JP2016162853A - 樹脂複合磁石材料およびそれを用いた希土類−鉄系ボンド磁石 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下での熱膨張が抑制され、温度変化による寸法変化が少ない希土類−鉄系ボンド磁石を作り出すことができる樹脂複合磁石材料を提供する。
【解決手段】ボンド磁石を構成する熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマーを採用し、これにジアリルイソフタレートモノマーを混合する。
【選択図】図1
【解決手段】ボンド磁石を構成する熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマーを採用し、これにジアリルイソフタレートモノマーを混合する。
【選択図】図1
Description
本発明は、樹脂複合磁石材料およびそれを用いた希土類−鉄系ボンド磁石に関する。
フルデンス−希土類ボンド磁石は、磁石薄片を熱硬化性樹脂組成物とともに、粉末圧縮成形機などにより常温で圧縮成形することにより製造される。
例えば特許文献1は、残留磁化Mrや最大エネルギー積の水準を元の磁石薄片の水準に維持しながら、高い寸法精度や耐候性を兼ね備えたフルデンス希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法を開示している。具体的には、常温で固体の不飽和ポリエステルアルキドとトリアリルイソシアヌレートと有機過酸化物とからなる熱硬化性樹脂組成物と、希土類−鉄系磁石薄片とを混練し、グラニュール状複合磁石材料を製造し(第1の工程)、得られた複合磁石材料をキャビティに充填して、一軸の圧力を該複合磁石材料に対して加えることにより、特定形状のグリーンコンパクトを製造し(第2の工程)、その後得られたグリーンコンパクトを加熱し、該グリーンコンパクトを構成する熱硬化性樹脂組成物を硬化させる(第3の工程)ことによるフルデンス希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法を開示している。この文献に開示された技術は、特に第2の工程において、前記熱硬化性樹脂組成物の降伏応力以上の一軸の圧力を複合磁石材料に対して加えることにより、前記磁石薄片の脆性破壊と同時に前記熱硬化性樹脂組成物の塑性変形の相互作用によって空隙を減少させるとともに、前記複合磁石材料を圧力軸方向に積層させて、磁石薄片相互の位置関係がほぼ固定されたグリーンコンパクトを製造してなることを特徴としている。
例えば特許文献1は、残留磁化Mrや最大エネルギー積の水準を元の磁石薄片の水準に維持しながら、高い寸法精度や耐候性を兼ね備えたフルデンス希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法を開示している。具体的には、常温で固体の不飽和ポリエステルアルキドとトリアリルイソシアヌレートと有機過酸化物とからなる熱硬化性樹脂組成物と、希土類−鉄系磁石薄片とを混練し、グラニュール状複合磁石材料を製造し(第1の工程)、得られた複合磁石材料をキャビティに充填して、一軸の圧力を該複合磁石材料に対して加えることにより、特定形状のグリーンコンパクトを製造し(第2の工程)、その後得られたグリーンコンパクトを加熱し、該グリーンコンパクトを構成する熱硬化性樹脂組成物を硬化させる(第3の工程)ことによるフルデンス希土類−鉄系ボンド磁石の製造方法を開示している。この文献に開示された技術は、特に第2の工程において、前記熱硬化性樹脂組成物の降伏応力以上の一軸の圧力を複合磁石材料に対して加えることにより、前記磁石薄片の脆性破壊と同時に前記熱硬化性樹脂組成物の塑性変形の相互作用によって空隙を減少させるとともに、前記複合磁石材料を圧力軸方向に積層させて、磁石薄片相互の位置関係がほぼ固定されたグリーンコンパクトを製造してなることを特徴としている。
前述の特許文献1の技術によれば、元の磁石粉末の磁気特性を大きく低下させることなくボンド磁石を製造でき、且つ該技術によりボンド磁石における残留空隙ができるだけ排除された構造となることで、残留空隙に通常取り込まれるとされる水分や酸素と熱による磁石内部の磁石薄片の酸化、腐食などの組織変化を抑制することができ、すなわちこうした残留空隙の存在を一要因とする熱による減磁、寸法変化、機械強度の劣化に対する信頼性を著しく高めるとしている。
一方、自動車のエンジンルーム内に使用されるモータは、高温環境下に晒されるため、モータを構成する部品には温度変化による寸法変化がこれまで以上に少ないものが求められる。特許文献1に開示のボンド磁石は、この用途の要求性能を満たすには必ずしも十分なものではなかった。
一方、自動車のエンジンルーム内に使用されるモータは、高温環境下に晒されるため、モータを構成する部品には温度変化による寸法変化がこれまで以上に少ないものが求められる。特許文献1に開示のボンド磁石は、この用途の要求性能を満たすには必ずしも十分なものではなかった。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、その解決しようとする課題は、特に高温環境下に晒されるモータの信頼性を向上させること、具体的にはこうした環境下において使用されるボンド磁石において、熱膨張といった温度変化による寸法変化をこれまで以上に抑制することである。
そして本発明は、斯様な性能を有するボンド磁石を作り出すことができる樹脂複合磁石材料の提供を課題とする。
そして本発明は、斯様な性能を有するボンド磁石を作り出すことができる樹脂複合磁石材料の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ボンド磁石を構成す
る熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を採用しこれにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなることで、熱膨張が抑制されたボンド磁石を提供することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
る熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を採用しこれにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなることで、熱膨張が抑制されたボンド磁石を提供することが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明の一態様は、希土類−鉄系磁石粉末、熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を含む樹脂複合磁石材料であって、前記熱硬化性樹脂材料は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を含む樹脂材料であり且つこれにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなることを特徴とする、樹脂複合磁石材料に関するものである。
中でも好ましい態様として、前記ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)と前記ジアリルイソフタレートモノマー(C)との混合比率(質量部)B:Cが80:20〜60:40である態様を挙げることができる。
中でも好ましい態様として、前記ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)と前記ジアリルイソフタレートモノマー(C)との混合比率(質量部)B:Cが80:20〜60:40である態様を挙げることができる。
また本発明は、前述の樹脂複合磁石材料を用いて作製されたボンド磁石も対象とする。
本発明の樹脂複合磁石材料は、熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を採用しこれにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなるものとすることで、この材料を用いて、エポキシ樹脂等を使用した従来の磁石材料と比べて室温からおよそ200℃程度までの温度範囲において熱膨張の増大が抑制されたボンド磁石を製造することができる。
さらに本発明の樹脂複合磁石材料は、前述の従来の磁石材料と比べて、ボンド磁石に作り上げた際の空隙率をより低いものとすることができる。
さらに本発明の樹脂複合磁石材料は、前述の従来の磁石材料と比べて、ボンド磁石に作り上げた際の空隙率をより低いものとすることができる。
本発明の樹脂複合磁石材料は、磁石粉末、熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を含みてなる。
以下、本発明の樹脂複合磁石材料を構成する成分について詳述する。
以下、本発明の樹脂複合磁石材料を構成する成分について詳述する。
〔磁石粉末〕
本発明の磁石粉末として、希土類−鉄系磁石粉末(A)を好適に使用できる。
本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末は、例えばR−Fe−B系磁石(但しRはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho等の希土類元素)又は前記磁石においてFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石(但しRは前述の意味を表す)、Si、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系磁石又はR−Fe(Co)−B−M系磁石(但しRは前述の意味を表し、MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを表す)、不可避不純物からなる合金組成を有するR2Fe14B、R2Fe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとR2Fe14B、R2Fe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)(前記Rは前述の意味を表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を用いることができる。
また希土類−鉄系磁石粉末として、Sm−Fe−N系磁石、Hf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M’−N系磁石(但しM’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの
1種または2種以上を表す)、不可避不純物からなる合金組成を有するSm2Fe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとSm2Fe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を使用しても差し支えない。
本発明の磁石粉末として、希土類−鉄系磁石粉末(A)を好適に使用できる。
本発明にかかる希土類−鉄系磁石粉末は、例えばR−Fe−B系磁石(但しRはYを含むCe、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho等の希土類元素)又は前記磁石においてFeの一部をCoで置換したR−Fe(Co)−B系磁石(但しRは前述の意味を表す)、Si、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを用いたR−Fe−B−M系磁石又はR−Fe(Co)−B−M系磁石(但しRは前述の意味を表し、MはSi、Al、Nb、Zr、Hf、Mo、Ga、P、Cの1種または2種以上の組み合わせを表す)、不可避不純物からなる合金組成を有するR2Fe14B、R2Fe(Co)14Bナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとR2Fe14B、R2Fe(Co)14Bとのナノ複合組織(nanocomposite)(前記Rは前述の意味を表す)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を用いることができる。
また希土類−鉄系磁石粉末として、Sm−Fe−N系磁石、Hf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの1種または2種以上の組合せを用いたSm−Fe−M’−N系磁石(但しM’はHf、Zr、Si、Nb、Ti、Ga、Al、TaおよびCの
1種または2種以上を表す)、不可避不純物からなる合金組成を有するSm2Fe17Nx(x≒3)ナノ結晶組織(nanocrystalline)、またはαFeとSm2Fe17Nx(x≒3)とのナノ複合組織(nanocomposite)を含む、磁気的に等方性の希土類−鉄系急冷凝固粉末を使用しても差し支えない。
〔熱硬化性樹脂材料〕
本発明に係る熱硬化性樹脂材料は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を含む樹脂材料であって、これにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなるものである。
ジアリルイソフタレートプリポリマーは、ジアリルイソフタレートモノマーを有機溶媒中、重合開始剤の存在下、重合反応を行うことにより得られるものである。この反応方法は特に限定されないが、例えば特開平11−147917号公報等に記載された公知の方法で製造できる。またダイソー(株)よりの市販品を用いることもできる。
ジアリルイソフタレートプリポリマーの重量平均分子量Mwは、一般に500〜60,000、好ましくは、10,000〜60,000、特に好ましくは、30,000〜50,000である。重量平均分子量が60,000を超えると、ジアリルイソフタレートプリポリマー自体の流動性、そしてこれにジアリルイソフタレートモノマーを混合した熱硬化性樹脂材料の流動性、さらには後述する重合開始剤を添加した際の流動性が低下し好ましくない。
本発明に係る熱硬化性樹脂材料は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を含む樹脂材料であって、これにジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合してなるものである。
ジアリルイソフタレートプリポリマーは、ジアリルイソフタレートモノマーを有機溶媒中、重合開始剤の存在下、重合反応を行うことにより得られるものである。この反応方法は特に限定されないが、例えば特開平11−147917号公報等に記載された公知の方法で製造できる。またダイソー(株)よりの市販品を用いることもできる。
ジアリルイソフタレートプリポリマーの重量平均分子量Mwは、一般に500〜60,000、好ましくは、10,000〜60,000、特に好ましくは、30,000〜50,000である。重量平均分子量が60,000を超えると、ジアリルイソフタレートプリポリマー自体の流動性、そしてこれにジアリルイソフタレートモノマーを混合した熱硬化性樹脂材料の流動性、さらには後述する重合開始剤を添加した際の流動性が低下し好ましくない。
本発明に係る熱硬化性樹脂材料は、前記ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)と前記ジアリルイソフタレートモノマー(C)とを質量比で80:20〜60:40で混合して用いてなることが好ましい。
〔重合開始剤〕
本発明に用いられる重合開始剤(D)としては、例えば有機過酸化物が挙げられる。
その具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどを挙げることができる。
重合開始剤は、成形性の観点から、前述の熱硬化性樹脂材料の総量に対して質量比で熱硬化性樹脂材料:重合開始剤=90:10〜95:5の割合で好適に使用できる。
本発明に用いられる重合開始剤(D)としては、例えば有機過酸化物が挙げられる。
その具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートなどを挙げることができる。
重合開始剤は、成形性の観点から、前述の熱硬化性樹脂材料の総量に対して質量比で熱硬化性樹脂材料:重合開始剤=90:10〜95:5の割合で好適に使用できる。
〔その他添加剤〕
また本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記重合開始剤(D)に加えて、必要に応じてその他の添加剤、例えば重合禁止剤、あるいはカップリング剤、酸化防止剤、滑剤などを添加することができる。
重合禁止剤としては、例えばp−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−アセトキシ−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどを挙げることができる。
また本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記重合開始剤(D)に加えて、必要に応じてその他の添加剤、例えば重合禁止剤、あるいはカップリング剤、酸化防止剤、滑剤などを添加することができる。
重合禁止剤としては、例えばp−ベンゾキノン、ナフトキノン、p−トルキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−アセトキシ−p−ベンゾキノン、ハイドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどを挙げることができる。
〔樹脂複合磁石材料の製造〕
本発明の樹脂複合磁石材料の調製方法は特に限定されず、前述の磁石粉末(希土類−鉄系磁石粉末(A))、熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))、重合開始剤(D)及び所望によりその他添加剤等を、それぞれ所定量混合すればよい。
具体的には、上記熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を混合して溶融状態とし、ここに磁石粉末を混練して溶融混練物を得、得られた溶融混練物を常温まで冷却することにより、樹脂複合磁石材料を得ることができる。
或いは、上記磁石粉末、熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を予め一括して混合し、例えば、ミキシングロールを用いて熱硬化性樹脂材料の軟化点〜融点付近の温度で混練を行ってもよい。
このように熱硬化性樹脂材料の溶融状態下にて磁石粉末を混練することにより、溶融混練物中の空隙を減少させ、ひいては樹脂複合磁石材料中の空隙を減少させることができる。こうした観点から本混練工程を無溶剤で行う、所謂、無溶剤型で実施することが望ましい。
上記溶融混練はミキシングロール、ロールミル、コニーダー、2軸押出機など、一般の熱硬化性樹脂の溶融混練において通常使用可能な混練機を用いた定法で行う。
本発明の樹脂複合磁石材料の調製方法は特に限定されず、前述の磁石粉末(希土類−鉄系磁石粉末(A))、熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))、重合開始剤(D)及び所望によりその他添加剤等を、それぞれ所定量混合すればよい。
具体的には、上記熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を混合して溶融状態とし、ここに磁石粉末を混練して溶融混練物を得、得られた溶融混練物を常温まで冷却することにより、樹脂複合磁石材料を得ることができる。
或いは、上記磁石粉末、熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を予め一括して混合し、例えば、ミキシングロールを用いて熱硬化性樹脂材料の軟化点〜融点付近の温度で混練を行ってもよい。
このように熱硬化性樹脂材料の溶融状態下にて磁石粉末を混練することにより、溶融混練物中の空隙を減少させ、ひいては樹脂複合磁石材料中の空隙を減少させることができる。こうした観点から本混練工程を無溶剤で行う、所謂、無溶剤型で実施することが望ましい。
上記溶融混練はミキシングロール、ロールミル、コニーダー、2軸押出機など、一般の熱硬化性樹脂の溶融混練において通常使用可能な混練機を用いた定法で行う。
また、後述するボンド磁石の製造への適用のし易さを考慮すると、得られた樹脂複合磁石材料を解砕・分級し、グラニュール状の樹脂複合磁石材料とすることが好ましい。
このとき、本発明に係る樹脂複合磁石材料は粘弾性的要素があるため、脆性を利用した衝撃力による解砕よりも剪断圧縮による解砕が望ましい。一般的に衝撃力による解砕と比較し、剪断力による解砕は粒径も比較的小さく分布幅も狭くなる場合が多い。具体的には、原理的に剪断圧縮作用をもつ電動石臼のような解砕法を使用することが望ましい。その際、駆動盤と固定盤との間隙を調整することでグラニュール状の樹脂複合磁石材料の粒径を制御することができる。
このとき、本発明に係る樹脂複合磁石材料は粘弾性的要素があるため、脆性を利用した衝撃力による解砕よりも剪断圧縮による解砕が望ましい。一般的に衝撃力による解砕と比較し、剪断力による解砕は粒径も比較的小さく分布幅も狭くなる場合が多い。具体的には、原理的に剪断圧縮作用をもつ電動石臼のような解砕法を使用することが望ましい。その際、駆動盤と固定盤との間隙を調整することでグラニュール状の樹脂複合磁石材料の粒径を制御することができる。
本発明にかかる樹脂複合磁石材料の大きさは特に限定されないが、続くボンド磁石の形成工程における金型等の成形型キャビティへの充填性を考慮すると、例えば53〜500μm程度の粒状形態とすることが望ましい。
また、分級した樹脂複合磁石材料の成形型キャビティへの充填性にかかる粉末流動性の向上、あるいは分級した樹脂複合磁石材料の圧縮の際の成形型キャビティ壁面との摩擦低減などを目的とし、当該樹脂複合磁石材料に高級脂肪酸金属石鹸など、一般的な外部滑剤を乾式混合しても差し支えない。なお、外部滑剤を添加する場合、その添加量は、樹脂複合磁石材料の総質量に対して0.5wt%以下が好ましい。
また、分級した樹脂複合磁石材料の成形型キャビティへの充填性にかかる粉末流動性の向上、あるいは分級した樹脂複合磁石材料の圧縮の際の成形型キャビティ壁面との摩擦低減などを目的とし、当該樹脂複合磁石材料に高級脂肪酸金属石鹸など、一般的な外部滑剤を乾式混合しても差し支えない。なお、外部滑剤を添加する場合、その添加量は、樹脂複合磁石材料の総質量に対して0.5wt%以下が好ましい。
〔ボンド磁石の製造〕
本発明のボンド磁石は、上述の樹脂複合磁石材料を用いて、例えば特許文献1に開示される方法にて好適に製造可能であり、その具体的な手順を以下に述べる。
まず前述の、好ましくはグラニュール状の樹脂複合磁石材料を成形型キャビティに充填し、前述の熱硬化性樹脂材料の融点以下の温度(例えば常温:20℃±15℃(5〜35℃))にて、該樹脂複合磁石材料に一軸の圧力を加え、特定形状の圧縮成形体とする。その後、圧力を開放し、成形型キャビティから圧縮成形体を離型する。なお、圧縮成形体を作製時に加える圧力を、圧縮成形体を構成する熱硬化性樹脂材料の降伏応力以上の圧力、例えば0.5GPa〜1.2GPa、好ましくは0.8GPa〜1.0GPa程度の一軸の圧力とすることにより、圧縮成形体さらには後述するボンド磁石の空隙率を減少させることができるため好ましい。
そして、離型した圧縮成形体において、該圧縮成形体を構成する熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))を加熱硬化させることにより、ボンド磁石を得る。熱硬化処理は大気中で行っても差し支え
ない。
本発明のボンド磁石は、上述の樹脂複合磁石材料を用いて、例えば特許文献1に開示される方法にて好適に製造可能であり、その具体的な手順を以下に述べる。
まず前述の、好ましくはグラニュール状の樹脂複合磁石材料を成形型キャビティに充填し、前述の熱硬化性樹脂材料の融点以下の温度(例えば常温:20℃±15℃(5〜35℃))にて、該樹脂複合磁石材料に一軸の圧力を加え、特定形状の圧縮成形体とする。その後、圧力を開放し、成形型キャビティから圧縮成形体を離型する。なお、圧縮成形体を作製時に加える圧力を、圧縮成形体を構成する熱硬化性樹脂材料の降伏応力以上の圧力、例えば0.5GPa〜1.2GPa、好ましくは0.8GPa〜1.0GPa程度の一軸の圧力とすることにより、圧縮成形体さらには後述するボンド磁石の空隙率を減少させることができるため好ましい。
そして、離型した圧縮成形体において、該圧縮成形体を構成する熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))を加熱硬化させることにより、ボンド磁石を得る。熱硬化処理は大気中で行っても差し支え
ない。
なお、例えば圧縮成形体を支持体で拘束しながら、当該圧縮成形体を構成する熱硬化性樹脂材料を加熱硬化させることにより、支持体と一体化されたボンド磁石を製造することもできる。
本発明にかかるボンド磁石、並びに該ボンド磁石の硬化前の圧縮成形体は、上述の工程を経て有利にそして好適に製造されるが、その製造方法はこれらの工程のみに限定されるものではない。
本発明にかかるボンド磁石、並びに該ボンド磁石の硬化前の圧縮成形体は、上述の工程を経て有利にそして好適に製造されるが、その製造方法はこれらの工程のみに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[樹脂複合磁石材料1乃至6の作製]
1)樹脂複合磁石材料1
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との質量比率をB:C=60:40とした。熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))とジクミルパーオキサイド(D)との質量比率を(B+C):D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(B+C+D)=97:3とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)とジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料1を作製した。
1)樹脂複合磁石材料1
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との質量比率をB:C=60:40とした。熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))とジクミルパーオキサイド(D)との質量比率を(B+C):D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、熱硬化性樹脂材料(ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)、ジアリルイソフタレートモノマー(C))及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(B+C+D)=97:3とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)とジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料1を作製した。
2)樹脂複合磁石材料2
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との配合比率を質量比率でB:C=70:30としたほかは、磁石粉末1と同じ条件で樹脂複合磁石材料2を作製した。
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との配合比率を質量比率でB:C=70:30としたほかは、磁石粉末1と同じ条件で樹脂複合磁石材料2を作製した。
3)樹脂複合磁石材料3
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との配合比率を質量比率でB:C=80:20としたほかは、磁石粉末1と同じ条件で樹脂複合磁石材料3を作製した。
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂材料として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を混合して用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)との配合比率を質量比率でB:C=80:20としたほかは、磁石粉末1と同じ条件で樹脂複合磁石材料3を作製した。
4)樹脂複合磁石材料4
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をB:D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(B+D)=97:3とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)とジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料4を作製した。
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂として、常温で固体のジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をB:D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(B+D)=97:3とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)とジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料4を作製した。
5)樹脂複合磁石材料5
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステルアルキド(E)を用いた。架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(F)を用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、不飽和ポリエステルアルキド(E)とトリアリルイソシアヌレート(F)との質量比率でE:F=75:25とした。不飽和ポリエステルアルキド(E)及びトリアリルイソシアヌレート(F)と、ジクミルパーオキサイド(D)との質量比率(E+F):D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、不飽和ポリエステルアルキド(E)、トリアリルイソシアヌレート(F)及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(E+F+D)=96.5:3.5とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)と不飽和ポリエステルアルキド(E)とトリアリルイソシアヌレート(F)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料5を作製した。
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステルアルキド(E)を用いた。架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(F)を用いた。重合開始剤としてジクミルパーオキサイド(D)を用いた。
配合比率は、不飽和ポリエステルアルキド(E)とトリアリルイソシアヌレート(F)との質量比率でE:F=75:25とした。不飽和ポリエステルアルキド(E)及びトリアリルイソシアヌレート(F)と、ジクミルパーオキサイド(D)との質量比率(E+F):D=97:3とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、不飽和ポリエステルアルキド(E)、トリアリルイソシアヌレート(F)及びジクミルパーオキサイド(D)との質量比率をA:(E+F+D)=96.5:3.5とした。
希土類−鉄系磁石粉末(A)と不飽和ポリエステルアルキド(E)とトリアリルイソシアヌレート(F)とジクミルパーオキサイド(D)を混合した後に、表面温度95℃の等速ロールミルを用いて厚さ1mm以下とし、解砕・分級して樹脂複合磁石材料5を作製した。
6)樹脂複合磁石材料6
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)を用いた。熱硬化性樹脂の硬化剤として、アミン系硬化剤(H)を用いた。さらに硬化促進剤としてイミダゾール誘導体(J)を用いた。
配合比率は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)とアミン系硬化剤(H)との質量比率をG:H=40:60とした。フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)及びアミン系硬化剤(H)と、イミダゾール誘導体(J)との質量比率を(G+H):J=98:2とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)、アミン系硬化剤(H)及びイミダゾール誘導体(J)との質量比率をA:(G+H+J)=97.5:2.5とした。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)とアミン系硬化剤(H)とイミダゾール誘導体(J)とをメチルエチルケトンに溶解したエポキシ樹脂溶液を希土類−鉄系磁石粉末(A)と湿式混合し、脱溶媒・解砕・分級し、樹脂複合磁石材料6を作製した。
希土類−鉄系磁石粉末(A)としてマグネクエンチ社製のMQP−B 20172−070を用いた。熱硬化性樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)を用いた。熱硬化性樹脂の硬化剤として、アミン系硬化剤(H)を用いた。さらに硬化促進剤としてイミダゾール誘導体(J)を用いた。
配合比率は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)とアミン系硬化剤(H)との質量比率をG:H=40:60とした。フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)及びアミン系硬化剤(H)と、イミダゾール誘導体(J)との質量比率を(G+H):J=98:2とした。希土類−鉄系磁石粉末(A)と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)、アミン系硬化剤(H)及びイミダゾール誘導体(J)との質量比率をA:(G+H+J)=97.5:2.5とした。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂(G)とアミン系硬化剤(H)とイミダゾール誘導体(J)とをメチルエチルケトンに溶解したエポキシ樹脂溶液を希土類−鉄系磁石粉末(A)と湿式混合し、脱溶媒・解砕・分級し、樹脂複合磁石材料6を作製した。
[ボンド磁石の評価]
<評価1>
熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂材料)の相違によるボンド磁石における温度と膨張率の関係を評価した。
・試料1:
樹脂複合磁石材料2を1.5g秤量し、これを内径φ5mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃、圧力1.0GPaで圧縮して圧縮成形体を得た。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱し、樹脂を熱硬化させて、ボンド磁石(試料1)を作製
した。
・比較試料1:
樹脂複合磁石材料5を用いた以外には、試料1と同じ条件でボンド磁石(比較試料1)を作製した。
・比較試料2:
樹脂複合磁石材料6を用いた以外には、試料1と同じ条件でボンド磁石(比較試料2)を作製した。
<評価1>
熱硬化性樹脂(熱硬化性樹脂材料)の相違によるボンド磁石における温度と膨張率の関係を評価した。
・試料1:
樹脂複合磁石材料2を1.5g秤量し、これを内径φ5mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃、圧力1.0GPaで圧縮して圧縮成形体を得た。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱し、樹脂を熱硬化させて、ボンド磁石(試料1)を作製
した。
・比較試料1:
樹脂複合磁石材料5を用いた以外には、試料1と同じ条件でボンド磁石(比較試料1)を作製した。
・比較試料2:
樹脂複合磁石材料6を用いた以外には、試料1と同じ条件でボンド磁石(比較試料2)を作製した。
作製したボンド磁石:試料1と比較試料1と比較試料2とを、それぞれ熱機械分析装置(TMA8310 理学電機株式会社製)を用いて、圧縮荷重法(荷重10mN)、大気雰囲気、測定温度範囲を室温〜200℃としたときの膨張率を図1に示す。
なお、自動車のエンジンルーム内に使用されるモータは、使用場所によりモータの内部温度が150℃乃至180℃まで上昇することがある。従って、こうした用途向けのモータの信頼性を確保するためには、室温からおよそ200℃程度までの温度範囲において、モータを構成する部品に不具合が生じないこと、例えば、モータを構成するボンド磁石における寸法変化が抑制されていること(膨張率が低いこと)が望ましい。
図1に示すように、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステルアルキドを用いた比較試料1は、50℃付近から徐々に膨張率が増加し、150℃付近での膨張率が0.053%であり、180℃付近での膨張率は0.077%となった。また、熱硬化性樹脂としてフェノールノボラック型のエポキシ樹脂を用いた比較試料2は、120℃付近までの膨張率の変化は比較的少ないものの、120℃を超えると膨張率の変化が急激に大きくなり、150℃付近で膨張率が0.062%であり、180℃付近での膨張率は0.112%となった。
一方、試料1は、150℃付近での膨張率が0.004%であり、また180℃付近での膨張率は約0.006%であり、室温から200℃の温度範囲において膨張率の大きな変化は見られなかった。
以上の通り、評価1から、本発明の樹脂複合磁石材料2を用いたボンド磁石が、上記幅広い温度範囲において膨張率の変化が少なく、高温時においても体積変化が小さいという結果が得られた。
図1に示すように、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステルアルキドを用いた比較試料1は、50℃付近から徐々に膨張率が増加し、150℃付近での膨張率が0.053%であり、180℃付近での膨張率は0.077%となった。また、熱硬化性樹脂としてフェノールノボラック型のエポキシ樹脂を用いた比較試料2は、120℃付近までの膨張率の変化は比較的少ないものの、120℃を超えると膨張率の変化が急激に大きくなり、150℃付近で膨張率が0.062%であり、180℃付近での膨張率は0.112%となった。
一方、試料1は、150℃付近での膨張率が0.004%であり、また180℃付近での膨張率は約0.006%であり、室温から200℃の温度範囲において膨張率の大きな変化は見られなかった。
以上の通り、評価1から、本発明の樹脂複合磁石材料2を用いたボンド磁石が、上記幅広い温度範囲において膨張率の変化が少なく、高温時においても体積変化が小さいという結果が得られた。
<評価2>
ボンド磁石作製時の樹脂複合磁石材料に対する成形圧力の相違による空隙率の影響を比較した。
樹脂複合磁石材料1乃至4をそれぞれ3g秤量し、内径φ10mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃で任意の成形圧力で圧縮して圧縮成形体を得た(成形圧力範囲:約0.4〜1.2GPa)。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱してボンド磁石を得た。
また同様に樹脂複合磁石材料6を3g秤量し、内径φ10mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃で任意の成形圧力で圧縮して圧縮成形体を得た(成形圧力範囲:約0.4〜1.2GPa)。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱してボンド磁石を得た。
ボンド磁石作製時の樹脂複合磁石材料に対する成形圧力の相違による空隙率の影響を比較した。
樹脂複合磁石材料1乃至4をそれぞれ3g秤量し、内径φ10mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃で任意の成形圧力で圧縮して圧縮成形体を得た(成形圧力範囲:約0.4〜1.2GPa)。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱してボンド磁石を得た。
また同様に樹脂複合磁石材料6を3g秤量し、内径φ10mmの成形型キャビティに充填し、温度20℃〜30℃で任意の成形圧力で圧縮して圧縮成形体を得た(成形圧力範囲:約0.4〜1.2GPa)。得られた圧縮成形体を180℃、60分間加熱してボンド磁石を得た。
各ボンド磁石の空隙率を測定し、成形圧力と空隙率の関係を評価した。結果を図2に示す。
なお空隙率は以下の式より算出した。
空隙率(%)=100−磁石成分の体積分率−樹脂成分の体積分率
ここで、磁石成分の体積分率及び樹脂成分の体積分率は、各試料の質量に対する磁石成分(希土類−鉄系磁石粉末)と樹脂成分(熱硬化性樹脂材料+重合開始剤)それぞれの配合比率と、磁石成分(希土類−鉄系磁石粉末)の真密度値(7.59Mg/m3)、樹脂
成分のアルキメデス法による真密度値とを用いて算出した。
尚、樹脂成分(樹脂複合磁石材料1乃至樹脂複合磁石材料3:熱硬化性樹脂材料+重合開始剤、樹脂複合磁石材料4:熱硬化性樹脂+重合開始剤、樹脂複合磁石材料6:熱硬化性樹脂+硬化剤+アミン系硬化剤)のアルキメデス法による真密度値は、樹脂複合磁石材料1:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料2:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料3:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料4:1.26Mg/m3、樹脂複合磁石材料6:1.13Mg/m3をそれぞれ用いた。
なお空隙率は以下の式より算出した。
空隙率(%)=100−磁石成分の体積分率−樹脂成分の体積分率
ここで、磁石成分の体積分率及び樹脂成分の体積分率は、各試料の質量に対する磁石成分(希土類−鉄系磁石粉末)と樹脂成分(熱硬化性樹脂材料+重合開始剤)それぞれの配合比率と、磁石成分(希土類−鉄系磁石粉末)の真密度値(7.59Mg/m3)、樹脂
成分のアルキメデス法による真密度値とを用いて算出した。
尚、樹脂成分(樹脂複合磁石材料1乃至樹脂複合磁石材料3:熱硬化性樹脂材料+重合開始剤、樹脂複合磁石材料4:熱硬化性樹脂+重合開始剤、樹脂複合磁石材料6:熱硬化性樹脂+硬化剤+アミン系硬化剤)のアルキメデス法による真密度値は、樹脂複合磁石材料1:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料2:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料3:1.23Mg/m3、樹脂複合磁石材料4:1.26Mg/m3、樹脂複合磁石材料6:1.13Mg/m3をそれぞれ用いた。
図2に示すように、熱硬化性樹脂としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を単独で使用した樹脂複合磁石材料4を用いたボンド磁石における空隙率は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用した樹脂複合磁石材料6を用いたボンド磁石における空隙率と、成形圧力によらず同等の水準を示した。
一方、樹脂複合磁石材料1乃至3を用いたボンド磁石は、低い成形圧力であっても少ない空隙率を有する磁石となることが確認された。
以上の通り、評価2より、熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を配合したものを採用することにより、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を単独使用した場合や従来のエポキシ樹脂を使用した場合と比べてボンド磁石の空隙率が低く抑えられ、好ましいことが確認された。また、熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)とを、配合比率(質量比)B:C=80:20〜60:40の範囲において使用することにより、該材料を用いて作製したボンド磁石の空隙率が低い水準に保たれるという好適な結果を得られることが確認された。
一方、樹脂複合磁石材料1乃至3を用いたボンド磁石は、低い成形圧力であっても少ない空隙率を有する磁石となることが確認された。
以上の通り、評価2より、熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)にジアリルイソフタレートモノマー(C)を配合したものを採用することにより、ジアリルイソフタレートプリポリマー(B)を単独使用した場合や従来のエポキシ樹脂を使用した場合と比べてボンド磁石の空隙率が低く抑えられ、好ましいことが確認された。また、熱硬化性樹脂材料としてジアリルイソフタレートプリポリマー(B)とジアリルイソフタレートモノマー(C)とを、配合比率(質量比)B:C=80:20〜60:40の範囲において使用することにより、該材料を用いて作製したボンド磁石の空隙率が低い水準に保たれるという好適な結果を得られることが確認された。
このように、評価1及び評価2の結果より、不飽和ポリエステルアルキドやエポキシ樹脂等の従来の熱硬化性樹脂を用いて作製したボンド磁石と比べて、本発明の樹脂複合磁石材料が、室温からおよそ200℃程度までの温度範囲にわたって膨張率の変化が少なく、高温時の膨張率の値が低いボンド磁石を作製できること、また該ボンド磁石における空隙率を低い水準に保てることが確認された。
すなわち本発明の樹脂複合磁石材料により、高温環境下での動作が想定されるモータ向けのボンド磁石として、高温下の寸法変化が抑制されるとともに、残留空隙を一因とする減磁等の不具合についてもその抑制が実現可能な、信頼性を高めたボンド磁石を提供することが期待できる。
すなわち本発明の樹脂複合磁石材料により、高温環境下での動作が想定されるモータ向けのボンド磁石として、高温下の寸法変化が抑制されるとともに、残留空隙を一因とする減磁等の不具合についてもその抑制が実現可能な、信頼性を高めたボンド磁石を提供することが期待できる。
Claims (3)
- 希土類−鉄系磁石粉末、熱硬化性樹脂材料及び重合開始剤を含む樹脂複合磁石材料であって、
前記熱硬化性樹脂材料は、ジアリルイソフタレートプリポリマーを含む樹脂材料であり且つこれにジアリルイソフタレートモノマーを混合してなることを特徴とする、樹脂複合磁石材料。 - 前記ジアリルイソフタレートプリポリマーと前記ジアリルイソフタレートモノマーとの混合比率(質量部)が80:20〜60:40であることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂複合磁石材料。
- 請求項1又は請求項2に記載の樹脂複合磁石材料を用いたボンド磁石。
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JP2015039215A JP2016162853A (ja) | 2015-02-27 | 2015-02-27 | 樹脂複合磁石材料およびそれを用いた希土類−鉄系ボンド磁石 |
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---|---|---|---|---|
CN107958764A (zh) * | 2017-11-07 | 2018-04-24 | 安徽艾贤磁体器件科技有限公司 | 一种计算机cpu散热风扇用超薄粘结钕铁硼磁体及其制备方法 |
-
2015
- 2015-02-27 JP JP2015039215A patent/JP2016162853A/ja active Pending
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