JP5506488B2 - 誘電積層体およびそれを用いたトランスデューサ - Google Patents
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Description
上述したように、本発明の誘電積層体は、エラストマーとイオン成分とを含むイオン含有層と、エラストマーを含み該イオン含有層よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗層と、が積層されてなる。図1に、本発明の誘電積層体の第一実施形態の断面模式図を示す。
高抵抗層は、後述するイオン含有層よりも大きな体積抵抗率を有する。イオン含有層に生じた電荷をイオン含有層との界面付近で蓄え、かつ、蓄えた電荷の移動を抑制すると共に、誘電積層体の耐絶縁破壊性を向上させるという観点から、高抵抗層の体積抵抗率は、1011Ωcm以上であることが望ましい。
高抵抗層の厚さ比率=高抵抗層の厚さ/誘電積層体全体の厚さ・・・(I)
本態様においては、高抵抗層の厚さ比率を、0.3以上とすることにより、イオン含有層に生じた電荷の移動を、効果的に抑制することができる。
高抵抗層の厚さ比率=高抵抗層の厚さ/誘電積層体全体の厚さ・・・(II)
本態様においては、高抵抗層の厚さ比率を、0.5以上とすることにより、イオン含有層に生じた電荷の移動を、効果的に抑制することができる。
イオン含有層は、エラストマーとイオン成分とを含む。また、イオン含有層は、架橋剤、加硫促進剤、加工助剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。さらに、イオン成分を固定化して、イオン含有層の電気抵抗の変化を抑制するという観点から、イオン含有層は、イオン吸着能に優れる活性炭、シリカ等を含んでいてもよい。
本発明の誘電積層体は、例えば、次のように製造することができる。第一の方法としては、まず、高抵抗層と、イオン含有層と、を各々製造する。具体的には、高抵抗層を構成するエラストマー等と、必要に応じて配合される添加剤と、をロールや混練機により混練りして、エラストマー組成物を調製する。そして、調製したエラストマー組成物を、例えば金型に充填して、所定の条件下でプレス架橋する。同様に、イオン含有層を構成するエラストマーおよびイオン成分と、必要に応じて配合される添加剤と、をロールや混練機により混練りして、エラストマー組成物を調製する。そして、調製したエラストマー組成物を、例えば金型に充填して、所定の条件下でプレス架橋する。次に、高抵抗層とイオン含有層とを、貼り付ければよい。
本発明のトランスデューサは、上記本発明の誘電積層体と、該誘電積層体を介して配置されている複数の電極と、を備える。本発明の誘電積層体の構成、および製造方法については、上述した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。なお、本発明のトランスデューサを構成する誘電積層体についても、本発明の誘電積層体における好適な態様を採用することが望ましい。
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータの実施形態を説明する。図3に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサの実施形態を説明する。まず、本実施形態の静電容量型センサの構成について説明する。図4に、静電容量型センサの上面図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。
C=ε0εrS/d・・・(III)
[C:静電容量、ε0:真空中の誘電率、εr:誘電積層体の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、静電容量型センサ2が上方から押圧されると、誘電積層体20、電極21a、カバーフィルム23aは一体となって、下方に湾曲する。圧縮により、誘電積層体20の厚さ(電極間距離)は小さくなる。その結果、電極21a、21b間の静電容量は、大きくなる。この静電容量の変化により、圧縮による変形が検出される。
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図6に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。
次のようにして、高抵抗層を作製した。まず、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(ランクセス社製「テルバン(登録商標)XT8889」)100質量部と、シリカ(日本アエロジル(株)製「Aerosil(登録商標)380」)10質量部と、をロール練り機にて混練りした。次に、混練りした材料を、アセチルアセトンに溶解した。続いて、この溶液に、有機金属化合物のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン15質量部を混合して、液状のエラストマー組成物を調製した。ここで、アセチルアセトンは、カルボキシル基含有水素化ニトリルゴムを溶解させる溶媒であると共に、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタンのキレート剤である。その後、エラストマー組成物を基材上に塗布し、乾燥させた後、150℃で約60分間加熱して、高抵抗層を得た。高抵抗層の膜厚は、約40μmであった。
実施例の誘電積層体を用いてアクチュエータを作製し、印加電圧に対する発生力および漏れ電流を測定した。まず、測定装置および測定方法について説明する。
13:電源 100:高抵抗層 101、102:イオン含有層
2:静電容量型センサ(トランスデューサ) 20:誘電積層体 21a、21b:電極
22a、22b:配線 23a、23b:カバーフィルム 24:コネクタ
200:高抵抗層 201、202:イオン含有層
3:発電素子(トランスデューサ) 30:誘電積層体 31a、31b:電極
32a〜32c:配線 300:高抵抗層 301、302:イオン含有層
5:アクチュエータ 50:誘電積層体 51a、51b:電極 52:上側チャック
53:下側チャック 500:高抵抗層 501、502:イオン含有層
9:誘電積層体 90:高抵抗層 91、92:イオン含有層
Claims (11)
- エラストマーとイオン成分とを含むイオン含有層と、
無機フィラーと、該無機フィラーと反応可能な官能基を有するエラストマーと、を含み該イオン含有層よりも大きな体積抵抗率を有する高抵抗層と、
が積層されてなることを特徴とする誘電積層体。 - 前記イオン含有層は、前記高抵抗層を挟んで該高抵抗層の厚さ方向両側に配置されている請求項1に記載の誘電積層体。
- 次式(I)で算出される前記高抵抗層の厚さ比率は、0.3以上である請求項2に記載の誘電積層体。
高抵抗層の厚さ比率=高抵抗層の厚さ/誘電積層体全体の厚さ・・・(I) - 前記イオン含有層と前記高抵抗層とは、各々、一層ずつ積層されており、
次式(II)で算出される前記高抵抗層の厚さ比率は、0.5以上である請求項1に記載の誘電積層体。
高抵抗層の厚さ比率=高抵抗層の厚さ/誘電積層体全体の厚さ・・・(II) - 前記高抵抗層を構成する前記エラストマーは、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、イソプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体から選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の誘電積層体。
- 前記無機フィラーは、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルクから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電積層体。
- 前記イオン含有層を構成する前記エラストマーは、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の誘電積層体。
- 前記イオン成分は、第四級アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、および第四級ホスホニウムイオンから選ばれるカチオンと、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、および過塩素酸イオンから選ばれるアニオンと、を有する化合物である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の誘電積層体。
- 前記イオン成分の配合量は、前記イオン含有層を構成する前記エラストマーの100質量部に対して、0.155mmol以上3mmol以下である請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の誘電膜。
- 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の誘電積層体と、
該誘電積層体を介して配置されている複数の電極と、
を備えることを特徴とするトランスデューサ。 - 複数の前記電極間に印加された電圧に応じて、前記誘電積層体が伸縮するアクチュエータである請求項10に記載のトランスデューサ。
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