JP6028551B2 - ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置 - Google Patents

ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6028551B2
JP6028551B2 JP2012263308A JP2012263308A JP6028551B2 JP 6028551 B2 JP6028551 B2 JP 6028551B2 JP 2012263308 A JP2012263308 A JP 2012263308A JP 2012263308 A JP2012263308 A JP 2012263308A JP 6028551 B2 JP6028551 B2 JP 6028551B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic powder
bonded magnet
magnetic
thermosetting resin
molding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012263308A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014110297A (ja
Inventor
山本 宗生
宗生 山本
久米 道也
道也 久米
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichia Corp
Original Assignee
Nichia Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichia Corp filed Critical Nichia Corp
Priority to JP2012263308A priority Critical patent/JP6028551B2/ja
Publication of JP2014110297A publication Critical patent/JP2014110297A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6028551B2 publication Critical patent/JP6028551B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacturing Cores, Coils, And Magnets (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Description

本発明は、ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置に関する。
近年、日常生活におけるストレスや運動不足等により、肩こりや腰痛などの症状を訴える人が増加している。そうした状況を反映して、小型磁石を皮膚等に直接接触させて該磁石の磁気効果(磁場を付与することによって得られる効果)を利用して前記症状を改善させる磁気治療器具への関心が高まっている。一般的に、磁気治療器具は、磁気効果によって首や肩などの血行を良くし、皮膚温度を上げて前記症状を改善させると考えられている。
磁気治療器具として、ネックレスやブレスレットのような紐状のものがある。このような紐状の磁気治療器具に限ってみても、これまでに様々なものが開発されている。例えば、小さな永久磁石を鎖で繋いだもの、柔軟なチューブ内に永久磁石を内蔵させたもの、樹脂に磁性粉末を練り込んで紐状に成形したものなどが開発されている。現在では、組み立て工程が簡単で、壊れ難いという理由から、樹脂に磁性粉末を練り込んで紐状に成形したものが主流となっている。
このような紐状の磁気治療器具やその製造方法に関する発明が、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
特許文献1には、ネックレス等に用いられて身体に血行促進作用を及ぼす磁気治療器具において、所定の方向に延びて、シリコーンゴムと磁性粉との混合物により形成されるとともに着磁された可撓性を有する長尺な磁石部と、シリコーンゴムにより形成されるとともに前記磁石部の外周をその全域にわたって被覆する可撓性を有する被覆部とを備えたことを特徴とする磁気治療器具が記載されている。
特許文献2には、Sm−Fe−N系磁性粉末を含むシリコーンゴム組成物により形成された内層部と、該内層部を被覆する外層部とを有する少なくとも二層構造の磁性成形品であって、該外層部がシリコーンゴム組成物により形成されており、該磁性成形品の引張強度が3〜10MPa、伸びが100〜600%であることを特徴とする磁性成形品が記載されている。
そして、特許文献3には、樹脂マグネットの磁場配向押出成形を行うにあたり、金型内に部分的に磁界の範囲と位置が変化する磁場を設けて、磁性体粒子に動揺を与える過程を経て、磁性体粒子を極方向に配向させたのち樹脂マグネットを冷却するマグネチックロールの製造方法が記載されている。
特許文献1、2に記載の発明は、熱硬化性シリコーンゴムに磁性粉末を練り込んだ混合物(内層部)を、押出成形により紐状に成形したものである。
特許文献3に記載の発明は、磁性体粒子を熱可塑性樹脂に練り込み、押出し成形時に動揺を与えることで磁性体粒子を配向させ、これにより磁束密度などの磁気特性を向上させている。
特開2008−173405号公報 特開2009−022341号公報 特開昭60−194510号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、磁気特性を向上させるための措置がとられていないので、十分な磁気効果を得ようとすると、磁性粉の含有量を多くする必要があり、重くなることが多かった。そのため、磁気治療器具の磁気効果によって肩こりなどが軽減されたと感じるユーザがいる一方で、その重さによって却って肩こりなどが増進されたと感じられるユーザもいたと考えられる。
また、特許文献2に記載の発明によれば、従来から使用されているフェライト磁性粉末に替えてSm−Fe−N系磁性粉末を使用することで磁気特性を向上させている。そのため、磁性粉末の配合量を少なくすることができ、磁気ネックレスなどの磁性成形品を軽量化することができる。しかしながら、そのような軽量化では十分でなく、磁性成形品の重さによって却って肩こりなどが増進される可能性もあり、更なる軽量化が求められていた。
他方、特許文献3に記載の発明によれば、配向により磁気特性を向上させることができる。そのため、磁性粉末の配合量を更に抑制し、軽量化することが可能と考えられる。
しかし、特許文献3に記載の発明は熱可塑性樹脂を用いるので、これによって製造された磁気治療器具は常温では十分な柔軟性を保持することができない。そのため、当該磁気治療器具は、皮膚等に直接接触させて使用するのに適しているとは言えない。十分な柔軟性を保持させるためには、常温での柔軟性に優れる熱硬化性樹脂を用いるとよいが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は硬化プロセスが全く異なる。そのため、当該特許文献3に記載されている技術をそのまま転用することができない。なお、熱可塑性樹脂は、加熱して軟化させた樹脂を冷却して硬化させるのに対し、熱硬化性樹脂は、常温で硬化していない樹脂(液体状の樹脂)を加熱し、架橋反応させて硬化させる。熱硬化性樹脂の硬化は、一旦反応が開始されると制御が難しく、押出成形機の金型内で安定的に磁性粉末を配向させつつ、これを硬化させ、成形品を製造するという技術は実現できていないのが現状であった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであって、皮膚等に直接接触させて使用するのに適しており、磁気特性に優れたボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来は実現できなかった熱硬化性樹脂中の磁性粉末を押出成形時に配向させる技術の開発に成功した。すなわち、熱硬化性樹脂の硬化を押出成形機の金型内で行うのではなく、金型出口に磁場配向装置を設け、ここから所定距離離間させて架橋反応装置を設置し、熱硬化性樹脂の架橋反応を行わせることで前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明に係るボンド磁石製造方法は、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなり、前記磁性粉末の配向率が10%以上であるボンド磁石を製造するボンド磁石製造方法であって、前記磁性粉末と前記熱硬化性樹脂の混練物を所定の形状に成形すると共に、前記磁性粉末を所定の方向に配向させて成形品を得る成形工程と、前記成形工程で使用する成形装置の金型出口に備えられた磁場配向装置から10〜500mm離間させて設けられた架橋反応装置で前記成形品中の前記熱硬化性樹脂を架橋反応させる架橋反応工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係るボンド磁石製造装置は、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなり、前記磁性粉末の配向率が10%以上であるボンド磁石を製造するボンド磁石製造装置であって、前記磁性粉末と前記熱硬化性樹脂の混練物を所定の形状に成形すると共に、前記磁性粉末を所定の方向に配向させて成形品を得る成形装置と、前記成形品中の前記熱硬化性樹脂を架橋反応させる架橋反応装置と、を備え、前記成形装置の金型出口に備えられた磁場配向装置と前記架橋反応装置を10〜500mm離間させて設けたことを特徴とする。
本発明に係るボンド磁石は、皮膚等に直接接触させて使用するのに適しており、磁気特性に優れている。
本発明に係るボンド磁石製造方法及び製造装置は、皮膚等に直接接触させて使用するのに適しており、磁気特性に優れたボンド磁石を製造することができる。
本発明の一実施形態に係るボンド磁石を説明する図であって、(a)は、紐状の磁気治療器具の斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造方法の内容を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造装置の構成を説明する図であって、(a)は、成形装置と架橋反応装置の構成を示す構成図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図であり、(c)は、(a)のC−C線断面図である。 本発明の一実施形態に係るボンド磁石の配向について説明する図であって、(a)は、成形後の架橋反応が適切に行われた場合を示す概念図であり、(b)は、成形後の架橋反応が適切に行われなかった場合を示す概念図である。 表1に示す実施例2〜7と比較例4〜7における、HAV距離と磁束密度の関係を示すグラフである。図中、横軸はHAV距離[mm]を表し、縦軸は磁束密度[mT]を表す。 表1に示す実施例2〜7と比較例4〜7における、HAV距離と配向率の関係を示すグラフである。図中、横軸はHAV距離[mm]を表し、縦軸は配向率[%]を表す。
以下、適宜図面を参照して本発明に係るボンド磁石、ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置を実施するための形態(実施形態)について説明する。
[ボンド磁石]
はじめに、本発明に係るボンド磁石の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係るボンド磁石は、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなる。より具体的には、ボンド磁石は、熱硬化性樹脂を母材樹脂として含み、この熱硬化性樹脂中に磁性粉末を固定した熱硬化性樹脂組成物である。
図1(a)は、ボンド磁石を用いた成形品(ボンド磁石成形品)の一例であり、形態を長尺紐状としたものである。このような、長尺紐状のボンド磁石1は、磁気ネックレスや磁気ブレスレットなど(以下ではこれらを単に「磁気ネックレス」と記載する。)として用いられる。長尺紐状のボンド磁石1は、多くの場合、図1(b)に示すように、長手方向に対して垂直かつ直交する断面形状が円形となっているが、その断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、四角形、三角形、楕円形、中空形などの所望する形状とすることができる。また、ボンド磁石1の形態も長尺紐状に限定されるものではなく、矩形や円形のシート状などとすることもできる。
本実施形態に係るボンド磁石1では、熱硬化性樹脂3中における磁性粉末2の配向率を10%以上としている。なお、配向率とは、磁性粉末2がある一定方向、例えば、配向用磁界の方向に配向する割合をいい、配向率が高いほど同一方向に配向されている割合が高いことを表している。配向率は、ボンド磁石1を所定の長さ(例えば、3mm)に切断し、振動試料型磁力計(VSM)で残留磁化(σr)を測定することで求めることができる。なお、配効率(%)は下記式で算出することができる。
配効率(%)={(測定σr−無配向σr)/(フル配向σr−無配向σr)}×100
磁性粉末2の配向率を10%以上に制御することで、磁束密度などの磁気特性に優れたものとすることができる。そのため、ボンド磁石1に従来と同量の磁性粉末を用いた場合、従来のものよりも高い磁気特性を得ることができる。これは、従来と同程度の磁気特性を、従来よりも少ない量の磁性粉末2で得られるということである。つまり、従来と同程度の磁気特性(磁気効果)を備えたボンド磁石を、従来よりも軽量化して提供することができる。
他方、磁性粉末2の配向率が10%よりも低いと、磁気特性が劣ったものとなる。そのため、十分な磁気効果を得ることができず、軽量化を図ることもできない。
磁性粉末2の配向率の制御は、後記するボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置にて説明する。
磁性粉末2としては、フェライト系と、希土類系であるNd−Fe−B系、Sm−Co系、Sm−Fe−N系とがある。本実施形態では、これらのうちのいずれをも用いることができるが、中でも、Sm−Fe−N系を用いるのが好ましい。Sm−Fe−N系は、一般的にSmFe17で表される。Sm−Fe−N系は、フェライト系に比べると磁力が強く、比較的少ない量でも高磁力を発生することができる。また、Sm−Fe−N系は、Nd−Fe−B系やSm−Co系といった他の希土類系と比べると、粒子径が小さく、母材樹脂へのフィラーとして適していることや、錆び難くいという特長がある。
磁性粉末2は、異方性のもの及び等方性のもののいずれか一方又は両方を用いることができる。なお、より強力な磁気特性を得る観点から、異方性のもの(異方性磁性粉末)を用いるのが好ましく、具体的には、異方性を有するSm−Fe−N系の磁性粉末(異方性Sm−Fe−N系磁性粉末)を用いるのが好ましい。磁性粉末としてSm−Fe−N系磁性粉末を用いれば、当該磁性粉末は磁力が強いので、より磁気特性に優れたものとすることができる。
磁性粉末2は、平均粒径が10μm以下、特に1〜5μmの範囲のものが好適である。このようにすると、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生し難く、外観的に優れたものとすることができ、さらに、低コスト化を図ることができる。平均粒径が10μmよりも大きいと、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生して外観的に劣るおそれがある。また、ボンド磁石1に外層部を設けて使用する場合、ボンド磁石1の表面に凹凸等が生じて外層部の被覆に悪影響を及ぼすおそれがある。一方で、平均粒径が1μmよりも小さいと、磁性粉末2のコストが高くなるので、低コスト化の観点から好ましくない。
本実施形態に係るボンド磁石1は、熱硬化性樹脂を含んで形成されているので、皮膚等に直接接触させて使用するのに適したものとすることができる。
熱硬化性樹脂としては、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム(シリコーン生ゴム)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アリル樹脂などを用いることができるが、これらの中でも、化学的安定性、耐熱性、耐寒性の点で、シリコーンゴムを用いるのが好ましい。熱硬化性樹脂としてシリコーンゴムを用いれば、化学的安定性、耐熱性、耐寒性に優れ、適度な可撓性を有したものとすることができるので、皮膚等に直接接触させて使用するのにより適したものとすることができる。
シリコーンゴムとしては、例えば、汎用されているジメチル系、メチルビニル系、メチルビニルフェニル系及びメチルフロロアルキル系などを用いることができる。
また、シリコーンゴムは、ラジカル反応型及び付加反応型のうちのいずれであってもよいが、本実施形態に係るボンド磁石1の物理的強度や圧縮歪み特性の低下の防止、着色による黄変の防止、可使時間の長さ、成形加工性などの点を考慮すると、付加反応型シリコーンゴムを用いるのが好ましい。
付加反応型シリコーンゴムを用いる場合、当該シリコーンゴムは、1分子中に少なくとも2個のビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有シリコーンゴムであるのが好ましい。
熱硬化性樹脂として付加反応型シリコーンゴムを用いる場合、当該シリコーンゴムの性状は特に限定されないが、重合度が3,000よりも低いと押出加工性が劣るようになる。また、得られる成形品(混練物)の機械的強度が弱く、成形加工性に劣るものとなる。そのため、重合度が3,000以上のものが好ましい。さらに、当該シリコーンゴムとして、本質的に直線状のジオルガノポリシロキサンを用いるのが好ましいが、一部に分枝構造を含むものであってもよい。
ボンド磁石1は、熱硬化性樹脂の他に、当該熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤や、配合することにより所望の強度と成形加工性を得る充填剤などを含んでいてもよい。
ボンド磁石1に含まれ得る硬化剤は、用いる熱硬化性樹脂の硬化に適した公知のものであればどのようなものでも用いることができる。硬化剤としては、例えば、ラジカル反応に使用されるジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物、付加反応硬化剤としてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒とからなるもの、縮合硬化剤として多官能のアルコキシシラン又はシロキサンと有機金属酸塩などを挙げることができる。硬化剤の添加量は、用いる熱硬化性樹脂に応じて適宜調節すればよい。
熱硬化性樹脂3として付加反応型シリコーンゴムを用いる場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒とからなる付加反応硬化剤を用いるのが好ましい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にヒドロシリル基を平均2個以上有しているのが好ましく、3個以上有しているのがより好ましい。具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンとジメチルハイドロジェンポリシロキサンとの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンとの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン及びジフェニルポリシロキサンとの共重合体などを例示することができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、シリコーンゴム成分中に存在するケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1個に対して、ヒドロシリル結合を0.5〜4個供給できる量であればよく、本実施形態においては、シリコーンゴム100質量部に対して、0.5〜6.6質量部の範囲とすることができる。
白金系触媒は、シリコーンゴムに含まれるアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンに含まれるヒドロシリル結合との付加反応を促進させるための硬化触媒である。そのような白金系触媒として、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とオレフィン、白金とケトン、白金とビニルシロキサンとの錯塩、アルミナ又はシリカ等の担体に白金を担持させたもの、白金黒などを例示することができる。本実施形態においては、白金系触媒の配合量は、シリコーンゴム100質量部に対して、0.1〜1.7質量部の範囲とすればよい。
ボンド磁石1に含まれ得る充填剤は、ボンド磁石1の補強に使用されるものであることから、比表面積が50m2/g以上であるものを用いるのが好ましい。このような充填剤としては、煙霧質シリカ、フュームドシリカ、沈降性シリカ、炭酸カルシウム、珪藻土、二酸化チタン、クレイなどを例示することができるが、これらはその表面をジメチルジクロロシラン、シラン、シロキサン、シラザンなどで予め疎水化処理したものでもよい。
かかる充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、25〜65質量部とするのが好ましい。このようにすると、所望の強度と成形加工性を得ることができる。また、熱硬化性樹脂への配合が容易であるだけでなく、配合後の熱硬化性樹脂が硬くなり過ぎず、成形加工性が良好となる。さらに、硬化後の強度を優れたものとすることができる。
他方、充填剤の配合量が熱硬化性樹脂100質量部に対して、25質量部よりも低いと、充填剤の配合量が少な過ぎるため、所望の強度、加工性を得ることができないおそれがある。また、充填剤の配合量が熱硬化性樹脂100質量部に対して、65質量部より高くなると熱硬化性樹脂への配合が困難となり、熱硬化性樹脂(より具体的には、磁性粉末と熱硬化性樹脂を混練した混練物)が硬くなって成形加工性が低下するおそれがある。さらに、硬化後の強度が劣るようになる。なお、充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、33〜53質量部とするのが好ましい。
磁性粉末2の配合量は特定の範囲に限定されるものではなく、所望する磁気特性が得られるように、任意に設定することができる。つまり、磁力の強い磁性粉末を用いた場合は、磁性粉末の配合量を少なくすることもできるし、磁力の弱い磁性粉末を用いた場合は、磁性粉末の配合量を多くすることもできる。所望する磁気特性としては、例えば、磁束密度を40ミリテスラ(mT)よりも高くすることなどが挙げられる。磁束密度の上限は特に限定されるものではないが、例えば、200mTとすることができる。このような磁気特性は、磁性粉末2の種類や配合量、ボンド磁石1の直径等を変えることによって所望する強さの磁束密度を得ることができる。
磁性粉末2の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50〜800質量部とすることで具現することができる。このような配合量とすると、高い磁気特性を得ることができる。また、重量が重くなり過ぎず、柔軟性、強度が低下し難く、成形も容易とすることができる。なお、かかる場合の磁性粉末2の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、100〜400質量部とするのが好ましい。
磁性粉末2の配合量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50質量部より低くなると磁気特性が非常に低くなる。そのため、そのようなボンド磁石を磁気治療器として使用した場合、磁気効果がほとんど期待できなくなるおそれがある。一方、磁性粉末2の配合量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して、800質量部よりも高くなると重量が重く、柔軟性、強度が低下して折れやすくなり、成形も困難になるおそれがある。
ボンド磁石1には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、磁性粉末2以外の磁性粉、熱可塑性樹脂、低分子シロキサンエステル、シラノール等のシリカ分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、着色用の顔料、難燃性を付与させる白金化合物等を必要に応じて適宜配合することができる。
以上に説明した本実施形態に係るボンド磁石1によれば、熱硬化性樹脂3を含んで形成されているので、皮膚等に直接接触させて使用するのに適している。また、磁性粉末2を所定の配向率で配向させているので、磁気特性に優れている。
そのため、本実施形態に係るボンド磁石1によれば、従来と同量の磁性粉末2を用いた場合、従来のものよりも高い磁気特性を得ることができる。また、本実施形態に係るボンド磁石1によれば、従来と同程度の磁気特性を、従来よりも少ない量の磁性粉末2で得ることができる。さらに、本実施形態に係るボンド磁石1によれば、従来と同程度の磁気特性(磁気効果)を備えたボンド磁石を、従来よりも軽量化して提供することができる。本実施形態に係るボンド磁石1であれば、同等の磁気効果を有する従来品よりも、例えば、15%軽量化することができる。これは、磁気ネックレスを想定した場合、従来品であれば26.5gとなるところ、本発明の実施品であれば22.6gにできることを意味する。
本実施形態に係るボンド磁石1は、磁気治療器として使用することができ、磁気ネックレスや磁気ブレスレットなどの装身具、磁気枕や磁気マットレスなどの寝具、貼付型磁気治療器や磁気サポーターなどの幅広い磁気治療器製品に適用することができる。
[ボンド磁石製造方法]
次に、本発明に係るボンド磁石製造方法の一実施形態について説明する。
本発明に係るボンド磁石製造方法は、前記したボンド磁石1を製造するための方法である。
図2に示すように、本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造方法は、成形工程S1と、架橋反応工程S2と、を含んでなり、少なくともこれらの工程をこの順で行うものである。
成形工程S1は、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3の混練物を所定の形状に成形すると共に、磁性粉末2を所定の方向に配向させて成形品を得る工程である。成形工程S1は、金型出口に磁場を配向させる磁場配向装置を備えた成形装置を使用して行うことができる。成形装置や磁場配向装置については後述する。
次いで行う架橋反応工程S2は、成形品中の熱硬化性樹脂3を架橋反応させる工程である。この架橋反応工程S2では、磁性粉末2(図1(b)参照)の配向率が10%以上となるように架橋反応させる。架橋反応工程S2での架橋反応は、使用する熱硬化性樹脂3の硬化温度に応じて適宜設定することができるが、シリコーンゴムを用いる場合であれば、例えば、400〜700℃とすればよい。架橋反応工程S2は、架橋反応装置を使用して行うことができる。架橋反応装置については後述する。
磁性粉末2の配向率は、成形条件及び硬化条件に影響される。つまり、成形条件及び硬化条件を変更することによって配向率を制御することができる。
磁性粉末2の配向率は、例えば、成形条件として成形品の直径が5〜10mmであって、成形装置として押出成形機を使用し、その押出成形速度が3〜15m/minであり、硬化条件として架橋反応装置の硬化温度が400〜700℃である場合、成形装置と架橋反応装置の距離、より具体的には、成形装置に備えられた磁場配向装置と架橋反応装置の距離を10〜500mmとするとよい。このようにすれば、磁性粉末2の配向率を確実に10%以上とすることができる。
なお、本実施形態に係るボンド磁石製造方法は、成形工程S1の前や、架橋反応工程S2の後に、ボンド磁石1を製造するために好ましい他の工程を行うこともできる。
成形工程S1の前に行い得る工程としては、例えば、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3を混練して混練物を得る混練工程(図示せず)を挙げることができる。混練工程は、適宜の混練装置により行うことができる。混練装置については後述する。
そして、架橋反応工程S2の後に行い得る工程としては、例えば、押出成形して架橋反応を行って得られたボンド磁石1をコイルに巻き取る巻取工程(図示せず)や、得られたボンド磁石1を適宜の長さに切断する切断工程(図示せず)などを挙げることができる。巻取工程及び切断工程は、それぞれ適宜の巻取装置及び切断装置によって行うことができる。
また、成形工程S1と架橋反応工程S2は、生産性やコストの観点から前述したようにして行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、加熱及び冷却機能と、磁場配向機能と、を備え、且つ所定の形状に対応する溝部が形成されている金型内に、前記混練物を常温で注入し、然る後に磁場を配向させつつ、金型を加熱して架橋反応を行い、硬化させてボンド磁石1を製造することもできる。なお、ボンド磁石1を硬化させた後は冷却して常温に戻し、再び混練物を注入する動作を行うことを繰り返せば、連続的にボンド磁石1を製造することができる。
[ボンド磁石製造装置]
次に、本発明に係るボンド磁石製造装置の一実施形態について説明する。
本発明に係るボンド磁石製造装置は、前記したボンド磁石1を製造するための装置である。
図3(a)に示すように、本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造装置10は、成形装置11と、架橋反応装置13と、を備えている。
成形装置11は、製造したいボンド磁石1の形態等に応じて適宜のものを使用することができる。磁気ネックレスや磁気ブレスレットを製造したい場合は、生産性及びコストの観点から押出成形機を使用するのが好適である。
そして、成形装置11は、金型出口に磁場配向装置12を備えているのが好ましい。磁場配向装置12は、磁場コイルを使用するもの、永久磁石を使用するものなどを用いることができる。装置構成が簡単であることと、ランニングコストがかからないことなどを考慮すると、永久磁石を使用するのが好ましい。永久磁石は、強力な磁力を発する希土類系の焼結磁石を用いるのが好ましい。希土類系の焼結磁石としては、Nd−Fe−B系、Sm−Co系が挙げられる。これらのうちでも、より強力な磁場を発するNd−Fe−B系が好ましく、最大エネルギー積が239kJ/m3(30MGOe)以上であるものが好ましい。図3(a)及び(b)では、円筒状の永久磁石を使用した構成例を図示している。この例では、成形装置11で所定の形状に成形された成形品が、金型出口に隔壁12aを介して備えられた配向用の永久磁石(磁場配向装置12)の内側を通過するときに、熱硬化性樹脂3中の磁性粉末2が、磁場配向装置12の発する磁場に沿って配向する。磁性粉末2が配向した状態のまま架橋反応を行って硬化させると配向率10%以上とすることができる。その結果、図1(b)に示すように、ボンド磁石1中の磁性粉末2を径方向に、N極とS極に配向させることができる。
架橋反応装置13としては、熱硬化性樹脂3の架橋反応を行わせて硬化させることのできる常圧熱気加硫装置、蒸気連続加硫装置、電子線加硫装置、プレス熱加硫装置、高周波加硫装置などを用いることができる。架橋反応装置13での硬化温度(加熱温度)は、例えば、400〜700℃とすることができるが、熱硬化性樹脂2が硬化できる温度に応じて適宜調整するのが好ましい。また、架橋反応装置13も、磁場配向装置12と同様に円筒状とし、その内側を成形品が通過するようにするとよい。このようにすると、均質に架橋反応させることができ、良質なボンド磁石1を製造することができる。
磁場配向装置12によって特定の方向に配向された磁性粉末2の配向(図4(a)参照)は、磁場配向装置12から出た瞬間に乱れ始める。これは、図4(a)及び(b)に示すように、配向した磁性粉末2は、隣り合う磁性粉末2からの減磁磁界(反磁界とも呼ばれている。)を受けるためである。したがって、図4(b)のように、反磁界によって配向が乱れて配向率が10%よりも低くなる前に、熱硬化性樹脂3の架橋反応を行い、硬化させる必要がある。
熱硬化性樹脂3の硬化は、成形品が金型や磁場配向装置12(以下、「金型等」という。)内で行うのが好ましいが、連続成形を行う成形装置11の金型出口に近接して架橋反応装置13を備えるのは好ましくない。後記するように架橋反応装置13は加熱及び加硫することでモノマーを三次元構造のポリマーへと変化させることにより硬化させるので、一旦、硬化反応が開始されると制御は非常に難しくなる。そのため、金型等内で硬化させると、硬化した熱硬化性樹脂3と金型等との摩擦抵抗が大きくなり、成形加工性が低下したり、熱硬化性樹脂3が金型等内に詰まって成形不能になったりすることがある。
磁性粉末2の配向率を10%以上としつつ、良好な成形加工性を維持するには、成形装置11と架橋反応装置13を、より具体的には、磁場配向装置12と架橋反応装置13を所定距離L(図3(a)参照)、具体的には10〜500mm離間させて設ける。距離Lをこのようにすると、完全に配向を固定するまでには至らなくとも、ある程度配向を固定することが可能になり、配向率を10%以上とすることが可能となる。
距離Lが10mmよりも短いと、架橋反応装置13からの熱が成形装置11に伝播してしまい、金型で加熱するのと同じことになってしまう。すなわち、金型の中で熱硬化性樹脂3が硬化を開始してしまい、下流にある磁場配向装置12での配向を十分に行うことができず、図4(b)に示される状態となるため配向率が低下する。また、成形加工性が低下し、成形不能となることもある。他方、距離Lが500mmよりも長いと、一旦配向した磁性粉末2が図4(b)に示されるように、完全に乱れてしまい、無配向と同じ状態に戻ってしまい、配向率が低下する。
このように、本実施形態においては、距離Lを10〜500mmとするのが好ましいが、配向率を10%以上とすることができればこれに限定されるものではない。ボンド磁石製造方法に関する説明で述べたように、磁性粉末2の配向率は成形条件及び硬化条件を変更することによって制御可能である。そのため、成形条件や硬化条件を変更することによって、配向率10%以上を維持できる範囲で距離Lを10mmよりも短くすることもできるし、500mmよりも長くすることもできる。例えば、成形装置として押出成形機を使用した場合において、その押出成形速度が十分に速ければ、距離Lを500mmよりも長くすることができる。また、押出成形速度が遅い場合でも、磁場配向装置12と架橋反応装置13の間に熱の伝播を十分に妨げることのできる断熱材を介在させれば、距離Lを10mmよりも短くすることもできる。また、磁性粉末2の形状が配向が戻り難い複雑な形状をしている場合や、熱硬化性樹脂3の粘度が高い場合は、距離Lを500mmよりも長くすることができる。
成形装置11に投入される混練物は、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3を混練したものである。かかる混練物は、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を用いて得ることができる。また、混練機による混練は一般的な手法によって行うことができる。例えば、熱硬化性樹脂3に充填剤やシリカ分散剤等を予め均一に混練してから120〜200℃で30分〜6時間程度加熱処理したのち、150〜200メッシュのスクリーンでろ過してベースコンパウンドを作製し、次いで、これに硬化剤や磁性粉末2を混練するようにするとよい。なお、磁性粉末2として、異方性Sm−Fe−N系磁性粉末を用いた場合、当該異方性Sm−Fe−N系磁性粉末は可燃性固体であるため混練中の着火を防止するため、窒素などの不活性ガス雰囲気にて混練するのが好ましい。
以上に説明した本実施形態に係るボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置によれば、前述した本実施形態に係るボンド磁石を製造することができる。つまり、磁性粉末と熱硬化性樹脂の混練物を成形装置に供するだけで、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなり、磁性粉末の配向率が10%以上であるボンド磁石を製造することができる。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
(実施例1)
シリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部に対して、疎水性フュームドシリカ(商品名「アエロジルR974」、日本アエロジル株式会社製)33質量部、シリカ分散剤として両末端シラノール基を有するジメチルポリシロキサンを3質量部配合し、ニーダーミキサーを用いて均一に混合し、150℃で2時間熱処理してシリコーンゴム組成物を得た。
次いで、このシリコーンゴム組成物100質量部に平均粒径3μmの異方性磁性粉末(異方性Sm2Fe173磁性粉末(日亜化学株式会社製))300質量部を配合し、これらを窒素雰囲気下で、ニーダーミキサーを用いて混練した。このようにして得られた混練物を80メッシュのスクリーンを備えたストレーナー装置を使用して、油圧シリンダーで押し出し、該スクリーンを通過させて磁性粉凝集物を除去した。
次いで、この磁性粉凝集物を除去した混練物に白金系触媒(商品名「C−25A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−25B」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、ミキシングロールを用いて混練し付加反応型シリコーンゴム組成物を使用した磁性コンパウンドを得た。
その後、配向用磁石を備えた金型を備えてなる押出成形機に、得られた磁性コンパウンドを投入した。磁性コンパウンドは金型で、押出成形速度10m/minにて直径5mmの紐状に成形すると共に、最大エネルギー積が48MGOeである配向用磁石によって異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させた。金型出口から40mmのところに架橋反応装置の加熱筒を配置した。そして、紐状に成形され、異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させた成形品を連続的に580℃のオーブン中で加熱して、常圧熱気加硫(HAV)硬化させることにより、紐状のボンド磁石を製造した。
次いで、着磁装置にて30kOeの磁場を付与して着磁を行った。着磁を行ったボンド磁石について、異方性Sm2Fe173磁性粉末の配向率(後記する表1では単に「配向率」と表示)[%]、磁束密度[mT]、密度[g/cm3]を測定した。
なお、配向率は、得られた紐状のボンド磁石を3mmの長さで切断し、振動試料型磁力計(VSM)で残留磁化(σr)を測定することにより求めた。配向率は、全く配向していない場合を0%、完全に配向している場合を100%に規格化した。
磁束密度は、ガウスメータにより測定した。磁束密度が40mTを超えるものを合格、40mT以下のものを不合格と評価した。
密度は、得られた紐状のボンド磁石を500mmの長さに切断し、アルキメデス法により測定した。
後記する表1に、実施例1に係るボンド磁石の構成要素、つまり、異方性磁性粉末の種類とその含有量[質量部]、熱硬化性樹脂の種類とその含有量[質量部]、配向の有無、配向用磁石と加熱筒の間の距離(表1では「HAV距離」と表示)[mm]とともに、配向率、密度及び磁束密度の測定結果を示した。
(実施例2)
磁性コンパウンドのシリコーンゴム組成物と異方性Sm2Fe173磁性粉末の配合を100質量部:200質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例3)
金型出口とHAV用の加熱筒との距離(HAV距離)を10mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例4)
HAV距離を20mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例5)
HAV距離を150mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例6)
HAV距離を300mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(実施例7)
HAV距離を500mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例1)
金型に配向用磁石を備えず、異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させないこと以外は、実施例1と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例2)
金型に配向用磁石を備えず、異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させないこと、及び、磁性コンパウンドのシリコーンゴム組成物と異方性Sm2Fe173磁性粉末の配合を100質量部:200質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例3)
HAV距離を0mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造した。しかし、金型への加熱筒の熱の伝播が大きく、シリコーン組成物が金型の中(二層クロスヘッドの中)に詰まってしまい、押出成形は中断された(成形不能)。
(比較例4)
HAV距離を2mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例5)
HAV距離を5mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例6)
HAV距離を700mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
(比較例7)
HAV距離を1000mmに変更したこと以外は、実施例2と同様の方法、条件によって紐状のボンド磁石を製造し、実施例1と同様の測定を行った。
実施例1と同様、後記する表1に、実施例2〜7及び比較例1〜7に係るボンド磁石の構成要素と共に、配向率、密度及び磁束密度の測定結果を示した。なお、表1中、「−」は測定できなかったことを示す。
Figure 0006028551
表1に示すように、実施例1〜7のように異方性Sm2Fe173磁性粉末の配向率を10%以上とすることにより、磁気治療器として優れた磁気効果を発揮できる40mTを超える磁束密度が得られることが確認された。
比較例1は従来相当品である。比較例1について、磁束密度は合格していたが、異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させていないので、実施例2よりも密度が高い結果となった。比較例2〜7は、異方性Sm2Fe173磁性粉末を配向させていないか、HAV距離が適切でなかったため、磁束密度が不合格となった。より詳しい考察を以下に述べる。
(配向の効果)
表1に示すように、比較例1では65mTであった磁束密度が、実施例1のように配向することで98mTに向上した。
また、配向した実施例2では、異方性Sm2Fe173磁性粉末の量を減らしても、比較例1と同等の65mTを実現することができることが確認された。表1に示すように、実施例2の密度は2.3g/cm3であり、比較例1の2.7g/cm3と比較すると、15%の軽量化を実現したことになる。
(金型出口からHAVまでの距離(HAV距離))
表1、図5及び図6に結果をまとめる。
比較例3は、HAV距離0mmであったので、加熱筒から金型への加熱が激しく、シリコーンゴム組成物が激しく硬化して、金型に詰まってしまい、押出成形を途中で中断する結果となった(そのため、図5及び図6には比較例3に相当するマーカーをプロットしていない。)。
また、比較例4、5は、配向率も磁束密度も低い結果となった。これは加熱筒と金型の距離が近すぎるため、金型が加熱筒により加熱され、シリコーンゴム組成物が配向前に硬化してしまい、ほとんど配向できていないことを示している。
実施例3、4にも若干その傾向が見られるが、磁束密度の向上が確認できた。HAV距離40mm以降では、距離が大きくなるにつれ、配向率は低下する傾向にあった。これは金型から成形品が出た瞬間から配向の乱れが始まっており、金型出口と加熱筒との距離が遠く、硬化までに時間がかかるほど、配向の乱れが大きいことを示している。
実施例1〜7から、HAV距離が10〜500mmの範囲であれば、配向率は10%以上であり磁束密度も比較例2よりも大きく、配向の効果を確認することができた。
比較例6はHAV距離700mmであり、加熱筒が金型出口から遠すぎるため、配向はほとんど乱れてしまい配向率は5%となった。このときの磁束密度は40mTであり、これは比較例2と同程度に過ぎなかったため、本発明所望の効果を奏しているとは言えないと結論付けた。
また、比較例7はHAV距離が1000mmであり、加熱筒が金型出口から遠すぎるため配向が完全に乱れてしまい、配向率は0%となった。
なお、表には載せていないが、フェライト系の異方性磁性粉末を用いた場合や、Nd2Fe14B等方性磁性粉末も同様の効果が確認された。
以上、本発明に係るボンド磁石、ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置について、発明を実施する形態及び実施例によって具体的に説明してきたが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、本実施形態に係るボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置においては、架橋反応工程S1や架橋反応装置13によって架橋反応(加硫)を行っているが、必要に応じて適当な条件で二次架橋反応(二次加硫)を行うことができる。
また、異方性Sm−Fe−N系磁性粉末の着磁については、押出成形後の成形品に対して適当な着磁装置を用いて、成形品の形状に応じた方向に30kOe程度の磁場を付与して行ってもよい。
さらに、必要に応じてボンド磁石1を外層で覆ってもよいし、押出成形の際に共押出を行うことで、外層で被覆しながら押出成形を行ってもよい。
こうした変形例等も前記したように本発明の技術的範囲に包含される。
1 ボンド磁石
2 磁性粉末
3 熱硬化性樹脂
10 ボンド磁石製造装置
11 成形装置
12 磁場配向装置
13 架橋反応装置

Claims (10)

  1. 磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなり、前記磁性粉末の配向率が10%以上であるボンド磁石を製造するボンド磁石製造方法であって、
    前記磁性粉末と前記熱硬化性樹脂の混練物を所定の形状に成形すると共に、前記磁性粉末を所定の方向に配向させて成形品を得る成形工程と、
    前記成形工程で使用する成形装置の金型出口に備えられた磁場配向装置から10〜500mm離間させて設けられた架橋反応装置で前記成形品中の前記熱硬化性樹脂を架橋反応させる架橋反応工程と、を含むことを特徴とするボンド磁石製造方法。
  2. 前記磁性粉末が、Sm−Fe−N系磁性粉末であることを特徴とする請求項に記載のボンド磁石製造方法。
  3. 前記熱硬化性樹脂が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項又は請求項に記載のボンド磁石製造方法。
  4. 前記磁性粉末の平均粒径が1〜10μmである請求項から請求項のいずれか一項に記載のボンド磁石製造方法。
  5. 前記磁性粉末の配合量が、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、50〜800重量部である請求項から請求項のいずれか一項に記載のボンド磁石製造方法。
  6. 磁性粉末と熱硬化性樹脂を含んでなり、前記磁性粉末の配向率が10%以上であるボンド磁石を製造するボンド磁石製造装置であって、
    前記磁性粉末と前記熱硬化性樹脂の混練物を所定の形状に成形すると共に、前記磁性粉末を所定の方向に配向させて成形品を得る成形装置と、
    前記成形品中の前記熱硬化性樹脂を架橋反応させる架橋反応装置と、を備え、
    前記成形装置の金型出口に備えられた磁場配向装置と前記架橋反応装置を10〜500mm離間させて設けたことを特徴とするボンド磁石製造装置。
  7. 前記磁性粉末が、Sm−Fe−N系磁性粉末であることを特徴とする請求項に記載のボンド磁石製造装置。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、シリコーンゴムであることを特徴とする請求項又は請求項に記載のボンド磁石製造装置。
  9. 前記磁性粉末の平均粒径が1〜10μmである請求項から請求項のいずれか一項に記載のボンド磁石製造装置。
  10. 前記磁性粉末の配合量が、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、50〜800重量部である請求項から請求項のいずれか一項に記載のボンド磁石製造装置。
JP2012263308A 2012-11-30 2012-11-30 ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置 Active JP6028551B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012263308A JP6028551B2 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012263308A JP6028551B2 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014110297A JP2014110297A (ja) 2014-06-12
JP6028551B2 true JP6028551B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=51030773

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012263308A Active JP6028551B2 (ja) 2012-11-30 2012-11-30 ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6028551B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6657557B2 (ja) * 2014-09-30 2020-03-04 日亜化学工業株式会社 ボンド磁石
JP2016152337A (ja) * 2015-02-18 2016-08-22 学校法人同志社 磁気粘弾性体およびその製造方法
US20160379755A1 (en) * 2015-06-24 2016-12-29 Jtekt Corporation Manufacturing method for magnet and magnet

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS629930A (ja) * 1985-07-05 1987-01-17 Kuraray Plast Kk ゴム管の連続的製造方法および装置
JPH0794313A (ja) * 1993-06-30 1995-04-07 Nichirei Magnet Kk 発泡性磁石及びその製造方法
JP2003086411A (ja) * 2001-09-13 2003-03-20 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 樹脂結合型磁石用組成物及びそれを用いた樹脂結合型磁石の製造方法
JP2007142090A (ja) * 2005-11-17 2007-06-07 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 平板状ベルトプレス成形樹脂結合型磁石及びその製造方法
JP2007329294A (ja) * 2006-06-08 2007-12-20 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 樹脂結合型磁石の製造方法および樹脂結合型磁石
JP4944626B2 (ja) * 2006-12-18 2012-06-06 ピップ株式会社 磁気治療器具および磁気治療器具製造方法
JP4845046B2 (ja) * 2007-07-17 2011-12-28 信越ポリマー株式会社 磁性成形品及びその製造方法
JP5379395B2 (ja) * 2008-04-01 2013-12-25 大成プラス株式会社 装飾品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014110297A (ja) 2014-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11590717B2 (en) Extrudable magnetic ink and novel 3D printing method to fabricate bonded magnets of complex shape
JP6028551B2 (ja) ボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置
JP2006131905A (ja) マイクロ波活性シリコーンエラストマー
CN101783219B (zh) 柔性粘结稀土永磁体及其制造方法
JP7183534B2 (ja) シリコーンゴム系硬化性組成物および成形体
JP5458310B2 (ja) 形状記憶複合材料から成る製品、その製造方法および記憶形状の再現方法
JP2897098B2 (ja) シリコーンゴム組成物
CN109266003A (zh) 振膜的制备方法以及发声装置
JP4528613B2 (ja) シリコーン樹脂とエポキシ樹脂の接着複合体およびその製造方法
CN106531391A (zh) 软磁性粉末组合物及磁性元件的制作方法
CN110294939A (zh) 高导热吸波有机硅组合物及其制备方法
KR20160133522A (ko) 고분자 분산형 액정 탄성체
JP4845046B2 (ja) 磁性成形品及びその製造方法
CN108485217B (zh) 强而韧自修复双重响应形状记忆聚乳酸基复合材料及其制备方法
JP4883308B2 (ja) シリコーンゴム発泡体の製造方法
CN104140683B (zh) 一种透明加成型苯基硅橡胶
WO2005096325A1 (ja) 機能性材料の組成物及びその製造方法及び製造装置
ES2909478T3 (es) Molde para fabricar losas y método de fabricación del mismo
EP2207840B1 (en) Method of bonding silicone rubber parts
JPWO2008120721A1 (ja) 重合性組成物及び成形体
JP6700158B2 (ja) ボンド磁石およびその製造方法
JP5005203B2 (ja) シリコーン発泡体の製造方法
CN110804292A (zh) 一种纤维增强聚己内酯复合材料及其制备方法和应用
JP2892281B2 (ja) ラバー碍子ならびにその製造方法およびその製造装置
DE102007025053B4 (de) Verfahren zum Herstellen eines permanent magnetischen Formteiles und permanent magnetisches Formteil

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160512

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20160516

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160920

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6028551

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250