JP2016140832A - 連続体の塗布装置および塗膜付基材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】巻取ロールの幅方向の積層厚み分布を直接測定することにより、巻しわを発生させる積層厚み差に到達する前に塗膜の厚みを調節することで巻しわの発生を防止する。【解決手段】連続走行する基材の少なくとも片面に塗液を塗布し、この塗液を乾燥し固化させ、基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取って塗膜付基材を製造するに際し、ロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなるように、塗液の塗布厚みを調整する。【選択図】図1
Description
本発明は連続体の塗布装置および塗膜付基材の製造方法に関する。
近年、基材上に無機物フィラー或いは有機物フィラーを含有する塗布液を塗布し塗膜付基材を形成することにより、基材に新しい機能の付与、基材の有する機能の強化が行なわれ、工業用或いは民生用に多用されている。特に、電気機器、情報基材関連の小型化に伴い、これまでよりさらに軽量化、薄膜化された機能材の要求が急増している。
極めて薄い塗膜付基材を製造する場合、基材および塗膜のそれぞれを薄膜化する必要があるが、基材製造において基材厚み分布を均一にすることは難しく、不均一な基材の上にさらに塗膜を塗布した上で、厚み均一性を保たなければならない。そのため、塗布工程はさらに難しく、均一薄膜塗工の重要度は増してきている。
塗液を基材上に薄膜塗布する方法としては、例えば、ダイコートやカーテンコートなどの前計量方式や、ナイフ、コンマ、メタバー、アプリケーター、ディップなどの後計量のかきとり方式などがあり、それぞれの要求に応じた方式が採用されている。
基材とかきとり部材とのクリアランスで塗布膜厚が決まり、基材の厚み分布に依らず塗膜表面を平滑にできる、後計量かきとり方式は均一薄膜塗布を可能とする簡易的な方法としてこれまでも多く採用されている。
しかしながら、低コスト化のため巾が広く、巻長の長いものが必要とされる近年では、
塗膜付基材の厚みが管理値以内に制御されていても、ロール状に積層されることによって1枚当たりの厚みの斑が積算され、その巻径の分布が悪化するという事態が生じる。このような巻径分布の悪化が生じると巻こぶや巻しわが発生し、製品収率が低下する問題がある。これらの問題に対する対策として様々な塗布装置が開示されている。
塗膜付基材の厚みが管理値以内に制御されていても、ロール状に積層されることによって1枚当たりの厚みの斑が積算され、その巻径の分布が悪化するという事態が生じる。このような巻径分布の悪化が生じると巻こぶや巻しわが発生し、製品収率が低下する問題がある。これらの問題に対する対策として様々な塗布装置が開示されている。
例えば、特許文献1には、塗布前ロールの外径分布を測定し、塗布後ロールの設定外径分布との差に基づいて幅方向の塗布厚分布を調整しながら塗布する技術が開示されている。
また、特許文献2には、製膜工程における延伸後に測定したフィルムの厚み分布から得られた偏差に対して、巻取で測定したロール外径分布に基づいて偏差を修正して塗布厚分布を調整する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術は塗布前ロールの測定外径と塗布後ロールの設定外径との差に基づいて塗布すべき塗布厚分布を導出するものであるが、巻取の設定外径分布と実際の外径分布は必ずしも同じとは言えない。巻取外径分布は1枚当たりの膜厚のみで決まるものではなく、張力変動や、搬送による随伴気流による空気のかみこみ量、もしくはコア形状によっても影響される。そのため設定外径分布の正確な予測は難しく、それゆえに設定すべき塗布厚分布の導出は困難である。
特許文献2の技術は実際に巻取径と単体膜厚を測定しているため設定すべき厚み分布の精度は高い。しかし、製膜工程であるため巻き出しロールがなく、基材の厚み斑を考慮せずに目標厚みの設定が可能であるが、塗布工程では基材の厚み斑を考慮しなければならない。また、より薄膜フィルムを扱う場合には単体膜厚の高精度な測定は難しい。さらに、目標とする厚み分布で製膜することを可能とするダイは、複数の区間に区分して調整自在とするために装置自体が複雑となり、作業性やメンテナンス性を考えると十分ではない。
本発明はかかる現状に鑑みてなされたものであり、設定すべき塗布厚み分布の導出精度を向上させ、かつ容易に制御でき、巻こぶや巻しわのない良好な巻姿のロールを得ることのできる塗布装置を提供する。
上記課題を解決する本発明の連続体の塗布装置は、連続走行する基材の少なくとも片面に過剰量の塗液を供給しつつ、この過剰量供給された塗液を基材に対して所定の間隔を保った掻き取り部材で計量する塗布部と、
基材に計量塗布された塗液を乾燥させて固化する乾燥部と、
基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取る巻取部と、を有する塗布装置であって、
掻き取り部材の両端を把持して、掻き取り部材全体の傾きを調整することで掻き取り部材と基材との間隔を調整する調整手段と、
巻取部でロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第1の厚み測定器と、
第1の厚み測定器で得られた積層厚みと巻取ロールの巻数とから、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出する演算手段と、
巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に基づいて、調整機構を制御する制御手段と、を有する。
基材に計量塗布された塗液を乾燥させて固化する乾燥部と、
基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取る巻取部と、を有する塗布装置であって、
掻き取り部材の両端を把持して、掻き取り部材全体の傾きを調整することで掻き取り部材と基材との間隔を調整する調整手段と、
巻取部でロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第1の厚み測定器と、
第1の厚み測定器で得られた積層厚みと巻取ロールの巻数とから、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出する演算手段と、
巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に基づいて、調整機構を制御する制御手段と、を有する。
本発明の連続体の塗布装置は、ロール状に巻かれている基材を巻き出す巻出部と、
巻出部でロール状に巻かれている巻出ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第2の厚み測定器と、を有し、
演算手段がさらに、巻出ロール積層厚みの幅方向厚み分布の一定期間前後での差分とこの期間内に巻き出された分の巻出ロールの巻数とから、基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出するとともに、この基材1枚当たりの幅方向厚み分布と塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布との差分より塗膜の幅方向厚み分布を算出し、
制御手段が、巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に加えて、塗膜の幅方向厚み分布にも基づいて、調整機構を制御することが好ましい。
巻出部でロール状に巻かれている巻出ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第2の厚み測定器と、を有し、
演算手段がさらに、巻出ロール積層厚みの幅方向厚み分布の一定期間前後での差分とこの期間内に巻き出された分の巻出ロールの巻数とから、基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出するとともに、この基材1枚当たりの幅方向厚み分布と塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布との差分より塗膜の幅方向厚み分布を算出し、
制御手段が、巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に加えて、塗膜の幅方向厚み分布にも基づいて、調整機構を制御することが好ましい。
本発明の連続体の塗布装置は、制御手段が、巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、基材と掻き取り部材との間隔を、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなる間隔となるように、調整手段を制御することが好ましい。
本発明の連続体の塗布装置は、制御部がさらに、基材と掻き取り部材との間隔を、塗膜の幅方向厚み分布の全体が所定範囲内となる間隔となるように、調整手段を制御することが好ましい。
上記課題を達成する本発明の塗膜付基材の製造方法は、連続走行する基材の少なくとも片面に塗液を塗布し、この塗液を乾燥し固化させ、基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取る塗膜付基材の製造方法であって、
ロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなるように、塗液の塗布厚みを調整する。
ロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなるように、塗液の塗布厚みを調整する。
本発明の塗膜付基材の製造方法は、塗液の塗布厚みを調整するに際し、さらに塗膜付基材の塗膜の幅方向厚み分布の全体が所定範囲内になるように調整するのが好ましい。
巻取ロールの幅方向の積層厚み分布を直接測定することにより、巻しわを発生させる積層厚み差に到達する前に塗膜の厚みを調節することで巻しわの発生を防止できる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は本発明を実施する塗布工程を模式的に例示した図である。基材を巻出機1から巻き出し、巻取機8で巻き取りながら連続的に搬送する。塗液3をタンク2から塗布ヘッド4に送液し、搬送される基材上に過剰量供給する。次いで、基材に対して所定の間隙を有した掻き取り部材5にて余分な塗液3を掻き取ることで計量し、基材上に所定厚みの塗液3を塗布する。その後、塗液3が塗布された基材を乾燥炉7内を通過させて塗液3を固化させる。このようにして得られた塗膜付基材を巻取8でロール状に巻き取る。
塗布ヘッド4の方式は少なくとも基材片面に塗布するものであり、ナイフ、コンマ、メタバー、アプリケーター、ディップなどの基材との間隙を有して塗液を掻き取る方式であれば特に限定はない。薄膜塗布の場合には掻き取り部材5は、掻き取り部において発生する圧力に耐えられる強度があることが好ましい。また、塗布膜厚は基材と掻き取り部材5との間隙で決まるため、薄膜になればなるほど均一な表面分布を得るためには掻き取り部材5の真直度は小さい方が好ましい。
掻き取り部材5の両端部は調整手段6に固定されている。この調整手段6により基材に対する掻き取り部材5全体の傾きを調整して、基材と掻き取り部材5との間隙を調整する。
巻出機1と巻取機8には、巻出ロールと巻取ロールのそれぞれの幅方向両端部の2点でロールの積層厚みを測定するための厚み測定器9aと9bがそれぞれ備えられている。厚み測定器9a、9bは非接触式であっても接触式であっても構わないが、傷をつける可能性の無い非接触変位計を使用することが好ましい。また、ロール幅方向両端部の2点を測定できれば、測定方法に特に限定はなく、2個の厚み測定器で端部を1ヶ所ずつ測定してもよく、1個の厚み測定器をロール幅方向に走査して測定してもよい。
巻出機1と巻取機8にはそれぞれ回転数測定器11aと11b(図示せず)が備えられており、基材が搬送されている間の巻出ロールと巻取ロールのそれぞれの回転数を計測している。後述するように、巻取ロールの回転数を計測することで、巻き取られた分の巻取ロールの積層数を求めることができる。また、巻出ロールの回転数を計測することで、巻き出された分の巻出ロールの積層数を求めることができる。なお、巻出ロールと巻取ロールのそれぞれの回転数を計測するのは、巻き取られた分の巻取ロールの積層数と巻き出された分の巻出ロールの積層数を求めることが目的であるから、これら積層数が算出できるのであれば、必ずしも回転数測定器11a、11bを備える必要はなく、回転数を計測する以外の方法で積層数を算出してもよい。
厚み測定器9aと回転数測定器11aは演算手段12a(図示せず)に接続されている。演算手段12aに厚み測定器9aと回転数測定器11aの測定値が取り込まれ、基材1枚当たりの幅方向厚み分布が算出される。同様に、厚み測定器9bと回転数測定器11bは演算手段12b(図示せず)に接続されている。演算手段12bに厚み測定器9bと回転数測定器11bの測定値が取り込まれ、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布が算出される。基材1枚当たりの幅方向厚み分布と塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の算出方法の詳細は後述する。
さらに、演算手段12aと演算手段12bは演算手段13(図示せず)に接続されている。演算手段12aで算出した基材1枚当たりの幅方向厚み分布のデータと演算手段12bで算出された塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布のデータが演算手段13に取り込まれ、それぞれの差分から塗膜の幅方向厚み分布が算出される
なお、ここでは演算手段12a、12bおよび13の3つの演算手段を備えた例を説明したが、もちろん1つの演算手段でこれら処理を全て行ってもよい。
なお、ここでは演算手段12a、12bおよび13の3つの演算手段を備えた例を説明したが、もちろん1つの演算手段でこれら処理を全て行ってもよい。
調整手段6には制御手段10(図示せず)が接続されている。制御手段10は、厚み測定器9bで測定した巻取ロールの積層厚みに基づいて、あるいは巻取ロールの積層厚みと演算手段13で算出された塗膜の幅方向厚み分布とに基づいて調整手段6への指令を出す。調整手段6は制御手段10からの指令に基づいて掻き取り部材5を動かして、基材と掻き取り部材5との間隙を調整する。
本発明の塗工装置は、塗液を塗布後に固化して塗膜付基材を得て、ロール状に巻き取る構成であれば特に限定はなく、必要とされるプロセスに応じて、塗布後の後処理に洗浄や水切などの工程を行う装置が設けられていてもよい。
次に、本発明の制御系の実施形態を例示したブロック線図(図2)を参照しながら本発明の制御方法について説明する。
塗膜付基材の幅方向両端部の厚みに差があると、塗膜付基材が巻取コアに巻取られるにしたがって、巻取ロールの幅方向両端部の積層厚みの差が徐々に大きくなっていき、その積層厚みの差がある大きさに至ると巻取ロールの表面にシワが発生する。本発明では、巻取ロールの幅方向両端部の積層厚みの差がシワの発生する大きさに至らないように、以下に説明するような制御を行う。
巻取機8に設置された積層厚み測定機9bは巻取コア表面を基準として積層厚みの幅方向分布の経時変化データを所定のサンプリング周期で収集する。予め調べておいたシワの発生し始める積層厚み差よりも小さい値の積層厚み差(以下、設定積層厚み差)を判定手段15に設定しておく。塗膜付基材が巻取コアに巻取られるにしたがって、巻取ロールの幅方向両端部の積層厚みの差が徐々に大きくなっていき、設定積層厚み差に到達した時に、演算手段16から調整手段6に調整量の値が出される。
調整量の値は次のようにして求められる。巻取機8に組み込まれた巻取回転数測定機11bで測定した巻取回転数は演算手段12bに入力される。この巻取回転数は巻取ロールの積層数と同じある。演算手段12bには測定機9bから積層厚みの幅方向分布のデータも入力されている。演算手段12bにて、積層厚みの幅方向分布のデータから得られる幅方向各位置での積層厚みを巻取回転数(すなわち積層数)で割ることで塗膜付基材単体の膜厚分布を導出する。演算手段12bは、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなるように基材と掻きとり部材との間隔を導出し、調整量として調整手段6に出力する。
ここで、調整すべき基材と掻きとり部材との間隔を導出する際に、塗布膜厚単位当たりの間隔を導出しておく必要がある。これは、塗液の粘度によって変化するため、使用する液が変わる毎に導出することが好ましい。以下、塗布膜厚単位当たりの間隔を塗膜厚係数とする。
導出された塗膜付基材単体の両端部の膜厚差に塗膜厚係数を掛けた値を掻き取り部材の移動すべき距離(以下、調整移動距離)とし、幅方向厚み分布の薄い側の間隔を調整移動距離だけ拡げ、厚い側の間隔を調整移動距離だけ狭くなるように調整する
こうすることで、塗膜付基材単体での幅方向の膜厚分布が、調整前には膜厚が薄かった側の端部が調整後には膜厚が厚くなり、調整前には膜厚が厚かった側の端部が調整後には膜厚が薄くなり、調整前後で幅方向の膜厚分布が逆転する。この状態で塗膜付基材を巻き取ってゆくと、巻取ロールの両端部での積層厚みの差が徐々に小さくなってゆき、一旦は積層厚みの差がゼロとなるが、そのまま巻き取りを続けると調整前とは逆側の端部の積層厚みの方が厚くなってゆき、再び両端部の積層厚み差が大きくなっていく。そうすると、積層厚み差の値が再び設定積層厚み差に到達するので、上記と同様の制御が行われる。
こうすることで、塗膜付基材単体での幅方向の膜厚分布が、調整前には膜厚が薄かった側の端部が調整後には膜厚が厚くなり、調整前には膜厚が厚かった側の端部が調整後には膜厚が薄くなり、調整前後で幅方向の膜厚分布が逆転する。この状態で塗膜付基材を巻き取ってゆくと、巻取ロールの両端部での積層厚みの差が徐々に小さくなってゆき、一旦は積層厚みの差がゼロとなるが、そのまま巻き取りを続けると調整前とは逆側の端部の積層厚みの方が厚くなってゆき、再び両端部の積層厚み差が大きくなっていく。そうすると、積層厚み差の値が再び設定積層厚み差に到達するので、上記と同様の制御が行われる。
上記の制御を継続していくことで、巻取ロールの両端部の積層厚みの差がシワの発生し始める積層厚み差にまでならないので、巻取ロールのシワの発生を防止することができる。
本発明では、上記の制御に加えて、基材に塗布されている塗膜厚みの幅方向厚み分布を一定の範囲内に収めるように制御することも好ましい。これは、基材自体の両端部の厚み差が塗膜の両端部の厚み差より大きい場合には、上記制御によって巻取シワを防止できたとしても、塗布の膜厚が要求される膜厚値の範囲を外れてしまう可能性があるからである。この制御は以下のようにして行う。
積層厚み測定機9aを巻出機1に設置し、ロール状の基材表面を基準として巻き出された分の積層厚みの幅方向分布の経時変化データを所定のサンプリング周期で収集し、そのデータを演算手段12aに入力する。
巻出機1に組み込まれた巻取回転数測定機11aにより巻出回転数を測定する。この巻出回転数は巻き出された積層数と同じである。演算手段12aにて、巻き出された分の積層厚みの幅方向分布のデータから得られる幅方向各位置での積層厚みを巻出回転数(すなわち巻出積層数)で割ることで基材単体の膜厚分布を導出する。演算手段13にて、塗膜付基材単体の厚み分布とこの基材単体の厚み分布の差をとることによって塗膜の厚み分布を導出する。
得られた塗膜の厚み差に塗膜厚係数を掛けた値、すなわち調整移動距離を導出し、その調整移動距離が要求塗膜厚み範囲内かの可否を判定手段14にて判定し、否となる場合は演算手段16にて範囲内に納まるように調整移動距離を補正する。
そうすることで、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなり、かつ、塗膜厚みが要求範囲内に納まるように基材と掻きとり部材との間隔を調整できる。
以下実施例により本発明を詳術する。
(実施例1)
図1に示した装置を用いて、厚み7μm、幅600mmのポリエチレン(PE)フィルムを速度15m/分にて搬送し、高分子化合物を有機溶剤に溶解した粘度1200mPa・sの塗液を目標塗膜厚み4±0.5μm、好ましくは4±0.4μmになるように、材質がステンレスで表面粗さが1.6Sの掻きとり部材を基材との間隔50μmにて塗工した。
図1に示した装置を用いて、厚み7μm、幅600mmのポリエチレン(PE)フィルムを速度15m/分にて搬送し、高分子化合物を有機溶剤に溶解した粘度1200mPa・sの塗液を目標塗膜厚み4±0.5μm、好ましくは4±0.4μmになるように、材質がステンレスで表面粗さが1.6Sの掻きとり部材を基材との間隔50μmにて塗工した。
接触式マイクロメーター(ミツトヨ社製)にて1枚当たりの幅方向膜厚分布を測定した結果、11±0.2μmの塗膜付基材が得られた。
この時の掻きとり部材と基材との間隔および塗膜付基材の厚みの幅方向分布は図3の通りである。この条件にて長尺塗工を行い、巻取部において図3の幅方向位置100mmと500mmの位置に積層厚み測定器であるレーザー変位計(キーエンス社製)を設置して積層厚みを測定した。積層厚みと、幅方向位置100mmと500mmでの積層厚みの差を図4に示す。積層厚み差は巻取長に伴い増加し、その差が0.45mmに到達した時に図5に示すような巻きシワが発生した。
このことから、良好な巻き姿を得るべく積層厚み差の絶対値が0.4mmに到達した時に幅方向の塗布膜厚分布を調整することとした。すなわち判定手段15に設定積層厚み差0.4mmを設定しておき調整手段が動作するようにした。具体的には、調整前の掻きとり部材と基材との間隔の幅方向のパターンが図3に示すパターンであれば、調整後は図6に示すパターンとなるように、調整前が図6に示すパターンでれば、調整後は図3に示すパターンとなるように、調整前後で間隔の幅方向パターンが逆転するように調整手段を動作させた。
この制御条件における巻取で測定した積層厚みと、積層厚み差を図7に示す。設定積層厚み差0.4mmに到達する巻取長600mおよび1900mにて掻きとり部材と基材との間隔を調整し、巻シワの発生を防止することで良好な巻き姿のロールを得ることができた。
(実施例2)
実施例1で実施した塗布方法をさらに改善する目的で、以下のように塗布を実施した。
巻出での基材1枚当たりの厚みを測定したところ、図8に示すとおり7±0.25μmであり平滑ではなかった。さらに、塗膜付基材1枚当たりの厚みと基材1枚当たりの厚みとの差をとり、塗膜厚みを算出したところ、調整前の塗膜厚みは4±0.05μmであるが、調整後の塗膜厚みは4±0.45μmであり、目標塗布厚み範囲内ではあるが、好ましい目標塗布厚み範囲をわずかに外れてしまった。
実施例1で実施した塗布方法をさらに改善する目的で、以下のように塗布を実施した。
巻出での基材1枚当たりの厚みを測定したところ、図8に示すとおり7±0.25μmであり平滑ではなかった。さらに、塗膜付基材1枚当たりの厚みと基材1枚当たりの厚みとの差をとり、塗膜厚みを算出したところ、調整前の塗膜厚みは4±0.05μmであるが、調整後の塗膜厚みは4±0.45μmであり、目標塗布厚み範囲内ではあるが、好ましい目標塗布厚み範囲をわずかに外れてしまった。
そこで、調整前後で掻きとり部材と基材との間隔の幅方向のパターンを逆転させるだけではなく、さらに塗布厚みが好ましい目標塗布厚み範囲内となるように調整手段の移動距離に補正をかけた。この結果、調整後の塗膜厚みは4±0.35μmと好ましい目標範囲内となり、かつ良好な巻き姿のロールを得ることができた。
この制御条件における巻取で測定した積層厚みと、幅方向位置100mmと500mmでの積層厚みの差を図9に示す。実施例1の場合と同じく設定積層厚み差0.4mmに到達する巻取長600mの時点で最初の調整を行ったが、調整後の塗布厚みを目標塗布厚み範囲内にするため、調整手段の移動距離を実施例1に比べて小さくしたので、次に設定厚み差0.4μmに到達する時間が遅くなり調整回数が減少した。
本発明は、シート状の塗膜付基材を巻き取る工程があれば適用でき、その用途範囲は広い。
1 巻出
2 タンク
3 塗液
4 塗布ヘッド
5 かきとり部材
6 調整手段
7 乾燥炉
8 巻取
9a 巻出積層厚み測定機
9b 巻取積層厚み測定機
10 制御手段
2 タンク
3 塗液
4 塗布ヘッド
5 かきとり部材
6 調整手段
7 乾燥炉
8 巻取
9a 巻出積層厚み測定機
9b 巻取積層厚み測定機
10 制御手段
Claims (6)
- 連続走行する基材の少なくとも片面に過剰量の塗液を供給しつつ、この過剰量供給された塗液を基材に対して所定の間隔を保った掻き取り部材で計量する塗布部と、
基材に計量塗布された塗液を乾燥させて固化する乾燥部と、
基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取る巻取部と、を有する塗布装置であって、
前記掻き取り部材の両端を把持して、掻き取り部材全体の傾きを調整することで掻き取り部材と前記基材との間隔を調整する調整手段と、
前記巻取部でロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第1の厚み測定器と、
前記第1の厚み測定器で得られた積層厚みと巻取ロールの巻数とから、塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出する演算手段と、
前記巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に基づいて、前記調整機構を制御する制御手段と、を有する連続体の塗布装置。 - 前記制御手段が、前記巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、前記基材と前記掻き取り部材との間隔を、前記塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなる間隔となるように、前記調整手段を制御する、請求項1の連続体の塗布装置。
- さらに、ロール状に巻かれている基材を巻き出す巻出部と、
前記巻出部でロール状に巻かれている巻出ロールの積層厚みの幅方向厚み分布を少なくとも幅方向両端部の位置で測定する第2の厚み測定器と、を有し、
前記演算手段がさらに、前記巻出ロール積層厚みの幅方向厚み分布の一定期間前後での差分とこの期間内に巻き出された分の巻出ロールの巻数とから、基材1枚当たりの幅方向厚み分布を算出するとともに、この基材1枚当たりの幅方向厚み分布と前記塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布との差分より塗膜の幅方向厚み分布を算出し、
前記制御手段が、前記巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布に加えて、前記塗膜の幅方向厚み分布にも基づいて、前記調整機構を制御する、請求項1の連続体の塗布装置。 - 前記制御部が、前記基材と前記掻き取り部材との間隔を、前記塗膜の幅方向厚み分布の全体が所定範囲内となる間隔となるとともに、前記巻取ロール積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、前記塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなる間隔となるように、前記調整手段を制御する、請求項3の連続体の塗布装置。
- 連続走行する基材の少なくとも片面に塗液を塗布し、この塗液を乾燥し固化させ、基材上に固化した塗膜が形成された塗膜付基材をロール状に巻き取る塗膜付基材の製造方法であって、
前記ロール状に巻き取られた巻取ロールの積層厚みの幅方向厚み分布の両端部の厚みの差が所定値以上になる前に、前記塗膜付基材1枚当たりの幅方向厚み分布の薄い側の端部に対応する塗膜厚みが厚み分布の厚い側の端部に対応する塗膜厚みよりも厚くなるように、塗液の塗布厚みを調整する、塗膜付基材の製造方法。 - 塗液の塗布厚みを調整するに際し、さらに前記塗膜付基材の塗膜の幅方向厚み分布の全体が所定範囲内になるように調整する、請求項5の塗膜付基材の製造方法。
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