JP6027701B1 - しわ発生防止装置付ロールプレス機とロールプレス方法 - Google Patents

しわ発生防止装置付ロールプレス機とロールプレス方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極板の塗工部と未塗工部でロールプレス作業により生ずる、しわの発生を抑えるしわ発生防止装置を備えたロールプレス機と及びロールプレス方法を提供する。【解決手段】プレスロールにプレスロールより小径の作業ロールを押しつけ、未塗工部がプレスロールと作業ロール間で延伸可能となし、更に前記作業ロールが幅方向で均一な押圧力により前記未塗工部を押しつけ可能なように、前記作業ロールをV字型に配置した2本の補強ロールで保持した。【選択図】図5

Description

本発明はリチウムイオン電池等の活物質を一つもしくは複数条塗工した電極板のしわ発生を防止する装置を有するロールプレス機とロールプレス方法に関する。
特許文献1に示されるように、ロールプレス後の塗工部の長さと未塗工部の長さを同じにするために、プレスロール機の入側に未塗工部のみを延伸する加工ロール配置し、未塗工部に加工ロールを押しつけ、加工ロールの表面に作られた微小な凹凸段差により、未塗工部に凹凸段差を転写することが述べられている。
特許文献2には、電極板をロールプレスするために、プレス用ロール位置を電極板の移動方向にずらして配置され、さらにプレス用ロールが塗工部のみをプレス可能なよう分割したプレス用ロールを持つ電極板プレス装置が提案されている。電極板の移動方向にずらして配置されたプレス用ロールの間に未塗工部のみをプレス可能なガイドローラを配置し、未塗工部のしわ発生を防ぐことが述べられている。
特許文献3には、電極材料の搬送方向に間隔を置いて配置されたガイドロール間で張力がかかった電極材料の未塗工部のみ押し付けロールを押し付けて未塗工部を延伸させ、その後に電極材料をロールプレスし、さらにその後未塗工部を延伸させることが記載されている。
特開2012−79592号公報 特開2008−226502号公報 特開2014−220113号公報
リチウムイオン電池は、アルミや銅の素材でできた電極箔の表面に電気エネルギーを溜めることが可能なリチウム金属などの活物質を長手方向に複数条塗工して作られている。活物質を複数条塗工された電極板は電池として組み立てられたとき接続端子部となる未塗工部を有している。電極板は幅方向に塗工部と未塗工部を帯状に有しているので、塗工部と未塗工部を同時にプレスロールでプレスすると、塗工部がプレス用ロールに挟まれ薄くなり、その際活物質と金属箔が薄くなり、長手方向により長く、延伸する。しかし、未塗工部は厚みが塗工部より薄いので、プレス用ロールに挟まれない。その為長手方向へ延伸することがないので、電極板は幅方向の帯状に延伸して長くなった部分と延伸せず長さが変わらない部分が同居するため、塗工部の延伸により長くなった部分がしわとなって表れる。発生したしわにより、搬送、巻取りの工程において、深いしわや割れに発展し、搬送巻取りが出来なくなる恐れがある。この課題を解決するために種々の方法が提案されて来た。
特許文献1の手段を用いると、未塗工部分プレスする専用の加工ロールを配置し、その加工ロール表面には凹凸の段差を付けて未塗工部に押し当て、未塗工の金属箔に凹凸段差で伸びを与えようとするものである。金属箔の厚みは10から20ミクロンと薄いので、加工ロール表面に付ける凹凸も金属箔に穴や割れを発生させないためには、凹凸量を微細にする必要がある。さらに、微細に加工した凹凸を上下加工ロールでプレスするには、凹凸の位置を正確に合わせないと、上下の凹凸が干渉する恐れがある。10から20ミクロンの金属箔を専用のプレス機で凹凸の模様を付ける場合でも、高精度な金型が必要となる。加工ロールを保持するベアリングなどに隙間が必要なロールで行うのは困難と思われる。
特許文献2の手段を用いると、特許文献1と同じように、未塗工部を専用にプレスするガイドロールが配置されている。このガイドロールは電極板を外側に引っ張る力を発生させる目的で、電極板の移動方向に対し、θ度傾けて配置することが提案されている。つまり左右のガイドロールは独立して回転軸心を持ち、金属箔をプレスする構造となっている。この場合、左右のガイドロールの押しつけ力に差が生ずると、金属箔の厚みが薄いので伸びの差により電極板が曲がり、蛇行が発生する恐れがある。分割された左右のガイドロールを速度、プレス力など蛇行などが発生しない様正確に制御するためにはかなり複雑で、高価な装置を製作する必要がある。
特許文献3は、張力をかけておいて、ロールプレス前後における圧延と、ロールプレスによる圧延とをバランスさせることを提案しているが、用いられる作業ロールは、電極材料の片側のみであり、厚みが極薄い金属箔の場合に対応することが困難になることが想到される。
本発明は、上記の問題を鑑み、厚みが極薄い金属箔の場合にも対応することが出来、一枚の長尺の電極箔に活物質を一つもしくは複数条塗工した電極板のロールプレスによる塗工部と未塗工部の伸びの差によるしわの発生を抑える機能を簡便な機構で達成出来るロールプレス機とロールプレス方法を提供することを目的とする。
本発明は、具体的には、電極箔に活物質を塗工した塗工部と前記活物質が塗工されていない、複数条の未塗工部とを有する電極板を、上下一対のプレスロールでロールプレスするロールプレス機において、
いずれか一方のプレスロールとセットにされ、前記未塗工部を当該プレスロールに押し付ける、作業ロールと該作業ロールを補強する補強ロールとを備えて構成されたしわ発生防止手段を備えることを特徴とするロールプレス機を提案する。
本発明は、上述されたロールプレス機において、いずれか一方のプレスロールとセットにされたしわ発生防止手段が、小径の作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備え、前記補強ロールがV字型に配置された2本の補強ロールで構成されたことを特徴とするロールプレス機を提案する。
本発明は、上述されたロールプレス機において、V字型に配置された2本の補強ロールの内、1本の補強ロールが、作業ロールが接触しない他方のプレスロールに接触するように配置されていることを特徴とするロールプレス機を提案する。
本発明は、上述された特徴とするロールプレス機において、前記作業ロールが前記未塗工部を押圧した状態で、該作業ロールを軸方向に移動可能としたロール移動装置を備えることを特徴とするロールプレス機を提案する。
本発明は、電極箔に活物質を塗工した塗工部と前記活物質が塗工されていない、複数条の未塗工部とを有する電極板を、上下一対のプレスロールでロールプレスし、上下一対の作業ロールを備え、少なくとも一方の作業ロールが小径の作業ロールとされ、該作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備えて構成されたしわ発生防止手段が2台セットで設置され、電極箔の未塗工部におけるしわ発生を防止するしわ発生防止方法において、
塗工部を一対のプレスロールでロールプレスする前に、前記小径の作業ロールを持つ一対の作業ロールによって前記未塗工部を圧延して、その後の上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部の圧延を行い、当該塗工部の圧延後に、前記小径の作業ロールを持つ他の上下一対の作業ロールによって圧延して、双方の上下一対の作業ロールによって圧延と上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部の圧延とをバランスさせること
を特徴とする電極箔の未塗工部におけるしわ発生を防止するしわ発生防止方法を提案する。
本発明によれば、未塗工部を当該プレスロールに押し付ける、前記プレスロールよりも小径の作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備えて構成されたしわ発生防止手段が提供され、厚みが極薄い金属箔の場合にも対応することが出来、一枚の長尺の電極箔に活物質を一つもしくは複数条塗工した電極板のロールプレスによる塗工部と未塗工部の伸びの差によるしわの発生を抑える機能を簡便な機構で達成出来るロールプレス機とロールプレス方法を提供することが出来る。
ロールプレス機内に新たに配置したしわ発生防止手段によって前記未塗工部をプレス押圧することで圧延して、その後の上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部の圧延にバランスさせることができ、例えば作業ロールにより電極板の未塗工部の電極箔に伸びを与え、続いて大径のプレス用ロールで塗工部の電極箔に伸びを与えことが出来るようになる。つまり、ロールプレス機内で電極板の塗工部と未塗工部で伸びの差によるしわを発生させずにロールプレスが可能となり、しわの無い状態で通板、巻取り工程に移ることが出来る。
本発明の一実施例であるロールプレス設備の全体概要を示す図である。 複数条の活物質をストライプ状に塗工した電極板の例を示す図である。 電極板の断面を示図である。 活物質をストライプ状に塗工した電極板の他の例を示す図である。 しわ発生防止装置の全体構造を示す図である。 しわ発生防止装置の作業ロールのたわみを示す図である。 作業ロールと上プレスロール間に発生する隙間について説明する図である。 隙間がロールの軸方向の中心からの距離が変わる毎に変化する状態を示す図である。 補強ロールを下プレスロールに軸方向全長で接触させた状態を示す図である。 作業ロールが2条の塗工部を持つ電極板延伸させるために、接触した状態を模式化して示す図である。 作業ロールを軸方向へ移動させる手段として、軸移動手段を備えた例を示す図である。 本発明の実施例の運転フローチャートを示す図である。 小径ロール使用による金属箔圧延とプレスロールによる金属箔圧延とをバランスさせる方法を示す図である。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の一実施例であるロールプレス設備の全体概要を示す。ロールプレス機100の入側にはリチウムイン電池電極板300がコイル状に巻かれたプレス前のコイルを装着するコイル巻出し機151が設けられ、ロールプレス機100の出側にはロールプレス後の電極板300をコイル状に巻き取るコイル巻き取り機152が設けられている。
ロールプレス機100には上プレスロール101と下プレスロール102を備え、金属箔301表面に活物質302が塗工された電極板300を上プレスロール101と下プレスロール102の間を加圧しながら通過させ、活物質202の圧縮加工を行う。ロールプレス機100には上プレスロール101と下プレスロール102の間の押圧を制御する圧下装置103と上下プレスロール101,102を保持する軸受箱104とプレス押圧を支えるハウジング105が備えられている。
そして本実施例では、ロールプレス機100内に上プレスロール101と接し、電極板200を加圧プレスするしわ発生防止装置200が入側及び出側に設置されている。しわ発生防止装置200の詳細については後述する。
図2は、2条の活物質をストライプ状に塗工した電極板の例を示す図である。図2(a)は、平面を示し、図2(b)は、電極板300の断面を示す。
電極板300は、一例としてリチウムイオン電池のものを例示するが、帯状の電極箔301(アルミ箔、銅箔等)の表面に図2に示すように複数条の活物質302a、302bをストライプ状に塗工する。未塗工部は電池に組み立てられる過程で接続端子部になるので活物質302は塗工されず、電極箔301が露出している。活物質302が2条の場合は、電極板300には未塗工部が電極板300の端部301a、301bと中央部301cが未塗工部になる。図2(b)に示す電極板300の断面図では厚みを持って記載してある。
図3は、活物質302が3条の場合で、電極板300の両端部301a、301bが未塗工部になり、中側で、活物質302の間に2つの未塗工部301c、301dが形成され、未塗工部は、4列になる。
図4は、活物質をストライプ状に塗工した電極板の他の例を示す図である。
図4(a)は、活物質302が1条の場合で、電極板300には未塗工部が電極板300の両端部301a、301bが未塗工部になる。図4(b)は、活物質302が1条の場合で、電極板300には未塗工部が電極板300の片端部301が未塗工部になる。
図2−図4に示されるように、活物質をストライプ状に塗工した電極板の例は各種あるが、以下、図2に示される2条の活物質をストライプ状に塗工した電極板の例を取って説明する。
活物質302が2条にストライプ状に塗工された図2に示された電極板300プレスする場合のしわ発生防止装置200の詳細とロールプレス方法を説明する。
塗工部と未塗工部を有する電極板300を上下プレスロール101,102により圧縮加工した場合には、背景技術の欄で記述したように、電極箔301の活物質302a,302b塗工部に集中的に圧縮荷重がかかり、塗工部の電極箔301が延伸し、未塗工部300a,300b,300cは延伸しない。電極板300の幅方向でロールプレスによる伸びの差により、しわが発生する。このしわが、電極板300を巻き取り機303で巻き取る際、破断や巻き取り不良などの原因となる。
本実施例では、以下述べるしわ発生防止装置200をロールプレス機100内に備えることで、容易に未塗工部を延伸させ、しわの発生を押されることが可能となる。
図5から図11は、しわ発生防止装置200を説明する図である。
図5は、しわ発生防止装置の全体構造を示す図である。
図6は、しわ発生防止装置の作業ロールのたわみを示す図である。
図5、図6において、本実施例のしわ発生防止装置200は、主な構成要素として、上プレスロール101へ押圧し、電極板300の未塗工部を延伸する作業ロール201、作業ロール201を押圧力で撓まないために背面より保持する補強ロール202、補強ロール202を支える軸受フレーム203、軸受フレーム203がスムースに前後に移動可能とするスライダー204、作業ロールに電極板300を延伸させる押圧力を与える油圧シリンダー205、補強ロール202bを下プレスロール102に押し付けるシリンダー206とスライダー204が前後に移動可能とするレールガイド207を備えている。
作業ロール201を支える2本の補強ロール202は上側から保持する上補強ロール202aと下側から保持する下補強ロール202bから構成され、V字型配置とされている。
いずれか一方のプレスロールとセットにされたしわ発生防止手段は、作業ロールと、該作業ロールを補強する補強ロールとを備えて構成される。作業ロールの径が補強ロールの径と同一とされるような場合には、3本の補強ロールが使用される。好ましくは、いずれか一方のプレスロールとセットにされたしわ発生防止手段が、小径の作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備えて構成される。
作業ロール201の上下に配置された2本の補強ロール202は各々のロール中心線が平行になるように配置される。平行な2本の補強ロール202に挟まれた作業ロール201も2本の補強ロール202にならい平行に配置される。
作業ロール201は、V字型配置の補強ロール200によって上下から挟みこまれるように保持されているので、未塗工部が不連続にあり、不連続の押圧力が作業ロール201に生じても、常に正確な真直度を維持することが出来る。作業ロールのみの配置によっても効果が得られるが、補強ロールを設けることで、ごく小径の作業ロールを用いることが可能となり、厚みが極薄い未塗工部を安全、確実に延伸することが出来、大きな効果が得られる。
補強ロール202を設けることなく、作業ロール201を両端に軸受け箱を持ち、押圧力を加えた場合、図6に示すような作業ロール201のたわみで、図2で示した電極板300の未塗工部301a、301b、301cに異なった押圧力が生じ、未塗工部を同じ長さに延伸させることが出来なくなる恐れが生じる。不連続な未塗工部を同じ長さに延伸させるためには、作業ロール201にたわみを発生させず、真直度を常に正しく保つことは非常に重要である。作業ロール201をV字方向から支える補強ロール202を備えたことでこれが可能となる。
図7は、作業ロールと上プレスロール間に発生する隙間について説明する図である。
図8は、隙間がロールの軸方向の中心からの距離が変わる毎に変化する状態を示す図である。
図7に示すように、作業ロール201が上プレスロール101に対し、軸心で傾きが生じた場合、作業ロール201と上プレスロール101間の隙間が、図8に示すようにロールの軸方向の中心からの距離が変わる毎に変化する。図2に示される電極板300を延伸させると、未塗工部301a、301b、301cに異なった押圧力が生じ、未塗工部を同じ長さに延伸させることは出来ない。電極箔301の厚さが非常に薄いので、微小な軸心の傾きが生じても電極板300の幅方向で伸びの差が生じやすい。
この課題を解決させるため、図5、図9に示す様に下補強ロール202bを下プレスロール102に軸方向全長で接触させる。上下プレスロール101,102は平行、水平に配置されているので、下プレスロール102と下補強ロール202bが軸方向全長で接触すれば、作業ロール201と上プレスロール101の軸心は平行が維持される。
下プレスロール102が上下に移動しても下補強ロール202bを下プレスロール102間で同じ接触状態を維持するため、補強ロール202を支える軸受フレーム203を押しつけシリンダー206で下プレスロール102方向にしっかり押し付ける。圧下装置103により下プレスロール102が微小に上下動しても、下プレスロール102の軸心と一緒に下補強ロール202bの軸心も追随して、平行に移動する。
補強ロール202を配置したことにより、作業ロール201の上プレスロール101に対する2方向、図9で示すX軸、Y軸の平行を常に維持出来る様になり、ごく薄い電極箔301を幅方向で均一な押圧力で押しつけが出来る。これにより、同じ伸び長さの圧延が可能となる。
下プレスロール102と下補強ロール202bが接触したことで、下プレスロール102の回転力が下補強ロール202bに伝わる。更に、下補強ロール202bから作業ロール201に伝わる。回転方向も下補強ロール202bがアイドルロールの働きをし、上プレスロール101と作業ロール201間で電極板300をかみ込む方向の回転となり、上プレスロール101と作業ロール201間で圧延と同じように2本のロールで材料を延伸させることが出来る。
次に、出側に設けたしわ発生防止装置200について説明する。
上プレスロール101の入、出側方向にしわ発生防止装置200を配置し、作業ロール201を2本の補強ロールで保持し、更に下補強ロール201bと下プレスロール102を軸方向に常に接触させることで、上プレスロール101と上補強ロール201a間で正確で、安定した圧延が可能となる。
入側のしわ発生防止装置200では上補強ロール201は作業ロール201から回転が伝わり、作業ロール201と上補強ロール202aで反対方向に回転し、作業ロール201と上補強ロール202a間で圧延される電極板300に対し、上補強ロール201は張力を与える方向に回転する。この上補強ロール201の回転により、電極板300は一定の張力を有して未塗工部の圧延が可能となる。しかし、出側のしわ発生防止装置200では作業ロール201と上補強ロール202a間で、電極板300にたるみを付ける方向に上補強ロール202aが回転するので、出側のコイル巻き取り機152の張力を利用する。
図9は、補強ロールを下プレスロールに軸方向全長で接触させた状態を示す図である。
図9に示したX軸、Y軸、Z軸について説明する。X軸、Y軸に関して上述した。Z軸に関して以下述べる。Z軸は、作業ロール201の軸方向を指し、作業ロール201と電極板300が接した軸方向の位置において課題が生ずる。
図10は、作業ロールが2条の塗工部を持つ電極板延伸させるために、接触した状態を模式化して示す図である。
図10には、作業ロール201が2条の塗工部302を持つ電極板300を延伸させるために、接触した状態を模式化したものである。電極板300の未塗工部301を延伸させ、塗工部302を延伸させないためには、未塗工部301に接する部分だけ作業ロール201のロール径を塗工部302と接する部分より太い径部201aにしなければならない。塗工部と接する部分201bは塗工部302と接する径より若干細い。
電極板300の中心が電極板300の蛇行でロールプレス機100の中心とずれた場合は作業ロール201の太い径部201aと未塗工部301の位置がずれてしまう。その場合、塗工部302の端部が押圧され、反対側の未塗工部301は延伸されない恐れがある。電極板300を全く蛇行させずに、ロールプレス機100内を通板させることは難しいので電極板300の中心の移動に追従して、作業ロール201を軸方向に移動させることが必要になる。
図11は、作業ロールを軸方向へ移動させる手段として、軸移動手段を備えた例を示す図である。
作業ロール201を軸方向へ移動させる手段として、図11に示す様な軸移動手段を備える。電極板300の中心とロールプレス機100の中心とのずれ量を正確に測定するため、ロールプレス機の基準であるハウジング105に蛇行センサー208を取り付け、電極板300の端部位置を測定し、電極板300のずれ量を求める。求められた電極板300の中心とロールプレス機100の中心とのずれ量から、作業ロール201を軸方向の中心のあるべき位置を求める。
ロールプレス機100の軸受箱104の一部に作業ロール201を軸方向に移動させることが出来る軸センターリング機構209を備えている。蛇行センサー208からの測定信号により、軸センターリング機構209により、作業ロール201を軸方向に移動させることが可能となる。この機構により、電極板300が軸方向に移動しても、未塗工部301を作業ロール201の太い径部201aで正確に押圧可能となる。
図12は、本発明の実施例の運転フローチャートを示す図である。
しわ発生防止装置200の運転方法に付いて、図12の運転フローチャートに従い説明する。上下プレスロール101、102を交換した後からの、運転の流れを記載する。初めに、スライダー204を上プレスロール101に近づけるため、油圧シリンダー205に油を流す(S1)。作業ロール201を上プレスロール101に接触する位置までスライダー204を移動させる(S2)。下補強ロール202bを下プレスロール102と補強ロール202bが接触するよう押しつけ(S3)、シリンダー206に通油する(S4)。上下プレスロール101,102と作業ロール201と下補強ロール202bの4本のロールがしっかり接触したことを確認する(S5)。
上プレスロール101への作業ロール201の押圧力は小さく調整する(S6).上下プレスロール101,102を所定の速度で回転させる(S7)。回転させながら、圧下装置103を動かし、プレス力を発生させる。電極板300をコイル巻出し151から送り出し、ロールプレス機100を通板して(S8)、出側にあるコイル巻取り機152で巻き取る(S9)。塗工部301へのプレス力を高めながら、しわの発生を確認しながら、作業ロール201の未塗工部301への押圧力を油圧シリンダー205の油圧力を調整する(S10)。
電極板300を通板しながら、電極板300端部を蛇行センサー208で測定する。電極板300の中心とロールプレス機100の中心にずれが生じたら、軸センターリング機構209を用いて、電極板300の未塗工部301と作業ロール201の太い径部201aの位置を自動的に合わせる。
しわ発生防止装置200をロールプレス機100の入側と出側両方に配置するのが望ましい。入側のしわ発生防止装置200で塗工部301のプレスによる延伸で伸びる長さの半分の伸びを未塗工部301に与え、残りの半分の伸びを出側のしわ発生防止装置200で与える。又は、入側のしわ発生防止装置200で塗工部301のプレスによる延伸で伸びる長さの半分だけ与えるだけでも、通板や巻取りに影響を与えるしわの発生を防ぐことが出来るようになる。
図13は、小径ロール使用による金属箔圧延とプレスロールによる金属箔圧延とをバランスさせる方法を示す図である。ここで、双方の圧延をバランスさせるとは、双方の圧延による延伸の伸びの差をなくすようにして、延伸の伸びを同等にすることである。
図13において、バランスさせる方法は、ステップ1からステップ4までのステップからなる。ステップ1において、金属箔301に活物質が塗工された、図に示す電極板300が準備される。
電極箔に活物質を塗工した塗工部と活物質が塗工されていない、複数条の未塗工部とを有する電極板を、上下一対のプレスロールでロールプレスし、上下一対の作業ロールを備え、少なくとも一方の作業ロールが小径の作業ロールとされ、該作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備えて構成されたしわ発生防止手段が2台セットで設置される。
小径の作業ロールに対峙して配置される他側の作業ロールには、同一形態の小径ロールが使用され得る。他側の作業ロールには、上プレスロールあるいは下プレスロールのいずれかを兼用して使用することが出来る。同一形態の小径ロールが使用される場合には、他側には、小径の作業ロールと、この作業ロールを補強する、作業ロールの径よりも大径の補強ロールがV字状にして配置される。
ステップ2において、塗工部を一対のプレスロールでロールプレスする前に、小径の作業ロールを持つ一対の作業ロールによって未塗工部301A、301B、301Cを圧延する。
この場合の圧延は、小径ロールによる前圧延となり、圧延量は、Aとなる。
ステップ3において、その後に、上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部302の圧延(プレス圧延)がなされる。この場合のプレスロールによる金属箔302A、303Bの圧延となり、各圧延量は、Bとなる。
ステップ4において、塗工部を一対の作業ロールで、圧延する。小径の作業ロールを持つ一対の作業ロールによって未塗工部301A、301B、301Cを再度圧延する。
この場合の圧延は、小径ロールによる後圧延となり、圧延量は、Aとなる。
圧延A+Aと圧延Bとがバランスする。
このようにして、塗工部を一対のプレスロールでロールプレスする前に、前記小径の作業ロールを持つ一対の作業ロールによって前記未塗工部を圧延して、その後の上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部の圧延を行い、当該塗工部の圧延後に、前記小径の作業ロールを持つ他の上下一対の作業ロールによって圧延して、双方の上下一対の作業ロールによって圧延と上下一対のプレスロールのロールプレスによる塗工部の圧延とをバランスさせ、電極箔の未塗工部におけるしわ発生を防止するしわ発生防止方法が形成される。
100…ロールプレス機、101…上プレスロール、102…下プレスロール、103…圧下装置、201…作業ロール、202…補強ロール、203…軸受フレーム、204…スライダー、205…油圧シリンダー、206…シリンダー、207…レールガイド、300…電極板、301…金属箔、302…活物質。

Claims (5)

  1. 電極箔に活物質を塗工した塗工部と前記活物質が塗工されていない、複数条の未塗工部とを有する電極板を、上下一対のプレスロールでロールプレスするロールプレス機において、
    いずれか一方のプレスロールとセットにされ、前記電極板を当該プレスロールに押し付ける、作業ロールと該作業ロールを補強する補強ロールとを備えて構成されたしわ発生防止手段を備え、該しわ発生防止手段において、未塗工部を延伸させ、該しわ発生防止手段の作業ロールの内の一方において、未塗工部に接する部分のロール径は、塗工部と接する部分のロール径よりも太いことを特徴とするロールプレス機。
  2. 請求項1に記載されたロールプレス機において、いずれか一方のプレスロールとセットにされたしわ発生防止手段が、作業ロールと、該作業ロールを補強する、該作業ロールの径よりも大径の補強ロールとを備え、前記補強ロールがV字型に配置された2本の補強ロールで構成されたことを特徴とするロールプレス機。
  3. 請求項2に記載されたロールプレス機において、V字型に配置された2本の補強ロールの内、1本の補強ロールが、作業ロールが接触しない他方のプレスロールに接触するように配置されていることを特徴とするロールプレス機。
  4. 請求項1又は2に記載された特徴とするロールプレス機において、前記作業ロールが前記未塗工部を押圧した状態で、該作業ロールを軸方向に移動可能としたロール移動装置を備えることを特徴とするロールプレス機。
  5. 電極箔に活物質を塗工した塗工部と前記活物質が塗工されていない、複数条の未塗工部とを有する電極板を、上下一対のプレスロールでロールプレスするロールプレス機による電極板のロールプレス方法おいて、
    前記電極板を当該プレスロールに押し付ける、作業ロールと該作業ロールを補強する補強ロールとを備えてしわ発生防止手段を構成し、該しわ発生防止手段の作業ロールの内の一方において、未塗工部に接する部分のロール径は、塗工部と接する部分のロール径よりも太く構成し、該発生防止手段をいずれか一方のプレスロールとセットとして、未塗工部を延伸させることを特徴とするロールプレス機による電極板のロールプレス方法。
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