JP5486369B2 - 誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ - Google Patents
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Description
上述したように、本発明の誘電材料は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなる島相が、エラストマーを含み該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなる海相中に、分散されてなる。
海相の高抵抗材料は、後述する高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する。誘電材料の電気抵抗を大きくするという観点から、高抵抗材料の体積抵抗率は、1011Ωcm以上であることが望ましい。また、高抵抗材料は、エラストマーのみでもよく、エラストマーに他の絶縁材料を混合したものでもよい。
島相の高誘電材料の比誘電率は、15以上である。高誘電材料は、エラストマーのみでもよく、比誘電率や電気抵抗を増加させるための他の成分を、エラストマーに混合したものでもよい。
本発明の誘電材料は、例えば、次のように製造することができる。まず、高抵抗材料としてのエラストマー等の原料と、高誘電材料としてのエラストマー等の原料と、必要に応じて配合される添加剤と、をロールや混練機により混練りして、エラストマー組成物を調製する。次に、調製したエラストマー組成物を、金型に充填して、所定の条件下でプレス成形する。あるいは、調製したエラストマー組成物を、所定の条件下で押出成形する。
本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電材料からなる誘電膜と、該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、を備える。本発明の誘電材料の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。なお、本発明のトランスデューサを構成する誘電膜についても、本発明の誘電材料における好適な態様を採用することが望ましい。
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータに具現化した実施形態を説明する。図2に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサに具現化した実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図3に、静電容量型センサの上面図を示す。図4に、図3のIV−IV断面図を示す。
C=ε0εrS/d・・・(I)
[C:静電容量、ε0:真空中の誘電率、εr:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、静電容量型センサ2が上方から押圧されると、誘電膜20、電極21a、カバーフィルム23aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電膜20の厚さ(電極間距離)は小さくなる。その結果、電極21a、21b間の静電容量は、大きくなる。この静電容量の変化により、圧縮による変形が検出される。
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図5に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
下記の表1に示す原料から、実施例および比較例の各誘電材料を製造した。実施例については、二種類のエラストマーを使用した。比較例については、一種類のエラストマーを使用した。
まず、水素化ニトリルゴム(日本ゼオン(株)製「Zetpol(登録商標)0020」、結合AN量=49.2質量%)と、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)と、加硫助剤の酸化亜鉛二種(三井金属(株)製)と、加硫促進剤のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(三新化学工業(株)製「サンセラー(登録商標)CZ−G」)と、硫黄(鶴見化学工業(株)製「サルファックスT−10」)と、を50〜60℃下で、ロール練り機にて混練りした。次に、得られたゴム組成物を、金型に配置して、約160℃で約20分間プレス架橋した。続いて、金型から取り出された架橋物をオーブン内に配置して、160〜180℃で約2時間、二次架橋した。このようにして、厚さ約200μmの薄膜状の誘電材料を得た。
さらに、無機フィラーとしてシリカ(日本アエロジル(株)製乾式シリカ「Aerosil(登録商標)380」)を配合した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
シリカの配合量を変更した点以外は、上記実施例2と同様にして、誘電材料を製造した。
水素化ニトリルゴムに替えて、EPDMを使用して誘電材料を製造した。まず、EPDM(住友化学(株)製「エスプレン(登録商標)505」)と、可塑剤(パラフィン系プロセスオイル)と、を混練したマスターバッチを作製した。次に、マスターバッチと、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(同上)と、を素練りした。さらに、シリカ(同上)、可塑剤(トリクレジルホスフェート)、加硫助剤の酸化亜鉛二種(同上)、加硫促進剤のN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(同上)、および硫黄(同上)を加えて、50〜60℃下で、ロール練り機にて混練りした。その後、得られたゴム組成物を、金型に配置して、約160℃で約20分間プレス架橋した。続いて、金型から取り出された架橋物をオーブン内に配置して、160〜180℃で約2時間、二次架橋した。このようにして、厚さ約200μmの薄膜状の誘電材料を得た。
エラストマーとして、水素化ニトリルゴムのみを使用した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
エラストマーとして、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴムのみを使用した点以外は、上記実施例1と同様にして、誘電材料を製造した。
エラストマーとして、EPDMのみを使用し、可塑剤を一種類(パラフィン系プロセスオイル)にした点以外は、上記実施例4と同様にして、誘電材料を製造した。
[引張特性]
JIS K 6251(2004)に準じた引張試験を行い、25%引張応力(M25)、引張強さ(TS)、および切断時伸び(Eb)を算出した。また、得られた応力−伸び曲線の初期の勾配から、ヤング率を算出した。引張試験には、ダンベル状5号形の試験片を使用した。
JIS K6271(2008)に準じて、体積抵抗率を測定した。測定は、直流電圧1000Vを印加して行った。
誘電材料をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置して、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)、および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して、比誘電率を測定した(周波数100Hz)。
実施例および比較例の各誘電材料を用いてアクチュエータを作製し、アクチュエータの発生力等を測定した。まず、実施例および比較例の各誘電材料から、縦50mm、横25mm、厚さ約200μmの矩形板状の誘電膜を作製した。そして、誘電膜の表裏両面に、アクリルゴムにカーボンブラックが混合されてなる電極を貼着して、アクチュエータを作製した。図6に、測定装置に取り付けられたアクチュエータの表側正面図を示す。図7に、図6のVII−VII方向断面図を示す。
評価結果を、上記表1にまとめて示す。表1中、アクチュエータ特性における発生力としては、電界強度40V/μm、60V/μmの二種類の直流電圧を印加させた時の測定値を示す。また、実施例の誘電材料については、モルフォロジー観察を行い、海島構造を確認した。モルフォロジー観察は、走査型プローブ顕微鏡((株)島津製作所製「SPM−9500J3」)を用いて行った。誘電材料における海相、島相の各成分を、上記表1に併せて示す。
13:電源
2:静電容量型センサ(トランスデューサ) 20:誘電膜 21a、21b:電極
22a、22b:配線 23a、23b:カバーフィルム 24:コネクタ
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32a〜32c:配線
5:アクチュエータ 50:誘電膜 51a、51b:電極 52:上側チャック
53:下側チャック
100:誘電材料 101:海相 102:島相
Claims (7)
- 海相中に島相が分散されてなる海島構造を有し、
前記島相は、エラストマーを含み比誘電率が15以上の高誘電材料からなり、
前記海相は、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルクから選ばれる一種以上の無機フィラーと、該無機フィラーと反応可能な官能基を有するエラストマーと、を含み(但し、カーボンブラックは含まない)、該高誘電材料よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗材料からなることを特徴とする誘電材料。 - 前記高抵抗材料を構成する前記エラストマーは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、イソプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体から選ばれる一種以上である請求項1に記載の誘電材料。
- 前記高誘電材料を構成する前記エラストマーは、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムから選ばれる一種以上である請求項1または請求項2に記載の誘電材料。
- 前記高誘電材料は、前記エラストマーに加えて、さらにイオン導電剤を含む請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電材料。
- 前記イオン導電剤は、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、および第四級ホスホニウムイオンから選ばれるカチオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、および過塩素酸イオンから選ばれるアニオンと、を有する化合物である請求項4に記載の誘電材料。
- 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電材料からなる誘電膜と、
該誘電膜を介して配置されている複数の電極と、
を備えることを特徴とするトランスデューサ。 - 複数の前記電極間に印加された電圧に応じて、前記誘電膜が伸縮するアクチュエータである請求項6に記載のトランスデューサ。
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