圧方向に対して垂直
に15KOeの磁場を印加し、8ton/cm2の成形圧力
で10×9×8mm角の成形体を60個作製した。成形
体は金型キャビティから取り出す前に交流磁場による脱
磁を行った。次に成形体は、空気中170℃×1hの硬
化処理を行った。図1は着磁磁場強度に対する着磁率を
示したものである。着磁率とはiHCの3倍以上の印加
磁場強度でフル着磁されると推定される70KOe(5.
57MA/m)の磁場で着磁したときの磁束量を100
として、各磁場強度で着磁された磁束量を除したもので
ある。
DDRNd2Fe14B磁粉(平均粒度約150μm)9
5重量部、硬化剤を含む液状エポキシ樹脂5重量部をヘ
ンセルミキサで混合後、100℃で1.5h硬化後解砕
してコンパウンドとした。次に、加圧方向に対して垂直
に15KOeの磁場を印加し、8ton/cm2の成形圧力
で10×9×8mm角の成形体を60個作製した。成形
体は金型キャビティから取り出す前に交流磁場による脱
磁を行った。次に成形体は、空気中170℃×1hの硬
化処理を行った。図1は着磁磁場強度に対する着磁率を
示したものである。着磁率とはiHCの3倍以上の印加
磁場強度でフル着磁されると推定される70KOe(5.
57MA/m)の磁場で着磁したときの磁束量を100
として、各磁場強度で着磁された磁束量を除したもので
ある。
【0013】図1から明らかなように着磁磁場が成形時
の配向磁場方向に対し順方向の場合と逆方向の場合とで
は、残磁の影響によって着磁磁場強度が1MA/mのあ
たりで着磁率に著しい差が生じていることがわかる。磁
場強度が2MA/m位になると差は小さくなるが、小型
形状品の多い希土類ホンド磁石では、2MA/mの強い
着磁磁場を発生できる着磁コイルの作製が不可能ないし
は極めて困難となる場合が生じてくる。図2に、着磁磁
場強度に対する配向磁場に順方向と逆方向の最大エネル
ギー積(BH)maxを図2の(a)に、残留磁束密度
Brを図2の(b)に、保磁力bHc及び固有保磁力i
Hcを図2の(c)に示すが、これらの各特性について
も図1に対応した差異が生じていることがわかる。
の配向磁場方向に対し順方向の場合と逆方向の場合とで
は、残磁の影響によって着磁磁場強度が1MA/mのあ
たりで着磁率に著しい差が生じていることがわかる。磁
場強度が2MA/m位になると差は小さくなるが、小型
形状品の多い希土類ホンド磁石では、2MA/mの強い
着磁磁場を発生できる着磁コイルの作製が不可能ないし
は極めて困難となる場合が生じてくる。図2に、着磁磁
場強度に対する配向磁場に順方向と逆方向の最大エネル
ギー積(BH)maxを図2の(a)に、残留磁束密度
Brを図2の(b)に、保磁力bHc及び固有保磁力i
Hcを図2の(c)に示すが、これらの各特性について
も図1に対応した差異が生じていることがわかる。
【0014】(実施例1)比較例1と同様にして成形体
を100個作製した。成形体は金型キャビティから取り
出す前に交流磁場による脱磁を行った。次に成形体は、
Ar中350℃×10minの硬化処理を行った。図3
に着磁磁場強度に対する着磁率を示す。図3から明らか
な様に、成形時の配向磁場に対する順方向と逆方向での
着磁率の差異は生じていない。この理由はHDDRNd
2Fe14B系磁粉のキュリー点312℃を越える温度で
硬化を行ったために、熱による完全な脱磁が行われ一度
常磁性状態になったことを示している。Br、bHc、
iHc及び(BH)maxの各磁気特性は、ばらつきの
範囲内で図2に示す配向磁場と着磁磁場が同じ方向の時
の磁気特性の値と同様であった。不活性ガス中での樹脂
の耐熱性を調査するため本実施例で作製した成形体を5
00、600、700及び800℃で各10min間A
r中で保持した。その結果、800℃では、樹脂の炭化
が進行したが、700℃以下では炭化の進行は見られな
かった。また、Ar中700℃以下で硬化を行ったボン
ド磁石の圧縮破壊強度は、空気中、170℃×1hで硬
化して得たものと同様に3.0kgf/mm2の強度を
有していた。しかし、硬化温度が高くなることによっ
て、HDDRNd2Fe14B粉末中の微細構造が変化
し、磁気特性が低下するため、硬化温度はキュリー点を
僅かに越えた温度で行うことが望ましい。
を100個作製した。成形体は金型キャビティから取り
出す前に交流磁場による脱磁を行った。次に成形体は、
Ar中350℃×10minの硬化処理を行った。図3
に着磁磁場強度に対する着磁率を示す。図3から明らか
な様に、成形時の配向磁場に対する順方向と逆方向での
着磁率の差異は生じていない。この理由はHDDRNd
2Fe14B系磁粉のキュリー点312℃を越える温度で
硬化を行ったために、熱による完全な脱磁が行われ一度
常磁性状態になったことを示している。Br、bHc、
iHc及び(BH)maxの各磁気特性は、ばらつきの
範囲内で図2に示す配向磁場と着磁磁場が同じ方向の時
の磁気特性の値と同様であった。不活性ガス中での樹脂
の耐熱性を調査するため本実施例で作製した成形体を5
00、600、700及び800℃で各10min間A
r中で保持した。その結果、800℃では、樹脂の炭化
が進行したが、700℃以下では炭化の進行は見られな
かった。また、Ar中700℃以下で硬化を行ったボン
ド磁石の圧縮破壊強度は、空気中、170℃×1hで硬
化して得たものと同様に3.0kgf/mm2の強度を
有していた。しかし、硬化温度が高くなることによっ
て、HDDRNd2Fe14B粉末中の微細構造が変化
し、磁気特性が低下するため、硬化温度はキュリー点を
僅かに越えた温度で行うことが望ましい。
【0015】(実施例2)キュリー点が770℃である
Sm2Co17系異方性磁石(日立金属製H−30CH)
をジョウクラッシャー及びバンタムミルで粉砕し100
メッシュ以下の粉末を得た。この磁粉96重量部及び微
粉末フェノール樹脂4重量部をヘンセルミキサで混合
後、8ton/cm2の成形圧力で実施例1と同寸法の成形
体を50個作製した。成形体は金型キャビティから取り
出す前に交流磁場による脱磁を行った。成形体はAr中
780℃×10minの硬化処理を行った。2.3MA
T/mで着磁後、Br=880mT、bHc=530K
A/m、iHc=900KA/m、(BH)max=1
30KJ/m3の値が着磁方向が配向磁場の順方向、逆
方向であるかにかかわりなく得ることが出来た。なお、
フェノール樹脂の場合、Ar中900℃×10minの
条件でも炭化の進行は見られず、所要の3Kgf/mm
2以上の圧縮破壊強度を有していた。
Sm2Co17系異方性磁石(日立金属製H−30CH)
をジョウクラッシャー及びバンタムミルで粉砕し100
メッシュ以下の粉末を得た。この磁粉96重量部及び微
粉末フェノール樹脂4重量部をヘンセルミキサで混合
後、8ton/cm2の成形圧力で実施例1と同寸法の成形
体を50個作製した。成形体は金型キャビティから取り
出す前に交流磁場による脱磁を行った。成形体はAr中
780℃×10minの硬化処理を行った。2.3MA
T/mで着磁後、Br=880mT、bHc=530K
A/m、iHc=900KA/m、(BH)max=1
30KJ/m3の値が着磁方向が配向磁場の順方向、逆
方向であるかにかかわりなく得ることが出来た。なお、
フェノール樹脂の場合、Ar中900℃×10minの
条件でも炭化の進行は見られず、所要の3Kgf/mm
2以上の圧縮破壊強度を有していた。
【0016】(比較例2)実施例2と同様にして成形体
を50個作製した。成形体は金型キャビティから取り出
す前に交流磁場による脱磁を行った。成形体を空気中1
50℃×1h硬化処理を行った。配向磁場の順方向また
は逆方向に2.3MAT/mで着磁した。その結果着磁
率は比較例1と同様の傾向を示し、逆方向の場合、順方
向に対して約5%低い値を示した。順方向の磁気特性は
実施例2のものと同様の値を示した。
を50個作製した。成形体は金型キャビティから取り出
す前に交流磁場による脱磁を行った。成形体を空気中1
50℃×1h硬化処理を行った。配向磁場の順方向また
は逆方向に2.3MAT/mで着磁した。その結果着磁
率は比較例1と同様の傾向を示し、逆方向の場合、順方
向に対して約5%低い値を示した。順方向の磁気特性は
実施例2のものと同様の値を示した。
【0017】
【発明の効果】本発明の異方性希土類ボンド磁石は、そ
の製造工程において、熱による完全な脱磁をすることが
でき、残磁がないので磁性粉末を吸着することがない。
また後の着磁では着磁磁場方向によらず一定の磁気特性
が得られる。
の製造工程において、熱による完全な脱磁をすることが
でき、残磁がないので磁性粉末を吸着することがない。
また後の着磁では着磁磁場方向によらず一定の磁気特性
が得られる。
【図1】従来の異方性ボンド磁石の着磁率と着磁磁場強
度の関係を示す。
度の関係を示す。
【図2】従来の異方性ボンド磁石の各種磁気特性と着磁
磁場強度の関係を示す。
磁場強度の関係を示す。
【図3】本発明の異方性ボンド磁石の着磁率と着磁磁場
強度の関係を示す。
強度の関係を示す。
Claims (2)
- 【請求項1】 希土類金属間化合物異方性磁性粉と樹脂
結合材とから成る混合物ないしは混練物を磁場の存在下
で成形後、不活性雰囲気下で該磁性粉のキュリー点以上
の温度で熱処理を施すとともに該不活性雰囲気下での熱
分解温度が該磁性粉のキュリー点より高い樹脂結合材を
用いることにより、熱処理後に完全に脱磁されることを
特徴とする異方性希土類ボンド磁石。 - 【請求項2】 希土類金属間化合物異方性磁性粉と樹脂
結合材とから成る混合物ないしは混練物を磁場の存在下
で成形する異方性希土類ボンド磁石の製造方法におい
て、成形の後に不活性雰囲気下で該磁性粉のキュリー点
以上の温度で熱処理を施すとともに該不活性雰囲気下で
の熱分解温度が該磁性粉のキュリー点より高い樹脂結合
材を用いることを特徴とする異方性希土類ボンド磁石の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9078627A JPH10275718A (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 異方性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9078627A JPH10275718A (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 異方性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10275718A true JPH10275718A (ja) | 1998-10-13 |
Family
ID=13667128
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9078627A Pending JPH10275718A (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | 異方性希土類ボンド磁石およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10275718A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002175925A (ja) * | 2000-12-06 | 2002-06-21 | Tokin Corp | インダクタ |
JP2003109826A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-11 | Nec Tokin Corp | 磁気コアおよびインダクタンス部品 |
JP2015046520A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | ミネベア株式会社 | 希土類鉄系ボンド磁石 |
-
1997
- 1997-03-28 JP JP9078627A patent/JPH10275718A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002175925A (ja) * | 2000-12-06 | 2002-06-21 | Tokin Corp | インダクタ |
JP4623818B2 (ja) * | 2000-12-06 | 2011-02-02 | Necトーキン株式会社 | インダクタ |
JP2003109826A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-11 | Nec Tokin Corp | 磁気コアおよびインダクタンス部品 |
JP2015046520A (ja) * | 2013-08-29 | 2015-03-12 | ミネベア株式会社 | 希土類鉄系ボンド磁石 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20040525 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050829 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050831 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20051222 |