JP6002524B2 - トランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、エラストマー材料を用いた柔軟なトランスデューサに関し、特に耐湿性に優れたトランスデューサに関する。
トランスデューサとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が知られている。柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサを構成するためには、誘電体エラストマー等の高分子材料が有用である。
例えば、誘電体エラストマーからなるシート状の誘電層の厚さ方向両面に、伸縮しても電気抵抗が増加しにくい一対の電極を配置して、柔軟なアクチュエータを構成することができる。この種のアクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電層は厚さ方向から圧縮され、誘電層の厚さは薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電層は電極面に対して平行方向に伸長する。一方、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電層に対する厚さ方向からの圧縮力が小さくなり、誘電層の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電層は電極面に対して平行方向に収縮する。このように、アクチュエータは、印加電圧の大小により誘電層を伸長、収縮させて、駆動対象部材を駆動させる。
誘電層の材料としては、印加電圧に対して大きな静電引力を生じさせることができるという観点から、比誘電率が大きいニトリルゴム等が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−124839号公報 特開平9−66575号公報 特開2009−79482号公報 特開2012−43844号公報
ニトリルゴムには、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)等がある。ニトリルゴムは、ニトリル基を有する。このため、極性が高く、水との馴染みが良い。また、ニトリルゴムには、ゴムの合成時に添加された触媒や乳化剤等の残留物が含まれる。このため、ニトリルゴムに水分が侵入すると、残留物がイオン化して、ゴム中を移動するようになる。ゴム中のイオンの動きが活発になると、電気抵抗が低下して、絶縁破壊強度が小さくなる。したがって、ニトリルゴムを誘電層として用いた場合には、使用時において、あるいは高湿度環境下で保管、放置することにより、耐絶縁破壊性が低下しやすいという問題がある。誘電層の絶縁破壊強度が小さくなると、印加電圧を大きくすることができないため、アクチュエータにおいて所望の発生力および変位量を得ることができなくなる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、耐湿性に優れ、誘電層の耐絶縁破壊性が低下しにくいトランスデューサを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明のトランスデューサは、エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置される電極と、を有する電歪素子と、少なくとも該電歪素子の表裏一面を被覆し、ブチルゴムおよび吸水性ポリマーを含む吸水層を有するバリア層と、を備えることを特徴とする。
本発明のトランスデューサにおいては、バリア層が、少なくとも電歪素子の表裏一面を被覆するように配置される。バリア層は、透湿性が低いブチルゴムと、吸水性ポリマーと、を含む。このため、空気中の水分は、ブチルゴムにより透過が抑制されると共に、吸水性ポリマーに吸収される。このように、防湿と吸収という二つの機能で水分を遮断するため、本発明のトランスデューサにおいては、外部の水分が電歪素子に到達しにくい。つまり、誘電層に水分が侵入しにくい。よって、誘電層として極性の大きなエラストマーを用いた場合でも、誘電層の電気抵抗が低下しにくく、耐絶縁破壊性の低下が抑制される。したがって、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
また、吸水層は、ヤング率が比較的小さいブチルゴムを含む。このため、バリア層の全体が柔軟で伸縮可能である。したがって、印加電圧の大小により電歪素子が伸縮しても、バリア層は、電歪素子の動きに追従して伸縮することができる。よって、バリア層により、電歪素子の動きが阻害されにくい。
第一実施形態のアクチュエータの断面図である。 吸水性ポリマーの含有量が異なる試験片の応力歪み線図である。 薄片状フィラーの含有量が異なる試験片の応力歪み線図である。
以下、本発明のトランスデューサの実施形態について説明する。なお、本発明のトランスデューサは、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。本発明のトランスデューサは、電歪素子とバリア層とを備える。
<電歪素子>
電歪素子は、誘電層と電極とを有する。誘電層はエラストマーを含む。エラストマーは、架橋ゴムでも熱可塑性エラストマーでもよい。エラストマーとしては、例えば、NBR、H−NBR、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、イソプレンゴム、天然ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。また、エポキシ化天然ゴム、カルボキシル基変性水素化ニトリルゴム(XH−NBR)等のように、官能基を導入するなどして変性したエラストマーでもよい。エラストマーとしては、一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
誘電層は、エラストマーのみから構成されていてもよく、エラストマーに加えて他の成分を含んで構成されていてもよい。他の成分としては、例えば、絶縁性の高い無機フィラーが好適である。絶縁材料を配合することにより、誘電層の体積抵抗率を大きくすることができる。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、焼成クレー、タルク等が挙げられる。
電極は、誘電層を挟むように配置される。電極は、誘電層の伸縮に追従できるように、柔軟であることが望ましい。柔軟な電極は、例えば、バインダーおよび導電材から形成すればよい。バインダーとしては、樹脂やエラストマーを用いることができる。伸縮しても電気抵抗が増加しにくい電極を形成するという観点から、バインダーとしては、エラストマーが好適である。エラストマーとしては、ブチルゴム、シリコーンゴム、NBR、EPDM、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等の架橋ゴム、およびスチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマーが挙げられる。また、エポキシ基変性アクリルゴム、XH−NBR等のように、官能基を導入するなどして変性したエラストマーでもよい。
なかでも、透湿性が低いエラストマーとして、ブチルゴムが好適である。電極の母材をブチルゴムにすることにより、電極においても水分の透過を抑制することができる。これにより、トランスデューサの耐湿性がより向上する。
導電材の種類は、特に限定されない。カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の導電性炭素粉末、銀、金、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、クロム、チタン、白金、鉄、およびこれらの合金等の金属粉末等から、適宜選択すればよい。また、銀被覆銅粉末など、金属で被覆された粒子からなる粉末を用いてもよい。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。
電極は、バインダーおよび導電材に加えて、必要に応じて分散剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、着色剤等の添加剤を含んでいてもよい。例えば、バインダーとしてエラストマーを用いる場合、当該エラストマー分のポリマーを溶剤に溶解したポリマー溶液に、導電材、必要に応じて添加剤を添加して、攪拌、混合することにより、導電塗料を調製する。そして、調製した導電塗料を、誘電層(後述する他の層を介在させる場合には当該他の層)の一面に直接塗布することにより、電極を形成すればよい。あるいは、離型性フィルムに導電塗料を塗布して電極を形成し、形成した電極を、誘電層等の一面に転写してもよい。導電塗料の塗布方法としては、既に公知の種々の方法を採用することができる。例えば、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、リソグラフィー等の印刷法の他、ディップ法、スプレー法、バーコート法等が挙げられる。
電歪素子は、誘電層および電極の他、さらに、イオン成分を含んだイオン含有層等を有してもよい。イオン含有層は、誘電層と電極との間に配置すればよい。また、電歪素子を構成する誘電層は、一層でなくてもよい。複数の誘電層を電極を介して積層させて、電歪素子を構成してもよい。
<バリア層>
バリア層は、少なくとも電歪素子の表裏一面を被覆するように配置される。バリア層は、電歪素子の表面または裏面の一面のみに配置されてもよいが、水分の遮断効果を高めるという観点から、表裏両面に一つずつ配置される態様が望ましい。また、電歪素子の側面も、バリア層に被覆される態様が望ましい。すなわち、電歪素子の全体が、一対のバリア層により被覆される態様が望ましい。
バリア層は吸水層を有する。吸水層は、ブチルゴムおよび吸水性ポリマーを含む。ブチルゴムは、ガスおよび水分の両方を透過させにくい。ブチルゴムとしては、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等が挙げられる。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。
吸水性ポリマーの種類は、特に限定されない。例えば、ポリアクリル酸塩、ポリスルホン酸塩、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系等の樹脂を用いればよい。
また、誘電層(電歪素子)の伸縮に対する追従性を確保するという観点から、吸水層は、応力歪み線図において降伏点を持たないことが望ましい。吸水層に降伏点が有ると、降伏点以上の領域では、弾性変形することはできない。したがって、伸縮を繰り返す電歪素子のバリア層には適さない。また、誘電層の伸縮に対する追従性を確保するためには、吸水層のヤング率は、10MPa以下であることが望ましい。
このような吸水層を実現するためには、吸水性ポリマーの含有量を、ブチルゴム100質量部に対して150質量部以下にすることが望ましい。100質量部以下にするとより好適である。一方、所望の吸水効果を得るためには、吸水性ポリマーの含有量を、ブチルゴム100質量部に対して5質量部以上にすることが望ましい。25質量部以上にするとより好適である。
バリア層は、吸水層のみから構成されてもよいが、水分の遮断効果を高めるという観点から、ブチルゴムを含む低透湿層と吸水層とが積層された構成にするとよい。上述したように、ブチルゴムの透湿性は低く、ヤング率も小さい。したがって、例えば、外部の空気に接する外側から順に、低透湿層と吸水層とが積層される場合、空気中の水分は、まず、低透湿層で遮断される。仮に、低透湿層を通過した水分があっても、当該水分は、次の吸水層で遮断、吸収される。また、外側から順に、吸水層と低透湿層とが積層される場合、空気中の水分は、まず、吸水層で遮断、吸収される。仮に、吸水層を通過した水分があっても、当該水分は、次の低透湿層で遮断される。このように、二つの障壁を設けると、水分の遮断効果が高くなる。低透湿層においても、吸水層と同様に、ブチルゴムとして、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等から選ばれる一種以上を用いればよい。吸水層、低透湿層はいずれもブチルゴムを含む。このため、積層される両層の接着性は良好である。
低透湿層と吸水層とは一層ずつ積層されていてもよく、複数の低透湿層と吸水層とが交互に積層されていてもよい。いずれの場合においても、低透湿層は、バリア層の最外層として配置されることが望ましい。例えば、バリア層を、吸水層を挟んで一対の低透湿層が配置された三層構造とすると、防湿/防湿+吸水/防湿の三層により水分を遮断することができる。したがって、水分の遮断効果が高い。低透湿層および吸水層の各々の厚さは、誘電層の伸縮に対する追従性が確保でき、かつ、水分の遮断効果が得られれば、特に限定されない。例えば、電歪素子の片面を被覆するバリア層の厚さは、100μm以上にすることが望ましい。
低透湿層の耐透湿性を高くするという観点から、低透湿層は、ブチルゴム以外に、水分の透過を抑制することができる低透湿材として、薄片状フィラーを含むことが望ましい。薄片状フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、モンモリロナイト、合成スメクタイト等が挙げられる。これらの一種を単独で、あるいは二種以上を混合して用いればよい。薄片状フィラーの含有量が増加すると、低透湿層の柔軟性は低下する。誘電層(電歪素子)の伸縮に対する追従性を確保するという観点から、吸水層と同様に低透湿層も、応力歪み線図において降伏点を持たないことが望ましい。また、低透湿層のヤング率は、10MPa以下であることが望ましい。このような低透湿層を実現するためには、薄片状フィラーの含有量を、ブチルゴム100質量部に対して200質量部以下にすることが望ましい。100質量部以下にするとより好適である。一方、水分の透過を抑制する効果を発揮させるためには、薄片状フィラーの含有量を、ブチルゴム100質量部に対して5質量部以上にすることが望ましい。25質量部以上にするとより好適である。
<製造方法>
本発明のトランスデューサは、例えば、次の(1)−(5)に従って製造することができる。なお、バリア層を吸水層のみから構成する場合には、(2)、(4)の工程は不要である。
(1)誘電層と、必要に応じてイオン含有層等と、電極と、を積層させて、電歪素子を作製する。
(2)ブチルゴムを含む塗料を基材に塗布し、塗膜を乾燥した後、硬化させて、低透湿層を作製する。
(3)以下のようにして吸水層を作製する。まず、ブチルゴムポリマーに、吸水性ポリマー粉末および必要に応じて架橋剤等を練り込んで、マスターバッチを作製する。次に、マスターバッチを溶剤に溶解して、塗料を調製する。そして、塗料を基材に塗布し、塗膜を乾燥した後、硬化させる。
(4)作製した低透湿層と吸水層とをラミネータ等により一体化して、バリア層を作製する。
(5)電歪素子の表裏一面、または表裏両面にバリア層を配置して、トランスデューサを製造する。
<第一実施形態>
以下に、本発明のトランスデューサの一実施形態であるアクチュエータの構成を説明する。図1に、アクチュエータの厚さ方向断面図を示す。図1に示すように、アクチュエータ1は、電歪素子2と、表側バリア層3と、裏側バリア層4と、を備えている。
電歪素子2は、十層の誘電層(図略)と、誘電層を挟んで配置される電極(図略)と、を有している。誘電層は、H−NBRからなる。電極は、アクリルゴムポリマー溶液にカーボンブラックを分散させた導電塗料から、形成されている。電歪素子2の厚さは、150μmである。
表側バリア層3は、電歪素子2の表面(上面)および側面の上部を被覆している。裏側バリア層4は、電歪素子2の裏面(下面)および側面の下部を被覆している。表側バリア層3の周縁部と裏側バリア層4の周縁部とは、電歪素子2の面方向外側において貼着されている。これにより、電歪素子2の全体が、表側バリア層3および裏側バリア層4により被覆されている。
表側バリア層3は、下から(電歪素子2側から)順に、第一低透湿層30、吸水層31、第二低透湿層32が積層されてなる。表側バリア層3の最外層は、第二低透湿層32である。裏側バリア層4は、上から(電歪素子2側から)順に、第一低透湿層40、吸水層41、第二低透湿層42が積層されてなる。裏側バリア層4の最外層は、第二低透湿層42である。表側バリア層3と裏側バリア層4とは、電歪素子2を挟んで、対称的に配置されている。すなわち、第一低透湿層30と第一低透湿層40とは、電歪素子2を挟んで対向している。表側バリア層3の構成と裏側バリア層4の構成とは、同じである。したがって、ここでは、二つのバリア層3、4を代表して、表側バリア層3の構成を説明する。
表側バリア層3における第一低透湿層30は、ブチルゴムからなる。吸水層31は、ブチルゴムおよびポリアクリル酸塩を含んでいる。第二低透湿層32は、ブチルゴムからなる。第一低透湿層30、吸水層31、第二低透湿層32の厚さは、各々、100μmである。したがって、表側バリア層3の厚さは、300μmである。また、表側バリア層3および裏側バリア層4の総厚さは、約600μmである。
アクチュエータ1によると、第二低透湿層32、42により、外部の水分の透過が抑制される。仮に、第二低透湿層32、42を通過した水分があっても、当該水分は、吸水層31、41において吸収される。仮に、吸水層31、41において吸収しきれなかった水分があっても、当該水分の透過は、第一低透湿層30、40により抑制される。このため、アクチュエータ1においては、外部の水分が電歪素子2に到達しにくい。つまり、誘電層に水分が侵入しにくい。よって、H−NBRからなる誘電層において、耐絶縁破壊性の低下が抑制される。したがって、アクチュエータ1は、耐久性に優れる。
また、第一、第二低透湿層30、32、40、42は、ブチルゴムからなる。また、吸水層31、41もブチルゴムを含む。このため、表側バリア層3および裏側バリア層4は、柔軟で伸縮可能である。したがって、表側バリア層3および裏側バリア層4により、電歪素子2の動きが阻害されにくい。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<吸水性ポリマーの含有量の検討>
吸水性ポリマーの含有量を変更して八種類の吸水層を作製し、各々の応力歪み特性を調べた。まず、塩素化ブチルゴム(JSR(株)製「HT1066」)90質量部と、レギュラーブチルゴム(JSR(株)製「JSR ブチル365」)10質量部と、吸水性ポリマーとして所定量のポリアクリル酸塩粉末((株)日本触媒製「アクアリック(登録商標)CS−S6」、平均粒子径15μm)と、架橋助剤の酸化亜鉛5質量部と、架橋剤(田岡化学工業(株)製「タッキロール(登録商標)201」)10質量部と、をロールにより練り合わせ、マスターバッチを作製した。次に、マスターバッチをトルエンに溶解して、塗料を調製した。そして、調製した塗料を基材に塗布し、塗膜を乾燥させた後、150℃で20分間加熱して、塗膜を硬化させた。得られた塗膜から試験片を作製し、JIS K6251(2010)に準じた引張試験を行って、応力歪み線図を作製した。図2に、各試験片の応力歪み線図を示す。
図2に示すように、吸水性ポリマーの含有量が150phr(質量部)以下の試験片は、50%を超える歪みに対して弾性変形可能であることが確認された。一方、吸水性ポリマーの含有量が200質量部以上の試験片においては、歪み10%付近で降伏点が現れた。降伏点以上の領域では、弾性変形することはできない。したがって、上記組成の吸水層において、吸水性ポリマーの含有量を200質量部以上にすると、伸縮を繰り返す電歪素子のバリア層として適さないことがわかった。
<薄片状フィラーの含有量の検討>
薄片状フィラーの種類および含有量を変更して四種類の低透湿層を作製し、各々の応力歪み特性を調べた。吸水性ポリマーに代えて薄片状フィラーを配合した以外は、上記吸水層の作製と同様にして、四種類の試験片を作製した。薄片状フィラーとしては、クレー(R.T.Vanderbilt社製「デキシークレー」、Al含有量39.5%)とタルク(日本タルク(株)製「ミクロエース(登録商標)K−1」)とを使用した。作製した試験片を用いて引張試験を行い、各々の応力歪み線図を作製した。図3に、各試験片の応力歪み線図を示す。
図3に示すように、薄片状フィラーの含有量が100phr(質量部)の試験片については、降伏点がなく、200%を超える歪みに対して弾性変形可能であることが確認された。一方、薄片状フィラーの含有量が300質量部の試験片においては、歪み10〜30%付近で降伏点が現れた。ちなみに、クレーを100質量部配合した試験片のヤング率は5.1MPa、300質量部配合した試験片のヤング率は26.8MPaであった。また、タルクを100質量部配合した試験片のヤング率は6.1MPa、300質量部配合した試験片のヤング率は34.5MPaであった。これにより、上記組成の低透湿層において、薄片状フィラーの含有量が300質量部の場合には、伸縮を繰り返す電歪素子のバリア層として適さないことがわかった。
<アクチュエータの耐湿性評価>
バリア層の構成が異なる種々のアクチュエータを製造し、高湿度環境下に3日間静置した場合の誘電層の体積抵抗率を測定して、耐湿性を評価した。
[アクチュエータの製造]
まず、H−NBR膜(厚さ15μm)の表裏両面に、アクリルゴムおよびカーボンブラックを含む一対の電極(厚さ5μm)を形成して、電歪素子を作製した。
次に、低透湿層および吸水層の構成が異なる種々のバリア層を作製した。吸水層の作製方法は、上述した通りである。また、低透湿層についても、吸水性ポリマーを配合しない点以外は、吸水層と同様にして作製した。そして、作製した低透湿層および吸水層を、所定の構成(後出の表2参照)に積層し、ラミネータにより一体化して、バリア層を作製した。
次に、作製したバリア層を、電歪素子の表裏両面に一つずつ配置して、アクチュエータを製造した。一対のバリア層は、電歪素子を挟んで、対称的に配置される。すなわち、一対のバリア層は、第一低透湿層(後出の表2参照)同士が電歪素子を挟んで向かい合うように、配置される。個々のアクチュエータにおいて、電歪素子の表裏両面に配置した一対のバリア層の構成は、同じである。
表1に、作製した吸水層および低透湿層の組成およびヤング率を示す。表2に、アクチュエータにおける一方のバリア層の構成を示す。表2に示すバリア層は、電歪素子側から、第一低透湿層、吸水層、第二低透湿層の順に、積層されている。したがって、実施例1〜6、8のアクチュエータにおいては、第二低透湿層が、バリア層の最外層になる。実施例7のアクチュエータにおいては、吸水層が、バリア層の最外層になる。また、比較例1のアクチュエータは、バリア層が無い電歪素子のみからなるアクチュエータである。比較例2のアクチュエータは、第二低透湿層のみを電歪素子の表裏両面に配置したアクチュエータである。
Figure 0006002524
Figure 0006002524
[アクチュエータの評価]
各々のアクチュエータを、23℃、湿度90%の高湿度環境下に3日間静置して、誘電層の体積抵抗率を測定した。体積抵抗率は、日置電機(株)製の「LCRハイテスタ3522−50」を用いて測定した。測定時の印加電圧は1Vとした。そして、体積抵抗率が、初期の体積抵抗率より小さくなったものを不良(表2中×印で示す)、初期の体積抵抗率と同じかそれ以上のものを良(表2中○印で示す)と判定した。誘電層の体積抵抗率および判定結果を、前出表2にまとめて示す。
表2に示すように、高湿度環境下に3日間静置した場合、バリア層を有さない比較例1、2のアクチュエータにおいては、誘電層の体積抵抗率は小さくなった(判定:不良)。これに対して、バリア層を有する実施例1〜8のアクチュエータにおいては、誘電層の体積抵抗率の低下は見られなかった(判定:良)。このように、バリア層を配置すると、誘電層への水分の侵入を抑制することができるため、アクチュエータの耐絶縁破壊性の低下を抑制することができる。
また、実施例1〜5のアクチュエータの結果から判るように、吸水性ポリマーの含有量が増加するに従って、誘電層の体積抵抗率は大きくなった。但し、実施例5のアクチュエータを構成するバリア層は、No.5の吸水層、すなわち、吸水性ポリマーの含有量が200質量部の吸水層を備える。No.5の吸水層においては、ヤング率が14.9と大きく、前出図2に示したように、歪み10%付近に降伏点が発現する。したがって、電歪素子に対する追従性は充分ではないと考えられる。
また、吸水層が同じで、低透湿層の構成が異なる実施例2、7、8を比較すると、バリア層の最外層が低透湿層からなる実施例2、8のアクチュエータの方が、最外層が吸水層からなる実施例7のアクチュエータよりも、体積抵抗率は大きくなった。
本発明のトランスデューサは、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ等、あるいは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン、ノイズキャンセラ等として、広く用いることができる。なかでも、産業、医療、福祉ロボットやアシストスーツ等に用いられる人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、および医療用器具等に用いられる柔軟なアクチュエータ、として好適である。
1:アクチュエータ(トランスデューサ)、2:電歪素子、3:表側バリア層、4:裏側バリア層、30:第一低透湿層、31:吸水層、32:第二低透湿層、40:第一低透湿層、41:吸水層、42:第二低透湿層。

Claims (10)

  1. エラストマーを含む誘電層と、該誘電層を挟んで配置される電極と、を有する電歪素子と、
    少なくとも該電歪素子の表裏一面を被覆し、ブチルゴムおよび吸水性ポリマーを含む吸水層とブチルゴムを含む低透湿層とが積層されてなるバリア層と、を備え
    該バリア層の最外層は該低透湿層からなることを特徴とするトランスデューサ。
  2. 前記バリア層は、前記電歪素子の表裏両面に一つずつ配置され、
    該電歪素子の全体が、一対の該バリア層により被覆される請求項1に記載のトランスデューサ。
  3. 前記バリア層は、前記吸水層を挟んで一対の前記低透湿層が配置される三層構造を有する請求項1または請求項に記載のトランスデューサ。
  4. 前記低透湿層は、さらに薄片状フィラーを含む請求項ないし請求項のいずれかに記載のトランスデューサ。
  5. 前記薄片状フィラーは、タルク、クレー、モンモリロナイト、合成スメクタイトから選ばれる一種以上である請求項に記載のトランスデューサ。
  6. 前記低透湿層は、応力歪み線図において降伏点を持たない請求項または請求項に記載のトランスデューサ。
  7. 前記薄片状フィラーの含有量は、前記低透湿層の前記ブチルゴム100質量部に対して5質量部以上100質量部以下である請求項に記載のトランスデューサ。
  8. 前記吸水層は、応力歪み線図において降伏点を持たない請求項1ないし請求項のいずれかに記載のトランスデューサ。
  9. 前記吸水性ポリマーの含有量は、前記吸水層の前記ブチルゴム100質量部に対して5質量部以上150質量部以下である請求項に記載のトランスデューサ。
  10. 前記電歪素子の前記電極は、ブチルゴムおよび導電材を含む請求項1ないし請求項のいずれかに記載のトランスデューサ。
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