JP2008195795A - 重合性組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高透磁率を付与するのに充分な量の軟磁性フェライトを配合しても、配合液の増粘が抑制され、低粘度で成形性が良い重合性組成物を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含んでなることを特徴としている。このような本発明の重合性組成物によれば、増粘が抑制され、低粘度で成形性が向上し、しかも軟磁性フェライトの分散性が向上する。このため、得られる成形体は、ボイドが少なく吸水性も低い。したがって、本発明の重合性組成物により得られる成形体は厳しい使用環境下においても劣化せず、製品の長寿命化が図られる。
【選択図】 なし

Description

本発明は軟磁性フェライトを含有し、高い透磁率を有する成形体および架橋体、ならびにこれらを得るために好適な重合性組成物及び製造方法に関する。
近年の電子、通信分野の目覚しい発展に伴い、高周波において高透磁率をもつ材料が電気・電子機器に用いられている。特にインダクタ素子、トランス素子、高周波フィルタ、磁気ヘッド、ノイズ対策部品、モーター、電磁波吸収体などの分野で、成形加工性の向上の点から、樹脂と磁性材料との複合材料が求められている。
例えば、特許文献1では、ポリフェニレンスルフィドなどの樹脂と、フェライト粉末とを混練して、樹脂複合材料を形成している。特許文献1に開示の方法では、機械的に樹脂と磁性体を混合しているが、一度、樹脂とフェライト粉末とを混合したペレットを作成した後、そのペレットを射出成型するため加工性、生産性、磁性体の均一分散性が低かった。また低吸水性、優れた電気特性、加工性などを有する、脂環式構造を有する重合体であるシクロオレフィンポリマーを用いることも検討されている。特許文献2では、カルボキシル基含有シクロオレフィンポリマーを含むワニスに磁性体を分散させて複合材料を得る技術が開示されている。しかしこの技術では、ワニス、すなわち溶剤を用いているため、乾燥などの工程が必要で、工程が煩雑になり、また成形体の形状にも制限があった。
特許文献3には、シクロオレフィンモノマーであるノルボルネン類、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤および架橋剤を含む重合性組成物を、室温で割型構造の成形型内で重合させて樹脂成形体を得る方法やキャリアに注いだ後、重合して樹脂成形体を得る方法が開示されている。また特許文献3には、強磁性を付与するために軟磁性フェライトなどを重合性組成物に配合しうる旨が記載されている。
特開平10−326707号公報 WO2004/029153号公報 特開2004−244609号公報
重合体と磁性体粉末との機械的混合では磁性体の均一分散性が低く、加工性、生産性も満足ではない。一方、溶剤を使用した場合には、乾燥等の工程が必要となり生産性は低い。
特許文献3では、ノルボルネン系モノマーに各種配合物を混合してもよい旨が記載されている。しかしながら、ノルボルネン系モノマーを含む重合性組成物に単に軟磁性フェライトを配合しても、高透磁率を付与するに充分な量の軟磁性フェライトを配合すると、重合性組成物の増粘が大きく樹脂を成形できない場合があった。
したがって、本発明は、高透磁率を付与するのに充分な量の軟磁性フェライトを配合しても、重合性組成物の増粘が抑制され、低粘度で成形性が良い重合性組成物を提供することを課題とする。また、この組成物を用いて得られる成形体及び成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、および軟磁性フェライトを含有する重合性組成物の粘度の低粘度化、及びこの重合性組成物を用いて得られる樹脂成形体の高透磁率付与を確保するべく鋭意検討した結果、シクロオレフィンモノマーとメタセシス重合触媒と非イオン性分散剤と軟磁性フェライトとを含む重合性組成物を用いることで、磁性体の分散性が高くなりボイドが少なくて吸水率も低く、高透磁率を有する成形体が得られることを見いだした。さらにメタセシス重合触媒を配合する前に、モノマー液の温度を25℃以下とすることでさらに重合性組成物の増粘を効果的に抑制できることを見出し、これらの知見に基づき本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題の解決する本発明は、以下の事項を要旨とする。
(1)シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含んでなる重合性組成物。
(2)軟磁性フェライトを全組成物に対して0.1〜80体積%含む(1)記載の重合性組成物。
(3)非イオン性分散剤の重量平均分子量Mwが100,000以下である(1)または(2)記載の重合性組成物。
(4)非イオン性分散剤が親水基としてエステル結合またはエーテル結合を有する請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
(5)さらにメタセシス重合遅延剤を含む(1)〜(4)のいずれかに記載の重合性組成物。
(6)さらに連鎖移動剤を含む(1)〜(5)のいずれかに記載の重合性組成物。
(7)さらに架橋剤を含む(1)〜(6)のいずれかに記載の重合性組成物。
(8)シクロオレフィンモノマー、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含んでなるの温度が、−10〜25℃にてメタセシス重合触媒を添加することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
(9)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物を重合してなる重合体組成物。
(10)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる成形体。
(11)上記(1)〜(7)のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる成形体。
(12)上記(7)記載の重合性組成物を重合して架橋性重合体組成物を得る工程、および該架橋性重合体組成物を架橋する工程、を有する架橋体の製造方法。
(13)上記(12)記載の製造方法により得られる架橋体。
(14)上記(10)記載の成形体からなる構成層を含む積層体。
(15)上記(13)記載の架橋体からなる構成層を含む積層体。
本発明によれば、高透磁率を付与するのに充分な量の軟磁性フェライトを配合しても、配合液の増粘が抑制され、低粘度で成形性が良い重合性組成物が提供される。本発明の重合性組成物では、軟磁性フェライトが均一分散されてなり、これを重合することで、ボイドが少なくなり吸水性も低く、かつ高透磁率を有するシクロオレフィン重合体組成物が提供される。またメタセシス重合触媒を配合しても配合液の増粘速度が遅く成形性が良い重合性組成物が提供される。
本発明の重合性組成物は、低粘度で成形性に優れるため、得られる成形体は、ボイドが少なく吸水性も低い。したがって、かかる成形体は厳しい使用環境下においても劣化せず、製品の長寿命化が図られる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマーとメタセシス重合触媒と非イオン性分散剤と軟磁性フェライトを含有する。
シクロオレフィンモノマーは、分子内に脂環構造と炭素−炭素二重結合とを有する化合物である。シクロオレフィンモノマーは、重合によってシクロオレフィン樹脂を与える。
シクロオレフィンモノマーを構成する脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられる。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーのうち、極性基を有しないシクロオレフィンモノマーは、低誘電正接の成形体を与えるのに有利である。またテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンなどの芳香性の縮合環を有するものを用いると重合性組成物の粘度を下げることができる。
これらのシクロオレフィンモノマーは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組み合わせることで、シクロオレフィン樹脂の物性を制御できる。
メタセシス重合触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合するものであれば特に限定されない。かかるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、長周期型周期律表第5周期以降の金属であって、5族、6族及び8族の原子が挙げられる。それぞれの族における原子は特に限定されず、例えば、5族の原子としてはタンタルが、6族の原子としてはモリブデンやタングステンが、8族の原子としてはルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期律表第8族のルテニウムやオスミウムの錯体が好ましく、次の理由からルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性に優れるため重合性組成物の開環重合反応率を高くできの生産性に優れる。また、得られる樹脂成形体に臭気(未反応の環状オレフィンに由来する)が少ない。更に、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定で失活しにくい特徴を有する。
ルテニウムカルベン錯体は、例えば、Organic Letters,第1巻,953頁,1999年、Tetrahedron Letters,第40巻,2247頁,1999年などに記載された方法によって製造することができる。
ルテニウムカルベン錯体の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの配位子としてヘテロ原子含有カルベン化合物と中性の電子供与性化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの配位子として2つのヘテロ原子含有カルベン化合物が結合したルテニウム錯体化合物;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらルテニウムカルベン錯体の中でも特に、特開2005−104922号公報で例示される4位および5位がハロゲン原子で置換された置換イミダゾリン−2−イリデンを配位子として有するルテニウム錯体化合物が好ましい。
これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合触媒の量は、(触媒中の遷移金属原子):(シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
メタセシス重合触媒は活性剤と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させる目的で添加される。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤を使用する場合の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
非イオン性分散剤は、疎水基と親水基をそれぞれ一つ以上含むものである。疎水基はフッ素およびケイ素を含んでもよい炭化水素である。親水基は、水酸基、エステル基、リン酸エステル基、エーテル基、エーテルエステル基、アミド基、アミノ基、アミンオキサイド基、イミド基、スルホキシド基などの極性基などを有し水に溶けてもイオンにならないものである。これらの中でも、エステル結合またはエーテル結合を有するものが好ましい。
また非イオン性分散剤の構造は、通常、親水基と疎水基のランダムおよびブロック型の直鎖構造、主鎖構造に側鎖をもつ分岐構造、ブランチポリマーやデンドリマーなど星型構造、環状構造などであるが、特に限定されない。好ましくは軟磁性フェライト表面に嵩高い構造で吸着するものが良い。特に好ましくはブロック型直鎖構造、分岐構造である。また、これら非イオン性分散剤の性状は、粉末、ペースト、オイル状などであり特に限定されない。
好ましい非イオン性分散剤の具体的な分類を述べると1)ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール型非イオン性分散剤、および2)多価アルコール型非イオン性分散剤に分けられる。
1)ポリエチレンおよびプロピレングリコール型非イオン性分散剤としては、アルキルおよびアリール付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、高級アルコール付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、アルキルフェノール付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、脂肪酸付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、高級アルキルアミン付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、脂肪酸アミド付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、油脂付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、フッ素炭化水素付加ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコールとシリコーンとの共重合体、ポリオキシプロピレンを親油基とするブロック重合体、アルキルチオポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルカロールアミン類の脂肪アミド、縮合脂肪酸エステル、フッ素炭化水素付加物、シリコーンとの共重合体などが挙げられる。
1)ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール型非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアリルエーテルなどのアルキルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのアルキルアリールポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンモノグリセリンエステル、ポリオキシエチレンジグリセリンエステル、ポリオキシエチレントリグリセリンエステル、ポリオキシエチレンテトラグリセリンエステル、ポリオキシエチレンペンタグリセリンエステル、ポリオキシエチレンヘキサグリセリンエステルなどのグリセリンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミレートなどのソルビタンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンロジンエステルなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル類が挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ステアリン酸モノグリセライド、オレインサン酸モノグリセライド、パルミチン酸グリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、オレインサン酸ジグリセライド、パルミチン酸ジグリセライドなどのグリセリンエステル類;
ソルビタンモノラウリレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタンエステル類;
モノ・ジステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、モノ・ジオレイン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノオレイン酸ヘキサグリセリン、モノミリスチン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、モノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン、ヘキサステアリン酸ヘキサグリセリン、オクタステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、モノオレイン酸デカグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸トリグリセリン、モノミリスチン酸トリグリセリン、モノオレイン酸トリグリセリン、モノステアリン酸トリグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、トリミリスチン酸ペンタグリセリン、モノオレイン酸ペンタグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、トリステアリン酸ペンタグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;
縮合リシノレイン酸テトラグリセリン、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン、縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル類;
リシノレイン酸を2〜6分子縮合させたリシノレイン酸の自己縮合エステル、12―ヒドロキシステアリン酸を2〜6分子縮合させた12―ヒドロキシステアリン酸の自己縮合エステルおよびこれらとステアリン酸などを縮合させた縮合脂肪酸エステル類が挙げられる。
上記の中でも特にソルビタンエステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、縮合脂肪酸エステル類が好ましい。
これらの非イオン性分散剤を用いることで、後述するモノマー液により大量の軟磁性フェライトを配合でき、かつ重合後の残存モノマーも少なく成形性が良い重合性組成物が得られる。
また非イオン性分散剤としては、特にシクロオレフィンモノマーに溶解するものが好ましい。予め非イオン性分散剤をモノマーに溶解することで作業効率が向上する。シクロオレフィンモノマーに対する溶解性はグリフィンのHLB値が指標となる。すなわち、グリフィンのHLB値が10以下、好ましくは7以下の非イオン性分散剤が好ましく選択される。このような非イオン性分散剤を用いることで分散性とシクロオレフィンモノマーへの溶解性が向上する。
これら非イオン性分散剤の分子量は特に制限されないが、通常ポリスチレン換算で重量平均分子量Mw100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは100〜10,000、特に好ましくは200〜5,000がよい。この範囲であるとシクロオレフィンモノマーに溶解し作業性に優れる。
またこれらの非イオン性分散剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してよい。
非イオン性分散剤の使用量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。この範囲よりも少ないと分散性が悪く成形しにくくなる恐れがあり、この範囲より多くても成形品の物性を損ねてしまう恐れがある。
本発明で使用される軟磁性フェライトは、軟磁性を持っているものを用途において適時使い分ければよく特に限定されない。軟磁性とは、外部から印加された磁場に対して内部の磁化が磁場方向にそろいやすい、すなわち磁化しやすい性質である。これに対し、硬磁性とは外部磁場が加わっても内部の磁化が起こりにくい性質であり、かつ外部に磁場が作れる性質である。本発明では、各種の軟磁性フェライトが特に制限されることなく使用される。
典型的な軟磁性フェライトは、酸化第2鉄(Fe23)と二価の金属酸化物(MO)との化合物(MO・Fe23)であり、二価の金属酸化物の種類により、Mn−Zn系、Mg−Zn系、Ni−Zn系、Cu系、Cu−Zn系、Cu−Zn−Mg系、Cu−Ni−Zn系、Li−Fe系などのスピネル型フェライト、RFe512(Rが3価のYまたは希土類元素)で示されるYFe系などのガ−ネット型フェライト、MeをFe、Ni、Co、CuとするとMeO、BaO、Fe23の組成を組み合わせた六方晶構造をもつBaFe系などのフェロクスプレーナ型フェライトに分類される。
この中でも、Ni、Mn、Zn、Y、Baを含むフェライトが好ましい。特に好ましくはMn−Zn系、Ni−Zn系などのスピネル型BaFe系などのフェロクスプレーナ型が特に好ましく、これらを用いることで透磁率を高めることができる。
Ni−Zn系フェライトとは、一般式(NiO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成物を持つものをいうが、Niの一部をCu、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Ni−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mg−Zn系フェライトとは、一般式(MgO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Mgの一部をNi、Cu、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mg−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mn−Zn系フェライトとは、一般式(MnO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Mnの一部をNi、Cu、Co、Mg等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mn−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Cu系フェライトとは、一般式(CuO)x・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Cuの一部をNi、Zn、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Cu系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
本発明で使用する軟磁性フェライトは、公知の方法で得ることができる。これら酸化物系の磁性体であるフェライトの原料の代表的なものは、Fe23、MnO2、MnCO3、CuO、NiO、MgO、ZnO、YO、BaOなどの金属酸化物または金属炭酸塩などである。軟磁性フェライトの製造方法としては、乾式法、共沈法、及び噴霧熱分解法が代表的なものである。
乾式法では、上記元素の酸化物や炭酸塩などの各原料を所定の配合比となるように計算して機械的に混合し、焼成後、粉砕する。乾式法では、原料混合物を仮焼成し、微粒子に粉砕した後、顆粒状に造粒し、さらに本焼成した後、再度粉砕して軟磁性フェライト粉末を得てもよい。共沈法では、金属塩の水溶液に強アルカリを加えて水酸化物を沈殿させ、これを酸化して微粒子のフェライト粉末を得る。フェライト粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。噴霧熱分解法では、金属塩の水溶液を熱分解して微粒子状の酸化物を得る。酸化物粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。焼成されたフェライトは、ハンマーミル、ロッドミル、ボールミル等によって粉砕され、目的の粒径を有するフェライト粉末とされる。
これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これら軟磁性フェライトの粒径は、レーザー散乱回折式粒度分布計で測定した全粒子の50%が含まれるメディアン径で通常0.001〜1,000μm、好ましくは、0.001〜100μm、より好ましくは0.05〜50μm、特に好ましくは0.01〜10μm、最も好ましくは0.05〜5μmである。この範囲より粒径が小さくても、大きくとも、成形が困難になり取扱いが難しくなるおそれがある。
また粒子の形状は、特に限定されないが、球状、粒状、不定形状や針状、棒状、扁平状筒型、中空型など形状違方向性のものが挙げられる。好ましくは形状異方性があるものがよい。
軟磁性フェライトの使用量は重合性組成物の全体積に対して、通常0.1〜80体積%、好ましくは10〜80体積%、より好ましくは、20〜80体積%、さらに好ましくは30〜80体積%、最も好ましくは50〜75体積%、である。なお、ここで、重合性組成物の全体積とは、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、非イオン性分散剤および軟磁性フェライト、ならびに後述するメタセシス重合遅延剤、連鎖移動剤、架橋剤などの任意的成分を含む場合には、これらの全成分からなる組成物の体積を意味する。軟磁性フェライトの使用量が上記範囲より少ないと、充分に磁気特性を得られない恐れがあり、この範囲より多い場合は、成形性が悪くなる恐れがある。軟磁性体の磁気特性の指標として、透磁率をあげられる。本発明においては、最終的に得られる成形体の100MHzでの透磁率が好ましくは2以上、さらに好ましくは5以上となるように軟磁性フェライトの使用量を設定することが望ましい。透磁率が低すぎる場合には、充分な磁気特性を得られない恐れがある。
またこれら軟磁性フェライトの表面は、シリカ、アルミナなど無機物で被覆されるか、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、およびアルミネートカップリング剤などのカップリング剤;シラザン;ポリシロキサン;などの公知の表面処理剤で表面処理をされていることが好ましい。
シラン系カップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的な例を挙げると、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1.6ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリメトキシスチリルシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、チタネート系カップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的な例を挙げると、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリルジイソプロピルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
また、シラザン系としてヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、テトラメチルジフェニルジシラザンなどが挙げられる。
これらの中でも好ましくは、炭化水素基のみの置換基を少なくとも一つ有するものがよく、より好ましくは環状構造を持つものであり、さらに好ましくは二重結合を持つものが良い。これらを用いることで樹脂との密着性が優れる。
したがって、特に好ましい表面処理剤としては、ビニルメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのシランカップリング剤;ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザンなどシラザン;が挙げられる。
これらの表面処理剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。表面処理剤の量は、特に電気特性や耐熱性を損ねない限り特に限定されないが通常、磁性体100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この範囲より少ないと樹脂との密着性などで充分な効果は得られない恐れがあり、この範囲より多くても経済性などで優れない場合がる。
本発明の重合性組成物は、シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含み、必要に応じ、その他の添加剤を含有する。かかる添加剤としては、メタセシス重合遅延剤、連鎖移動剤、架橋剤、架橋助剤、溶剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などが挙げられる。これらは、後述するモノマー液又は触媒液に予め溶解又は分散させて用いることができる。
各成分の使用量は、上述したとおりであるが、重合性組成物の粘度が、通常10,000mPa・s以下、好ましくは5,000mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下となるように設定することが特に望ましい。この範囲より粘度が高いと成形が困難になることがある。重合性組成物の粘度は、たとえば軟磁性フェライトの配合量が増加すると、増大する傾向にあり、また非イオン性分散剤の配合量が増加すると、減少する傾向にある。
なお、重合性組成物の粘度は、後述するように、0℃にてモノマー液に触媒液を添加した直後、E型粘度計を用いて20rpmで測定される値である。
本発明の重合性組成物は、メタセシス重合遅延剤を含有していてもよい。メタセシス重合遅延剤は、メタセシス重合触媒の重合活性を制御し、重合組成物のゲル化時間(ポットライフ)を伸ばし、加工性を向上させる目的で配合される。このようなメタセシス重合遅延剤としては、例えば、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、(シス,シス)−2,6−オクタジエン、(シス,トランス)−2,6−オクタジエン、(トランス,トランス)−2,6−オクタジエンなどの鎖状ジエン化合物;(トランス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(トランス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエンなどの鎖状トリエン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどのホスフィン類;アニリンなどのルイス塩基;などが挙げられる。
さらに、環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーや環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーを重合遅延剤として用いることができる。このようなシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,3,5−シクロヘプタトリエン、(シス,トランス,トランス)−1,5,9−シクロドデカトリエンなどの単環シクロオレフィンモノマー、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなど環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーが挙げられる。環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーや不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーは、メタセシス重合遅延剤であると同時にシクロオレフィンモノマーでもあるため、前記シクロオレフィンモノマーの一部として用いつつメタセシス重合遅延剤として機能させることもできる。
これらメタセシス重合遅延剤の中でも、好ましくは鎖状ジエン系、鎖状トリエン系、ホスフィン類、環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマー、環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーがよく、より好ましくは、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィンなど鎖状アルキルホスフィン類、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー、ビニルノルボルネンなど環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーがよい。これらメタセシス重合遅延剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合遅延剤を使用する場合その量は、使用する化合物や目的に応じて任意に設定されるが、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:重合遅延剤)のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
本発明の重合性組成物には、連鎖移動剤が配合されていてもよい。連鎖移動剤を配合することにより、開環重合の際の発熱による反応が進行することを防止でき、生成する重合体の分子量を調整することができる。
重合性組成物が後述する架橋剤を含む場合、得られる重合体は架橋性重合体となる。架橋性重合体の架橋は加熱により進行する。連鎖移動剤を含有する重合性組成物を開環重合した後の架橋性重合体は、開環重合が進行したときの最高温度(ピーク温度)より高い温度に加熱することで、架橋反応が進行し、優れた物性の架橋樹脂成形体を与えることができる。このため、架橋性重合体を金属箔などの他の基体材料と重ねた後、加熱すると、架橋体と他の基体材料との界面の密着度が著しく向上する。連鎖移動剤としては、通常、置換基を有していてもよいオレフィン類を用いることができる。
このような連鎖移動剤の具体例としては、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレン、ビニルスチレン、スチルベン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族オレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環化合物;エチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトンなどのビニルケトン類;酢酸アリル、アリルメタクリレートなどのエチレン性不飽和エステル類;ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン類;
1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、3,3−ジメチル−1,4−ペンタジエン、3,5−ジメチル−1,6−ヘプタジエン、3,5−ジメトキシ−1,6−ヘプタジエン、1,2−ジビニルシクロヘキサン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニルベンゼン、1,4−ジビニルベンゼン、ジビニルシクロペンタン、ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルフェナントレン、トリビニルベンゼン、ポリブタジエン(1,2−付加が10%以上のもの)等のビニル基を2以上有する炭化水素系連鎖移動剤;
ジアリルエーテル、1,5−ヘキサジエン−3−オン、マレイン酸ジアリル、蓚酸ジアリル、マロン酸ジアリル、コハク酸ジアリル、グルタル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、フマル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、ジビニルエーテル、アリルビニルエーテル、マレイン酸ジビニル、蓚酸ジビニル、マロン酸ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、アジピン酸ジビニル、フタル酸ジビニル、フマル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、シアヌル酸トリビニル、イソシアヌル酸トリビニル等のビニル基を2以上有するヘテロ原子含有連鎖移動剤などが挙げられる。
これらの連鎖移動剤の中でも、上記置換基として、連鎖移動剤として反応に関与する基以外に、後述する架橋に寄与する基を有するものが好ましい。架橋に寄与する基とは、具体的には、炭素−炭素二重結合を有する基であり、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等が挙げられる。特に、式(A):CH2=CH−Y−OCO−CR=CH2で表される化合物が好ましい。式(A)中のYはアルキレン基、Rは水素原子又はメチル基である。
アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、通常1〜20、好ましくは4〜12である。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋樹脂成形体または架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
式(A)で表される化合物としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルなどが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニルおよびメタクリル酸ヘキセニルが特に好ましい。
これら連鎖移動剤は一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。連鎖移動剤を使用する場合その量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。連鎖移動剤の量が、この範囲であるときに、開環重合時の架橋反応が十分に抑制されるので、流動性に優れた樹脂成形体が得られる。
本発明の重合性組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、シクロオレフィン樹脂の官能基と架橋反応して架橋構造を形成させる。官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、活性ハロゲン原子、エポキシ基などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物の使用が好ましく、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物の使用がより好ましく、ラジカル発生剤又はエポキシ化合物の使用が特に好ましい。
ラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それによりシクロオレフィン樹脂を架橋する作用を有する。
ラジカル発生剤が架橋反応を起こす部位は、主にシクロオレフィン樹脂の炭素−炭素二重結合であるが、飽和結合部分でも架橋することがある。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド;などが挙げられる。中でも、特に塊状重合におけるメタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4'−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4'−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4'−ジアジドジフェニルスルホン、4,4'−ジアジドジフェニルメタン、2,2'−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
エポキシ架橋剤は、カルボキシル基などの極性基を架橋点として架橋反応を進行させる。エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールAビス(エチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(ジエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(トリエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルなどのビスフェノールA系グリシジルエーテル型エポキシ化合物のようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;などの分子内に二以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子内に二以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの分子内に二以上のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
無水物基含有化合物としては,例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロペリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタンなどの脂肪族ジアミン類;トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホンなどの芳香族アミン類;などの分子内に二以上のアミノ基を有する化合物が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、四塩化珪素、塩酸、硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。
これらは一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。架橋剤を用いる場合その量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤が少なすぎると、架橋が不十分になって高い架橋密度の架橋樹脂成形体が得られないおそれがある。逆に、架橋剤が多すぎると生産性に劣り、また架橋効果は飽和して不十分な効果しか得られない場合もある。
架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合は、ラジカル架橋遅延剤を用いることができる。ラジカル架橋遅延剤は、メタセシス重合による重合熱および外部から加えられる熱によって架橋剤であるラジカル発生剤が分解して、メタセシス重合初期にラジカルが発生するのを抑制させる目的で使用され、重合体の流動性及び保存安定性を向上させる。
ラジカル架橋遅延剤としては、例えば、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ビス−1,2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)エタンなどのヒドロキシアニソール類;2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール、2,4−ジメトキシ−6−t−ブチルフェノール等のジアルコキシフェノール類;ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t―ブチルヒドキノン、2,5−ジ−t―アミルヒドキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン等のヒドロキノン類;カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコールなどのカテコール類;ベンゾキノン、ナフトキノン、メチルベンゾキノンなどのベンゾキノン類;などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアニソール類、カテコール類、ベンゾキノン類が好ましく、ヒドロキシアニソール類が特に好ましい。
これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。ラジカル架橋遅延剤の含有量は、ラジカル発生剤1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜1モルである。
架橋助剤は、樹脂成形体を架橋する際の架橋反応速度を向上させる目的で使用される。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋助剤の量は特に制限されないがシクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
溶剤は、メタセシス重合触媒やラジカル発生剤を必要に応じて溶解するために少量使用される。また、溶剤は、重合性組成物を溶液重合する場合に、媒体として使用することができる。いずれの場合も溶剤は触媒に不活性でなければならない。かかる溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。これらの中では、メタセシス重合触媒の溶解性に優れ工業的に汎用されている芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。また、メタセシス重合触媒の活性を低下させないものであれば、液状の酸化防止剤、液状の可塑剤、液状の改質剤を溶剤として用いてもよい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
強化材としては、マット、クロス、不織布などの形状の有機基材、無機基材、金属基材が挙げられ、アラミド繊維、ガラス繊維、ガラス布、紙基材、ガラス不織布、炭素繊維などが挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ガラス粉末、セラミック粉末、シリカ、金属粉などが挙げられる。これら充填材は、二種類以上を併用してもよい。充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
重合性組成物は、その調製する方法によって特に制約されない。重合性組成物は、例えば、メタセシス重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別にシクロオレフィンモノマーに連鎖移動剤、架橋剤などの添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる重合を行う直前に行うことが好ましい。また、軟磁性フェライトおよび非イオン性分散剤は、モノマー液に添加して用いることが好ましい。
本発明では、触媒液を添加するときのモノマー液の温度を通常−10℃〜25℃、好ましくは−5℃〜20℃、より好ましくは−5〜15℃、特に好ましくは−5℃〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いとメタセシス触媒を入れた瞬間に重合が急激に進行して、重合性組成物の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。
さらに触媒液を添加してからの重合するまでの重合性組成物の温度を好ましくは、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜20℃、−5〜15℃、特に好ましくは―5〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合が急激に進行して、配合液の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。この温度よりも低いとモノマー液が凍結したり、経済性が悪くなる場合がある。また、触媒液の添加は、窒素など不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
触媒液添加前のモノマー液および触媒液添加後の重合性組成物の冷却方法は特に限定されず通常用いられる方法で行われる。例えば、冷水、氷浴、氷塩浴、メタノール−ドライアイス浴などで冷却することができる。
モノマー液の調製に際して、シクロオレフィンモノマーに軟磁性フェライト、非イオン性分散剤、およびメタセシス重合遅延剤やその他の添加剤を入れる順序は特に限定されない。軟磁性フェライトを添加する前に非イオン性分散剤を添加することで軟磁性フェライトの分散性が向上することがあるため、非イオン性分散剤の添加後に軟磁性フェライトを添加することが特に好ましい。
モノマー液の調製に用いる混合装置などは特に限定されず、モノマー液の粘度などによって適時選択すればよい。例えばミックスマラー、ボールミル、ニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールミル、バンバリミキサー、リボンミキサー、ホモジナイザー、二軸押し出し機、らいかい機などホイール型、ボール型、ブレード型、ロール型の装置などが挙げられる。
本発明の重合体組成物および成形体は、上記重合性組成物を開環重合して得られる。重合性組成物の開環重合は、塊状重合法又は溶液重合法のいずれであってもよく、好ましくは塊状重合法によって行われる。
本発明の重合性組成物を開環重合して該樹脂成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(a)重合性組成物を支持体上に塗布し、次いで開環重合する方法、(b)重合性組成物を成形型の空間部に注入し、次いで開環重合する方法、(c)重合性組成物を繊維状強化材に含浸させ、次いで開環重合する方法などが挙げられる。
本発明の重合性組成物は粘度が低いので、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、(c)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。
(a)の方法によれば、フィルム状、板状等の樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に本発明の重合性組成物を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された重合性組成物を必要に応じて乾燥させ、次いで開環重合する。開環重合するために重合性組成物を加熱する。加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された重合性組成物を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
(b)の方法によって得られる成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状などが挙げられる。
成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;などを用いることができる。
成形型の空間部(キャビティー)に本発明の重合性組成物を注入する圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された重合性組成物を加熱することによって開環重合させることができる。重合性組成物の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチームなどの加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
(c)の方法によって得られる成形体としては、例えば、開環重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグなどが挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維、などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に本発明の重合性組成物を含浸させるには、例えば、該重合性組成物の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該重合性組成物を含浸させた後に、所定温度に加熱して、含浸物を開環重合させることによりシクロオレフィン樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、重合性組成物を含浸させてから前記(b)の方法のようにして加熱する方法などが用いられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、重合性組成物を開環重合させるための加熱温度((b)の方法においては金型温度)は、通常30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常1秒〜20分、好ましくは10秒〜5分以内である。
重合性組成物を所定温度に加熱することにより開環重合反応が開始する。開環重合反応が開始すると、重合性組成物の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)でピーク温度に到達する。さらに開環重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。重合反応における重合性組成物のピーク温度を、得られる成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。また、連鎖移動剤を配合した重合性組成物から得られる成形体の場合、重合体の重合反応率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、重合体の重合反応率は、例えば、重合体を溶剤に溶解して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することで求めることができる。開環重合がほぼ完全に進行している重合体は、残留モノマーが少なく、臭気の発生が少ない。
重合性組成物が架橋剤を含有する場合には、開環重合反応時のピ−ク温度が高くなりすぎると、開環重合反応のみならず、一挙に架橋反応も進行してしまうおそれがある。したがって、開環重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、開環重合のピーク温度を、好ましくは200℃未満に制御する必要がある。ただし、生産性等の観点から、開環重合反応と架橋反応とを同時に進行させてもよい。
ラジカル発生剤を含有する重合性組成物を用いる場合、開環重合でのピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
本発明の架橋体は、架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性重合体組成物を加熱して架橋させることにより得ることができる。架橋性重合体組成物を加熱して架橋させるときの温度は、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。この温度は、前記開環重合でのピーク温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。また、加熱して架橋させる時間は特に制約されないが、通常、1分から10時間である。
架橋性重合体組成物を加熱して架橋させる方法は特に制約されない。架橋性重合体組成物がフィルム状である場合は、必要に応じてそれを複数枚積層し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
なお、上述したように、生産性等の観点から、開環重合反応と架橋反応とを同時に進行させて、重合性組成物から直接架橋体を得ても良い。重合性組成物を加熱し、重合、架橋する方法は特に制約されない。たとえば、重合性組成物を型枠内に注入し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
本発明の積層体は、上記成形体または架橋体からなる構成層を有し、より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の成形体または架橋体で形成されている。このような積層体のさらに具体的な例としては、銅箔などの基体材料と、本発明の成形体または架橋体から形成される構成層を含む積層体があげられる。また、本発明の積層体は、多層積層基板のように、銅箔などの基体材料と、軟磁性フェライトを含有する樹脂層とが交互に積層されてなる複合材料であってもよい。ここで、軟磁性フェライトを含有する樹脂層が複数含まれている場合には、それぞれの樹脂層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
上記基体材料としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板製造用基板;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)性フィルムや導電性ポリマーフィルム等の樹脂フィルム;ノイズ抑制シート、電波吸収体などが挙げられる。また、基体材料の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよい。
積層体を得る方法に格別な制限はなく、本発明の成形体を構成層に含む積層体を得る場合には、たとえば本発明の重合性組成物を用いて得られた成形体を適当の基体材料に重ね合わせて積層体を得てもよく、また成形体同士を重ね合わせて積層体を得てもよい。さらに重合性組成物を適当な基体材料あるいは成形体上に塗工し、該重合性組成物を重合して積層体を得ることもできる。
また、本発明の架橋体からなる構成層に含む積層体を得る場合には、例えば(1)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性重合体組成物を、基体材料に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)重合性組成物を基体材料上に積層し、開環重合のみまたは開環重合及び架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する重合性組成物を用いて得られた架橋性重合体組成物を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(4)開環重合して得られた成形体またはさらに架橋剤を含有して架橋反応を行った架橋体において、その表面を樹脂などの接着剤を少なくとも一つの表面に塗布し、基体材料と接着させる、(5)開環重合して得られた成形体またはさらに架橋剤を含有して架橋反応を行った架橋体において、両面テープのような接着能をもつ基体材料を用いてさらに別の基体材料と接着させるという方法が挙げられる。
前記(1)の方法により積層体を得るには、例えば、架橋性重合体組成物と、基体材料としての金属箔とを重ね合わせて熱プレスなどによって加熱することにより架橋させて、金属箔と強固に密着した金属箔張積層板を得ることができる。得られる金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、0.5kN/m以上、好ましくは0.8kN/m以上、より好ましくは1.2kN/m以上である。
前記(2)の方法により積層体を得るためには、重合性組成物の開環重合温度を高く設定して架橋反応も起きる温度で加熱する。しかし、前記(1)の方法のように、一旦架橋性重合体組成物の段階を経る方が界面の引き剥がし強さが大きくなる。
本発明の積層体は、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
本発明の積層体を製造するための加熱方法に制限はないが、架橋性重合体組成物と金属箔やプリント配線板製造用基板などの基体材料とを重ね合わせて熱プレスする方法が生産性の高さから好ましい。熱プレスの条件は、前記架橋体を製造する場合と同様である。
本発明の重合体組成物、成形体、架橋体、積層体は、低線膨張率、高機械的強度、低誘電正接などのシクロオレフィン樹脂の本来有する特性をそのまま備えている上、従来のシクロオレフィン樹脂からなる成形体に比べて耐熱性及び密着性に優れている。
このような特徴を有する本発明に係る架橋体や積層体は、プリプレグ;樹脂付き銅箔;プリント配線板、絶縁シート、層間絶縁膜、オーバーコート、アンテナ基板、電磁波吸収体、電磁波シールドなどの電子部品材料として好適である。
本発明の重合性組成物を用いれば、成形体等を製造する際に、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
(実施例)
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。部および%は特に断わりのない限り重量基準であり、本発明は実施例に限定されない。分散剤の溶解性、モノマー液粘度、重合性組成物粘度および組成物を硬化、架橋して得られた架橋体におけるボイドの有無、臭気の有無、吸水性、透磁率の評価は次のように行った。
<分散剤の溶解性>
非イオン性分散剤をシクロオレフィンモノマーに配合後、目視にて判断し、沈殿物のあるものを不溶とした。評価基準は下記のとおり。
A:溶解した場合
C:沈殿物を確認した場合
<モノマー液の粘度>
シクロオレフィンモノマーに、非イオン性分散剤、軟磁性フェライトおよび架橋剤、連鎖移動剤などの添加剤を配合してモノマー液を0℃で調製した後、E型粘度計を用い、25℃にて、20rpmでの粘度を測定した。評価基準は下記のとおり。
A:500mPa・s未満
B:500〜1000mPa・s
C:1000mPa・sを超える
NM:測定不能
<重合性組成物の粘度>
モノマー液に触媒液を配合後、E型粘度計を用い、25℃にて、20rpmでの粘度を測定した。評価基準は上記と同じ。
<ボイド>
得られた架橋体のボイド数を目視でカウントした。ボイドの数が多いと、強度、耐熱性など特性が悪化する。評価基準は下記のとおり。
A:0個
B:1〜3個
C:4個以上
<臭気(重合性)>
得られた架橋体の臭気を5人の官能試験で判定した。樹脂の重合性は、未反応モノマーによる臭気に基づいてある程度判定できる。臭気が強いと製品として使用する環境を悪化させるとの問題がある。また未反応のモノマーの存在により電気特性も悪化する。評価基準は下記のとおり。
A:5人中0人が臭気ありと判断。臭気問題なし。
B:5人中1〜2人が臭気ありと判断。やや臭気あり
C:5人中3〜5人が臭気ありと判断。非常に強い臭気あり
<吸水性>
得られた架橋体を恒温恒湿室(50℃ 50HR%)にいれ、100時間保持後、取り出し、重量増加率(吸水率)を測定した。吸水率が大きいと信頼性が悪化する。評価基準は下記のとおり。
A:0.1%未満
C:0.1%以上
<透磁率>
透磁率はネットワークアナライザー(アジレント社製)を用いて、1ターンコイル法にて測定を行った。100MHzの値で以下の基準で評価をした。
A:10以上
B:5以上〜10未満
C:5未満
(実施例1)
<触媒液の調製>
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部、トリブチルホスフィン2部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
<モノマー液の調製>
ポリエチレン製の瓶に、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンを22.5部、2−ノルボルネンを7.5部、非イオン性分散剤としてポリグリセリンエステル(商品名:チラバゾールH−818、太陽化学社製)を0.9部、連鎖移動剤としてジビニルベンゼンを0.5部、架橋剤として2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンを0.5部加え溶解したのを確認した。その後、軟磁性フェライトであるNi−Znフェライト(粒径5μm、戸田工業製BSN−828)900部入れ混合してモノマー液を得た。
<重合性組成物の調製>
モノマー液を0℃に冷却し、モノマー液を0℃に保ちながら0℃の触媒液をモノマー液100gあたり0.12ml加え撹拌し、重合性組成物を調製した。
<架橋体の調製>
重合性組成物を内側の寸法が10mm×100mmのロの字型型枠(厚み0.5mm)に入れ、両面プレス圧4.1MPaで150℃、2分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから架橋体を得た。
得られた架橋体を100μmのアルミ板にはさみ、さらに4.1MPaで220℃、60分間熱プレスをした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから積層体を得た。得られた積層体のアルミ板を除去し、各種評価を行った。
(実施例2)
軟磁性フェライトとして、Ni−ZnフェライトSFP−NB4(粒径5μm、日本フェライト製)を1200部使用した以外は実施例1と同様に実験を行った。
(実施例3〜4)
非イオン性分散剤を表1に記載のものに変えた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
(実施例5)
軟磁性フェライトとして、Mn−Zn系フェライト(粒径1.7μm、戸田工業製KNA−415)を使用した以外は、実施例1と同様に実験を行った。
(実施例6)
フェライトの使用量を500部とした以外は実施例1と同様に実験を行った。
(実施例7)
モノマー液温度を25℃として、重合性組成物を調製した以外は実施例1と同様に実験を行った。
(比較例1)
分散剤を加えなかったこと以外は、実施例1と同様に実験を行った。Ni−Znフェライトを配合すると、モノマー液は砂状になり成形が不能となった。
(比較例2)
軟磁性フェライトであるNi−Znフェライトの代わりに、硬磁性フェライトであるBaフェライトを用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
(比較例3〜6)
非イオン性分散剤の代わりに、アニオン系、カチオン系、分子内にアニオンとカチオンを両方持つベタイン系、アルミネート系カップリング剤を用いた以外は、実施例1と同様に実験を行った。
実施例1〜7及び比較例1〜6から得られた結果を表に示す。
Figure 2008195795
Figure 2008195795
上記、実施例1と比較例1からわかるように、非イオン性分散剤を加えなかった系では、モノマー液の粘度が、上がって軟磁性フェライトを配合させることが出来なかった。軟磁性フェライトの代わりに、硬磁性フェライトであるBaフェライトを用いた系では、用いたフェライトが硬磁性のため透磁率を上げる効果が小さく、充分な透磁率を得られないことがわかった(比較例2)。またイオン系分散剤を用いた系では、分散剤がモノマー中に溶解しにくいためと、溶解しても軟磁性フェライト配合において、低粘度化の効果が小さいため樹脂を成形できなかった(比較例3〜6)。

Claims (15)

  1. シクロオレフィンモノマー、メタセシス重合触媒、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含んでなる重合性組成物。
  2. 軟磁性フェライトを全組成物に対して0.1〜80体積%含む請求項1記載の重合性組成物。
  3. 非イオン性分散剤の重量平均分子量Mwが100,000以下である請求項1または2記載の重合性組成物。
  4. 非イオン性分散剤が親水基としてエステル結合またはエーテル結合を有する請求項1〜3のいずれかに記載の重合性組成物。
  5. さらにメタセシス重合遅延剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の重合性組成物。
  6. さらに連鎖移動剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の重合性組成物。
  7. さらに架橋剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の重合性組成物。
  8. シクロオレフィンモノマー、非イオン性分散剤、及び軟磁性フェライトを含んでなるモノマー液の温度が、−10〜25℃にてメタセシス重合触媒を添加することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物を重合してなる重合体組成物。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物を塊状重合してなる成形体。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の重合性組成物を支持体に塗布または含浸し、塊状重合して得られる成形体。
  12. 請求項7記載の重合性組成物を重合して架橋性重合体組成物を得る工程、および
    該架橋性重合体組成物を架橋する工程、を有する架橋体の製造方法。
  13. 請求項12記載の製造方法により得られる架橋体。
  14. 請求項10記載の成形体からなる構成層を含む積層体。
  15. 請求項13記載の架橋体からなる構成層を含む積層体。
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