JP2009155545A - 磁性複合材料の製造方法及び成形体 - Google Patents

磁性複合材料の製造方法及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、磁性体の分散性、充填性に優れ磁気特性の向上された成形体を得るために好適な磁性複合材料の製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明に係る磁性複合材料の製造方法は、磁性体を真空下で焼鈍処理し、得られた磁性体を重合体および重合性モノマーからなる群から選択される樹脂材料と混合することを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

本発明は真空下で焼鈍処理された磁性体を含有し、磁性体の分散性、充填性に優れ磁気特性の向上された成形体を得るために好適な磁性複合材料の製造方法及び該成形体の製造方法に関する。
近年の電子、通信分野の目覚しい発展に伴い、高周波において高透磁率をもつ材料が電気・電子機器に用いられている。特にインダクタ素子、トランス素子、高周波フィルタ、磁気ヘッド、ノイズ対策部品、モーター、電磁波吸収体などの分野で、成形加工性の向上の点から、樹脂と磁性体との複合材料が求められている。
例えば、特許文献1では、Feを母合金とする軟磁性金属偏平粉末と樹脂バインダーとからなる軟磁性樹脂組成物が開示されている。樹脂バインダーとしてはポリアミド等が使用され、軟磁性金属偏平粉末と樹脂バインダーとを混練した後に所定形状の成形体を得ている。特許文献2には、焼鈍処理により応力歪みが除去された偏平状軟磁性粉末と、結合剤と、前記結合材を溶解する溶媒からなる混和物を製膜し、溶媒を除去してシート化する複合磁性体の製造法が開示されている。
特許文献3、特許文献4には、シクロオレフィンモノマーであるノルボルネン類、メタセシス重合触媒、連鎖移動剤および架橋剤を含む重合性組成物およびこれを用いた樹脂成形体を得る方法が開示されている。また特許文献3、4には、強磁性を付与するために磁性体などを重合性組成物に配合しうる旨が記載されている。
特許文献5には、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、ワックス、偏平状金属磁性材料および無機充填材を含有するエポキシ樹脂組成物ならびに該組成物を熱硬化してなる電磁波吸収体が開示されている。
特許文献6には、軟磁性粉と樹脂との複合材料を成形後、その表面に真空焼き入れ等の熱処理を施し、成形体表面の抗折強度を向上させることが開示されている。
特開2003−209010号公報 特開2000−243615号公報 特開2004−244609号公報 WO2005/014690号公報 特開2002−234988号公報 特開2003−272910号公報
上記のような、複合材料に使用される磁性体は、高温焼成や合金化、粉砕工程などを経て製造され、その後、樹脂材料と混合して複合材料とされる。また、前述したように特許文献2には、樹脂材料との混合前に磁性体に焼鈍処理を施すことも教示されている。
しかし、磁性体と樹脂材料との混合時には、磁性体の凝集や不均一分散、充填性の低下といった問題が常に発生する。複合材料中における磁性体の分散が不均一であったり、また磁性体の充填性が低下すると、得られる成形体の磁気特性も劣化する。
したがって、本発明は、磁性体の分散性、充填性に優れ磁気特性の向上された成形体を得るために好適な磁性複合材料の製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、磁性体の分散性、充填性を向上すべく鋭意検討したところ、樹脂材料との混合前に磁性体を真空下で焼鈍処理することで、かかる課題が解決され得るとの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題の解決する本発明は、以下の事項を要旨とする。
(1)磁性体を真空下で焼鈍処理し、得られた磁性体を重合体および重合性モノマーからなる群から選択される樹脂材料と混合する磁性複合材料の製造方法。
(2)前記磁性体が、軟磁性体である(1)に記載の磁性複合材料の製造方法。
(3)前記磁性体が、形状異方性を有する(1)または(2)に記載の磁性複合材料の製造方法。
(4)前記磁性体の形状を三次元的に観察した際に、長軸の長さ(X)と短軸の長さ(Y)との比(X/Y)が1を超え、10000以下である(3)に記載の磁性複合材料の製造方法。
(5)前記磁性体の形状が偏平状である(4)に記載の磁性複合材料の製造方法。
(6)前記磁性体を、磁性複合材料の全体積に対して0.1〜80体積%混合する(1)〜(5)のいずれかに記載の磁性複合材料の製造方法。
(7)前記樹脂材料が重合性モノマーである(1)〜(6)のいずれかに記載の磁性複合材料の製造方法。
(8)前記重合性モノマーが塊状重合性モノマーである(7)に記載の磁性複合材料の製造方法。
(9)上記(7)または(8)に記載の製造方法により得られた磁性複合材料を支持体に塗布または含浸し、重合を行う成形体の製造方法。
(10)上記(9)に記載の製造方法により得られる成形体。
(11)上記(7)または(8)に記載の磁性複合材料を金型に注入し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
(12)上記(11)に記載の製造方法により得られる成形体。
本発明によれば、樹脂材料との混合に先立ち、磁性体を真空下で焼鈍処理する。これにより、樹脂材料に対する磁性体の分散性、充填性が向上する。何ら理論的に制約されるものではないが、かかる焼鈍処理により、磁性体の表面状態(酸化状態等)が変化し、樹脂材料との親和性が向上したものと考えられる。また、かかる焼鈍処理により磁性体中の残留歪みが解消され、磁性体自体の磁気特性も向上する。さらに、樹脂材料として重合性モノマーを使用する場合には、磁性体とモノマーとの混合時に、磁性体に過剰な応力が加えられることもなく、磁性体の磁気特性が損なわれることもない。また、樹脂材料として重合性モノマーを使用する場合には、重合体を使用する場合と比較して、磁性体の高充填が可能であり、得られる成形体においてはボイドの発生がなく、優れた磁気特性が達成される。さらに、樹脂材料として塊状重合性モノマーを使用した場合には、溶剤を用いる必要がないため、射出成形等の高速成形が可能であり、かつ溶剤の乾燥工程が不要になる。したがって、この複合材料によれば、高い生産性で磁性成形体が得られる。
本発明の磁性複合材料の製造方法では、真空下で焼鈍処理された磁性体を、重合体および重合性モノマーからなる群から選択される樹脂材料と混合する。
真空下で焼鈍処理される磁性体(以下、「未処理磁性体」と呼ぶことがある)は、各種の磁性体粉末が特に制約されることなく使用される。しかしながら、得られる成形体において高透磁率が達成され得るため、軟磁性体あるいは形状異方性を有する磁性体が好ましく使用され、特に形状異方性を有する軟磁性体が好ましく使用される。
焼鈍処理は、真空下で行われる。この際の真空圧は、高真空および低真空のいずれも採用することができる。具体的には、低真空で焼鈍処理を行う場合の真空圧は、好ましくは10kPa以下、さらに好ましくは1〜1000Pa、特に好ましくは10〜100Paである。また、高真空で焼鈍処理を行う場合の真空圧は、好ましくは10−2〜10−6Pa、より好ましくは10−3〜10−6Pa、特に好ましくは10−4〜10−6Paである。高真空で焼鈍処理を行った後、所定時間経過後に低真空として焼鈍処理を継続してもよい。
何ら限定されるものではないが、一般的には焼鈍処理は、通常300〜1500℃、好ましくは400〜1200℃、より好ましくは500〜900℃にて、通常は0.1〜10時間、好ましくは0.5〜2時間行われる。上記温度よりも低すぎると、真空下では熱伝導が不十分となる。また焼鈍温度が高すぎると、磁性体が焼結し凝集しやすくなる。焼鈍時の昇温速度、降温速度は、特に限定されない。
焼鈍処理に使用される装置は、上記温度まで昇温でき、かつ所定の真空度を達成できる構造であれば、特に限定されない。またバッチ式、流動層式なども限定されない。例えば、高速ガス冷却真空炉、高速ヘリウム冷却真空炉、油槽付連続真空炉、真空焼戻炉バッチ型電気炉、縦型真空炉、2室式真空熱処理炉などが好ましく用いられる。焼鈍処理の終了後、窒素、アルゴン、空気等を徐々に導入し常圧に戻して本発明で使用する磁性体が得られる。
なお、磁性粉体の焼鈍をバッチ式で行う場合、粉体が飛散しないよう、ステンレスやアルミナなどの容器に入れ、隙間のある蓋をするのが良い。
焼鈍処理に供される未処理磁性体は、目的とする成形体の用途に応じて適宜な磁性体を選択すればよいが、高透磁率を目的とする場合には、軟磁性体、あるいは形状異方性を有する磁性体が好ましく用いられ、特に形状異方性を有する軟磁性体が好ましく用いられる。ここで軟磁性とは、外部から印加された磁場に対して内部の磁化が磁場方向にそろいやすい、すなわち磁化しやすい性質である。これに対し、硬磁性とは外部磁場が加わっても内部の磁化が起こりにくい性質であり、かつ外部に磁場が作れる性質である。本発明では、軟磁性体が好ましく使用される。
また、「形状異方性」とは、真球状を除く趣旨であり、本発明で好ましく使用される磁性体の形状は、真球状以外の形状であれば如何なる形状であってもよい。
特に、前記磁性体の形状を三次元的に観察した際に、長軸の長さ(X)と短軸の長さ(Y)とのアスペクト比(X/Y)が、1を超え10000以下、好ましくは1を超え1000以下、より好ましくは1を超え500以下、特に好ましくは1を超え100以下であることが望ましい。
上記において、長軸長(X)は好ましくは0.01〜1000μm、より好ましくは0.01〜500μm、特に好ましくは0.1〜100μmの範囲にあり、また短軸長(Y)は、好ましくは0.001〜100μm、より好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.1〜5μmの範囲にある。
長軸長(X)および短軸長(Y)は、電子顕微鏡(SEM)などで軟磁性粒子を観察した写真像にて、100個の任意の粒子についての平均値を求めることにより決定される。
ここで、「三次元的に観察する」とは、SEMの試料台を回転させるなどにより粒子全体の三次元的な形状を把握し、個々の軟磁性粒子の長軸長(X)および短軸長(Y)の最大値を求めることを表す。
磁性体のより具体的な形状としては、針状、棒状、偏平状、樹木状などの形状があげられ、より好ましくは針状、棒状、偏平状であり、特に好ましくは偏平状である。偏平形状とは、電子顕微鏡(SEM)による断面写真で測定した平均厚さをd、レーザー回折法により測定した平均粒径をD50としたときD50/dが、好ましくは2以上、より好ましくは2〜100、さらに好ましくは5〜50である形状をいう。
偏平形状の度合が小さすぎると、電磁波遮蔽能及び/または電磁波吸収能が小さくなることがあり、一方、偏平形状の度合が大きすぎると成形時の流動性が低下するために成形できなくなることがある。
偏平形状の度合を表す他の指標として、上記のレーザー回折法により測定した平均粒子径とASTM D4567法により測定した比表面積の積として定義される偏平度がある。
このように定義される偏平度が、5×10−6/g〜100×10−6/g、より好ましくは10×10−6/g〜100×10−6/gである磁性体は、本発明において好ましく使用することができる。
また、好ましく使用される軟磁性体の典型例としては、Fe、Ni、Coのうち少なくとも一つを含む単体、化合物または合金が挙げられ、具体的には軟磁性フェライト、軟磁性金属などが挙げられる。
軟磁性フェライトは、酸化第2鉄(Fe23)と二価の金属酸化物(MO)との化合物(MO・Fe23)である。ここで、Mは二価の金属を表す。具体的には、二価の金属酸化物の種類により、Mn−Zn系、Mg−Zn系、Ni−Zn系、Cu系、Cu−Zn系、Cu−Zn−Mg系、Cu−Ni−Zn系、Li−Fe系などのスピネル型フェライト、RFe512(Rが3価のYまたは希土類元素)で示されるYFe系などのガ−ネット型フェライト、MeをFe、Ni、Co、CuとするとMeO、BaO、Fe23の組成を組み合わせた六方晶構造をもつBaFe系などのフェロクスプレーナ型フェライトに分類される。
この中でも、Ni、Mn、Zn、Y、またはBaを含むフェライトが好ましい。特に好ましくはMn−Zn系、Ni−Zn系などのスピネル型BaFe系などのフェロクスプレーナ型が特に好ましく、これらを用いることで透磁率を高めることができる。ここで、Mn−Zn系等の表現は、MnおよびZnを上記二価の金属として含有することを意味する。
Ni−Zn系フェライトとは、一般式(NiO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Niの一部をCu、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Ni−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mg−Zn系フェライトとは、一般式(MgO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Mgの一部をNi、Cu、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mg−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Mn−Zn系フェライトとは、一般式(MnO)x(ZnO)y・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Mnの一部をNi、Cu、Co、Mg等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Mn−Zn系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
Cu系フェライトとは、一般式(CuO)x・Fe23で表される組成を持つものをいうが、Cuの一部をNi、Zn、Mg、Co、Mn等の他の二価金属で置換したものであってもよい。Cu系フェライトは、本来の特性を損なわない範囲で、その他の元素を含有していてもよい。
軟磁性フェライトは、公知の方法で得ることができる。これら酸化物系の磁性体であるフェライトの原料の代表的なものは、Fe23、MnO2、MnCO3、CuO、NiO、MgO、ZnO、YO、BaOなどの金属酸化物または金属炭酸塩などである。軟磁性フェライトの製造方法としては、乾式法、共沈法、及び噴霧熱分解法が代表的なものである。
乾式法では、上記元素の酸化物や炭酸塩などの各原料を所定の配合比となるように計算して機械的に混合し、焼成後、粉砕する。乾式法では、原料混合物を仮焼成し、微粒子に粉砕した後、顆粒状に造粒し、さらに本焼成した後、再度粉砕して軟磁性フェライト粉末を得てもよい。共沈法では、金属塩の水溶液に強アルカリを加えて水酸化物を沈殿させ、これを酸化して微粒子のフェライト粉末を得る。フェライト粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。噴霧熱分解法では、金属塩の水溶液を熱分解して微粒子状の酸化物を得る。酸化物粉末は、造粒した後、焼成され、次いで粉砕してもよい。焼成されたフェライトは、ハンマーミル、ロッドミル、ボールミル等によって粉砕され、フェライト粉末とされる。
このようにして得られたフェライト粉末は、真球状であってもよいが、好ましくは形状異方性を有する。軟磁性フェライトの製造方法としては、乾式法、共沈法、及び噴霧熱分解法などの方法が、直接形状異方性の粒子を均一に得られるため好ましい。
軟磁性金属には、単金属磁性体と複合金属磁性体がある。単金属磁性体は、Fe、Ni、またはCoからなるものであり、具体的には、鉄粉、ニッケル粉、コバルト粉などがある。複合金属磁性体は、2種以上の金属の複合体であり、Fe、Ni、Coのうち少なくとも一つ含み、またこれらのほかに、Si、Al、Co、Cr、B、Nb、Mo、P、Zr、Ti、Hf、Ti、Cuなどを含んでもよい合金、アモルファス合金またはナノ結晶質の金属である。
具体的にはFeSi材料(ケイ素鋼)、FeNi材料(パーマロイ)、FeNiMo材料(スーパーマロイ)、FeCo材料、FeCr材料、FeAl材料、FeAlSi材料(センダスト)、FeSiNi材料などの金属結晶質材料;FeやCoなどを少なくとも一つ含む金属非晶質材料;FeやCoなどを少なくとも一つ含む金属ナノ結晶質材料などが挙げられる。
ここでFeを含む非晶質材料としては、Fe−Si−B系、Fe−B系、Fe−P−C系などのFe−半金族系非晶質金属材料やFe−Zr系、Fe−Hf系、Fe−Ti系などのFe−還移金属系非晶質金属材料が例示できる。Coを含む非晶質金属材料としてはCo−Si−B系、Co−B系などの非晶質金属材料が例示できる。そして、非晶質金属材料を熱処理によりナノサイズに結晶化させたナノ結晶質材料としては、Fe−Si−B−Cu−Nb系、Fe−B−Cu−Nb系、Fe−Zr−B−(Cu)系、Fe−Zr−Nb−B−(Cu)系、Fe−Zr−P−(Cu)系、Fe−Zr−Nb−P−(Cu)系、Fe−Ta−C系、Fe−Al−Si−Nb−B系、Fe−Al−Si−Ni−Nb−B系、Fe-Al-Nb-B系、Co−Ta−C系などが挙げられる。ここで、Fe−Si−B−Cu−Nb系等の表現は、Fe、Si、B、CuおよびNbを主たる構成元素として含有することを意味する。また、「(Cu)」は、Cuを微量成分として含有することを意味する。これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも好ましくは、少なくともFe原子を含むものであり、具体的にはFeNi材料(パーマロイ)、FeNiMo材料(スーパーマロイ)、FeAl材料、FeAlSi材料(センダスト);Feを含む金属非晶質材料;Feを含む金属ナノ結晶質材料である。これらを用いることで透磁率をより増加させることができる。
これらの複合金属磁性体および磁性金属粉の製造方法は、公知の方法が採用でき、特に限定されない、例えばCVD、ゾルゲル、電気還元方法、レーザーアビュレーション法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、還元剤を使った化学還元法、メカニカルアロイングによるコンポジット法などが挙げられる。
このようにして得られた複合金属磁性体および磁性金属粉は、真球状であってもよいが、好ましくは形状異方性を有する。また所定形状およびサイズの複合金属磁性体および磁性金属粉を作成する方法としては、必要な組成のインゴットを振動ミル等で粗粉砕した粉末を作製し、次に圧延、せん断作用を持つボールミル等の粉砕メディアを用いた粉砕機やアトライタで粉砕する方法も例示することができる。さらに上記のインゴット粉砕法による粗粉砕方法の代わりに、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法、回転ディスク法やビビリ振動法で粉砕して等を用いることも可能である。これにより好ましくは針状、扁平状の複合金属磁性体および磁性金属粉が得られる。
これらの中でも、本発明では、複合金属磁性体および磁性金属粉が好ましく用いられる。これら磁性体は一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
またこれら磁性体の表面は、シリカ、アルミナなど無機物で被覆されるか、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、ジルコネートカップリング剤、およびアルミネートカップリング剤などのカップリング剤;シラザン;ポリシロキサン;などの公知の表面処理剤で表面処理をされていることが好ましい。
シランカップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的な例を挙げると、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、1.6ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリメトキシスチリルシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、チタネートカップリング剤は公知のものを用いることができる。具体的な例を挙げると、トリイソステアロイルイソプロピルチタネート、ジ(ジオクチルホスフェート)ジイソプロピルチタネート、ジドデシルベンゼンスルフォニルジイソプロピルチタネート、ジイソステアリルジイソプロピルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
また、シラザン類としてヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、テトラメチルジフェニルジシラザンなどが挙げられる。
これらの中でも反応性の置換基を有するものが好ましい。ここで反応性の置換基とは、樹脂材料と反応し得る基であり、特に限定されないが、例えば不飽和結合基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、アミノ基、アミド基、シアネート基、水酸基、カルボキシル基、ヒドロシリル基などが挙げられる。これらを用いることで後述する重合性モノマーとの密着性および相溶性が向上する。反応性基は、重合性モノマーの極性および反応性に応じて適時組み合わせて用いることが好ましい。
例えば、重合性モノマーがシクロオレフィンモノマーである場合に特に好ましい表面処理剤としては、ビニルメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのシランカップリング剤;ヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザンなどシラザン;が挙げられる。
これらの表面処理剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。表面処理剤の量は、特に磁気特性や耐熱性を損ねない限り特に限定されないが通常、磁性体100重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部である。この範囲より少ないと樹脂材料との相溶性などで充分な効果は得られない恐れがあり、この範囲より多くても経済性などで優れない場合がある。
磁性体の配合量は磁性複合材料の全体積に対して、通常0.1〜80体積%、好ましくは10〜75体積%、より好ましくは15〜70体積%、特に好ましくは20〜65体積%である。また、磁性体の配合量は磁性複合材料の全重量に対して、通常0.1〜99.9質量%、好ましくは10〜99.0質量%、より好ましくは50〜97質量%、特に好ましくは70〜95質量%である。
なお、ここで、磁性複合材料の全体積および全重量とは、磁性体および後述する樹脂材料、ならびに所望により添加される任意的成分を含む場合には、これらの全成分からなる組成物の体積および重量を意味する。磁性体の配合量が上記範囲より少ないと、充分な磁気特性を得られない恐れがあり、この範囲より多い場合は、成形性が悪くなる恐れがある。磁性体の磁気特性の指標として、透磁率を挙げられる。本発明においては、最終的に得られる成形体の100MHzでの複素透磁率が好ましくは2以上、さらに好ましくは5以上、1GHzでの透磁率が好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上、となるように磁性体の配合量を設定することが望ましい。複素透磁率が低すぎる場合には、充分な磁気特性を得られない恐れがある。また1GHz以上の高周波で透磁率が高いことで、無線LAN、ETC、車載レーダーなど高周波を使用する用途に優れる。
本発明の磁性複合材料の製造方法は、上記真空下で焼鈍処理された磁性体と、樹脂材料とを混合することを特徴としている。樹脂材料としては、この種の磁性複合材料に用いられる各種の重合体および重合性モノマーが特に制限されることなく使用される。
重合体としては、熱可塑性重合体、熱硬化性重合体のいずれも特に制限されることなく用いられる。
このような重合体のさらに具体的な例としては、ニトリル−ブタジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム等のゴム;
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;
ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の汎用プラスチック;
ポリ4メチルペンテン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン(AS樹脂)、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアルキレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、変性ポリアミド6T、ポリサルホン等の各種エンジニアリングプラスチック;さらには
液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、全芳香族ポリエステル、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性フッ素樹脂(PEA、ETFE)、ポリケトンサルファイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、トリアジン樹脂、架橋型ポリイミドおよび架橋型ポリアミドイミド等があげられる。
このような重合体と磁性体との混合方法は、特に限定はされず、重合体と磁性体とを直接混合してもよいが、重合体を好適な溶媒に溶解しワニスとした上で、磁性体と混合することが、磁性体が均一に分散するため、好ましい。
たとえば、前記したゴム類であれば、ニーダー、ロール等を用いて磁性体とともに混練して磁性複合材料を得ることができる。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル系重合体などの熱可塑性樹脂の場合には、ニーダー、単軸押出し機や二軸押押出し機など溶融押出し機、ヘンシェルミキサーなどで磁性体と混合するのが良い。さらに、これらの手段を用いて、ペレットなどを成形し、このペレットを用いて目的の成形体を成形してもよい。
また、ラテックスのような重合体が分散した分散液なら、そのまま分散液の状態で、ミキサー、ボールミル、ホモジナイザーなどで磁性体と混合する。
重合体を溶剤に溶解させた溶液(ワニス)なら、その溶液と磁性体をミキサー、ボールミル、ホモジナイザーなどで混合して、磁性複合材料が得られる。
これらの重合体を用いた磁性複合材料は、それぞれ適宜な手段により所望形状の成形体に成形される。
たとえば、前記したゴム類を含有する磁性複合材料では、ロール・ニーダーでシート化する。
また、熱可塑性樹脂を含有する磁性複合材料では、2軸押出しなどでペレットを作成して、得られたペレットを用いて、射出成形、押出成形、ブロー成形により成形体を得る。
さらに、ワニスを使用した磁性複合材料では、直接基材に吹き付けて、溶剤を揮発させ任意の形状の成形体を得てもよく、またTダイ、ドクターブレードなどで膜厚を制御しつつ、磁性複合材料を基材上に塗布、乾燥して、所望厚みのシートを得ることもできる。溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。
樹脂材料として用いられる重合性モノマーは、熱、光、あるいは所定の触媒、重合開始剤などにより重合し、重合体を生成する低分子量化合物であり、本発明では特に限定されることなく、各種の重合性モノマーが使用される。しかしながら、取り扱いの容易性等の観点から、塊状重合性モノマーが好ましく用いられる。
ここで、塊状重合とは、実質的に希釈溶剤なしに重合性モノマーを重合させる重合方法である。本発明において好ましく使用される塊状重合性モノマーは、かかる重合が可能であれば特に限定はされないが、好ましくは分子内に1以上の不飽和結合を有するモノマーである。以下、本発明の好ましい態様として、塊状重合性モノマーを使用した磁性複合材料について詳説するが、本発明はこの態様には限定されず、塊状重合性モノマーに代えて、上述した各種の重合体、重合性モノマーを使用したものも含まれる。
塊状重合性モノマーにおける不飽和結合とは、モノマーに付加重合性あるいは開環重合性を付与する炭素−炭素二重結合(C=C)、炭素−炭素三重結合(C≡C)、イソシアネート基(N=C=O)を指す。この中でも、反応制御の点から炭素−炭素二重結合(C=C)および炭素−炭素三重結合(C≡C)が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C)がより好ましい。塊状重合は、熱重合とUV・ガンマ線などを用いた光重合などがあるが、操作の容易性、反応の均一性の観点から、好ましくは熱重合と重合触媒を用いた重合であり、より好ましくは重合触媒を用いた重合である。
重合形式は、特に限定はされないが、以下のものがある。
(i) 不飽和結合のみが反応し脱離成分がない付加重合、
(ii) 環状モノマーの開環を伴う重合で脱離成分がない開環重合、
(iii) 脱離成分を伴う重縮合、
(iv) 脱離成分のない重付加、
上記の中でも、好ましくは、(i)、(ii)、(iv)、より好ましくは(i)、(ii)である。これらによれば、低分子量の副生成物の生成が抑制されるので、得られる成形体の信頼性や耐熱性が優れる。
重合反応機構としてはラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、遷移金属触媒を利用した重合などがあり特に限定されない。反応の進行の容易さから、好ましくはラジカル重合、遷移金属触媒を利用した重合であり、より好ましくは、ラジカル重合、メタセシス重合である。
このような塊状重合性モノマーの具体例としては、
オレフィン、ハロゲン化オレフィン、ジエン、アセチレン、スチレン、ビニル化合物、アクリル酸類等の付加重合型の炭素多重結合系モノマー;
環状エーテル、ラクトン、ラクタム、環状アミン、環状スルフィド、環状カーボナート、環状酸無水物、環状イミノエーテル、アミノ酸-N-カルボン酸無水物、環状イミド、環状含リン化合物、環状含シリコン化合物、環状オレフィン等の開環重合型または重縮合型の環状モノマー;
フェノール、メラミン、尿素、ジアミン、ジカルボン酸類、オキシカルボン酸、アミノカルボン酸、ジオール、ジイソシアナート、含硫黄化合物、含リン化合物、芳香族エーテル、ジハロゲン化合物、アルデヒド、ジケトン化合物、炭酸誘導体等の重縮合型または重付加型の2官能性モノマー;さらに
アニリン誘導体、ケイ素化合物、エポキシ化合物、マクロマー等があげられる。
これら塊状重合性モノマーの中でも、入手の容易性、反応の均一性および得られる重合体の物性等の観点から、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマー、エポキシモノマー、シクロオレフィンモノマー、ウレタンモノマーおよびシランモノマーが好ましく、芳香族ビニルモノマー、アクリルモノマーおよびシクロオレフィンモノマーがより好ましく、アクリルモノマーおよびシクロオレフィンモノマーが特に好ましい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。
芳香族ビニルモノマーの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。
本発明においてアクリルモノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸エステルを表す。アクリル酸またはメタクリル酸エステルは、アルキルエステルであることが好ましく、そのエステル基のアルキル基の炭素数は、4〜18が好ましく、4〜12がより好ましく、4〜8が特に好ましい。アクリル酸またはメタクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸またはメタクリル酸メチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸エチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−ブチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−オクチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸イソオクチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−デシルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸n−ドデシルエステル等などのアクリル酸またはメタクリル酸アルキルエステル;(アクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のアクリル酸またはメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチルエステル、アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチルエステル等の、アクリル酸またはメタクリル酸N,N−ジメチルアミノアルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸グリシジルエステルなどのエポキシ基含有アクリル酸またはメタクリル酸エステル; エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル類などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシモノマーとしては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、なかでもオルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂またはビフェニル骨格含有エポキシ樹脂が好適に用いられる。なお、エポキシ当量は100乃至300g/eqが好ましい。
シクロオレフィンモノマーは、分子内に炭素原子で形成される環構造を有し、該環中に炭素−炭素二重結合とを有する化合物である。シクロオレフィンモノマーを重合することでシクロオレフィン樹脂が得られる。
シクロオレフィンモノマーを構成する脂環式構造としては、単環、多環、縮合多環、橋かけ環およびこれらの組み合わせ多環などが挙げられる。脂環式構造を構成する炭素数に格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。
シクロオレフィンモノマーとしては、単環シクロオレフィンモノマーや、ノルボルネン系モノマーなどが挙げられ、ノルボルネン系モノマーが好ましい。ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環構造を分子内に有するシクロオレフィンモノマーである。これらは、アルキル基、アルケニル基、アルキリデン基、アリール基などの炭化水素基や、極性基によって置換されていてもよい。また、ノルボルネン系モノマーは、ノルボルネン環の二重結合以外に、二重結合を有していてもよい。
単環シクロオレフィンモノマーとしては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、1,5−シクロオクタジエンなどが挙げられる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエンなどのジシクロペンタジエン類;
テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−エチリデンテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、9−フェニルテトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−4−エン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4−カルボン酸、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−エン−4,5−ジカルボン酸無水物などのテトラシクロドデセン類;
2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、アクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、メタクリル酸5−ノルボルネン−2−イル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などのノルボルネン類;
7−オキサ−2−ノルボルネン、5−エチリデン−7−オキサ−2−ノルボルネンなどのオキサノルボルネン類;
テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ−4,10−ジエン、ペンタシクロ[9.2.1.02,10.03,8]ペンタデカ−5,12−ジエンなどの四環以上の環状オレフィン類;などが挙げられる。
これらのシクロオレフィンモノマーのうち、極性基を有しないシクロオレフィンモノマーが、低誘電正接の成形体を得ることができるので好ましい。またテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンなどの芳香性の縮合環を有するものを用いると磁性複合材料の粘度を下げることができる。
ウレタンモノマー類は、カルボニルを介してアミノ基とアルコール基が脱水縮合した化合物である。カルバミン酸のエステルに相当し、カルバマート (carbamate) とも呼ばれる。
具体的な例示としては、トリイソシアネート、ジイソシアネートなどがある。ジイソシアネートにはジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートベンゼン、キシリレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;脂環族ジイソシアネートとして、例えばメチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン2,6−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、ヘキサヒドロキシリレンジイソシアネート、ヘキサヒドロトリレンジイソシアネート、オクタヒドロ1,5−ナフタレンジイソシアネートなどを使用することができる。これらのジイソシアネートは一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
シランモノマー類としては、各種シラン化合物等が用いられる。具体的にはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリメトキシシラン、ノルボルニルトリエトキシシラン、ビス(アリルフェニルジメチルシロキシ)テトラメチルジシロキサン、ビス(フェニルエチニル)ジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、t−ブチルジメチルシロキシスチレン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラン、ジビニルテトラメチルジシロキサン、ドデセニルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、メタクリロキプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、オクタビニル−T8−シルセスキオキサン、テトラビニルシラン、テトラアリルシラン、テトラビニルジメトキシジシロキサン、トリメチルシリルプロピレン、トリビニルトリメチルシクロトリシロキサン、ビニルベンジルオキシトリメトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルトリメトキシシランなどがあげられる。
これらシランモノマーは一種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、特にアクリルモノマー、シクロオレフィンモノマーが好ましく用いられる。
本発明の好ましい磁性複合材料においては、上記磁性体および重合性モノマーに加えて、さらに重合触媒、連鎖移動剤、架橋剤等を混合してもよい。
重合触媒は、使用する重合性モノマーの種類に応じて適宜に選択される。このような重合触媒としては、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤等の重合開始剤、
白金触媒、メタロセン触媒、メタセシス触媒など遷移金属触媒、および
有機酸、無機酸、無機アルカリ、アミン類などがあげられる。
これらは反応系に応じて適宜に選択され、その使用量も触媒種および反応系に応じて適宜に設定される。好ましくは、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属触媒、有機酸、アミン類が用いられ、より好ましくは、ラジカル重合開始剤、白金触媒、メタセシス触媒、アミン類、特に好ましくは、ラジカル重合開始剤、メタセシス触媒が用いられる。
光重合開始剤の例としては、アシロインエーテル(例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインエチルエーテルおよびアニソインイソプロピルエーテル)、置換アシロインエーテル(例えば、α-ヒドロキシメチルベンゾインエチルエーテル)、マイケルケトン(4,4’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン)、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(例えば、サルトマー社製のKB−1またはチバ-ガイギー社製のイルガキュア651)などが含まれる。
ラジカル開始剤としては、公知のものが使用できる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;過酸化水素;ラウロイルパーオキサイド、ベンソイルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物などがあり、これらは単独もしくは混合して、またはさらに酸性亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸などのような還元剤と併用したレドックス系として使用できる。また、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイック酸)などのアゾ化合物;2,2’−アゾビス(2−アミノジプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのアミジン化合物などを使用することもできる。
また、カチオン重合開始剤としては、アルキルアルミニウムなどがあげられ、アニオン重合開始剤としては、ブチルリチウムなどがあげられる。
白金触媒、メタロセン触媒としては、各種公知の触媒が特に制限されることなく用いられる。
メタセシス触媒は、シクロオレフィンモノマーをメタセシス開環重合できるものであれば特に限定されない。かかるメタセシス重合触媒としては、遷移金属原子を中心原子として、複数のイオン、原子、多原子イオン及び/又は化合物が結合してなる錯体が挙げられる。遷移金属原子としては、長周期型周期律表第5周期以降の金属であって、5族、6族及び8族の原子が挙げられる。それぞれの族における原子は特に限定されず、例えば、5族の原子としてはタンタルが、6族の原子としてはモリブデンやタングステンが、8族の原子としてはルテニウムやオスミウムが挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期律表第8族のルテニウムやオスミウムの錯体が好ましく、次の理由からルテニウムカルベン錯体が特に好ましい。ルテニウムカルベン錯体は、触媒活性に優れるため磁性複合材料の開環重合反応率を高くできの生産性に優れる。また、得られる樹脂成形体に臭気(未反応の環状オレフィンに由来する)が少ない。更に、ルテニウムカルベン錯体は、酸素や空気中の水分に対して比較的安定で失活しにくい特徴を有する。
ルテニウムカルベン錯体は、例えば、Organic Letters,第1巻,953頁,1999年、Tetrahedron Letters,第40巻,2247頁,1999年などに記載された方法によって製造することができる。
ルテニウムカルベン錯体の例としては、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(3−メチル−2−ブテン−1−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−オクタヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン[1,3−ジ(1−フェニルエチル)−4−イミダゾリン−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチル−2,3−ジヒドロベンズイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(トリシクロヘキシルホスフィン)(1,3,4−トリフェニル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,4−トリアゾール−5−イリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルヘキサヒドロピリミジン−2−イリデン)(エトキシメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)ピリジンルテニウムジクロリドなどの配位子としてヘテロ原子含有カルベン化合物および中性の電子供与性化合物を有するルテニウム錯体化合物;
ベンジリデンビス(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリジン−2−イリデン)ルテニウムジクロリド、ベンジリデンビス(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)ルテニウムジクロリドなどの配位子として2つのヘテロ原子含有カルベン化合物を有するルテニウム錯体化合物;
(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(フェニルビニリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムジクロリド、(t−ブチルビニリデン)(1,3−ジイソプロピル−4−イミダゾリン−2−イリデン)(トリシクロペンチルホスフィン)ルテニウムジクロリド、ビス(1,3−ジシクロヘキシル−4−イミダゾリン−2−イリデン)フェニルビニリデンルテニウムジクロリドなどが挙げられる。
これらルテニウムカルベン錯体の中でも特に、特開2005−104922号公報で例示される4位および5位がハロゲン原子で置換された置換イミダゾリン−2−イリデンを配位子として有するルテニウム錯体化合物が好ましい。
これらは一種単独でも用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合触媒の量は、(触媒中の遷移金属原子):(シクロオレフィンモノマー)のモル比で、通常1:2,000〜1:2,000,000、好ましくは1:5,000〜1:1,000,000、より好ましくは1:10,000〜1:500,000の範囲である。
上記重合触媒は、反応系(モノマー種)に応じて適宜に選択される。
たとえば、重合性モノマーがエポキシモノマーの場合には、触媒として、アミン、有機酸が好ましく使用される。
たとえば、重合性モノマーがウレタンモノマーの場合には、アミン類が好ましく用いられる。
また、重合性モノマーが芳香族ビニルモノマーである場合には、重合触媒としてはラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、メタロセン触媒、フェノキシイミン触媒などが挙げられ、ラジカル重合開始剤、メタロセン触媒、フェノキシイミン触媒などが好ましい。
重合性モノマーがアクリルモノマーである場合には、重合触媒としてはラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤が好ましく用いられる。
重合性モノマーがシクロオレフィンモノマーである場合には、重合触媒としてはメタセシス触媒が好ましく用いられる。
さらに、重合性モノマーがシランモノマーである場合には、重合触媒としては白金触媒、ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。
重合触媒と重合性モノマーとのさらに好ましい具体的な組み合わせとしては、1)ラジカル重合開始剤とスチレンモノマー、2)ラジカル重合開始剤とメタクリルモノマー、3)ラジカル重合開始剤とシランモノマー、4)メタセシス重合触媒とシクロオレフィンモノマーなどが挙げられる。
本発明の製法において磁性複合材料に重合性モノマーが混合される場合には、さらに連鎖移動剤が配合されていてもよい。連鎖移動剤を配合することにより、重合の際の発熱による反応が進行することを防止でき、生成する重合体の分子量を調整することができる。
磁性複合材料が後述する架橋剤を含む場合、得られる重合体は架橋性重合体となる。架橋性重合体の架橋は加熱により進行する。連鎖移動剤を含有する磁性複合材料を重合した後の架橋性重合体は、重合が進行したときの最高温度(ピーク温度)より高い温度に加熱することで、架橋反応が進行し、優れた物性の架橋樹脂成形体を与えることができる。このため、架橋性重合体を金属箔などの他の基体材料と重ねた後、加熱すると、架橋体と他の基体材料との界面の密着度が著しく向上する。連鎖移動剤は、塊状重合性モノマーの種類に応じ適宜に選択されるが、シクロオレフィンモノマーを用いるメタセシス重合の場合は通常、ビニル基を少なくとも一つ有する化合物を用いることができる。
連鎖移動剤としては、ビニル基以外に、後述する架橋に寄与する基を有するものが好ましい。かかる架橋に寄与する基とは、具体的には、炭素−炭素二重結合を有する基であり、ビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基等が挙げられる。これらの基は、分子鎖の末端にあることが好ましい。特に、式:CH=CH−Q−Yで表される化合物が好ましい。式中、Qは二価の炭化水素基を表し、Yはビニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基を表す。Qで表される二価の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、およびこれらが結合してなる基等が挙げられる。中でも、フェニレン基および炭素数4〜12のアルキレン基が好ましい。この構造の連鎖移動剤を用いることで、より強度の高い架橋体や架橋樹脂複合体を得ることが可能になる。
かかる連鎖移動剤の好ましい具体例としては、メタクリル酸アリル、メタクリル酸3−ブテン−1−イル、メタクリル酸ヘキセニル、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸デセニルなどのYがメタクリロイル基である化合物;アクリル酸アリル、アクリル酸3−ブテン−1−イルなどのYがアクリロイル基である化合物;ジビニルベンゼンなどのYがビニル基である化合物;などが挙げられる。中でも、メタクリル酸ウンデセニル、メタクリル酸ヘキセニルおよびジビニルベンゼンが特に好ましい。
上記の他に連鎖移動剤として用いることのできる化合物としては、1−ヘキセン、2−ヘキセンなどの脂肪族オレフィン類;スチレンなどの芳香族基を有するオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素基を有するオレフィン類;エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;メチルビニルケトン、1,5−ヘキサジエン−3−オン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン−3−オンなどのビニルケトン類;アクリル酸スチリル、エチレングリコールジアクリレートなどのアクリル酸エステル;アリルトリビニルシラン、アリルメチルジビニルシラン、アリルジメチルビニルシランなどのシラン類;アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル;アリルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノールビニルエーテル、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、4−ビニルアニリン;などが挙げられる。
重合性モノマーとしてアクリレート化合物またはスチレン類を用いた場合は、連鎖移動剤として、ラウリルメルカプタン、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸オクチル、3−プロピオンメルカプト酸およびα―メチルスチレンダイマーなどを用いることができる。
これら連鎖移動剤は一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。連鎖移動剤を使用する場合その量は、重合性モノマー100重量部に対して、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。連鎖移動剤の量が、この範囲であるときに、重合時の架橋反応が十分に抑制されるので、流動性に優れた樹脂成形体が得られる。
本発明の磁性複合材料は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、反応系(モノマー種)に応じて適宜に選択される。
アクリルモノマーを用いた場合には、得られるアクリルポリマーを架橋するために、架橋剤として架橋性モノマーを共重合させてもよい。架橋性モノマーとしては、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレートなどのジアクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリアクリレートなどのトリアクリル酸エステル類;ブタジエン、イソプレンなどのジエン類などが挙げられる。架橋性モノマーの使用量は、全モノマー使用量に対する割合が好ましくは0.3〜10重量%、より好ましくは0.5〜6重量%になるようにするとよい。
また、シクロオレフィンモノマーを用いた場合には、得られるシクロオレフィン樹脂の官能基と架橋反応して架橋構造を形成しうる架橋剤を用いることが好ましい。シクロオレフィン樹脂の官能基としては、例えば、炭素−炭素二重結合、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、活性ハロゲン原子、エポキシ基などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物、アミノ基含有化合物、ルイス酸などが挙げられる。これらの架橋剤は1種単独で、あるは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、酸無水物基含有化合物の使用が好ましく、ラジカル発生剤、エポキシ化合物、イソシアネート基含有化合物の使用がより好ましく、ラジカル発生剤又はエポキシ化合物の使用が特に好ましい。
ラジカル発生剤は、加熱によってラジカルを発生し、それによりシクロオレフィン樹脂を架橋する作用を有する。
ラジカル発生剤が架橋反応を起こす部位は、主にシクロオレフィン樹脂の炭素−炭素二重結合であるが、飽和結合部分でも架橋することがある。
ラジカル発生剤としては、有機過酸化物、ジアゾ化合物および非極性ラジカル発生剤が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類;ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシドなどのジアルキルペルオキシド類;ジプロピオニルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドなどのジアシルペルオキシド類;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、1,3−ジ(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのペルオキシケタール類;t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルオキシエステル類;t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、ジ(イソプロピルペルオキシ)ジカルボナートなどのペルオキシカルボナート類;t−ブチルトリメチルシリルペルオキシドなどのアルキルシリルペルオキサシド;などが挙げられる。中でも、特に塊状重合におけるメタセシス重合反応に対する障害が少ない点で、ジアルキルペルオキシドが好ましい。
ジアゾ化合物としては、例えば、4,4'−ビスアジドベンザル(4−メチル)シクロヘキサノン、4,4'−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4'−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4'−ジアジドジフェニルスルホン、4,4'−ジアジドジフェニルメタン、2,2'−ジアジドスチルベンなどが挙げられる。
非極性ラジカル発生剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジフェニルブタン、1,4−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、1,1,2,2−テトラフェニルエタン、2,2,3,3−テトラフェニルブタン、3,3,4,4−テトラフェニルヘキサン、1,1,2−トリフェニルプロパン、1,1,2−トリフェニルエタン、トリフェニルメタン、1,1,1−トリフェニルエタン、1,1,1−トリフェニルプロパン、1,1,1−トリフェニルブタン、1,1,1−トリフェニルペンタン、1,1,1−トリフェニル−2−プロペン、1,1,1−トリフェニル−4−ペンテン、1,1,1−トリフェニル−2−フェニルエタンなどが挙げられる。
エポキシ架橋剤は、カルボキシル基などの極性基を架橋点として架橋反応を進行させる。エポキシ架橋剤としては、ビスフェノールAビス(エチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(ジエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(トリエチレングリコールグリシジルエーテル)エーテル、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテルなどのビスフェノールA系グリシジルエーテル型エポキシ化合物のようなグリシジルエーテル型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物などのグリシジルエーテル型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物などの多価エポキシ化合物;などの分子内に二以上のエポキシ基を有する化合物が挙げられる。
イソシアネート基含有化合物としては、例えば、パラフェニレンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの分子内に二以上のイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。
カルボキシル基含有化合物としては、例えば、フマル酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ハイミック酸、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの分子内に二以上のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。
無水物基含有化合物としては,例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロペリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ナジック酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどが挙げられる。
アミノ基含有化合物としては、例えば、トリメチルヘキサメチレンジアミン、エチレンジアミン、1,4−ジアミノブタンなどの脂肪族ジアミン類;トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ポリアミン類;フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、トルエンジアミン、ジアミノジトリルスルホンなどの芳香族アミン類;などの分子内に二以上のアミノ基を有する化合物が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、四塩化珪素、塩酸、硫酸、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化第二スズ、四塩化チタンなどが挙げられる。
これらは一種単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。架橋剤を用いる場合その量は、シクロオレフィンモノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。架橋剤が少なすぎると、架橋が不十分になって高い架橋密度の架橋樹脂成形体が得られないおそれがある。逆に、架橋剤が多すぎると生産性に劣り、また架橋効果は飽和して不十分な効果しか得られない場合もある。
さらに本発明の製法において、磁性複合材料に重合性モノマー、特に塊状重合性モノマーが混合される場合には、上記に加えて各種の添加剤を含有してもよい。
たとえば、メタセシス重合触媒は活性剤と併用することもできる。活性剤は、重合活性を制御したり、重合反応率を向上させる目的で添加される。活性剤としては、アルミニウム、スカンジウム、スズのアルキル化物、ハロゲン化物、アルコキシ化物及びアリールオキシ化物などを例示することができる。
好ましい活性剤としては、トリアルコキシアルミニウム、トリフェノキシアルミニウム、ジアルコキシアルキルアルミニウム、アルコキシジアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウム、ジアルコキシアルミニウムクロリド、アルコキシアルキルアルミニウムクロリド、ジアルキルアルミニウムクロリド、トリアルコキシスカンジウム、テトラアルコキシチタン、テトラアルコキシスズ、テトラアルコキシジルコニウムなどが挙げられる。
活性剤を使用する場合の使用量は、(メタセシス重合触媒中の金属原子:活性剤)のモル比で、通常、1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
また、メタセシス重合触媒として、5族及び6族の遷移金属原子の錯体を用いる場合には、メタセシス重合触媒及び活性剤は、いずれもシクロオレフィンモノマーに溶解して用いる方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いることができる。
さらに、本発明の製法においては、磁性複合材料における磁性体の分散性を向上させるため、分散剤を混合してもよい。分散剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、テトラドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウムなどのスルホコハク酸塩;ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテルサルフェートナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テルサルフェートナトリウムなどのアルコキシサルフェート塩;ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのアルキルスルホン酸塩;アルキルエーテルリン酸エステルおよびそのナトリウム塩;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンラウリルエステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体などの非イオン性分散剤;ゼラチン、無水マレイン酸−スチレン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、重合度700以上かつケン化度75%以上のポリビニルアルコールなどの水溶性高分子などが例示され、これらは単独でも2種類以上を併用して用いても良い。
これらの中でも特に非イオン性分散剤が好ましく使用される。非イオン性分散剤は、疎水基と親水基をそれぞれ一つ以上含む化合物である。疎水基はフッ素およびケイ素を含んでもよい炭化水素、ならびに長鎖のポリプロピレンオキシド鎖である。親水基は、水酸基、エステル基、リン酸エステル基、エーテル基、エーテルエステル基、アミド基、アミノ基、アミンオキサイド基、イミド基、スルホキシド基などの極性基などを有し水に溶けてもイオンにならないものである。これらの中でも、エステル結合またはエーテル結合を有するものが好ましい。
またこれらの構造は、通常、親水基と疎水基のランダムおよびブロック型の直鎖構造、主鎖構造に側鎖をもつ分岐構造、ブランチポリマーやデンドリマーなど星型構造、環状構造などであるが、特に限定されない。好ましくは磁性体表面で嵩高い構造で吸着するものが良い。特に好ましくはブロック型直鎖構造、分岐構造である。また、これら非イオン性分散剤の性状は、粉末、ペースト、オイル状などであり特に限定されない。
具体的な分類を述べると1)ポリエチレングリコール鎖またはポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤、および2)多価アルコール型非イオン性分散剤に分けられる。
1)ポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤としては、アルキルおよびアリール付加ポリエチレングリコール、高級アルコール付加ポリエチレングリコール、アルキルフェノール付加ポリエチレングリコール、脂肪酸付加ポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル付加ポリエチレングリコール、高級アルキルアミン付加ポリエチレングリコール、脂肪酸アミド付加ポリエチレングリコール、油脂付加ポリエチレングリコール、フッ素炭化水素付加ポリエチレングリコール、およびポリエチレングリコールとシリコーンとの共重合体が挙げられる。ポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤としては、上記のポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤において、ポリエチレングリコール鎖の一部または全部がポリプロピレングリコール鎖に置換された構造を有するものが挙げられる。また、ポリエチレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤として、長鎖のポリオキシプロピレン鎖を親油基とするポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合体や、アルキルチオポリオキシエチレンエーテルも挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテル、アルカロールアミン類の脂肪アミド、縮合脂肪酸エステル、フッ素炭化水素付加物、シリコーンとの共重合体などが挙げられる。
1)ポリエチレングリコール鎖またはポリプロピレングリコール鎖を有する非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアリルエーテルなどのアルキルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどのアルキルアリールポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンモノグリセリンエステル、ポリオキシエチレンジグリセリンエステル、ポリオキシエチレントリグリセリンエステル、ポリオキシエチレンテトラグリセリンエステル、ポリオキシエチレンペンタグリセリンエステル、ポリオキシエチレンヘキサグリセリンエステルなどのグリセリンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタンジラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンジオレート、ポリオキシエチレンソルビタンジステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンジパルミレート、ポリオキシエチレンソルビタントリラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリパルミレートなどのソルビタンエステルポリオキシエチレンエーテル類;
ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンロジンエステルなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステル類が挙げられる。
また、2)多価アルコール型非イオン性分散剤のさらに具体的な例としては、
ステアリン酸モノグリセライド、オレインサン酸モノグリセライド、パルミチン酸グリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、オレインサン酸ジグリセライド、パルミチン酸ジグリセライドなどのグリセリンエステル類;
ソルビタンモノラウリレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタンエステル類;
モノ・ジステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、モノ・ジオレイン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ヘキサグリセリン、モノオレイン酸ヘキサグリセリン、モノミリスチン酸ヘキサグリセリン、モノラウリン酸ヘキサグリセリン、モノ・ジカプリル酸ヘキサグリセリン、ヘキサステアリン酸ヘキサグリセリン、オクタステアリン酸ヘキサグリセリン、モノステアリン酸デカグリセリン、ジステアリン酸デカグリセリン、ペンタステアリン酸デカグリセリン、デカステアリン酸デカグリセリン、モノオレイン酸デカグリセリン、ペンタオレイン酸デカグリセリン、デカオレイン酸デカグリセリン、モノミリスチン酸デカグリセリン、モノラウリン酸デカグリセリン、モノラウリン酸トリグリセリン、モノミリスチン酸トリグリセリン、モノオレイン酸トリグリセリン、モノステアリン酸トリグリセリン、モノラウリン酸ペンタグリセリン、モノミリスチン酸ペンタグリセリン、トリミリスチン酸ペンタグリセリン、モノオレイン酸ペンタグリセリン、トリオレイン酸ペンタグリセリン、モノステアリン酸ペンタグリセリン、トリステアリン酸ペンタグリセリン、ヘキサステアリン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン脂肪酸エステル類;
縮合リシノレイン酸テトラグリセリン、縮合リシノレイン酸ヘキサグリセリン、縮合リシノレイン酸ペンタグリセリンなどのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル類;
リシノレイン酸を2〜6分子縮合させたリシノレイン酸の自己縮合エステル、12−ヒドロキシステアリン酸を2〜6分子縮合させた12−ヒドロキシステアリン酸の自己縮合エステルおよびこれらとステアリン酸などを縮合させた縮合脂肪酸エステル類が挙げられる。
上記の中でも特にソルビタンエステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、縮合脂肪酸エステル類が好ましい。
これらの非イオン性分散剤を用いることで、重合性モノマー液により大量の磁性体を配合でき、かつ重合後の残存モノマーも少なく成形性が良い磁性複合材料が得られる。
また非イオン性分散剤としては、特に重合性モノマーに溶解するものが好ましい。予め非イオン性分散剤をモノマーに溶解することで作業効率が向上する。たとえば、シクロオレフィンモノマーに対する溶解性はグリフィンのHLB値が指標となる。すなわち、グリフィンのHLB値が10以下、好ましくは7以下の非イオン性分散剤が好ましく選択される。このような非イオン性分散剤を用いることで分散性とシクロオレフィンモノマーへの溶解性が向上する。
これら非イオン性分散剤の分子量は特に制限されないが、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)が通常100,000以下、より好ましくは50,000以下、さらに好ましくは100〜10,000、より好ましくは200〜5,000がよい。この範囲であるとシクロオレフィンモノマーに溶解しやすく作業性に優れる。
またこれらの非イオン性分散剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してよい。
非イオン性分散剤を使用する場合、その使用量は、重合性モノマー100重量部に対して通常0.1〜50重量部、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5重量部である。この範囲よりも少ないと磁性体の分散性が悪く成形しにくくなる恐れがあり、この範囲より多くても成形体の物性を損ねてしまう恐れがある。
さらに、メタセシス触媒を使用する場合には、メタセシス重合遅延剤が配合されていてもよい。メタセシス重合遅延剤は、メタセシス重合触媒の重合活性を制御し、磁性複合材料のゲル化時間(ポットライフ)を伸ばし、加工性を向上させる目的で配合される。このようなメタセシス重合遅延剤としては、例えば、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、(シス,シス)−2,6−オクタジエン、(シス,トランス)−2,6−オクタジエン、(トランス,トランス)−2,6−オクタジエンなどの鎖状ジエン化合物;(トランス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−1,3,5−ヘキサトリエン、(トランス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエン、(シス)−2,5−ジメチル−1,3,5−ヘキサトリエンなどの鎖状トリエン化合物;トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィンなどのホスフィン類;アニリンなどのルイス塩基;などが挙げられる。
さらに、環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーや環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーは、重合遅延剤としても作用する。このようなシクロオレフィンモノマーとしては、例えば、1,5−シクロオクタジエン、1,5−ジメチル−1,5−シクロオクタジエン、1,3,5−シクロヘプタトリエン、(シス,トランス,トランス)−1,5,9−シクロドデカトリエンなどの単環シクロオレフィンモノマー、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなど環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーが挙げられる。環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマーや不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーは、メタセシス重合遅延剤であると同時にシクロオレフィンモノマーでもあるため、前記シクロオレフィンモノマーの一部として用いつつメタセシス重合遅延剤として機能させることもできる。
これらメタセシス重合遅延剤の中でも、好ましくは鎖状ジエン系、鎖状トリエン系、ホスフィン類、環内にジエン構造やトリエン構造を有するシクロオレフィンモノマー、環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーがよく、より好ましくは、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィンなど鎖状アルキルホスフィン類、1,5−シクロオクタジエンなどの単環シクロオレフィンモノマー、ビニルノルボルネンなど環外に不飽和結合を有するシクロオレフィンモノマーがよい。これらメタセシス重合遅延剤は、一種単独で用いても良いし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。メタセシス重合遅延剤を使用する場合その量は、使用する化合物や目的に応じて任意に設定されるが、(メタセシス重合触媒中の遷移金属原子:重合遅延剤)のモル比で、通常1:0.05〜1:100、好ましくは1:0.2〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:10の範囲である。
架橋剤としてラジカル発生剤を用いる場合は、ラジカル架橋遅延剤を用いることができる。ラジカル架橋遅延剤は、メタセシス重合による重合熱および外部から加えられる熱によって架橋剤であるラジカル発生剤が分解して、メタセシス重合初期にラジカルが発生するのを抑制させる目的で使用され、重合体の流動性及び保存安定性を向上させる。
ラジカル架橋遅延剤としては、例えば、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ビス−1,2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)エタンなどのヒドロキシアニソール類;2,6−ジメトキシ−4−メチルフェノール、2,4−ジメトキシ−6−t−ブチルフェノール等のジアルコキシフェノール類;ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t―ブチルヒドキノン、2,5−ジ−t―アミルヒドキノン、2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン等のヒドロキノン類;カテコール、4−t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチルカテコールなどのカテコール類;ベンゾキノン、ナフトキノン、メチルベンゾキノンなどのベンゾキノン類;などが挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシアニソール類、カテコール類、ベンゾキノン類が好ましく、ヒドロキシアニソール類が特に好ましい。
これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いても良い。ラジカル架橋遅延剤の含有量は、ラジカル発生剤1モルに対して、通常0.001〜1モル、好ましくは0.01〜1モルである。
重合性モノマーを含有する磁性複合材料においては、さらに初期の粘度調整のために重合体が配合されていてもよい。配合される重合体は、磁性複合材料に含まれるモノマーまたはその誘導体から形成される重合体が好ましい。たとえば、モノマーとしてアクリルモノマーが使用される場合には、粘度調整用重合体としては、アクリルモノマーを重合して得られる重合体が好ましい。
磁性複合材料には、さらに架橋助剤、溶剤、強化材、改質剤、酸化防止剤、難燃剤、充填剤、着色剤、光安定剤などを含有させることができる。これらは、予め後述する塊状重合性モノマー液又は触媒液に溶解又は分散させて用いることができる。
架橋助剤は、樹脂成形体を架橋する際の架橋反応速度を向上させる目的で使用される。架橋助剤としては、p−キノンジオキシムなどのジオキシム化合物;ラウリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクレートなどのメタクリレート化合物;ジアリルフマレートなどのフマル酸化合物:ジアリルフタレートなどのフタル酸化合物、トリアリルシアヌレートなどのシアヌル酸化合物;マレイミドなどのイミド化合物;などが挙げられる。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋助剤の量は特に制限されないが重合性モノマー100重量部に対して、通常0〜100重量部、好ましくは0〜50重量部である。
溶剤は、重合触媒やその他の成分を必要に応じて溶解するために少量使用される。通常塊状重合モノマー100重量部に対して10重量部以下、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下である。溶剤は触媒に不活性でなければならない。かかる溶剤としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの鎖状脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、ヘキサヒドロインデン、シクロオクタンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリルなどの含窒素炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどの含酸素炭化水素;などが挙げられる。
メタセシス重合に際しては、メタセシス重合触媒の溶解性に優れ工業的に汎用されている芳香族炭化水素や鎖状脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素が好ましい。また、メタセシス重合触媒の活性を低下させないものであれば、液状の酸化防止剤、液状の可塑剤、液状の改質剤を溶剤として用いてもよい。これらは一種単独または二種以上を組み合わせて用いてもよい。
強化材としては、マット、クロス、不織布などの形状の有機基材、無機基材、金属基材が挙げられ、アラミド繊維、ガラス繊維、ガラス布、紙基材、ガラス不織布、炭素繊維などが挙げられる。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラスチック・ゴム用酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
難燃剤としては、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、などが挙げられる。難燃剤は単独で用いてもよいが、二種以上を組合せて用いることが好ましい。
充填材としては、ガラス粉末、セラミック粉末、シリカ、金属粉などが挙げられる。これら充填材は、二種類以上を併用してもよい。充填剤として、シランカップリング剤等で表面処理したものを用いることもできる。
着色剤としては、染料、顔料などが用いられる。染料の種類は多様であり、公知のものを適宜選択して使用すればよい。
本発明の磁性複合材料の製造方法においては、磁性体および樹脂材料に加え、必要に応じ、前記した溶剤、触媒等の添加剤を混合してもよい。
各成分の配合量は、上述したとおりであるが、磁性複合材料の粘度が、通常10,000mPa・s以下、好ましくは5,000mPa・s以下、より好ましくは1,000mPa・s以下、特に好ましくは500mPa・s以下となるように設定することが特に望ましい。この範囲より粘度が高いと成形が困難になることがある。磁性複合材料の粘度は、たとえば磁性体の配合量が増加すると、増大する傾向にあり、また溶剤、分散剤の配合量が増加すると、減少する傾向にある。
なお、ここで樹脂材料として重合体を含む磁性複合材料の粘度は、E型粘度計を用いて20rpmで測定される値であり、また樹脂材料として重合性モノマーを含有する磁性複合材料の粘度は、0℃にて後述するモノマー液に触媒液を添加した直後、E型粘度計を用いて20rpmで測定される値である。
本発明に係る磁性複合材料の製造方法は、上記各成分を混合する工程からなり、混合の順序等は特に制約されない。すなわち、各成分を単純に混合して磁性複合材料を得ても良い。重合性モノマーを含む磁性複合材料は、好ましくは、重合触媒を適当な溶媒に溶解若しくは分散させた液(以下、「触媒液」ということがある。)を調製し、別に重合性モノマーに連鎖移動剤、架橋剤などの添加剤を必要に応じて配合した液(以下、「モノマー液」ということがある。)を調製し、該モノマー液に触媒液を添加し、攪拌することによって調製できる。触媒液の添加は次に述べる重合を行う直前に行うことが好ましい。また、磁性体および分散剤は、モノマー液に添加して用いることが好ましい。
この場合、触媒液を添加するときのモノマー液の温度を通常−10℃〜25℃、好ましくは−5℃〜20℃、より好ましくは−5〜15℃、特に好ましくは−5℃〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合触媒を入れた瞬間に重合が急激に進行して、磁性複合材料の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。
さらに触媒液を添加してからの重合を開始するまでの磁性複合材料の温度を好ましくは、−10℃〜25℃、より好ましくは−5℃〜20℃、−5〜15℃、特に好ましくは―5〜10℃とすることが好ましい。この温度より高いと重合が急激に進行して、配合液の粘度が増加し成形不能となるおそれがある。この温度よりも低いとモノマー液が凍結したり、経済性がなる悪く場合がある。また、触媒液の添加は、窒素など不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
触媒液添加前のモノマー液および触媒液添加後の磁性複合材料の冷却方法は特に限定されず通常用いられる方法で行われる。例えば、冷水、氷浴、氷塩浴、メタノール−ドライアイス浴などで冷却することができる。
モノマー液の調製に際して、重合性モノマーに磁性体、および性分散剤、重合遅延剤やその他の添加剤を入れる順序は特に限定されない。また、磁性体を添加する前に分散剤を添加することで磁性体の分散性が向上することがあるため、分散剤の添加後に磁性体を添加することが特に好ましい。
モノマー液の調製に用いる混合装置などは特に限定されず、モノマー液の粘度などによって適時選択すればよい。例えばミックスマラー、ボールミル、ニーダー、ヘンシェルミキサー、ロールミル、バンバリミキサー、リボンミキサー、ホモジナイザー、二軸押し出し機、らいかい機などホイール型、ボール型、ブレード型、ロール型の装置などが挙げられる。
磁性複合材料が重合性モノマーを含有する場合には、上記磁性複合材料の重合性モノマーを重合して成形体が得られる。重合の条件は、使用する触媒および重合性モノマーの性質に応じて適宜に選択される。
本発明の製法において、磁性複合材料の樹脂成分として塊状重合性モノマーを使用した場合、成形体を得る方法に限定はないが、例えば、(a)磁性複合材料を支持体上に塗布し、次いで塊状重合する方法、(b)磁性複合材料を繊維状強化材の支持体に含浸させ、次いで塊状開環重合する方法、(c)磁性複合材料を金型の空間部に注入し、次いで塊状重合する方法などがあげられる。
塊状重合性モノマーを含有する磁性複合材料は粘度が低いので、(a)の方法における塗布は円滑に実施でき、(b)の方法においては繊維状強化材に対して速やかに満遍なく含浸させることができる。(c)の方法における注入は複雑形状の空間部であっても迅速に泡かみを起こさずに行き渡らせることが可能であり、緻密な成形体が得られる。
(a)の方法によれば、フィルム状、板状等の樹脂成形体が得られる。該成形体の厚みは、通常15mm以下、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
支持体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ナイロンなどの樹脂からなるフィルムや板;鉄、ステンレス、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀などの金属材料からなるフィルムや板;などが挙げられる。なかでも、金属箔又は樹脂フィルムの使用が好ましい。これら金属箔又は樹脂フィルムの厚みは、作業性などの観点から、通常1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは3〜75μmである。
支持体上に磁性複合材料を塗布する方法としては、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スリットコート法などの公知の塗布方法が挙げられる。
支持体上に塗布された磁性複合材料を必要に応じて乾燥させ、次いで塊状重合する。重合は熱重合でも光重合でもよいが、操作の容易性、反応の均一性の観点から、好ましくは熱重合が採用される。熱重合の際の加熱方法としては、加熱プレート上に支持体に塗布された磁性複合材料を載せて加熱する方法、プレス機を用いて加圧しながら加熱(熱プレス)する方法、熱したローラーを押圧する方法、加熱炉を用いる方法などが挙げられる。
(b)の方法によって得られる樹脂成形体としては、例えば、重合体が繊維状強化材のすき間に充填されて成るプリプレグなどが挙げられる。繊維状強化材としては、無機系及び/又は有機系の繊維が使用でき、例えば、ガラス繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、アミド繊維、ポリアリレートなどの液晶繊維、などの公知のものが挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組合せて用いることができる。繊維状強化材の形状としては、マット、クロス、不織布などが挙げられる。
繊維状強化材に磁性複合材料を含浸させるには、例えば、該磁性複合材料の所定量を、繊維状強化材製のクロス、マット等の上に注ぎ、必要に応じてその上に保護フィルムを重ね、上方からローラーなどで押圧することにより行うことができる。繊維状強化材に該磁性複合材料を含浸させた後に、所定温度に加熱して、含浸物を重合させることによりシクロオレフィン樹脂の含浸したプリプレグを得ることができる。重合法は、熱重合であっても光重合であってもよいが、好ましくは熱重合である。加熱方法としては、例えば、含浸物を支持体上に設置して前記(a)の方法のようにして加熱する方法、予め型内に繊維状強化材をセットしておき、磁性複合材料を含浸させてから後記(c)の方法のようにして加熱する方法などが用いられる。
(c)の方法によって得られる樹脂成形体の形状は、成形型により任意に設定できる。例えば、フィルム状、柱状、その他の任意の立体形状などが挙げられる。したがって、この方法によれば、各種の構造体を簡便に製造できる。
成形型の形状、材質、大きさなどは特に制限されない。かかる成形型としては、従来公知の成形型、例えば、割型構造、すなわちコア型とキャビティー型を有する成形型;2枚の板の間にスペーサーを設けた成形型;などを用いることができる。
金型の空間部(キャビティー)に本発明の磁性複合材料を注入する圧力(射出圧)は、通常0.01〜10MPa、好ましくは0.02〜5MPaである。注入圧力が低すぎると、充填が不十分になり、キャビティー内面に形成された転写面の転写が良好に行われないおそれがあり、注入圧力が高すぎると、成形型は剛性が高いものが必要となり経済的ではない。型締圧力は、通常0.01〜10MPaの範囲内である。
空間部に充填された磁性複合材料を加熱することによって重合させることができる。なお、この方法では、金型を用いているため、熱重合を行う。磁性複合材料の加熱方法としては、成形型に配設された電熱器、スチームなどの加熱手段を利用する方法、成形型を電気炉内で加熱する方法などが挙げられる。
上記(a)、(b)及び(c)のいずれの方法においても、磁性複合材料を熱重合させるための加熱温度((c)の方法においては金型温度)は、使用する塊状重合性モノマーの重合温度以上であり、通常30〜250℃、好ましくは50〜200℃である。重合時間は適宜選択すればよいが、通常1秒〜20分、好ましくは10秒〜5分以内である。
磁性複合材料を所定温度に加熱することにより重合反応が開始する。重合反応が開始すると、磁性複合材料の温度は反応熱により急激に上昇し、短時間(例えば、10秒〜5分程度)でピーク温度に到達する。さらに重合反応は進むが、重合反応は次第に収まり、温度が低下していく。ピーク温度を、この重合反応により得られる成形体を構成する重合体のガラス転移温度以上になるように制御すると、完全に重合が進行するので好ましい。ピーク温度は加熱温度により制御できる。また、連鎖移動剤を配合した磁性複合材料から得られる成形体の場合、重合体の重合反応率は、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。なお、重合体の重合反応率は、例えば、重合体を溶剤に溶解して得られた溶液をガスクロマトグラフィーにより分析することで求めることができる。重合がほぼ完全に進行している重合体は、残留モノマーが少なく、臭気の発生が少ない。
磁性複合材料が架橋剤を含有する場合には、重合反応時のピ−ク温度が高くなりすぎると、重合反応のみならず、一挙に架橋反応も進行してしまうおそれがある。したがって、重合反応のみを完全に進行させ、架橋反応が進行しないようにするためには、重合における磁性複合材料のピーク温度を、好ましくは200℃未満に制御する必要がある。ただし、生産性等の観点から、重合反応と架橋反応とを同時に進行させてもよい。
ラジカル発生剤を含有する磁性複合材料を用いる場合、重合時のピーク温度をラジカル発生剤の1分間半減期温度以下とするのが好ましい。ここで、1分間半減期温度は、ラジカル発生剤の半量が1分間で分解する温度である。
また、本発明の成形体は架橋体であってもよい。架橋剤を含有する磁性複合材料を用いて得られた架橋性重合体組成物を加熱して架橋させることにより架橋体を得ることができる。架橋性重合体組成物を加熱して架橋させるときの温度は、通常170〜250℃、好ましくは180〜220℃である。この温度は、前記重合時のピーク温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。また、加熱して架橋させる時間は特に制約されないが、通常、1分から10時間である。
架橋性重合体組成物を加熱して架橋させる方法は特に制約されない。架橋性重合体組成物がフィルム状である場合は、必要に応じてそれを複数枚積層し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
なお、上述したように、生産性等の観点から、重合反応と架橋反応とを同時に進行させて、磁性複合材料から直接架橋体を得ても良い。磁性複合材料を加熱し、重合、架橋する方法は特に制約されない。たとえば、磁性複合材料を型枠内に注入し、熱プレスにより加熱と同時に圧力を加える方法が好ましい。熱プレスする時の圧力は、通常、0.5〜20MPa、好ましくは3〜10MPaである。
本発明の積層体は、上記成形体からなる構成層を有し、より具体的には、少なくとも二以上の層を有し、その少なくとも一の層が上記の成形体で形成されている。このような積層体のさらに具体的な例としては、銅箔などの基体材料と、本発明の成形体から形成される構成層を含む積層体があげられる。また、本発明の積層体は、多層積層基板のように、銅箔などの基体材料と、磁性体を含有する樹脂層とが交互に積層されてなる複合材料であってもよい。ここで、磁性体を含有する樹脂層が複数含まれている場合には、それぞれの樹脂層の組成は同一であっても異なっていてもよい。
上記基体材料としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などの金属箔;プリント配線板製造用基板;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)性フィルムや導電性ポリマーフィルム等の樹脂フィルム;ノイズ抑制シート、電波吸収体などが挙げられる。また、基体材料の表面はシラン系カップリング剤、チオール系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、各種接着剤などで処理されていてもよい。
積層体を得る方法に格別な制限はなく、本発明の成形体を構成層に含む積層体を得る場合には、たとえば本発明の磁性複合材料を用いて得られた成形体を適当の基体材料に重ね合わせて積層体を得てもよく、また成形体同士を重ね合わせて積層体を得てもよい。さらに磁性複合材料を適当な基体材料あるいは成形体上に塗工し、該磁性複合材料を重合して積層体を得ることもできる。
また、架橋成形体からなる構成層を含む積層体を得る場合には、例えば(1)架橋剤を含有する磁性複合材料を用いて得られた架橋性重合体組成物を、基体材料に重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(2)磁性複合材料を基体材料上に積層し、塊状重合及び架橋反応を進行させる、(3)架橋剤を含有する磁性複合材料を用いて得られた架橋性重合体組成物を、2枚以上重ね合わせ、次いで加熱して架橋させる、(4)架橋体の表面を樹脂などの接着剤を少なくとも一つの表面に塗布し、基体材料と接着させる、(5)架橋体を、両面テープのような接着能をもつ基体材料を用いてさらに別の基体材料と接着させるという方法が挙げられる。
前記(1)の方法により積層体を得るには、例えば、架橋性重合体組成物と、基体材料としての金属箔とを重ね合わせて熱プレスなどによって加熱することにより架橋させて、金属箔と強固に密着した金属箔張積層板を得ることができる。得られる金属箔張積層板の金属箔の引き剥がし強さは、金属箔として銅箔を用いた場合、JIS C6481に基づいて測定した値で、0.5kN/m以上、好ましくは0.8kN/m以上、より好ましくは1.2kN/m以上である。
前記(2)の方法により積層体を得るためには、磁性複合材料の塊状重合温度を高く設定して架橋反応も起きる温度で加熱する。しかし、前記(1)の方法のように、一旦架橋性重合体組成物の段階を経る方が界面の引き剥がし強さが大きくなる。
本発明の積層体は、従来のキャスト法のような大量の溶剤を揮散させる工程などが不要なので極めて簡便に製造できる利点を有する。
本発明の積層体を製造するための加熱方法に制限はないが、架橋性重合体組成物と金属箔やプリント配線板製造用基板などの基体材料とを重ね合わせて熱プレスする方法が生産性の高さから好ましい。熱プレスの条件は、前記架橋体を製造する場合と同様である。
重合性モノマーを含有する磁性複合材料は、磁性体が均一に分散しかつ高充填されてなり、さらに、溶剤を用いる必要がないため、射出成形等の高速成形が可能であり、かつ溶剤の乾燥工程が不要になる。したがって、かかる磁性複合材料によれば、高い生産性で磁性成形体が得られる。また得られる成形体、積層体、構造体においてはボイドの発生がなく、高透磁率が達成される。
このような特徴を有する本発明に係る成形体は、磁気応用製品、例えばインダクタンス、チョークコイル、高周波トランス、低周波トランス、リアクトル、パルストランス、昇圧トランス、ノイズフィルタ、変圧用トランス、磁気インピーダンス素子、磁歪振動子、磁気センサ、磁気ヘッド、電磁気シールド、シールドコネクタ、シールドパッケージ、電波吸収体、電磁波シールド、ノイズ抑制シート、モータ、発電機用コア、アンテナ用コア、磁気ディスク、磁気応用搬送システム、磁気ソレノイド、アクチュエーター用コア、プリント基板などに好適に用いられる。
(実施例)
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。下記において、部および%は特に断わりのない限り重量基準である。磁性体のアスペクト比、粒径、磁性複合材料の粘度、成形体における複素透磁率、吸水性、成形性、配向性の評価は次のように行った。
<磁性体の粒子径およびアスペクト比>
長軸長(X)および短軸長(Y)は、電子顕微鏡(SEM)で磁性粒子を観察した写真像にて、100個の任意の粒子についての平均値を求めることにより求めた。
<複素透磁率>
複素透磁率はネットワークアナライザー(アジレント社製)を用いて、1ターンコイル法により、100MHzで測定した。評価基準は以下のとおりである。
A:17以上
B:14以上17未満
C:14未満
<焼鈍処理後の複素透磁率の増加率>
また、焼鈍処理をしていない磁性体を使用した同一組成の成形体についても透磁率を測定し、焼鈍処理による透磁率の増加率を下記の基準で評価した。
A:40%以上
B:25%以上40%未満
C:5%以上25%未満
D:5%未満
<成形性>
得られた成形体の側面を研磨することで、断面を平滑にし、SEMにてボイドの大きさ
を観測し、下記の基準で評価した。評価基準は下記のとおり。
A:ボイドがない。または、ボイドの最大径が3μm以下である。
B:3μmより大きく10μm以下のボイドがある。
C:10μmより大きいボイドがある。
<分散性>
実施例1〜6、比較例1〜3においては、まず得られた成形体の側面を研磨することで、断面を平滑にし、SEMにて断面を観察し、下記の基準で評価した。
A:凝集物が、1次粒子が3個以下のもののみである。
B:1次粒子が4個以上、9個以下凝集した凝集物がある。
C:1次粒子が10個以上凝集した凝集物がある。
実施例7、8及び比較例4、5においては、下記の評価にてJIS K 5400にて定める「つぶの試験A法」にて、軟磁性体のスラリー凝集物から分散性を評価した。
A:粒の大きさが100μmを超えるものがない。
B:100μmを超えるが200μm以下がある。
C:200μmを超えるものがある
実施例9、比較例6においては、まず得られた成形体の側面を研磨することで、断面を平滑にし、SEMにて断面を観察し、下記の基準で評価した。評価基準は下記のとおり。
A:凝集物が、1次粒子が3個以下のもののみである。
B:1次粒子が4個以上の凝集した凝集物がある。
(実施例1)
<磁性体の焼鈍処理>
軟磁性体であるFe−Si−Al合金(Si6%、Al9%、偏平状粉末、長軸長X=24.9μm、短軸長Y=1.5μm、アスペクト比16.6、同和鉄粉社製)を圧力1.0×10−4Paで、300℃にて1時間焼鈍処理した。
<触媒液の調製>
ガラス製フラスコ中で、ベンジリデン(1,3−ジメシチルイミダゾリジン−2−イリデン)(トリシクロホスフィン)ルテニウムジクロリド51部と、トリフェニルホスフィン79部、トリブチルホスフィン2部とを、トルエン952部に溶解させて触媒液を調製した。
<モノマー液の調製>
ポリエチレン製の瓶に、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエンを75部、2−ノルボルネンを25部、非イオン性分散剤としてポリグリセリンエステル(商品名:チラバゾールH−818、太陽化学社製)を3部、連鎖移動剤としてジビニルベンゼンを1.7部、架橋剤として2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンを1.7部加え溶解したのを確認した。その後、真空焼鈍処理した軟磁性体200部入れ混合してモノマー液を得た。
<磁性複合材料の調製>
モノマー液を0℃に冷却し、モノマー液を0℃に保ちながら触媒液をモノマー液100gあたり0.12ml加え撹拌し、磁性複合材料を調製した。
<架橋成形体の調製>
磁性複合材料を内側の寸法が10mm×100mmのロの字型型枠(厚み0.5mm)に入れ、両面プレス圧4.1MPaで150℃、2分間熱プレスした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから架橋成形体を得た。
得られた架橋成形体を100μmのアルミ板にはさみ、さらに4.1MPaで220℃、60分間熱プレスをした。その後、プレス圧をかけたまま冷却し、100℃以下になってから積層体を得た。得られた積層体のアルミ板を除去し、架橋成形体について各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
焼鈍処理温度を600℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例3)
焼鈍処理温度を900℃とした以外は、実施例1と同様に行った。
(実施例4)
軟磁性体であるFe−Ni合金(Ni45重量%、偏平状粉末:長軸長X=17.9μm、短軸長Y=1.5μm、アスペクト比X/Y=11.9、大同テクニカ社製)を圧力1.0×10−4Paで、600℃にて1時間焼鈍処理した。
その後、実施例1と同様に行った。
(実施例5)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94部およびアクリル酸6部からなる単量体混合物100部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.03部、ならびに酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた溶液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある重合体を得た。重合体のMwは280,000、Mw/Mnは3.1であった。
密閉式ホバートミキサー容器に、上記で得られた重合体20部、アクリルモノマーとしてメタクリル酸2部、アクリル酸2−エチルヘキシル98部及びペンタエリスリトールトリアクリレート0.45部、ラジカル重合開始剤として1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン(1分間半減期温度:149℃)1.6部、並びに軟磁性体240部を一括して投入し、窒素雰囲気下の条件でホバートミキサー容器内の原料を室温で十分混合した。その後、減圧下において攪拌しながら脱泡し、粘性液状試料を得た。なお、軟磁性体としては、実施例2で用いたものと同じ、圧力1.0×10−4Pa、600℃で焼鈍処理されたFe−Si−Al合金を用いた。
縦400mm、横400mm、深さ0.6mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、同試料を金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆った。これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合を行い、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた電磁波吸収組成物シートである成形体を得た。得られた成形体からポリエステルフィルムを剥離し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例6)
反応器に、アクリル酸2-エチルヘキシル94部およびアクリル酸6部とからなる単量体混合物100部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.3部、ならびに酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた溶液を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある重合体を得た。重合体のMwは3000、Mw/Mnは3.7であった。
この重合体20部、エポキシモノマーとしてグリセリンポリグリシジルエーテル(デナコールEX313 ナガセケムテック製)100部、および軟磁性体240部を混合し、減圧下において攪拌しながら脱泡し、粘性液状試料を得た。なお、軟磁性体としては、実施例2で用いたものと同じ、圧力1.0×10−4Pa、600℃で焼鈍処理されたFe−Si−Al合金を用いた。
縦400mm、横400mm、深さ2mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、上記粘性液状試料を金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆った。これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合を行わせ、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた電磁波吸収組成物シートである成形体を得た。得られた成形体からポリエステルフィルムを剥離し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
磁性体の真空焼鈍処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
磁性体の真空焼鈍処理を行わなかった以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
磁性体の真空焼鈍処理を行わなかった以外は、実施例5と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2009155545
(実施例7)
8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンを開環重合し、次いで、得られた開環重合体の水素添加反応を行い、数平均分子量(Mn)=31,200、重量平均分子量(Mw)=55,800、Tg=約140℃の水素添加物(水素化重合体)を得た。得られた水素化重合体の水素添加率は、99%以上であった。
上記で得られた水素化重合体100部、無水マレイン酸40部、及びジクミルパーオキシド5部をt−ブチルベンゼン250部に溶解し、140℃で6時間変性反応を行った。反応後、得られた反応生成物溶液を1,000部のイソプロピルアルコール中に注ぎ、反応生成物を析出させた。析出物を回収し、100℃で20時間真空乾燥した。このようにして、Mn=33,200、Mw=68,300、Tg=170℃、(無水)マレイン酸残基含有率=25モル%、酸価=63の無水マレイン酸変性水素化重合体を得た。
上記で得られた無水マレイン酸変性水素化重合体100部、ビスフェノールAビス(プロピレングリコールグリシジルエーテル)エーテル40部、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール5部、及び1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.1部を、キシレン172部及びシクロペンタノン43.2部からなる混合溶剤中に溶解させて、硬化性樹脂組成物溶液(a)を調製した。
これとは別に、軟磁性体290部を、キシレン43部及びシクロペンタノン10.8部からなる混合溶剤中に分散させ、磁性体スラリー(b)を調製した。軟磁性体としては、実施例2で用いたものと同じ、圧力1.0×10−4Pa、600℃で焼鈍処理されたFe−Si−Al合金を用いた。この磁性体スラリー(b)を硬化性樹脂組成物溶液(a)と混合して熱硬化性磁性スラリー(I)を得た。
熱硬化性磁性スラリー(I)を、ダイコーターを用いて、300mm角で厚さ50μmのポリエチレンナフタレートフィルムからなるキャリアフィルム上に塗工し、次いで、窒素オーブン中、120℃で10分間乾燥し、厚さが50μmの成形体を得た。これを170℃で60分間放置して架橋し、架橋成形体を得た。この架橋成形体について各種評価を行った結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例2に用いたものと同じ、焼鈍処理されたFe−Si−Al合金420部、ポリウレタン樹脂(日本ポリウレタン社製N2304)200部、硬化剤としてポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネートL)10部、および溶剤としてトルエン800部を混合・分散して得られた組成物を、離型性を有するPETフィルムにコンマコーターにて厚さ100μmになるように塗布した。これをオーブン中で、85℃で24時間乾燥し、架橋して架橋成形体を得た。この架橋成形体について各種評価を行った結果を表2に示す。
(比較例4)
磁性体の焼鈍処理を窒素雰囲気下、常圧で行った以外、実施例7と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
磁性体の焼鈍処理を窒素雰囲気下、常圧で行った以外、実施例8と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2009155545
(実施例9)
実施例2に用いたものと同じ、焼鈍処理されたFe−Si−Al合金200部、アクリルゴム(日本ゼオン製の「ニポール」)100部、および加硫剤(イオウ)0.3部を配合し、ロールを用いて混練し、混練物を加熱プレス(170℃×20分間)によりシート化するとともに架橋して、厚さ1.0mmの架橋成形体であるシートを得た。この架橋成形体について各種評価を行った結果を表3に示す。
(比較例6)
磁性体の焼鈍処理を窒素雰囲気下、常圧で行った以外、実施例9と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 2009155545
上記、実施例と比較例からわかるように、真空焼鈍処理された磁性体を使用することにより、ボイドが無く磁性体の分散性に優れた磁性複合材料が得られ、また高い複素透磁率を有する成形体が得られた。

Claims (12)

  1. 磁性体を真空下で焼鈍処理し、得られた磁性体を重合体および重合性モノマーからなる群から選択される樹脂材料と混合する磁性複合材料の製造方法。
  2. 前記磁性体が、軟磁性体である請求項1に記載の磁性複合材料の製造方法。
  3. 前記磁性体が、形状異方性を有する請求項1または2に記載の磁性複合材料の製造方法。
  4. 前記磁性体の形状を三次元的に観察した際に、長軸の長さ(X)と短軸の長さ(Y)との比(X/Y)が1を超え、10000以下である請求項3に記載の磁性複合材料の製造方法。
  5. 前記磁性体の形状が偏平状である請求項4に記載の磁性複合材料の製造方法。
  6. 前記磁性体を、磁性複合材料の全体積に対して0.1〜80体積%混合する請求項1〜5のいずれかに記載の磁性複合材料の製造方法。
  7. 前記樹脂材料が重合性モノマーである請求項1〜6のいずれかに記載の磁性複合材料の製造方法。
  8. 前記重合性モノマーが塊状重合性モノマーである請求項7に記載の磁性複合材料の製造方法。
  9. 請求項7または8に記載の製造方法により得られた磁性複合材料を支持体に塗布または含浸し、重合を行う成形体の製造方法。
  10. 請求項9に記載の製造方法により得られる成形体。
  11. 請求項7または8に記載の磁性複合材料を金型に注入し、塊状重合を行う成形体の製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法により得られる成形体。
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