JPWO2008120721A1 - 重合性組成物及び成形体 - Google Patents

重合性組成物及び成形体 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2008120721A1
JPWO2008120721A1 JP2009507519A JP2009507519A JPWO2008120721A1 JP WO2008120721 A1 JPWO2008120721 A1 JP WO2008120721A1 JP 2009507519 A JP2009507519 A JP 2009507519A JP 2009507519 A JP2009507519 A JP 2009507519A JP WO2008120721 A1 JPWO2008120721 A1 JP WO2008120721A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerizable composition
polymerization
magnetic
monomer
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009507519A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5560709B2 (ja
Inventor
明彦 吉原
明彦 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Zeon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Zeon Corp filed Critical Zeon Corp
Priority to JP2009507519A priority Critical patent/JP5560709B2/ja
Publication of JPWO2008120721A1 publication Critical patent/JPWO2008120721A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5560709B2 publication Critical patent/JP5560709B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/44Polymerisation in the presence of compounding ingredients, e.g. plasticisers, dyestuffs, fillers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/02Polymerisation in bulk
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F20/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and only one being terminated by only one carboxyl radical or a salt, anhydride, ester, amide, imide or nitrile thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F32/00Homopolymers and copolymers of cyclic compounds having no unsaturated aliphatic radicals in a side chain, and having one or more carbon-to-carbon double bonds in a carbocyclic ring system
    • C08F32/08Homopolymers and copolymers of cyclic compounds having no unsaturated aliphatic radicals in a side chain, and having one or more carbon-to-carbon double bonds in a carbocyclic ring system having two condensed rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

本発明は、磁性体粉末が本来有する優れた磁気特性を発現させ、同種の磁性体粉末であっても、磁気特性の向上された成形体を与えうる重合性組成物を提供することを目的としている。本発明に係る重合性組成物は、焼鈍処理された磁性体および塊状重合性モノマーを含んでなることを特徴としている。特に本発明では、前記磁性体が、300〜1,000℃にて、非酸化性ガス雰囲気下で焼鈍処理されてなる形状異方性を有する軟磁性金属であることが好ましい。

Description

本発明は焼鈍処理された磁性体を含有し、磁気特性の向上された成形体と、これを得るために好適な重合性組成物、及び該成形体の製造方法に関する。
近年の電子、通信分野の目覚しい発展に伴い、高周波において高透磁率をもつ材料が電気・電子機器に用いられている。特にインダクタ素子、トランス素子、高周波フィルタ、磁気ヘッド、ノイズ対策部品、モータ、電磁波吸収体などの分野で、成形加工性の向上の点から、樹脂と磁性体との複合材料が求められている。
例えば、特許文献1では、Feを母合金とする軟磁性金属の偏平粉末と樹脂バインダーとからなる軟磁性を有する樹脂成形体が開示されている。樹脂バインダーとしてはポリアミド等が使用され、軟磁性金属の偏平粉末と樹脂バインダーとを混練した後に射出圧縮成形により成形体を得ている。しかし、この方法では、軟磁性金属の粉末を均一に分散させることが困難であり、また混練中に軟磁性金属粉に不必要に剪断応力が加えられてしまう。このような応力が軟磁性金属粉末に残留すると、軟磁性金属粉末の磁気特性が劣化することがある。
特許文献2には、焼鈍処理により応力歪みが除去された軟磁性体の偏平粉末と、結合剤と、前記結合剤を溶解する溶媒からなる混和物を製膜し、溶媒を除去してシート化する複合磁性体の製造法が開示されている。そしてこの方法によれば、磁性体の残留歪みが緩和されるため、磁気特性に優れた成形体が得られると記載されている。しかしながら、この方法では、溶媒を多量に用いているため、乾燥工程が必要で、工程が煩雑であった。また、得られる成形体の厚みや形状にも制限があった。
特許文献2では、残留応力の少ない磁性成形体が得られる旨が記載されている。しかしながらこの方法では、結合剤として可曉性を有する重合体を用いるため、得られる成形体の強度や耐熱性が不足する場合があった。また、成形後にプレスなどにより磁性体粉末の充填密度を高めることも記載されているが、この際に再び磁性体粉末に応力がかかり、得られる成形体の磁気特性がさらに不足する場合があった。
特許文献3および特許文献4には、シクロオレフィンモノマーであるノルボルネン類、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤および架橋剤を含む重合性組成物ならびにこれを用いた成形体を得る方法が開示されている。これらの文献には、樹脂成形体に強磁性を付与するために磁性体などを重合性組成物に配合しうる旨が記載されている。しかしながら、これら特許文献においては、磁性体の前処理を施すことについては何ら具体的教示はない。
特許文献5には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、ワックス、軟磁性金属の偏平粉末および無機充填材を含有するエポキシ樹脂組成物ならびに該組成物を熱硬化してなる電磁波吸収体が開示されている。
特開2003−209010号公報 特開2000−243615号公報 特開2004−244609号公報 WO2005/014690号公報 特開2002−234988号公報
上記のような、樹脂等との複合材料に使用される磁性体は、高温焼成や合金化、粉砕工程などを経て製造されている。このような工程を経て製造された磁性体粉末には、内部応力が残留していることが多く、かかる磁性体粉末を樹脂と複合化しても、期待されるほどの磁気特性は達成されない。また、樹脂との複合化の工程において、混練などにより磁性体に不必要な応力が加えられることが多く、このような応力もまた磁気特性の劣化の要因となっていた。
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、磁性体粉末が本来有する優れた磁気特性を発現させ、同種の磁性体粉末であっても、磁気特性の向上された成形体を与えうる重合性組成物を提供することを目的としている。
本発明者らは、磁性体および重合性モノマーを含有する重合性組成物において、磁性体に残留する応力を低減することで、磁気特性が向上しうる可能性に着目し、鋭意検討した結果、磁性体として焼鈍処理された磁性体を用い、かつ樹脂材料として、塊状重合可能なモノマー(以下、「塊状重合性モノマー」と呼ぶことがある)を使用することで、磁性体粉末が本来有する優れた磁気特性を発現させ、磁気特性の向上した磁性成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題の解決する本発明は、以下の事項を要旨とする。
(1)焼鈍処理された磁性体および塊状重合性モノマーを含んでなる重合性組成物。
(2)前記焼鈍処理の温度が、300〜1,000℃である(1)に記載の重合性組成物。
(3)前記焼鈍処理が、非酸化性ガス雰囲気下で行われるものである(1)または(2)に記載の重合性組成物。
(4)前記磁性体が、軟磁性金属である(1)〜(3)のいずれかに記載の重合性組成物。
(5)前記磁性体が形状異方性を有する(1)〜(4)のいずれかに記載の重合性組成物。
(6)全組成物中に前記磁性体を0.1〜80体積%含む(1)〜(5)のいずれかに記載の重合性組成物。
(7)さらに重合触媒を含む(1)〜(6)のいずれかに記載の重合性組成物。
(8)塊状重合性モノマーがアクリルモノマーである(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物。
(9)塊状重合性モノマーがシクロオレフィンモノマーである(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物。
(10)さらに分散剤を含む(1)〜(9)のいずれかに記載の重合性組成物。
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる成形体。
(12)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
(13)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の重合性組成物を金型に注入し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
(14)上記(11)に記載の成形体を含む積層体。
本発明によれば、磁性体として焼鈍処理された磁性体を用い、かつ樹脂の材料として塊状重合性モノマーを使用するため、磁性体中の残留歪みが解消され、また磁性体とモノマーとの混合時に、磁性体に余分な応力が加えられにくい。この結果、得られる重合性組成物中の磁性体における残留歪みは著しく低減されるため、磁性体粉末が本来有する優れた磁気特性が十分に維持される。したがって、本発明の重合性組成物から得られる成形体は、焼鈍処理されていない同種の磁性体粉末と重合体とを混練して得られた組成物から形成される成形体に比べて、磁気特性が格段に向上する。また、本発明の重合性組成物においては、磁性体とモノマーとを混合するため粘度が低く、磁性体をより高充填することが可能であり、得られる成形体にボイドの発生がなく、優れた磁気特性が得られる。さらに、該重合性組成物には溶剤を用いる必要がないため、溶剤の乾燥工程が不要で、射出成形等による高速成形が可能になる。したがって、本発明の重合性組成物によれば、高い生産性で磁性体を含む成形体が得られる。
本発明の重合性組成物は、焼鈍処理された磁性体および塊状重合性モノマーを含有する。
焼鈍処理される前の磁性体(以下、「未処理磁性体」と呼ぶことがある)は、各種の磁性体粉末が特に制約されることなく使用される。しかしながら、得られる成形体において高透磁率が達成され得るため、軟磁性体が好ましく、形状異方性を有する軟磁性体がより好ましく使用される。
未処理磁性体の焼鈍処理条件は、該未処理磁性体中の残留歪みが解消されうる程度であれば十分であり、未処理磁性体の製造履歴や磁気特性に依存し適宜に決定される。
焼鈍処理は、通常300〜1,000℃、好ましくは400〜900℃、より好ましくは500〜800℃の範囲の温度にて、通常は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜2時間の範囲の時間行われる。焼鈍温度が低すぎる場合には、焼鈍処理による透磁率の向上の効果が充分に得られなくなる場合がある。また、焼鈍温度が高すぎる場合には、磁性体が凝集し、組成物中における磁性体の分散性が低下する場合がある。この際の昇温速度、降温速度は、特に限定されない。焼鈍処理は、非酸化性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。非酸化性ガスとは、未処理磁性体の表面を酸化し得る酸素原子を含まないガスであり、具体的には、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、アンモニア分解ガスなどが挙げられる。この際のガス流量、ガスの混合比率などは磁性体の種類や量に応じて適宜選択すればよい。
この中でも作業性の点から窒素、アルゴン、水素が好ましく、より好ましくは窒素が好ましい。
焼鈍処理に使用される装置は、上記温度まで昇温でき、かつ所定の雰囲気を達成できる構造であれば、特に限定されない。また回分式、流動層式なども限定されない。例えば、流気式焼戻炉、吸熱型ガス変成炉、ガス軟窒化炉、ガス浸炭焼入炉、窒素ガス無酸化炉などが好ましく用いられる。
これらの炉内から磁性体を取り出す際には、酸素または空気と、上記の非酸化性ガスとを混合したガスを流入して取り出すことが好ましい。この方法によれば、特に磁性体として後述の軟磁性金属を用いる場合、表面が適度に酸化されるので、磁性体の安定性や分散性などを向上させることができる。この混合ガスの酸素濃度は特に限定されないが、通常80%以下、好ましくは50%、より好ましくは30%、特に好ましくは20%である。この混合ガスと接触させる時の炉内の温度、接触時間は特に限定されない。
なお、磁性体の焼鈍を回分式で行う場合、例えば磁性体が飛散しないよう、ステンレスやアルミナなどの容器に入れ、隙間のある蓋をして行うことが好ましい。
焼鈍処理に供される未処理磁性体は、成形体の用途に応じて適宜選択すればよいが、高透磁率を目的とする場合には、軟磁性体が好ましく用いられ、形状異方性を有する軟磁性体がより好ましく用いられる。ここで軟磁性とは、外部から印加された磁場に対して内部の磁化が磁場方向にそろいやすい、すなわち磁化しやすい性質である。これに対し、硬磁性とは外部磁場が加わっても内部の磁化が起こりにくい性質であり、かつ外部に磁場が作れる性質である。本発明では、軟磁性体が好ましく使用される。
ここで、「形状異方性」とは、前記軟磁性体の粒子の形状を走査性電子顕微鏡(SEM)などにより三次元的に観察した際に、軟磁性体粒子の直径(幅)が最も長くなるような軸を長軸とし、その長軸の長さである長軸長(X)と、直径(幅)が最も短くなる部分の軸を短軸とし、その短軸の長さである短軸長(Y)とのアスペクト比(X/Y)の平均値が、好ましくは2以上10,000以下、より好ましくは2以上1,000以下、さらに好ましくは5以上500以下、特に好ましくは10以上100以下である形状をいう。
この範囲より大きいと、配合するときに重合性組成物の粘度が大きくなりすぎる恐れがあり、この範囲より小さいと充分な透磁率を有する成形体や積層体が得られない恐れがある。
上記において、長軸長(X)は好ましくは0.01〜1,000μm、より好ましくは0.01〜500μm、特に好ましくは特に0.1〜100μmの範囲にあり、また短軸長(Y)は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.1〜5μmの範囲にある。
長軸長(X)がこの範囲より大きいと配合するときに、重合性組成物の粘度が大きくなりすぎる恐れがあり、この範囲より小さいと得られた成形体や積層体が充分な透磁率を得られない恐れがある。短軸長(Y)がこの範囲より大きいと得られた成形体や積層体が充分な透磁率を得られない恐れがあり、この範囲より小さいと配合時に重合性組成物の粘度が大きくなりすぎるなどの恐れがある。
長軸長(X)および短軸長(Y)は、電子顕微鏡(SEM)などで軟磁性体粒子を観察した写真像にて、100個の任意の粒子についての平均値を求めることにより決定される。
ここで、「三次元的に観察する」とは、SEMの試料台を回転させるなどして粒子全体の三次元的な形状を把握し、個々の軟磁性体粒子の長軸長(X)および短軸長(Y)の最大値を求めることを表す。
軟磁性体のより具体的な形状としては、針状、棒状、偏平状、樹木状などの形状があげられ、より好ましくは針状、棒状、偏平状であり、特に好ましくは偏平状である。偏平状とは、走査性電子顕微鏡(SEM)等により、その形状が板状になっていることが確認できるものである。
本発明で使用される軟磁性体の形状異方性は、用途において適宜使い分けられればよく特に限定されない。
軟磁性体の例としては、Fe、Ni、Coのうち少なくとも一つ含むものであり、具体的には軟磁性フェライト、軟磁性金属などが挙げられる。
軟磁性フェライトは、酸化第2鉄(Fe)と二価の金属酸化物(MO)との化合物(MO・Fe)である。ここで、Mは二価の金属を表す。具体的には、二価の金属酸化物の種類により、Mn−Zn系、Mg−Zn系、Ni−Zn系、Cu系、Cu−Zn系、Cu−Zn−Mg系、Cu−Ni−Zn系、Li−Fe系などのスピネル型フェライト、RFe12(Rが3価のYまたは希土類元素)で示されるYFe系などのガ−ネット型フェライト、MeをFe、Ni、Co、Cuとした時のMeO、BaO、Feの組成を組み合わせた六方晶構造をもつBaFe系などのフェロクスプレーナ型フェライトに分類される。ここで、Mn−Zn系等の表現は、MnおよびZnを上記二価の金属として含有することを意味する。
この中でも、Ni、Mn、Zn、Y、またはBaを含むフェライトが好ましく、中でもMn−Zn系、Ni−Zn系などのスピネル型フェライトやBaFe系などのフェロクスプレーナ型フェライトが特に好ましい。これらを用いることで透磁率をより大きく高めることができる。
Ni−Zn系フェライトとは、一般式(NiO)(ZnO)・Fe(a及びbは0≦a+b≦1を満たす任意の数値である。)で表される組成を持つものをいうが、Niの一部をCu、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Ni−Zn系フェライトは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mg−Zn系フェライトとは、一般式(MgO)(ZnO)・Fe(c及びdは0≦c+d≦1を満たす任意の数値である。)で表される組成を持つものをいうが、Mgの一部をNi、Cu、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mg−Zn系フェライトは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mn−Zn系フェライトとは、一般式(MnO)(ZnO)・Fe(e及びfは0≦e+f≦1を満たす任意の数値である。)で表される組成を持つものをいうが、Mnの一部をNi、Cu、Co、Mg等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mn−Zn系フェライトは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Cu系フェライトとは、一般式(CuO)・Fe(gは0≦g≦1を満たす任意の数値である。)で表される組成を持つものをいうが、Cuの一部をNi、Zn、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Cu系フェライトは、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
軟磁性フェライトは、公知の方法で得ることができる。これら酸化物系の磁性体であるフェライトの原料の代表的なものは、Fe、MnO、MnCO、CuO、NiO、MgO、ZnO、YO、BaOなどの金属酸化物または金属炭酸塩などである。軟磁性フェライトの製造方法としては、乾式法、共沈法、及び噴霧熱分解法が挙げられる。
乾式法では、上記元素の酸化物や炭酸塩などの各原料を所定の配合比となるように計算して機械的に混合し、焼成後、粉砕する。乾式法では、原料混合物を仮焼成し、微粒子に粉砕した後、顆粒状に造粒し、さらに本焼成した後、再度粉砕して軟磁性フェライト粉末を得てもよい。共沈法では、金属塩の水溶液に強アルカリを加えて水酸化物を沈殿させ、これを酸化して微粒子のフェライト粉末を得る。フェライト粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。噴霧熱分解法では、金属塩の水溶液を熱分解して微粒子状の酸化物を得る。酸化物粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。焼成されたフェライトは、ハンマーミル、ロッドミル、ボールミル等によって粉砕され、フェライト粉末とされる。
この中でも、乾式法、共沈法、及び噴霧熱分解法などの方法が、直接形状異方性を有する粒子を均一に得られるため好ましい。
軟磁性金属には、単金属磁性体と複合金属磁性体がある。単金属磁性体は、Fe、Ni、Coからなるものであり、具体的には、鉄粉、ニッケル粉、コバルト粉などがある。複合金属磁性体は、2種以上の金属の複合体であり、Fe、Ni、Coのうち少なくとも一つ含み、またこれらのほかに、Si、Al、Co、Cr、B、Nb、Mo、P、Zr、Ti、Hf、Ti、Cuなどを含んでもよい合金、アモルファス合金またはナノ結晶質の金属である。
具体的にはFeSi材料(ケイ素鋼)、FeNi材料(パーマロイ)、FeNiMo材料(スーパーマロイ)、FeCo材料、FeCr材料、FeAl材料、FeAlSi材料(センダスト)、FeSiNi材料などの金属結晶質材料;FeやCoなどを少なくとも一つ含む金属非晶質材料;FeやCoなどを少なくとも一つ含む金属ナノ結晶質材料などが挙げられる。
ここでFeを含む非晶質材料としては、Fe−Si−B系、Fe−B系、Fe−P−C系などのFe−半金族系非晶質金属材料やFe−Zr系、Fe−Hf系、Fe−Ti系などのFe−還移金属系非晶質金属材料が例示できる。Coを含む非晶質金属材料としてはCo−Si−B系、Co−B系などの非晶質金属材料が例示できる。そして、非晶質金属材料を熱処理によりナノサイズに結晶化させたナノ結晶質材料としては、Fe−Si−B−Cu−Nb系、Fe−B−Cu−Nb系、Fe−Zr−B−(Cu)系、Fe−Zr−Nb−B−(Cu)系、Fe−Zr−P−(Cu)系、Fe−Zr−Nb−P−(Cu)系、Fe−Ta−C系、Fe−Al−Si−Nb−B系、Fe−Al−Si−Ni−Nb−B系、Fe−Al−Nb−B系、Co−Ta−C系などが挙げられる。ここで、Fe−Si−B−Cu−Nb系等の表現は、Fe、Si、B、CuおよびNbを主たる構成元素として含有することを意味する。また、「(Cu)」は、Cuを微量成分として含有することを意味する。これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも好ましくは、少なくともFe原子を含むものであり、具体的にはFeNi材料(パーマロイ)、FeNiMo材料(スーパーマロイ)、FeAl材料、FeAlSi材料(センダスト);Feを含む金属非晶質材料;Feを含む金属ナノ結晶質材料である。これらを用いることで透磁率をより増加させることができる。
これらの軟磁性金属の製造方法は、公知の方法が採用でき、特に限定されない。例えばCVD、ゾルゲル、電気還元方法、レーザーアビュレーション方法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、還元剤を使った化学還元法、メカニカルアロイングによるコンポジット法などが挙げられる。
軟磁性金属は、真球状であってもよいが、好ましくは形状異方性を有する。また所定形状およびサイズの軟磁性金属複合体及び軟磁性金属粉を作製する方法としては、必要な組成のインゴットを振動ミル等で粗粉砕した粉末を作製し、次に圧延、せん断作用を持つボールミル等の粉砕メディアを用いた粉砕機やアトライタで粉砕する方法も例示することができる。さらに上記のインゴット粉砕法による粗粉砕方法の代わりに、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、回転ディスク法やビビリ振動法で粉砕して等を用いることも可能である。これにより好ましくは針状、偏平状の軟磁性金属が得られる。
これら磁性体は一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
またこれら磁性体の表面は、シリカ、アルミナなど無機物で被覆されるか、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、およびアルミネートカップリング剤などのカップリング剤;シラザン;ポリシロキサン;などの公知の表面処理剤で表面処理をされていることが好ましい。
シランカップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1.6ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリメトキシスチリルシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、チタネートカップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的には、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリルジイソプロピルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
また、シラザン類としてヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、テトラメチルジフェニルジシラザンなどが挙げられる。
これらの中でも、ラジカル反応性基やメタセシス反応性基をもつものが好ましく、炭化水素基である置換基を少なくとも一つ有するものがより好ましく、環構造を持つ置換基を有するものがさらに好ましく、二重結合を持つものが最も好ましい。これらを用いることで後述する塊状重合性モノマーとの相溶性が向上する。
したがって、特に好ましい表面処理剤としては、ビニルメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのシランカップリング剤;ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザンなどシラザン;が挙げられる。
これらの表面処理剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。表面処理剤の使用量は、磁気特性や耐熱性を損ねない限り特に限定されないが通常、磁性体100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この範囲より少ないと塊状重合性モノマーとの相溶性などで充分な効果は得られない恐れがあり、この範囲より多くても経済性などで優れない場合がある。
磁性体の配合量は重合性組成物の全体積に対して、通常0.1〜80体積%、好ましくは1.0〜70体積%、より好ましくは5.0〜60体積%、特に好ましくは10〜50体積%である。また、磁性体の配合量は重合性組成物の全重量に対して、通常0.1〜99.9重量%、好ましくは10〜95重量%、より好ましくは50〜93重量%、特に好ましくは65〜90重量%である。
なお、ここで、重合性組成物の全体積および全重量とは、磁性体および後述する塊状重合性モノマー、ならびに所望により添加される任意成分を含む場合には、これらの全成分からなる組成物の体積および重量を意味する。磁性体の配合量が上記範囲より少ないと、充分な磁気特性を得られない恐れがあり、この範囲より多い場合は、成形性が悪くなる恐れがある。軟磁性体の磁気特性の指標としては、透磁率が挙げられる。本発明においては、最終的に得られる成形体の100MHzでの透磁率が好ましくは10以上、より好ましくは14以上、さらに好ましくは17以上である。また、1GHzでの透磁率が好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。透磁率が低すぎる場合には、充分な磁気特性を得られない恐れがある。また1GHz以上の高周波において透磁率が高い時、無線LAN、ETC、車載レーダーなど高周波を使用する用途に好適に使用することができ、好ましい。透磁率が高いことで、厚みが薄くても充分な磁気特性を有する成形体とできる。なお、本明細書においては、特に断らない限り、透磁率は、複素透磁率の実部をさす。
本発明の重合性組成物は、上記磁性体と、塊状重合性モノマーとを含んでなる。ここで、塊状重合とは、実質的に希釈溶剤なしに塊状重合性モノマーを重合させる重合方法である。本発明において使用される塊状重合性モノマーは、塊状重合により固化する程度まで重合転化率を高くできるモノマーであれば特に限定はされないが、好ましくは分子内に1以上の不飽和結合を有するモノマーである。塊状重合における重合転化率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。磁性体と塊状重合性モノマーを含む重合性組成物を用い、これを塊状重合することで、得られる成形体は磁性体が均一に分散し、高度に充填されたものとなる。
好ましく使用される塊状重合性モノマーにおける不飽和結合とは、モノマーに付加重合性あるいは開環重合性を付与する炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−炭素三重結合(C≡C)、イソシアネート基(N=C=O)を指す。この中でも、反応制御の点から炭素−炭素二重結合(C=C)および炭素−炭素三重結合(C≡C)が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C)がより好ましい。
塊状重合は、熱重合、紫外線やガンマ線などを用いた光重合、重合触媒を用いた重合などがあるが、操作の容易性、反応の均一性の観点から、好ましくは熱重合と重合触媒を用いた重合であり、より好ましくは重合触媒を用いた重合である。
重合形式は、特に限定はされないが、以下のものがある。
(i) 不飽和結合のみが反応し脱離成分がない付加重合
(ii) 環状モノマーの開環を伴う重合で脱離成分がない開環重合
(iii) 脱離成分を伴う重縮合
(iv) 脱離成分のない重付加
上記の中でも、好ましくは、(i)、(ii)、(iv)、より好ましくは(i)、(ii)である。これらによれば、反応後に低分子量の副生成物を生成及び残存させず、得られた成形体の信頼性や耐熱性が優れる。
重合反応機構としてはラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、遷移金属触媒を利用した配位重合、メタセシス開環重合などがあり特に限定されない。反応の進行の容易さから、好ましくはラジカル重合、遷移金属触媒を利用した配位重合、およびメタセシス開環重合であり、より好ましくは、ラジカル重合、メタセシス開環重合である。
このような塊状重合性モノマーの具体例としては、
オレフィン、ハロゲン化オレフィン、共役または非共役ジエン、置換基を有していてもよいアセチレン、芳香族ビニルモノマー、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリル酸類等の、炭素−炭素不飽和結合の反応により付加重合可能なモノマー;
環状エーテル、ラクトン、ラクタム、環状アミン、環状スルフィド、環状カーボナート、環状酸無水物、環状イミノエーテル、アミノ酸−N−カルボン酸無水物、環状イミド、環状含リン化合物、環状含シリコン化合物、シクロオレフィンモノマー等の、開環重合可能な環状モノマー;
エポキシ、フェノール、メラミン、尿素、ジアミン、ジカルボン酸類、オキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ジオール、ジイソシアナート、含硫黄化合物、含リン化合物、芳香族エーテル、ジハロゲン化合物、アルデヒド、ジケトン化合物、炭酸誘導体等の、重縮合または重付加可能な多官能性モノマー;
アニリン誘導体、ケイ素化合物、マクロマー等があげられる。
これら塊状重合性モノマーの中でも、入手の容易性、反応の均一性および得られる成形体の物性等の観点から、付加重合するものと開環重合するモノマーが好ましい。具体的にはエポキシモノマー、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、シクロオレフィンモノマー、ウレタンモノマー、およびエポキシモノマー、シランモノマーが好ましく、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、およびシクロオレフィンモノマーがより好ましく、アクリルモノマー、およびシクロオレフィンモノマーが特に好ましい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ビニルモノマー類の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなど単官能の芳香族ビニルモノマー、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレンなど多官能の芳香族ビニルモノマーなどが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明においてアクリルモノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸エステルを表す。アクリル酸またはメタクリル酸エステルは、アルキルエステルであることが好ましく、そのエステル基のアルキル基の炭素数は、4〜18が好ましく、4〜12がより好ましく、4〜8が特に好ましい。アクリル酸またはメタクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸またはメタクリル酸メチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸エチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−オクチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸イソオクチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−デシルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−ドデシルエステル等などのアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル;(アクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のアクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルエステル等の、アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノアルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸グリシジルエステルなどのエポキシ基含有アクリル酸またはメタクリル酸エステル; エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル類などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
シクロオレフィンモノマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合を有する化合物である。シクロオレフィンモノマーを重合することでシクロオレフィン樹脂が得られる。
シクロオレフィンモノマーを構成する脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせた環などの構造が挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーである。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上のシクロオレフィン類;などが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーのうち、極性基を有しないシクロオレフィンモノマーが、低誘電正接の成形体を得ることができるので好ましい。またテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンなどの芳香環を持つ縮合環を有するものを用いると重合性組成物の粘度を下げることができるので好ましい。
ウレタンモノマー類は、カルボニルを介してアミノ基とアルコール基が脱水縮合した化合物である。カルバミン酸のエステルに相当し、カルバマート(carbamate)とも呼ばれる。
具体的な例示としては、トリイソシアネート、ジイソシアネートなどがある。ジイソシアネートにはジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;脂環族ジイソシアネートとして、例えばメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどを使用することができる。これらのジイソシアネートは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
シランモノマー類としては、各種シラン化合物等が用いられる。具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリエトキシシラン、ビス(アリルフェニルジメチルシロキシ)テトラメチルジシロキサン、ビス(フェニルエチニル)ジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、t−ブチルジメチルシロキシスチレン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、ドデセニルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、オクタビニル−T8−シルセスキオキサン、テトラビニルシラン、テトラアリルシラン、テトラビニルジメトキシジシロキサン、トリメチルシリルプロピレン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ビニルベンジルオキシトリメトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルトリメトキシシランなどがあげられる。
これらシランモノマーは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
エポキシモノマーとしては、少なくとも1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシモノマーが好ましい。
特にオルソクレゾールノボラック型、ナフタレン骨格含有型またはビフェニル骨格含有型などを用いると耐熱性が優れ好ましい。これらエポキシモノマーは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。なお、エポキシ当量は100乃至400g/eqが好ましい。このようなエポキシモノマーの具体例としては、ソルビトールポリグリシジルエーテル(SORPGE)、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル(PGPGE)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(PETPGE)、ジグリセロールポリグリシジルエーテル(DGPGE)、グリセロールポリグリシジルエーテル(GREPGE)、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TMPPGE)、レゾルシノールジグリシジルエーテル(RESDGE)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(NPGDGE)、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル(HDDGE)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDGE)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(PGDGE)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPGDGE)、ポリブタジエンジグリシジルエーテル(PBDGE)、フタル酸ジグリシジルエーテル(DGEP)、ハロゲン化ネオペンチルグリセロールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールF型ジグリシジルエーテル(DGEBF)等が使用され、特に好ましくは、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(TMPPGE)、ソルビトールポリグリシジルエーテル(SORPGE)等が挙げられる。
本発明の重合性組成物は、上記磁性体および塊状重合性モノマーを含むが、これらに加えて、重合触媒、連鎖移動剤、架橋剤、分散剤等を含んでいてもよい。また、重合性組成物の粘度調整のために重合体を含んでいても良い。
重合触媒は、使用する塊状重合性モノマーの種類に応じて適宜に選択される。このような重合触媒としては、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等の重合開始剤、白金触媒、メタロセン触媒、フェノキシイミン触媒、メタセシス重合触媒などの遷移金属触媒および有機酸、無機酸、無機アルカリ、アミン類などがあげられる。
たとえば、塊状重合性モノマーがエポキシモノマーである場合には、重合触媒としては、尿素誘導体、アミン類、ホスフィン類、カルボン酸など有機酸が好ましく使用される。
塊状重合性モノマーがウレタンモノマーである場合には、重合触媒としては、アミン類、多価アルコール類が好ましく用いられる。
塊状重合性モノマーが芳香族ビニルモノマーである場合には、重合触媒としてはラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、メタロセン触媒、フェノキシイミン触媒などが挙げられ、ラジカル重合開始剤、メタロセン触媒、フェノキシイミン触媒などが好ましく、より好ましくはラジカル重合開始剤が用いられる。
塊状重合性モノマーがアクリルモノマーである場合には、重合触媒としてはラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤が好ましく、より好ましくラジカル重合開始剤が用いられる。
塊状重合性モノマーがシクロオレフィンモノマーである場合には、重合触媒としてはメタセシス重合触媒が好ましく用いられる。
塊状重合性モノマーがシランモノマーである場合には、白金触媒、ラジカル重合開始剤、有機酸が好ましく用いられる。
これらは反応系に応じて適宜に選択され、その使用量も触媒種および反応系に応じて適宜に設定される。好ましくは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、尿素誘導体、有機酸、白金触媒、メタセシス重合触媒が用いられ、より好ましくは、有機酸、ラジカル重合開始剤、メタセシス重合触媒、特に好ましくはラジカル重合開始剤、メタセシス重合触媒が用いられる。
光重合開始剤の例としては、アシロインエーテル(例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインエチルエーテルおよびアニソインイソプロピルエーテル)、置換アシロインエーテル(例えば、α−ヒドロキシメチルベンゾインエチルエーテル)、マイケルケトン(4,4’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、サルトマー社製のKB−1またはチバ−ガイギー社製のイルガキュア651)などが含まれる。
ラジカル開始剤としては、公知のものが使用できる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;ラウロイルペルオキシド、ベンソイルペルオキシド、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート、クメンハイドロペルオキシドなどの有機過酸化物;などがあり、これらは単独もしくは混合して、またはさらに酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などのような還元剤と併用したレドックス系として使用できる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイック酸)などのアゾ化合物;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアミジン化合物などを使用することもできる。
また、カチオン重合開始剤としては、アルキルアルミニウムなどがあげられ、アニオン重合開始剤としては、ブチルリチウムなどがあげられる。
メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであれば特に限定されない。かかるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、長周期型周期律表第5周期以降の金属であって、5族、6族及び8族の原子が挙げられる。それぞれの族における原子は特に限定されず、例えば、5族の原子としてはタンタルが、6族の原子としてはモリブデンやタングステンが、8族の原子としてはルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期律表第8族のルテニウムやオスミウムの錯体が好ましく、次の理由からルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性に優れるため重合性組成物の開環重合転化率を高くでき、本発明の成形体の生産性に優れる。また、得られる成形体に臭気(未反応のシクロオレフィンモノマーに由来する)が少ない。更に、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定で失活しにくい特徴を有する。
ルテニウムカルベン錯体は、例えば、Organic Letters,第1巻,953頁,1999年、Tetrahedron Letters,第40巻,2247頁,1999年などに記載された方法によって製造することができる。
ルテニウムカルベン錯体の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの配位子としてヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの配位子として2つのヘテロ原子含有カルベン化物が結合したルテニウムカルベン錯体化合物;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらルテニウムカルベン錯体の中でも特に、特開2005−104922号公報で例示される4位および5位がハロゲン原子で置換された置換イミダゾリン−2−イリデンを配位子として有するルテニウムカルベン錯体化合物が好ましい。
これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合触媒の量は、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は活性剤と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御したり、重合転化率を向上させる目的で添加される。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
具体的には、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤を使用する場合の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもシクロオレフィンモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
本発明の重合性組成物には、連鎖移動剤が配合されていてもよい。特にシクロオレフィンモノマーを用いる場合、連鎖移動剤を配合することにより、重合の際の発熱による反応が進行することを防止でき、生成するシクロオレフィン樹脂の分子量を調整することができる。
連鎖移動剤は、塊状重合性モノマーの種類に応じ適宜に選択されるが、シクロオレフィンモノマーを用いるメタセシス重合の場合は通常、ビニル基を少なくとも一つ有する化合物を用いることができる。
連鎖移動剤としては、ビニル基以外に、後述する架橋に寄与する基を有するものが好ましい。かかる架橋に寄与する基とは、具体的には、炭素−炭素二重結合を有する基であり、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等が挙げられる。これらの基は、分子鎖の末端にあることが好ましい。特に、式(C):CH=CH−Q−Yで表される構造を有する化合物が好ましい。式中、Qは二価の炭化水素基を表し、Yはビニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Qで表される二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、およびこれらが結合してなる基等が挙げられる。中でも、フェニレン基および炭素数4〜12のアルキレン基が好ましい。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋体や架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
かかる連鎖移動剤の好ましい具体例としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ヘキセニル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸デセニルなどのYがメタクリロイル基である化合物;アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イルなどのYがアクリロイル基である化合物;ジビニルベンゼンなどのYがビニル基である化合物;などが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルおよびジビニルベンゼンが特に好ましい。
上記の他に連鎖移動剤として用いることのできる化合物としては、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレートなどのアクリル酸エステル;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシランなどのシラン類;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
これら連鎖移動剤は一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。連鎖移動剤を使用する場合その使用量は、塊状重合性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。連鎖移動剤の使用量が、この範囲であるときに、開環重合時の架橋反応が十分に抑制されるので、流動性に優れた成形体が得られる。
本発明の重合性組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、塊状重合性モノマーの種類に応じて適宜に選択される。重合性組成物が架橋剤を含む場合、得られる成形体は架橋可能な成形体、つまり架橋性成形体となる。架橋性成形体の架橋は加熱により進行する。特にシクロオレフィンモノマーを用いるメタセシス重合の場合、連鎖移動剤を含有する重合性組成物を重合した後の架橋性成形体は、開環重合が進行したときの最高温度(ピーク温度)より高い温度に加熱することで、架橋反応が進行し、優れた物性の架橋体による成形体を与えることができる。このため、架橋性成形体を金属箔などの他の基体材料と重ねた後、加熱すると、架橋体による成形体と他の基体材料との界面の密着度が著しく向上する。
また、シクロオレフィンモノマーを用いた場合には、得られるシクロオレフィン樹脂の官能基と架橋反応して架橋構造を形成しうる架橋剤を用いることが好ましい。ここで官能基は、樹脂の主鎖または側鎖の二重結合などの不飽和結合;、官能基をもつシクロオレフィンモノマーを重合した場合に持つ樹脂の側鎖にある官能基;連鎖移動剤由来の樹脂の末端にある官能基などがあるが特に限定されない。
シクロオレフィン樹脂の官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、活性ハロゲン原子、エポキシ基などが挙げられる。
架橋剤は、メタセシス反応で重合されたシクロオレフィン樹脂を、架橋させるために用いるものである。架橋剤と、上述の重合触媒とは、一部含まれる範囲が重複するが、使用条件特に温度領域が異なり、また異なるプロセスにおいて用いられるものであるため、本明細書内ではこれらを区別している。
このような架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で、あるは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、およびイソシアネート基含有化合物が好ましく、ラジカル発生剤、およびエポキシ化合物がより好ましく、ラジカル発生剤が特に好ましい。
ラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それによりシクロオレフィン樹脂を架橋する作用を有する。
ラジカル発生剤が架橋反応を起こす部位は、主にシクロオレフィン樹脂の炭素−炭素二重結合であるが、飽和結合部分でも架橋することがある。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;n−ブチル4,4−ジ−(t−ブチルペルオキシ)バリレート、1,1−ジーt−ブチルペルオキシシクロヘキサンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキシド;などが挙げられる。中でも、特に塊状重合におけるメタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4’−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4’−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、4,4’−ジアジドジフェニルメタン、2,2’−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
エポキシ架橋剤は、カルボキシル基などの極性基を架橋点として架橋反応を進行させる。エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールAビス(エチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(ジエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(トリエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルなどのビスフェノールA系グリシジルエーテル型エポキシ化合物のようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;などの分子内に二以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子内に二以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの分子内に二以上のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
無水物基含有化合物としては,例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロペリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタンなどの脂肪族ジアミン類;トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホンなどの芳香族アミン類;などの分子内に二以上のアミノ基を有する化合物が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、四塩化珪素、塩酸、硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。
これらは一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。架橋剤を用いる場合その量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤が少なすぎると、架橋が不十分になって高い架橋密度の架橋樹脂成形体が得られないおそれがある。逆に、架橋剤が多すぎると生産性に劣り、また架橋効果は飽和して不十分な効果しか得られない場合もある。
さらに、本発明の重合性組成物は、軟磁性体の分散性を向上させるため、分散剤を含有していてもよい。分散剤は、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤、ベタイン系分散剤、非イオン性分散剤、チタネート系分散剤、アルミネート系分散剤、ジルコネート系分散剤などが挙げられる。これらは単独でも2種類以上を併用して用いても良い。
これらの中でも特に非イオン性分散剤が好ましく使用される。非イオン性分散剤は、分子内に疎水基と親水基をそれぞれ一つ以上含む化合物である。疎水基はフッ素およびケイ素を含んでもよい炭化水素基、ならびに長鎖のポリプロピレンオキシド基である。親水基は、水酸基、エステル基、リン酸エステル基、エーテル基、エーテルエステル基、アミド基、アミノ基、アミンオキサイド基、イミド基、スルホキシド基などの極性基などを有し水中でもイオンにならないものである。これらの中でも、エステル結合またはエーテル結合を有するものが好ましい。
またこれらの構造は、通常、親水基と疎水基のランダムおよびブロック型の直鎖構造、主鎖構造に側鎖をもつ分岐構造、ブランチポリマーやデンドリマーなど星型構造、環状構造などであるが、好ましくはブロック型直鎖構造、分岐構造である。非イオン性分散剤が上記の構造をとる時、複合金属磁性体表面に嵩高い構造で吸着し、分散効果が向上する。また、これら非イオン性分散剤の性状は、粉末、ペースト、オイル状などであり特に限定されない。
非イオン性分散剤は更に、1)ポリエチレングリコール鎖またはポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤、および2)多価アルコール型非イオン性分散剤に分けられる。
1)ポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤としては、アルキルおよびアリール付加ポリエチレングリコール、高級アルコール付加ポリエチレングリコール、アルキルフェノール付加ポリエチレングリコール、脂肪酸付加ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル付加ポリエチレングリコール、高級アルキルアミン付加ポリエチレングリコール、脂肪酸アミド付加ポリエチレングリコール、油脂付加ポリエチレングリコール、フッ素炭化水素付加ポリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールとシリコーンとの共重合体が挙げられる。ポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤としては、上記のポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤において、ポリエチレングリコール鎖の一部または全部がポリプロピレングリコール鎖に置換された構造を有するものが挙げられる。また、ポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤として、長鎖のポリオキシプロピレン鎖を親油基とするポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体や、アルキルチオポリオキシエチレンエーテルも挙げられる。
1)ポリエチレングリコール鎖またはポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアリルエーテルなどのアルキルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのアルキルアリールポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンモノグリセリンエステル、ポリオキシエチレンジグリセリンエステル、ポリオキシエチレントリグリセリンエステル、ポリオキシエチレンテトラグリセリンエステル、ポリオキシエチレンペンタグリセリンエステル、ポリオキシエチレンヘキサグリセリンエステルなどのグリセリンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミレートなどのソルビタンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンロジンエステルなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル類が挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルカロールアミン類の脂肪アミド、縮合脂肪酸エステル、フッ素炭化水素付加物、シリコーンとの共重合体などが挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ステアリン酸モノグリセライド、オレインサン酸モノグリセライド、パルミチン酸グリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、オレインサン酸ジグリセライド、パルミチン酸ジグリセライドなどのグリセリンエステル類;
ソルビタンモノラウリレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタンエステル類;
モノ・ジステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、モノ・ジオレイン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノオレイン酸ヘキサグリセリン、モノミリスチン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、モノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン、ヘキサステアリン酸ヘキサグリセリン、オクタステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、モノオレイン酸デカグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸トリグリセリン、モノミリスチン酸トリグリセリン、モノオレイン酸トリグリセリン、モノステアリン酸トリグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、トリミリスチン酸ペンタグリセリン、モノオレイン酸ペンタグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、トリステアリン酸ペンタグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;
縮合リシノレイン酸テトラグリセリン、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン、縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル類;
リシノレイン酸を2〜6分子縮合させたリシノレイン酸の自己縮合エステル、12−ヒドロキシステアリン酸を2〜6分子縮合させた12−ヒドロキシステアリン酸の自己縮合エステルおよびこれらとステアリン酸などを縮合させた縮合脂肪酸エステル類が挙げられる。
上記の中でも特にソルビタンエステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、縮合脂肪酸エステル類が好ましい。
これらの非イオン性分散剤を用いることで、重合性組成物中に、より大量の磁性体を配合でき、かつ重合後の成形体中に未反応で残存しているモノマーも少なく、成形性が良い重合性組成物が得ることができる。
また非イオン性分散剤としては、塊状重合性モノマーに溶解するものが好ましい。予め非イオン性分散剤をモノマーに溶解することで作業効率が向上する。たとえば、シクロオレフィンモノマーに対する溶解性はグリフィン法のHLB値が指標となる。HLB値は、水と油への親和性の程度を表す値であり、グリフィン法では次式より導かれる。
HLB値(グリフィン法)=20×(親水部の式量の総和/分子量)
すなわち、グリフィン法にて算出されたHLB値が10以下、好ましくは7以下の非イオン性分散剤が好ましく選択される。このような非イオン性分散剤を用いることで分散性とシクロオレフィンモノマーへの溶解性が向上する。
これら非イオン性分散剤の分子量は特に制限されないが、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)が通常100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは100〜10,000、より好ましくは200〜5,000である。この範囲であるとシクロオレフィンモノマーに溶解しやすく作業性に優れる。
またこれらの非イオン性分散剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してよい。
非イオン性分散剤を使用する場合、その使用量は、塊状重合性モノマー100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。この範囲よりも少ないと磁性体の分散性が悪く成形しにくくなる恐れがあり、この範囲より多くても成形体の物性を損ねてしまう恐れがある。
さらに、メタセシス重合触媒を使用する場合には、メタセシス重合遅延剤が配合されていてもよい。メタセシス重合遅延剤は、メタセシス重合触媒の重合活性を制御し、重合性組成物のゲル化時間(ポットライフ)を伸ばし、加工性を向上させる目的で配合される。このようなメタセシス重合遅延剤としては、例えば、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンなどの鎖状ジエン化合物;(トランス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−1,3,5−ヘキサトリエンなどの鎖状トリエン化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィンなどのホスフィン類;アニリン、ピリジンなどのルイス塩基;等が挙げられる。中でも、本発明の重合性組成物の可使時間を効率よく制御でき、重合反応の阻害が少ないので、ホスフィン類が好ましい。
さらに、ジエン構造またはトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーは、シクロオレフィンモノマーであると同時に重合反応遅延剤としても働く。このようなシクロオレフィンモノマーとしては、1,5−シクロオクタジエンやビニルノルボルネンなどが挙げられる。
これらメタセシス重合遅延剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合遅延剤を使用する場合その量は、使用する化合物や目的に応じて任意に設定されるが、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:重合遅延剤)のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合は、ラジカル架橋遅延剤を用いることができる。ラジカル架橋遅延剤は、メタセシス重合による重合熱および外部から加えられる熱によって架橋剤であるラジカル発生剤が分解して、メタセシス重合初期にラジカルが発生するのを抑制させる目的で使用され、架橋性成形体の流動性及び保存安定性を向上させる。
ラジカル架橋遅延剤としては、例えば、ヒドロキシアニソール類、ジアルコキシフェノール類、カテコール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類が挙げられ、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどのヒドロキシアニソール類が好ましい。
これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。ラジカル架橋遅延剤の含有量は、(ラジカル発生剤:ラジカル架橋遅延剤)とのモル比で、通常1:0.001〜1:1、好ましくは1:0.01〜1:1の範囲である。
重合性組成物には、さらに初期の粘度調整のために、該重合性組成物に含まれるモノマーまたはその誘導体から形成される重合体が添加されてもよい。たとえば、塊状重合性モノマーとしてアクリルモノマーが使用される場合には、粘度調整用重合体としては、アクリルモノマーを重合して得られる重合体が好ましい。
重合性組成物には、さらに架橋助剤、溶剤、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、予め後述する塊状重合性モノマー液又は触媒液に溶解又は分散させて用いることができる。
架橋助剤は、樹脂成形体を架橋する際の架橋反応速度を向上させる目的で使用される。
架橋助剤は、塊状重合性モノマーの重合方法としてラジカル重合を選択した場合、またはメタセシス重合後の成形体のラジカル架橋において好適に使用できる。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋助剤の量は特に制限されないが塊状重合性モノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
溶剤は、重合触媒やその他の成分を必要に応じて溶解するために少量使用される。通常塊状重合性モノマー100重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。溶剤は触媒に不活性でなければならない。かかる溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。
メタセシス重合に際しては、メタセシス重合触媒の溶解性に優れ工業的に汎用されている芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。また、メタセシス重合触媒の活性を低下させないものであれば、液状の酸化防止剤、液状の可塑剤、液状の改質剤を溶剤として用いてもよい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ガラス粉末、セラミック粉末、シリカ、金属粉などが挙げられる。これら充填材は、単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。尚、本発明において充填材には、磁性体の概念を含まないものとする。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
本発明の重合性組成物は、磁性体および塊状重合性モノマーを含み、必要に応じ、前記した触媒等の添加剤を含有する。
重合性組成物は、その調製する方法によって特に制約されない。すなわち、各成分を単純に混合して重合性組成物を得ても良い。重合性組成物は、好ましくは、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別に塊状重合性モノマーに連鎖移動剤、架橋剤などの添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる重合を行う直前に行うことが好ましい。また、磁性体および分散剤は、モノマー液に添加して用いることが好ましい。
本発明では、メタセシス重合の触媒液を添加するときのモノマー液の温度を通常−10℃〜25℃、好ましくは−5℃〜20℃、より好ましくは−5〜15℃、特に好ましくは−5℃〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合触媒を入れた瞬間に重合が急激に進行して、重合性組成物の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。
さらにメタセシス重合の触媒液を添加してからの重合を開始するまでの重合性組成物の温度を好ましくは、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜20℃、特に好ましくは−5〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合が急激に進行して、重合性組成物の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。この温度よりも低いとモノマー液が凍結したり、経済性が悪くなる場合がある。また、触媒液の添加は、窒素など不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
触媒液添加前のモノマー液および触媒液添加後の重合性組成物の冷却方法は特に限定されず通常用いられる方法で行われる。例えば、冷水、氷浴、氷塩浴、メタノール−ドライアイス浴などで冷却することができる。
モノマー液の調製に際して、塊状重合性モノマーに磁性体およびその他の任意成分を入れる順序は特に限定されない。また、磁性体を添加する前に分散剤を添加することで磁性体の分散性が向上することがあるため、分散剤の添加後に磁性体を添加することが特に好ましい。また重合触媒は、最後に添加する方が重合性組成物の安定性などが優れ好ましい。
モノマー液の調製に用いる混合装置などは特に限定されず、モノマー液の粘度などによって適時選択すればよい。例えばミックスマラー、ボールミル、ニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールミル、バンバリミキサー、リボンミキサー、ホモジナイザー、二軸押し出し機、らいかい機などホイール型、ボール型、ブレード型、ロール型の装置などが挙げられる。
本発明の成形体は、上記重合性組成物を塊状重合して得られる。塊状重合の条件は、使用する触媒および塊状重合性モノマーの性質に応じて適宜に選択される。
本発明の重合性組成物を塊状重合して成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)重合性組成物を繊維状強化材の支持体に含浸させ、次いで塊状開環重合する方法、(c)重合性組成物を金
型の空間部に注入し、次いで塊状重合する方法などがあげられる。
本発明の重合性組成物は粘度が低いので、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。(c)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、緻密な成形体が得られる。
(a)の方法によれば、フィルム状、板状等の樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を必要に応じて乾燥させ、次いで塊状重合する。重合は熱重合でも光重合でもよいが、操作の容易性、反応の均一性の観点から、好ましくは熱重合が採用される。熱重合の際の加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された重合性組成物を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
(b)の方法によって得られる樹脂成形体としては、例えば、重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグなどが挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維、などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に本発明の重合性組成物を含浸させるには、例えば、該重合性組成物の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該重合性組成物を含浸させた後に、所定温度に加熱して、含浸物を重合させることによりシクロオレフィン樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。重合法は、熱重合であっても光重合であってもよいが、好ましくは熱重合である。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、重合性組成物を含浸させてから後記(c)の方法のようにして加熱する方法などが用いられる。
(c)の方法によって得られる樹脂成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状などが挙げられる。したがって、この方法によれば、各種の構造体を簡便に製造できる。
成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;などを用いることができる。
金型の空間部(キャビティー)に本発明の重合性組成物を注入する圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された重合性組成物を加熱することによって重合させることができる。なお、この方法では、金型を用いているため、熱重合を行う。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチームなどの加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を熱重合させるための加熱温度は、通常30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常1秒〜120分、好ましくは5秒〜30分、より好ましくは10秒〜20分である。特に、反応が速く進行し好ましい重合であるシクロオレフィンモノマーを用いた塊状重合では、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜20分である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより重合反応が開始する。特にシクロオレフィンモノマーを用いた塊状重合では重合反応が開始すると、重合性組成物の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)でピーク温度に到達する。さらに重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。ピーク温度を、この重合反応により得られる成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。また、連鎖移動剤を配合した重合性組成物から得られる成形体の場合、重合体の重合転化率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、重合転化率は、例えば、成形体を溶剤に溶解して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより未反応のモノマーの定量分析をすることで求めることができる。重合がほぼ完全に進行している成形体は、未反応のモノマーが少なく、臭気の発生が少ない。
特に反応が速く進行し好ましい重合であるシクロオレフィンモノマーを用いた塊状重合において、重合性組成物が架橋剤を含有する場合には、重合反応時のピ−ク温度が高くなりすぎると、重合反応のみならず、一挙に架橋反応も進行してしまうおそれがある。したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、重合における重合性組成物のピーク温度を、好ましくは200℃未満に制御する必要がある。ただし、生産性等の観点から、重合反応と架橋反応とを同時に進行させてもよい。
例えばシクロオレフィンモノマーを用いた塊状重合ではラジカル発生剤を含有する重合性組成物を用いる場合、重合時のピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
また、本発明の成形体は架橋体であってもよい。例えばシクロオレフィンモノマーを用いた塊状重合では架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性成形体を加熱して架橋させることにより架橋体の成形体を得ることができる。架橋性成形体を加熱して架橋させるときの温度は、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。この温度は、前記重合時のピーク温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。また、加熱して架橋させる時間は特に制約されないが、通常、1分〜10時間である。
架橋性成形体を加熱して架橋させる方法は特に制約されない。架橋性成形体がフィルム状である場合は、必要に応じてそれを複数枚積層し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
なお、上述したように、生産性等の観点から、重合反応と架橋反応とを同時に進行させて、重合性組成物から直接架橋体を得ても良い。重合性組成物を加熱し、重合、架橋する方法は特に制約されない。たとえば、重合性組成物を型枠内に注入し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
本発明の積層体は、上記成形体からなる構成層を有し、より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の成形体で形成されている。このような積層体のさらに具体的な例としては、銅箔などの基体材料と、本発明の成形体から形成される構成層を含む積層体があげられる。また、本発明の積層体は、多層積層基板のように、銅箔などの基体材料と、磁性体を含有する樹脂層とが交互に積層されてなる複合材料であってもよい。ここで、磁性体を含有する樹脂層が複数含まれている場合には、それぞれの樹脂層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
上記基体材料としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板製造用基板;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)性フィルムや導電性ポリマーフィルム等の樹脂フィルム;ノイズ抑制シート、電波吸収体などが挙げられる。また、基体材料の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよい。
積層体を得る方法に格別な制限はなく、本発明の成形体を構成層に含む積層体を得る場合には、たとえば本発明の重合性組成物を用いて得られた成形体を適当の基体材料に重ね合わせて積層体を得てもよく、また成形体同士を重ね合わせて積層体を得てもよい。さらに重合性組成物を適当な基体材料あるいは成形体上に塗工し、該重合性組成物を重合して積層体を得ることもできる。
また、架橋体による成形体からなる構成層を含む積層体を得る場合には、例えば(1)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性成形体を、基体材料に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)重合性組成物を基体材料上に積層し、塊状重合及び架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性成形体を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(4)架橋体の表面を樹脂などの接着剤を少なくとも一つの表面に塗布し、基体材料と接着させる、(5)架橋体を、両面テープのような接着能をもつ基体材料を用いてさらに別の基体材料と接着させるという方法が挙げられる。
前記(1)の方法により積層体を得るには、例えば、架橋性成形体と、基体材料としての金属箔とを重ね合わせて熱プレスなどによって加熱することにより架橋させて、金属箔と強固に密着した金属箔張積層板を得ることができる。得られる金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、0.5kN/m以上、好ましくは0.8kN/m以上、より好ましくは1.2kN/m以上である。
前記(2)の方法により積層体を得るためには、重合性組成物の塊状重合温度を高く設定して架橋反応も起きる温度で加熱する。しかし、前記(1)の方法のように、一旦架橋性成形体の段階を経る方が界面の引き剥がし強さが大きくなる。
本発明の積層体は、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
本発明の積層体を製造するための加熱方法に制限はないが、架橋性成形体と金属箔やプリント配線板製造用基板などの基体材料とを重ね合わせて熱プレスする方法が生産性の高さから好ましい。熱プレスの条件は、前記架橋体を製造する場合と同様である。
本発明の重合性組成物は、磁性体が均一に分散されてなり、さらに、該重合性組成物には溶剤を用いる必要がないため、反応射出成形等により複雑な三次元形状の成形体を高速で成形することが可能であり、かつ溶剤の乾燥工程が不要になる。したがって、本発明の重合性組成物によれば、高い生産性で磁性体を含む成形体を得ることができる。また得られる成形体、積層体においてはボイドの発生がなく、高透磁率が達成される。
このような特徴を有する本発明に係る成形体は、磁気応用製品、例えばインダクタンス、チョークコイル、高周波トランス、低周波トランス、リアクトル、パルストランス、昇圧トランス、ノイズフィルタ、変圧用トランス、磁気インピーダンス素子、磁歪振動子、磁気センサ、磁気ヘッド、電磁気シールド、シールドコネクタ、シールドパッケージ、電波吸収体、電磁波シールド、ノイズ抑制シート、モータ、発電機用コア、アンテナ用コア、磁気ディスク、磁気応用搬送システム、磁気ソレノイド、アクチュエーター用コア、プリント基板などに好適に用いられる。
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。下記において、部および%は特に断わりのない限り重量基準である。磁性体のアスペクト比、成形体における複素透磁率、および成形性の評価は次のように行った。
<磁性体のアスペクト比>
走査性電子顕微鏡(SEM)で磁性体粒子を観察した写真像にて100個の任意の粒子についての長軸長(X)および短軸長(Y)を測定し、その平均値によりアスペクト比(X/Y)を求めた。
<透磁率>
透磁率は、複素透磁率の実部を指し、ネットワークアナライザー(アジレント社製)を用いて、1ターンコイル法により、100MHzで測定した。評価基準は以下のとおりである。
100MHz
A:17以上
B:14以上17未満
C:14未満
<焼鈍処理後の透磁率の増加率>
また、焼鈍処理をしていない磁性体を使用した同一組成の成形体についても透磁率を測定し、焼鈍処理による透磁率の増加率を下記の基準で評価した。
A:40%以上
B:25%以上40%未満
C:5%以上25%未満
D:5%未満
<成形性>
得られた成形体の側面を研磨することで、断面を平滑にし、SEMにてボイドの大きさを観測し、下記の基準で評価した。
A:ボイドがない。または、ボイドの最大径が3μm以下である。
B:3μmより大きく10μm以下のボイドがある。
C:10μmより大きいボイドがある。
(実施例1)
<磁性体の焼鈍処理>
軟磁性体であるFe−Al−Si合金(センダスト合金 Si6%、Al9%、偏平状粉末、長軸長X=24.9μm、短軸長Y=1.5μm、アスペクト比X/Y=16.6、同和鉄粉社製)を窒素雰囲気中、300℃にて1時間焼鈍処理した。
<触媒液の調製>
ガラス製フラスコ中で、メタセシス重合触媒としてベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、メタセシス重合遅延剤としてトリフェニルホスフィン79部およびトリブチルホスフィン2部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
<モノマー液の調製>
ポリエチレン製の瓶に、シクロオレフィンモノマーとしてテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンを22.5部および2−ノルボルネンを7.5部、非イオン性分散剤としてポリグリセリンエステル(商品名:チラバゾールH−818、太陽化学社製)を0.9部、連鎖移動剤としてジビニルベンゼンを0.5部、架橋剤として2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンを0.5部加え溶解したのを確認した。次いで、上記の焼鈍処理した軟磁性体を60部入れ混合してモノマー液を得た。
<重合性組成物の調製>
モノマー液を0℃に冷却し、モノマー液を0℃に保ちながらモノマー液100部に、触媒液0.12部を加え撹拌し、重合性組成物を調製した。
<架橋成形体の調製>
重合性組成物を内側の寸法が10mm×100mmのロの字型型枠(厚み0.5mm)に入れ、両面プレス圧4.1MPaで150℃、2分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから架橋性成形体を得た。
得られた架橋性成形体を100μmのアルミ板にはさみ、さらに4.1MPaで220℃、60分間熱プレスをした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから積層体を得た。得られた積層体のアルミ板を除去し、得られた架橋体による成形体について各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
焼鈍処理を600℃で行った以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
焼鈍処理を900℃で行った以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
軟磁性体としてFe−Ni合金(Ni45%、偏平状粉末:長軸長X=17.9μm、短軸長Y=1.5μm、アスペクト比X/Y=11.9、大同テクニカ社製)を使用した以外は、実施例2と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
軟磁性体として、Fe−Al−Si合金(センダスト合金 Si6%、Al9%、偏平状粉末、長軸長X=50.5μm、短軸長Y=1.5μm、アスペクト比X/Y=33.7、メイト社製)を使用した以外は、実施例2と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94部、アクリル酸6部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部、及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行う。重合転化率は97%である。得られる溶液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある重合体を得る。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(スチレン換算、テトラヒドロフラン溶媒)にて、重合体の重量平均分子量(Mw)と、分子量分布(Mw/Mn)を測定すると、Mwは280,000、Mw/Mnは3.1である。
密閉式ホバートミキサー容器に、上記で得られる重合体20部、アクリルモノマーとしてメタクリル酸2部、アクリル酸2−エチルヘキシル98部及びペンタエリスリトールトリアクリレート0.45部、ラジカル重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン(1分間半減期温度:149℃)1.6部、並びに軟磁性体240.9部を一括して投入し、窒素雰囲気下の条件でホバートミキサー容器内の原料を室温で十分混合する。その後、減圧下において攪拌しながら脱泡し、重合性組成物を得る。なお、軟磁性体としては、実施例2で用いるものと同じ、600℃で焼鈍処理されるFe−Si−Al合金を用いる。
縦400mm、横400mm、深さ0.6mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、重合性組成物を金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆う。これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合を行い、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた電磁波吸収組成物シートである成形体を得る。得られる成形体からポリエステルフィルムを剥離し、各種評価を行う。結果を表1に示す。
(実施例7)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94部、アクリル酸6部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3部、及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行う。重合転化率は97%である。得られる溶液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、重合体を得る。重合体のMwは3000、Mw/Mnは3.7である。
この重合体20部、エポキシモノマーとしてグリセリンポリグリシジルエーテル(デナコールEX313 ナガセケムテック製)100部、および軟磁性体240部を混合し、減圧下において攪拌しながら脱泡し、重合性組成物を得る。なお、軟磁性体としては、実施例2で用いたものと同じ、600℃で焼鈍処理されたFe−Si−Al合金を用いる。
縦400mm、横400mm、深さ2mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、重合性組成物を金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆う。これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合を行わせ、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた電磁波吸収組成物シートである成形体を得る。得られる成形体からポリエステルフィルムを剥離し、各種評価を行う。結果を表1に示す。
(比較例1)
軟磁性体に焼鈍処理を施していない点を除いては、実施例1と同様に行った。
(比較例2)
軟磁性体に焼鈍処理を施していない点を除いては、実施例4と同様に行った。
(比較例3)
軟磁性体に焼鈍処理を施していない点を除いては、実施例5と同様に行った。
(比較例4)
軟磁性体に焼鈍処理を施していない点を除いては、実施例6と同様に行う。
Figure 2008120721
上記、実施例と比較例からわかるように、本発明によれば焼鈍処理された磁性体を使用することにより、成形性に優れた重合性組成物が得られ、また高い透磁率を有する成形体が得られる。

Claims (14)

  1. 焼鈍処理された磁性体および塊状重合性モノマーを含んでなる重合性組成物。
  2. 前記焼鈍処理の温度が、300〜1,000℃である請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記焼鈍処理が、非酸化性ガス雰囲気下で行われるものである請求項1または2に記載の重合性組成物。
  4. 前記磁性体が、軟磁性金属である請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. 前記磁性体が形状異方性を有する請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
  6. 全重合性組成物中に、前記磁性体を0.1〜80体積%含む請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
  7. さらに重合触媒を含む請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
  8. 塊状重合性モノマーがアクリルモノマーである請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
  9. 塊状重合性モノマーがシクロオレフィンモノマーである請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物。
  10. さらに分散剤を含む請求項1〜9のいずれかに記載の重合性組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる成形体。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれかに記載の重合性組成物を金型に注入し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
  14. 請求項11に記載の成形体を含む積層体。
JP2009507519A 2007-03-30 2008-03-28 成形体の製造方法 Active JP5560709B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009507519A JP5560709B2 (ja) 2007-03-30 2008-03-28 成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007095351 2007-03-30
JP2007095351 2007-03-30
JP2009507519A JP5560709B2 (ja) 2007-03-30 2008-03-28 成形体の製造方法
PCT/JP2008/056094 WO2008120721A1 (ja) 2007-03-30 2008-03-28 重合性組成物及び成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2008120721A1 true JPWO2008120721A1 (ja) 2010-07-15
JP5560709B2 JP5560709B2 (ja) 2014-07-30

Family

ID=39808301

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009507519A Active JP5560709B2 (ja) 2007-03-30 2008-03-28 成形体の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5560709B2 (ja)
WO (1) WO2008120721A1 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5464808B2 (ja) * 2008-01-21 2014-04-09 東海ゴム工業株式会社 誘電材料およびそれを用いたアクチュエータ
JP5822435B2 (ja) * 2010-05-25 2015-11-24 御国色素株式会社 貝殻粉末分散用分散剤および貝殻粉末分散液
JP5892167B2 (ja) 2011-07-29 2016-03-23 日本ゼオン株式会社 重合性組成物、樹脂成形体及びその製造方法、並びに積層体
JP6517066B2 (ja) * 2014-03-31 2019-05-22 三井化学株式会社 樹脂組成物およびその用途
JP7541511B2 (ja) * 2019-04-23 2024-08-28 Rimtec株式会社 シクロオレフィン樹脂加飾成形品の製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5951569B2 (ja) * 1978-04-12 1984-12-14 関東電化工業株式会社 樹脂コ−テツド微細粒子の製造方法
JPS58186908A (ja) * 1982-04-27 1983-11-01 Tohoku Metal Ind Ltd 異方性複合磁石の製造方法
JPH02293759A (ja) * 1989-05-08 1990-12-04 Nippon Zeon Co Ltd 磁性トナーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2008120721A1 (ja) 2008-10-09
JP5560709B2 (ja) 2014-07-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009155545A (ja) 磁性複合材料の製造方法及び成形体
JPWO2008123362A1 (ja) 重合性組成物及び成形体
JP5560709B2 (ja) 成形体の製造方法
KR101937994B1 (ko) 반도체 패키지용 열경화성 수지 조성물과 이를 이용한 프리프레그
JP4432903B2 (ja) 重合性組成物及びそれを用いてなる成形体
CN111189080B (zh) 用于微波炉的杂化纳米增强衬里
EP2067812A1 (en) Molded object, process for producing the same, and crosslinked molding and copper-clad laminate each obtained from the same
EP3543287B1 (en) Composition for 3 dimensional printing
KR20110056504A (ko) 자성 시트 조성물, 자성 시트 및 자성 시트의 제조 방법
EP3354684B1 (en) Composition for 3d printing
JP2008195795A (ja) 重合性組成物及び成形体
KR20100131465A (ko) 경화성 수지 조성물, 그것을 사용한 성형체, 프리프레그 및 적층체
KR101597346B1 (ko) 저비중 도전 입자를 포함하는 코팅제 조성물을 이용한 전자파 차폐 필름
JP2008208157A (ja) 重合性組成物及び成形体
JP2008143956A (ja) 重合性組成物、架橋性樹脂およびその製造方法
WO2021024956A1 (ja) 重合性組成物、シクロオレフィン系重合体および金属樹脂複合体
JPWO2008120745A1 (ja) 重合性組成物及び樹脂成形体
JP5194955B2 (ja) 分子内に不飽和結合を2つ以上有し、そのうち少なくとも1つがメタセシス反応性であるシクロオレフィンモノマーを含む重合性組成物、プリプレグ及びそれを用いた積層体。
JP2008163249A (ja) 重合性組成物及び架橋性樹脂並びにそれの製造方法
JP2009242568A (ja) ジメタクリレート化合物含有重合性組成物、プリプレグ及びそれを用いた積層体。
JP5617373B2 (ja) プリプレグの製造方法
JP2006131964A (ja) 電磁波吸収シートの製造方法
JP2006344805A (ja) 電磁波吸収体
KR102041812B1 (ko) 열경화성 조성물
JP2009132840A (ja) 樹脂複合体およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130618

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130813

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20130813

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140526

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5560709

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250