JP6700158B2 - ボンド磁石およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ボンド磁石及びその製造方法に関する。
シリコーン樹脂は耐熱性が高く、耐油性、耐酸化性に優れたケイ素骨格を持つ樹脂であり、その機能を用いた種々の形状の成形物が作られている。また、押出成形しやすい特徴を生かして、磁粉を混ぜた成形物が作られており、その形状自由度を生かした健康治具等も作られている。
特許第4845046号 特開2014−110297号
しかしながら、健康治具等として用いた場合、シリコーン樹脂は構造が網目状であるため、皮脂等の成分をその内部に抱き込みやすく、そのため成形物が部分的に膨張する現象が起こることがあった。またSm−Fe−N系磁性粉がその成分を分解するため、分解した有機成分により磁性成形物であるボンド磁石が臭気を帯びることがあった。
本開示は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、膨張及び臭気を抑えたボンド磁石及びその製造方法を提供する。
本開示のボンド磁石は、Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物を硬化してなるボンド磁石であって、100℃で溶融したパルミチン酸に前記ボンド磁石を浸漬し、72時間後における前記ボンド磁石のパルミチン酸吸収量が重量比で2%以下であり、100℃の10%ノナン酸溶液に前記ボンド磁石を浸漬し、3時間後におけるノナン酸分解量が重量比で10%以下である。
本開示のボンド磁石の製造方法は、Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物を成形して成形物を得る工程と、前記成形物を120℃〜170℃の温度で5時間以上二次加硫して架橋反応を行う工程と、を含む。
本開示のボンド磁石によれば、膨張及び臭気を抑えたボンド磁石及びその製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るボンド磁石を説明する図であって、(a)は、紐状の磁気治療器具の斜視図であり、(b)及び(c)は、(a)のA−A線断面図である。 本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造方法の内容を説明するフローチャートである。 実施例1〜5及び比較例1〜4のボンド磁石の着磁磁場と着磁率の関係を示すグラフである。図中、横軸は着磁磁場[kOe]を表し、縦軸は着磁率[%]を表す。
以下、本実施形態にかかるボンド磁石及びその製造方法を実施するための形態について説明する。
[ボンド磁石]
本実施形態に係るボンド磁石の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るボンド磁石は、磁性粉末と熱硬化性樹脂を含む。より具体的には、ボンド磁石は、熱硬化性樹脂を母材樹脂として有し、この熱硬化性樹脂中に磁性粉末を含有した熱硬化性樹脂組成物である。
図1(a)は、ボンド磁石を用いた成形物(ボンド磁石成形物)の一例であり、形態を長尺紐状としたものである。このような、長尺紐状のボンド磁石1は、磁気ネックレスや磁気ブレスレットなど(以下ではこれらを単に「磁気ネックレス」と記載する)として用いることができる。長尺紐状のボンド磁石1は、多くの場合、図1(b)に示すように、長手方向に対して垂直かつ直交する断面形状が円形となっているが、その断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば、四角形、三角形、楕円形、中空形などの所望する形状とすることができる。また、ボンド磁石1の形態も長尺紐状に限定されるものではなく、矩形や円形のシート状などとすることもできる。
本実施形態では、磁性粉末2としてSm−Fe−N系を用いる。Sm−Fe−N系は、一般的にSmFe17で表される。Sm−Fe−N系は、フェライト系に比べると磁力が強く、比較的少ない量でも高磁力を発生することができる。また、Sm−Fe−N系は、Nd−Fe−B系やSm−Co系といった他の希土類系と比べると、粒子径が小さく、母材樹脂へのフィラーとして適していることや、錆び難いという特長がある。
磁性粉末2は、異方性のもの及び等方性のもののいずれか一方又は両方を用いることができる。
磁性粉末2は、平均粒径が1〜10μm、特に1〜5μmの範囲のものが好適である。このようにすると、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生し難く、外観的に優れたものとすることができ、さらに、低コスト化を図ることができる。平均粒径が10μmよりも大きいと、製品の表面に凹凸部や亀裂等が発生して外観的に劣るおそれがある。また、ボンド磁石1に外層部を設けて使用する場合、ボンド磁石1の表面に凹凸等が生じて外層部の被覆に悪影響を及ぼすおそれがある。一方で、平均粒径が1μmよりも小さいと、磁性粉末2のコストが高くなるので、低コスト化の観点から好ましくない。
本実施形態に係るボンド磁石1は、熱硬化性樹脂を含んで形成されているので、皮膚等に直接接触させて使用するのに適したものとすることができる。
熱硬化性樹脂としては、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム(シリコーン生ゴム)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、アリル樹脂などを用いることができるが、これらの中でも、化学的安定性、耐熱性、耐寒性の点で、シリコーンゴムを用いるのが好ましい。熱硬化性樹脂としてシリコーンゴムを用いれば、化学的安定性、耐熱性、耐寒性に優れ、適度な可撓性を有したものとすることができるので、皮膚等に直接接触させて使用するのにより適したものとすることができる。
シリコーンゴムとしては、例えば、汎用されているジメチル系、メチルビニル系、メチルビニルフェニル系及びメチルフロロアルキル系などを用いることができる。
また、シリコーンゴムは、ラジカル反応型及び付加反応型のうちのいずれであってもよいが、本実施形態に係るボンド磁石1の物理的強度や圧縮歪み特性の低下の防止、着色による黄変の防止、可使時間の長さ、成形加工性などの点を考慮すると、付加反応型シリコーンゴムを用いるのが好ましい。
付加反応型シリコーンゴムを用いる場合、当該シリコーンゴムは、1分子中に少なくとも2個のビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基を含むアルケニル基含有シリコーンゴムであるのが好ましい。
ボンド磁石1は、熱硬化性樹脂の他に、当該熱硬化性樹脂を硬化させる硬化剤や、配合することにより所望の強度と成形加工性を得る充填剤などを含んでいてもよい。
ボンド磁石1に含まれ得る硬化剤は、用いる熱硬化性樹脂の硬化に適した公知のものであればどのようなものでも用いることができる。硬化剤としては、例えば、ラジカル反応に使用されるジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物、付加反応硬化剤としてオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒とからなるもの、縮合硬化剤として多官能のアルコキシシラン又はシロキサンと有機金属酸塩などを挙げることができる。硬化剤の添加量は、用いる熱硬化性樹脂に応じて適宜調節すればよい。
熱硬化性樹脂3として付加反応型シリコーンゴムを用いる場合、オルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金系触媒とからなる付加反応硬化剤を用いるのが好ましい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にヒドロシリル基を平均2個以上有しているのが好ましく、3個以上有しているのがより好ましい。具体的には、メチルハイドロジェンポリシロキサンとジメチルハイドロジェンポリシロキサンとの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサンとメチルフェニルポリシロキサンとの共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン及びジフェニルポリシロキサンとの共重合体などを例示することができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、シリコーンゴム成分中に存在するケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1個に対して、ヒドロシリル結合を0.5〜4個供給できる量であればよく、本実施形態においては、シリコーンゴム100質量部に対して、0.5〜6.6質量部の範囲とすることができる。
白金系触媒は、シリコーンゴムに含まれるアルケニル基とオルガノハイドロジェンポリシロキサンに含まれるヒドロシリル結合との付加反応を促進させるための硬化触媒である。そのような白金系触媒として、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とオレフィン、白金とケトン、白金とビニルシロキサンとの錯塩、アルミナ又はシリカ等の担体に白金を担持させたもの、白金黒などを例示することができる。本実施形態においては、白金系触媒の配合量は、シリコーンゴム100質量部に対して、0.1〜1.7質量部の範囲とすればよい。
ボンド磁石1に含まれ得る充填剤は、ボンド磁石1の補強に使用されるものであることから、比表面積が50m/g以上であるものを用いるのが好ましい。このような充填剤としては、煙霧質シリカ、フュームドシリカ、沈降性シリカ、炭酸カルシウム、珪藻土、二酸化チタン、クレイなどを例示することができるが、これらはその表面をジメチルジクロロシラン、シラン、シロキサン、シラザンなどで予め疎水化処理したものでもよい。
かかる充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、25〜65質量部とするのが好ましい。このようにすると、所望の強度と成形加工性を得ることができる。また、熱硬化性樹脂への配合が容易であるだけでなく、配合後の熱硬化性樹脂が硬くなり過ぎず、成形加工性が良好となる。さらに、硬化後の強度を優れたものとすることができる。
他方、充填剤の配合量が熱硬化性樹脂100質量部に対して、25質量部よりも低いと、充填剤の配合量が少な過ぎるため、所望の強度、加工性を得ることができないおそれがある。また、充填剤の配合量が熱硬化性樹脂100質量部に対して、65質量部より高くなると熱硬化性樹脂への配合が困難となり、熱硬化性樹脂(より具体的には、磁性粉末と熱硬化性樹脂を混練した混練物)が硬くなって成形加工性が低下するおそれがある。さらに、硬化後の強度が劣るようになる。なお、充填剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、33〜53質量部とするのがより好ましい。
磁性粉末2の配合量は特定の範囲に限定されるものではなく、所望する磁気特性が得られるように、任意に設定することができる。つまり、磁力の強い磁性粉末を用いた場合は、磁性粉末の配合量を少なくすることもできるし、磁力の弱い磁性粉末を用いた場合は、磁性粉末の配合量を多くすることもできる。表面磁束密度の上限は特に限定されるものではないが、通常健康治具として用いる場合、表面磁束密度が30mT以上必要とされるため、表面磁束密度が40mT以上であることが好ましい。このような磁気特性は、磁性粉末2の種類や配合量、ボンド磁石1の直径等を変えることによって所望する強さの磁束密度を得ることができる。また、着磁率が75%以上であることが好ましい。
磁性粉末2の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50〜800質量部とすることで具現することができる。このような配合量とすると、高い磁気特性を得ることができる。また、重量が重くなり過ぎず、柔軟性、強度が低下し難く、成形も容易とすることができる。なお、かかる場合の磁性粉末2の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、100〜400質量部とするのが好ましい。
磁性粉末2の配合量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して、50質量部より低くなると磁気特性が非常に低くなる。そのため、そのようなボンド磁石を磁気治療器として使用した場合、磁気効果がほとんど期待できなくなるおそれがある。一方、磁性粉末2の配合量が、熱硬化性樹脂100質量部に対して、800質量部よりも高くなると重量が重く、柔軟性および強度が低下して折れやすくなり、成形も困難になるおそれがある。
ボンド磁石1には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、磁性粉末2以外の磁性粉、熱可塑性樹脂、低分子シロキサンエステル、シラノール等のシリカ分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、着色用の顔料、難燃性を付与させる白金化合物等を必要に応じて適宜配合することができる。
本実施形態のボンド磁石1は、二次加硫を120℃から170℃で5時間以上行うことにより、シリコーンゴムの硬化を促進し、低分子シロキサンの低減が出来ることから、ガス成分による成形物の膨張を防ぐことができる。その結果、シリコーンゴムと磁性粉末の隙間がなくなることで、100℃で溶融したパルミチン酸に上記ボンド磁石を浸漬し、72時間後における前記ボンド磁石のパルミチン酸吸収量を重量比で2%以下に抑制することができる。また、磁性粉末表面の活性化を適度な酸化により抑制することができるため、ノナン酸の分解が抑制できる。つまり、ボンド磁石1の有機成分の吸着を少なく出来ることから、結果として、臭気の低減効果をもたらすことが出来る。
また、100℃の10%ノナン酸溶液に上記ボンド磁石を浸漬し、3時間後におけるノナン酸分解量が重量比で10%以下であることから、Sm−Fe−N磁性粉末によるノナン酸の分解が少なく、ノナン酸由来の有機成分の臭気成分の発生を抑制することが出来る。
このようなボンド磁石1は、例えば以下のように製造することができる。10%ノナン酸溶液とは、ノナン酸:イソプロパノール:純水を、10:45:45の比率で混合させた溶液である。
図1(b)では、一層構造のボンド磁石を図示して説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、図1(c)に示すように、ボンド磁石の外側に、実質的に磁性粉を含有しないシリコーンゴム組成物を硬化してなる外層部3’を備える二層構造をとったボンド磁石であってもよい。
[ボンド磁石製造方法]
次に、本実施形態に係るボンド磁石製造方法の一例について説明する。
本実施形態に係るボンド磁石製造方法は、前記したボンド磁石1を製造するための方法である。図2に示すように、本実施形態に係るボンド磁石製造方法は、成形工程S1と、架橋反応工程S2と、二次加硫工程S3と、を含んでなり、少なくともこれらの工程をこの順で行うものである。
成形工程S1は、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3の混練物を所定の形状に成形する工程である。異方性の磁性粉末2を使用する場合は、磁性粉末2を所定の方向に配向させて成形物を得る工程である。異方性の磁性粉末2を使用する場合は、金型出口に磁場を配向させる磁場配向装置を備えた成形装置を使用して行うことができる。
次いで行う架橋反応工程S2は、成形物中の熱硬化性樹脂3を架橋反応させる工程である。架橋反応工程S2での架橋反応は、使用する熱硬化性樹脂3の硬化温度に応じて適宜設定することができるが、シリコーンゴムを用いる場合であれば、例えば、400〜700℃とすればよい。架橋反応工程S2は、架橋反応装置を使用して行うことができる。
二次加硫工程S3は、架橋反応工程S2の後、大気中にて硬化を行う工程である。二次加硫(二次硬化ともいう)により、低分子量のシロキサンを揮発させ、除去することができる。二次加硫工程S3は、ボンド磁石1の製造後、連続的に行ってもよいし、製造後、冷却期間を設けたのちに行ってもよい。
通常、シリコーンゴムの押出成形物は、200℃で4時間の条件下で二次加硫が行われるが、その場合、磁粉の酸化が起こり、変色部が発生しやすくなり、また磁粉の磁力の低下も起こってしまう。
そこで、本実施形態では、押出成形後の成形物に対して、二次加硫を120〜170℃の温度で5時間以上、好ましくは10時間以上、特に好ましくは、150℃で20時間以上行う。120℃未満、もしくは二次加硫を行わない場合は、磁石成形物の硬化が不十分であり、磁石成形物を健康器具等として使用した際に、汗および皮脂等の有機成分を吸着しやすくなる。また、磁粉が固定されず、着磁率が低下、つまり磁力の低下を招いてしまうため好ましくない。以上の方法により、本実施形態の磁石成形物を得ることが出来る。
なお、本実施形態に係るボンド磁石製造方法は、成形工程S1の前や、架橋反応工程S2及び二次加硫工程S3の後に、ボンド磁石1を製造するために好ましい他の工程を行うこともできる。
成形工程S1の前に行い得る工程としては、例えば、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3を混練して混練物を得る混練工程を挙げることができる。混練工程は、適宜の混練装置により行うことができる。混練装置については後述する。
そして、架橋反応工程S2及び二次加硫工程S3の後に行い得る工程としては、例えば、押出成形して架橋反応を行って得られたボンド磁石1をコイルに巻き取る巻取工程や、得られたボンド磁石1を適宜の長さに切断する切断工程などを挙げることができる。巻取工程及び切断工程は、それぞれ適宜の巻取装置及び切断装置によって行うことができる。
また、成形工程S1と架橋反応工程S2は、生産性やコストの観点から前述したようにして行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。例えば、加熱及び冷却機能と、磁場配向機能とを備え、且つ所定の形状に対応する溝部が形成されている金型内に、前記混練物を常温で注入し、然る後に磁場を配向させつつ、金型を加熱して架橋反応を行い、硬化させてボンド磁石1を製造することもできる。なお、ボンド磁石1を硬化させた後は冷却して常温に戻し、再び混練物を注入する動作を行うことを繰り返せば、連続的にボンド磁石1を製造することができる。
[ボンド磁石製造装置]
次に、本発明に係るボンド磁石製造装置の一実施形態について説明する。
本実施形態に係るボンド磁石製造装置は、前記したボンド磁石1を製造するための装置である。本発明の一実施形態に係るボンド磁石製造装置は、成形装置と、架橋反応装置と二次加硫装置を備えている。
成形装置は、製造したいボンド磁石1の形態等に応じて適宜のものを使用することができる。磁気ネックレスや磁気ブレスレットを製造したい場合は、生産性及びコストの観点から押出成形機を使用するのが好適である。上述した二層構造とする場合は、Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物と、その外側に実質的に磁性粉を含有しないシリコーンゴム組成物と、を押出機から共押出して、少なくとも二層構造の成形物を得る。
また、成形装置は、異方性の磁性粉末2を使用した場合、金型出口に磁場配向装置を備えているのが好ましい。磁場配向装置は、磁場コイルを使用するもの、永久磁石を使用するものなどを用いることができる。装置構成が簡単であることと、ランニングコストがかからないことなどを考慮すると、永久磁石を使用するのが好ましい。永久磁石は、強力な磁力を発する希土類系の焼結磁石を用いるのが好ましい。希土類系の焼結磁石としては、Nd−Fe−B系、Sm−Co系が挙げられる。これらのうちでも、より強力な磁場を発するNd−Fe−B系が好ましく、最大エネルギー積が239kJ/m(30MGOe)以上であるものが好ましい。例えば、円筒状の永久磁石を使用した構成では、成形装置で所定の形状に成形された成形物が、金型出口に隔壁を介して備えられた配向用の永久磁石の内側を通過するときに、熱硬化性樹脂3中の磁性粉末2が、磁場配向装置の発する磁場に沿って配向する。磁性粉末2が配向した状態のまま架橋反応を行って硬化させるとボンド磁石1中の磁性粉末2を所望するN極とS極に配向させることができる。
架橋反応装置としては、熱硬化性樹脂3の架橋反応を行わせて硬化させることのできる常圧熱気加硫装置、蒸気連続加硫装置、電子線加硫装置、プレス熱加硫装置、高周波加硫装置などを用いることができる。架橋反応装置での硬化温度(加熱温度)は、例えば、400〜700℃とすることができるが、熱硬化性樹脂3が硬化できる温度に応じて適宜調整するのが好ましい。また、架橋反応装置も、磁場配向装置を用いる場合、同様に円筒状とし、その内側を成形物が通過するようにするとよい。このようにすると、均質に架橋反応させることができ、良質なボンド磁石1を製造することができる。
熱硬化性樹脂3の硬化は、成形物が金型や磁場配向装置(以下、「金型等」という。)内で行うのが好ましいが、連続成形を行う成形装置の金型出口に近接して架橋反応装置を備えるのは好ましくない。後記するように架橋反応装置は加熱及び加硫することでモノマーを三次元構造のポリマーへと変化させることにより硬化させるので、一旦、硬化反応が開始されると制御は非常に難しくなる。そのため、金型等内で硬化させると、硬化した熱硬化性樹脂3と金型等との摩擦抵抗が大きくなり、成形加工性が低下したり、熱硬化性樹脂3が金型等内に詰まって成形不能になったりすることがある。
成形装置に投入される混練物は、磁性粉末2と熱硬化性樹脂3を混練したものである。かかる混練物は、ミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を用いて得ることができる。また、混練機による混練は一般的な手法によって行うことができる。例えば、熱硬化性樹脂3に充填剤やシリカ分散剤等を予め均一に混練してから120〜200℃で30分〜6時間程度加熱処理したのち、150〜200メッシュのスクリーンでろ過してベースコンパウンドを作製し、次いで、これに硬化剤や磁性粉末2を混練するようにするとよい。なお、磁性粉末2として、異方性Sm−Fe−N系磁性粉末を用いた場合、当該異方性Sm−Fe−N系磁性粉末は可燃性固体であるため混練中の着火を防止するため、窒素などの不活性ガス雰囲気にて混練するのが好ましい。
二次加硫装置としては、定温乾燥機、熱風乾燥機等を用いることが出来る。上記架橋反応後に冷却させたのち、必要な長さ・形状分のみ切断した後行ってもよいし、また、ベルトコンベア等を用いて、架橋反応後空冷させながら、連続的に二次加硫(硬化)を行ってもよい。120℃から170℃で5時間以上加熱出来る装置であれば、装置の形状にはこだわらない。
以上に説明した本実施形態に係るボンド磁石製造方法及びボンド磁石製造装置によれば、前述した本実施形態に係るボンド磁石を製造することができる。
次に、実施例について説明する。本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
シリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100重量部に対して、疎水性フュームドシリカ(商品名「アエロジルR974」、日本アエロジル株式会社製)33質量部、シリカ分散剤として両末端シラノール基を有するジメチルポリシロキサンを3質量部配合し、ニーダーミキサーを用いて均一に混合し、150℃で2時間熱処理してシリコーンゴム組成物を得た。
次いで、このシリコーンゴム組成物100質量部に平均粒径3μmの異方性磁性粉末(異方性SmFe17磁性粉末(日亜化学工業株式会社製))300質量部を配合し、これらを窒素雰囲気下で、ニーダーミキサーを用いて混練した。このようにして得られた混練物を80メッシュのスクリーンを備えたストレーナー装置を使用して、油圧シリンダーで押し出し、スクリーンを通過させて磁性粉凝集物を除去し、磁性コンパウンドを得た。
次いで、この磁性粉凝集物を除去した混練物に白金系触媒(商品名「C−25A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−25B」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、ミキシングロールを用いて混練し付加反応型シリコーンゴム組成物を使用した磁性コンパウンドを得た。
一方、シリコーン生ゴム(商品名「KE−78VBS」、信越化学工業株式会社製)100質量部に対して、疎水性フュームドシリカ(商品名「アエロジルR974」、日本アエロジル株式会社製)43質量部を配合し、ニーダーミキサーを用いて均一に混合し、150℃で2時間熱処理してシリコーンゴムコンパウンドを作製した。
次いで、このシリコーンゴムコンパウンド100質量部にオルガノハイドロジェンポリシロキサン(商品名「C−25A」、信越化学工業株式会社製)0.5質量部、顔料(商品名「KE−カラーBB」、信越化学工業株式会社製)2質量部を配合し、ミキシングロールで混練して外層部用の付加反応型シリコーンゴム組成物を得た。
その後、得られた外層部用付加反応型シリコーンゴム組成物および内層部用の磁性コンパウンドをそれぞれ外層部用押出機(φ50mm、一軸押出機)、内層部用押出機(φ60mm、一軸押出機)に投入して押出し、クロスヘッド型押出機のダイス(二層クロスヘッド)において内層部を外層部で被覆しながら二層共押出成形を行った。580℃のオーブン中で10秒間加熱して常圧熱気加硫(HAV)硬化させることにより、図1(c)に示すような、内層部の表面を外層部で被覆した二層構造の紐状のボンド磁石を得た。その後、上記ボンド磁石を150℃で5時間加熱して二次加硫を行った。
(実施例2)
二次加硫を150℃で10時間行った場合以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。
(実施例3)
二次加硫を150℃で20時間行った場合以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。
(実施例4)
二次加硫を120℃で20時間行った場合以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。
(実施例5)
二次加硫を170℃で20時間行った場合以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。
次いで、実施例1〜5のボンド磁石の着磁率を測定した。着磁率は、着磁装置にて2kOeから漸次着磁磁場を上げていき、その都度表面磁束密度を測定し、最大35kOeの着磁磁場をかけた。表面磁束密度は、マグネットアナライザー(株式会社ディー・エム・ティー製 MF−301R)を用いて測定した。磁気特性が同じ磁性粉末を樹脂(ナイロン樹脂)と共に実施例1と同配合で混練した後、無磁場でΦ10T3mmに射出成形した磁石成形物を35kOeの着磁磁場で着磁し、磁石表面から0.5mm離した場合の表面磁束密度を測定し、その表面磁束密度を着磁率100%とし規格化した。上記0.5mmは外層部用のシリコーン膜厚に相当する。測定結果を図3に示す。
次いで、有機成分の吸着試験を行った。二次加硫を行った後、着磁装置にて30kOeの磁場を付与して着磁を行い、着磁を行ったボンド磁石を10cmに切断した。その後、100℃で溶融したパルミチン酸に上記ボンド磁石を浸漬し、72時間後の直径寸法および重量を確認した。浸漬前の直径寸法および重量を0%とし、変化量を規格化した。直径寸法は、最大の膨張となる箇所を測定した。また、切断面からの影響を避けるため、切断面はパルミチン酸溶液に浸漬しないように設置した。その結果を表1に示す。
次いで、ノナン酸の分解量の測定を行った。二次加硫を行った後、100℃の10%ノナン酸溶液(ノナン酸:イソプロパノール:純水を、10:45:45の比率で混合させた溶液)に上記ボンド磁石を3時間浸漬した。その後、上記ボンド磁石を取出し、表層についたノナン酸溶液を100℃の純水中で5時間洗浄した後、ガスクロマトグラフ質量分析計にて測定した。測定結果より、ノナン酸由来成分の発生ガス量を求めた。その結果を表1に示す。
(比較例1)
二次加硫を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。その後、着磁率と有機成分の吸着試験を同様に行った。
(比較例2)
二次加硫を100℃で20時間行った以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。その後、着磁率と有機成分の吸着試験を同様に行った。
(比較例3)
二次加硫を150℃で3時間行った以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。その後、着磁率と有機成分の吸着試験を同様に行った。
(比較例4)
二次加硫を200℃で20時間行った以外は、実施例1と同様の方法、条件によってボンド磁石を得た。その後、着磁率と有機成分の吸着試験を同様に行った。図3および表1に比較例1〜4の試験結果を示す。
Figure 0006700158
図2および表1の結果から、実施例1〜5で得られた本発明のボンド磁石は、比較例1および2のボンド磁石よりも、高い着磁特性を有し、また、有機成分の吸着および分解が少なくなることが分かる。比較例3は、着磁特性は改善されるものの、有機成分の吸着は改善されなかった。これは、150℃の二次加硫によりボンド磁石1の固有保磁力が小さくなったため、着磁率は良くなったものの、硬化が十分に行われておらず、有機成分の吸着が起こってしまったものと考えられる。比較例4は、着磁特性は改善されるものの、ボンド磁石1の内層部(磁性粉)が高温により酸化劣化をおこしており、内層部が茶色く変色していた。そのため、劣化した内層部と硬化した外層部の間に隙間が生じ、有機成分が吸着したと考えられる。
1 ボンド磁石
2 磁性粉末
3、3’ 熱硬化性樹脂

Claims (7)

  1. Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物を硬化してなるボンド磁石であって、
    100℃で溶融したパルミチン酸に前記ボンド磁石を浸漬し、72時間後における前記ボンド磁石のパルミチン酸吸収量が重量比で1.8%以下であり、
    100℃の10%ノナン酸溶液に前記ボンド磁石を浸漬し、3時間後におけるノナン酸分解量が7.3μg/g以下である、ボンド磁石。
  2. 前記ボンド磁石は、着磁率が75%以上である、請求項1に記載のボンド磁石。
  3. 前記ボンド磁石は、表面磁束密度が40mT以上である、請求項1または2に記載のボンド磁石。
  4. 前記ボンド磁石の外側に、実質的に磁性粉を含有しないシリコーンゴム組成物を硬化してなる外層部を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のボンド磁石。
  5. 前記Sm−Fe−N系磁性粉の平均粒径が1〜10μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載のボンド磁石。
  6. Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物を成形して成形物を得る工程と、
    前記成形物を150℃〜170℃の温度で5時間以上二次加硫して架橋反応を行う工程と、を含むボンド磁石の製造方法。
  7. 前記Sm−Fe−N系磁性粉を含有するシリコーンゴム組成物と、その外側に実質的に磁性粉を含有しないシリコーンゴム組成物と、を押出機から共押出して、少なくとも二層構造の成形物を得る工程を有する、請求項6に記載のボンド磁石の製造方法。
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