JP5119176B2 - 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜 - Google Patents

誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜 Download PDF

Info

Publication number
JP5119176B2
JP5119176B2 JP2009020593A JP2009020593A JP5119176B2 JP 5119176 B2 JP5119176 B2 JP 5119176B2 JP 2009020593 A JP2009020593 A JP 2009020593A JP 2009020593 A JP2009020593 A JP 2009020593A JP 5119176 B2 JP5119176 B2 JP 5119176B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric constant
high dielectric
particles
dielectric film
composite particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009020593A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010177571A (ja
Inventor
直樹 片山
均 吉川
辰宏 高橋
孝一郎 米竹
真唯 田中
信志 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2009020593A priority Critical patent/JP5119176B2/ja
Publication of JP2010177571A publication Critical patent/JP2010177571A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5119176B2 publication Critical patent/JP5119176B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Piezo-Electric Transducers For Audible Bands (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)

Description

本発明は、比誘電率の高い誘電材料の製造方法に関する。また、比誘電率の高い誘電膜、およびそれを備えるトランスデューサに関する。
柔軟性が高く、小型で軽量なトランスデューサの材料として、誘電体エラストマー等の高分子材料が使用されている。トランスデューサとしては、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うアクチュエータ、センサ等や、音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うスピーカ、マイクロフォン等が挙げられる。
例えば、誘電体エラストマーからなる誘電膜の厚さ方向両面に、一対の電極を配置して、アクチュエータを構成することができる。この種のアクチュエータでは、電極間への印加電圧を大きくすると、電極間の静電引力が大きくなる。このため、電極間に挟まれた誘電膜は厚さ方向から圧縮され、誘電膜の厚さは薄くなる。膜厚が薄くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に伸長する。一方、電極間への印加電圧を小さくすると、電極間の静電引力が小さくなる。このため、誘電膜に対する厚さ方向からの圧縮力が小さくなり、誘電膜の弾性復元力により膜厚は厚くなる。膜厚が厚くなると、その分、誘電膜は電極面に対して平行方向に収縮する。このように、アクチュエータは、誘電膜を伸長、収縮させることによって、駆動対象部材を駆動させる。
誘電膜の比誘電率を高くすると、電極との界面に多くの電荷を蓄えることができる。これにより、アクチュエータの駆動力や変位量を大きくすることができる。このような観点から、例えば、チタン酸バリウム等の高誘電率無機粒子を、エラストマー中に配合する試みがなされている(例えば、特許文献1、2参照)。一方、高誘電率無機粒子を樹脂中に配合させた複合材料は、高い誘電特性を必要とするプリント配線板、コンデンサ等に広く使用されている(例えば、特許文献3、4参照)。
特表2003−505865号公報 特開2008−53527号公報 特開2003−49092号公報 特開2007−332224号公報
樹脂またはエラストマーからなる基材中に高誘電率無機粒子を配合した複合材料の比誘電率を向上させるためには、基材中において高誘電率無機粒子同士が接触している必要がある。このため、高誘電率無機粒子を比較的大量に配合する必要がある。しかし、高誘電率無機粒子の配合量を増加させると、基材が本来有している機械的強度や柔軟性等を維持することが難しい。つまり、高誘電率無機粒子を配合することにより、比誘電率は向上するものの、当該複合材料の強度や柔軟性が低下してしまう。また、当該複合材料の加工性が低下して、薄膜化しにくくなる。さらに、当該複合材料から形成された誘電膜を用いて、アクチュエータを構成した場合には、誘電膜の柔軟性が低下することにより、印加電圧に対する伸縮が阻害されるおそれがある。
また、特許文献2、4によると、チタン酸バリウム等の高誘電率無機粒子を、電場で配向させている。高誘電率無機粒子を配向させるためには、高い電圧を印加する必要がある。このため、樹脂またはエラストマーからなる基材が劣化したり、絶縁破壊するおそれがある。また、電圧の印加対象となる材料に、電極を密着させる必要がある。このため、材料の表面は平面状であることが必要である。つまり、電場による配向処理を行う場合には、得られる複合材料の形状が制限される。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、比誘電率の高い誘電材料を、電場による配向処理を行わずに製造する方法を提供することを課題とする。また、当該方法を用いて、比誘電率の高い誘電膜を提供することを課題とする。さらに、比誘電率の高い誘電膜を用いたトランスデューサを提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の誘電材料の製造方法は、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを複合化して高誘電率複合粒子を製造する高誘電率複合粒子製造工程と、樹脂またはエラストマーの未硬化物に、該高誘電率複合粒子を混合して混合材料を調製する混合工程と、該未硬化物が流動可能な状態で、該混合材料に磁場をかけることにより、該高誘電率複合粒子を磁力線の方向に配向させる配向工程と、該高誘電率複合粒子を配向させた状態で、該未硬化物を硬化させる硬化工程と、を有することを特徴とする(請求項1に対応)。
樹脂またはエラストマー(以下、適宜「樹脂等」と称する)の未硬化物に混合する高誘電率複合粒子は、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とが複合化した粒子である。すなわち、高誘電率複合粒子は、高誘電率無機粒子および磁性体粒子のうち、一方の表面の一部に他方が付着していればよい。また、高誘電率無機粒子の表面全体が磁性体粒子により被覆されていてもよく、反対に、磁性体粒子の表面全体が高誘電率無機粒子により被覆されていてもよい。
高誘電率複合粒子は、磁性体粒子を有するため、磁場中において磁力線に沿って配向する。すなわち、本発明の誘電材料の製造方法によると、高誘電率複合粒子を配向させるために、電場ではなく磁場をかける。したがって、配向工程において、基材となる樹脂等が劣化しにくい。また、樹脂等が絶縁破壊するおそれもない。さらに、磁場をかける際に、磁石等を混合材料に密着させる必要はない。つまり、磁場中に混合材料を配置するだけでよい。このため、混合材料の形状によらず、高誘電率複合粒子を配向させることができる。
また、本発明の誘電材料の製造方法により得られる誘電材料によると、高誘電率複合粒子は、互いに接触して繋がって配向している。このため、高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であっても、高誘電率無機粒子が持つ高い比誘電率を、誘電材料の特性として発揮させることができる。したがって、本発明の誘電材料の製造方法によると、樹脂等が有する機械的強度や柔軟性等を維持しつつ、比誘電率の高い誘電材料を得ることができる。また、機械的強度が低下しないため、得られる誘電材料は、薄膜化しやすく、加工性に優れる。また、絶縁性の高誘電率無機粒子および磁性体粒子を使用して、絶縁性の高誘電率複合粒子を製造することにより、得られる誘電材料において、樹脂等が有する絶縁性を維持する、または向上させることができる。
(2)本発明の誘電膜は、上記(1)の構成の誘電材料の製造方法により製造されたことを特徴とする(請求項8に対応)。
本発明の誘電膜において、高誘電率複合粒子が誘電膜の厚さ方向、すなわち、厚さ方向両面の一面から他面に向かって配向していると、高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であっても、高誘電率無機粒子が持つ高い比誘電率を、誘電膜の特性として発揮させることができる。すなわち、本発明の誘電膜の比誘電率は、基材のみの場合と比較して高い。
(3)また、本発明のトランスデューサは、樹脂またはエラストマーからなる基材と、該基材中に配合され、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とが複合化されてなる高誘電率複合粒子と、を有し、該高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に互いに連接して配向している誘電膜と、該誘電膜の厚さ方向両面に配置されている一対の電極と、を備え、機械エネルギーまたは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うことを特徴とする(請求項9に対応)。
本発明のトランスデューサにおいて、誘電膜に配合されている高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向、すなわち、厚さ方向両面の一面から他面に向かって配向していればよい。つまり、高誘電率複合粒子の配向方向は、誘電膜の面延在方向と必ずしも垂直である必要はなく、面延在方向と交差していればよい。
高誘電率複合粒子については、上記(1)で述べた通りである。高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に互いに連接して配向している。このため、高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であっても、高誘電率無機粒子が持つ高い比誘電率を、誘電膜の特性として発揮させることができる。つまり、本発明のトランスデューサにおける誘電膜の比誘電率は、基材のみの場合と比較して高い。したがって、例えば、本発明のトランスデューサをアクチュエータとして用いた場合には、印加電圧に対する静電引力が大きい。このため、より低電圧で大きな変位量を得ることができる。また、誘電膜における高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量でよいため、基材が有する機械的強度や柔軟性等への影響は小さい。よって、本発明のトランスデューサによると、誘電膜の伸縮が阻害されるおそれは少ない。
通常、誘電膜に電圧を印加すると、電気抵抗により熱が発生する。このため、電圧の印加を繰り返すうちに蓄熱されて、誘電膜が劣化するおそれがある。この点、本発明のトランスデューサによると、誘電膜は、高誘電率複合粒子を有する。高誘電率複合粒子を構成する高誘電率無機粒子および磁性体粒子は、いずれも樹脂またはエラストマーからなる基材と比較して、熱伝導率が大きい。熱伝導率の大きな高誘電率複合粒子が厚さ方向に配向していることにより、厚さ方向一面から他面に熱が伝達されやすい。つまり、放熱されやすい。したがって、本発明のトランスデューサによると、誘電膜が劣化しにくい。このため、本発明のトランスデューサは、耐久性に優れる。
本発明によると、比誘電率の高い誘電材料を、電場による配向処理を行わずに製造することができる。また、本発明によると、比誘電率が高く柔軟な誘電膜を提供することができると共に、耐久性に優れ、印加電圧に対する変位量の大きなトランスデューサを提供することができる。
本発明のトランスデューサの一実施形態であるアクチュエータの断面模式図であって、(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。 本発明のトランスデューサの一実施形態である静電容量型センサの断面模式図である。 本発明のトランスデューサの一実施形態である発電素子の断面模式図であって、(a)は伸長時、(b)は収縮時を示す。 実施例で製造した高誘電率複合粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例において、本発明の誘電材料の製造に使用した磁場配向装置の断面図である。 実施例の誘電膜の厚さ方向断面の光学顕微鏡写真である。 比較例2の誘電膜の厚さ方向断面の光学顕微鏡写真である。 実施例において作製したアクチュエータの分解斜視図である。 同アクチュエータの積層方向における断面図である。
以下、本発明の誘電材料の製造方法、およびそれにより製造された誘電膜、ならびにトランスデューサの実施形態について説明する。なお、本発明の誘電材料の製造方法、誘電膜、およびトランスデューサは、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
<誘電材料の製造方法>
本発明の誘電材料の製造方法は、高誘電率複合粒子製造工程と、混合工程と、配向工程と、硬化工程と、を有する。以下、各工程について説明する。
(1)高誘電率複合粒子製造工程
本工程においては、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを複合化して高誘電率複合粒子を製造する。
高誘電率無機粒子は、比誘電率が高い無機材料からなる微粒子であればよい。例えば、比誘電率が200以上である無機材料を選択するとよい。具体的には、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。特に、比誘電率が高く、高誘電率複合粒子の配合量が少量でも誘電材料の比誘電率を向上させることができるという理由から、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が好適である。
高誘電率無機粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではない。例えば、磁場中での配向性や、樹脂またはエラストマー中における分散性を考慮して、50nm以上1000nm以下であることが望ましい。特に、100nm以上500nm以下が好適である。なお、本明細書では、平均粒子径として、日機装(株)製「マイクロトラック粒度分布測定装置UPA−EX150型」により測定された値を採用する。また、高誘電率無機粒子の形状は、特に限定されるものではない。例えば、真球、略真球状、楕円球状、長円球状(一対の対向する半球を円柱で連結した形状)、部分球状、部分毎に半径の異なる球状、水滴形状、針状、繊維状、表面に凹凸のある不定形状等、種々の形状のものを使用することができる。
磁性体粒子としては、絶縁性の磁性材料からなる微粒子を使用すればよい。例えば、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、コバルトフェライトから選ばれる一種以上を用いることが望ましい。特に、比較的安価で、微細化しやすいという理由から、マグネタイト、マグヘマイトが好適である。
磁性体粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではない。例えば、高誘電率無機粒子との付着性、高誘電率無機粒子への被覆性を考慮して、1nm以上50nm以下であることが望ましい。特に、5nm以上20nm以下が好適である。また、磁性体粒子の形状は、特に限定されるものではない。上記高誘電率無機粒子と同様に、種々の形状のものを使用することができる。
高誘電率無機粒子と磁性体粒子との配合量は、質量比で、50:1〜1:2とすることが望ましい。磁性体粒子の配合量が多すぎると、磁性体粒子が凝集して高誘電率無機粒子に付着しにくくなる。また、磁場配向の際に、高誘電率無機粒子同士の接触を阻害して、比誘電率の向上効果が小さくなる。反対に、磁性体粒子の配合量が少なすぎると、高誘電率複合粒子が磁場中で配向しにくくなる。
高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを複合化させる方法としては、めっき、静電吸着等の湿式法、あるいはレーザーアブレーション、スパッタリング、粉砕混合、メカノケミカル等の乾式法のいずれを用いてもよい。例えば、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを、予め、互いに反対の電荷を持つように帯電させておき、それらを混合することにより、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを吸着させることができる。高誘電率無機粒子、磁性体粒子への電荷の付与は、例えば、界面活性剤を用いて行うことができる。また、高誘電率無機粒子、磁性体粒子の表面を、電荷を持った高分子材料で被覆してもよい。
(2)混合工程
本工程においては、樹脂またはエラストマーの未硬化物に、先の高誘電率複合粒子製造工程で得られた高誘電率複合粒子を混合して、混合材料を調製する。
樹脂またはエラストマーとしては、柔軟性を有すると共に、電気抵抗が比較的高いものが望ましい。樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂や、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂等の光硬化性樹脂、ラジカル重合性樹脂等の電子線硬化性樹脂等が挙げられる。また、エラストマーとしては、ゴムおよび熱可塑性エラストマーの中から適宜選択すればよい。例えば、アクリルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、天然ゴム、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。なかでも、高誘電率複合粒子との相溶性が良好であるという理由から、エポキシアクリレート系樹脂、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好適である。
次の配向工程において、高誘電率複合粒子を配向させるためには、樹脂またはエラストマーの未硬化物は、流動性を有していることが必要である。したがって、例えば、液状の未硬化物に、高誘電率複合粒子を混合して、混合材料を調製すればよい。また、所定の溶媒に未硬化物を溶解したポリマー溶液に、高誘電率複合粒子を混合して、混合材料を調製してもよい。また、高誘電率複合粒子は、未硬化物中に略均一に分散していることが望ましい。このため、ボールミル等を使用して、高誘電率複合粒子を機械的に分散させることが望ましい。また、混合材料には、必要に応じて、架橋剤、加硫促進剤、加工助剤、可塑剤、老化防止剤、補強剤、着色剤等を添加してもよい。
樹脂またはエラストマーの未硬化物に対する高誘電率複合粒子の配合量は、比誘電率の向上効果が得られるよう、適宜調整すればよい。例えば、当該未硬化物の全体を100質量%とした場合の0.1質量%以上とすることが望ましい。1質量%以上とするとより好適である。一方、高誘電率複合粒子の配合量が多すぎると、誘電材料の剛性が高くなると共に、柔軟性、機械的強度等が低下してしまう。よって、高誘電率複合粒子の配合量を、当該未硬化物の全体を100質量%とした場合の50質量%以下とすることが望ましい。30質量%以下とするとより好適である。
(3)配向工程
本工程においては、樹脂またはエラストマーの未硬化物が流動可能な状態で、先の混合工程において調製した混合材料に磁場をかけることにより、高誘電率複合粒子を磁力線の方向に配向させる。
混合材料に作用する磁場は、磁力線が混合材料の一端から他端に向かって略平行になるように形成することが望ましい。この場合、例えば混合材料を挟んで対向するように、磁石を配置すればよい。磁石には、永久磁石または電磁石を用いればよい。電磁石を用いると、磁場形成のオン、オフを瞬時に切り替えることができ、磁場の強さの制御が容易である。
また、次の硬化工程では、高誘電率複合粒子の配向状態を維持したまま、未硬化物を硬化させる必要がある。したがって、混合材料に磁場をかけながら、次の硬化工程を行うことが望ましい。例えば、未硬化物が熱硬化性の樹脂やエラストマーである場合には、硬化させるために加熱する必要がある。しかし、永久磁石を用いた場合には、キュリー点以上に加熱することができない。よって、未硬化物が熱硬化性の樹脂やエラストマーである場合には、永久磁石ではなく、電磁石が適している。このように、電磁石を用いると、樹脂やエラストマーの選択の幅が広がる。
また、混合材料に作用する磁束密度は、略均一であることが望ましい。すなわち、一様な磁場を形成することで、高誘電率複合粒子の偏在を抑制して、所望の配向状態を得ることができる。また、磁束密度は、0.01T以上10T以下とするとよい。こうすることで、高誘電率複合粒子を、確実に配向させることができる。
(4)硬化工程
本工程においては、高誘電率複合粒子を配向させた状態で、未硬化物を硬化させる。これにより、樹脂またはエラストマー中に高誘電率複合粒子が配向している誘電材料が得られる。
硬化方法および硬化条件は、樹脂またはエラストマーの種類に応じて、適宜選択すればよい。例えば、熱硬化性の樹脂またはエラストマーを用いた場合には、加熱により未硬化物を硬化させればよい。また、光硬化性の樹脂またはエラストマーを用いた場合には、紫外線等の光照射により未硬化物を硬化させればよい。
また、上記(1)〜(4)の工程を有する本発明の製造方法に従って、誘電材料を薄膜状に形成することにより、本発明の誘電膜を製造することができる。
<トランスデューサ>
本発明のトランスデューサは、誘電膜と、該誘電膜の厚さ方向両面に配置されている一対の電極と、を備える。ここで、誘電膜は、樹脂またはエラストマーからなる基材と、該基材中に配合され、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とが複合化されてなる高誘電率複合粒子と、を有する。高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に互いに連接して配向している。すなわち、誘電膜の厚さ方向断面において、配向した高誘電率複合粒子は、所定の間隔で厚さ方向に延びる柱状に配置されている。
基材を構成する樹脂またはエラストマー、基材中に配合されている高誘電率複合粒子については、上記本発明の誘電材料の製造方法の実施形態において説明した通りである。よって、ここでは説明を割愛する。また、誘電膜は、上記本発明の誘電材料の製造方法に準じて製造すればよい。誘電膜の厚さは、用途等に応じて適宜決定すればよい。例えば、本発明のトランスデューサをアクチュエータとして用いる場合には、アクチュエータの小型化、低電位駆動化、および変位量を大きくする等の観点から、誘電膜の厚さは薄い方が望ましい。この場合、絶縁破壊性等をも考慮して、誘電膜の厚さを、1μm以上1000μm(1mm)以下とすることが望ましい。より好適な範囲は、5μm以上200μm以下である。
また、誘電膜中の高誘電率複合粒子の配合量等についても、上記本発明の誘電材料の製造方法における好適な態様を採用することが望ましい。すなわち、基材に対する高誘電率複合粒子の配合量は、基材の全体を100質量%とした場合の0.1質量%以上とすることが望ましい。1質量%以上とするとより好適である。また、高誘電率複合粒子の配合量を、基材の全体を100質量%とした場合の50質量%以下とすることが望ましい。30質量%以下とするとより好適である。
本発明のトランスデューサにおいて、電極の材質は、特に限定されるものではない。例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料や金属からなる導電材に、バインダーとしてオイルやエラストマーを混合したペーストまたは塗料を塗布した電極、あるいは炭素材料や金属等をメッシュ状に編んだ電極等を使用することができる。電極は、誘電膜の伸縮に応じて伸縮可能であることが望ましい。電極が、誘電膜と共に伸縮すると、誘電膜の変形が電極によって妨げられにくい。このため、本発明のトランスデューサを、アクチュエータ等として使用した場合に、所望の変位量を得やすくなる。
また、本発明のトランスデューサを、複数の誘電膜と電極とを交互に積層させた積層構造とすると、より大きな力を発生させることができる。したがって、積層構造を採用した場合には、例えば、アクチュエータの出力を大きくすることができる。その結果、駆動対象部材をより大きな力で駆動させることができる。
[第一実施形態]
本発明のトランスデューサの第一例として、アクチュエータに具現化した実施形態を説明する。図1に、本実施形態のアクチュエータの断面模式図を示す。(a)はオフ状態、(b)はオン状態を各々示す。
図1に示すように、アクチュエータ1は、誘電膜10と電極11a、11bとを備えている。誘電膜10は、エラストマー製の基材と高誘電率複合粒子とを有する。高誘電率複合粒子は、誘電膜10の厚さ方向(図中、上下方向)に互いに連接して配向している。電極11a、11bは、誘電膜10の上面および下面に、各々固定されている。電極11a、11bは、導線を介して電源12に接続されている。オフ状態からオン状態に切り替える際は、一対の電極11a、11b間に電圧を印加する。電圧の印加により、誘電膜10の厚さは薄くなり、その分だけ、図(b)中白抜き矢印で示すように、電極11a、11b面に対して平行方向に伸長する。これにより、アクチュエータ1は、図中横および上下方向の駆動力を出力する。
誘電膜10において、基材中に配合された高誘電率複合粒子は、誘電膜10の厚さ方向に互いに連接して配向している。このため、高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であっても、高誘電率無機粒子が持つ高い比誘電率を、誘電膜10の特性として発揮させることができる。つまり、誘電膜10の比誘電率は、基材のみの場合と比較して高い。したがって、アクチュエータ1は、より低電圧で大きな変位量を得ることができる。ここで、誘電膜10を面延在方向に延伸した状態で取り付けると、誘電膜10の絶縁破壊強度が向上し、より大きな変位量を得ることができる。
また、高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であるため、基材本来の柔軟性は維持される。よって、アクチュエータ1によると、印加電圧に対する誘電膜10の伸縮が阻害されにくい。また、熱伝導率の大きな高誘電率複合粒子が上下方向に配向していることにより、誘電膜10の上面と下面との間で、熱が伝達されやすい。つまり、誘電膜10は放熱性に優れる。このため、誘電膜10が劣化しにくい。したがって、アクチュエータ1は、耐久性に優れる。
[第二実施形態]
本発明のトランスデューサの第二例として、静電容量型センサに具現化した実施形態を説明する。図2に、本実施形態における静電容量型センサの断面模式図を示す。図2に示すように、静電容量型センサ3は、誘電膜30と電極31a、31bと基板32とを備えている。誘電膜30は、エラストマー製の基材と高誘電率複合粒子とを有する。高誘電率複合粒子は、誘電膜30の厚さ方向(図中、上下方向)に互いに連接して配向している。誘電膜30は、左右方向に延びる帯状を呈している。誘電膜30は、基板32の上面に、電極31bを介して配置されている。電極31a、31bは、左右方向に延びる帯状を呈している。電極31a、31bは、誘電膜30の上面および下面に、それぞれ固定されている。電極31a、31bには、導線(図略)が接続されている。基板32は絶縁性の柔軟なフィルムであって、左右方向に延びる帯状を呈している。基板32は、電極31bの下面に固定されている。
静電容量型センサ3の静電容量(キャパシタンス)は、次式(I)により求めることができる。
C=εεS/d・・・(I)
[C:キャパシタンス、ε:真空中の誘電率、ε:誘電膜の比誘電率、S:電極面積、d:電極間距離]
例えば、静電容量型センサ3が上方から押圧されると、誘電膜30は圧縮され、その分だけ長手方向に伸長する。膜厚、すなわち電極間距離dが小さくなると、電極31a、31b間のキャパシタンスは大きくなる。このキャパシタンス変化により、加わった荷重の大きさ、位置等が検出される。
ここで、誘電膜30において、基材中に配合された高誘電率複合粒子は、誘電膜30の厚さ方向に互いに連接して配向している。このため、誘電膜30の比誘電率は、基材のみの場合と比較して高い。誘電膜30の比誘電率が高いため、キャパシタンスは大きい。したがって、静電容量型センサ3の検出感度は高い。また、誘電膜30は柔軟であるため、伸縮を繰り返しても劣化しにくい。また、熱伝導率の大きな高誘電率複合粒子が上下方向に配向していることにより、誘電膜30の上面と下面との間で、熱が伝達されやすい。つまり、誘電膜30は放熱性に優れる。このため、誘電膜30が劣化しにくい。したがって、静電容量型センサ3は、耐久性に優れる。
[第三実施形態]
本発明のトランスデューサの第三例として、発電素子の実施形態を説明する。図3に、本実施形態における発電素子の断面模式図を示す。(a)は伸長時、(b)は収縮時を各々示す。図3に示すように、発電素子4は、誘電膜40と電極41a、41bとを備えている。誘電膜40は、エラストマー製の基材と高誘電率複合粒子とを有する。高誘電率複合粒子は、誘電膜40の厚さ方向(図中、上下方向)に互いに連接して配向している。電極41a、41bは、誘電膜40の上面および下面に、それぞれ固定されている。電極41a、41bには、導線が接続されており、電極41bは、接地されている。
図3(a)に示すように、発電素子4を圧縮し、誘電膜40を電極41a、41b面に対して平行方向に伸長すると、誘電膜40の厚さは薄くなり、電極41a、41b間に電荷が蓄えられる。その後、圧縮力を除去すると、図3(b)に示すように、誘電膜40の弾性復元力により誘電膜40は収縮し、膜厚が厚くなる。その際、電荷が放出され発電される。
ここで、誘電膜40において、基材中に配合された高誘電率複合粒子は、誘電膜40の厚さ方向に互いに連接して配向している。このため、誘電膜40の比誘電率は、基材のみの場合と比較して高い。誘電膜40の比誘電率が高いため、電極41a、41bとの界面に多くの電荷を蓄えることができる。また、誘電膜40は柔軟であるため、伸縮を繰り返しても劣化しにくい。また、熱伝導率の大きな高誘電率複合粒子が上下方向に配向していることにより、誘電膜40の上面と下面との間で、熱が伝達されやすい。つまり、誘電膜40は放熱性に優れる。このため、誘電膜40が劣化しにくい。したがって、発電素子4は、耐久性に優れる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<誘電材料の製造>
(1)実施例の誘電材料の製造
第一に、チタン酸バリウム粒子の表面に、フェライト(マグネタイト/マグへマイト;Fe/γ−Fe)粒子を静電吸着させて、高誘電率複合粒子を製造した(高誘電率複合粒子製造工程)。まず、フェライト粒子を、次のようにして製造した。8.9×10−4mol/lの塩化鉄水溶液、1×10−3mol/lの硫酸鉄水溶液、および1.6×10−2mol/lのアンモニア水溶液を混合、攪拌し、混合液をろ過洗浄した。ろ別した粒子を、4.5×10−4mol/lのテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に分散し、攪拌した。この分散液を遠心分離し、分離された固体を乾燥することにより、負電荷を持ち、粒子径が約10nmのフェライト粒子を得た。
次に、粒子径が約400nmのチタン酸バリウム粒子(戸田工業(株)製)1gを、1×10−3mol/lのアミノカルボン酸系界面活性剤水溶液中に分散し、分散液をろ過洗浄することにより、チタン酸バリウム粒子に正電荷を付与した。続いて、正電荷を持つチタン酸バリウム粒子1gを1lの水に分散した。この分散液に、負電荷を持つフェライト粒子を0.5g添加し、混合することにより、チタン酸バリウム粒子の表面にフェライト粒子を静電吸着させた。その後、分散液をろ過洗浄し、高誘電率複合粒子を得た。
図4に、高誘電率複合粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す(倍率10,000倍)。図4に示すように、チタン酸バリウム粒子の表面にフェライト粒子が付着している。
第二に、製造した高誘電率複合粒子を、紫外線硬化樹脂のエポキシアクリレート系樹脂(荒川化学工業(株)製「ビームセット(登録商標)AQ−9」)の未硬化物に混合して、混合材料を調製した(混合工程)。高誘電率複合粒子の配合量は、未硬化物の全体を100質量%とした場合の、3質量%とした。
第三に、混合材料に磁場をかけて、高誘電率複合粒子を配向させた(配向工程)。図5に、磁場配向装置の断面図を示す。図5に示すように、磁場配向装置2は、一対の永久磁石20U、20Dと、一対のスライドガラス21U、21Dと、スペーサ22と、を備えている。
一対の永久磁石20U、20Dは、各々、円柱状を呈している。一対の永久磁石20U、20Dは、一対のスライドガラス21U、21Dを挟んで、上下方向に対向して配置されている。一対の永久磁石20U、20D間には、磁束密度1.0Tの磁場が形成されている。すなわち、一対の永久磁石20U、20Dにより、一対のスライドガラス21U、21D間には、上方から下方に向かう磁力線が発生している。
一対のスライドガラス21U、21Dは、矩形板状を呈している。スライドガラス21Uは、永久磁石20Uの下面に配置されている。また、スライドガラス21Dは、永久磁石20Dの上面に配置されている。一対のスライドガラス21U、21D間には、スペーサ22が介装されている。スペーサ22は矩形枠状を呈している。スペーサ22の厚さ(つまり、一対のスライドガラス21U、21D間の隙間)は、約80μmである。一対のスライドガラス21U、21Dとスペーサ22とにより、混合材料が配置される試料配置部23が形成されている。
まず、試料配置部23に、混合材料を滴下した。次に、25℃の温度下で混合材料に60分間磁場をかけて、高誘電率複合粒子を上下方向に配向させた。
第四に、磁場をかけながら、混合材料に紫外線を照射することにより、エポキシアクリレート系樹脂の未硬化物を硬化させた(硬化工程)。すなわち、前出図5中、一対の永久磁石20U、20Dの間から試料配置部23へ紫外線を照射して、未硬化物を硬化させた。このようにして、厚さ約80μmの薄膜状の誘電材料を得た。得られた誘電材料を、実施例の誘電膜とした。実施例の誘電膜は、本発明の誘電膜に含まれる。
(2)比較例1の誘電材料の製造
エポキシアクリレート系樹脂に高誘電率複合粒子を配合しない点以外は、上記実施例の誘電膜の製造方法と同様にして誘電材料を製造した。すなわち、エポキシアクリレート系樹脂(同上)の未硬化物に、25℃にて60分間磁場をかけ、さらに磁場をかけながら紫外線を照射して、未硬化物を硬化させた。得られた誘電材料を比較例1の誘電膜とした。
(3)比較例2の誘電材料の製造
磁場配向を行わなかった点以外は、上記実施例の誘電膜の製造方法と同様にして誘電材料を製造した。すなわち、調製した混合材料に、磁場をかけずに紫外線を照射して、未硬化物を硬化させた。得られた誘電材料を比較例2の誘電膜とした。
(4)比較例3の誘電材料の製造
高誘電率複合粒子に替えてチタン酸バリウム粒子を混合した点、および、磁場配向に替えて電場配向させた点以外は、上記実施例の誘電膜の製造方法と同様にして誘電材料を製造した。すなわち、まず、エポキシアクリレート系樹脂(同上)の未硬化物に、チタン酸バリウム粒子(同上)を混合して、混合材料を調製した。チタン酸バリウム粒子の配合量は、未硬化物の全体を100質量%とした場合の、10質量%とした。次に、混合材料を、一対の電極間(電極間距離は約80μm)に配置して、10kHzの交流電圧を印加した。電場配向は、16kV/mmの電界強度で、60分間行った。その後、電圧を印加しながら、混合材料に紫外線を照射することにより、エポキシアクリレート系樹脂の未硬化物を硬化させた。このようにして、厚さ約80μmの薄膜状の誘電材料を得た。得られた誘電材料を、比較例3の誘電膜とした。
<誘電膜の厚さ方向断面の観察>
実施例および比較例2の各誘電膜の厚さ方向断面を、光学顕微鏡にて観察した。図6に実施例の誘電膜の厚さ方向断面の写真を示す。また、図7に比較例2の誘電膜の厚さ方向断面の写真を示す。図6に示すように、実施例の誘電膜において、高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に互いに連接して配向している。これにより、高誘電率複合粒子は、厚さ方向に伸びる柱状に観察される。これに対して、比較例の誘電膜では、図7に示すように、高誘電率複合粒子は繋がらずに点在している。
<比誘電率の測定>
実施例および比較例1〜3の各誘電膜の比誘電率を測定した。比誘電率の測定は、各誘電膜をサンプルホルダー(ソーラトロン社製、12962A型)に設置し、誘電率測定インターフェイス(同社製、1296型)、および周波数応答アナライザー(同社製、1255B型)を併用して測定した(周波数100Hz)。測定結果を下記表1に示す。
表1に示すように、実施例の誘電膜の比誘電率は、高誘電率複合粒子を磁場配向させなかった比較例2の誘電膜と比較して、大きくなった。また、チタン酸バリウム粒子のみを電場配向した比較例3の誘電膜と比較しても、大きくなった。つまり、実施例の誘電膜では、高誘電率無機粒子が持つ高い比誘電率が、誘電膜の特性として発現されている。このように、本発明の誘電材料の製造方法によると、磁場配向により、比誘電率の高い誘電材料を、簡便に製造することができる。
<アクチュエータの作製および電場応答性の評価>
実施例および比較例1〜3の各誘電膜を用いてアクチュエータを作製し、アクチュエータの電場応答性を評価した。まず、実験装置および実験方法について説明する。
実施例および比較例1〜3の誘電膜を各々四枚ずつ積層し、最上層の誘電膜の上面、隣接する誘電膜間、および最下層の誘電膜の下面に、電極を配置して、四種類のアクチュエータを作製した。電極は、アクリルゴムにカーボンブラックを混合したペーストを、誘電膜の表面に塗布して形成した。以下、作製されたアクチュエータを、誘電膜の種類に対応させて、実施例または比較例のアクチュエータと称す。図8に、作製したアクチュエータの分解斜視図を示す。図9に、同アクチュエータの積層方向における断面図を示す。
図8、図9に示すように、アクチュエータ5は、四層の誘電膜50と五層の電極51とを備えている。四層の誘電膜50と五層の電極51とは、電極51が最上層および最下層となるように、上下方向に交互に積層されている。誘電膜50は、四角形の薄膜状を呈している。電極51は、円形の薄膜状を呈している。電極51は、誘電膜50の伸縮を規制しないように、伸縮可能である。誘電膜50を介して上下方向に隣接する電極51は、プラス、マイナスが反対になるように、交流電源52に接続されている。
電圧を印加すると、電極51間に静電引力が生じて、誘電膜50を圧縮する。これにより、誘電膜50の厚さは薄くなり、その分、拡径方向に伸長する。この時、電極51も、誘電膜50と一体となって拡径方向に伸長する。最上層の電極51の中央付近には、予め、マーカー530が取り付けられている。マーカー530の上下方向の変位(図9中、白抜き矢印で示す)を、変位計53により測定して、アクチュエータ5の変位量とした。
次に、実施例および比較例1〜3のアクチュエータにおける変位率の測定結果を、表1に示す。変位率は、次式(II)により算出した値である。
変位率(%)=(変位量/誘電膜および電極の全層の厚さ)×100・・・(II)
表2に示すように、実施例のアクチュエータ(高誘電率複合粒子の配合量:3質量%)の変位率は、高誘電率複合粒子を磁場配向させなかった比較例2のアクチュエータと比較して、大きくなった。また、チタン酸バリウム粒子のみを電場配向した比較例3のアクチュエータ(チタン酸バリウム粒子の配合量:10質量%)と比較しても、大きくなった。このように、高誘電率複合粒子を磁場配向させた誘電膜を備える本発明のトランスデューサ(アクチュエータ)によると、誘電膜中の高誘電率複合粒子の配合量が比較的少量であっても、大きな変位量を得ることができる。
本発明の誘電材料の製造方法により得られた誘電材料は、機械エネルギーと電気エネルギーとの変換や、音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うトランスデューサ等に広く用いることができる。例えば、本発明の誘電材料の製造方法により得られた誘電材料から誘電膜を作製し、当該誘電膜を用いて構成されたトランスデューサは、産業、医療、福祉ロボット用の人工筋肉、電子部品冷却用や医療用等の小型ポンプ、および医療用器具等に用いられる柔軟なアクチュエータの他、静電容量型センサ等の柔軟なセンサ、ならびに発電素子等として使用することができる。
1:アクチュエータ(トランスデューサ) 10:誘電膜 11a、11b:電極
12:電源
2:磁場配向装置 20U、20D:永久磁石 21U、21D:スライドガラス
22:スペーサ 23:試料配置部
3:静電容量型センサ(トランスデューサ) 30:誘電膜 31a、31b:電極
32:基板
4:発電素子(トランスデューサ) 40:誘電膜 41a、41b:電極
5:アクチュエータ 50:誘電膜 51:電極 52:交流電源 53:変位計
530:マーカー

Claims (9)

  1. 高誘電率無機粒子と磁性体粒子とを複合化して高誘電率複合粒子を製造する高誘電率複合粒子製造工程と、
    樹脂またはエラストマーの未硬化物に、該高誘電率複合粒子を混合して混合材料を調製する混合工程と、
    該未硬化物が流動可能な状態で、該混合材料に磁場をかけることにより、該高誘電率複合粒子を磁力線の方向に配向させる配向工程と、
    該高誘電率複合粒子を配向させた状態で、該未硬化物を硬化させる硬化工程と、
    を有する誘電材料の製造方法。
  2. 前記高誘電率複合粒子製造工程において、前記高誘電率無機粒子と前記磁性体粒子とを互いに反対の電荷を持つように帯電させた状態で、該高誘電率無機粒子と該磁性体粒子とを吸着させることにより、前記高誘電率複合粒子を製造する請求項1に記載の誘電材料の製造方法。
  3. 前記混合工程において、前記高誘電率複合粒子の配合量は、前記未硬化物の全体を100質量%とした場合の0.1質量%以上50質量%以下である請求項1または請求項2に記載の誘電材料の製造方法。
  4. 前記樹脂または前記エラストマーは、熱硬化性の樹脂またはエラストマーから選ばれる一種以上であり、
    前記硬化工程において、加熱により前記未硬化物を硬化させる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電材料の製造方法。
  5. 前記樹脂または前記エラストマーは、光硬化性の樹脂またはエラストマーから選ばれる一種以上であり、
    前記硬化工程において、光照射により前記未硬化物を硬化させる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の誘電材料の製造方法。
  6. 前記高誘電率無機粒子は、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ランタンドープチタン酸ジルコン酸鉛(PLZT)、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸ビスマス、チタン酸ビスマスバリウムから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の誘電材料の製造方法。
  7. 前記磁性体粒子は、マグネタイト、マグヘマイト、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、コバルトフェライトから選ばれる一種以上である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の誘電材料の製造方法。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載された誘電材料の製造方法により製造され
    前記高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に配向している誘電膜。
  9. 樹脂またはエラストマーからなる基材と、該基材中に配合され、高誘電率無機粒子と磁性体粒子とが複合化されてなる高誘電率複合粒子と、を有し、該高誘電率複合粒子は、誘電膜の厚さ方向に互いに連接して配向している誘電膜と、
    該誘電膜の厚さ方向両面に配置されている一対の電極と、
    を備え、
    機械エネルギーまたは音響エネルギーと電気エネルギーとの変換を行うことを特徴とするトランスデューサ。
JP2009020593A 2009-01-30 2009-01-30 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜 Active JP5119176B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009020593A JP5119176B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009020593A JP5119176B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010177571A JP2010177571A (ja) 2010-08-12
JP5119176B2 true JP5119176B2 (ja) 2013-01-16

Family

ID=42708192

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009020593A Active JP5119176B2 (ja) 2009-01-30 2009-01-30 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5119176B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9011627B2 (en) 2007-10-05 2015-04-21 Carver Scientific, Inc. Method of manufacturing high permittivity low leakage capacitor and energy storing device
US8940850B2 (en) 2012-08-30 2015-01-27 Carver Scientific, Inc. Energy storage device
JP2012125136A (ja) * 2010-11-18 2012-06-28 Panasonic Corp 磁気応答型アクチュエータ
JP2012164917A (ja) * 2011-02-09 2012-08-30 Fujifilm Corp 静電容量変化型発電素子
JP5857553B2 (ja) * 2011-09-06 2016-02-10 日産自動車株式会社 磁気冷暖房装置
JP5876279B2 (ja) * 2011-11-29 2016-03-02 住友理工株式会社 スピーカー
US9805869B2 (en) 2012-11-07 2017-10-31 Carver Scientific, Inc. High energy density electrostatic capacitor
AU2012393970B2 (en) * 2012-11-07 2017-08-10 Carver Scientific, Inc. High energy density electrostatic capacitor
AU2017367692B2 (en) 2016-12-02 2022-04-14 Carver Scientific, Inc. Memory device and capacitive energy storage device
CN112646248A (zh) * 2020-12-14 2021-04-13 沈阳化工大学 一种耐高温低介电弹性体材料制备方法
CN117164357A (zh) * 2023-01-03 2023-12-05 广东捷成科创电子股份有限公司 一种五元系大功率型压电陶瓷材料及其制备方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05318464A (ja) * 1992-05-20 1993-12-03 Mitsui Eng & Shipbuild Co Ltd 制振複合材料の製造方法
JP3413498B2 (ja) * 1993-01-13 2003-06-03 明宏 藤村 分極微粒子入り電磁気歪み材料
JPH11106560A (ja) * 1997-09-30 1999-04-20 Ngk Insulators Ltd プラスチック・セラミック複合材
EP1479086A4 (en) * 2002-02-28 2006-12-13 Univ California PARTICULAR COMPOSITES WITH DIRECTIONAL DIRECTION
JP4477830B2 (ja) * 2002-03-25 2010-06-09 太陽誘電株式会社 圧電セラミック部品の製造方法及び圧電セラミック部品
JP2004134795A (ja) * 2003-10-02 2004-04-30 Tokyo Inst Of Technol 磁気光学効果材料とその製造方法、および磁気光学効果材料分散体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010177571A (ja) 2010-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5119176B2 (ja) 誘電材料の製造方法およびそれにより製造された誘電膜
Jeong et al. A hyper‐stretchable elastic‐composite energy harvester
WO2018124308A1 (ja) アクチュエータおよびその製造方法
RU2749570C2 (ru) Устройство привода и способ
US20140090884A1 (en) Elastic conductive material
US11289643B2 (en) Actuator device and method
WO2014098017A1 (ja) 導電材料およびそれを用いたトランスデューサ
Ma et al. Flexible porous polydimethylsiloxane/lead zirconate titanate-based nanogenerator enabled by the dual effect of ferroelectricity and piezoelectricity
JPWO2012050128A1 (ja) 柔軟導電材料、およびそれを用いたトランスデューサ、フレキシブル配線板、電磁波シールド
Yun et al. Piezo-triboelectric hybridized nanogenerator embedding MXene based bifunctional conductive filler in polymer matrix for boosting electrical power
JP7205467B2 (ja) アクチュエータ、駆動部材、触覚提示装置および駆動装置
JP4837794B1 (ja) 駆動性能及び耐久性が改善されたトランスデューサー用電場応答性高分子
US11957058B2 (en) Piezoelectric transducers based on vertically aligned PZT and graphene nanoplatelets
US20200314555A1 (en) Electro-active loudspeaker
JP5464808B2 (ja) 誘電材料およびそれを用いたアクチュエータ
Qian et al. Improving dielectric properties and thermostability of CaCu3Ti4O12/polyimide composites by employing surface hydroxylated CaCu3Ti4O12 particles
EP3552249B1 (en) Actuator device and method
Schäffner et al. Microstructured single-layer electrodes embedded in P (VDF-TrFE) for flexible and self-powered direction-sensitive strain sensors
JP6770589B2 (ja) 電気活性ポリマーアクチュエータを組み込んだアクチュエータ装置および駆動方法
JP2015210927A (ja) 導電膜、それを用いた導電性テープ部材および電子部品
JP4695226B1 (ja) 駆動性能及び耐久性が改善されたアクチュエータ用電場応答性高分子
KR102035562B1 (ko) 비자성 기판위에 부착된 국부적 선택 변형이 가능한 고분자-자성 입자 복합체 돌기
CN117981356A (zh) 压电元件及压电扬声器
CN117957859A (zh) 层叠压电元件及电声转换器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120508

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120615

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120622

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121002

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121022

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5119176

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151026

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350