JP5464808B2 - 誘電材料およびそれを用いたアクチュエータ - Google Patents
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Description
<誘電材料>
上述したように、本発明の誘電材料は、エラストマーと、表面がカップリング処理された強誘電無機微粒子と、を含む。
エラストマーとしては、ゴムおよび熱可塑性エラストマーの中から適宜選択すればよい。なかでも、破断伸びが大きいという観点から、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。なかでも、カップリング処理された強誘電無機微粒子との相溶性が良好で、より大きな変位量が得られるという理由から、アクリルゴム、シリコーンゴム、EPM、EPDM、天然ゴム、IIR、イソプレンゴム、H−NBRが好適である。
強誘電無機微粒子は、比誘電率が比較的大きな無機材料からなる微粒子であればよい。例えば、比誘電率が80以上である無機材料を選択するとよい。具体的には、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ジルコン鉛、チタン酸ビスマス、酸化タンタル等から選ばれる一種以上を用いることが望ましい。特に、エラストマーとの相溶性が良好で、比較的安価であるという理由から、酸化チタン、チタン酸バリウムが好適である。
本発明の誘電材料は、上記エラストマーを構成するポリマーと強誘電無機微粒子とを含んだゴム組成物を架橋して製造することができる。使用するポリマーは、固体でも液状でもよい。ゴム組成物には、必要に応じて架橋剤、加硫促進剤、加工助剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤、着色剤等を添加すればよい。第一の製造方法としては、まず、ポリマーに、強誘電無機微粒子の粉末や架橋剤等を添加して混練りし、ゴム組成物を調製する。次に、調製したゴム組成物を成形し、それを金型に充填して、所定の条件下でプレス架橋する。また、上記第一の製造方法と同様に調製したゴム組成物を、フィルム状あるいはチューブ状に押し出し成形等した後、架橋してもよい。また、第二の製造方法としては、まず、所定の溶媒にポリマーを溶解したポリマー溶液に、強誘電無機微粒子の粉末や架橋剤等を加え、攪拌、混合してゴム組成物を調製する。次に、調製したゴム組成物を基材上に塗布し、乾燥させて溶媒を蒸発させた後、架橋する。
<アクチュエータ>
図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。図1に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜20と電極21a、21bとを備えている。誘電膜20は、上記本発明の誘電材料からなる。電極21a、21bは、誘電膜20の表裏に、それぞれ固定されている。電極21a、21bは、導線を介して電源22に接続されている。オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極21a、21b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜20の膜厚は薄くなり、その分だけ、図(b)中白抜き矢印で示すように、電極21a、21b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図中横および上下方向の駆動力を出力する。
(1)実施例の誘電膜の製造
まず、シランカップリング処理により、強誘電無機微粒子を製造した。酸化チタン粉末(石原産業社製「TTO−55N」、粒子径30nm〜50nm)50gを、エタノール(195ml)−水(10ml)混合溶媒に分散し、さらにエチルトリメトキシシラン2gを加えて、超音波処理を1時間行った。その後、15時間静置した。沈殿物を乾燥し、表面がエチル基で修飾された強誘電無機微粒子を得た。
強誘電無機微粒子を配合しない点以外は、上記実施例の誘電膜と同様に誘電膜を製造し、比較例1の誘電膜とした。また、上記酸化チタン粉末を、表面処理せずにそのままアクリル系ポリマー溶液に添加して、上記同様に誘電膜を製造し、比較例2の誘電膜とした。比較例1、2の誘電膜の厚さは、共に約150μmとした。
製造した各々の誘電膜を用いてアクチュエータを構成し、アクチュエータの変位量を測定した。
まず、実験装置および実験方法について説明する。実施例および比較例の各々の誘電膜の上下面に、オイルにカーボンナノチューブを分散した導電性ペーストを塗布して電極を形成し、アクチュエータを作製した。以下、作製されたアクチュエータを、誘電膜の種類に対応させて、各々実施例、比較例1、2のアクチュエータと称す。図2に、作製したアクチュエータの上面図を示す。図3に、図2中III−III断面図を示す。
延伸率(%)={√(S/S0)−1}×100・・・(1)
[S0:延伸前(自然状態)の誘電膜面積、S:延伸後の誘電膜面積]
次に、実験結果について説明する。図4に、実施例および比較例の各アクチュエータにおける印加電圧に対する変位率を示す。変位率は次式(2)により算出した。図4の縦軸は、変位率を基準値aの倍数で示している。
変位率(%)=(変位量/電極の半径)×100・・・(2)
3:アクチュエータ 30:誘電膜 31a、31b:電極
310a、310b:端子部 4:電源 5:変位計 50:マーカー
Claims (7)
- エラストマーと、該エラストマー中に分散され、表面がカップリング処理されている強誘電無機微粒子と、を含む誘電材料からなり、厚さが1μm以上1000μm以下の誘電膜と、
該誘電膜を介して配置され、オイルまたはエラストマーと導電材とを含む複数の電極と、
を備えてなり、複数の該電極間に印加される電圧の変化により該誘電膜が伸縮するアクチュエータ。 - 前記カップリング処理は、シランカップリング剤による表面処理である請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記強誘電無機微粒子は、比誘電率が80以上である請求項1または請求項2に記載のアクチュエータ。
- 前記強誘電無機微粒子の粒子径は、1nm以上500nm以下である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 前記誘電膜を構成する前記エラストマーは、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、水素化ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 前記誘電膜は、前記エラストマーのポリマーを溶解したポリマー溶液に前記強誘電無機微粒子を混合して調製したゴム組成物を基材上に塗布して製造される請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアクチュエータ。
- エラストマーのポリマーを溶解したポリマー溶液に、表面がカップリング処理されている強誘電無機微粒子を混合して調製したゴム組成物を基材上に塗布することにより、厚さが1μm以上1000μm以下のアクチュエータ用誘電膜を製造することを特徴とするアクチュエータ用誘電膜の製造方法。
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