JP2006131964A - 電磁波吸収シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特性を向上させることのできる電磁波吸収シートの製造方法を提供する。
【解決手段】表面に絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉を堆積させ、これに加圧力を付与することによって扁平状軟磁性金属粉同士を接合してシート状生成物を得た後に行う熱処理において、熱処理温度までの平均昇温速度を10℃/min以下とし、熱処理温度を520〜590℃とし、熱処理温度を60min以上維持する。さらに、熱処理温度を所定時間維持した後、3℃/min以下の平均降温速度で熱処理炉を降温させるのが好ましい。また、シート状生成物を生成する工程では、シート状生成物の成型密度が5.2g/cm3以上となるように、扁平状軟磁性金属粉に加圧力を付与するのが良い。このようにすることで、10MHzにおける透磁率μが200以上であり、かつ100MHzにおける透磁率μが100以上といった、高い特性を有した電磁波吸収シートを得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、電磁ノイズ対策部品等に用いられる電磁波吸収シートの製造方法に関する。
パーソナルコンピュータ、ゲーム機器あるいは携帯情報端末に代表されるデジタル電子機器をはじめとする電子装置は、回路の高周波化、高性能化に伴い高密度化が進行しており、受動素子が半導体素子などノイズを放射する能動素子の影響を受けやすくなっている。従来、この対策として、フェライトコアや準マイクロ波帯に対応する電波吸収体が利用されているが、電子機器の小型化に伴い、ノイズ対策部品の小型化、薄型化、高性能化が要求されている。
一方、EMC規格を満たすために、100MHz近傍の比較的低い周波数でのノイズ規格を満たすことが重要課題となっており、この帯域に対応した電波吸収体や小型EMI対策部品の需要が拡大している。
これに対応し、扁平状磁性粉を焼鈍処理して残留応力を低減させた後に面内方向に配向させ、有機結合剤のガラス転移温度Tg以上の温度においてシート面に垂直の方向に加圧することにより、共鳴周波数の低周波化を図り100MHz以下の周波数で高い透磁率を達成し得る複合磁性体シートの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このような有機結合剤と扁平状磁性粉の複合磁性体シートの透磁率は、100MHzで高々30程度であり、高透磁率を得るのは困難である。
また、扁平状の軟磁性粉を用い、押し出し成型により板状に成型することを特徴とする圧粉磁心の製造方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、扁平状軟磁性粉が押し出し方向に配向するために透磁率を高くできる利点があるが、厚さが0.4mmよりも薄いシートを製造しようとすると、狭ノズルから押し出すと同時にテンションを加えて引き取って薄くする必要があり、高透磁率化が困難になる。即ち、狭ノズルからの押し出しの際に引き取れるだけの柔軟性を付与するために樹脂量を多くして、押し出し温度での粘性を下げる必要があり、このため磁性粉の充填量が減少して高透磁率が得られないのである。
また、押し出しによらず、印刷積層法やドクターブレード法により薄くする方法も提案されている(例えば、特許文献3、4参照。)。
特許文献3に開示されているのは、アスペクト比が5〜40である扁平状の軟磁性金属粉とバインダーとを用いて印刷積層法によって厚さ500μm以下のシートを作製し、このシートを厚さ10mm以下に重ねてさらに加圧成型し打ち抜いて磁心とする方法である。しかし、この方法を用いても溶剤以外に多量の有機バインダーを使用するため、軟磁性金属粉の占積率を75%よりも高くすることが困難であり、また、成型に伴う応力劣化を避けることができず、残留応力を効果的に取り除くことのできる熱処理も施せないため、結果として100MHz付近の高周波において高い透磁率を得ることができない。
また、特許文献4には、扁平状軟磁性粉と結合剤、溶媒からなるスラリー状の混和物から成膜を行う複合磁性体の製造方法が開示されており、この方法において、応力歪みを除去した扁平状軟磁性粉に再び応力歪みを加えないよう複合磁性体を製造することを特徴としているが、このように扁平粉自体に変形応力を加えない方法では、材料の占積率を大きくすることは困難であるうえ、樹脂の硬化収縮による応力発生は原理的に避けることができないなどの欠点を有しているため、100MHz付近の高周波で高い透磁率を得ることが期待できない。
特開2000−4097号公報 特開平11−74140号公報 特開平11−176680号公報 特開2000−243615号公報
従来の技術は、いずれも扁平状軟磁性金属粉の残留応力を小さくした後、成型工程において、この扁平状軟磁性金属粉に過大な応力が加わらないよう配慮することに重点がおかれた技術思想に基づくものであり、このような技術思想では実質的に金属粉の占積率を大きくできないうえ、成型体の残留応力が小さくならないという二重の欠点を有しており、数十MHz〜数GHz帯に至る高周波での複素透磁率の向上に限界があった。
これに対し、本発明者らは、表面に絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉を圧接接合し、扁平状軟磁性金属粉が構成する軟磁性金属相の間に、絶縁膜が構成する絶縁相が介在することで構成された複合磁性体を既に提案した(特許文献5参照。)。このような複合磁性体によれば、複合磁性体に対する軟磁性金属相の占積率を50%以上とすることができ、また、複合磁性体を、厚さが5μm〜0.4mmのシート状とすることを可能とした。
特開2002−289414号公報
このような複合磁性体においては、その特性の向上が常に望まれている。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、特性をより一層向上させることのできる電磁波吸収シートの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特性のさらなる向上を目指し、上記のような複合磁性体について、さらに鋭意検討を進めた。その結果、表面に絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉を堆積させ、これに加圧力を付与することによって扁平状軟磁性金属粉同士を接合してシート状生成物を得た後に行う熱処理において、400〜800℃の熱処理温度までの平均昇温速度を、15℃/min以下とすることで、従来以上の特性が得られることを見出した。
このようにしてなされた本発明の電磁波吸収シートの製造方法は、表面に絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉を堆積させる工程と、堆積した扁平状軟磁性金属粉に加圧力を付与することによって扁平状軟磁性金属粉同士を接合してシート状生成物を生成する工程と、シート状生成物を熱処理炉に入れ、平均昇温速度15℃/min以下で熱処理炉を昇温し、400〜800℃の熱処理温度で熱処理する工程と、を備えることを特徴とする。
このとき、シート状生成物を熱処理する工程では、以下のような条件のうち一以上の条件を満たすのが、より好ましい。その条件は、熱処理温度までの平均昇温速度が10℃/min以下、熱処理温度が520〜590℃、熱処理温度を60min以上維持、熱処理温度からの平均降温速度が3℃/min以下、というものである。
また、シート状生成物を生成する工程では、シート状生成物の成型密度が5.2g/cm3以上となるように、扁平状軟磁性金属粉に加圧力を付与するのが良い。
このようにすることで、本発明の方法により、10MHzにおける透磁率μが200以上であり、かつ100MHzにおける透磁率μが100以上である、高い特性を有した電磁波吸収シートを得ることができる。
本発明によれば、従来以上に高い性能を有した電磁波吸収シートを得ることができる。
以下本発明の実施の形態を説明する。
図1(a)に示すように、本実施の形態における電磁波吸収シート1は、磁性層10の両面に、絶縁層20を有した構成となっている。ここで、磁性層10は、全体として5〜100μmの厚さを有しているのが好ましい。また、絶縁層20は、全体として50μm以下、さらには15μm以下であることがより好ましい。
また、図1(b)に示すように、電磁波吸収シート1は、磁性層10の両側の絶縁層20の一方に、この絶縁層20が磁性層10と接する側とは反対側の面に接するよう、導電体層30を設けることも可能である。この導電体層30は、銅やカーボン等の導電性材料から形成されるもので、電磁波吸収シート1を接地させるためのものである。この場合、導電体層30は、さらに他の絶縁層としての絶縁層20によって覆われる。
図2に、電磁波吸収シート1を構成する磁性層10を模式的に示す。磁性層10は、多数の磁性粉末11が塑性変形して密に絡み合うことで形成されている。
個々の磁性粉末11は、扁平状軟磁性金属粉からなる軟磁性金属相12と、軟磁性金属相12の表面に形成された絶縁膜からなる絶縁相13と、から形成される複合磁性体である。これによって、互いに接する軟磁性金属相12間には絶縁相13が介在することになる。これにより、磁性層10は、表面に絶縁膜を有する扁平状軟磁性金属粉が、その厚さ方向に層状に積層されることで所定の厚さに形成されたシート状の構成となっている。
はじめに、軟磁性金属相12を構成する扁平状軟磁性金属粉について説明する。
扁平状軟磁性金属粉は、パーマロイ(Fe−Ni合金)、スーパーパーマロイ(Fe−Ni−Mo合金)、センダスト(Fe−Si−Al合金)、Fe−Si合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Cr−Si合金等であり、そのアスペクト比の好ましい範囲は160〜1250、より望ましい範囲は450〜1250である。
扁平状軟磁性金属粉の厚さ(圧延前の厚さ)の好ましい範囲は0.1〜1.0μm、より望ましい範囲は0.2〜0.5μmである。扁平状軟磁性金属粉の厚さを0.1μm未満とすることは製造上困難であり、取り扱いも難しくなる。また、扁平状軟磁性金属粉の厚さが1.0μmを超えると、高周波での磁気特性の低下を招くことになるので好ましくない。また、扁平状軟磁性金属粉を圧接接合しても、厚さはほとんど変化しない。よって、扁平状軟磁性金属粉が圧接接合された後の厚さも0.1〜1.0μmの範囲となる。
次に、絶縁相13を構成する絶縁膜について説明する。
図2に示したように、扁平状軟磁性金属粉の全表面に均一に絶縁膜が形成されていることが理想的ではあるが、扁平状軟磁性金属粉の表面に絶縁膜が形成されていない部分があっても圧接接合後に絶縁相13として機能しうる程度の絶縁膜が形成されていればよい。
扁平状軟磁性金属粉と絶縁材料を混合し、所定の処理を加えることにより、扁平状軟磁性金属粉の表面に絶縁膜が形成される。絶縁材料としては、有機絶縁材料、無機絶縁材料を用いることができる。より詳しくは、無機ポリマー系のペルヒドロポリシラザン等のポリシラザン系の材料が好ましく、シラン系やチタネート系カップリング剤、無機絶縁体であるシリカゾル、チタニアゾル、マグネシアゾル、アルミナゾル、粉末ガラス、ボロンナイトライド等を絶縁材料として用いることもでき、これらをペルヒドロポリシラザンと組み合わせて用いてもよい。
また、図1に示した絶縁層20は、絶縁材料から形成される層であり、例えば樹脂シートを磁性層10に貼り付けたり、あるいは絶縁材料を磁性層10の表面に塗布することで形成される。
電磁波吸収シート1の表面に電気絶縁性を付与するための絶縁材料としては、樹脂が好適であり、その中でも強度と絶縁性、さらには難燃性に優れているものが好ましい。絶縁層20を形成する材料の具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、テフロン(登録商標)、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、難燃ポリエチレン、難燃ポリプロピレン、難燃ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、難燃PET、難燃PBT、難燃ポリオレフィン、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂があり、難燃性を向上させるための難燃剤を添加する場合には、非ハロゲン系の難燃剤を用いるのが好ましい。
図3は、本実施の形態に係る電磁波吸収シート1の製造工程を示す図である。
まず、粉砕工程において、平均粒径10〜100μmの軟磁性金属のアトマイズ粉をトルエン等の有機溶媒中、例えば撹拌ミルを用いて粉砕し、厚さ0.1〜1.0μm、アスペクト比50〜600の扁平状軟磁性金属粉を得る。このときの扁平状軟磁性金属粉の粒度分布は、必ずしもシャープである必要はなく、2山の分布を有していてもよい。
粉砕工程後、熱処理工程に移る。この熱処理工程では、扁平状軟磁性金属粉に対し、不活性ガス(例えば窒素)あるいは水素中で、例えば600℃で60minの熱処理を行う。これにより、軟磁性金属粉を乾燥し、さらには、軟磁性金属粉を扁平化するための粉砕工程による歪みが除去されるとともに、粉砕中に軟磁性金属粉中に混入した酸素および炭素が除去される。この熱処理工程は必須のものではないが、扁平状軟磁性金属粉は歪み(磁歪)が小さい方が好ましいため、後述する絶縁処理工程に先立って扁平状軟磁性金属粉に熱処理を施し、扁平状軟磁性金属粉の歪みを除去しておくことが望ましい。
次いで、混合工程、絶縁膜合成工程に移る。これらの工程では、扁平状軟磁性金属粉と絶縁材料(液状または微細粉)とを混合し、所定の方法で絶縁膜を合成して絶縁処理粉、つまり扁平状軟磁性金属粉表面に絶縁膜が形成された磁性粉末11を作製する。この絶縁膜合成工程は、絶縁材料の種類に応じて処理の方法が異なる。以下、絶縁材料が(1)ペルヒドロポリシラザンの場合、(2)カップリング剤(シラン系、チタネート系等)の場合、(3)その他の酸化物ゾル、BN(ボロンナイトライド)の場合についてそれぞれの処理の方法を述べる。
(1)絶縁材料がペルヒドロポリシラザンの場合には、ライカイ器、卓上ニーダー等の混合装置を用いて扁平状軟磁性金属粉とペルヒドロポリシラザンを混合する。混合後、例えば大気中または窒素中300℃、60min保持で熱処理を行う。ペルヒドロポリシラザンは、大気中で熱処理するとSiO2へ、窒素中で熱処理するとSi34へ転化する。
(2)絶縁材料がカップリング剤(シラン系、チタネート系等)の場合には、湿式処理法を用いて金属粉表面を被覆する。湿式処理は、溶剤で50〜100倍に希釈したカップリング剤の中で扁平状軟磁性金属粉を撹拌混合しながら、溶剤を飛ばして表面処理を行う方法である。
(3)絶縁材料がその他の酸化物ゾル、BNの場合には、混合装置を用いて扁平状軟磁性金属粉と絶縁材料を直接混合(乾式混合)する。
続いて、扁平粉堆積工程に移る。まず、扁平粉堆積工程では、磁性粉末11を篩でふるいながら落下させてほぼ均等に基板上に堆積させる。このとき、磁性粉末11の篩への供給は、フィーダ等で自動的に行うこともできる。またこのとき、篩を用いるのではなく、磁性粉末11をスプレーで基板上に吹き付けることで、磁性粉末11を基板上に堆積させることもできる。
この扁平粉堆積工程にて、篩のメッシュサイズを適宜選択して絶縁処理粉の粒度を変更することによって、最終的に得られる複合磁性体の磁気特性を任意の範囲に設定することが可能である。ここでは、絶縁処理粉の粒度が、45〜125μmのものが40wt%以上となるようにするのが好ましい。このため、篩のメッシュサイズの好ましい範囲は、20〜120μmである。より望ましい範囲は40〜120μm、さらに望ましい範囲は53〜106μmである。
次いで、圧延工程に移る。この圧延工程では、磁性粉末11が略均一に堆積した基板上を圧延ロールにて圧延し、基板に平行な向きに磁性粉末11を配向させる。このとき、絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉(磁性粉末11)同士が圧接接合される。これにより、厚さ5〜100μmの、磁性層10を形成する磁性シート(シート状生成物)を得ることができる。
ここで、圧延後の磁性シートにおいて、成型密度(単位堆積当たりの磁性粉末11の重量)が5.2g/cm3以上となるよう、基板上に堆積した磁性粉末11を圧延するのが好ましい。これには、圧延に際し、圧延ロールに加える荷重(圧力)を調整する。
磁性層10を形成する磁性シートの厚さを5〜100μmとするのは以下の理由に基づく。すなわち、シートの厚さが5μmよりも薄い場合は、焼結により高周波で充分大きな透磁率が得られるため、複合磁性体の必要性が小さい。一方、シートの厚さが100μmを超えると、電気機器の筐体内部の狭い空間に磁性層10を有する電磁波吸収シート1を収めることが困難になるという制約条件からである。
これら扁平粉堆積工程、圧延工程では、基板表面から3mm以上上方に位置する篩等の保持容器から磁性粉末11を自由落下させ、磁性粉末11を面内配向させた上で圧延を行うことにより、圧延後の配向度を改善することができる。
なお、圧延を例にして圧延工程を説明したが、この工程は圧延に限られるものではない。扁平状軟磁性金属粉が塑性変形する程度の加圧力を付与するものであれば、プレス加工等、他の加圧成型の方法を用いてもよいが、加圧の点で圧延が最も望ましい。
この後、この磁性シートに対し、必要に応じて打ち抜き加工を施してもよい(打ち抜き加工工程)。
続いて、熱処理工程に移行する。熱処理工程では、磁性シートを熱処理炉に入れて熱処理を施し、扁平状軟磁性金属粉の塑性変形後の残留歪を緩和する。扁平状軟磁性金属粉の著しい酸化を避けるため、熱処理雰囲気をAr等不活性ガス雰囲気中、窒素または水素雰囲気中とすることが好ましい。
また、熱処理温度(安定温度)の好ましい範囲は500〜800℃、より望ましい範囲は500〜620℃、さらに望ましい範囲は520〜590℃である。熱処理温度が500℃未満では残留歪の緩和効果が少なく、一方、熱処理温度が800℃を超えると扁平状軟磁性金属粉表面に形成された絶縁膜の絶縁機能が損なわれる。熱処理温度を500〜620℃、さらには520〜590℃の範囲とすることで、10MHz、100MHzといった周波数域において、高い透磁率を得ることができる。
熱処理時間(安定時間)は40min以上とするのが好ましく、60min以上とするのがさらに好ましい。生産効率を向上させるという観点からして、熱処理時間は、可能な範囲内なるべく短くするのが好ましい。したがって、熱処理時間は60min程度とするのが良い。
また、熱処理温度に到達するまでの平均昇温速度は、18℃/min以下とするのが好ましく、さらには10℃/min以下とするのがより好ましい。すなわち、昇温をなるべく緩やかに行うことで、10MHz、100MHzといった周波数域において、高い透磁率を得ることができる。しかしながら、この場合も、生産効率を向上させるという観点からして、平均昇温速度は、可能な範囲内なるべく高くするのが好ましい。
熱処理後の降温時間は、前記の熱処理温度からの平均降温速度が3℃/min以下となるようにするのが好ましく、さらには2℃/min以下とするのがより好ましい。これにより、熱処理炉を開いて磁性シートを取り出す所定の温度(例えば60℃程度)まで、約160min以上(3℃/minの場合)、約240min以上(4℃/minの場合)とすることができる。このように、降温をなるべく緩やかに行うことで、10MHz、100MHzといった周波数域において、高い透磁率を得ることができる。その一方で、この場合も、生産効率を向上させるという観点からして、降温速度は、可能な範囲内でなるべく高くするのが好ましい。
以上の工程を経ることにより、本実施の形態に係る、厚さ5〜100μmのシート状の磁性層10が得られる。
次いで、絶縁層形成工程に移る。この工程では、磁性層10の両面に、絶縁層20を形成する。
これには、予め所定の厚さのシート状に形成された絶縁シートを磁性層10に貼り付けることで、これを絶縁層20とすることができる。このとき、絶縁層20を形成する絶縁シートは、前記したような材料で形成すればよい。
絶縁層20を形成する絶縁シートを磁性層10に貼り付けるには、単純にはシート状の磁性層10の表面、あるいは絶縁層20を形成する絶縁シートに塗布した接着剤を用いればよい。接着剤としては、絶縁性、耐熱性のあるエポキシ系、シリコーン系が好ましい。さらには、いわゆるラミネートフィルムのように、絶縁層20を形成する絶縁シートの表面に接着剤層を形成しておき、これをシート状の磁性層10に圧着することも可能である。この場合、シート状の磁性層10を絶縁層20に圧着する際に熱を加えることで、絶縁層20の接着剤層を溶融する、いわゆる熱圧着方式を採用することもできる。
この他、絶縁層20を形成するために、前記したような材料を磁性層10の表面に直接塗布し、これを硬化させることも可能である。つまり、絶縁材料によるコーティングによって絶縁層20を形成するのである。
この場合に用いるコーティング剤としては、シリコーンレジン系、シリコーンゴム系、エポキシ系、エポキシとシリコーン複合系、ブチラール系、アクリル系、エチルセルロース系、ポリプロピレン系、スチレン−ブタジエン系、ポリブチレン系等の樹脂が好ましい。また、前述したカップリング剤、接着剤を用いることもできる。
磁性層10を形成する磁性シート表面に絶縁層20として樹脂層を形成するにあたっては、磁性層10を形成する磁性シートを樹脂に含浸したり、磁性層10を形成する磁性シートにスプレーで樹脂を噴霧する等の方法を適宜採用することができる。磁性層10を形成する磁性シートを樹脂に含浸する場合には、樹脂をトルエン、キシレン、エタノール、アセトン等の溶液で希釈して樹脂溶液を調整し、この樹脂溶液中に磁性層10を形成する磁性シートを3〜20min程度含浸させればよい。
このような絶縁層20を、磁性層10の両面に順次形成することで、図1に示した電磁波吸収シート1が得られる。
ここで、上記のような工程で磁性シートを作製し、その特性を確認したのでその結果を示す。
図3の工程図に説明したように、軟磁性金属粉として水アトマイズによる平均粒径約30μmの2Moパーマロイ粉(80Ni−2Mo−bal.Fe(mol%))を、溶媒にトルエンを用いた媒体撹拌ミル中で粉砕扁平化し、平均粒径(D50)約110μm、厚さ0.2〜0.6μm、アスペクト比50〜600の扁平状軟磁性金属粉(以下、適宜、「扁平状粉」という。)とした。
その後、乾燥させた扁平状粉を、絶縁相13を形成する絶縁材料としてのペルヒドロポリシラザン(クラリアントジャパン製、ポリシラザンNL110A−20)を用い、絶縁膜合成処理を行った。このとき、ペルヒドロポリシラザンの扁平状Moパーマロイ粉に対する添加量を4.5重量%とした。そして、扁平状Moパーマロイ粉とペルヒドロポリシラザンを、混合機を用い、室温で約60min混合した。その後、大気中、300℃で60min保持し、ペルヒドロポリシラザンをSiO2に転化し、扁平状Moパーマロイ粉の表面に絶縁膜を形成した。
次に、絶縁処理された前記扁平状粉をステンレス基板の上方10〜20mmの位置にある篩(目開き;125μm)でふるいながら、ほぼ均等にステンレス基板上に堆積させた。このステンレス基板をロール径50mmの2段冷間圧延ロールを通過させて圧延し、各扁平状粉を前記基板に平行な向きに配向させ、厚さ約50μmのシート状にした。
続いて、このシートを、金属粉を扁平化する際の粉砕による歪み、圧延する際の歪みを緩和するため、窒素中で、表1〜表4に示す条件で熱処理した。
このようにして得られた磁性シートについて、10MHz、100MHzそれぞれにおける透磁率を測定した。その結果を表1〜表4に示す。
Figure 2006131964
表1に示すように、熱処理温度を、550〜600℃とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上となり、さらに熱処理温度を550〜570℃の範囲とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上、100MHzの周波数における透磁率μも100以上となることが確認された。
Figure 2006131964
また、表2に示すように、熱処理時間は45min以上とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上となり、さらに60min以上とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上、100MHzの周波数における透磁率μも100以上となることが確認された。
Figure 2006131964
表3に示すように、熱処理温度に到達するまでの平均昇温速度を、15℃/min以下とすることで、100MHzの周波数における透磁率μが100以上となり、さらに10℃/min以下とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上、100MHzの周波数における透磁率μも100以上となることが確認された。
Figure 2006131964
表4に示すように、熱処理後の平均降温速度を2℃/min以下とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上、100MHzの周波数における透磁率μも100以上となることが確認された。
続いて、実施例1と同様にして、扁平状粉を作製し、絶縁処理後、圧延、熱処理して磁性シートを得た。このとき、圧延工程において、成型密度を4.5〜6.3g/cm3の範囲で変化させた。
なお、熱処理条件は、熱処理温度は550℃、580℃の2通りとし、熱処理時間は60min、平均昇温速度は5℃/min、降温速度は60℃まで480minとした。
このようにして作製した各磁性シートについて、10MHz、100MHzそれぞれにおける透磁率を測定した。その結果を図4に示す。
図4に示すように、圧延工程における成型密度を5.2g/cm3以上とすることで、10MHzの周波数における透磁率μが200以上、100MHzの周波数における透磁率μも100以上となることが確認された。
本実施の形態における電磁波吸収シートの構成を示す図である。 電磁波吸収シートを構成する磁性層を示す図であり、扁平状軟磁性金属粉(軟磁性金属相)の表面に絶縁膜(絶縁相)が形成された状態を示す模式図である。 本実施の形態に係る製造工程図である。 実施例において、成型密度と透磁率の関係を示す図である。
符号の説明
1…電磁波吸収シート、10…磁性層、11…磁性粉末、12…軟磁性金属相、13…絶縁相、20…絶縁層、30…導電体層

Claims (7)

  1. 電磁波吸収シートを製造する方法であって、
    表面に絶縁膜が形成された扁平状軟磁性金属粉を堆積させる工程と、
    堆積した前記扁平状軟磁性金属粉に加圧力を付与することによって前記扁平状軟磁性金属粉同士を接合してシート状生成物を生成する工程と、
    前記シート状生成物を熱処理炉に入れ、平均昇温速度15℃/min以下で前記熱処理炉を昇温し、400〜800℃の熱処理温度で熱処理する工程と、
    を備えることを特徴とする電磁波吸収シートの製造方法。
  2. 前記シート状生成物を熱処理する工程では、前記熱処理温度までの平均昇温速度を10℃/min以下とすることを特徴とする請求項1に記載の電磁波吸収シートの製造方法。
  3. 前記シート状生成物を熱処理する工程では、前記熱処理温度を520〜590℃とすることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波吸収シートの製造方法。
  4. 前記シート状生成物を熱処理する工程では、前記熱処理温度を60min以上維持することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法。
  5. 前記シート状生成物を熱処理する工程では、前記熱処理温度を所定時間維持した後、平均降温速度3℃/min以下で前記熱処理炉を降温させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法。
  6. 前記シート状生成物を生成する工程では、前記シート状生成物の成型密度が5.2g/cm3以上となるように、前記扁平状軟磁性金属粉に加圧力を付与することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法。
  7. 10MHzにおける透磁率μが200以上であり、かつ100MHzにおける透磁率μが100以上である電磁波吸収シートを得ることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の電磁波吸収シートの製造方法。
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