JP2004346217A - ゴム組成物およびそれを用いた転写ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】体積抵抗率の環境による変動が少なく、しかもばらつきが少ないので調整が容易であり、十分に高い強度を有していることから画像の乱れを発生させることがないゴム組成物を提供する。
【解決手段】転写ベルト1などに用いられるゴム組成物において、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加する。
【選択図】 図1
【解決手段】転写ベルト1などに用いられるゴム組成物において、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性を有するベルトなどに用いられるゴム組成物とそれを用いたベルトにかかわり、詳しくはトナーを付着させて被転写物に転写する用途の転写ベルトなどに用いられるゴム組成物とそれを用いた転写ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置の中間転写体として導電性を持たせたベルトや、そのようなベルトを円筒形のドラムに被せロール状にした転写ドラムが用いられている。これらのベルトとしては、ゴムなどのエラストマー材料に導電性を持たせたものを用いている。これらの転写体は、感光体表面に形成されたトナー像を電気的吸引力により中間転写体上へ引きつける必要があるため、中〜高抵抗、具体的には、106〜1013Ω・cmといった体積抵抗率に調整した導電性ゴムからなっている。
【0003】
中間転写体を使用した電子写真装置は、複数の成分色画像を順次積層転写してカラー画像を作成するのに非常に有効である。例えば特許文献1中で述べられた転写方法よりも各色のトナー画像を重ね合わせする際に色ずれを少なくすることができる。
【0004】
更に、特許文献1の図1のような保持手段(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を被記録体に転写することができるため、被記録体を多種多様に選択することができる。例えば、薄い紙(40g/m2紙)から厚い紙(200g/m2紙)まで、また幅の広狭または長さの長短によらず転写可能である。従って封筒、ハガキ、ラベル紙等まで転写が可能である。
【0005】
このような電子写真方式の画像形成装置の中間転写体としてゴムや樹脂などにカーボンブラックやイオン系導電剤などを混入して導電性を持たせた素材を用いた転写ベルトを複数の軸に巻きかけた装置やそのようなベルトを円筒形のドラムに被せた転写ロールが用いられている。
【0006】
また、特許文献2に開示されているのは導電性ローラに関する技術であるが、用途としては電子写真装置の帯電ローラや転写ローラ、現像ローラなどが挙げられており、導電性ローラの外層を形成するゴム層としてエピクロルヒドリン系共重合体と液状NBRゴムからなるものが記載されている。
【0007】
特許文献3には画像形成装置にて帯電ローラとして用いられる導電性ローラとして、弾性層がアクリロニトリル・ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン、クロロプレンゴムからなる群より選ばれてなる少なくとも一種のゴムに過塩素酸第四級アンモニウム塩化合物を配合して用いることが開示されている。
【0008】
特許文献4には複写機やプリンターなどの電子写真装置に用いられる導電性ロールの外周面を形成する弾性体としてエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カーボンブラック、イオン導電剤からなる弾性体を用いることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−301960号公報
【特許文献2】
特開2000−35032号公報
【特許文献3】
特開2001−99138号公報
【特許文献4】
特開2001−214925号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ゴムや樹脂などにカーボンブラックにて導電性を持たせているベルトの場合、カーボンブラックの配合量のわずかな変化によってゴムの体積抵抗率が大きく変化しばらつきが大きくなるので、所定の抵抗値を得るための調整が困難であるという問題がある。
【0011】
また、分散状態によっては局所的にカーボンが集まっており極端に体積抵抗率の低いところに電流が集まるピンホールリークを繰り返した場合にはベルト表面が焼けてしまい、表面に微小ピンホールが形成されてしまうということがある。その場合ピンホールに入り込んだトナーはクリーニングされずにそれが画像の欠陥につながるといった問題がある。
【0012】
イオン導電剤をゴムに配合して導電性を持たせているような場合は、ゴム中に均等に混ざるために体積抵抗率のバラツキは発生しにくいが、イオン導電剤を多量に配合してそれだけで導電性を持たせようとすると、温度や湿度などの環境の変化に影響されやすく、場合によっては抵抗値の変化が2桁以上の変化になってしまうといった問題があった。
【0013】
特許文献4ではエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カーボンブラック、イオン導電剤をバランスよく配合することによって、体積抵抗率のばらつきや環境による変動を少なくしようとしたものであるが、カーボンブラックによって抵抗値を下げようとするとやはり前記のように微調整が困難であるという問題は避けられない。
【0014】
また、このようなゴム組成物を転写ベルトとして用いる場合はある程度の高弾性率が必要となってくる。低弾性な材料であると転写ベルトに伸びが発生することがある。特に転写ベルトを2軸以上のローラに掛架した状態で用いるようなベルトの場合は荷重がかかるとベルトが伸びてしまいベルトの伸びに応じて画像にズレが発生してしまうカラーレジストレーションエラーを発生してしまう。カラーレジストレーションエラーは転写ベルトに複数の色を順番に1次転写をしていく際にそれぞれの色の転写位置がずれてしまうといった問題があった。
【0015】
そこで、本発明ではそのような転写ベルトとして用いられるゴム組成物として体積抵抗率のばらつきを少なくするいことができるとともに、温度や湿度などの環境が変化した場合の体積抵抗率の変化も小さなものにし、なおかつ必要なヤング率を有することによりベルトの伸びが小さく抑えられ2軸に掛架して用いるような使い方においてもカラーレジストレーションなどの問題を起こすことのない転写ベルト用ゴム組成物およびそれを用いた転写ベルトの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために本発明の請求項1では、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物としている。
【0017】
ヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかもばらつきが少ないので体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって、ゴムを補強し転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い強度を持たせることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、ばらつきを抑えることができるとともに例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0018】
請求項2はイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいたゴム組成物としている。
【0019】
請求項3ではヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したゴム組成物を用いたことを特徴とする転写ベルトとしている。
【0020】
請求項1と同様にヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかもばらつきが少ないので体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって、ゴムを補強し転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い強度を持たせることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、ばらつきを抑えることができるとともに例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0021】
請求項4はイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいた転写ベルトである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1に示すように少なくとも一対の軸Jに掛架して背面に付着させたトナーを被転写体に転写する用途で用いられる転写ベルト1やそのようなベルトをドラムの周囲に被覆した転写ドラムなどの部材として用いられるゴム組成物において、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物、そしてそれを用いた転写ベルトであるとしている。
【0023】
ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムのブレンド比を5/95〜50/50の範囲としているが5/95よりもヒドリンゴムの比が小さくなるとゴムに十分に導電性をもたせることができず、もし、イオン導電剤の配合量をふやして体積抵抗率を十分に下げようとすると、環境による抵抗値の変動の大きいものとなってしまう。また、50/50よりも水素化ニトリルゴムのブレンド比が小さくなると、ゴムの弾性率が低く強度不足となるのでベルトとしたときに走行負荷によってベルトが伸びたりすることによって、画像の乱れにつながるので好ましくない。
【0024】
ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンや、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体などの共重合体を挙げることができる。ヒドリンゴムはそれ自身の体積抵抗率が低いことからゴムに導電性を付与することができるが、加工性に劣っており混練りの際やベルトを成形する製造工程において困難なゴムであるということができる。
【0025】
また、本発明では水素化ニトリルゴムを用いているが水素化ニトリルゴムはニトリルゴムの二重結合に水素を添加したもので転写ベルトとして用いた場合にオゾンなどの攻撃に対して強く、また加工性に優れているとともにゴムの物性の面でも強度が高く伸びが少ないために画像の乱れなどの問題を生じにくい。
【0026】
ヒドリンゴムは導電性を有しており、ベルトの体積抵抗率を下げ一定の通電性を持たせることができるが加工性には優れているが強度の面では不足し、一方水素化ニトリルゴムは強度には優れ加工性にも優れているが抵抗率は高くほぼ絶縁体である。そこで、両者を前記のようなブレンド比の範囲にてブレンドすることによって、転写ベルトとして用いるのに十分な導電性および強度などの物性を有するとともに、ベルト製造時の加工性にも問題がないゴムとすることができる。
【0027】
本発明に用いるカーボンブラックはDBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラックであり、ゴムに配合しても導電性の付与が少なく、ゴム物性を補強する効果を主体としたカーボンブラックである。DBP吸収量とは、カーボンブラック100gにおけるジブチルフタレートの吸収可能な量であり、粒子のつながり(ストラクチャー)をあらわす指標のことである。DBP吸収量が低いものはカーボンブラックによる体積抵抗率を下げる効果が小さい。このようなカーボンブラックを用いることによって、カーボンブラックで導電性を付与した場合の欠点である体積抵抗率のばらつきが発生し微調整が困難であるといった問題が発生しにくく、物性の補強を主に行うことができる。DBP吸収量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラックとしてはSRFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、GPFカーボンブラック等を挙げることができる。
【0028】
カーボンブラックの配合量はゴム100質量部に対して20〜60質量部であり、20質量部未満であると十分にゴムの補強を行うことができず、60質量部を超えると体積抵抗率への影響が大きくなり、体積抵抗率のばらつきが大きくなり好ましくない。
【0029】
イオン系導電剤としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムなどのリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、ハロゲン酸素酸塩、過ハロゲン酸素酸塩、リン酸塩、また、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸リチウムなどのチオシアン酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムクロライド、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ベンゾキノン、クロルアニル、アントラキノン、アントラセン、ジクロロジシアノベンゾキノン、フェロセン、フタロシアニン、1.4ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。この中でも四級アンモニウム塩化合物を用いることが他のものを配合する場合と比べて加硫ゴム物性にほとんど影響を及ぼすことなく必要とする抵抗値を得られることから好ましいといえる。
【0030】
イオン導電剤はヒドリンゴムによりある程度の導電性を持たせた後の抵抗値微調整のために配合するものであり、その配合量はゴム100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲とする。0.1質量部未満であると配合量が少なすぎて必要なだけの抵抗値を得ることができず、10質量部を超えると抵抗値が下がりすぎ、イオン導電剤特有の環境による変動の影響が大きくなるので好ましくない。
【0031】
本発明の転写部材および転写部材用ゴム組成物には上記のカーボンブラックとイオン系導電剤以外にもゴムに通常用いられるようなシリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、オイル、ワックス、架橋剤、架橋促進剤、共架橋剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、短繊維、粘着付与剤、スコーチ防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤など配合剤を添加してもよい。
【0032】
可塑剤としては、例えばポリジメチルシロキサンオイル、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール、その他DOPなどのフタレート系、DOA、DIDAなどのアジペート系、DOS、DBSなどのセバケート系、TOP、TBPなどのフォスフェート系、ポリエーテル系の可塑剤を挙げることができる。そして可塑剤の配合量は10〜50重量部程度である。
【0033】
短繊維は、綿、ポリエステル、ポリアミド、アラミドなどの繊維からなる長さが1〜10mm程度の通常よく用いられる短繊維を用いることができる。
【0034】
充填剤としては、珪藻土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、ガラス繊維、カーボンブラック、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、アルミナ、シリカなどの無機充填剤が挙げられる。
【0035】
共架橋剤としては、Sulfur、Dipentamethylene−thiuram−pentasulfide、Mercaptobenzothiazole、GM、DGM、N−Methyl−N’−4−dinitrosoaniline、Dinitrosobenzene、Ethyleneglycoldimethacrylate、Allylmethacrylate、Triallylisocyanulate、Diallylphthalate、Polyethylenegrycoldimethacrylate、Divinyladipate、Maleicanhydride、N、N’−M−Phenylenebismaleimide、Trimethylolpropanetrimethacrylate、Divinylbenzene、Diallylmelamine、Diphenylguanidine、Butone150(liq.Polybutadiene)、Buton100(liq.SBR)、Antioxidant2246から選ばれてなる少なくとも1種の共架橋剤が挙げられる。
【0036】
また、シリカは転写部材の体積抵抗率を調整するために配合する。シリカはカーボンブラックと同様に補強効果が得られるが、配合することによって体積抵抗率を上げることができる。配合量としてはゴム100質量部に対して20〜40質量部の範囲で配合する。20質量部未満であると補強効果が不足し、40質量部を超えると作業性が悪化するので好ましくない。シリカを配合することによってゴムの圧延性が悪くなるので、必要に応じてステアリン酸などの加工助剤を配合してもよい。
【0037】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて試験を行った。尚、本発明は次に説明する実施例の態様に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0038】
【実施例】
実施例1〜5および比較例1〜6として表1に示すような配合のゴム組成物を架橋して試験片を作成し、粘度、硬度、強度、伸びといった物性を測定するとともに幅260mm×周長500mm×厚み0.5mmのベルトを作成して、体積抵抗率、SN比を測定し、ブリードの発生を確認した。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表2の結果から、ヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、四級アンモニウム塩として所定のものを所定量用い本発明の範囲に含まれる実施例では体積抵抗率の平均値が6.0〜6.8logΩcmの範囲にあり、ばらつきを示すSN比も40以上とばらつきの少ないものが得られていることがわかる。
【0042】
それに対して比較例1はカーボンブラックの量が少なすぎて体積抵抗率高くほとんど絶縁体となってしまっている。比較例2ではカーボンブラックの配合量が多くなりすぎており、体積抵抗率は低くなっているもののSN比が低くばらつきが増大している。比較例3は導電性カーボンブラックを用いており、体積抵抗率は非常に低くなっているが、やはりSN比も低くばらつきが多いという結果になっている。比較例4はヒドリンゴムを配合しておらず、体積抵抗率が高くほとんど絶縁体となっている。比較例5はヒドリンゴム単体であるために混練加工性が悪く、強度に乏しいゴムとなっている。比較例6では四級アンモニウム塩の配合量が多いためにブリードが発生している。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物としている。
【0044】
また、請求項3ではヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したゴム組成物を用いたことを特徴とする転写ベルトとしている。
【0045】
ヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかも体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い弾性率とすることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0046】
請求項2および請求項4ではイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいたゴム組成物としており、加硫ゴム物性にほとんど影響を与えることなく抵抗値を必要なだけ下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写部材の使用例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 転写ベルト
J 軸
J 軸
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性を有するベルトなどに用いられるゴム組成物とそれを用いたベルトにかかわり、詳しくはトナーを付着させて被転写物に転写する用途の転写ベルトなどに用いられるゴム組成物とそれを用いた転写ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置の中間転写体として導電性を持たせたベルトや、そのようなベルトを円筒形のドラムに被せロール状にした転写ドラムが用いられている。これらのベルトとしては、ゴムなどのエラストマー材料に導電性を持たせたものを用いている。これらの転写体は、感光体表面に形成されたトナー像を電気的吸引力により中間転写体上へ引きつける必要があるため、中〜高抵抗、具体的には、106〜1013Ω・cmといった体積抵抗率に調整した導電性ゴムからなっている。
【0003】
中間転写体を使用した電子写真装置は、複数の成分色画像を順次積層転写してカラー画像を作成するのに非常に有効である。例えば特許文献1中で述べられた転写方法よりも各色のトナー画像を重ね合わせする際に色ずれを少なくすることができる。
【0004】
更に、特許文献1の図1のような保持手段(例えばグリッパーに把持する、吸着する、曲率を持たせる等)を必要とせずに中間転写体から画像を被記録体に転写することができるため、被記録体を多種多様に選択することができる。例えば、薄い紙(40g/m2紙)から厚い紙(200g/m2紙)まで、また幅の広狭または長さの長短によらず転写可能である。従って封筒、ハガキ、ラベル紙等まで転写が可能である。
【0005】
このような電子写真方式の画像形成装置の中間転写体としてゴムや樹脂などにカーボンブラックやイオン系導電剤などを混入して導電性を持たせた素材を用いた転写ベルトを複数の軸に巻きかけた装置やそのようなベルトを円筒形のドラムに被せた転写ロールが用いられている。
【0006】
また、特許文献2に開示されているのは導電性ローラに関する技術であるが、用途としては電子写真装置の帯電ローラや転写ローラ、現像ローラなどが挙げられており、導電性ローラの外層を形成するゴム層としてエピクロルヒドリン系共重合体と液状NBRゴムからなるものが記載されている。
【0007】
特許文献3には画像形成装置にて帯電ローラとして用いられる導電性ローラとして、弾性層がアクリロニトリル・ブタジエンゴム、エピクロルヒドリン、クロロプレンゴムからなる群より選ばれてなる少なくとも一種のゴムに過塩素酸第四級アンモニウム塩化合物を配合して用いることが開示されている。
【0008】
特許文献4には複写機やプリンターなどの電子写真装置に用いられる導電性ロールの外周面を形成する弾性体としてエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カーボンブラック、イオン導電剤からなる弾性体を用いることが記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−301960号公報
【特許文献2】
特開2000−35032号公報
【特許文献3】
特開2001−99138号公報
【特許文献4】
特開2001−214925号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ゴムや樹脂などにカーボンブラックにて導電性を持たせているベルトの場合、カーボンブラックの配合量のわずかな変化によってゴムの体積抵抗率が大きく変化しばらつきが大きくなるので、所定の抵抗値を得るための調整が困難であるという問題がある。
【0011】
また、分散状態によっては局所的にカーボンが集まっており極端に体積抵抗率の低いところに電流が集まるピンホールリークを繰り返した場合にはベルト表面が焼けてしまい、表面に微小ピンホールが形成されてしまうということがある。その場合ピンホールに入り込んだトナーはクリーニングされずにそれが画像の欠陥につながるといった問題がある。
【0012】
イオン導電剤をゴムに配合して導電性を持たせているような場合は、ゴム中に均等に混ざるために体積抵抗率のバラツキは発生しにくいが、イオン導電剤を多量に配合してそれだけで導電性を持たせようとすると、温度や湿度などの環境の変化に影響されやすく、場合によっては抵抗値の変化が2桁以上の変化になってしまうといった問題があった。
【0013】
特許文献4ではエピクロルヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カーボンブラック、イオン導電剤をバランスよく配合することによって、体積抵抗率のばらつきや環境による変動を少なくしようとしたものであるが、カーボンブラックによって抵抗値を下げようとするとやはり前記のように微調整が困難であるという問題は避けられない。
【0014】
また、このようなゴム組成物を転写ベルトとして用いる場合はある程度の高弾性率が必要となってくる。低弾性な材料であると転写ベルトに伸びが発生することがある。特に転写ベルトを2軸以上のローラに掛架した状態で用いるようなベルトの場合は荷重がかかるとベルトが伸びてしまいベルトの伸びに応じて画像にズレが発生してしまうカラーレジストレーションエラーを発生してしまう。カラーレジストレーションエラーは転写ベルトに複数の色を順番に1次転写をしていく際にそれぞれの色の転写位置がずれてしまうといった問題があった。
【0015】
そこで、本発明ではそのような転写ベルトとして用いられるゴム組成物として体積抵抗率のばらつきを少なくするいことができるとともに、温度や湿度などの環境が変化した場合の体積抵抗率の変化も小さなものにし、なおかつ必要なヤング率を有することによりベルトの伸びが小さく抑えられ2軸に掛架して用いるような使い方においてもカラーレジストレーションなどの問題を起こすことのない転写ベルト用ゴム組成物およびそれを用いた転写ベルトの提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために本発明の請求項1では、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物としている。
【0017】
ヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかもばらつきが少ないので体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって、ゴムを補強し転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い強度を持たせることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、ばらつきを抑えることができるとともに例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0018】
請求項2はイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいたゴム組成物としている。
【0019】
請求項3ではヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したゴム組成物を用いたことを特徴とする転写ベルトとしている。
【0020】
請求項1と同様にヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかもばらつきが少ないので体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって、ゴムを補強し転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い強度を持たせることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、ばらつきを抑えることができるとともに例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0021】
請求項4はイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいた転写ベルトである。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、図1に示すように少なくとも一対の軸Jに掛架して背面に付着させたトナーを被転写体に転写する用途で用いられる転写ベルト1やそのようなベルトをドラムの周囲に被覆した転写ドラムなどの部材として用いられるゴム組成物において、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物、そしてそれを用いた転写ベルトであるとしている。
【0023】
ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムのブレンド比を5/95〜50/50の範囲としているが5/95よりもヒドリンゴムの比が小さくなるとゴムに十分に導電性をもたせることができず、もし、イオン導電剤の配合量をふやして体積抵抗率を十分に下げようとすると、環境による抵抗値の変動の大きいものとなってしまう。また、50/50よりも水素化ニトリルゴムのブレンド比が小さくなると、ゴムの弾性率が低く強度不足となるのでベルトとしたときに走行負荷によってベルトが伸びたりすることによって、画像の乱れにつながるので好ましくない。
【0024】
ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンや、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体などの共重合体を挙げることができる。ヒドリンゴムはそれ自身の体積抵抗率が低いことからゴムに導電性を付与することができるが、加工性に劣っており混練りの際やベルトを成形する製造工程において困難なゴムであるということができる。
【0025】
また、本発明では水素化ニトリルゴムを用いているが水素化ニトリルゴムはニトリルゴムの二重結合に水素を添加したもので転写ベルトとして用いた場合にオゾンなどの攻撃に対して強く、また加工性に優れているとともにゴムの物性の面でも強度が高く伸びが少ないために画像の乱れなどの問題を生じにくい。
【0026】
ヒドリンゴムは導電性を有しており、ベルトの体積抵抗率を下げ一定の通電性を持たせることができるが加工性には優れているが強度の面では不足し、一方水素化ニトリルゴムは強度には優れ加工性にも優れているが抵抗率は高くほぼ絶縁体である。そこで、両者を前記のようなブレンド比の範囲にてブレンドすることによって、転写ベルトとして用いるのに十分な導電性および強度などの物性を有するとともに、ベルト製造時の加工性にも問題がないゴムとすることができる。
【0027】
本発明に用いるカーボンブラックはDBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラックであり、ゴムに配合しても導電性の付与が少なく、ゴム物性を補強する効果を主体としたカーボンブラックである。DBP吸収量とは、カーボンブラック100gにおけるジブチルフタレートの吸収可能な量であり、粒子のつながり(ストラクチャー)をあらわす指標のことである。DBP吸収量が低いものはカーボンブラックによる体積抵抗率を下げる効果が小さい。このようなカーボンブラックを用いることによって、カーボンブラックで導電性を付与した場合の欠点である体積抵抗率のばらつきが発生し微調整が困難であるといった問題が発生しにくく、物性の補強を主に行うことができる。DBP吸収量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラックとしてはSRFカーボンブラック、HAFカーボンブラック、FEFカーボンブラック、GPFカーボンブラック等を挙げることができる。
【0028】
カーボンブラックの配合量はゴム100質量部に対して20〜60質量部であり、20質量部未満であると十分にゴムの補強を行うことができず、60質量部を超えると体積抵抗率への影響が大きくなり、体積抵抗率のばらつきが大きくなり好ましくない。
【0029】
イオン系導電剤としては、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウムなどのリチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、ハロゲン酸素酸塩、過ハロゲン酸素酸塩、リン酸塩、また、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸リチウムなどのチオシアン酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムクロライド、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ホウフッ化テトラブチルアンモニウム、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ベンゾキノン、クロルアニル、アントラキノン、アントラセン、ジクロロジシアノベンゾキノン、フェロセン、フタロシアニン、1.4ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを挙げることができる。この中でも四級アンモニウム塩化合物を用いることが他のものを配合する場合と比べて加硫ゴム物性にほとんど影響を及ぼすことなく必要とする抵抗値を得られることから好ましいといえる。
【0030】
イオン導電剤はヒドリンゴムによりある程度の導電性を持たせた後の抵抗値微調整のために配合するものであり、その配合量はゴム100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲とする。0.1質量部未満であると配合量が少なすぎて必要なだけの抵抗値を得ることができず、10質量部を超えると抵抗値が下がりすぎ、イオン導電剤特有の環境による変動の影響が大きくなるので好ましくない。
【0031】
本発明の転写部材および転写部材用ゴム組成物には上記のカーボンブラックとイオン系導電剤以外にもゴムに通常用いられるようなシリカ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、オイル、ワックス、架橋剤、架橋促進剤、共架橋剤、老化防止剤、加工助剤、可塑剤、短繊維、粘着付与剤、スコーチ防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、難燃剤、耐油性向上剤など配合剤を添加してもよい。
【0032】
可塑剤としては、例えばポリジメチルシロキサンオイル、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール、その他DOPなどのフタレート系、DOA、DIDAなどのアジペート系、DOS、DBSなどのセバケート系、TOP、TBPなどのフォスフェート系、ポリエーテル系の可塑剤を挙げることができる。そして可塑剤の配合量は10〜50重量部程度である。
【0033】
短繊維は、綿、ポリエステル、ポリアミド、アラミドなどの繊維からなる長さが1〜10mm程度の通常よく用いられる短繊維を用いることができる。
【0034】
充填剤としては、珪藻土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、アスベスト、ガラス繊維、カーボンブラック、炭酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、アルミナ、シリカなどの無機充填剤が挙げられる。
【0035】
共架橋剤としては、Sulfur、Dipentamethylene−thiuram−pentasulfide、Mercaptobenzothiazole、GM、DGM、N−Methyl−N’−4−dinitrosoaniline、Dinitrosobenzene、Ethyleneglycoldimethacrylate、Allylmethacrylate、Triallylisocyanulate、Diallylphthalate、Polyethylenegrycoldimethacrylate、Divinyladipate、Maleicanhydride、N、N’−M−Phenylenebismaleimide、Trimethylolpropanetrimethacrylate、Divinylbenzene、Diallylmelamine、Diphenylguanidine、Butone150(liq.Polybutadiene)、Buton100(liq.SBR)、Antioxidant2246から選ばれてなる少なくとも1種の共架橋剤が挙げられる。
【0036】
また、シリカは転写部材の体積抵抗率を調整するために配合する。シリカはカーボンブラックと同様に補強効果が得られるが、配合することによって体積抵抗率を上げることができる。配合量としてはゴム100質量部に対して20〜40質量部の範囲で配合する。20質量部未満であると補強効果が不足し、40質量部を超えると作業性が悪化するので好ましくない。シリカを配合することによってゴムの圧延性が悪くなるので、必要に応じてステアリン酸などの加工助剤を配合してもよい。
【0037】
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて試験を行った。尚、本発明は次に説明する実施例の態様に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0038】
【実施例】
実施例1〜5および比較例1〜6として表1に示すような配合のゴム組成物を架橋して試験片を作成し、粘度、硬度、強度、伸びといった物性を測定するとともに幅260mm×周長500mm×厚み0.5mmのベルトを作成して、体積抵抗率、SN比を測定し、ブリードの発生を確認した。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表2の結果から、ヒドリンゴム、水素化ニトリルゴム、カーボンブラック、四級アンモニウム塩として所定のものを所定量用い本発明の範囲に含まれる実施例では体積抵抗率の平均値が6.0〜6.8logΩcmの範囲にあり、ばらつきを示すSN比も40以上とばらつきの少ないものが得られていることがわかる。
【0042】
それに対して比較例1はカーボンブラックの量が少なすぎて体積抵抗率高くほとんど絶縁体となってしまっている。比較例2ではカーボンブラックの配合量が多くなりすぎており、体積抵抗率は低くなっているもののSN比が低くばらつきが増大している。比較例3は導電性カーボンブラックを用いており、体積抵抗率は非常に低くなっているが、やはりSN比も低くばらつきが多いという結果になっている。比較例4はヒドリンゴムを配合しておらず、体積抵抗率が高くほとんど絶縁体となっている。比較例5はヒドリンゴム単体であるために混練加工性が悪く、強度に乏しいゴムとなっている。比較例6では四級アンモニウム塩の配合量が多いためにブリードが発生している。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1では、ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物としている。
【0044】
また、請求項3ではヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したゴム組成物を用いたことを特徴とする転写ベルトとしている。
【0045】
ヒドリンゴムにより狙いの体積抵抗率に対して大体のレベルを確保し、それにイオン導電剤を配合することで微調整しているので、環境による変動が少なくしかも体積抵抗率の調整が容易であるといえる。また、水素化ニトリルゴムとカーボンブラックを配合することによって転写ベルトとして用いる場合にも十分に高い弾性率とすることができる。しかもカーボンブラックはゴムに対する導電性の付与の小さなものを用いているので、ゴムの体積抵抗率にあまり影響を与えることがなく、例えばカーボンブラックの集まった場所に電流が集中してピンホールリークとなってしまうこともない。
【0046】
請求項2および請求項4ではイオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいたゴム組成物としており、加硫ゴム物性にほとんど影響を与えることなく抵抗値を必要なだけ下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転写部材の使用例を示す概要図である。
【符号の説明】
1 転写ベルト
J 軸
J 軸
Claims (4)
- ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したことを特徴とするゴム組成物。
- イオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいた請求項1記載のゴム組成物。
- ヒドリンゴムと水素化ニトリルゴムをブレンド比5/95〜50/50でブレンドしたゴム100質量部に対して、DBP吸油量が30ml/100g〜100ml/100gのカーボンブラック20〜60質量部とイオン導電剤0.1〜10質量部を添加したゴム組成物を用いたことを特徴とする転写ベルト。
- イオン導電剤として四級アンモニウム塩をもちいた請求項1記載の転写ベルト。
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JP2003145768A JP2004346217A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | ゴム組成物およびそれを用いた転写ベルト |
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JP2011201993A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Tokai Rubber Ind Ltd | 誘電材料およびそれを用いたトランスデューサ |
JP2015194681A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-05 | 住友理工株式会社 | 無端ベルト |
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- 2003-05-23 JP JP2003145768A patent/JP2004346217A/ja active Pending
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